JP2008158386A - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる液晶装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶装置100は、液晶層50を挟持する一対の基板10,20を備え、前記液晶層50の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、一方の基板10の液晶層50側に設けられた配線3aと、配線3aと電気的に接続されたスイッチング素子13と、配線3a及びスイッチング素子13を覆う絶縁膜41,12と、絶縁膜41,12上に設けられた画素電極15と、絶縁膜41,12の配線3aと平面的に重なる部分であって且つ画素電極15とは平面的に重ならない部分に設けられた貫通孔30と、貫通孔30内に設けられた導電部材70とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の液晶装置100は、液晶層50を挟持する一対の基板10,20を備え、前記液晶層50の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、一方の基板10の液晶層50側に設けられた配線3aと、配線3aと電気的に接続されたスイッチング素子13と、配線3a及びスイッチング素子13を覆う絶縁膜41,12と、絶縁膜41,12上に設けられた画素電極15と、絶縁膜41,12の配線3aと平面的に重なる部分であって且つ画素電極15とは平面的に重ならない部分に設けられた貫通孔30と、貫通孔30内に設けられた導電部材70とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、OCBモードを採用した液晶装置及び電子機器に関するものである。
近年、特に液晶テレビジョン等に代表される液晶装置の分野においては、動画の画質向上を目的として応答速度の速いOCB(Optical Compensated Bend)モードの液晶装置が脚光を浴びている。OCBモードにおいては、初期状態において液晶が2枚の基板間でスプレイ状に開いたスプレイ配向となっており、表示動作時において液晶が弓なりに曲がった状態(ベンド配向)になっている必要がある。すなわち、表示動作時にベンド配向の曲がりの度合いで透過率を変調することで高速応答性を実現している。
このようにOCBモードの液晶装置においては、電源遮断時に液晶はスプレイ配向であるため、電源投入時に或る閾値電圧以上の電圧を液晶に印加することによって初期のスプレイ配向から表示動作時のベンド配向に液晶の配向状態を転移させる、いわゆる初期転移操作が必要となる。ここで、初期転移が十分になされないと表示不良が生じたり、所望の高速応答性が得られなかったりする。そこで特許文献1では、画素電極と平面的に重なる位置に蓄積容量電極を設け、かかる蓄積容量電極と平面的に重なる位置の画素電極に開口部を設けた構成を採用し、画素領域内に斜め電界を生じさせることで初期配向転移を促進する技術が開示されている。
特開2003−107531号公報
特許文献1に記載の液晶装置によれば、画素領域内に生じさせた斜め電界により初期配向転移を促進させる効果を得ることができる。しかしながら、画素電極の開口部と蓄積容量電極との間には、配線層と画素電極とを絶縁する絶縁層が位置しているため、上記斜め電界を生じさせる作用は限定的なものであり、迅速な初期配向転移を行うには蓄積容量電極及び対向電極に高電圧を印加する必要がある。またこの構成では、蓄積容量電極が画素電極の中央部を横断しているため、画素開口率が犠牲になっている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる液晶装置を提供することを目的とする。また、このような液晶装置を備えることにより、高輝度、高速応答の表示品質に優れた表示部を備えた電子機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板を備え、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた配線と、前記配線と電気的に接続されたスイッチング素子と、前記配線及び前記スイッチング素子を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた画素電極と、前記絶縁膜の前記配線と平面的に重なる部分であって且つ前記画素電極とは平面的に重ならない部分に設けられた貫通孔と、前記貫通孔内に設けられた導電部材とを備えることを特徴とする。この構成によれば、配線上に貫通孔を形成し、貫通孔内に導電部材を埋め込んでいるので、配線に初期転移電圧を印加すると、貫通孔の形成位置では絶縁膜が除去されて液晶層と配線(導電部材)との距離が狭くなっているので強い電界が形成される。そして、かかる電界が液晶層に作用することで導電部材の形成位置に対応してディスクリネーションが発生し、かかるディスクリネーションを初期転移核とする初期配向転移が進行するようになる。また、導電部材は、画素電極の非形成領域、すなわち表示に寄与しない領域に設けられているので、導電部材の形成領域に発生するディスクリネーションによって表示品質の低下が生じることはない。したがって、迅速かつ均一な初期配向転移により高画質の表示が得られる液晶装置が提供できる。
本発明においては、前記導電部材の厚みは前記貫通孔の深さと略等しいことが望ましい。この構成によれば、貫通孔に起因する段差を導電部材によって略平坦化することができる。このため、液晶層の初期配向が改善され、表示品質に優れた液晶装置が提供できる。
本発明においては、前記導電部材は前記貫通孔内の内面を覆って前記絶縁膜の上面に形成されていることが望ましい。この構成によれば、初期転移核の形成される領域を大きくすることができ、円滑な初期配向転移を実現できる。
