JP2008150448A - インク、インクセット、該インク或いは該インクセットを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】1種類のインクによって得られた画像が良好な色調を維持しつつ、ガス曝露後であっても色調変化が抑制されること、を第一の課題とし、複数のインクを組み合わせて形成したインク混色により得られた画像が良好な色調を維持しつつ、ガス曝露後の色調変化が抑制されていること、を第二の課題とする。
【解決手段】第一の色材と第二の色材を含有するインクにおいて、該第二の色材が第一の色材の色を補う褪色特性を有することを特徴とするインク、当該インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法及びインクカートリッジ。
【選択図】なし
【解決手段】第一の色材と第二の色材を含有するインクにおいて、該第二の色材が第一の色材の色を補う褪色特性を有することを特徴とするインク、当該インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法及びインクカートリッジ。
【選択図】なし
Description
本発明は、特にインクジェット用インクとして有用な、画像堅牢性の高い、特に耐ガス性に優れた画像を与えるインク、インクセット、及び、当該インク或いはインクセットを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジに関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を、普通紙や専用光沢メディア上に飛翔させ、画像を形成する記録方法であり、その低価格化、印字速度の向上により、普及が急速に進んでいる。また、その記録物の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴って、インクジェットプリンタユーザーの多くは、銀塩写真と同等の品質を実現した記録物の出力を要求している。
インクジェット記録物の品質が銀塩写真に匹敵するために必要とされる要件の一つとして、記録物の高い堅牢性が挙げられる。一般に、インクジェット記録物は、銀塩写真と比べ、その堅牢性が低く、記録物が、光、湿度、熱などに長時間曝された際に、記録物上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすい、といった問題があった。このため、インクジェット記録物の堅牢性の向上については、従来から数多くの技術改善の試みが為されている。
最近、画像堅牢性の中でも、空気中に存在する環境ガスに対する耐久性、所謂耐ガス性が重要視されている。特に、ブラックインクに関しては、高い耐ガス性の達成が求められている。なぜならば、ブラックインクはニュートラルな色調からガス曝露により色が変色するため、色度図上では他の色調のインクと同程度の変色であったとしても、目視では、より変色して見えるからである。さらに、ブラックインクよりも濃度の低い所謂グレーインクを用いた場合、その色調変化は一層顕著である。これらの問題に対して、例えば、耐ガス性を向上させる手段として、特定構造のアゾ色材を使用することが有効であることが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、インクジェット記録物の品質が銀塩写真に匹敵するために必要とされる他の要件の一つとして、記録物の良好な色調が挙げられる。良好な色調を実現させるには、単独色材の使用の場合のみならず、複数種の色材からなるインクによって達成させる場合もある。
特に、ブラックインクに関しては、ニュートラルな色調の記録物の形成が要求されるが、単独色材で、ニュートラルな色調のブラック画像を形成することは困難な場合がある。なぜならば、色材個々は、可視域のある一部の領域でのみ吸収を有するからである。したがって、例えば、複数の色材を混合させて、色調を調整することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
上記に挙げたような色材などを用いることで、近年のカラーインクやブラックインクによって形成される記録物は、色調が理想系に近づきつつあり、かつ、耐ガス性に対する性能が向上したものとなっている。しかしながら、使用する個々の色材の耐ガス性能に対して、色調調整のため複数の色材を混合した状態で得られた記録物の耐ガス性能は、予想されたものとは異なる場合があった。
そこで、本発明者らは、個々の色材で形成された記録物のガス曝露後の色調変化に着目し、それぞれの色材の色調変化と、それらを混合した際の色調変化の差異を詳細に研究した。
その結果、本発明者らは、(1)色材個々のガス曝露後の色調変化が同じ色方向であると、色材混合状態での色変化が大きくなる、(2)ガス曝露後の色調変化は明度の変化よりも、色相角や彩度の変化の方が影響が大きい、ことを解明した。
また、この現象は、上記のインク単独と、該インクに含有される色材の関係のみならず、複数インクの混色と、混色の際に使用される単独インク夫々でも同様の関係であることを解明した。
以上のことから、1種類のインクによって得られた画像が良好な色調を維持しつつ、ガス曝露後であっても色調変化が抑制されること、を本発明の第一の課題とする。また、複数のインクを組み合わせて形成したインク混色により得られた画像が良好な色調を維持しつつ、ガス曝露後の色調変化が抑制されていること、を本発明の第二の課題とする。
本発明者らは、上記した従来課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったものである。具体的には、以下のとおりである。
本発明の第1課題を解決するための第1発明は、第一の色材と第二の色材を含有するインクにおいて、該第二の色材が第一の色材の色を補う褪色特性を有することを特徴とするインクである。
本発明の第1課題を解決するための第1発明は、第一の色材と第二の色材を含有するインクにおいて、該第二の色材が第一の色材の色を補う褪色特性を有することを特徴とするインクである。
本発明の第2課題を解決するための第2発明は、第一のインクと併用されるインクであって、該インク中に、該第一のインクの褪色を補う褪色特性を有する水溶性色材を含有することを特徴とするインクである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも第一のインクと第二のインクの2種のインクが組み合わされてなるインクセットであって、該第一のインクと該第二のインクの一方が、他方のインクの褪色を補う褪色特性を有する水溶性色材を含有することを特徴とするインクセットである。
また、本発明の別の実施態様は、上記のインク又はインクセットを用いたインクジェット記録方法(好ましくは、サーマルインクジェットとして適用)、或いは、インクカートリッジである。
本発明によれば、特に、インクジェット記録用インクとして好適な、好ましい色味を持ち、かつ、耐ガス性に優れた記録物を与えるインク、及び、当該インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジが提供される。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。本発明は、一般インク及びそれを用いた記録全般に対して効果が発揮されるが、好ましくは、インクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた効果が発揮される。以下に、インクジェット用インクとして用いる場合を代表例として説明する。また、本発明においては、インクを構成する化合物が塩である場合、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
