JP2008152848A - 光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用基板の製造方法及び光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用基板の製造方法及び光記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体の生産性の向上を図る。
【解決手段】光記録媒体を構成する基板を粗面化する際に使用される光記録媒体用スタンパの製造方法であって、電鋳によって厚みtが300μm以上の第1金属層66を作製する電鋳処理工程と、第1金属層66の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパ76を作製するブラスト処理工程とを有する。電鋳処理工程は、金属原盤の一主面に、中央部に孔が形成された導電リング52を載置する工程と、金属原盤のうち、導電リング52の孔50から露出する面と、導電リング52の内周面と、導電リング52の一主面の一部にわたって第1金属層66を電鋳によって形成する工程とを有する。
【選択図】図15

Description

本発明は、光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用基板の製造方法及び光記録媒体の製造方法に関し、特に、一主面の全部又は一部が粗面化された基板を有する光記録媒体を製造するための光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用基板の製造方法及び光記録媒体の製造方法に関する。
CD−RやDVD−R等の光記録媒体の1種として、電子情報が記録される記録面と反対側の面に、記録面に記録した電子情報の内容、例えば、音楽データの楽曲タイトルや、記録したデータを識別するためのタイトル等の可視情報を印刷したラベルを貼付したものが知られている。このため、該反対側の面は、レーベル面と呼称される。
この種の光記録媒体は、プリンタ等によって円形のラベルシート上にタイトル等を予め印刷し、当該ラベルシートをレーベル面に貼付することにより作製される。
しかしながら、ラベルシートをレーベル面に貼付する場合、ディスクドライブとは別に、ラベルシートを印刷するためのプリンタが必要となる。すなわち、ディスクドライブを用いて光記録媒体の記録面に記録を行った後、該光記録媒体をディスクドライブから取り出し、さらに、プリンタによって印刷されたラベルシートを貼付する等といった煩雑な作業を行う必要がある。
そこで、レーベル面にレーザマーカを使用して表面と背景のコントラストを変化させて表示をさせることができる光記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この光記録媒体を用いることで、光記録媒体ドライブのみで記録面への記録と、レーベル面への所望の可視情報記録とを行うことができる。従って、プリンタ等を別途用意する必要がなくなり、ラベルシートを貼付するという煩雑な作業も不要となる。
特開平11−66617号公報
ところで、例えばDVD−Rの記録層を形成する一方の基板の表面と同じように規則的にグルーブが形成されている他方の基板上に可視情報記録層を形成した場合、外からの光に対してグルーブが回折格子のような働きをすることで強い干渉が生じ、記録された可視情報の視認性が劣るという問題がある。
視認性を向上させるべく基板を粗面化することが想起されるが、この場合、レーベル面に入射した光が散乱し難いので、視認性に指向性が生じる。すなわち、ある方向からは視認性が良好であるものの、別の方向からは可視情報を視認することが容易ではないという不都合を招く。
従って、レーベル面に所望の可視情報記録を行う場合、記録された可視情報の視認性の更なる向上が希求されている。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができる光記録媒体用スタンパの製造方法及び光記録媒体用基板の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体の製造方法を提供することにある。
第1の本発明に係る光記録媒体用スタンパの製造方法は、光記録媒体を構成する基板を粗面化する際に使用される光記録媒体用スタンパの製造方法であって、電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする。
第1の本発明にて製造された原版スタンパを用いて光記録媒体用スタンパを製造し、さらに、製造された光記録媒体用スタンパを用いて光記録媒体を製造することによって、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができ、しかも、光記録媒体の生産性を向上させることができる。
そして、第1の本発明において、前記電鋳処理工程は、金属原盤の一主面に、中央部に孔が形成された導電リングを載置する工程と、前記金属原盤のうち、前記導電リングの孔から露出する面と、前記導電リングの内周面と、前記導電リングの一主面の一部にわたって金属層を電鋳によって形成する工程とを有するようにしてもよい。
また、第1の本発明において、前記導電リングの内周面は、段差面を有するようにしてもよいし、テーパ面を有するようにしてもよい。もちろん、段差面とテーパ面とを組み合わせた形状にしてもよいし、段差がなくてもよい。
また、第1の本発明において、前記ブラスト処理工程は、前記金属原盤を取り外して、前記導電リングと前記金属層からなる複合部材とした後、該複合部材の前記金属層のうち、前記導電リングの孔から露出する面の全部又は一部をブラスト処理によって粗面化するようにしてもよい。この場合、前記ブラスト処理工程は、前記金属層のうち、前記導電リングの孔から露出する面の全部又は一部を、ガラスビーズによってブラスト処理するようにしてもよい。
また、第1の本発明において、前記金属原盤の前記一主面の一部に、前記光記録媒体にプリピットを形成するためのピット形成部が形成されていてもよい。
また、第1の本発明において、前記粗面化された金属層に別の金属層を電鋳によって形成して、前記別の金属層による第2版スタンパを作製する複版作製工程を有するようにして、この第2版スタンパを用いて光記録媒体用スタンパを作製するようにしてもよい。もちろん、第2版スタンパから第3版スタンパを作製し、この第3版スタンを用いて光記録媒体用スタンパを作製するようにしてもよい。以下同様である。
次に、第2の本発明に係る光記録媒体用スタンパは、上述した第1の本発明に係る光記録媒体用スタンパの製造方法によって製造されることを特徴とする。従って、この第2の本発明に係る光記録媒体用スタンパを用いて光記録媒体を製造することによって、光記録媒体に視認性が良好な可視情報を形成することが可能となる。
次に、第3の本発明に係る光記録媒体用基板の製造方法は、可視情報が記録される可視情報記録層を有する光記録媒体のための光記録媒体用基板の製造方法において、一主面の全部又は一部が粗面化されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、作製された前記スタンパによって一主面の全部又は一部が粗面化された基板を作製する基板作製工程とを有し、前記スタンパ作製工程は、電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする。
第3の本発明にて製造された光記録媒体用の基板を用いて光記録媒体を製造することによって、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができ、しかも、光記録媒体の生産性を向上させることができる。
次に、第4の本発明に係る光記録媒体用の基板は、上述した第3の本発明に係る基板の製造方法によって製造されることを特徴とする。従って、この第4の本発明に係る光記録媒体用の基板を用いて光記録媒体を製造することによって、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができる。
次に、第5の本発明に係る光記録媒体の製造方法は、基板と、前記基板上に形成され、可視情報が記録される可視情報記録層とを有する光記録媒体の製造方法において、一主面の全部又は一部が粗面化されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、作製された前記スタンパによって一主面の全部又は一部が粗面化された基板を作製する基板作製工程と、作製された基板上に前記可視情報記録層を形成する可視情報記録層形成工程とを有し、前記スタンパ作製工程は、電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする。
