JP2008151591A - 水分の検出方法および成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成膜時にチャンバ雰囲気に全く影響を与えずにチャンバ内の水をモニターすること。
【解決手段】 基板に成膜を行うためのチャンバを有した成膜装置において、該チャンバ内の水分量を検出する方法であって、
前記水分量の検出は、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を前記チャンバ内に導入する工程と、前記導入した電磁波を検出する工程を含み、前記検出した電磁波の水のスペクトルピークに基づいて水分量を検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板に成膜を行うためのチャンバを有した成膜装置において、該チャンバ内の水分量を検出する方法であって、
前記水分量の検出は、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を前記チャンバ内に導入する工程と、前記導入した電磁波を検出する工程を含み、前記検出した電磁波の水のスペクトルピークに基づいて水分量を検出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、真空下で基板上に有機材料及び無機材料の膜を成膜する成膜装置に関するものである。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子)や有機薄膜トランジスタ(以下有機TFT)に代表されるような、有機材料を用いたデバイスの研究が精力的に行われている。
とりわけ有機EL素子は、自発光型素子であるために、液晶表示素子のようなバックライトが不要であることや視野角が広い等の理由から、小型携帯端末の表示素子だけでなく、フラットディスプレイへの応用も期待されており、実用化への研究が行われている。
有機EL素子は、基板上に形成された電極(陽極、陰極)間に有機の発光層が形成された構成を採用している。その有機発光層に検討されている材料としては、低分子有機材料や高分子有機材料があるが、低分子有機材料を用いる際の成膜法としては、真空蒸着装置を用いた蒸着法で成膜する手法が一般的である。
有機EL素子において、良好な素子を作製するためには、水分について十分に留意する必要がある。例えば、水分が成膜時に存在すると、有機ELでは、有機材料自体が変質したり、ダークスポットと称する非発光領域が生じたりと発光不良の原因となってしまう。
有機EL素子の作製においては、特許文献1にはマイクロ波を用いて基板からの水分除去を行う技術が開示されている。また、特許文献2には完成されたパネル内部での水分の影響を極力排除するように乾燥剤を配置する技術が開示されている。このように従来から水に対する配慮が各種行われている。
特開2003−268545号公報
特開2000−357587号公報
例えば先行技術では、成膜を行う前の基板の処理や、パネル完成後の外部から有機膜への水の侵入を防ぐものであるが、完成後だけでなく成膜時の水分の管理は非常に重要である。膜中に一度水分が混入してしまうと、水分を除去するためには、一般には、成膜室を高温でベーキングすることや、基板を加熱する手法等が行われる。しかし、有機膜では、膜のダメージの問題から、水分を十分に除去できる温度まで高温にすることができない。
そのため成膜の際には、極力水分が排除された状態の原料を蒸着源に用いることや、基板加熱を行いながら成膜することなど、通常は成膜時の水分管理は十分配慮されている。成膜チャンバの水分量をモニターするにあたっては、四重極形質量分析計(以下QMASS)が一般に用いられる。QMASSを用いるとチャンバ内部に存在する分子を調べることができ、水の存在がわかる。
よって成膜時に常にQMASSを作動させた状態でチャンバの雰囲気をモニターしておけば、成膜チャンバ内の水分圧が上昇した場合に、事前に知ることができ、あえて水分を含有しているような状態の膜を作成する恐れがなくなる。QMASSはその他真空チャンバ内部に存在する分子も調べることができ、成膜装置には有効な測定器である。
しかしながらQMASSは、その原理からチャンバ内部のガスをイオン化させる必要があるため、チャンバ雰囲気に影響を与える。そのような事情から、成膜時にチャンバ雰囲気に全く影響を与えずにチャンバ内の水をモニターする方法が望まれていた。また、QMASSではモニターしている部位がチャンバ内部であるが、サンプリングする場所(チャンバ内)と分析を行う場所(チャンバ外)とが離れている。従って、サンプリングしたガスを分析装置に導入するまでに、反応が活性なガスの場合にはガス中の組成が変化する場合がある。また、ガスをサンプリングする場所は堆積膜を形成している場所から一定の距離離れていることが一般的である。この結果実際に成膜されている膜自体の様子を選択的に調べることはできない場合がある。
本発明は、上述した課題を解決するために鋭意検討を行ってなされたものであり、以下に述べる構成のものである。
すなわち、本発明にかかる成膜装置内部の水分の検出方法および成膜装置では、
基板に成膜を行うためのチャンバを有した成膜装置において、該チャンバ内の水分量を検出する方法であって、
前記水分量の検出は、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を前記チャンバ内に導入する工程と、前記導入した電磁波を検出する工程を含み、前記検出した電磁波の水のスペクトルピークに基づいて水分量を検出することを特徴とするものである。
基板に成膜を行うためのチャンバを有した成膜装置において、該チャンバ内の水分量を検出する方法であって、
