JP2008156285A - 慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤 - Google Patents

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Satoko Otsuka
聡子 大塚
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Abstract

【課題】 慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)
【化5】
Figure 2008156285

(式中、mは0〜4の整数を表し、R、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキルなどを表し、Rは低級アルコキシなどを表し、Rは水素原子などを表し、Yは4−カルボキシフェニルなどを表す)で表される含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤に関する。
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、アデノシン3’,5’−サイクリックモノホスフェート(cAMP)またはグアノシン3’,5’−サイクリックモノホスフェート(cGMP)を分解し、その細胞内濃度を調節している。PDEのアイソザイムのひとつであるPDE−IVは、単球、マクロファージ、B細胞、T細胞、好酸球のような炎症性細胞やケラチノサイトに発現しており(「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Br.J.Pharmacol.)」、1997年、第121巻、p.221、「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)」、1985年、第84巻、p.477、「ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J.Pharmacol.Exp.Ther.)」、1994年、第271巻、p.1167、「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)」、1998年、第110巻、p.287)、cAMPまたはcGMPの濃度を調節し、炎症性細胞の炎症部位への浸潤や活性化、ケラチノサイトの活性化など、炎症反応の制御に重要な役割を果たしている(「モレキュラー・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)」、1995年、第47巻、p.1164、「クリニカル・エクスペリメンタル・アレルギー(Clin.Exp.Allergy)」、1995年、第25巻、p.616)。
一方、慢性皮膚疾患は、皮膚病変部への炎症性細胞の浸潤や、皮膚病変部での炎症細胞の活性化、ケラチノサイトの活性化などにより惹起される、または悪化すると考えられている(「ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジー(J.Allergy Clin.Immnol.)」、2001年、第107巻、p.871)。したがって、PDE−IV阻害剤は慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤として期待されている。
例えば、動物モデルにおいて、PDE−IV阻害剤であるSB207499やAWD12−281は皮膚遅延型アレルギー反応を抑制することが報告されている(「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)」、2002年、第446巻、p.195)。また、SB207499は慢性皮膚炎モデルにおいて治療効果を示すことが報告されている(「ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J.Pharmacol.Exp.Ther.)」、1998年、第287巻、p.705)。
従来、含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩をPDE−IV阻害剤として用いることが知られている(特許文献1、2参照)。
アイソザイム選択的なPDE−IV阻害剤が、炎症の治療において、また気管支拡張薬として有用であることが知られているが、これまでに知られているPDE−IV阻害剤は、例えば、抗鬱作用や催吐作用をも発現すると報告されている[CNS ドラッグ・レビューズ(CNS Drug Reviews)、2001年、第7巻、p.387;カレント・ファーマシューティカル・デザイン(Current Pharmaceutical Design)、2002年、第8巻、p.1255]。PDE−IVは、炎症性細胞や気管支平滑筋のみならず、中枢神経系においても分布することが知られていることから[ジーン(Gene)、1994年、第149巻、p.237]、これらPDE−IV阻害剤の多様な薬理作用は、中枢のまたは末梢のPDE−IVを阻害することにより、発現したと考えられる。
末梢における疾患の治療を目的とする薬物にとっては、中枢神経系に対する薬理作用は、少なからず副作用に繋がる懸念があり、末梢選択的なPDE−IV阻害剤が望まれる。
国際公開第98/22455号パンフレット 国際公開第00/14085号パンフレット
本発明の目的は、含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(8)に関する。
(1) 一般式(I)
Figure 2008156285
{式中、mは0〜4の整数を表し、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキルを表すか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が該隣接する2つの炭素原子と一緒になって飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が一緒になって結合を表し(既に存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)、Rは非置換またはハロゲン置換の低級アルコキシを表し、Rは水素原子またはハロゲンを表し、Yは式(II)
Figure 2008156285
[式中、Rはシアノ、エチニルまたはカルバモイルを表し、Rは水素原子を表すか、またはRとRが一緒になって結合を表し(既に存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)]または4−カルボキシフェニルを表す}で表される含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(2) mが0〜2の整数であり、R、R、RおよびRが水素原子であるか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成し、Rが水素原子である(1)記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(3) mが1であり、R、R、RおよびRが水素原子である(1)または(2)記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(4) Rがメトキシである(1)〜(3)のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(5) Yが式(II)である(1)〜(4)のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(6) Yが4−カルボキシフェニルである(1)〜(4)のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(7) Rがシアノであり、Rが水素原子である(1)〜(5)のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(8) 外用剤である(1)〜(7)のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
本発明により、含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤を提供することができる。
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。
一般式(I)の各基の定義において、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどがあげられる。
シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜10のシクロアルキル、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどがあげられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルケニル、具体的にはビニル、1−プロペニル、アリル、メタクリル、1−ブテニル、クロチル、ペンテニル、イソプレニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルなどがあげられる。
シクロアルケニルとしては、例えば炭素数4〜10のシクロアルケニル、具体的にはシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル、シクロデセニルなどがあげられる。
アリールとしては、例えば炭素数6〜18のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、アントラニルなどがあげられ、アラルキルとしては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなどがあげられる。
同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になって形成するスピロ飽和炭素環および隣接する炭素原子上に存在する2つの基が該隣接する2つの炭素原子と一緒になって形成する飽和炭素環としては、例えば炭素数3〜10の飽和炭素環、具体的にはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどがあげられる。
ハロゲンおよびハロゲン置換の低級アルコキシにおけるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。
化合物(I)は、国際公開第98/22455号パンフレットもしくは国際公開第00/14085号パンフレットに記載の方法またはそれらに準じて製造することができる。
化合物(I)には、互変異性体、立体異性体などが存在し得るが、本発明の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤に使用することができる。
化合物(I)の具体例を第1表に示す。
Figure 2008156285