本発明においては、前記導電部材は導電性高分子材料によって形成されていることが望ましい。この構成によれば、導電部材を液滴吐出法によって形成することができ、材料の無駄の少ない低コストな液晶装置を提供することができる。また、液体材料の吐出と乾燥を繰り返すことにより容易に厚い膜を形成できるため、貫通孔の深さが深くなった場合でも比較的容易に貫通孔内を埋めることができ、初期配向の均一な液晶装置が提供できる。さらに、薬液によるパターニングが不要であるため、薬液によるダメージを防ぎ、信頼性の高い液晶装置が提供できる。
本発明においては、前記導電部材は前記画素電極と同一材料によって形成されていることが望ましい。この構成によれば、工程数を増やすことなく導電部材を形成することができる。また、画素電極と同じ無機材料を用いることで、高分子導電材料を用いる場合に比べて、酸化等による導電性の劣化を少なくすることができる。高分子導電材料の場合、材料によっては容易に酸化してしまう場合があるからである。
本発明においては、前記スイッチング素子は薄膜トランジスタであり、前記配線は前記スイッチング素子と電気的に接続された走査線又はデータ線、あるいは容量線であることが望ましい。この構成によれば、初期配向電位を印加するための新たな配線が必要なくなるため、画素開口率を向上でき、明るい表示が実現できる。
本発明においては、前記配線は走査線であることが好ましい。走査線には初期配向転移動作時のみならず表示動作時にも他の配線に比して高い電圧が印加されるので、導電部材の形成位置に形成される電界もそれに応じて強くなり、より円滑に初期配向転移を進行させることができる。また、走査線上に導電部材が形成されていれば、表示動作時に印加電圧が低くなる画素電極間の領域の液晶層に対して導電部材を介して電界を作用させることができ、画素電極間の領域における液晶層の配向状態を安定に維持することができる。
本発明においては、前記導電部材は前記画素電極の辺端に沿って複数設けられていることが望ましい。この構成によれば、いかなる形状、寸法の画素を備えた液晶装置においても初期配向転移を効率的に且つ円滑に進行させることができる。
本発明においては、前記第1基板の前記液晶層側に配向膜が設けられており、前記配向膜の配向規制方向は、前記導電部材と対向する前記画素電極の辺端と交差する方向であることが望ましい。この構成によれば、画素電極と導電部材との間に生じる電界によって液晶の配向方向が配向膜の配向規制方向にからずれるため、前記電界の作用する領域に液晶がねじれ配向(ツイスト配向)した液晶領域を少なくとも一時的に形成することができる。OCBモードの液晶層においては、ツイスト配向のエネルギー(ギブスエネルギー)状態はスプレイ配向とベンド配向の中間に位置しており、ツイスト配向からベンド配向への配向転移は極めて容易に進行するため、上記のように導電部材の近傍にツイスト配向の液晶領域を形成することで、ベンド配向への配向転移が凹部の近傍でさらに円滑に進行するようになり、画素全体においても初期配向転移が迅速に完了するようになる。
本発明の電子機器は、前述した本発明の液晶装置を備えることを特徴とする。この構成によれば、OCBモードの初期転移動作を円滑に行うことができ、高輝度、高速応答の表示品質に優れた表示部を備えた電子機器を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
また、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。この際、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。例えば本実施形態においては、Y軸方向を走査線の延在方向、X軸方向をデータ線の延在方向、Z軸方向を観察者による液晶パネルの観察方向としている。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の液晶装置の第1実施形態の等価回路図である。液晶装置100の画像表示領域にはデータ線6a及び走査線3aが格子状に設けられており、両者の交点付近には表示の最小単位であるサブ画素が配置されている。各サブ画素には画素電極15が設けられており、画素電極15には当該画素電極15への通電制御を行うためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下「TFT」と略記する)13が設けられている。
図1は本発明の液晶装置の第1実施形態の等価回路図である。液晶装置100の画像表示領域にはデータ線6a及び走査線3aが格子状に設けられており、両者の交点付近には表示の最小単位であるサブ画素が配置されている。各サブ画素には画素電極15が設けられており、画素電極15には当該画素電極15への通電制御を行うためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下「TFT」と略記する)13が設けられている。
TFT13にはデータ線6a及び走査線3aが電気的に接続されている。TFT13のソースにはデータ線6aを介して画像信号S1、S2、‥、Snが供給されるようになっている。また、TFT13のゲートには走査線3aを介して所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、‥、Gmが供給されるようになっている。TFT13のドレインは画素電極15と電気的に接続されており、走査線3aから供給された走査信号G1、G2、‥、GmによりTFT13が一定期間だけオン状態になると、データ線6aから供給された画像信号S1、S2、‥、Snが各サブ画素の液晶層に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
