JP2008157278A - ショックアブソーバ - Google Patents

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JP2008157278A JP2006343611A JP2006343611A JP2008157278A JP 2008157278 A JP2008157278 A JP 2008157278A JP 2006343611 A JP2006343611 A JP 2006343611A JP 2006343611 A JP2006343611 A JP 2006343611A JP 2008157278 A JP2008157278 A JP 2008157278A
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Abstract

【課題】簡易な構成で所望の減衰力特性を得ることができるショックアブソーバを提供する。
【解決手段】ショックアブソーバ10は、シリンダ14と、ピストン16と、ピストンロッド18と、ピストンロッド18がシリンダ14に対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、2つの液室のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容するバルブ構造とを備える。バルブ構造は、ピストンロッド18の作動に伴いリーフバルブ44が撓み第1の支持部に支持された状態で第3の支持部とリーフバルブ44の他端部とが離間することで高圧室から低圧室への流路が広くなり、更にリーフバルブ44の撓みが大きくなり所定量に達した場合に第2の支持部に支持された状態でリーフバルブ44の一端部が第1の支持部より離間することで高圧室から低圧室への流路が更に広くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ショックアブソーバに関し、特に自動車のサスペンションに用いられるショックアブソーバのバルブ構造の技術に関する。
従来、シリンダ内を摺動するピストンの動作に伴って発生する作動液の流動抵抗により衝撃を緩衝するショックアブソーバが知られている。この種のショックアブソーバは、車輪にかかる荷重の増大によりピストンがシリンダ内を摺動する構成であり、シリンダ内を摺動するピストンに設けられた連通路が開閉されることにより、シリンダ内の上部液室又は下部液室に充填されている作動液がピストンの摺動方向と逆方向に移動する。そして、この際に発生する減衰力により衝撃が緩衝されることになる。
このようなショックアブソーバは、車両における乗り心地と車両の操縦安定性を考慮した減衰力特性が求められている。特許文献1には、ピストンの下側のバルブにおいて、ピストンの移動速度が低速域では第1のリーフバルブのみが弾性変形し、中速域では第1のリーフバルブが弾性変形するとともに第2のリーフバルブが弾性復元方向へ撓み、高速域では第1のリーフバルブが弾性変形するとともに第2のリーフバルブがスプリングシートへ弾性変形する油圧緩衝器が開示されている。
また、特許文献2には、中間液通路と下室との間の圧力差が設定圧以上大きくなるとリーフバルブが撓み、ハードバルブが開く構造を備えたショックアブソーバが開示されている。また、特許文献3には、ピストン速度の増大に伴い、それまで開いていた孔の一部がサブディスクバルブでふさがれることで、ピストン速度が高速域の場合に大きな減衰力を得ることができる液圧緩衝装置が開示されている。
特開平8−177932号公報 特開平11−218176号公報 特開平8−291836号公報
しかしながら、上述の各特許文献に記載の構成では、バルブの構成が複雑であり、部品や組立てにかかるコストの増大を招くとともに省スペース化が困難である。また、バルブの構成の複雑さに起因して所望の減衰力特性に対してばらつきが生じるおそれもある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で所望の減衰力特性を得ることができるショックアブソーバを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のショックアブソーバは、シリンダと、前記シリンダの内部を2つの液室に仕切るとともに、シリンダに対する相対移動に伴って前記2つの液室の容積を増減させるピストンと、前記ピストンが固定され該ピストンに外部からの力を伝達するピストンロッドと、前記ピストンロッドが前記シリンダに対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、前記2つの液室のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容するバルブ構造とを備える。