従来のインク設計手法では、少なくとも2種の色材を用いることで画像の色調設計を行う際に、初期画像の色調を調整させることのみで、色材の選択、インク中の色材濃度の決定を行っている。このため、画像堅牢性が、インク中に含有した単独色材のもつ個々の性能よりも劣ることが多かった。これに対し、本発明者らは検討の結果、一番目の色材の褪色を補う褪色特性を奏する二番目の色材を含有させるようにインクを設計することで、該インクにより形成した画像の耐ガス性などの堅牢性の劣化が抑制されることを解明した。以下、一番目の色材を第一の色材といい、二番目の色材を第二の色材という。この技術により、特定の褪色特性を示す2種の色材を選択し、これらをインクに使用することで、画像堅牢性が飛躍的に向上することを確認した。また、本発明は、第一の色材が初期画像の色調を実質支配している主たる色材であり、これと併用する第二の色材が、第一の色材の初期画像の色調を補助すると共に、第一の色材の褪色を補う褪色特性を奏する補助色材である構成としてもよい。
本発明で使用する各(初期)画像のCIELab色空間表示系による色調を得る方法を以下に示す。先ず、検討対象とする1種類の色材或いは複数種類の色材を含む色材濃度を3.5%に調製したインクをプリンタに装着し、記録媒体に50%デューティー印字を行う。その記録物を分光光度計で光源:D50、視野:2°の条件で測定し、CIELab値を得る。本発明で使用した褪色試験方法は、上記のインクを用いて得た記録物をオゾン試験装置に投入し、試験条件として、40℃、55%RH、オゾンガス濃度10ppm、の雰囲気下に4時間曝露する。
本発明で使用する褪色角度の認定方法を以下に示す。褪色試験前後の記録物の50%デューティー部を分光光度計で光源:D50、視野:2°の条件で測定する。そして、褪色前の色調(x0,y0)、褪色後の色調を(x,y)とした場合、(x0,y0)を原点として、x0を正方向に延長した線を0°とし、そこから反時計回りに(左回りに)回転させた角度を褪色角度(θ)とする(図1参照)。この褪色角度は、50%デューティー以外の使用デューティーでも変化しないことが好ましい。本発明のインクに使用する色材は、水溶性色材である場合に、褪色抑制に対してより高い効果を発揮する。なお、1種類の色材を含むインクについて、上記のようにして測定した値を、以下、夫々、その色材の色相角、或いは、その色材の褪色角度と呼ぶ。
本発明のインクが、例えば、カラーインクであり、かつ、併用する2種類の色材が、いずれも水溶性色材である場合について説明する。カラーインクの場合に使用する2種類の水溶性色材の関係については、インクとした場合に、彩度の高い画像を与え、かつ、画像の褪色を抑制させる効果を発揮させるものであることが重要となる。したがって、水溶性色材は2種とも(a*,b*)=(0,0)ではなく、以下の要件を満たす場合に好ましい効果が得られる。すなわち、第一の水溶性色材の色相角をA°とし、第二の水溶性色材の色相角をB°とし、さらに、第一の水溶性色材の褪色角度をD°とし、第二の水溶性色材の褪色角度をE°とした場合に、これらが、下記の要件を満たすようにする。すなわち、B°は、A°以上(A°+90°)未満の範囲内の値、(A°+270°)より大きく(A°+360°)未満の範囲内の値、のいずれかを示し、かつ、E°が、(D°+45°)以上(D°+315°)以下の範囲内の値を示すものとする。このように設計すれば、含有させる2種類の水溶性色材夫々の褪色がa*−b*平面において逆の方向となり、これらの水溶性色材の混合状態からなる本発明のインクは、褪色抑制に対して効果を発揮するものとなる。
上記のより好ましい実施の形態としては、下記の要件を満足する色材を併用してなるインクが挙げられる。2種の水溶性色材の褪色方向として、上記E°が、(D°+90°)以上(D°+270°)以下の範囲内の値である場合には、インクの褪色抑制に対して、より高い効果を発揮させることが可能となる。さらに好ましくは、上記E°が、(D°+135°)以上(D°+225°)以下の範囲内の値の場合である。また、2種の水溶性色材の初期画像の色相角との関係として、より好ましくは、上記B°が、A°以上(A°+45°)以下の範囲内の値、(A°+315°)以上(A°+360°)未満の範囲内の値、のいずれかとする。このようにすれば、色材混合による初期画像の彩度低下を抑制させることが可能となる。さらに好ましくは、B°が、A°以上(A°+30°)以下の範囲内の値、又は、(A°+330°)以上(A°+360°)未満の範囲内の値の場合である。本発明のインクを用いて画像を形成する場合の記録媒体としては、特に光沢媒体であることが好ましい。
本発明のインクが、例えば、ブラックインクであり、かつ、併用する2種類の色材が、いずれも水溶性色材である場合について説明する。ブラックインクの場合に使用する2種類の水溶性色材の関係については、インクとした場合に、彩度の低い画像を与え、かつ、特に高い褪色を抑制させる効果を発揮させることが重要となる。したがって、水溶性色材は2種類とも(a*,b*)=(0,0)ではなく、以下の要件を満たす場合に好ましい効果が得られる。すなわち、第一の水溶性色材の色相角をA°とし、第二の水溶性色材の色相角をB°とし、さらに、第一の水溶性色材の褪色角度をD°とし、第二の水溶性色材の褪色角度をE°とした場合に、これらが下記の要件を満たすようにする。すなわち、B°が、(A°+45°)以上(A°+315°)以下の範囲内の値を示し、かつ、E°が、(D°+45°)以上(D°+315°)以下の範囲内の値を示すものとする。このように設計すれば、含有させる2種類の水溶性色材夫々の褪色がa*−b*平面において逆の方向となり、これらの水溶性色材の混合状態からなる本発明のインクは、褪色抑制に対して効果を発揮することが可能となる。
上記のより好ましい実施の形態としては、下記の要件を満足するものが挙げられる。2種の水溶性色材の褪色方向として、上記E°が、(D°+90°)以上(D°+270°)以下の範囲内の値であると、インクの褪色抑制に対してより効果を発揮できる。さらに好ましくは、上記E°が、(D°+135°)以上(D°+225°)以下の範囲内の値の場合である。また、2種の水溶性色材の初期の色調として、上記B°が、(A°+90°)以上(A°+270°)以下の範囲内の値であると、インクの色調がよりニュートラルとなる。さらに好ましくは、B°が、(A°+135°)以上(A°+225°)以下の範囲内の値の場合である。
最近のブラックインクは、色調をよりニュートラルに近くすること、画像濃度を向上させること、さらに画像のメタメリズム(条件等色)向上、といった観点から、以前よりも、1種類のインクを形成する際に使用する水溶性色材の種類が増える傾向にある。以下、本発明のインクに併用する第一〜第三の3種類の色材が、いずれも水溶性色材である場合について説明する。インクの色調が良好で、かつ、形成した画像の褪色抑制に対してより効果を発揮させる3種の水溶性色材の関係は、下記のように構成して本発明のインクとすることが好ましい。すなわち、3種の色材が、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、下記の要件を満たすようにする。具体的には、第一、第二及び第三の水溶性色材の色相角の夫々は、0°以上90°未満の範囲内、90°以上180°未満の範囲内、180°以上270°未満の範囲内及び270°以上360°未満の範囲内、から選ばれる3つ以上の領域に入るようにする。さらに、各々の水溶性色材が褪色した際に、第一の水溶性色材、第二の水溶性色材及び第三の水溶性色材から選ばれる任意の2種の水溶性色材についての褪色角度の差が10°以上の値を示すようにする。このように構成することで、色調がよりニュートラルに近づき、かつ、褪色がa*−b*平面において逆の方向となるため、水溶性色材3種の混合状態からなるインクの褪色抑制に対して効果を発揮するものとなる。
また、上記した要件のうち、3種の水溶性色材から選択される任意の2種の色材についての褪色角度の差が15°以上の値であると、インクの褪色抑制に対して、より効果を発揮する。この2種の色材の褪色角度の差としては、より好ましくは30°以上の値、さらに好ましくは45°以上の値、最も好ましくは90°以上の値となる。