液晶層に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、‥、Snは、画素電極15と、後述する共通電極との間に形成される液晶容量によって一定期間保持される。そして、液晶層に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶の配向状態が変化し、液晶層に入射した光が変調されて階調表示が行われるようになっている。なお、保持された画像信号S1、S2、‥、Snがリークするのを防止するために、画素電極15と容量線(信号電極)3bとの間には蓄積容量7が設けられている。蓄積容量7は液晶容量と並列に接続されている。
図2は液晶装置100の1サブ画素の概略構成図である。同図において(a)は1サブ画素の平面図であり、(b)は(a)のA−A’線に沿う断面図である。
図2(a)に示すように、サブ画素内には走査線3aとデータ線6aとが互いに交差して設けられている。走査線3aとデータ線6aとの交点付近には、X軸方向に長手方向を有する平面視矩形状の画素電極15が設けられており、走査線3aの画素電極15側には、当該走査線3aと平行に延びる容量線3bが配置されている。図示は省略したが、画素電極15はX軸方向及びY軸方向に配列されており、画素電極15の間隙に沿って、X軸方向に延在する複数のデータ線6aと、Y軸方向に延在する複数の走査線3aとが設けられている。画素電極15の配置された領域は表示の最小単位であるサブ画素を構成し、サブ画素がX軸方向及びY軸方向に配列することにより、全体としての画像表示領域が形成されている。
データ線6aと走査線3aとの交点付近にはTFT13が設けられている。TFT13のドレイン電極44はコンタクトホール14を介して画素電極15と電気的に接続されている。走査線3a上には導電部材70が設けられている。導電部材70は走査線3aと電気的に接続されており、画素電極15との間で電界Eを発生させるようになっている。導電部材70は、走査線(配線)3aと画素電極15との間に設けられた絶縁膜の開口部30に設けられている。開口部30はY軸方向を長手方向とする矩形状に形成されており、Y軸方向に関して画素電極15の短辺の略中央部に対向している。
サブ画素の一隅部には柱状スペーサ(フォトスペーサ)59が設けられている。柱状スペーサ59は走査線3aとデータ線6aとの交点に対応して設けられている。柱状スペーサ59は第1基板10と第2基板20との間隔を保持するギャップ材であり、該ギャップ材によって液晶層50の層厚が均一に制御されている(図2(b)参照)。
図2(b)に示すように、液晶装置100は、液晶層50を挟持する第1基板10及び第2基板20と、第1基板10の外面側(液晶層50とは反対側)に設けられた照明装置60とを備えている。第1基板10はTFT13及び画素電極15等を備えたTFTアレイ基板であり、第2基板20はカラーフィルタ22及び共通電極25等を備えた対向基板である。照明装置60は観察側とは反対側に設けられており、バックライトとして機能する。照明装置60は、光源、リフレクタ、導光板等を備えている。
第1基板10は、ガラス、石英、プラスチック等の透光性基材からなる基板本体11を基体としてなる。基板本体11の液晶層50側には走査線3a及び容量線3bが設けられており、走査線3a及び容量線3bを覆ってゲート絶縁膜41が設けられている。ゲート絶縁膜41を介して走査線3aと対向する位置には平面視矩形状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層45が設けられている。ゲート絶縁膜41上には半導体層45上に一部乗り上げるようにしてソース電極6b及びドレイン電極44が設けられている。ゲート絶縁膜41上には、ゲート絶縁膜41、半導体層45、ソース電極6b及びドレイン電極44を覆って層間絶縁膜12が設けられている。
層間絶縁膜12には貫通孔であるコンタクトホール14及び開口部30が設けられている。コンタクトホール14はドレイン電極44と平面的に重なる部分に設けられており、層間絶縁膜12を貫通してドレイン電極44の表面に達している。開口部30は走査線3aと平面的に重なる部分に設けられており、層間絶縁膜12及びゲート絶縁膜41を貫通して走査線30の表面に達している。開口部30とコンタクトホール14とは共通の工程で同時に形成することができる。
開口部30には導電部材70が設けられている。導電部材70は、開口部30の底面に露出した走査線3a上に積層され、走査線3aと電気的に接続されている。導電部材70は開口部30の深さと略等しい厚みに形成されている。導電部材70は、開口部30に埋め込まれるように形成されており、開口部30によって形成された絶縁膜表面の凹凸を平坦化している。導電部材70としては、アルミニウム、金、銀等の無機導電材料の他、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子材料が用いられる。導電性高分子材料によって導電部材70を形成する場合には、インクジェット法等の液滴吐出法が好適に採用される。液滴吐出法によれば、開口部30のみに選択的に導電部材70を形成することができ、薬液によるパターニングが不要になる。
層間絶縁膜12上にはITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる画素電極15が設けられている。画素電極15は導電部材70と重ならないようにパターニングされている。画素電極15と導電部材70とは電気的に絶縁されており、両者の間に電界Eが発生するようになっている。電界Eの方向は、基板面と略平行な面内において画素電極15の短辺と交差する方向である。
画素電極15はコンタクトホール14を介してドレイン電極44(TFT13)と電気的に接続されている。層間絶縁膜12上には画素電極15及び導電部材70を覆ってポリイミド等からなる配向膜18が設けられている。配向膜18は画像表示領域を含む基板本体11の略全面に設けられている。配向膜18は液晶51を膜面に略水平に配向させる水平配向膜であり、画素電極15の短辺方向(Y軸方向)と平行な方向18aにラビング処理されている。