次に、化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:中枢移行性試験
9週齢のSD系雄性ラット(日本チャールス・リバー、神奈川)を試験に供した。試験は非絶食下で行い、例数はn=2とした。
化合物2を0.5重量/容量%メチルセルロース水溶液 400(メチルセルロース400cP、和光純薬工業、大阪)に3mg/mLの濃度になるよう懸濁させ、10mL/kgの用量で直接ラットの胃内に投与した(投与量:30mg/kg)。
投与後0.5、1および2時間の各時点にラット尾静脈を剃刀で切傷後、ヘパリン処理したキャピラリーチューブ(Drummond Scientific Co.、Broomall、PA、USA)を用いて約300μLの血液を採取した。血液を遠心分離(9,170xg、10分、4℃)することで血漿を得、得られた血漿サンプルを測定まで−20℃で冷凍保存した。
最終採血時点での採血終了後、ラット大腿部動静脈を切開し、ヘパリンを少量添加したポリプロピレン製テストチューブに血液を採取してラットを放血死させた後、脳を摘出した。摘出した脳は生理食塩水で洗浄し、分析時まで−80℃で冷凍保存した。
各時点で得られた血漿サンプル100μLにそれぞれ内部標準物質を含むメタノール溶液200μLを加えて攪拌し、氷中で20分間放置後、遠心分離(20,600xg、10分、4℃)して、上清をLC/MSに注入し、化合物2の血漿中濃度を求めた。その結果、化合物2は、投与後2時間まで、持続的な血漿中濃度推移を示した。
摘出した脳を秤量後、脳重量と等量(1mL/g脳)の精製水を添加し、ホモジナイザー[約1000rpmで約3分間(5〜6回)粉砕、ホモジナイザー攪拌装置(16−80、池本理化学工業、東京)]を用いて氷冷下でホモジナイズした。さらに、内部標準物質を含む脳重量の2倍量(2mL/g脳)のメタノール溶液を添加して再度氷冷下ホモジナイズし、脳のホモジネート液とした。得られた脳のホモジネート液を氷中で20分間放置後、その400μLをマイクロチューブに分注し遠心分離(20,600xg、10分、4℃)して、上清をLC/MSに注入し、化合物2の脳中濃度を求めた。
投与後2時間時点での化合物2の脳中濃度は189ng/mL(平均値、n=2)、血漿中濃度は6790mg/mL(平均値、n=2)であった。これより化合物2の脳中濃度/血漿中濃度の比は0.0281(2.8%)と算出された。脳の血管容積が脳の全組織量の約2%を占めることを考慮すれば、化合物2の脳内移行量は、無視できるレベルにあると考えられる(杉山 雄一 編集、ファーマコキネティクス研究の方法と技術 −前臨床から臨床第1相へ−、1993年、p.227、日本薬物動態学会)。
試験例2:マウスオキサゾロン反復塗布皮膚炎モデルにおける耳介の厚さ増加に対する抑制作用
6週齢のBALB/cマウス(雄性、日本チャールス・リバー社)を試験に用いた。少なくとも1週間の検疫・馴化の後、体重増加が順調、かつ外見上に異常が認められない個体を用い、7週齢で試験を開始した。動物は室温19〜25℃、湿度30〜70%、一日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、プラスチックゲージに6匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
試験は、北垣らの方法(「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)」、1955年、第105巻、p.749)を若干改変して行った。
抗原溶液として、オキサゾロン(シグマ・アルドリッチ社製)をアセトン(関東化学社製)に溶解し、0.5重量/容量%オキサゾロン−アセトン溶液を調製した。抗原溶液をBALB/cマウスの右耳介へ10μL塗布して感作し、7日目から、同一部位に10μL抗原溶液を2日または3日間隔で抗原感作後28日目まで反復塗布することにより反応を惹起した。塗布後、常に塗布部位をドライヤーで風乾させた。
軟膏基剤としてマクロゴール軟膏(丸石製薬社製)を用いた。ビーカーに適当量とったマクロゴール軟膏を湯浴(60〜70℃)で液化した後、この液化した軟膏を湯浴上で加温したメノウ乳鉢にとり、化合物2を3重量/容量%になるように加え、メノウ乳棒を用い溶解した。化合物2が溶解した液状のマクロゴール軟膏を1mLシリンジ(テルモ社製)にとり、放冷後、化合物2の軟膏として使用した。
抗原溶液反復塗布による反応惹起の各1時間後毎に、上記の化合物2の軟膏20mgを右耳介に塗布投与した(化合物2投与群)。また、基剤投与群として、抗原溶液反復塗布による反応惹起の各1時間後毎に、基剤であるマクロゴール軟膏20mgを右耳介に塗布投与した群を設けた。さらに、非投与群として、抗原溶液の代わりに、アセトンを反復塗布し、基剤であるマクロゴール軟膏20mgを右耳介に塗布投与した群を設けた。
慢性皮膚炎症状を示す28日目における耳介の厚さを測定した。耳介の厚さはダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定した。耳介の厚さ増加の抑制率(%)は下記にしたがって計算した。
Figure 2008156285
その結果を第2表に示す。
Figure 2008156285
本試験の結果は、化合物2の経皮投与により慢性的に増加する耳介の厚さの増加を抑制することができることを示している。したがって、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤として有用であることが示唆された。
試験例3:マウスのトリニトロクロロベンゼン(以下TNCBと記す)反復塗布皮膚炎モデルにおける耳介の厚さ増加に対する抑制作用
6週齢のBALB/cマウス(雄性、日本チャールス・リバー社)を試験に用いた。少なくとも1週間の検疫・馴化の後、体重増加が順調、かつ外見上に異常が認められない個体を用い、7週齢で試験を開始した。動物は室温19〜25℃、湿度30〜70%、一日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、プラスチックゲージに6匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
試験は、北垣らの方法(「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)」、1955年、第105巻、p.749)を若干改変して行った。