また、インクの色調をよりニュートラルに近くしたり、画像のメタメリズムを向上させる目的で水溶性色材を3種使用した場合でも、特にグレーインクといった画像濃度の薄いインクなどの場合は、僅かな褪色で画像のバランスが大きく崩れることがある。本発明者らは、特に褪色抑制に対してより効果を発揮させる水溶性色材の3種の関係に関しては、下記のように構成することが好ましいことを解明した。すなわち、第一の水溶性色材、第二の水溶性色材及び第三の水溶性色材で、夫々得られた各画像は、(a*,b*)=(0,0)ではなく、下記の要件を満たすようにする。具体的には、第一、第二及び第三の水溶性色材の色相角夫々は、0°以上90°未満の範囲内、90°以上180°未満の範囲内、180°以上270°未満の範囲内及び270°以上360°未満の範囲内から選択される2つ以上の領域に入るようにする。、さらに、各々の水溶性色材が褪色した際に、該第一の水溶性色材、該第二の水溶性色材、及び、該第三の水溶性色材の夫々の間の水溶性色材の褪色角度の差が、10°以上の値であると良い。
また、3種の水溶性色材のうち、3種の褪色角度の差として15°以上の値であるとインクの褪色抑制に対してより効果を発揮する。2種の褪色角度の差としては、より好ましくは30°以上の値、さらに好ましくは45°以上の値、最も好ましくは90°以上の値である。
さらに、本発明のインクが、第一及び第二の水溶性色材を含有するブラックなどのインクである場合において、2種の水溶性色材の関係が共に褪色がa*−b*平面において原点方向であると、インクの褪色が抑制されることが明らかとなった。したがって、第一の水溶性色材及び第二の水溶性色材で得られた画像は、(a*,b*)=(0,0)ではなく、下記の要件を満たす場合に、好ましい効果が得られる。具体的には、第一の水溶性色材の色相角をA°とし、第二の水溶性色材の色相角をB°とし、さらに、第一の水溶性色材の褪色角度をD°とし、第二の水溶性色材の褪色角度をE°とした場合に、これらが下記の要件を満たす場合である。すなわち、B°は(A°+45°)以上(A°+315°)以下の範囲内の値を示し、かつ、D°は(A°+135°)以上(A°+225°)以下の範囲内の値を示し、E°は(B°+135°)以上(B°+225°)以下の範囲内の値を示すようにする。このようにすることで、色調がよりニュートラルに近づき、かつ褪色が抑制される。
2種の水溶性色材の初期画像の色相角との関係として、B°が、(A°+90°)以上(A°+270°)以下の範囲内の値を示すと、よりニュートラルな色調が得られる。さらに好ましくは、B°が、(A°+135°)以上(A°+225°)以下の範囲内の値である。2種の水溶性色材の褪色角度の関係として、D°が、(A°+150°)以上(A°+210°)以下の範囲内の値を示し、かつ、E°が、(B°+150°)以上(B°+210°)以下の範囲内の値を示すことで、褪色が抑制される。
また、本発明者らが、ブラックインクについて、様々な画像で、好ましい黒色の濃度感及び色調を詳細に検討した結果、インクの色調が若干赤味を帯びたものである方がより黒く見えることが判明した。したがって、本発明のインクは、ブラックインクとする場合には、インクの色相角が0°以上90°以下、又は270°以上360°未満の範囲の値であることが好ましい。
また、本発明者らが、グレーインクについて、様々な画像で、好ましいグレー色を詳細に検討した結果、色調が(a*−b*)を中心としてある範囲内であると良いことが判明した。具体的には、本発明のインクは、特にグレーインクとした場合に、a*が、−5以上5以下、b*が、−5以上5以下の範囲の値であることが好ましい。
本発明のインクは、インクに含まれる複数の色材が、それぞれの色材単独の場合における耐ガス性が、より高いものであるほうが好ましい。したがって、2種の水溶性色材のオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)のいずれもが、いずれも15以下であることが好ましい。より好ましくはΔE(a*,b*)が10以下であり、さらに好ましくはΔE(a*,b*)が5以下である。
本発明では、黒色インクを2種以上有するインクセットにおいて、黒色画像濃度が一番高くなる以外のインク(すなわち、グレーインク)に、本発明の構成を有するインクを使用するように構成することが好ましい。特に、グレーインクによる画像濃度の薄いインクなどは、僅かな褪色で画像のバランスが大きく崩れるので、本発明の技術を使用した際の効果が絶大である。
本発明の技術は、単独インク中に含有させる複数の水溶性色材についての関係だけでなく、複数のインクによって形成される混合状態のインク画像の褪色を抑制することを達成させるための個々のインクの関係にも適用できる。つまり、第一のインクと、該第一のインクの褪色を補う褪色特性を奏する水溶性色材が含有されている第二のインクを併用することにより、二次色の褪色も抑制可能となる。
また、第一のインクの褪色角度をM°とし、第二のインクの褪色角度をN°とした場合に、N°が、(M°+45°)以上(M°+315°)以下の範囲内の値であることが好ましい。より好ましくは、N°が、(M°+90°)以上(M°+270°)以下の範囲内の値、さらに好ましくは、N°が、(M°+135°)以上(M°+225°)以下の範囲内の値を示すことで、単独インク夫々を逆方向に褪色させて二次色の褪色を抑制させる。
この発明は、3種以上のインクによる混色画像においても、併用する各インクの褪色方向を夫々逆方向にすることで、混色画像の褪色を抑制することが可能となる。例えば、本発明のシアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを組み合わせてなるインクセットでプロセスブラックを形成する場合、プロセスブラックの色相角が、0°以上90°以下、又は270°以上360°未満の範囲の値が、色調として好ましい。
また、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを組み合わせてなるインクセットでグレー画像を形成した場合、a*が、−5以上5以下、b*が、−5以上5以下の範囲の値が、グレー画像の好ましい色である。このような色は、本発明の技術を使用しないと肉眼での褪色による色調変化が目立つ色の領域であるが、本発明のインクセットを使用することで、良好な色調が維持できる画像の提供が可能となる。本発明のインクを使用することで、より好適な結果が得られるのは、a*が、−3以上3以下、b*が−5以上5以下の範囲で形成される画像の場合である。
また、3種以上のインクからなるインクセットで混色画像形成した場合、各インクにおけるオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)がいずれも15以下であることが好ましい。より好ましくは、上記ΔE(a*,b*)が10以下、さらに好ましくは、ΔE(a*,b*)が5以下である。
また、本発明のインクは、他の構成のインクと組み合わせて使用するインクセットのインクとしても有用である。インクセットとして組み合わせることのできる他のインクについての限定は特にない。本発明のインクは、含有させる複数の色材が上記したような構成を有するものであればよく、他の構成材料は、特に限定されず、従来と同様のものでよい。例えば、インクジェット記録用のインクとする場合には、上記構成の色材を、水性媒体に溶解或いは分散させればよい。以下、インクを構成する各成分について説明する。
(水溶性有機溶剤及び添加剤)
また、本発明のインクに使用できる水性媒体としては、例えば、水と水溶性有機溶剤との混合媒体が挙げられる。この際に使用できる好ましい水溶性有機溶剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノールなどのC1乃至C4アルカノール;
N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド;
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、
アセチレングリコール誘導体、トリメチロールプロパンなどのような多価アルコール類;
エチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;
尿素、及び、尿素誘導体などが好適な例として挙げられる。