第2基板20は、ガラス、石英、プラスチック等の透光性基材からなる基板本体21を基体としてなる。基板本体21の液晶層50側にはサブ画素の周囲を縁取るブラックマトリクス23が設けられている。ブラックマトリクス23上には、サブ画素毎に異なる色光を透過するカラーフィルタを備えたCF層22が設けられている。なお、CF層22は第1基板10側に設けることもできる。
CF層22上にはITO等の透明導電材料からなる共通電極25が設けられている。共通電極25は画像表示領域を含む基板本体21の略全面に設けられており、各サブ画素に共通の電極として機能する。共通電極25の表面にはポリイミド等からなる配向膜29が設けられている。配向膜29は画像表示領域を含む基板本体21の略全面に設けられている。配向膜29は液晶51を膜面に略水平に配向させる水平配向膜であり、配向膜18のラビング方向18aと略平行な方向29aにラビング処理されている。
第1基板10と第2基板20との間にはOCBモードで動作する液晶層50が挟持されている。液晶装置100の動作時には、図2(b)に示すように液晶51がベンド配向を呈し、高速応答動作が可能で、動画表示の品質に優れる液晶装置となっている。本実施形態の場合、液晶層50の層厚(セルギャップ)は4μmであり、屈折率異方性(Δn)が0.155の液晶を用いて構成されている。なお、図2(b)は、基板10,20間でベンド配向を呈する液晶51の配向状態を概念的に示したものであり、実際の配向状態とは必ずしも一致しない。
第1基板10と第2基板20の外側(液晶層50とは反対側)には、それぞれ偏光板36と偏光板37とが設けられている。偏光板36,37は特定方向に振動する直線偏光のみを透過させるものである。偏光板36の透過軸と偏光板37の透過軸とは互いに略直交するように配置されている。また、偏光板36の透過軸と偏光板37の透過軸は配向膜18,29のラビング方向18a,29aと略45°で交差する向きに配置されている。
上記構成の液晶装置100では、初期状態(非動作時)において液晶51がスプレイ状に開いた配向状態(スプレイ配向)になっており、表示動作時には液晶51が弓なりに曲がった配向状態(ベンド配向;図2(b)参照)になっている。そして、表示動作時にベンド配向の曲がりの度合いで透過率を変調することにより、表示動作の高速応答性を実現するようになっている。
この場合、電源遮断時の液晶51はスプレイ配向であるため、電源投入時にある閾値電圧以上の電圧を液晶に印加することによって、初期のスプレイ配向から表示動作時のベンド配向に液晶の配向状態を転移させる、いわゆる初期転移操作が必要となる。ここで、初期転移が十分になされないと表示不良が生じたり、所望の高速応答性が得られなかったりする。
液晶層50の初期転移操作としては、走査線3aを線順次にONしつつ、画素電極15と共通電極25との間に8V程度のパルス電圧を印加する方法を用いることができる。このとき、走査線3aに印加する電圧は、例えばON時に15V、OFF時に−11Vである。そして、この初期転移電圧の印加によってサブ画素にディスクリネーションを発生させれば、そのディスクリネーションが初期転移核となって初期転移が周辺に進行する。これにより初期転移動作を円滑に行うことができる。
本実施形態では、サブ画素内に初期転移核となるディスクリネーションを発生させるために、画素電極15に隣接する位置の走査線3a上に、層間絶縁膜12及びゲート絶縁膜41を一部除去してなる開口部30を設け、その中に導電部材70を埋め込んでいる。導電部材70が設けられた領域では、ゲート絶縁膜41及び層間絶縁膜12を介して走査線3aと液晶層50とが離間されている他の領域に比べて、液晶層50に作用する電界の強度が大きくなる。また、導電部材70は画素電極15に隣接して設けられてため、走査線3aに初期転移操作のためのパルスを入力した場合に、画素電極15と走査線3aとの間に強い電界が形成され、導電部材70の形成位置付近でディスクリネーションが発生し、初期転移核を形成する。そして、この初期転移核において開始したスプレイ配向からベンド配向への配向転移が周囲に進行し、サブ画素全体での液晶層50の初期配向転移が迅速に行われる。このように本実施形態によれば、高電圧を印加することなく効果的に初期転移核を形成することができるので、OCBモードの初期配向転移を350ms以下で高速に完了させることができる。
また、本実施形態では、導電部材70を画素電極15の短辺と隣接する位置に設け、配向膜18,29のラビング方向18a、29aを画素電極15の短辺と平行な方向としているため、導電部材70と画素電極15との間に形成される電界Eの主たる方向(X軸方向)が、液晶51の初期配向方向(Y軸方向)に対して交差する方向となる。そのため、初期転移操作によって導電部材70の近傍の液晶51が強制的にX軸方向に配向し、その結果、ラビングによりY軸方向に規制されている液晶領域と上記X軸方向に配向した液晶領域との境界にディスクリネーションが発生し、そのディスクリネーションが初期転移核となって、更に円滑な初期配向転移が実現される。
また、導電部材70と画素電極15との間に横電界Eが形成されたときに、第1基板10の近傍の液晶51がX軸方向に配向し、第2基板20の近傍の液晶51は配向膜29の配向規制力によりY軸方向に配向するので、液晶層50の層厚方向で液晶51がねじれて配向した状態となる。OCBモードで動作する液晶層では、ツイスト配向のエネルギー(ギブスエネルギー)状態は、スプレイ配向におけるエネルギー状態とベンド配向におけるエネルギー状態との中間に位置するため、ツイスト配向からベンド配向への配向転移は極めて容易になる。そのため、導電部材70の近傍ではベンド配向への配向転移を迅速に進行させることができる。
