JP2008156666A - 銅合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】セレンの含有量が検出限界未満であり、ビスマスの使用量を抑え、かつ、鉛の含有量が不純物として混入しうる範囲であり、鋳造性や機械的性質が従来の鉛使用合金CAC406と同等程度であって、水道用部材に適した銅合金を提供する。
【解決手段】スズを2.0重量%以上5.9重量%以下、ニッケルを3.1重量%以上5.0重量%以下、亜鉛を5.0重量%以上10.1重量%以下、ビスマスを0.5重量%以上2.0重量%以下、リンを0.009重量%以上0.15重量%以下含有し、セレンの含有量が検出限界未満であり、鉛の含有量が0.2重量%以下であり、シリコンの含有量が0.01重量%以下であり、残分が銅と不純物である銅合金を製造する。
【選択図】なし

Description

この発明は、鉛の使用量を抑えた銅合金に関し、その銅合金を用いた水道用部材に関する。
従来、水道用資機材や給水装置の部品に用いられてきた鋳造溶製銅合金CAC406は鉛を4.0〜6.0重量%含んでおり、水道水への鉛の溶出が多く見られた。そのため、有害な鉛の溶出量を削減するために、鉛の含有量を低下させた、又は鉛を使用しない鉛フリー銅合金の製造が検討されている。
ただし、鉛の含有量を低下させたり、鉛を用いなかったりすると、銅合金の鋳造性や切削性、耐圧性が低下し、例えばバルブに用いた場合に水漏れが発生するなどの要因となっている。そこで、単に鉛の含有量を削減するだけではなく、銅合金としての機能の低下を抑えた合金が検討されている。
このような合金として、例えば、特許文献1に記載の、スズや亜鉛、リンとともに、鉛の代わりにビスマスやセレンを添加して伸びなどの機械的性質や切削性を高めた銅合金がある。この銅合金は、錫を2.8〜5.0重量%、ビスマスを0.4〜3.0重量%、セレンを0.35重量%以下、亜鉛を5.0〜10.0重量%、ニッケルを3.0重量%以下含有し、残分が銅からなる銅基合金である。
WO 2004/022804 A1
しかしながら、セレンには毒性があるため、セレンを多く含む合金は水道用部材として用いるには不適切であり、含有量は検出限界未満であることが求められた。しかし、特許文献1に記載の合金で、セレンの含有量を0%とすると、特許文献1(表7,供試品No.1〜7)に記載のように、鋳造欠陥を生じるなど物性に問題を生じることがあった。この傾向は特にビスマスの含有量が少ない場合に顕著であった。
一方で、ビスマスは偏析の原因となりうるので、セレンを用いない代わりに、ビスマスを大量に含む銅合金を用いて水道用部材を作ると、部材内で成分が偏る可能性が高くなってしまうという問題があるので、出来るだけビスマスの含有量を低下させることが望ましかった。
そこでこの発明は、スズ、亜鉛、ニッケル、ビスマス、リンを含有する水道用部材用の銅合金において、鉛の含有量が不純物として混入しうる範囲で、セレンを用いずに、かつ、ビスマスの使用量を抑えて、鋳造性や機械的性質を従来の鉛使用合金CAC406と同等以上にすることを目的とする。
この発明は、スズ、亜鉛、ニッケル、ビスマス、リンを含む銅合金において、鉛の含有量を0.2重量%以下にし、セレンの含有量を検出限界未満としつつ、ビスマスの含有量を0.5重量%以上2.0重量%以下として、ニッケルの含有量を3.1重量%以上5.0重量%以下とすることにより、上記の課題を解決したのである。
鉛、セレン及びビスマスの含有量を上記のように抑えることで鋳造性及び機械的性質が低下するが、ニッケルを3.1重量%以上含有させることで、その欠点を補うことができ、水道用部材の製造に適した銅合金とすることができる。
この発明にかかる銅合金を用いて水道用部材を製造すると、鋳造性及び機械的性質が良好であり、成分の偏在が起こりにくいので、良好な製品が得られる。また、その水道用部材から水中に有毒な鉛とセレンが溶出することを抑制できる。