これにより、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができ、しかも、光記録媒体の生産性を向上させることができる。
次に、第6の本発明に係る光記録媒体は、上述した第5の本発明に係る光記録媒体の製造方法によって製造されることを特徴とする。製造された光記録媒体は、レーベル面の可視情報の視認性を良好にすることができる。
以上説明したように、本発明に係る光記録媒体用スタンパの製造方法及び光記録媒体用スタンパ、基板の製造方法及び基板によれば、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体を得ることができる。
また、本発明に係る光記録媒体の製造方法及び光記録媒体によれば、レーベル面の可視情報の視認性を良好にすることができる。
以下、本発明に係る光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用スタンパ、基板の製造方法、基板、光記録媒体の製造方法及び光記録媒体の実施の形態例を図1〜図23を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る光記録媒体10は、一端面側からレーザ光を照射することで情報の記録が可能であり、他端面側からレーザ光を照射することで所望の可視情報記録を行うことが可能である。すなわち、この光記録媒体は、第1基板上に、少なくとも、データ記録層と可視情報記録層とをこの順に有し、可視情報記録層上に第2基板を有する。なお、データ記録層と可視情報記録層との間に第3基板が存在していてもよい。
そして、この光記録媒体では、第2基板における可視情報記録層側に臨む端面の一部が粗面化されている。以下の説明では、第2基板の端面のうち、粗面化された部分を「基板粗面化面」ともいう。この基板粗面化面は、後述するように、光記録媒体用スタンパに設けられた粗面化された面が第2基板の端面に転写されることで形成される。
この種の光記録媒体としては、第1に、DVD型の構成(DVD−R、HD−DVD等を含む)が挙げられる。すなわち、データ記録層が形成された第1基板と可視情報記録層が形成された第2基板とが接着層を介して貼り合わされた、いわゆる貼りあわせ型の構成である。
さらに、本実施の形態に係る光記録媒体は、ブルーレイディスク(BD)の構成とすることもできる。
本実施の形態に係る光記録媒体10の具体的構成例を図1〜図3を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る光記録媒体10は、図1に示すように、第1積層体12と第2積層体14とを有する。第1積層体12は、透明性の第1基板16と、該第1基板16上に形成されたデータ記録層18と、該データ記録層18上に形成された第1反射層20とを有する。第2積層体14は、透明性の第2基板22と、該第2基板22上に形成された可視情報記録層24と、該可視情報記録層24上に形成された第2反射層26とを有する。そして、第1積層体12及び第2積層体14が、第1反射層20と第2反射層26とが対向するように、接着層28を介して貼り合わされている。
データ記録層18は、例えば第1基板16側から照射されたレーザ光によってデータ(ピット情報)の記録が可能となっている。
可視情報記録層24は、例えば第2基板22側から照射されたレーザ光によって可視情報が記録できるようになっている。
特に、この光記録媒体10は、第2基板22の可視情報記録層24に対向する表面の一部が基板粗面化面30とされている。第2基板22の基板粗面化面30の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.05〜0.3μmであり、10点平均高さ(Rz)が0.1〜5μmであることが好ましい。この範囲にあることで、視認性を特に向上させることができる。第2基板22の基板粗面化面30の「Ra」、「Rz」は、いずれも原子間力顕微鏡(AFM)、光干渉式粗さ計、触針式粗さ計等により測定することができる。特に、走査長が長く、かつ深さ方向のダイナミックレンジが大きいことから触針式粗さ計が好適である。よって、本発明においては上記のRa及びRzの数値範囲は、触針式粗さ計により測定したときの数値範囲とする。
基板粗面化面30は、第2基板22の端面全面に設けてもよい。中心から20〜60mmまでの領域に形成することが好ましい。中心から24〜58mmまでの領域に形成することがさらに好ましい。20mm未満の領域に基板粗面化面30を設けたとしても、20mm未満の領域には光ピックアップが入り難いので、基板粗面化面30を設けても視認性の向上にはさほど寄与しない。一方、58mm超の領域に基板粗面化面30を設けると、可視情報記録層24のエッジ部を洗浄することが容易でなくなる傾向がある。
さらに、この光記録媒体10は、第2基板22の表面(可視情報記録層24が形成される側の表面)の一部にプリピット領域32が割り当てられ、該プリピット領域32に1以上のプリピット34、好ましくは複数のプリピット34が形成されている。
プリピット34の組み合わせにて示される情報としては、光記録媒体10に関する各種情報が考えられ、例えば、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体であるかどうかの識別情報や、可視情報記録層24に可視情報を描画する際のレーザ光の出力に関する情報やスポット径に関する情報、描画すべき可視情報の階調に関する情報等である。
従って、プリピット34を検出することによって、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体10であるかを容易に検出することができ、また、可視情報記録層24に可視情報を描画する際に、最適なレーザ出力にて描画することができ、しかも、可視情報を高い描画特性をもって記録することができる。なお、プリピット34の組み合わせにて示される情報としては、その他に製造者情報などが挙げられる。
第2基板22の表面中、プリピット領域32の割り当て位置としては、特に制限されない。例えば図2の変形例に係る光記録媒体10aに示すように、プリピット領域32を、可視情報記録層24が形成されている領域(描画領域36)よりも内周側にあってもよい。プリピット領域32が内周側にあることで、プリピット34が色素化合物で埋まらないため、プリピット34からの戻り光を検出しやすいという利点がある。ただ、プリピット領域32に可視情報記録層24を形成しないようにするためには、プリピット領域32の最外周と描画領域36の最内周との間に、ある程度のマージンが必要となる。
もちろん、描画領域36をできるだけ広く確保するという観点から、図1に示すように、プリピット領域32と描画領域36とが一部重なっていてもよい。すなわち、プリピット34上に可視情報記録層24の少なくとも一部が形成されていてもよい。
図1や図2に示すように、プリピット領域32を第2基板22の内周側に設ける場合は、第2基板22の中心より半径21〜24mmの範囲に設けることが好ましい。
図3に示すように、プリピット34の深さhpの平均値は150〜400nmとし、200〜300nmであることが好ましい。150〜400nmとすることで、プリピット34からの戻り光を電気信号に変換した後の信号(戻り光信号と記す)の信号振幅が大きくなり、戻り光信号の読み取り精度を高くすることができる。また、200〜300nmとすることで、より確実に戻り光信号を検出することができる。
プリピット34の半径方向の上記深さhpの半分の深さにおける幅(半値幅)Wの平均値は200〜500nmであることが好ましく、250〜450nmであることがより好ましい。200〜500nmとすることで、戻り光信号に重畳されるトラック間方向のクロストークが小さく、検出するに十分な信号振幅を得ることができる。なお、プリピット34の周方向の長さ(半値幅)は、記録する情報によるため、適宜設定される。
また、プリピット34の凸部34A上の可視情報記録層24の平均厚みh1と、プリピット34の凹部34B上の可視情報記録層24の平均厚みh2との比(h1/h2)は、0.1〜0.9であり、プリピット34の凹部34B上の可視情報記録層24の窪みの深さ(hp+h1−h2)が70〜250nmであることが好ましい。
「h1/h2」及び「hp+h1−h2」が上記範囲にあることで、可視情報記録層24の第2反射層26が形成される面が、レーザ光を読み取るのに適度な凹凸を有することになり、良好な再生信号を得ることができる。「h1/h2」のより好ましい範囲は、0.2〜0.8である。「hp+h1−h2」のより好ましい範囲は100〜200nmであり、さらに好ましくは120〜180nmである。