このように、導電部材70と画素電極15との間の電界Eの主たる方向と、ラビング方向18a、29aとが互いに交差する方向となるように配置することで、導電部材70の形成位置に生じる強電界の作用のみを利用する場合に比べて、初期転移核の形成が促進され、初期配向転移がより円滑に進行するようになる。
また本実施形態では、サブ画素の境界領域(隣接して配置された画素電極15の間の領域)に導電部材70が形成されていることから、表示動作時の液晶層50の配向状態の安定性に優れた液晶装置となっている。画素電極15の間の領域は電圧が印加されない領域であるため、隣接して配置された画素電極15が印加電圧が低い状態(例えばノーマリホワイトで白表示の状態)に保持されていると、これらの画素電極15の間の領域では画素電極15の平面領域よりも電界が弱くなるため、かかる領域の液晶層50がベンド配向を保持することができなくなってしまうおそれがある。これに対して本実施形態では、X軸方向に隣接する画素電極15の間に導電部材70が配置されているので、サブ画素の表示状態に関わりなく走査線3aに供給される選択信号の電圧によって導電部材70の形成位置の液晶層50に電界を作用させることができ、これにより液晶層50のベンド配向状態を良好に保持することができ、高品質の表示を安定に維持できるようになっている。
また本実施形態において、導電部材70は走査線3aの平面領域内に設けられており、走査線3aの形成領域は第2基板20側に形成されたブラックマトリクス23により遮光される領域である。すなわち本実施形態では、表示に利用されない領域に初期転移手段である導電部材70を設けており、また表示動作時に走査線3aに印加される電圧は初期転移動作時に印加される電圧よりも低い電圧であるため、表示動作時に導電部材70近傍に形成される電界が表示品質に影響することはほとんどなく、明るく高コントラストの表示を得ることができる。
なお、本実施形態では、導電部材70を走査線3a上に形成した例を説明したが、導電部材70はデータ線6aや容量線3b上に形成しても良い。これらの場合でも、配線であるデータ線6aないし容量線3bと液晶層50との距離が短くなるため、液晶層50に対して強電界を作用させることができ、ディスクリネーションの発生を促進して初期転移核を効率よく形成することができる。ただし、走査線3aに印加される電圧はデータ線6aや容量線3bよりも高く、表示動作時にも比較的高い電圧が印加されるため、走査線3a上に導電部材70を配置する方が効果的である。
また本実施形態では、走査線3a上に形成される導電部材70(開口部30)について、画素電極15の短辺の略中央部に配置した構成としたが、導電部材70の位置、形状、数は、このようなものに限定されず、走査線3aの位置及び画素電極15の大きさ等によって任意に決定することができる。
[第2の実施の形態]
次に、図3を用いて本発明の第2実施形態の液晶装置200を説明する。同図において(a)は液晶装置200の1サブ画素の平面図であり、(b)は(a)のB−B’線に沿う断面図である。図3において、図2に示した第1実施形態の液晶装置100と共通の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
次に、図3を用いて本発明の第2実施形態の液晶装置200を説明する。同図において(a)は液晶装置200の1サブ画素の平面図であり、(b)は(a)のB−B’線に沿う断面図である。図3において、図2に示した第1実施形態の液晶装置100と共通の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図3(a)に示すように、画素電極15には反射電極15rと透明電極15tとが設けられている。反射電極15rと透明電極15tはX軸方向に並んで配置されており、サブ画素の中央部分で互いに電気的に接続されている。
画素電極15の短辺に対向する走査線3a上には導電部材70が設けられている。導電部材70は走査線3aと電気的に接続されており、画素電極15との間で電界Exを発生させるようになっている。導電部材70は、走査線(配線)3aと画素電極15との間に設けられた絶縁膜の開口部30に設けられている。開口部30は、Y軸方向を長手方向とする矩形状に形成され、Y軸方向に関して画素電極15の短辺の略中央部に対向している。
画素電極15の長辺に対向するデータ線6a上には複数の導電部材71が設けられている。導電部材71はデータ線6aと電気的に接続されており、画素電極15との間で電界Eyを発生させるようになっている。導電部材71は、データ線(配線)6aと画素電極15との間に設けられた絶縁膜の開口部130に設けられている。開口部130はX軸方向を長手方向とする矩形状に形成されており、画素電極15の長辺に沿って複数設けられている。
図3(b)に示すように、第1基板10の基板本体11の液晶層側には走査線3a及び容量線3bが設けられており、走査線3a及び容量線3bを覆ってゲート絶縁膜41が設けられている。ゲート絶縁膜41を介して走査線3aと対向する位置には平面視矩形状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層45が設けられている。ゲート絶縁膜41上には半導体層45上に一部乗り上げるようにしてソース電極6b及びドレイン電極44が設けられており、更にソース電極6b及びドレイン電極44と同一材料によって形成されたデータ線6aが設けられている。ゲート絶縁膜41上には、ゲート絶縁膜41、半導体層45、ソース電極6b、ドレイン電極44及びデータ線6aを覆って層間絶縁膜12が設けられている。