前記バルブ構造は、可撓性を有するリーフバルブと、リーフバルブの一端部を支持する第1の支持部と、リーフバルブの他端部を前記第1の支持部とは反対側から支持する第2の支持部と、移動する作動液の圧力によりリーフバルブの他端部が撓んだ場合にリーフバルブの中間部分を支持する第3の支持部とを有する。ピストンロッドの作動に伴いリーフバルブが撓み前記第1の支持部に支持された状態で前記第3の支持部とリーフバルブの他端部とが離間することで高圧室から低圧室への流路が広くなり、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達した場合に前記第2の支持部に支持された状態でリーフバルブの一端部が前記第1の支持部より離間することで高圧室から低圧室への流路が更に広くなる。
この態様によると、ピストンロッドの作動に伴いリーフバルブの他端部が第1の支持部から離間することで高圧室から低圧室への流路が広くなり、作動液がそれまでよりも流れやすくなる。そのため、作動液の流動抵抗が低くなり減衰力の増加傾向がそれまでよりも緩和されるため、それまでの減衰力特性が変化する。また、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達すると、リーフバルブの中央部が第2の支持部により支持される。そして、リーフバルブの一端部は、第2の支持部を支点としてリーフバルブの他端部が撓む方向と反対方向に持ち上がり、第1の支持部から離間する。その結果、それまで作動液が流れていたリーフバルブの他端側の流路に加えて、リーフバルブの一端側に流路が新たに形成されるため、高圧室から低圧室への流路は更に広くなり、減衰力特性が更に変化する。
本発明の別の態様もまた、ショックアブソーバである。このショックアブソーバは、シリンダと、前記シリンダの内部を2つの液室に仕切るとともに、シリンダに対する相対移動に伴って前記2つの液室の容積を増減させるピストンと、前記ピストンが固定され該ピストンに外部からの力を伝達するピストンロッドと、前記ピストンロッドが前記シリンダに対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、前記2つの液室のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容するバルブ構造とを備える。前記ピストンは、前記2つの液室を連通するように設けられた第1の連通路と、該第1の連通路の内側に位置し前記2つの液室を連通するように設けられた第2の連通路とを有する。前記バルブ構造は、可撓性を有するリーフバルブと、リーフバルブの一端部を支持する第1の支持部と、リーフバルブの他端部を前記第1の支持部とは反対側から支持する第2の支持部と、移動する作動液の圧力によりリーフバルブの他端部が撓んだ場合にリーフバルブの中間部分を支持する第3の支持部とを有する。ピストンロッドの作動に伴い前記リーフバルブが撓み前記第1の支持部に支持された状態で前記第3の支持部とリーフバルブの他端部とが離間することで前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも一方を通過する作動液が増加し、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達した場合に前記第2の支持部に支持された状態でリーフバルブの一端部が前記第1の支持部より離間することで前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも他方を通過する作動液が増加する。
この態様によると、ピストンロッドの作動に伴いリーフバルブの他端部が第1の支持部から離間することで第1の連通路及び第2の連通路の少なくとも一方を通過する作動液が増加する。そのため、作動液の流動抵抗が低くなり減衰力の増加傾向がそれまでよりも緩和されるため、それまでの減衰力特性が変化する。また、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達すると、リーフバルブの中央部が第2の支持部により支持される。そして、リーフバルブの一端部は、第2の支持部を支点としてリーフバルブの他端部が撓む方向と反対方向に持ち上がり、第1の支持部から離間する。その結果、それまで作動液が流れていた第1の連通路及び第2の連通路の少なくとも一方の流路に加えて、第1の連通路及び第2の連通路の少なくとも他方の流路にも作動液が流入する。そのため、高圧室から低圧室への流路は更に広くなり、減衰力特性が更に変化する。