以下、この発明について詳細に説明する。この発明は、ニッケル、スズ、亜鉛、ビスマス、リンを所定量含有し、鉛とシリコンの含有量が所定量以下であり、セレンの含有量が検出限界未満である銅合金である。まず、この銅合金を構成する各々の元素について説明する。
上記銅合金は、スズを2.0重量%以上含むことが必要であり、2.4重量%以上であるとより好ましい。スズの含有量が上がるほど銅合金の引張強さは増加し、伸びは低下する傾向にある機械的性質の観点から、スズの含有量が2.0重量%未満であると、安定した引張強さを得られなくなる場合がある。一方で、スズの含有量は5.9重量%以下である必要があり、5.2重量%以下であると好ましい。5.9重量%を超えると、銅合金の伸びが低下し過ぎる場合がある。なお、この発明において機械的性質とは、引張強度や伸びを意味し、機械的性質がよいとは、引張強度が高く、伸びが高いことをいう。
上記銅合金は、亜鉛の含有量が5.0重量%以上である必要があり、6.0重量%以上であるとより好ましい。一方で、10.1重量%以下である必要がある。亜鉛には脱酸効果があり、湯流れ性を向上させ、機械的性質を安定にすることができる。上記の上限と下限の間となる含有量では、上記銅合金はほぼ同様の強度を示し、機械的性質への影響は小さいが、亜鉛の含有量が5.0重量%未満であると、上記銅合金の湯流れ性が不十分なものとなってしまうだけでなく、微小空隙が生じる場合がある。一方で、10.1重量%を超えると、伸びの低下が無視できなくなり、また、製造過程において、亜鉛滓により鋳造欠陥が増加する可能性が高まり、さらに、亜鉛の浸出基準値を超えて亜鉛の浸出量が多くなると、脱亜鉛腐食の危険性が高まるとともに、水道用部材として使用できなくなる。
上記銅合金は、リンの含有量が0.009重量%以上である必要があり、0.017重量%以上であると好ましい。一方、リンの含有量は0.15重量%以下である必要があり、0.10重量%以下であるとより好ましい。リンは、溶解や鋳造の際に脱酸剤として作用して、鋳造時の湯流れ性や、鋳物の健全性を高める効果がある。0.009重量%未満であるとその効果が不十分であり、鋳造欠陥等が生じやすくなるおそれが高まってしまう。一方で、0.15重量%を超えると、リンが鋳型の水分と反応して鋳造欠陥の要因となるおそれが高まる。
上記銅合金は、ビスマスの含有量が0.5重量%以上である必要がある。一方で、2.0重量%以下である必要がある。ビスマスは、実用範囲内のマトリックスに固溶せず、結晶粒界や粒内に存在するため、青銅鋳物に特有の凝固形態による鋳造欠陥の発生を抑制でき、また、合金内に含まれていると切削加工性を向上させる効果を有する。ビスマスの含有量が0.5重量%未満であるとその効果が不十分となる可能性がある。一方で、ビスマスが増加することにより引張強さは低下しないものの、伸びは低下する傾向にあり、2.0重量%を超えて過剰であると、伸びが低下しやすくなってしまう。
ただし、ビスマスが多すぎると偏析が起こりやすくなるため、このビスマスの含有量は、1.1重量%未満であると好ましく、1.0重量%以下であるとより好ましい。この発明にかかる銅合金は、下記の量のニッケルが存在することで、ビスマスがこのような量であっても、鋳造欠陥や微小空隙の発生を抑え、機械的性質を従来の鉛含有合金と同等程度に維持することができる。