層間絶縁膜12には貫通孔であるコンタクトホール14、開口部30及び開口部130が設けられている。コンタクトホール14はドレイン電極44と平面的に重なる部分に設けられており、層間絶縁膜12を貫通してドレイン電極44の表面に達している。開口部30は走査線3aと平面的に重なる部分に設けられており、層間絶縁膜12及びゲート絶縁膜41を貫通して走査線30の表面に達している。開口部130はデータ線6aと平面的に重なる部分に設けられており、層間絶縁膜12及びゲート絶縁膜41を貫通してデータ線6aの表面に達している。コンタクトホール14、開口部30及び開口部130は共通の工程で同時に形成することができる。
開口部30には導電部材70が設けられている。導電部材70は、開口部30の底面に露出した走査線3a上に積層され、走査線3aと電気的に接続されている。導電部材70は開口部30の深さと略等しい厚みに形成されている。導電部材70は、開口部30に埋め込まれるように形成されており、開口部30によって形成された絶縁膜表面の凹凸を平坦化している。導電部材70としては、アルミニウム、金、銀等の無機導電材料の他、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子材料が用いられる。
開口部130には導電部材71が設けられている。導電部材71は、開口部130の底面に露出したデータ線6a上に積層され、データ線6aと電気的に接続されている。導電部材71は開口部130の深さと略等しい厚みに形成されている。導電部材71は、開口部130に埋め込まれるように形成されており、開口部130によって形成された絶縁膜表面の凹凸を平坦化している。導電部材71としては、アルミニウム、金、銀等の無機導電材料の他、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子材料が用いられる。
層間絶縁膜12上には、表面に凹凸を有する樹脂層16が部分的に設けられている。樹脂層16の表面にはアルミニウムや銀等の高反射率の金属材料からなる反射電極(反射層)15rが設けられており、樹脂層16は反射電極15rの反射光を散乱させる光散乱手段として機能する。反射電極15rに隣接してITO等の透明導電性材料からなる透明電極15tが設けられており、反射電極15r及び透明電極15tが導通接続されて画素電極15を形成している。1サブ画素内において、反射電極15rの形成領域は反射表示領域Rに対応し、透明電極15tの形成領域は透過表示領域Tに対応する。
画素電極15は導電部材70,71と重ならないようにパターニングされている。画素電極15と導電部材70とは電気的に絶縁されており、両者の間に電界Exが発生するようになっている。電界Exの方向は、基板面と略平行な面内において画素電極15の短辺と交差する方向である。また、画素電極15と導電部材71とは電気的に絶縁されており、両者の間に電界Eyが発生するようになっている。電界Eyの方向は、基板面と略平行な面内において画素電極15の長辺と交差する方向である。
画素電極15はコンタクトホール14を介してドレイン電極44(TFT13)と電気的に接続されている。層間絶縁膜12上には画素電極15及び導電部材70,71を覆ってポリイミド等からなる配向膜18が設けられている。配向膜18は画像表示領域を含む基板本体11の略全面に設けられている。配向膜18は液晶51を膜面に略水平に配向させる水平配向膜であり、画素電極15の長辺方向(X軸方向)と平行な方向18aにラビング処理されている。
第2基板20の基板本体21の液晶層50側にはブラックマトリクス23及びCF層22が設けられている。カラーフィルタは、サブ画素内で色度の異なる2種類の色材領域に区画されている構成とすることが好ましい。具体的には、透過表示領域Tの平面領域に対応して第1の色材領域が設けられ、反射表示領域Rの平面領域に対応して第2の色材領域が設けられており、第1の色材領域の色度が、第2の色材領域の色度より大きいものとされている構成を採用できる。また、反射表示領域Rの一部に非着色領域を設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、カラーフィルタを表示光が1回のみ透過する透過表示領域Tと、2回透過する反射表示領域Rとの間で表示光の色度が異なるのを防止でき、反射表示と透過表示の見映えを揃えて表示品質を向上させることができる。なお、CF層22は、TFTアレイ基板10側に形成することもできる。
CF層22上には、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚さを透過表示領域Tにおける液晶層50の厚さよりも小さくする液晶層厚調整層24が設けられている。半透過反射型の液晶装置では、反射表示領域Rへの入射光は液晶層50を2回透過して表示光として用いられるが、透過表示領域Tへの入射光は液晶層50を1回しか透過しない。これにより反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間で液晶層50の実質的なリタデーションが異なることとなり、何ら調整しないとすれば光透過率に差異を生じて均一な画像表示が得られないことになる。そこで液晶層厚調整層24を設けることにより、反射表示領域Rにおける液晶層50の層厚(例えば2μm程度)が透過表示領域Tにおける液晶層50の層厚(例えば4μm程度)の半分程度に設定されて、反射表示領域R及び透過表示領域Tにおける液晶層50のリタデーションが略同一に設定されている。このように、液晶層厚調整層24により実現したマルチギャップ構造により、反射表示領域R及び透過表示領域Tにおいて均一な画像表示が得られるようになっている。
反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界領域には、液晶層厚調整層24に起因する段差傾斜部70が設けられており、反射表示領域Rから透過表示領域Tにかけて液晶層50の層厚が連続的に変化している。段差傾斜部70の傾斜角は基板本体21の表面に対して10°〜30°程度である。一般に液晶層厚調整層24の段差傾斜部70では、液晶51の配向状態が乱れやすく、表示品質が低下しやすい。そこで本実施形態では、段差傾斜部70を透過表示領域Tに配置することにより、反射表示を重視した構成になっている。