また、図3に示すように、可視情報記録層24に沿って第2反射層26が形成されていることが好ましく、プリピット34の凸部34A上の第2反射層26の平均厚みt1と、プリピット34の凹部34B上の第2反射層26の平均厚みt2との比(t1/t2)は、0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。
上記hp、h1及びh2等は、AFMや透過スペクトル又はエリプソメータから求めることができる。また、他の方法として、完成した光記録媒体10の断面をSEMなどにより観察することで求めることができる。
なお、プリピット領域32の代わりにプリグルーブが形成されたプリグルーブ領域としてもよい。あるいは、プリピット領域32の代わりに凹凸によるバーコードパターンを記録したバーストカッティングエリア(BCA)としてもよい。この場合、該プリグルーブあるいはバーコードパターンによって、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体であるかどうかの識別情報や、可視情報記録層24に可視情報を描画する際のレーザ光の出力(例えばレーザパワー)に関する情報やスポット径に関する情報、描画すべき可視情報の階調に関する情報等をもたせることができる。
[スタンパ及びその製造方法]
上記のようなプリピット34を有し、且つ、その表面の一部に基板粗面化面30を有する第2基板22は、本実施の形態に係るマスタスタンパ40を使用して製造することができる。
マスタスタンパ40は、図4に示すように、その一主面の一部に、第2基板22の内周部分にプリピット34を形成するためのピット形成部42と、第2基板22の上記ピット形成部42とは異なる他の一部に基板粗面化面30を形成するための粗面化された面(以下、スタンパ粗面化面44と記す)とが設けられている。ピット形成部42における凹部及び凸部のうちの凸部の平均高さは150〜400nmであることが好ましい。マスタスタンパ40を使用することで、光記録媒体10を効率よく製造することができる。
次に、マスタスタンパ40の製造方法図5〜図23を参照しながら説明する。
先ず、図5のステップS1及び図6A、図6Bに示すように、金属原盤46を用意する。この金属原盤46は、平坦面とされた一主面46aに、マスタスタンパ40にピット形成部42を形成するための第1ピット形成部48が設けられている。この金属原盤46は、Ni(ニッケル)電鋳によって作製されたNi製の円盤形状体である。なお、図6B(拡大図)では中心線m近傍のみを示しており、以下においても同様である。
ここで、金属原盤46の厚みtaは、マスタスタンパ40を製造する際の一般的な厚み、すなわち、約300μmに設定するようにしてもよいが、140〜160μmに設定してもよい。この場合、金属原盤46を作製するためのNi電鋳に要する時間が短縮されるので、生産性を高くすることができるという利点を有する。金属原盤46は、上述したNiのほか、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni合金、Cu合金、Al合金等を用いることができる。
その後、図5のステップS2及び図7A、7B、図8に示すように、金属原盤46の一主面46aに、中央部に孔50が形成された導電リング52を載置する。導電リング52は、例えばステンレスにて構成され、孔50の内壁面に1以上の段差54が形成されている。換言すれば、図7Bに示すように、導電リング52の内周面56は、径の相違する2以上の内周面58a、58bから構成される。ここで、段差54とは、導電リング52の一主面52aに平行な面を指し、内周面58a、58bとは、導電リング52の一主面52aと直交し、且つ、導電リング52の中心軸(一点鎖線mで示す)を臨む面を指す。図7A、図7B、図8では、導電リング52の内壁面に1つの段差54が形成されて、導電リング52の内周面56に2つの内周面(第1内周面58a及び第2内周面58b)が形成された例を示している。ここで、第1内周面58aの内径(直径)D1は、第2内周面58bの内径(直径)D2よりも大に設定されている。もちろん、3つ以上の内周面から構成されるようにしてもよい。
導電リング52の変形例としては、以下のような形状が考えられる。
図9に示す第1の変形例に係る導電リング52Aは、その内周面56がテーパ面60とされている。具体的には、導電リング52の内径のうち、一主面52aの内径D1が他主面52b(金属原盤46が接触している面)の内径D2よりも大とされ、一主面52aから他主面52bにかけて連続的に径が小さくなるように設定されたテーパ面60とされている。
図10に示す第2の変形例に係る導電リング52Bは、図7Aに示す導電リング52と図9に示す導電リング52Aとを組み合わせた形状を有する。すなわち、導電リング52Bの内周面56のうち、第1内周面58aに対応する部分がテーパ面60とされている。
図11に示す第3の変形例に係る導電リング52Cは、図7Aに示す導電リング52と図9に示す導電リング52Aとを組み合わせた形状を有し、導電リングの内周面56のうち、第2内周面58bに対応する部分がテーパ面60とされている。
図12に示す第4の変形例に係る導電リング52Dは、図7Aに示す導電リング52と図9に示す導電リング52Aとを組み合わせた形状を有し、導電リングの内周面56のうち、第1内周面58a及び第2内周面58bに対応する部分の両者がテーパ面60とされている。
上述した導電リング52の変形例は、あくまでも一例であって、その他、段差の数、テーパ面60とする段差面の数等は、適宜設定することができる。
その後、図5のステップS3の電鋳処理工程に入る。この電鋳処理工程は、図13に示すように、中央部に孔62を有し、且つ、金属原盤46に対して導電リング52を押さえ付けるための押さえ治具64を用いて行われる。押さえ治具64の内径D3は、導電リング52の最も内径の大きい段差面(ここでは、第1内周面58a)の内径D1よりも大きく、金属原盤46の外径D4よりも小さくなるように設定されている。これにより、導電リング52の中央部分を浮かすことなく、金属原盤46に対して密着させて押さえ付けることができる。また、押さえ治具64の内径D3が、導電リング52の第1内周面58aの内径D1よりも大きく設定されていることから、導電リング52の一主面52aの一部(孔50の周辺部)が押さえ治具64の孔62から露出した状態となる。
そして、押さえ治具64にて導電リング52を金属原盤46に押さえ付けた状態で、Ni電鋳を行う。このNi電鋳によって、図14に示すように、金属原盤46の一主面46aのうち、導電リング52の孔50から露出する面と導電リング52の内周面56と導電リング52の一主面52aの一部にわたって第1金属層66(Ni層)が形成される。このNi電鋳では、厚みtが300μm以上の第1金属層66を形成する。後工程でブラスト処理を行うことから、厚みtが600μm以上の厚い第1金属層66を形成することがブラスト処理の条件、例えば、研磨材の吹き付け力の選択の自由度が増すので好ましい。
その後、図5のステップS4のブラスト処理工程に入る。このブラスト処理工程は、図15に示すように、金属原盤46を取り外した後、第1金属層66のうち、導電リング52の孔50から露出する面(一主面66a)の一部をブラスト処理によって粗面化する。すなわち、ブラスト処理によって、第1金属層66の一主面66aの一部に第1粗面化面68を形成する。なお、ブラスト処理は、被対象面(粗面化したい面)に珪砂、エメリー、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、SiC粒子等のような非金属粒や金属粒等の研磨材を高速に吹き付けて、被対象面を粗面化する方法である。
金属原盤46を取り外した際、第1金属層66には、金属原盤46の第1ピット形成部48(図6A及び6B参照)が転写されて、第2ピット形成部70が形成されていることから、ブラスト処理でこの第2ピット形成部70が破壊されないように、ブラスト処理の前処理として第2ピット形成部70がブラスト処理を受けないように保護を行う。この保護の方法としては、金属板によるマスク72を載置することや、粘着テープの貼り付けによりマスク74を載置することや、酸化膜等によるマスク74を形成すること等が挙げられる。
そして、第2ピット形成部70を保護した状態で、第1金属層66の一主面66aの一部をブラスト処理によって粗面化する(第1粗面化面68を形成する)。この段階で、第1金属層66と導電リング52による原版スタンパ76が作製される。もちろん、光記録媒体10にプリピット34を形成しない仕様であれば、金属原盤46に第1ピット形成部48を形成する必要もなく、また、第1金属層66に第2ピット形成部70を形成する必要もないため、第1金属層66の一主面66aの全部をブラスト処理によって粗面化するようにしてもよい。