前記バルブ構造は、前記リーフバルブの一端部が前記第1の支持部と接触しているとともに他端部が前記第3の支持部と接触している状態で作動液が前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも一方に流入するように設けられたオリフィスを有してもよい。これにより、例えば、ピストンロッドの作動速度が低速でリーフバルブが第1の支持部及び第3の支持部と接触している状態の場合には、作動液がオリフィスを経由して高圧室から低圧室に移動するため、減衰力を大きくすることができる。
前記リーフバルブの一端部は、前記ピストンロッドの作動速度が所定の値より速くなった場合に、それまで離間していた第1の支持部に再度接触し作動液の流れを規制してもよい。これにより、広がっていた高圧室から低圧室への流路が狭まるので、減衰力の増加傾向がそれまでよりも大きくなり、それまでの減衰力特性が変化する。
前記リーフバルブは、円環状の板部材であり、前記第2の支持部は、前記ピストンの一方の端面に設けられた環状の凸部であるとともに前記第1の連通路の開口部と前記第2の連通路の開口部との間に設けられ、前記リーフバルブの内周縁と外周縁との中間部分を環状に支持してもよい。これにより、リーフバルブの一端部が第1の支持部と接触している場合には、リーフバルブと第1の支持部と第2の支持部とにより、第1の連通路の開口部又は第2の連通路の開口部がふさがれるため、開口部の一部がふさがれている場合と比較して安定した減衰力特性を得ることができる。
本発明によれば、簡易な構成で所望の減衰力特性を得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るショックアブソーバの概要を示す断面図である。本実施の形態に係るショックアブソーバは、自動車に好適に採用可能である。図1に示すように、ショックアブソーバ10は、筐体となる外筒12、内筒としてのシリンダ14、ピストン16、ピストンロッド18、ベースバルブ20等により構成されている。
外筒12は円筒形状であり、その内部には所定の粘性を有する作動液(作動油)が充填された円筒形状のシリンダ14が配設されている。また、シリンダ14は、ピストン16が図1に示す上下方向(A1,A2方向)に摺動自在に挿入されている。このピストン16には、シリンダ14の長手方向に延在するピストンロッド18が連結されている。ピストンロッド18は、ピストン16に外部からの力を伝達する。
シリンダ14は、ピストン16が挿入されることによりその内部が上部液室22と下部液室24とに仕切られている。また、シリンダ14の外径は外筒12の内径よりも小さく設定されており、したがって外筒12とシリンダ14との間には環状の空間部(以下、リザーバ室26という)が形成されている。なお、ピストン16には減衰力を発生させる減衰力発生機構として機能するバルブ構造が設けられているが、このバルブ構造については説明の便宜上後述する。
一方、外筒12の下端開口12aにはロアキャップ28が溶接等により固着されており、またシリンダ14の下端開口14aにはベースバルブ20が配設されている。ベースバルブ20は、下部液室24とリザーバ室26との間の作動液の流れを制御している。リザーバ室26の約下半分には作動液が充填されるとともに、リザーバ室26の約上半分には所定圧力のガス(例えば窒素ガス等)が封入されている。更に、シリンダ14の上部開口14bにはロッドガイド30が配設されている。ロッドガイド30の中央にはピストンロッド18が軸方向に摺動自在に移動する貫通孔32が形成されている。
また、リングナット34は、外筒12の上端開口12bに設けられたネジに係合して固定されている。リングナット34は、ロッドガイド30の上面に当接してロッドガイド30及びシリンダ14を保持する。更に、リングナット34とロッドガイド30との間には、ピストンロッド18の外周をシールするオイルシール36が装着されている。
ピストン16は、ピストンロッド18の下端に設けられた小径部18aに配設されている。具体的には、小径部18aの下端部にはネジ18bが形成されており、この小径部18aに対して、第1のピストンボディ38、ガイドシート40、リーフシート42、リーフバルブ44、第2のピストンボディ46、ワッシャ48を順次挿入し、最後に締め付けナット50によって締結して構成されている。