上記銅合金は、ニッケルの含有量が3.1重量%以上である必要がある。この発明にかかる銅合金は、セレンやビスマスの含有量を抑えたことで発生しやすくなる鋳造欠陥や微小空隙を、十分な量のニッケルを含有させることで解決している。3.1重量%以上のニッケルを含有すればこの効果が十分に発揮されるが、3.1重量%未満であると、その鋳造欠陥や微小空隙の発生を抑える効果が不十分となる可能性がある。また、機械的性質の低下も無視できなくなる場合がある。一方で、ニッケルの含有量は5.0重量%以下である必要がある。5.0重量%を上回ると伸びが低下しすぎてしまったり、切削性が悪化したり、鋳造欠陥が生じやすくなってしまったりするためである。ニッケルは、主成分である銅と全率固溶体を形成し、結晶構造は銅と同じ面心立方格子からなるので、基材ベースの一方を担うのに適当である。また、凝固の際に固液界面での液相側のスズ濃度を緩和する効果が大きく、偏析を防止すると共に、鋳造欠陥を低減でき、耐圧性を向上する効果がある。さらに、スズ、リンと化合物を形成し、デンドライト間隙に生成するため、微小空隙を埋める働きをするとともに、その化合物がチップブレーカーの役割を果たし、細かく分断したせん断型切削粉を形成する役割がある。このような性質により、鉛、セレン、及びビスマスの含有量を抑制することによる性質の欠陥を補うことができる。
上記銅合金が含む鉛の量は、0.2重量%以下である必要があり、その中でも含有量が低いほどより好ましい。鉛は人体への影響が大きく、この発明にかかる水道用部材として用いた場合に水道水に浸出する量を出来るだけ抑える必要がある。0.2重量%を超えると、JWWA Z 108−浸出試験方法による浸出基準値を満足することが難しくなってしまう。また、鉛の含有量が増加しすぎると、引張強さや伸びが低下しすぎたり、鋳造欠陥等が生じてしまったりするおそれもある。なお、鉛の含有量は0であるのが最も好ましいが、資源の有効利用のためにリサイクル材料を用いて銅合金を作製する際に含有量が0となるのは現実的ではない。
上記銅合金が含むシリコンの量は、0.01重量%未満であると好ましい。シリコンは、銅合金の湯流れ性を向上させる効果がある反面、凝固する際に羊毛状の酸化シリコンを生成し、溶湯の補給性を低下させるだけでなく、固液界面での液相側のスズ濃度を高めてしまう効果がある。これにより、デンドライト間又は粒界に多くの微細な鋳造欠陥を発生させることを助長させ、水漏れの原因ともなる。さらに、含有していると上記銅合金の伸びを著しく低下させる。0.01重量%以上含むとこれらの不利な効果が無視できなくなってしまう。このため、出来るだけシリコンを含有しない方がよく、含有量が0.01重量%未満であればそれらの不利な効果はほとんど生じないで済む。
上記の銅合金が含むセレンの量は、検出限界未満である必要がある。セレンは人体の必須成分であるが、一方で、大量に摂取すると毒性がある。このため、水道用部材の材料としてその銅合金を用いた場合、水中に溶出することで人体に与える毒性が無視できない場合がある。従って、セレンは少なければ少ないほど好ましく、この発明にかかる銅合金ではセレンが検出限界未満であることが必要であり、セレンが水中にまったく溶出しないことが好ましい。なお、この発明において検出限界とは、サーモエレクトロン社製:IRIS Advantage RPで検出できない値をいい、具体的には0.001重量%未満であると検出されない。
上記銅合金の、上記した以外の成分、すなわち残分は銅である。ただし、上記銅合金は、上記の成分と残分である銅以外に、不純物を含んでもよい。この不純物とは、上記銅合金を製造するにあたり、例えば、環境に配慮してリサイクル材料を利用する場合に、必然的に含まれるものである。もちろん、不純物の含有量が多いほど、目的とする性質を達成できなくなるおそれが高くなるため、不純物の含有量は少ないほど好ましい。ただし上記の通り、セレンの含有量は検出限界未満である必要がある。なお、ここで不純物とは、上記に列挙した以外の元素で、その含有量が1重量%未満であるものをいう。