液晶層厚調整層24の構成材料としては、アクリル樹脂等の電気絶縁性及び感光性を有する材料が望ましい。感光性材料を採用することにより、フォトリソグラフィを用いたパターニングが可能になり、液晶層厚調整層24を精度よく形成することができる。なお、液晶層厚調整層24は第1基板10側に設けることもでき、第1基板10と第2基板20の双方に設けることもできる。
CF層22上には液晶層厚調整層24を覆ってITO等の透明導電材料からなる共通電極25が設けられている。共通電極25は画像表示領域を含む基板本体21の略全面に設けられており、各サブ画素に共通の電極として機能する。共通電極25の表面にはポリイミド等からなる配向膜29が設けられている。配向膜29は画像表示領域を含む基板本体21の略全面に設けられている。配向膜29は液晶51を膜面に略水平に配向させる水平配向膜であり、配向膜18のラビング方向18aと略平行な方向29aにラビング処理されている。
第1基板10と第2基板20との間にはOCBモードで動作する液晶層50が挟持されている。本実施形態では、透過表示領域T及び反射表示領域Rともに水平配向膜が形成されており、透過表示領域T及び反射表示領域Rの液晶層50が、ともにOCBモードで動作するようになっている。また、第1基板10と第2基板20の外側(液晶層50とは反対側)には、それぞれ偏光板36と偏光板37とが設けられている。偏光板36の透過軸と偏光板37の透過軸とは互いに直交するように配置されている。また、偏光板36の透過軸と偏光板37の透過軸は配向膜18,29のラビング方向18a,29aと略45°で交差する向きに配置されている。
本実施形態では、データ線6a上に形成された導電部材71は導電部材70と同様の作用を有するものであり、データ線6aに電圧を印加することで、導電部材71上に形成される電界により液晶51の配向を乱してディスクリネーションを発生させることができる。そして、かかるディスクリネーションを初期転移核とするスプレイ配向からベンド配向への初期配向転移を進行させることができる。したがって、液晶装置200においては、走査線3a上に形成された導電部材70に加えて、データ線6a上に3つの導電部材71を形成し、画素電極15を取り囲むようにして初期転移手段である導電部材70,71を配置している。これにより、初期転移動作時には画素電極15を取り囲む2つの導電部材70と6つの導電部材71の付近でディスクリネーションが発生することとなり、各々のディスクリネーションを初期転移核としてサブ画素全体の初期配向転移が進行するため、第1実施形態の液晶装置100と比較して迅速な初期転移操作が可能である。
またデータ線6a上にも導電部材71を設けているので、データ線6a上に位置する液晶層50に対しても表示動作時に定常的に電界を作用させることができ、当該領域における液晶層50の配向状態の維持をより良好なものとすることができる。また、データ線6a上の領域は第2基板20のブラックマトリクス23により覆われる領域であるため、上記のように定常的に電界を作用させたとしても、それによる配向状態の変化は表示にはほとんど影響しない。
また本実施形態では、配向膜18,29のラビング方向18a、29aが45°斜め方向とされているので、導電部材70と画素電極15との間に形成される電界Exの主たる方向(X軸方向)、及び導電部材71と画素電極15との間に形成される電界Eyの主たる方向(Y軸方向)の両方が、ラビング方向18a、29aと交差するような配置となっている。このような構成とすることで、電界Ex、Eyの作用により導電部材70及び導電部材71の近傍に、液晶51がねじれ配向(ツイスト配向)した領域が形成され、ツイスト配向からベンド配向への配向転移が容易に進行するOCBモードの特徴を利用した初期配向転移を行うことができる。従って本実施形態によれば、導電部材70及び導電部材71を設けたことによる初期配向転移の迅速化効果を最大限発揮させることができる。
なお、本実施形態では、データ線6a上に形成される導電部材71(開口部130)について、平面視矩形状のものが等間隔に配列されている構成としたが、導電部材71の位置、形状、数は、このようなものに限定されず、データ線6aの位置及び画素電極15の大きさ等によって任意に決定することができる。例えば、X軸方向に延びる帯状の導電部材71をデータ線6a上に形成しても良く、互いに異なる平面形状の導電部材71を形成しても良い。
[第3の実施の形態]
次に、図4を用いて本発明の第3実施形態の液晶装置300を説明する。本実施形態において第2実施形態の液晶装置200と異なるのは、開口部30,130に形成された導電部材の形状、材料である。このため、導電部材72,73の形状のみを説明し、共通する構成要素の説明は省略する。
次に、図4を用いて本発明の第3実施形態の液晶装置300を説明する。本実施形態において第2実施形態の液晶装置200と異なるのは、開口部30,130に形成された導電部材の形状、材料である。このため、導電部材72,73の形状のみを説明し、共通する構成要素の説明は省略する。
図4に示すように、開口部30,130にはそれぞれ導電部材72,73が設けられている。導電部材72,73は開口部30,130の内面を覆って層間絶縁膜12の上面に形成されている。平面的には、層間絶縁膜12の内部に埋め込まれた部分よりも層間絶縁膜12上に形成された部分の面積が広くなっている。導電部材72,73は断面T字状に形成されており、導電部材72,73の上面は画素電極15と略面一に形成され、開口部30,130によって形成された絶縁膜表面の凹凸を平坦化している。