また、ピストン16の外壁には凹部が形成されており、この凹部内には環状のシール部材52が配設されている。シール部材52は、シリンダ14の内壁に摺動しながら作動液を封止する構成とされており、よってピストン16はシリンダ14内で液密に上下方向に摺動しうる構成とされている。
次に、ピストン16に設けられたバルブ構造について説明する。図2は、本実施の形態に係るピストンに設けられたバルブ構造近傍の一部断面図である。図3は、本実施の形態に係る第2のピストンボディの上面図である。
リーフバルブ44は、円環状の板部材であり可撓性を有する。第2のピストンボディ46は、中心にピストンロッド18の小径部18aが嵌合する貫通孔が設けられた円柱状の部材であり、その一方の端面46aには、リーフバルブ44の一端部44aを支持する環状の凸部46bと、環状の凸部46bより内周側に設けられた環状の凸部46cとが設けられている。
環状の凸部46cは、ピストンロッド18の作動の際に移動する作動液の圧力によりリーフバルブ44の他端部44bが撓んだ場合にリーフバルブ44の中間部分44cを支持する。また、ガイドシート40の外周部は、リーフバルブ44の他端部44bを環状の凸部46bとは反対側から支持する。
本実施の形態に係るバルブ構造は、リーフバルブ44と環状の凸部46bと環状の凸部46cとガイドシート40とを含んで構成される。また、バルブ構造は、ピストンロッド18がシリンダ14に対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、上部液室22および下部液室24のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容する。
また、第2のピストンボディ46は、一方の端面46aから他方の端面46dまで軸方向に貫通し上部液室22と下部液室24とを連通する、第1の連通路46eおよびその内周側に設けられた第2の連通路46fとが形成されている。なお、本実施の形態では、第1の連通路46e及び第2の連通路46fは、図3に示すように環状に等間隔に4個ずつ設けられているが、その配置や数は必要とする減衰力特性に応じて適宜選択すればよい。第2のピストンボディ46の一方の端面46aには、第1の連通路46eの上部が環状に連通する環状溝54と、第2の連通路46fの上部が環状に連通する環状溝56とが設けられている。
また、環状の凸部46bは、第1の連通路46eの開口部と第2の連通路46fの開口部との間に設けられ、リーフバルブ44の内周縁と外周縁との中間部分44cを環状に支持する。これにより、リーフバルブ44の一端部44aが環状の凸部46bと接触している場合には、リーフバルブ44と環状の凸部46bと環状の凸部46cとにより、第1の連通路46eの開口部がふさがれるため、開口部の一部がふさがれている場合と比較して安定した減衰力特性を得ることができる。
リーフバルブ44は、リーフシート42により径方向の位置決めがなされている。また、リーフバルブ44は、何ら力がかかっていない状態から僅かに変形した状態でガイドシート40と環状の凸部46bとの間に配設されている。そして、上部液室22と下部液室24との間に圧力差が生じていない状態では、リーフバルブ44は、その復元力によりガイドシート40と環状の凸部46bとの間の流路を閉塞している。
ガイドシート40の上方に配置されている第1のピストンボディ38は、中心にピストンロッド18の小径部18aが嵌合する貫通孔が設けられた円柱状の部材であり、その一方の端面38aには、リーフバルブ44の中間部分44cを支持する環状の凸部38bが設けられている。環状の凸部38bは、ピストンロッド18の作動の際に移動する作動液の圧力によりリーフバルブ44の一端部44aが撓んだ場合にリーフバルブ44の中間部分44cを支持する。
また、第1のピストンボディ38は、一方の端面38aから他方の端面38cまで軸方向に貫通した第3の連通路38dとが形成されている。なお、本実施の形態では、第3の連通路38dは、環状に等間隔に4個設けられているが(不図示)、その配置や数は必要とする減衰力特性に応じて適宜選択すればよい。第1のピストンボディ38の一方の端面38aには、第3の連通路38dの下部が環状に連通する環状溝58が設けられている。