この発明にかかる銅合金が含有する可能性がある不純物としては、例えば、鉄とアルミニウムとが挙げられる。いずれも、合金の製造工程において、他の合金を製造する際に装置に付着した成分により、混入するおそれがある。鉄は、新材配合時に混入すると、ハードスポット、すなわち、異物として現れるため、機械的性質の劣化や、切削性を低下させる原因となる。混入しうる量は、0.1重量%以上0.5重量%以下である場合が多く、0.3重量%以下であることが好ましい。アルミニウムは、上記のシリコンと同様の問題が生じる。すなわち、アルミニウム酸化物が溶湯中に懸濁することにより湯流れ性が悪化し、微細空隙が発生し、機械的性質と耐圧性とを低下させてしまう。これを抑制するため、0.01重量%以下であると好ましく、0.005重量%以下であるとより好ましい。
なお、この発明において規定するそれぞれの成分の重量混合比は、製造段階での原料の混合比ではなく、原料を溶融して得られた合金における成分の重量混合比である。また、上記したそれぞれの成分の重量混合比は、それぞれの成分と残分である銅とを合わせて100重量%となる値である。上記の元素成分を含む銅合金は、一般的な銅合金の製造方法で得ることができ、この銅合金からなる銅合金系水道用部材は、上記銅合金を用いて一般的な鋳造方法により青銅鋳物として製造することが出来る。その方法としては、例えば高周波誘導溶解炉により溶解させる方法が挙げられる。
なお、一般に青銅鋳物は、凝固温度範囲が広いため、マッシー型の凝固形態となる。一般に、鉛を含まない青銅鋳物は、デンドライト間隙に微細な収縮巣を発生させやすい。この性質は水道用部材に使用する材料として耐圧性を阻害し、水漏れが発生する要因となる。特に厚肉品であると、鋳造時の冷却速度が遅くなるためにこの傾向が顕著である。これに対して、鉛を多く含有している銅合金では、鉛が上記のデンドライト間隙に凝集し、微小空隙の発生を抑制する役割を果たしている。この発明にかかる銅合金では、この鉛の役割を、量を抑制したビスマスと、ニッケル−スズ化合物、ニッケル−リン化合物とによって補うことができる。すなわち、ニッケル及びビスマスを所定量添加することで、肉厚中心部に発生する微細な微小空隙を抑制できる。さらに、リンを所定量添加することでガス欠陥となる溶湯中の酸素と反応してPを形成させて、溶湯を健全化して、微小空隙の発生を抑制できる。なお、シリコンの含有量が多いと、ニッケル等によっても補えないほどの鋳造欠陥が生じる。
この発明にかかる銅合金を用いて水道用部材を製造すると、鉛を多く含有する銅合金CAC406による水道用部材と比べても、良好な湯流れ性、機械的性質、鋳造欠陥の少なさ、浸出特性、切削性等を発揮する。また、鉛の浸出が少なく、セレンの溶出を0に近づけた、安全性の高いものとなる。
具体的には、切削性としては、従来のCAC406合金を比較材として用いた場合の被削性係数が少なくとも70以上であり、配合比によってはより高い被削性係数を示すものである。
ここで被削性係数は、バイトにかかる主分力:P1(周方向の力)、送分力:P2(送り方向の力)、背分力:P3(工具の軸方向の力)の3つの応力を佐藤工機(株)製:AST式切削工具動力計AST−TTHにより測定し、また、比較材であるCAC406についても同様に3つの応力を測定して、下記式(1)により算出した。なお、下記式(1)中の「3合力」とは、下記式(2)により算出される値をいう。
(被削性係数)=(比較材の3合力)/(各々の材料の3合力)×100 (1)
(3合力)={(主分力)+(送分力)+(背分力)1/2 (2)
これらの数値を満たす上に、切削形状は渦巻き状、折れた切削粉状、又は剪断型切り屑状となり、直線やヘリカル巻、円筒巻きの形状にはならずに済む。
また、この発明にかかる銅合金の機械的性質は、JIS Z 2241に従って測定される引張強さと伸びとが、従来の鉛含有銅合金であるCAC406とほぼ同等以上であるので好ましい。具体的には、引張強さが195MPa以上であり、伸びが15%以上となる。
さらに、鋳造欠陥については、JIS Z 2343の浸透探傷試験において、肉厚中心部に欠陥指示模様が確認されず、従来の鉛含有銅合金であるCAC406と同様の鋳造方法での生産が可能である。