ところで、本発明を完成させるにあたって、マスタスタンパ40を作製する方法として以下に示す2つの方法(第1方法及び第2方法)が検討された。
第1方法は、図17Aに示すように、金属原盤46の一主面46aに、中央部に孔78が形成され、且つ、段差面を有さない導電リング80を載置し、さらに、押さえ治具82にて導電リング80を金属原盤46に押さえ付け、その状態で、Ni電鋳を行う方法である。この第1方法では、押さえ治具82の内径D3が導電リング80の内径D5と同じに設定しているため、図17Bに示すように、Ni電鋳による金属層84は、金属原盤46の一主面46aうち、導電リング80の孔78から露出する面と導電リング80の内周面の一部にわたって形成されることとなる。従って、図18Aに示すように、金属原盤46を取り外したとき、金属層84は導電リング80の内周面86だけで保持されることになる。
従って、その後に金属層84に対してブラスト処理を行った場合、図18Bに示すように、金属層84に衝突する非金属粒や金属粒の圧力によって金属層84が導電リング80から外れ(導電リング80から外れた金属層84を金属板88と記す)、さらに、金属板88の一主面に対する非金属粒や金属粒の衝撃によって、図18Cに示すように、金属板88の一主面88aを凸とする方向に反りが発生し、金属板88が大きく変形するという問題があった。反り変形した金属板88の端部の位置から金属板88の頂部までの高さhaは数10mmにもなった。
第2方法は、図19Aに示すように、導電リング80を用いずに、金属原盤46に直接押さえ治具82を載置し、その状態でNi電鋳を行う方法である。この第2方法では、Ni電鋳による金属層84は、金属原盤46のみに形成されることとなる。従って、金属原盤46を取り外すと、図19Bに示すように、第1方法において導電リング80から外れた金属板88と同様になることから、その後のブラスト処理において、金属板88の一主面に対する非金属粒や金属粒の衝撃によって、図19Cに示すように、金属板88の一主面88aを凸とする方向に反りが発生し、金属板88が大きく変形するという問題があった。この第2方法においても、反り変形した金属板88の端部の位置から金属板88の頂部までの高さは数10mmにもなった。
すなわち、上述の第1方法及び第2方法では、金属板88が大きく変形することから、表面の一部が粗面化されたマスタスタンパ40を作製することができないという問題があった。
これに対して、本実施の形態では、図15に示すように、第1金属層66が、導電リング52の内周面56と導電リング52の一主面52aの一部にわたって形成され、しかも、導電リング52の内周面56には径の相違する2以上の内周面(第1内周面58a、第2内周面58b)が形成されていることから、第1金属層66の導電リング52に対する接触面積が大幅に増え、その後のブラスト処理においても、第1金属層66が導電リング52から外れるということがない。従って、本実施の形態に係る製造方法を用いることによって、表面の一部が粗面化されたマスタスタンパ40を高精度に作製することができる。
また、本実施の形態では、図14に示すように、第1金属層66の厚みtを300μm以上にしていることから、以下の効果を奏することができる。
すなわち、通常、光記録媒体用のスタンパを作製する場合、スタンパの厚みは295μm程度である。従って、第1金属層の厚みtを300μm未満とした場合、該第1金属層に対してブラスト処理を行うと、研磨材の衝撃で、第1金属層の表面が、粗面化とは異なる変形が発生することがある。しかも、本実施の形態では、第2ピット形成部70を保護するために、第2ピット形成部をマスキングしており、マスキングされた部分とされていない部分の境界に歪が生ずる。このような状態で原版スタンパを作製すると、上述の変形や歪が、光記録媒体の基板に転写されてしまい、光記録媒体に悪影響を及ぼすおそれがある。
しかし、本実施の形態では、図14の電鋳処理工程にて、厚みtが300μm以上の第1金属層を形成するようにしているため、粗面化と異なる変形や、上述したマスキングされた部分とされていない部分の境界での歪の発生を抑制することができる。特に、第1金属層の厚みtを600μm以上にすることにより、粗面化と異なる変形や、上述した境界での歪の発生を完全になくすことができる。本実施の形態では、厚みtを700〜900μmとしている。
そして、その後の工程としては、図5のステップS5において、第1金属層66の一主面66aの一部が粗面化された原版スタンパ76を用い、Ni電鋳を行う。このNi電鋳によって、図20に示すように、原版スタンパ76の一主面76aに第2金属層90が形成される。具体的には、導電リング52の孔50から第1金属層66の一主面66aが露出されている面と、導電リング52の他主面52bの一部にわたって第2金属層90(Ni層)が形成される。このNi電鋳では、厚み約300μmの第2金属層90を形成する。
図5のステップS6において、第2金属層90を原版スタンパの一主面から取り外すことによって、図21Aに示すように、第2金属層90による金属製の第2版スタンパ92が完成する。この第2版スタンパ92の一主面92aには、原版スタンパ76の第1金属層66の一主面66aに形成されている第2ピット形成部70(図16参照)の転写パターン、すなわち、第3ピット形成部94が形成され、同じく第1金属層66の一主面66aに形成された第1粗面化面68の転写パターン、すなわち、第2粗面化面96が形成される。
図5のステップS5及びステップS6を繰り返すことによって、1つの原版スタンパ76から多数枚の第2版スタンパ92を作製することができる。
第2版スタンパ92をマスタスタンパ40として、第2基板22を作製するようにしてもよいが、第2版スタンパ92を用いてNi電鋳を行って、図22に示す第3版スタンパ98を作製して、該第3版スタンパ98をマスタスタンパ40としてもよい。この場合、第3版スタンパ98の一主面98aには、第2版スタンパ92の一主面92aに形成されている第3ピット形成部94(図21B参照)の転写パターン、すなわち、第4ピット形成部100が形成され、同じく第2版スタンパ92の一主面92aに形成された第2粗面化面96の転写パターン、すなわち、第3粗面化面102が形成される。図4は、この第3版スタンパ98をマスタスタンパ40とした例を示す。従って、図22の第4ピット形成部100が図4のピット形成部42に対応し、図22の第3粗面化面102が図4のスタンパ粗面化面44に対応する。
また、第3版スタンパ98を用いてNi電鋳を行って、図23に示す第4版スタンパ104を作製して、該第4版スタンパ104をマスタスタンパ40としてよい。この場合も、第4版スタンパ104の一主面104aには、第3版スタンパ98の一主面98aに形成されている第4ピット形成部100(図22参照)の転写パターン、すなわち、第5ピット形成部106が形成され、同じく第3版スタンパ98の一主面98aに形成された第3粗面化面102の転写パターン、すなわち、第4粗面化面108が形成される。
これら第3版スタンパ98及び第4版スタンパ104は、それぞれ第2版スタンパ92及び第3版スタンパ98を基にしてNi電鋳によって多数作製することができるので、第2版スタンパ92自体を使用するよりも著しく多数のマスタスタンパ40を用意することができ、コスト的に有利である。生産性を高くすることもできる。
このように、本実施の形態では、原版スタンパ76における第1金属層66の一主面66aの一部をブラスト処理によって粗面化して第1粗面化面68を形成するようにしたので、第1粗面化面68の転写パターンを有する第2版スタンパ92、第3版スタンパ98及び第4版スタンパ104のいずれをマスタスタンパ40にしたとしても、該マスタスタンパ40を用いて作製される第2基板22の基板粗面化面30は、入射光が容易に散乱するので、不特定方向からの可視情報の視認性が向上する。すなわち、レーベル面の可視情報の視認性が良好な光記録媒体10を得ることができる。
しかも、ブラスト処理される第1金属層66の厚みtを300μm以上にしたので、ブラスト処理に伴って発生する粗面化と異なる変形や、上述した境界、すなわち、第2ピット形成部70を保護するためにマスキングされた部分とされていない部分の境界での歪の発生を抑制することができる。これは、マスタスタンパ40の生産性の向上、ひいては、光記録媒体10の生産性の向上につながる。
ここで、マスタスタンパ40のスタンパ粗面化面44の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.05〜0.3μmであり、10点平均高さ(Rz)が0.1〜5μmであることが好ましい。マスタスタンパ40のスタンパ粗面化面44の「Ra」、「Rz」は、いずれも触針式粗さ計により測定した値を示す。