また、本実施の形態に係る第2のピストンボディ46は、リーフバルブ44がその復元力によりガイドシート40と環状の凸部46bとの間の流路を閉塞している状態で、上部液室22と下部液室24との間の作動液の移動を許容するスリット46gが環状の凸部46bの上部に形成されている。スリット46gは、図3に示すように環状に等間隔に4個設けられているが、その配置や数は必要とする減衰力特性に応じて適宜選択すればよい。
次に、上述のようなバルブ構造をもつショックアブソーバ10の減衰力特性について説明する。図4は、本実施の形態に係るショックアブソーバが伸び方向に作動した場合の減衰力特性を示した図である。
はじめに、上部液室22と下部液室24とがほぼ同じ圧力の状態から矢印A2方向にピストンロッド18が作動し始め、ピストン速度vが低速の場合(v<vp1)について説明する。このような場合、ピストン16は、シリンダ14に対する相対移動に伴って上部液室22の容積を小さくし、下部液室24の容積を大きくするため、上部液室22の圧力は相対的に高くなり、下部液室24の圧力は相対的に低くなる。そして、図2に示すように、リーフバルブ44がガイドシート40と環状の凸部46bとの間の流路を閉塞している状態で、上部液室22にある作動液はスリット46gから主に第1の連通路46eを経由して下部液室24に移動する。
その際、スリット46gは流路を途中で絞ったいわゆるオリフィスとして機能するため、スリット46gを作動液が移動する際に大きな抵抗が発生する。そのため、図4の領域Iに示すピストン速度vの場合、急激に減衰力が増大する。なお、オリフィスではなくピストン作動初期にリーフバルブ44が微小変形して環状の凸部46bとの間に形成された微小隙間から作動液が流出する構成としてもよい。
次に、ピストン速度vが更に増大し中速の場合(vp1≦v<vp2)について説明する。図5は、伸び方向のピストン速度が中速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図5に示すように、ピストンロッド18の作動によるピストン速度の増大に伴いリーフバルブ44の上部液室22側の面にかかる圧力が増大するため、上部液室22と下部液室24との圧力差が所定値以上になったときにリーフバルブ44が開く。
この際、リーフバルブ44の一端部44aは環状の凸部46bに支持されているので、リーフバルブ44の他端部44bが撓むことでガイドシート40から離間し、高圧室である上部液室22から低圧室である下部液室24までの流路が広くなる。つまり、それまで流路として作動液が流入していたスリット46gに加えて、第2の連通路46fが作動液の移動を許容する流路となることで、作動液がそれまでよりも流れやすくなる。
その結果、作動液が移動する際の抵抗がそれまでよりも低くなる。そのため、図4の領域IIに示すピストン速度vの場合、減衰力の増加傾向が緩和され、それまでの減衰力特性が変化する。
次に、ピストン速度vが更に増大し中高速の場合(vp2≦v<vp3)について説明する。図6は、伸び方向のピストン速度が中高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図6に示すように、ピストンロッド18の作動によるピストン速度の増大に伴いリーフバルブ44の上部液室22側の面にかかる圧力が更に増大すると、リーフバルブ44の撓みがより大きくなる。
本実施の形態では、環状の凸部46cは、環状の凸部46bよりわずかに低く形成されている。そのため、リーフバルブ44の撓みが所定量に達した場合にリーフバルブ44の中間部分44cが環状の凸部46cに当接し支持される。そして、更にリーフバルブ44の他端部44bが撓んで下方に移動すると、リーフバルブ44の一端部44aは、環状の凸部46cを支点としてリーフバルブ44の他端部44bが撓む方向と反対方向に持ち上がり、環状の凸部46bから離間する。その結果、上部液室22から下部液室24への流路が更に広くなる。つまり、それまで第1の連通路46eを経由する作動液が流入していたスリット46gに加えて、リーフバルブ44の一端部44aと環状の凸部46bとの間に新たに流路が形成されるため、上部液室22から下部液室24への流路は更に広くなり、作動液がそれまでよりも更に流れやすくなる。
そのため、作動液が移動する際の抵抗がそれまでよりも更に低くなる。そのため、図4の領域IIIに示すピストン速度の場合、減衰力の増加傾向が領域IIに示すピストン速度の場合より更に緩和され、それまでの減衰力特性が変化する。