抗原溶液として、TNCB(ナカライテスク社製)をアセトン(関東化学社製)に溶解し、0.3重量/容量%TNCB−アセトン溶液を調製した。抗原溶液をBALB/cマウスの右耳介へ10μL塗布して感作し、7日目から、同一部位に10μL抗原溶液を2日または3日間隔で抗原感作後28日目まで反復塗布することにより反応を惹起した。塗布後、常に塗布部位をドライヤーで風乾させた。
化合物2は、0.5重量/容量%メチルセルロース(和光純薬工業製)水溶液(以下投与溶媒と記す)に0.3g/Lおよび1g/Lとなるようにそれぞれ懸濁させ、体重1kgあたり10mLをそれぞれ感作後7日目から29日目まで毎日経口投与した(化合物2投与群)。
また、溶媒投与群として、投与溶媒を感作後7日目から29日目まで毎日経口投与した群を設けた。さらに、非投与群として、抗原溶液の代わりにアセトンを反復塗布し、投与溶媒を同様に毎日経口投与した群を設けた。
慢性皮膚炎症状を示す30日目における耳介の厚さを測定した。耳介の厚さはダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定した。耳介の厚さ増加の抑制率(%)は下記にしたがって計算した。
Figure 2008156285
その結果を第3表に示す。
Figure 2008156285
本試験の結果は、化合物2の経口投与により慢性的に増加する耳介の厚さの増加を抑制することができることを示している。したがって、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、慢性皮膚疾患の治療および/または予防のための経口剤としても利用できることが示唆された。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内、筋肉内、経皮などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、注射剤、外用剤などがあげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などへの投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
経皮投与に適当な、例えば外用剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、基剤に活性成分を溶解または混合分散しクリーム状、ペースト状、ゼリー状、ゲル状、乳液状、液状などの形状になされたもの(軟膏剤、リニメント剤、ローション剤など)、基剤に活性成分および経皮吸収促進剤を溶解または混合分散させたものを例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの支持体上に展延したもの(パップ剤、テープ剤など)などがあげられる。上記基剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、軟膏剤、リニメント剤、ローションなどの基剤として従来公知のものを用いることができ、例えば、アルギン酸ナトリウム;ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドンなどのポリマー;ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ラッカセイ油、牛油、豚油、ラノリンなどの油脂類;白色ワセリン、黄色ワセリン;パラフィン;ハイドロカーボンゲル軟膏(例えば、商品名プラスチベース、大正製薬社製);ステアリン酸などの高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;ポリエチレングリコール;水などがあげられる。上記経皮吸収促進剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、例えばメタノール、エタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルスルホキシド、ドデシルピロリドンなどの極性溶剤;尿素;ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチルなどのエステル類;エイゾン;オリーブ油などがあげられる。さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機充填剤;粘度調節剤;老化防止剤;pH調節剤;グリセリン、プロピレングリコールなどの保湿剤などを添加してもよい。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg 、好ましくは0.01〜50mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を実施例で説明する。
錠剤(化合物1)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物1 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
錠剤(化合物2)
化合物2 40gを用い、実施例1と同様にして、標記錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物2 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
注射剤(化合物3)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物3 1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸水溶液 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
外用剤(化合物4)
常法により、次の組成からなる外用剤を調製する。白色ワセリン65gを加温、攪拌しながら、これにプロピレングリコール25gを添加し、それに化合物4 5gとオクタン酸セチル5gを混合したものを添加し、連続攪拌しながら加温し分散させる。次いで、ゆっくりと約25℃の温度に冷却させたのち、適当な容器に入れ、外用剤を得る。
処方 化合物4 5 g
白色ワセリン 65 g
プロピレングリコール 25 g
オクタン酸セチル 5 g
100 g