上述した光記録媒体10の構成としては、レーザ光の照射により可視情報の描画が可能な可視情報記録層24と、1以上のプリピット34を有するプリピット領域32とを具備した構成であれば特に限定されない。すなわち、読出し専用型、追記型、書換え可能型等のいずれとすることもできる。なかでも、追記型であることが好ましい。また、記録形式としては、相変化型、光磁気型、色素型等、特に制限されない。なかでも、色素型であることが好ましい。
特に、図1に示す光記録媒体10は、第1基板16上にデータ記録層18を有し、第2基板22上に可視情報記録層24を有し、これらが貼り合わされた構成であることから、例えばDVD(DVDの他、DVD−RやDVD−RW、HD DVD等を含む)の構成に適用することが好ましい。
光記録媒体10の層構成としては、図1に示す層構成のほか、例えば、以下の構成が挙げられる。
(1)第1の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、接着層28を順次形成し、接着層28上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(2)第2の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、保護層、接着層28を順次形成し、接着層28上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(3)第3の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層28、第2保護層を順次形成し、該第2保護層上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(4)第4の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層28、第2保護層、第3保護層を順次形成し、該第3保護層上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。
(5)第5の層構成は、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、接着層28、第2反射層26を順次形成し、該第2反射層26上に、可視情報記録層24を有する第2基板22を貼り合わせる構成である。この層構成は図1とほぼ同じになる。
(6)第6の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、第1保護層を順次形成し、一方、第2基板22上に可視情報記録層24、第2反射層26、第2保護層を順次形成し、接着層28を介して第1保護層及び第2保護層を貼り合わせる構成である。
なお、図1に示す層構成、並びに上記(1)〜(6)の層構成は単なる例示であり、これらの層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよい。また、一部(可視情報記録層24を除く)を省略してもかまわない。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
光記録媒体10に光学的な情報を記録する場合、又は、記録された情報を再生する場合は、第1基板16側から所定の波長(DVD−Rの場合は650〜670nm、HD−DVDの場合は400〜410nm以下)のレーザ光を照射する。
また、可視情報記録層24に可視情報を記録する場合は、第2基板22側から所定のレーザ光(例えば、線速度3.5m/s、波長660nm、NA=0.6、盤面10mWのレーザ光)を照射し、照射部分を変質させコントラストを変化させて、視認可能な情報(画像、文字等)を形成することができる。
このように、レーザ光により可視情報を形成することができるので、プリンタ等を別途用意することなく、光記録媒体ドライブによって光記録媒体10のレーベル面(可視情報の記録面)に所望の可視情報記録を効率よく行うことができる。また、第2基板22の可視情報記録層24側の面が粗面化されているため、可視情報の視認性を向上させることができる。
なお、本実施の形態における「第2基板22」は、データ記録層18等を挟んで第1基板16とは反対側に設けられる基板の他、カバー層や透明シートを含む場合もある。従って、本実施の形態に係る光記録媒体10の他の構成として、基板上に、データ記録層と可視情報記録層とカバー層とがこの順に形成されたCD型の構成(CD−R等を含む)とすることもできる。
CD型の構成の場合は、第1基板16上に、データ記録層18、第1反射層20、保護層、第2反射層26、可視情報記録層24がこの順で形成され、可視情報記録層24上に粗面化されたカバー層が形成された構成となる。かかる構成でも、カバー層の可視情報記録層24側の面が粗面化されているため、可視情報の視認性を向上させることができる。
当該光記録媒体10に光学的な情報を記録する場合、又は、記録された情報を再生する場合は、第1基板16側から所定の波長(例えば、660nm程度)のレーザ光を照射する。
また、可視情報記録層24に可視情報を記録する場合は、カバー層(第2基板22)側から既述の所定量のレーザ光を照射し、照射部分を変質させコントラストを変化させて、視認可能な情報(画像や文字等)を形成することができる。
このように、CD型の光記録媒体であっても、レーザ光により可視情報を形成することができる。このため、プリンタ等を別途用意することなく、光記録媒体ドライブによって光記録媒体10のレーベル面(可視情報の記録面)に所望の可視情報記録を効率よく行うことができる。また、第2基板22の可視情報記録層24側の面が粗面化されているため、可視情報の視認性を向上させることができる。
上記した光記録媒体10中、図1に示すDVD型の光記録媒体は、以下に説明するようにして製造することができる。すなわち、一主面にスタンパ粗面化面44が形成されたマスタスタンパ40を作製するスタンパ作製工程と、作製されたマスタスタンパ40によって一主面に基板粗面化面30を有する第2基板22を作製する基板作製工程と、作製された第2基板22上に可視情報記録層24を形成する可視情報記録層形成工程と、第1基板16上にデータ記録層18を形成するデータ記録層形成工程と、第1基板16と第2基板22とを、データ記録層18及び可視情報記録層24とが互いに対向するように接合する接合工程とを経て光記録媒体10が製造される。
なお、必要に応じ、データ記録層形成工程及び可視情報記録層形成工程において、反射層や保護層を形成する処理を行うようにしてもよい。
一方、CD型の光記録媒体の場合は、第1基板16上に、少なくとも、データ記録層18と、可視情報記録層24と、粗面化面を有するカバー層(第2基板22)とを形成して製造することができる。
図1に示す層構成、並びに上記(1)〜(6)の層構成は単なる例示であり、これらの層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよい。また、一部(可視情報記録層24を除く)を省略してもかまわない。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
以下、図1に記載の層構成を例に、光記録媒体10の各層とその形成方法について説明する。
(データ記録層18)
データ記録層18は、記録及び再生に使用されるレーザ光により情報の記録及び再生が行われる層である。特に、デジタル情報等の符号情報(コード化情報)が記録される。データ記録層18としては、色素記録層でも相変化型記録層でもよいが、色素記録層が好ましい。
データ記録層18に含有される色素の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、トリアゾール化合物(ベンゾトリアゾール化合物を含む)、トリアジン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、桂皮酸化合物、ベンゾオキサゾール化合物、ピロメテン化合物、スクアリリウム化合物等が挙げられる。なお、これらは配位中心に金属原子を持っていてもよい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、及び特開2000−158818号公報等に記載されている色素を用いることも可能である。
上記化合物の中では、光記録媒体が「CD−R」の場合、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素が好ましく、「DVD−R」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素(Ni、Co錯体を含む)、ピロメテン化合物が好ましく、「ブルーレイディスク及びHD−DVD」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物が好ましい。