次に、ピストン速度vが更に増大し高速の場合(vp3≦v)について説明する。図7は、伸び方向のピストン速度が高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図7に示すように、ピストンロッド18の作動速度vが所定の値より速くなった場合、リーフバルブ44の上部液室22側の面に受ける作動液の流れにより、一度環状の凸部46bから離間したリーフバルブ44の一端部44aは、環状の凸部46cを支点として下方に撓み、環状の凸部46bに再度接触し作動液の流れを規制する。これにより、第1の連通路46eへの流路がそれまでより狭まる。そのため、それまで広がっていた上部液室22から下部液室24への流路が狭まるので、減衰力の増加傾向がそれまでよりも大きくなり、それまでの減衰力特性が変化する。
以下では、ショックアブソーバが縮み方向に作動した場合について説明する。図8は、縮み方向のピストン速度が低速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。なお、本実施の形態に係るショックアブソーバの減衰力特性は、伸び方向と縮み方向のいずれでも定性的には似ている。そのため、ショックアブソーバが縮み方向に作動した場合の減衰力特性は前述の図4を参照して説明する。
はじめに、上部液室22と下部液室24とがほぼ同じ圧力の状態から矢印A1方向にピストンロッド18が作動し始め、ピストン速度vが低速の場合(v<vp1)について説明する。このような場合、ピストン16は、シリンダ14に対する相対移動に伴って上部液室22の容積を大きくし、下部液室24の容積を小さくするため、上部液室22の圧力は相対的に低くなり、下部液室24の圧力は相対的に高くなる。そして、図8に示すように、リーフバルブ44がガイドシート40と環状の凸部46bとの間の流路を閉塞している状態で、下部液室24にある作動液はスリット46gから主に第1の連通路46eを経由して上部液室22に移動する。
その際、スリット46gは流路を途中で絞ったいわゆるオリフィスとして機能するため、スリット46gを作動液が移動する際に大きな抵抗が発生する。そのため、図4の領域Iに示すピストン速度vの場合、急激に減衰力が増大する。
次に、ピストン速度vが更に増大し中速の場合(vp1≦v<vp2)について説明する。図9は、縮み方向のピストン速度が中速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図9に示すように、ピストンロッド18の作動によるピストン速度の増大に伴いリーフバルブ44の下部液室24側の面にかかる圧力が増大するため、下部液室24と上部液室22との圧力差が所定値以上になったときにリーフバルブ44が開く。
この際、リーフバルブ44の他端部44bはガイドシート40に支持されているので、リーフバルブ44の一端部44aが撓むことで環状の凸部46bから離間し、高圧室である下部液室24から低圧室である上部液室22までの流路が広くなる。つまり、それまで流路として作動液が流入していたスリット46gに加えて、リーフバルブ44の一端部44aと環状の凸部46bとの間に新たに流路が形成されるため、第1の連通路46eに加え第2の連通路46fが作動液の移動を許容する流路となることで、作動液がそれまでよりも流れやすくなる。
その結果、作動液が移動する際の抵抗がそれまでよりも低くなる。そのため、図4の領域IIに示すピストン速度vの場合、減衰力の増加傾向が緩和され、それまでの減衰力特性が変化する。
次に、ピストン速度vが更に増大し中高速の場合(vp2≦v<vp3)について説明する。図10は、縮み方向のピストン速度が中高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図10に示すように、ピストンロッド18の作動によるピストン速度の増大に伴いリーフバルブ44の下部液室24側の面にかかる圧力が更に増大すると、リーフバルブ44の撓みがより大きくなる。
本実施の形態では、環状の凸部38bは、ピストン16が作動していない状態におけるリーフバルブ44に対してリーフバルブ44を支持するガイドシート40の下面よりわずかに低く、換言すればリーフバルブ44と隙間を有して形成されている。そのため、リーフバルブ44の撓みが所定量に達した場合にリーフバルブ44の中間部分44cが環状の凸部38bに当接し支持される。そして、更にリーフバルブ44の一端部44aが撓んで上方に移動すると、リーフバルブ44の他端部44bは、環状の凸部38bを支点としてリーフバルブ44の一端部44aが撓む方向と反対方向に下がり、ガイドシート40から離間する。その結果、下部液室24から上部液室22への流路が更に広くなる。つまり、それまで第1の連通路46eを経由した作動液が流入していたリーフバルブ44の一端部44aと環状の凸部46bとの間の流路に加えて、リーフバルブ44の他端部44bとガイドシート40との間を通過して第3の連通路38dを経由する新たな流路が形成されるため、下部液室24から上部液室22への流路は更に広くなり、作動液がそれまでよりも更に流れやすくなる。