前記水分量の検出は、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を前記チャンバ内に導入する工程と、前記導入した電磁波を検出する工程を含み、前記検出した電磁波の水のスペクトルピークに基づいて水分量を検出することを特徴とするものである。
また、前記テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波で検出する部位が成膜装置内部である場合や、成膜される膜であることを特徴とするものである。
また、前記テラヘルツ領域の周波数帯として、0.5THz以上2THz以下の周波数帯域の電磁波を用いることを特徴とするものである。
さらに、本発明の成膜装置は、基板に成膜を行うためのチャンバと、
該チャンバ内の水分量を検出するための手段と、
を有した成膜装置であって、
前記水分量を検出するための手段が、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を用いて水分量を検出する手段であることを特徴とするものである。
該チャンバ内の水分量を検出するための手段と、
を有した成膜装置であって、
前記水分量を検出するための手段が、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を用いて水分量を検出する手段であることを特徴とするものである。
以上説明したように、本発明では、真空蒸着を行って成膜を行う成膜装置の内部の水分圧を外部からモニターすることが可能である。有機ELのような成膜時の水分圧がデバイスの特性に影響するような系に対しては、異常を事前に知ることが可能となる。結果として特性がよくない素子を作製することはなくなり、非常に有効であることがわかった。
本説明では主として有機膜について説明を行ったが、無機系の成膜においても低温の成膜で水分が問題となるような系においても本発明は適用可能である。
以下に本発明の好ましい実施の形態を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に本発明による成膜装置の概略図を示す。真空チャンバ1内には、成膜する基板6を支持する支持台(不図示)、および蒸着源2が存在する。成膜する材料によっては蒸着源が複数個存在する場合もある。また前記真空チャンバ内部を所定の圧力に真空吸引するために必要な真空ポンプ3が接続されている。
さらに、真空チャンバ1には、本発明において水分を検出するために用いられるテラヘルツ領域の電磁波を発生させるテラヘルツ電磁波発生部4および検出を行うテラヘルツ電磁波検出部5とが備えられている。
テラヘルツ電磁波発生部4は、テラヘルツ領域の電磁波を発生させる発生源および発生したテラヘルツ電磁波を真空チュンバー1内へ導入する光学系から構成される。
一般的に理解されているテラヘルツ電磁波とは、1THz付近の周波数領域の電磁波(1THz=300μm=4.1meV=33cm−1)をさす。より具体的には周波数100GHz(0.1THz)以上10THz以下(波長3mm以上30μm以下)の電磁波をいう。
しかしながら本発明では、水分の検知を目的としており、その中でも0.5THz以上2THz以下の周波数帯域の電磁波を用いることで効果が見出される。
テラヘルツ電磁波を発生させる方式としては、光伝導スイッチを用いたフェムト秒レーザー励起によるテラヘルツ電磁波発生方式が知られている。また、2つのレーザー周波数を用いた差周波によるテラヘルツ電磁波発生、更には非線形素子を用いたパラメトリック発振器によるテラヘルツ電磁波発生法等が知られている。(Terehertz−Parametric−Oscillator:TPO)そして、これらの方式から適当なものが選択可能である。
テラヘルツ光を用いた分光で近年よく用いられているのが、光スイッチを用いたテラヘルツ時間領域分光法であり、THz−TDSを用いるのが本発明において、一番好ましい(以下THz−TDS:Terahertz Time Domain Spectroscopyと記す)。
図2にはTHz−TDSで用いられる代表的な光学系を示す。ここでは、フェムト秒光パルスによって光スイッチを励起させる例を示す。
フェムト秒レーザー光源#10から放射された光が、光スイッチ11を励起すると、それと同期してTHzパルスが発生する。光スイッチの基板側には通常高抵抗Siの半球レンズ等を接触させて、ビームの拡がりをおさえる。更に放物面鏡でコリメートして伝搬させた後、試料12に照射させる。試料以降は試料面に対して面対称な光学系により、受信器の光スイッチ13のアンテナ部に集光させる。またTHzパルス波を発生させるフェムト秒光パルスの一部を分岐し、時間遅延を与えた後(14)、受信用の光スイッチ部にトリガーをかける。そしてサンプリングによって受信器に入射したテラヘルツパルス波を受信する。最後に受信後の信号を処理することによって、テラヘルツ分光スペクトルを得る。
また、テラヘルツ発生部4の光源として、従来遠赤外分光の光源として用いられている水銀ランプを利用することも可能であり、その際はテラヘルツ電磁波検出部5としてマイケルソン型干渉計などの分光器との組み合わせが必要となる。この組み合わせにおいては1THz以上2THz以下程度の周波数帯域の検出になる。
上述した測定系などを用いて、真空チャンバ内のテラヘルツスペクトルを得ることができる。次に本発明で検知するテラヘルツスペクトルの処理について説明する。
テラヘルツ領域の水のスペクトルは、0.5THz以上1.5THz以下の周波数帯域で特徴的なピークが観測される。具体的には0.6THz、0.75THz、1.0THz近傍の3本の吸収が特徴的であり、この3本を元に真空チャンバ内部中の水分をモニターする。
例えばこの3本のうちの1本の強度変動に注目する、或いは3本すべてに注目する、さらには1.5THz以下のスペクトルの積分強度等に注目することで水分のモニターを行うことが可能となり、これらは適宜選択する。