Claims (8)

  1. 一般式(I)
    Figure 2008156285
    {式中、mは0〜4の整数を表し、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキルを表すか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が該隣接する2つの炭素原子と一緒になって飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が一緒になって結合を表し(既に存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)、Rは非置換またはハロゲン置換の低級アルコキシを表し、Rは水素原子またはハロゲンを表し、Yは式(II)
    Figure 2008156285
    [式中、Rはシアノ、エチニルまたはカルバモイルを表し、Rは水素原子を表すか、またはRとRが一緒になって結合を表し(既に存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)]または4−カルボキシフェニルを表す}で表される含酸素複素環化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  2. mが0〜2の整数であり、R、R、RおよびRが水素原子であるか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成し、Rが水素原子である請求項1記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  3. mが1であり、R、R、RおよびRが水素原子である請求項1または2記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  4. がメトキシである請求項1〜3のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  5. Yが式(II)である請求項1〜4のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  6. Yが4−カルボキシフェニルである請求項1〜4のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  7. がシアノであり、Rが水素原子である請求項1〜5のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
  8. 外用剤である請求項1〜7のいずれかに記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2681656C1 (ru) * 2018-04-09 2019-03-12 федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Башкирский государственный медицинский университет" Министерства здравоохранения Российской Федерации Способ прогнозирования перехода средне-тяжёлого течения нумулярной микробной экземы в тяжёлое течение

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