また、「CD−R」の場合、シアニン色素、アゾ色素、フタロシアニン色素がさらに好ましく、「DVD−R」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素(Ni、Co錯体を含む)がさらに好ましく、「ブルーレイディスク及びHD−DVD」の場合、シアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、フタロシアニン色素がさらに好ましい。
データ記録層18は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を第1基板16上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
データ記録層18の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、又は溶剤塗布等の方法によって行うことができるが、溶剤塗布が好ましい。この場合、前記色素等の他、さらに所望によりクエンチャー、結合剤等を溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより行うことができる。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子を挙げることができる。
データ記録層18の材料として結合剤を併用する場合、結合剤の使用量は、一般に色素の質量の0.01倍量〜50倍量の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量の範囲にある。
前記溶剤の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。データ記録層は単層でも重層でもよい。データ記録層の層厚は一般に10〜500nmの範囲にあり、好ましくは15〜300nmの範囲にあり、より好ましくは20〜150nmの範囲にある。
データ記録層18には、該データ記録層18の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に、一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、通常、色素の質量の0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
また、データ記録層18が相変化型の場合は、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、In、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料からなることが好ましい。この種の光記録材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金、等が挙げられる。中でも、多数回の書き換えが可能であることから、Ge−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金が好ましい。相変化型のデータ記録層18の層厚としては、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい。
以上の相変化型のデータ記録層18は、スパッタ法、真空蒸着法等の気相薄膜堆積法等によって形成することができる。なお、必要に応じ、データ記録層18上に公知の誘電体層を形成するようにしてもよい。
(可視情報記録層24)
光記録媒体10は、上述したように、データ記録層18に比して第2基板22(カバー層を含む)側に近接する位置に可視情報記録層24を有する。この可視情報記録層24には、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視情報が記録される。ここで、可視情報とは、視覚的に認識可能な画像を意味し、文字(列)、絵柄、図形等のあらゆる視認可能な情報を含む。
可視情報記録層24に記録される可視情報としては、文字、図形、絵柄等、ユーザが所望する可視画像が含まれ、具体的には、ディスクのタイトル、内容情報、内容のサムネール、関連した絵柄、デザイン的な絵柄、著作権情報、記録日時、記録方法、記録フォーマット、バーコード等が挙げられる。
また、文字情報としては、使用可能者指定情報、使用期間指定情報、使用可能回数指定情報、レンタル情報、分解能指定情報、レイヤー指定情報、ユーザ指定情報、著作権者情報、著作権番号情報、製造者情報、製造日情報、販売日情報、販売店または販売者情報、使用セット番号情報、地域指定情報、言語指定情報、用途指定情報、製品使用者情報、使用番号情報等が挙げられる。
可視情報記録層24は、レーザ光の照射により、文字、画像、絵柄等の可視情報を視認可能に記録できればよい。レーザ光の照射によって可視情報を明瞭に形成できることを考慮すると、可視情報記録層24は、色素化合物を含有することが好ましい。そして、その構成材料としては、上述したデータ記録層18において説明した色素を好適に用いることができる。この場合、コストなどを考慮して、可視情報記録層24は色素化合物を含有する塗布液を用いてスピンコートにより形成されていることが好ましい。
また、光記録媒体10においては、既述のデータ記録層18の構成成分(色素又は相変化記録材料)と可視情報記録層24の構成成分とが同一であっても相違していてもよいが、データ記録層18と可視情報記録層24とでそれぞれ要求される特性が異なるため、構成成分も相違させる方が好ましい。具体的には、データ記録層18の構成成分は記録・再生特性に優れるものとし、可視情報記録層24の構成成分は記録情報のコントラストが高くなるものとすることが好ましい。特に、色素を用いる場合、可視情報記録層24には、記録情報のコントラスト向上の観点から、上述した色素の中でも特に、シアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体、オキソノール色素を用いることが好ましい。
また、ロイコ系の染料も使用することができる。具体的には、クリスタルバイオレットラクトン;3,3−ビス(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等のフタリド化合物;3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのフルオラン化合物;等が好ましい。
可視情報記録層24は、上述した色素を溶剤に溶解して塗布液を調製し、該塗布液を塗布することによって形成することができる。溶剤としては既述のデータ記録層18の塗布液の調製に使用する溶剤と同じ溶剤を使用することができる。その他の添加剤、塗布方法などは、上述したデータ記録層18の場合と同様である。
可視情報記録層24の層厚としては、0.01〜50μmとすることが好ましく、0.02〜20μmとすることがより好ましく、0.03〜5μmとすることがさらに好ましい。
可視情報記録層24は、所定パワーのレーザ光が略同一の軌跡に複数回照射されて可視情報が記録される層、あるいは、所定パワーのレーザ光が光記録媒体の半径方向に揺動し、かつ、略同一の軌跡に複数回照射されて可視情報が記録される層であることが好ましい。
(第1基板16)
第1基板16は、従来の光記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。
基板材料としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン及びポリエステル等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状として又は剛性のある基板として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び価格等の点からポリカーボネートが好ましい。
第1基板16の厚さは、0.05〜1.2mmとすることが好ましく、0.1〜1.1mmとすることがより好ましい。
第1基板16には、トラッキング用の案内溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。
DVD−R又はDVD−RWの場合は、プリグルーブのトラックピッチは、300〜900nmの範囲とすること好ましく、350〜850nmとすることがより好ましく、400〜800nmとすることがさらに好ましい。