そのため、作動液が移動する際の抵抗がそれまでよりも更に低くなる。そのため、図4の領域IIIに示すピストン速度の場合、減衰力の増加傾向が領域IIに示すピストン速度の場合より更に緩和され、それまでの減衰力特性が変化する。
次に、ピストン速度vが更に増大し高速の場合(vp3≦v)について説明する。図11は、縮み方向のピストン速度が高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。図11に示すように、ピストンロッド18の作動速度vが所定の値より速くなった場合、リーフバルブ44の下部液室24側の面に受ける作動液の流れにより、一度ガイドシート40から離間したリーフバルブ44の他端部44bは、環状の凸部38bを支点として上方に撓み、ガイドシート40の下面に再度接触し作動液の流れを規制する。これにより、第3の連通路38dへの流路が遮断される。そのため、それまで広がっていた下部液室24から上部液室22への流路が狭まるので、減衰力の増加傾向がそれまでよりも大きくなり、それまでの減衰力特性が変化する。
上述のように、本実施の形態に係るショックアブソーバ10は、リーフバルブ44の変形に応じてリーフバルブ44を支持する箇所が変わるようにリーフバルブや支持部を配置することで、ピストン16の移動速度に応じた減衰力特性を複数の段階で変化させることができる。つまり、主としてリーフバルブ44の開閉動作という簡易な構成により、ピストン速度に応じた複数の減衰力特性を持つショックアブソーバを提供することができる。
具体的には、本実施の形態に係るショックアブソーバ10は、ピストン速度が低速の場合は減衰力を急激に増加させることで操縦安定性の向上を図り、ピストン速度が中速の場合は減衰力の変動を抑えることで乗り心地の向上を図り、車輪から大きな入力がショックアブソーバに加わったようなピストン速度が高速な場合は減衰力を更に増加させることで、車輪から車両本体に伝わる入力を低減することができる。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施の形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
例えば、リーフバルブ44を支持する環状の凸部46b、環状の凸部46c、環状の凸部38b、ガイドシート40等の相対的な配置は、ショックアブソーバ10の機能を発揮し得るのであれば、適宜変更してもよい。
本実施の形態に係るショックアブソーバの概要を示す断面図である。 本実施の形態に係るピストンに設けられたバルブ構造近傍の一部断面図である。 本実施の形態に係る第2のピストンボディの上面図である。 本実施の形態に係るショックアブソーバが伸び方向に作動した場合の減衰力特性を示した図である。 伸び方向のピストン速度が中速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 伸び方向のピストン速度が中高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 伸び方向のピストン速度が高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 縮み方向のピストン速度が低速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 縮み方向のピストン速度が中速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 縮み方向のピストン速度が中高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。 縮み方向のピストン速度が高速の場合のリーフバルブの作動状態を示す断面図である。
符号の説明
10 ショックアブソーバ、 12 外筒、 14 シリンダ、 16 ピストン、 18 ピストンロッド、 22 上部液室、 24 下部液室、 38 第1のピストンボディ、 38b 環状の凸部、 38d 第3の連通路、 40 ガイドシート、 44 リーフバルブ、 44a 一端部、 44b 他端部、 46 第2のピストンボディ、 46b 環状の凸部、 46c 環状の凸部、 46e 第1の連通路、 46f 第2の連通路、 46g スリット。