また、本発明のインクに使用できる水性媒体としては、例えば、水と水溶性有機溶剤との混合媒体が挙げられる。この際に使用できる好ましい水溶性有機溶剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノールなどのC1乃至C4アルカノール;
N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド;
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、
アセチレングリコール誘導体、トリメチロールプロパンなどのような多価アルコール類;
エチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;
尿素、及び、尿素誘導体などが好適な例として挙げられる。
また、本発明のインクには、これ以外に、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有させてもよい。
これらのうちの界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを使用することができる。アニオン界面活性剤の具体的なものとしては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩;
N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩;
アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩;
アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体的なものとしては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などが挙げられる。両性界面活性剤の具体的なものとしては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体などがある。
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤の具体的なものとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、
ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系が挙げられる。市販されているアセチレングリコール系のノニオン界面活性剤としては、例えば、川研ファインケミカル社製アセチレノールEH、日信化学社製サーフィノール104、82、465、オルフィンSTGなど、が挙げられる。
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、
ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系が挙げられる。市販されているアセチレングリコール系のノニオン界面活性剤としては、例えば、川研ファインケミカル社製アセチレノールEH、日信化学社製サーフィノール104、82、465、オルフィンSTGなど、が挙げられる。
インクの添加剤に使用するpH調整剤としては、インクのpHを所定の範囲に制御できるものであれば任意の物質が使用できる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどのアルコールアミン化合物;
水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、或いは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、或いは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
インクの添加剤に使用する防腐、防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトチリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、
ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、
ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系などの化合物が挙げられる。
ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、
ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系などの化合物が挙げられる。
上記有機ハロゲン系化合物としては、例えば、ペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、上記ピリジンオキシド系化合物としては、例えば、2−ピリジンチオール−1オキサイドナトリウムが挙げられる。また、上記無機塩系化合物としては、例えば、無水酢酸ソーダが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライドなどが挙げられる。その他の防腐、防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウムなど、例えば、アベシア社製プロキセルGXL(S)、プロキセルXL−2(S)などが挙げられる。
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライドなどが挙げられる。その他の防腐、防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウムなど、例えば、アベシア社製プロキセルGXL(S)、プロキセルXL−2(S)などが挙げられる。
インクの添加剤に使用するキレート剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、二ニトロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどを使用できる。
インクの添加剤に使用できる防錆剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどである。
インクの添加剤に使用できる紫外線吸収剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又は、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
インクの添加剤に使用する粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミンなどを使用することができる。
また、消泡剤としては、必要に応じて、フッ素系、シリコーン系化合物などが用いられる。
本発明のインクを使用して画像を形成する際に使用する記録媒体としては、インクを付着して記録を行う記録媒体であればいずれのものでも使用することができる。本発明のインクは、該インク中の染料や顔料などの色材をインク受容層内の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させて、少なくともこの吸着した微粒子から画像が形成される記録媒体に適用される。本発明のインクは、インクジェット記録方法を利用して得られる記録画像の形成に特に好適に用いられる。この際に使用するインクジェット記録用の記録媒体としては、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収するいわゆる吸収タイプのものであることが好ましい。
上記した吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する多孔質層として形成される。インク受容層の形成に使用される微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ或いはアルミナ水和物などの酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛などの無機顔料や、
尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などの有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などの有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
インク受容層の形成に使用されるバインダーとして好適なものとしては、水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコール又はその変性体、澱粉又はその変性体、ゼラチン又はその変性体、アラビアゴム;
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロオイルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;
SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;
ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体;
アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。記録媒体のインク受容層の形成には、その他の添加剤を使用することもできる。例えば、必要に応じて、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤などを使用することができる。
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロオイルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;
SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;
ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体;
アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。記録媒体のインク受容層の形成には、その他の添加剤を使用することもできる。例えば、必要に応じて、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤などを使用することができる。
特に、本発明のインクを使用して画像を形成する場合に好適な記録媒体としては、インク受容層の形成に、平均粒子径が1μm以下の微粒子を主体としたものが好ましい。この際に使用する微粒子として特に好ましいものは、例えば、シリカ又は酸化アルミニウム微粒子などが挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体も市場より入手可能なものであるが、特に好ましいものとして、例えば、特許第2803134号公報、同2881847号公報に掲載されたものを挙げることができる。酸化アルミニウム微粒子の好ましいものとしては、アルミナ水和物微粒子を挙げることができる。このようなアルミナ系顔料の一つとして、下記一般式により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げることができる。
AlO3-n(OH)2n・mH2O
(上記式中、nは、1、2又は3の整数のいずれかを表し、mは、0乃至10、好ましくは0乃至5の値を表す。ただし、mとnは同時には0にはならない。)mH2Oは、多くの場合、mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものであるため、mは、整数又は整数でない値を取ることもできる。また、この種の材料を加熱すると、mは0の値に達することがあり得る。
(上記式中、nは、1、2又は3の整数のいずれかを表し、mは、0乃至10、好ましくは0乃至5の値を表す。ただし、mとnは同時には0にはならない。)mH2Oは、多くの場合、mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものであるため、mは、整数又は整数でない値を取ることもできる。また、この種の材料を加熱すると、mは0の値に達することがあり得る。
上記のアルミナ水和物は、一般的には、米国特許第4,242,271号明細書、米国特許第4,202,870号明細書に記載されている方法などの公知の方法によって得られる。これらに記載されている方法は、アルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解といった方法である。また、特公昭57−44605号公報に記載されている、アルミン酸ナトリウムなどの水溶液に、硫酸ナトリウム、塩化アルミニウムなどの水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法でも製造できる。そして、上記した公知の方法で製造された微粒子を使用して得たインク受容層を有する記録媒体を使用して、本発明のインクで画像を形成することが有効である。
上記で使用する記録媒体を構成する支持体としては、公知の支持体を使用することができる。例えば、天然セルロース繊維を主体としたパルプ原料からなる紙支持体;
ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料からなるプラスチック支持体;
基紙の少なくとも一方に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)が挙げられる。
ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料からなるプラスチック支持体;
基紙の少なくとも一方に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)が挙げられる。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクを使用して画像を形成する場合には、特に、インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法が好ましく使用できる。その中でも特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好ましく使用できる。
本発明のインクを使用して画像を形成する場合には、特に、インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法が好ましく使用できる。その中でも特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好ましく使用できる。
(インクカートリッジ)
本発明のインクを用いて記録を行う場合に使用する好適なインクカートリッジとしては、本発明のインクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジが挙げられる。以下に本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの具体例を示す。
本発明のインクを用いて記録を行う場合に使用する好適なインクカートリッジとしては、本発明のインクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジが挙げられる。以下に本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジの具体例を示す。