ここで得られた結果は真空チャンバに付属の制御装置9で監視されており、水分上昇等が検知された場合には、成膜を中止する、またはその情報を外部に出力する、あるいは水分を何らかの方法で除去することが行われる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。本発明はかかる具体的形態に限定されるものではない。
(実施例1)
有機ELの成膜に本発明を適用した例を示す。
有機ELの成膜に本発明を適用した例を示す。
ガラス基板上に、陽極としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板とし、これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
正孔輸送材料としてポリビニルカルバゾールをスピナーでウエットコーテイングし、厚さ100nmの正孔注入層を形成した。
次に有機発光層のAlq3を図1の成膜装置を用いて真空蒸着法にて形成した。Alq3は真空中で50nmの厚さのものを形成した。成膜時の蒸着速度は0.3nm/秒とした。
このAlq3の成膜時に4のテラヘルツ電磁波発生部として図2で説明したものと同様のフェムト秒レーザー光を用いてチャンバ内部の水分圧を検知した。光スイッチとして低温成長GaAs薄膜を用いた。この光スイッチから放射された光は真空チャンバ1の窓7からチャンバ内に導入されて、再び窓8を通して、外部に導かれ、最終的にテラヘルツ受信器5にて検出される。図中には省略してあるが、本実施例でのテラヘルツスペクトルの測定は、THz−TDSの原理に基づいて行ったので、遅延ライン等が別途設けてある。
成膜中、テラヘルツスペクトルを測定し、変動等の情報を全て制御装置9にて解析した。成膜時に常にこの機構にてチャンバ内の水分圧をモニターしながら、計50枚成膜を実施した。この中で2枚、成膜中の水分圧の上昇が確認されたのでその成膜は中止し、成膜チャンバのベーキング処理等を施した。
特に成膜時に異常がなかった素子に対しては、Alq3膜の上面に陰極としてAlとLiを蒸着速度比3:1で20nm形成した後、Alのみさらに200nm積層した。
素子を発光させて得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして正孔注入層、有機発光層を形成した。有機発光層成膜時のチャンバ内雰囲気は特にモニターせずに電極を形成した。有機発光層以降は実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様にして正孔注入層、有機発光層を形成した。有機発光層成膜時のチャンバ内雰囲気は特にモニターせずに電極を形成した。有機発光層以降は実施例1と同様に作製した。
素子を発光させ、得られた結果を表1に示す。
比較例1では、成膜時の水分圧をモニターせずに素子の作製をおこなったために、結果として、水分圧が若干上昇したことを認識できずに最終的な素子ができあがってしまったために、結果としてダークスポットが発生する素子ができてしまった。また、水分圧の影響のため、素子の平均的な初期輝度も若干低めであった。
一方において、実施例1では、成膜時の水分圧を常に監視して、水分圧が上昇した際に成膜された素子はその時点で作製を中止し適度な処置等を施すことができたため、結果としてダークスポットが発生するような素子が作製されることはなく、平均的な初期輝度も良好であった。
1 真空チャンバ
2 蒸着源
3 真空ポンプ
4 テラヘルツ電磁波発生部
5 テラヘルツ電磁波検出部
6 基板
7、8 窓
9 制御装置
10 フェムト秒レーザー
11 光スイッチ
12 試料
13 光スイッチ
14 遅延ステージ
2 蒸着源
3 真空ポンプ
4 テラヘルツ電磁波発生部
5 テラヘルツ電磁波検出部
6 基板
7、8 窓
9 制御装置
10 フェムト秒レーザー
11 光スイッチ
12 試料
13 光スイッチ
14 遅延ステージ
Claims (5)
- 基板に成膜を行うためのチャンバを有した成膜装置において、該チャンバ内の水分量を検出する方法であって、
前記水分量の検出は、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を前記チャンバ内に導入する工程と、前記導入した電磁波を検出する工程を含み、前記検出した電磁波の水のスペクトルピークに基づいて水分量を検出することを特徴とする水分の検出方法。 - 請求項第1項記載のテラヘルツ領域の周波数を有する電磁波で検出する部位が成膜装置内部であることを特徴とする水分の検出方法。
- 請求項第1項記載のテラヘルツ領域の周波数を有する電磁波で検出する部位が成膜装置内部で成膜される膜であることを特徴とする水分の検出方法。
- 前記テラヘルツ領域の周波数帯として、0.5THz以上2THz以下の周波数帯域の電磁波であることを特徴とする請求項1から3に記載の水分の検出方法。
- 基板に成膜を行うためのチャンバと、
該チャンバ内の水分量を検出するための手段と、
を有した成膜装置であって、
前記水分量を検出するための手段が、テラヘルツ領域の周波数を有する電磁波を用いて水分量を検出する手段であることを特徴とする成膜装置。
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JP2006338675A JP2008151591A (ja) | 2006-12-15 | 2006-12-15 | 水分の検出方法および成膜装置 |
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-
2006
- 2006-12-15 JP JP2006338675A patent/JP2008151591A/ja not_active Withdrawn
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