さらにまた、浸出特性等についても、JWWA Z 108−浸出試験方法−及びJWWA Z 110−浸出液−での分析方法で、鉛が0.001mg/l以下、亜鉛が0.1mg/l以下、銅が0.1mg/l以下、カドミウムが0.001mg/l以下、色度0.5以下、濁度0.2以下、味及び臭気については異常無いことが基準として定められているが、この発明にかかる銅合金はこれらの基準を満たしている。
この発明にかかる銅合金を用いた銅合金系水道用部材とは、水道用施設や給水装置に使用される資機材及び給水器具などを主体とし、その他鉛害により使用する合金が制限される部材などをいう。具体的には、バルブ類では、仕切弁、補修弁、逆止弁、玉型弁、電磁弁、止水栓、サドル弁、吸水管バルブなどに使用される、管、弁体、軸受などが挙げられ、量水器では量水器ケース本体が挙げられ、その他には、配管用継手、給止水栓金具、ポンプ部品などが挙げられる。
以下、実施例を挙げてこの発明をより具体的に説明する。それぞれの材料を混合し、高周波誘導溶解炉にて溶製した後、CO鋳型により鋳造して表1に記載の配合率となる各々の例で供試材を作製した。また、別途比較例として、従来から用いられていた鉛入りの青銅材料CAC406を基準材として用い、物性の比較対象とした。なお、ここで用いるCAC406の組成は、ニッケル0.2重量%、スズ5.8重量%、亜鉛5.1重量%、リン0.021重量%、鉛5.4重量%である。
また、いずれの実施例、比較例においても、鉛、シリコン、セレンは材料としては含有させず、製造後の合金において、製造工程中で混入したと考えられる含有量を、マルチ型ICP発光分光分析装置(サーモエレクトロン社製:IRIS Advantage RP)により測定したところ、いずれの例においても鉛の含有量は0.001重量%以下であり、シリコンの含有量は0.01重量%以下であり、セレンは検出されなかった。なお、この検出装置はセレンが0.001重量%以上含まれていれば検出可能であるものである。また、それぞれの成分の含有量も、マルチ型ICP発光分光分析装置(サーモエレクトロン社製:IRIS Advantage RP)により測定したものである。
それぞれの得られた銅合金及びCAC406について、下記の試験を行った。
<機械的性質試験>
各々の合金について、JIS H 5120に記載のA号供試材を鋳造した後、JIS Z 2201に従って4号試験片に機械加工を行い、JIS Z 2241に従って引張強さと伸びとを測定した。その結果の数値と、機械的性質としての評価を表1に示す。基準材である比較例と比べて、引張強さ(MPa)と伸び(%)のどちらも優れていれば「○」と判定し、どちらかが基準材より劣っていれば「×」と判定する。なお、比較材の引張強さの最低条件は195MPaであり、伸びの最低条件は15%である。
<階段状供試材における浸透探傷試験>
各々の合金について、肉厚を20、30、40mmの3段階に変化させた図1に示すように押湯効果を少なくし鋳造欠陥を生じやすい形状とした階段状のCO鋳型を作製して、これにより得られた鋳物の中心部を切断し、JIS Z 2343 浸透探傷試験に従って試験を行い、この浸透探傷試験における鋳造欠陥及び微小空隙の発生状況を観察した。その判定した結果をそれぞれの表に示す。判定方法は、肉厚中心部に欠陥指示模様が確認されず、基準材となるJIS材CAC406と同様の鋳造方法での生産が可能であるものを(○)とし、肉厚中心部に欠陥指示模様が確認されるものの、同様の鋳造方法での生産が可能であるものを合格(△)とした。ただしこれは、鋳造品形状や鋳造条件によっては欠陥が発生する場合があるため、製造方法等を考慮すべきものである。また、その他の結果のものを(×)とした。その結果を表1に示す。また、断面の写真を図2に示す。また、実施例1−2,3−2で観測される赤色発光部は、観察面以外に残存した浸透液が発色したものであり、鋳造欠陥とは無関係なものである。
<切削性試験>