図2は、本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図であり、断面図である。図2中、液体収納容器(インクタンク)は、上部で大気連通口112を介して大気に連通し、下部でインク供給口に連通している。さらに、内部に負圧発生部材を収容する負圧発生部材収納室134と、液体のインクを収容する実質的に密閉された液体収納室136とに仕切壁138でもって仕切られている。そして、負圧発生部材収納室134と液体収納室136とは、液体収納容器の底部付近で、仕切壁138に形成された連通孔140、及び、液体供給動作時に液体収納室への大気の導入を促進するための大気導入溝(大気導入路)150を介してのみ連通されている。負圧発生部材収納室134を画成する液体収納容器(インクタンク)の上壁には、内部に突出する形態で複数個のリブが一体に成形され、負圧発生部材収納室134に圧縮状態で収容される負圧発生部材と当接している。このリブにより、上壁と負圧発生部材の上面との間にエアバッファ室が形成されている。また、液体供給口114を備えたインク供給筒には、負圧発生部材より毛管力が高く、かつ、物理的強度の強い圧接体146が設けられており、負圧発生部材と圧接している。
図示した負圧発生部材収納室内には、負圧発生部材として、ポリエチレンなど、オレフィン系樹脂の繊維からなる第一の負圧発生部材132B及び第二の負圧発生部材132Aの2つの毛管力発生型負圧発生部材を収納している。132Cはこの2つの負圧発生部材の境界層であり、境界層132Cの仕切壁138との交差部分は、連通部を下方にした液体収納容器の使用時の姿勢において大気導入溝(大気導入路)150の上端部より上方に存在している。また、負圧発生部材内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、上記境界層132Cよりも上方まで存在している。
ここで、第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層は圧接しており、負圧発生部材の境界層近傍は他の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態となっている。すなわち、第一の負圧発生部材の持つ毛管力をP1、第二の負圧発生部材の持つ毛管力をP2、負圧発生部材同士の界面の持つ毛管力をPSとすると、P2<P1<PSとなっている。
図3は、本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な、さらに別のインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図であり、断面図である。該インクカートリッジは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の3色のインクを収容する容器41と、容器41を覆う蓋部材42とを有する。
容器41の内部は、3色のインクを収容するために、互いに平行に配置された2つの仕切板411及び412により、容量がほぼ等しい3つの空間に仕切られる。これら3つの空間は、互いにインクタンクホルダへカラーインクタンクを装着する際のカラーインクタンクの挿入方向に沿って並んでいる。また、これら各空間に、夫々、イエローのインクを吸収して保持するインク吸収体44Y、マゼンタのインクを吸収して保持するインク吸収体44M、及びシアンのインクを吸収して保持するインク吸収体44Cが収納されている。また、負圧発生部材であるインク吸収体44Y、インク吸収体44M、インク吸収体44C内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、夫々のインク吸収体の上部まで存在している。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。ここでは、本発明のインクを代表するものとして、一般インクよりも画像形成に厳しい条件が課されるインクジェット記録方法に使用するインクの実施例について述べる。このため、一般インクについては実施例を挙げていないが、本発明の第一の課題及び第二の課題は、以下の実施例から、十分に読み取れるものと考える。本発明は、勿論、以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中で「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準を意味する。先ず、実施例で使用する色材を用意し、各色材について、色相角及び褪色角度を測定し、その後、これらの色材を用いてインクを作製した。
<マゼンタ色材の合成>
マゼンタ色材である下記の構造を有する化合物(2)を、以下のようにして合成した。先ず、キシレン中に、下記式で示される化合物(1)、炭酸ナトリウム、ベンゾイル酢酸エチルエステルを反応させ、反応物を濾過、洗浄した。これをN,N−ジメチルホルムアミド中で、メタアミノアセトアニリド、酢酸銅、炭酸ナトリウムを順次仕込み反応させ、反応物を濾過、洗浄した。さらに、これを発煙硫酸中でスルホン化し、濾過、洗浄を行い、次に水酸化ナトリウムの存在下、シアヌルクロライドと縮合反応を行った。この反応液中にアンスラニル酸を添加し、水酸化ナトリウムの存在下、縮合反応を行った。これを濾過、洗浄し、マゼンタ色材である下記の構造を有する化合物(2)を得た。
マゼンタ色材である下記の構造を有する化合物(2)を、以下のようにして合成した。先ず、キシレン中に、下記式で示される化合物(1)、炭酸ナトリウム、ベンゾイル酢酸エチルエステルを反応させ、反応物を濾過、洗浄した。これをN,N−ジメチルホルムアミド中で、メタアミノアセトアニリド、酢酸銅、炭酸ナトリウムを順次仕込み反応させ、反応物を濾過、洗浄した。さらに、これを発煙硫酸中でスルホン化し、濾過、洗浄を行い、次に水酸化ナトリウムの存在下、シアヌルクロライドと縮合反応を行った。この反応液中にアンスラニル酸を添加し、水酸化ナトリウムの存在下、縮合反応を行った。これを濾過、洗浄し、マゼンタ色材である下記の構造を有する化合物(2)を得た。
<シアン色材の合成>
次の(1)〜(4)の手順で、シアン色材である銅フタロシアニン化合物[化合物(6)]を得た。
(1)下記の構造を有する銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩[化合物(3)]を、下記のようにして合成した。
次の(1)〜(4)の手順で、シアン色材である銅フタロシアニン化合物[化合物(6)]を得た。
(1)下記の構造を有する銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩[化合物(3)]を、下記のようにして合成した。
スルホラン、4−スルホフタル酸モノナトリウム塩、塩化アンモニウム、尿素、モリブデン酸アンモニウム、塩化銅(II)を混合し、攪拌した後、メタノールで洗浄を行った。その後、水を加え、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、溶液のpHを11に調整した。得られた溶液に攪拌下で塩酸水溶液を加え、さらに塩化ナトリウムを徐々に加え、結晶を析出させた。得られた結晶を濾別したものを、20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いてメタノールを加え、析出した結晶を濾別し、70%メタノール水溶液で洗浄した後に乾燥させた。この結果、上記に示した構造を有する銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩[化合物(3)]を青色結晶として得た。
クロロスルホン酸中に、上記で得られた銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩[化合物(3)]を徐々に加え、さらに、塩化チオニルを滴下し、反応を行った。その後、反応液を冷却し、析出した結晶を濾過し、上記した構造を有する銅フタロシアニンテトラスルホニルクロライド[化合物(4)]のウェットケーキを得た。
先ず、氷水中に、リパールOH、塩化シアヌル、アニリン−2,5−ジスルホン酸モノナトリウム塩を加え、水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら反応を行った。次に、得られた反応液に、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、反応液のpHを10に調整した。さらに、この反応液に、28%アンモニア水、エチレンジアミンを加え、反応を行った。次に、得られた反応液に、塩化ナトリウム、濃塩酸を滴下して、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキに、メタノール及び水を加え、さらに濾過し、メタノール洗浄を行った後、乾燥させた。このようにして、上記構造を有する化合物(5)を得た。