また、プリグルーブの深さ(溝深さ)は、100〜160nmの範囲とすることが好ましく、120〜150nmとすることがより好ましく、130〜140nmとすることがさらに好ましい。さらに、プリグルーブの溝幅(半値幅)は、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、230〜380nmとすることがより好ましく、250〜350nmとすることがさらに好ましい。
一方、より高い記録密度を達成するために、従来のDVD−R等に比べて、より狭いトラックピッチのグルーブが形成された基板を用いてもよい。この場合、グルーブのトラックピッチは、280〜450μmの範囲にとすることが好ましく、300〜420nmの範囲とすることがより好ましく、320〜400nmとすることがさらに好ましい。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、15〜150nmの範囲とすることが好ましく、25〜100nmの範囲とすることがより好ましい。また、グルーブの溝幅は、50〜250nmの範囲とすることが好ましく、100〜200nmの範囲とすることがより好ましい。
CD−R等の場合、グルーブのトラックピッチは、1.2〜2.0μmの範囲とすること好ましく、1.4〜1.8μmとすることがより好ましく、1.55〜1.65μmとすることがさらに好ましい。グルーブの深さ(溝深さ)は、100〜250nmの範囲とすることが好ましく、150〜230nmとすることがより好ましく、170〜210nmとすることがさらに好ましい。プリグルーブの溝幅は、400〜650nmの範囲とすることが好ましく、480〜600nmとすることがより好ましく、500〜580nmとすることがさらに好ましい。
データ記録層18が設けられる側の第1基板16の表面側(グルーブが形成された面側)には、平面性の改善、接着力の向上及び記録層の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;及びシランカップリング剤等の表面改質剤等を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
(第1反射層20及び第2反射層26)
情報の再生時における反射率の向上の目的で、データ記録層18及び可視情報記録層24に隣接して第1反射層20及び第2反射層26が設けられることが好ましい。第1反射層20及び第2反射層26の材料としての光反射性物質は、レーザ光に対する反射率が高い物質を用いることが好ましい。その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼、半導体材料等を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。
上記材料の中で好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、Al金属あるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag合金(Ag−Nd−Cu及びAg−Pd−Cu)である。
第1反射層20及び第2反射層26は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより、データ記録層18上及び第2基板22上に形成することができる。第1反射層20及び第2反射層26の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
(接着層28)
接着層28は、DVD等の貼り合わせ型の光記録媒体を作製する際に、積層体同士又は、第1基板16を含む第1積層体12と第2基板22を含む第2積層体14とを接着して貼りあわせるために設けられる。接着層28を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のSD−640、SD−661、ソニーケミカル(株)製のSK6100、SK6300、SK6400を挙げることができる。また、接着層28の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜100μmの範囲が好ましく、5〜60μmの範囲がより好ましく、20〜55μmの範囲が特に好ましい。
(保護層:図示せず)
保護層は、水分の侵入やキズの発生を防止するために設けられる任意の層である。保護層を構成する材料としては、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、なかでも紫外線硬化樹脂であることが好ましい。該紫外線硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「SD−640」等の紫外線硬化樹脂を挙げることができる。また、SD−347(大日本インキ化学工業社製)、SD−694(大日本インキ化学工業製)、SKCD1051(SKC社製)等を使用することができる。保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
(第2基板22)
第2基板22の粗面化処理については詳述したので、ここではその重複説明を省略する。
基板粗面化面30を有する第2基板22は、貼り合わせ型の光記録媒体10の場合に、第1基板16に対向して設けられる。材質としては、前述の第1基板16と同一材質のものを使用することができる。また、第1基板16と同様、可視情報記録層24が形成される面側には、何ら溝を設けなくてもよい。第2基板22の厚さは、0.05〜1.2mmとすることが好ましく、0.1〜1.1mmとすることがより好ましく、0.5〜0.7mmとすることがさらに好ましい。
第2基板22がカバー層である場合の当該カバー層は、一般的には、データ記録層18、可視情報記録層24等を物理的及び化学的に保護する目的で設けられるが、本実施の形態では、以上の目的のほかに、可視情報記録層24側のカバー層を粗面化することで、可視情報の視認性を向上させている。カバー層の層厚は、10nm〜5μmの範囲にあることが好ましい。
また、カバー層として、ポリカーボネートや三酢酸セルロースからなる透明シートを用いてもよい。この場合の透明シートの厚みは、0.01〜0.2mmとすることが好ましい。透明シートの可視情報記録層24側の粗面化処理としては、既述のスタンパによる粗面化処理を適用することが好ましい。
以上のようにして粗面化された第2基板22は、上述したように、一方の面上に少なくとも可視情報記録層24及びデータ記録層18がこの順で形成される光記録媒体10の基板として使用される。
なお、この第2基板22は、光記録媒体10以外に、可視情報記録層24を有し、当該可視情報記録層24に対して光により可視情報を形成可能な光学部材にも使用できる。すなわち、この光学部材は、基板における粗面化面上に少なくとも可視情報記録層が形成されて構成される。このような光学部材としては、例えば、シール等が例示される。
また、本実施の形態に係る光記録媒体10においては、第2基板22上に隣接して形成される中間層の可視情報記録層24側の面を粗面化して粗面化面としてもよい。中間層の可視情報記録層24側の面を粗面化する場合には、必ずしも第2基板22に基板粗面化面30を設けなくてもよい。このような中間層としては保護層があり、例えば、UV硬化樹脂から構成される保護層が挙げられる。
[記録方法]
本実施の形態に係る光記録媒体10の可視情報記録層24への可視情報記録は、具体的には、本実施の形態に係る光記録媒体10と、少なくとも該光記録媒体10の可視情報記録層24への可視情報の記録が可能な記録装置とを用いて行う。
例えば光記録媒体10において、可視情報記録層24への可視情報の記録、及びデータ記録層18への光情報の記録は、両層への記録機能を有する1つの光記録媒体ドライブ(記録装置)で行うことができる。このように1つの光記録媒体ドライブを使用する場合、可視情報記録層24及びデータ記録層18のいずれか一方の層への記録を行った後、裏返して他方の層に記録を行うことができる。可視情報記録層24への可視情報の記録をする機能を有する光記録媒体ドライブとしては、例えば、特開2002−203321号公報、特開2003−203348号公報、特開2003−242750号公報等に記載されている。
特に、本実施の形態では、プリピット34を検出することによって、当該光記録媒体10が可視情報記録層24を有する光記録媒体10であるかを容易に検出することができ、また、プリピット34に含まれる情報に基づいて、可視情報記録層24に可視情報を描画する際のレーザ出力を最適な出力に設定することができ、しかも、可視情報を高い描画特性をもって記録することができる。なお、プリピット34の組み合わせにて示される情報としては、その他に製造者情報などが挙げられる。