それぞれの銅合金について、超硬の工具を使用し、切削速度を400(m/min)とし、切込量1.0mm、送り量0.1mm/revで旋盤加工を行い、その影響を調査した。評価方法は、基準材の合金(CAC406)の被削性係数を100として、各合金の被削性係数を比較した。表1にこの結果を示す。
被削性係数の測定においては、上記式(1)及び(2)を用い、AST式切削工具動力計として、佐藤工機(株)製:AST−TTHを用い、各々の実施例の3つの応力(3合力)と、基準材であるCAC406の3つの応力(3合力)を測定して計算した。この被削性係数が70以上であれば良好と判定した。被削性係数が70未満となったものは、切削抵抗が大きく、切削速度を遅くしなければならず、生産性が低下した。
<浸出試験>
日本水道協会制定のJWWA Z 108−浸出試験方法−及びJWWA Z 110−浸出液−の分析方法に従い、試験を行った。その結果得られた総合評価を表1に示す。試験片と浸出溶液の接触面積比は、1000cm/リットルで実施した。その結果、鉛が0.001mg/l以下、亜鉛が0.1mg/l以下、銅が0.1mg/l以下、カドミウムが0.001mg/l以下、色度0.5以下、濁度0.2以下という基準を満たし、味及び臭気については異常無いものを○と判定し、条件を満たさない比較例1−1乃至1−4、比較例2−1、比較例4−2、基準材(CAC406)を×と判定した。
(ビスマス及びニッケル含有量についての検討)
表1に列挙したそれぞれの実施例及び比較例は、ニッケルの含有量によって区分している。比較例1−1乃至1−4はニッケルを材料としては含有させず検出されないものである。また、比較例2−1と、実施例1−1〜1−3はニッケルが3.1〜3.2重量%であり、比較例3−1,3−2と、実施例2−1〜2−3はニッケルが4.0〜4.2重量%である。また、実施例3−1〜3−4は、ニッケルが4.9〜5.0重量%であり、比較例4−1,4−2はニッケルが5.9〜6.0重量%である。
ニッケルが0重量%であると、いずれの場合も浸透探傷試験及び浸出試験で問題が生じ、特にビスマスの含有量が低いと×の評価となった(比較例1−1〜1−4)。また、ビスマスを材料としては含有させず検出されないものであると、いずれの場合も切削性に問題が生じる結果となった(比較例2−1、比較例3−1)。
しかし、ビスマスが0.5〜2.0重量%であれば、ニッケルの含有量を3.1重量%以上とすることで、必要とする鋳造性を得ることができた(実施例1、実施例2,実施例3)。
また、ニッケルが4.1重量%であると、ビスマスが検出限界未満でも浸透探傷試験の結果が良好であるので(比較例3−1)、適当な量のニッケルを含有することで、鋳造欠陥の発生を抑制することができることが示された。
一方で、ニッケルが5.0重量%を超えると、機械的性質及び切削性が悪化したり(比較例4−1)、機械的性質及び浸透探傷試験で問題が生じて浸出性能が悪化したり(比較例4−2)してしまった。
押湯効果の少ない階段状の鋳型の形状図 階段状供試材の浸透探傷試験結果を示す各々の断面図 階段状供試材の浸透探傷試験結果を示す各々の断面図

Claims (3)

  1. スズを2.0重量%以上5.9重量%以下、ニッケルを3.1重量%以上5.0重量%以下、亜鉛を5.0重量%以上10.1重量%以下、ビスマスを0.5重量%以上2.0重量%以下、リンを0.009重量%以上0.15重量%以下含有し、セレンの含有量が検出限界未満であり、鉛の含有量が0.2重量%以下であり、シリコンの含有量が0.01重量%以下であり、残分が銅と不純物である銅合金。
  2. ビスマスの含有量が0.5重量%以上、1.1重量%未満である、請求項1に記載の銅合金。
  3. 請求項1又は2に記載の銅合金を用いた、銅合金系水道用部材。
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