(4)上記で得た化合物を用い、下記のようにしてシアン色材として銅フタロシアニン化合物[化合物(6)]を合成した。
先ず、氷水中に、(2)で得られた銅フタロシアニンテトラスルホニルクロライド[化合物(4)]のウェットケーキを加え、攪拌を行って懸濁させた。さらに、これに、アンモニア水、(3)で得られた[化合物(5)]を添加して、反応を行った。次に、これに、水、塩化ナトリウムを加えて、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、再度濾過を行った後、洗浄、乾燥させて、青色結晶の[化合物(6)]を得た。上記の反応から、得られた下記の構造を有する[化合物(6)]の各置換基数の平均は、l=0、m=1.0乃至2.0、n=2.0乃至3.0の範囲で示される色材であると推定される。
先ず、氷水中に、(2)で得られた銅フタロシアニンテトラスルホニルクロライド[化合物(4)]のウェットケーキを加え、攪拌を行って懸濁させた。さらに、これに、アンモニア水、(3)で得られた[化合物(5)]を添加して、反応を行った。次に、これに、水、塩化ナトリウムを加えて、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、再度濾過を行った後、洗浄、乾燥させて、青色結晶の[化合物(6)]を得た。上記の反応から、得られた下記の構造を有する[化合物(6)]の各置換基数の平均は、l=0、m=1.0乃至2.0、n=2.0乃至3.0の範囲で示される色材であると推定される。
<単独色材インクの色調と耐ガス性、褪色角度の測定>
(単独色材インクの調製)
表1に示す処方でインク1〜3を調製した。表1に示す各成分を混合し、夫々0.2μmのメンブランフィルターで加圧ろ過してインク1〜3を調製した。
(単独色材インクの調製)
表1に示す処方でインク1〜3を調製した。表1に示す各成分を混合し、夫々0.2μmのメンブランフィルターで加圧ろ過してインク1〜3を調製した。
(単独色材インクの特性)
上記で得たインク1〜3を用いて、下記のようにして画像を形成し、下記の試験を行って、それぞれのインクの特性を調べた。上記の各インクを、熱エネルギーをインクに印加してインク滴を吐出するサーマルインクジェットプリンタ(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン社製)に搭載し、夫々印字を行った。その際、記録媒体には、光沢メディア(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR−101;キヤノン社製)を用いた。得られた画像について、以下の試験を行った。
上記で得たインク1〜3を用いて、下記のようにして画像を形成し、下記の試験を行って、それぞれのインクの特性を調べた。上記の各インクを、熱エネルギーをインクに印加してインク滴を吐出するサーマルインクジェットプリンタ(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン社製)に搭載し、夫々印字を行った。その際、記録媒体には、光沢メディア(商品名:プロフェッショナルフォトペーパーPR−101;キヤノン社製)を用いた。得られた画像について、以下の試験を行った。
〔オゾン試験〕
上記のようにして得た光沢メディアの各記録画像(記録物)を、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機社製)に入れて、40℃、55%RH、オゾンガス濃度10ppm、の雰囲気下に4時間曝露した。そして、記録物における50%デューティー部の試験前後のa*及びb*を分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth社製)で、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。そして、夫々のインク画像についての色相角と褪色角度とを算出し、結果を表2に示した。さらに、各インクのオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)を求め、得られたΔEに関しては以下の評価基準で判定し、結果を表2に示した。
上記のようにして得た光沢メディアの各記録画像(記録物)を、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機社製)に入れて、40℃、55%RH、オゾンガス濃度10ppm、の雰囲気下に4時間曝露した。そして、記録物における50%デューティー部の試験前後のa*及びb*を分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth社製)で、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。そして、夫々のインク画像についての色相角と褪色角度とを算出し、結果を表2に示した。さらに、各インクのオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)を求め、得られたΔEに関しては以下の評価基準で判定し、結果を表2に示した。
[評価基準]
ΔE(a*,b*)の値が
A:5以下
B:5よりも大きく10以下
C:10よりも大きく15以下
D:15よりも大きく20以下
ΔE(a*,b*)の値が
A:5以下
B:5よりも大きく10以下
C:10よりも大きく15以下
D:15よりも大きく20以下
<色材混合インク(実施例)の調製>
前記で特性を調べたインク1、2、3に使用した水溶性色材を構成成分として、下記表3に示す処方で、3種類の色材を含む実施例のインク4を調製した。具体的には、表3の組成の各成分を混合し、0.2μmのメンブランフィルターで加圧ろ過した後、インク4を得た。
前記で特性を調べたインク1、2、3に使用した水溶性色材を構成成分として、下記表3に示す処方で、3種類の色材を含む実施例のインク4を調製した。具体的には、表3の組成の各成分を混合し、0.2μmのメンブランフィルターで加圧ろ過した後、インク4を得た。
(色材混合インクの耐オゾン性試験)
上記で得た実施例の色材混合インクを用いて、前記した単独色材インクの場合と同様にしてインクジェット記録画像を作成した。得られた光沢メディアの記録画像をオゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機社製)に投入し、40℃、55%RH、オゾンガス濃度10ppm、の雰囲気下に4時間曝露した。記録物における50%デューティー部の試験前後のa*及びb*を分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth社製)で光源:D50、視野:2°の条件で測定した。そして、夫々のインク画像についての色相角と褪色角度とを算出し、結果を表4に示した。さらに、各インクのオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)を求め、得られたΔEに関して、単独色材インクの場合と同様の評価基準で判定し、結果を表4に示した。
上記で得た実施例の色材混合インクを用いて、前記した単独色材インクの場合と同様にしてインクジェット記録画像を作成した。得られた光沢メディアの記録画像をオゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機社製)に投入し、40℃、55%RH、オゾンガス濃度10ppm、の雰囲気下に4時間曝露した。記録物における50%デューティー部の試験前後のa*及びb*を分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth社製)で光源:D50、視野:2°の条件で測定した。そして、夫々のインク画像についての色相角と褪色角度とを算出し、結果を表4に示した。さらに、各インクのオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)を求め、得られたΔEに関して、単独色材インクの場合と同様の評価基準で判定し、結果を表4に示した。