導電部材72,73は、無機導電材料及び高分子導電材料のいずれによっても形成することができるが、特に、画素電極15(反射電極15r、透明電極15t)と同一材料であるアルミニウムやITOによって形成することが望ましい。これにより、画素電極15と共通の工程で同時に形成することができる。また、画素電極15と同じ無機材料を用いることで、高分子導電材料を用いる場合に比べて酸化等による導電性の劣化を少なくすることができる。高分子導電材料の場合、材料によっては容易に酸化してしまう場合があるからである。
本実施形態の液晶装置300によれば、導電部材72,73の上面部が大きく形成されているので、初期転移核の形成される領域を大きくすることができ、円滑な初期配向転移が実現できる。また、導電部材72,73の上面部を大きくすることにより、パターニングのマージンが広がるため、製造が容易になる。
[電子機器]
図5は本発明に係る電子機器の一例を示す概略構成図である。同図の携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303及び送話口1304を備えて構成されている。本発明の液晶装置は、表示品質の低下を最小限に抑え、OCBモードの初期転移動作を円滑に行うことができるので、表示品質に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
図5は本発明に係る電子機器の一例を示す概略構成図である。同図の携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303及び送話口1304を備えて構成されている。本発明の液晶装置は、表示品質の低下を最小限に抑え、OCBモードの初期転移動作を円滑に行うことができるので、表示品質に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
上記各実施の形態の液晶装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストの表示が可能になっている。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、上記各実施の形態では、画素スイッチング素子としてTFT素子を用いた場合について説明したが、TFT素子に代えてTFD素子(二端子型非線形素子)を用いてもよいのは勿論である。
すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、上記各実施の形態では、画素スイッチング素子としてTFT素子を用いた場合について説明したが、TFT素子に代えてTFD素子(二端子型非線形素子)を用いてもよいのは勿論である。
3a…走査線(配線)、3b…容量線(配線)、6a…データ線(配線)、10…第1基板、12…層間絶縁膜、13…薄膜トランジスタ(スイッチング素子)、15…画素電極、18…配向膜、18a…ラビング方向(配向規制方向)、20…第2基板、29…配向膜、29a…ラビング方向(配向規制方向)、30…開口部(貫通孔)、41…ゲート絶縁膜、50…液晶層、70,71,72…導電部材、100…液晶装置、130…開口部(貫通孔)、200…液晶装置、300…液晶装置、1300…携帯電話(電子機器)
Claims (9)
- 液晶層を挟持する一対の基板を備え、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた配線と、
前記配線と電気的に接続されたスイッチング素子と、
前記配線及び前記スイッチング素子を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた画素電極と、
前記絶縁膜の前記配線と平面的に重なる部分であって且つ前記画素電極とは平面的に重ならない部分に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔内に設けられた導電部材とを備えることを特徴とする液晶装置。 - 前記導電部材の厚みは前記貫通孔の深さと略等しいことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記導電部材は前記貫通孔内の内面を覆って前記絶縁膜の上面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
- 前記導電部材は導電性高分子材料によって形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶装置。
- 前記導電部材は前記画素電極と同一材料によって形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶装置。
- 前記スイッチング素子は薄膜トランジスタであり、
前記配線は前記スイッチング素子と電気的に接続された走査線又はデータ線、あるいは容量線であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の液晶装置。 - 前記導電部材は前記画素電極の辺端に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の液晶装置。
- 前記第1基板の前記液晶層側に配向膜が設けられており、前記配向膜の配向規制方向は、前記導電部材と対向する前記画素電極の辺端と交差する方向であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の液晶装置。
- 請求項1〜8のいずれかの項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
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JP2006349039A JP2008158386A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | 液晶装置及び電子機器 |
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