なお、本発明に係る光記録媒体用スタンパの製造方法、光記録媒体用スタンパ、基板の製造方法、基板、光記録媒体の製造方法及び光記録媒体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係る光記録媒体の一例を一部省略して示す断面図である。 変形例に係る光記録媒体を示す平面図である。 光記録媒体におけるプリピット領域の部分を拡大して示す断面図である。 本実施の形態に係るマスタスタンパの一例を一部省略して示す断面図である。 本本実施の形態に係る製造方法を示す製造工程図である。 図6Aは本実施の形態に係る製造方法で用いられる金属原盤を示す断面図であり、図6Bはその一部を拡大して示す断面図である。 図7Aは金属原盤上に導電リングを載置した状態を示す断面図であり、図7Bはその一部を拡大して示す断面図である。 導電リングを示す斜視図である。 第1の変形例に係る導電リングを金属原盤上に載置した状態を示す断面図である。 第2の変形例に係る導電リングを金属原盤上に載置した状態を示す断面図である。 第3の変形例に係る導電リングを金属原盤上に載置した状態を示す断面図である。 第4の変形例に係る導電リングを金属原盤上に載置した状態を示す断面図である。 押さえ治具によって導電リングを金属原盤に押さえ付けた状態を示す断面図である。 導電リングの一主面の一部、導電リングの内面及び金属原盤の一主面の一部にかけて第1金属層をNi電鋳によって形成した状態を示す断面図である。 金属原盤を取り外して原版スタンパとした後、該原版スタンパに対してブラスト処理を行っている状態を示す断面図である。 図15の一部を拡大して示す断面図である。 図17Aは第1方法において押さえ治具によって導電リングを金属原盤に押し付けた状態を示す断面図であり、図17Bは導電リングの内周面の一部と金属原盤の一主面の一部にかけて金属層をNi電鋳によって形成した状態を示す断面図である。 図18Aは金属原盤を取り外して原版スタンパとした後、該原版スタンパに対してブラスト処理を行っている状態を示す断面図であり、図18Bは原版スタンパの構成部材である金属層が導電リングから外れて金属板とされた状態を示す断面図であり、図18Cは金属板へのブラスト処理によって金属板が大きく変形した状態を示す断面図である。 図19Aは第2方法において押さえ治具によって金属原盤を押さえ付けた状態でNi電鋳を行って金属原盤の一主面の一部に金属層を形成した状態を示す断面図であり、図19Bは金属原盤を取り外して原版スタンパ(金属板)とした後、該金属板に対してブラスト処理を行っている状態を示す断面図であり、図19Cは金属板へのブラスト処理によって金属板が大きく変形した状態を示す断面図である。 本実施の形態に係る製造方法において、Ni電鋳によって第1金属層の一主面の一部と、導電リングの他主面の一部にわたって第2金属層を形成した状態を示す断面図である。 図21Aは第2金属層を原版スタンパの一主面から取り外して第2金属層による金属製の第2版スタンパを作製した状態を示す断面図であり、図21Bはその一部を拡大して示す断面図である。 第2版スタンパを用いてNi電鋳を行って、第3版スタンパを作製した状態を示す断面図である。 第3版スタンパを用いてNi電鋳を行って、第4版スタンパを作製した状態を示す断面図である。
符号の説明
10、10a…光記録媒体 12…第1積層体
14…第2積層体 22…第2基板
24…可視情報記録層 26…第2反射層
30…基板粗面化面 32…プリピット領域
34…プリピット 40…マスタスタンパ
42…ピット形成部 44…スタンパ粗面化面
46…金属原盤 48…第1ピット形成部
52、52A…導電リング 54…段差
56…内周面 60…テーパ面
66…第1金属層 68…第1粗面化面
70…第2ピット形成部 76…原版スタンパ
92…第2版スタンパ 98…第3版スタンパ
104…第4版スタンパ

Claims (10)

  1. 光記録媒体を構成する基板を粗面化する際に使用される光記録媒体用スタンパの製造方法であって、
    電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、
    前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  2. 請求項1記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記電鋳処理工程は、
    金属原盤の一主面に、中央部に孔が形成された導電リングを載置する工程と、
    前記金属原盤のうち、前記導電リングの孔から露出する面と、前記導電リングの内周面と、前記導電リングの一主面の一部にわたって金属層を電鋳によって形成する工程とを有することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  3. 請求項2記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記導電リングの内周面は、段差面を有することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  4. 請求項2又は3記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記導電リングの前記孔の内周面は、テーパ面を有することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記ブラスト処理工程は、前記金属原盤を取り外して、前記導電リングと前記金属層からなる複合部材とした後、該複合部材の前記金属層のうち、前記導電リングの孔から露出する面の全部又は一部をブラスト処理によって粗面化することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  6. 請求項5記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記ブラスト処理工程は、前記金属層のうち、前記導電リングの孔から露出する面の全部又は一部を、ガラスビーズによってブラスト処理することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  7. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記金属原盤の前記一主面の一部に、前記光記録媒体にプリピットを形成するためのピット形成部が形成されていることを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録媒体用スタンパの製造方法において、
    前記原版スタンパの前記粗面化された金属層に別の金属層を電鋳によって形成して、前記別の金属層による第2版スタンパを作製する複版作製工程を有することを特徴とする光記録媒体用スタンパの製造方法。
  9. 可視情報が記録される可視情報記録層を有する光記録媒体のための光記録媒体用基板の製造方法において、
    一主面の全部又は一部が粗面化されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、
    作製された前記スタンパによって一主面の全部又は一部が粗面化された基板を作製する基板作製工程とを有し、
    前記スタンパ作製工程は、
    電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、
    前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする光記録媒体用基板の製造方法。
  10. 基板と、前記基板上に形成され、可視情報が記録される可視情報記録層とを有する光記録媒体の製造方法において、
    一主面の全部又は一部が粗面化されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、
    作製された前記スタンパによって一主面の全部又は一部が粗面化された基板を作製する基板作製工程と、
    作製された基板上に前記可視情報記録層を形成する可視情報記録層形成工程とを有し、
    前記スタンパ作製工程は、
    電鋳によって厚み300μm以上の金属層を作製する電鋳処理工程と、
    前記金属層の一主面の一部をブラスト処理によって粗面化して原版スタンパを作製するブラスト処理工程とを有することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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