表4の結果から、インクの褪色方向が互いに逆の水溶性色材を組み合わせることにより、ガスによる画像の色調変化の少ないインクが得られることが確認された。
Claims (15)
- 第一の色材と第二の色材を含有するインクにおいて、該第二の色材が第一の色材の色を補う褪色特性を有することを特徴とするインク。
- 前記第一の色材が主たる色材であり、前記第二の色材が補助色材である請求項1に記載のインク。
- 前記第一の色材と前記第二の色材がいずれも水溶性色材であって、該第一の水溶性色材と該第二の水溶性色材で得られた各画像のCIELab色空間表示系は、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、該第一の水溶性色材についての色相角をA°とし、該第二の水溶性色材についての色相角をB°とした場合、該B°がA°以上(A°+90°)未満の範囲内の値及び(A°+270°)より大きく(A°+360°)未満の範囲内の値のいずれかの値を示し、かつ、該第一の水溶性色材についての褪色角度をD°とし、該第二の水溶性色材についての褪色角度をE°とした場合、該E°が(D°+45°)以上(D°+315°)以下の範囲内の値を示す請求項1又は2に記載のインク。
- 前記第一の色材と前記第二の色材がいずれも水溶性色材であって、該第一の水溶性色材と該第二の水溶性色材で得られた各画像のCIELab色空間表示系は、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、該第一の水溶性色材についての色相角をA°とし、該第二の水溶性色材についての色相角をB°とした場合、該B°が(A°+45°)以上(A°+315°)以下の範囲内の値を示し、かつ、該第一の水溶性色材についての褪色角度をD°とし、該第二の水溶性色材についての褪色角度をE°とした場合、E°が(D°+45°)以上(D°+315°)以下の範囲内の値を示す請求項1又は2に記載のインク。
- 前記第一の色材と前記第二の色材がいずれも水溶性色材であって、さらに第三の水溶性色材を有し、該第一の水溶性色材、該第二の水溶性色材及び該第三の水溶性色材で得られた各画像のCIELab色空間表示系は、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、該第一の水溶性色材についての色相角、該第二の水溶性色材についての色相角、該第三の水溶性色材についての色相角のそれぞれが、0°以上90°未満の範囲、90°以上180°未満の範囲、180°以上270°未満の範囲及び270°以上360°未満の範囲から選ばれる3つ以上の領域に入り、それぞれの水溶性色材が褪色した際に、該第一の水溶性色材、該第二の水溶性色材及び該第三の水溶性色材から選ばれる任意の2種の水溶性色材についての褪色角度の差が10°以上の値である請求項1又は2に記載のインク。
- 前記第一の色材と前記第二の色材がいずれも水溶性色材であって、さらに第三の水溶性色材を有し、該第一の水溶性色材、該第二の水溶性色材及び該第三の水溶性色材で得られた各画像のCIELab色空間表示系は、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、該第一の水溶性色材についての色相角、該第二の水溶性色材についての色相角、該第三の水溶性色材についての色相角のそれぞれが、0°以上90°未満の範囲、90°以上180°未満の範囲、180°以上270°未満の範囲及び270°以上360°未満の範囲から選ばれる2つ以上の領域に入り、それぞれの水溶性色材が褪色した際に、該第一の水溶性色材、該第二の水溶性色材及び該第三の水溶性色材のそれぞれについての褪色角度の差が10°以上である請求項1又は2に記載のインク。
- 前記第一の色材と前記第二の色材がいずれも水溶性色材であって、該第一の水溶性色材及び該第二の水溶性色材で得られた各画像のCIELab色空間表示系は、いずれも(a*,b*)=(0,0)ではなく、該第一の水溶性色材についての色相角をA°、該第二の水溶性色材についての色相角をB°とした場合、B°が(A°+45°)以上(A°+315°)以下の範囲内の値を示し、かつ、該第一の水溶性色材についての褪色角度をD°とし、該第二の水溶性色材の褪色角度をE°とした場合、D°が(A°+135°)以上(A°+225°)以下の範囲内の値を示し、E°が(B°+135°)以上(B°+225°)以下の範囲内の値を示す請求項1又は2に記載のインク。
- インクについての色相角が、0°以上90°以下、又は270°以上360°未満の範囲の値である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインク。
- 記録媒体へ印刷された時のインクの色調が、CIELab色空間表示系で、a*が−5以上5以下、b*が−5以上5以下の範囲の値を示す請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインク。
- インクに含まれる少なくとも2種の水溶性色材についてのオゾン曝露後の色調変化ΔE(a*,b*)のいずれもが、15以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインク。
- 黒色インクが2種以上組み合わされてなるインクセットに使用されるインクであって、該黒色インクのうち黒色画像濃度が一番高くなるインク以外のインクである請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインク。
- 第一のインクと併用されるインクであって、該インク中に、該第一のインクの褪色を補う褪色特性を有する水溶性色材を含有することを特徴とするインク。
- 少なくとも第一のインクと第二のインクの2種のインクが組み合わされてなるインクセットであって、該第一のインクと該第二のインクの一方が、他方のインクの褪色を補う褪色特性を有する水溶性色材を含有することを特徴とするインクセット。
- インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインク、又は請求項13に記載のインクセットのインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインク、又は請求項13に記載のインクセットであることを特徴とするインクカートリッジ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006338202A JP2008150448A (ja) | 2006-12-15 | 2006-12-15 | インク、インクセット、該インク或いは該インクセットを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジ |
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JP2008150448A true JP2008150448A (ja) | 2008-07-03 |
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JP2006338202A Pending JP2008150448A (ja) | 2006-12-15 | 2006-12-15 | インク、インクセット、該インク或いは該インクセットを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジ |
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JP (1) | JP2008150448A (ja) |
-
2006
- 2006-12-15 JP JP2006338202A patent/JP2008150448A/ja active Pending
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