Claims (5)

  1. シリンダと、
    前記シリンダの内部を2つの液室に仕切るとともに、シリンダに対する相対移動に伴って前記2つの液室の容積を増減させるピストンと、
    前記ピストンが固定され該ピストンに外部からの力を伝達するピストンロッドと、
    前記ピストンロッドが前記シリンダに対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、前記2つの液室のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容するバルブ構造とを備え、
    前記バルブ構造は、
    可撓性を有するリーフバルブと、リーフバルブの一端部を支持する第1の支持部と、リーフバルブの他端部を前記第1の支持部とは反対側から支持する第2の支持部と、移動する作動液の圧力によりリーフバルブの他端部が撓んだ場合にリーフバルブの中間部分を支持する第3の支持部とを有し、
    ピストンロッドの作動に伴いリーフバルブが撓み前記第1の支持部に支持された状態で前記第3の支持部とリーフバルブの他端部とが離間することで高圧室から低圧室への流路が広くなり、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達した場合に前記第2の支持部に支持された状態でリーフバルブの一端部が前記第1の支持部より離間することで高圧室から低圧室への流路が更に広くなる、
    ことを特徴とするショックアブソーバ。
  2. シリンダと、
    前記シリンダの内部を2つの液室に仕切るとともに、シリンダに対する相対移動に伴って前記2つの液室の容積を増減させるピストンと、
    前記ピストンが固定され該ピストンに外部からの力を伝達するピストンロッドと、
    前記ピストンロッドが前記シリンダに対して伸長させられる状態と収縮させられる状態との両方において、前記2つの液室のうち圧力が高い高圧室から圧力が低い低圧室への作動液の流れを許容するバルブ構造とを備え、
    前記ピストンは、前記2つの液室を連通するように設けられた第1の連通路と、該第1の連通路の内側に位置し前記2つの液室を連通するように設けられた第2の連通路とを有し、
    前記バルブ構造は、
    可撓性を有するリーフバルブと、リーフバルブの一端部を支持する第1の支持部と、リーフバルブの他端部を前記第1の支持部とは反対側から支持する第2の支持部と、移動する作動液の圧力によりリーフバルブの他端部が撓んだ場合にリーフバルブの中間部分を支持する第3の支持部とを有し、
    ピストンロッドの作動に伴い前記リーフバルブが撓み前記第1の支持部に支持された状態で前記第3の支持部とリーフバルブの他端部とが離間することで前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも一方を通過する作動液が増加し、更にリーフバルブの撓みが大きくなり所定量に達した場合に前記第2の支持部に支持された状態でリーフバルブの一端部が前記第1の支持部より離間することで前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも他方を通過する作動液が増加する、
    ことを特徴とするショックアブソーバ。
  3. 前記バルブ構造は、
    前記リーフバルブの一端部が前記第1の支持部と接触しているとともに他端部が前記第3の支持部と接触している状態で作動液が前記第1の連通路及び前記第2の連通路の少なくとも一方に流入するように設けられたオリフィスを有することを特徴とする請求項2に記載のショックアブソーバ。
  4. 前記リーフバルブの一端部は、前記ピストンロッドの作動速度が所定の値より速くなった場合に、それまで離間していた第1の支持部に再度接触し作動液の流れを規制することを特徴とする請求項2または3に記載のショックアブソーバ。
  5. 前記リーフバルブは、円環状の板部材であり、
    前記第2の支持部は、前記ピストンの一方の端面に設けられた環状の凸部であるとともに前記第1の連通路の開口部と前記第2の連通路の開口部との間に設けられ、前記リーフバルブの内周縁と外周縁との中間部分を環状に支持することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のショックアブソーバ。
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