JP2008145861A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】紡糸法によって、生産性よく製造することができると共に、低温定着性や耐オフセット性等の特性が均一である上、特に低温定着性に優れており、しかも長期間に亘って、繰り返し、画像形成に使用しても、ワックスの露出に伴う種々の問題を生じるおそれがないトナー粒子を含む電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】融点が100℃以下のワックスを含むトナー成分を、溶融状態で円柱繊維状に引き伸ばし、切断して製造される円柱状のトナー粒子を含み、かつフローテスターを用いて測定した、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下である電子写真用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナーに関するものである。
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置においては、まず、像担持体の表面を、帯電手段によって一様に帯電させ、次いで露光手段によって露光して静電潜像を形成し、前記静電潜像を、現像手段によってトナー像に現像して、前記トナー像を、転写手段によって、紙等の被印刷物の表面に転写した後、定着手段によって、前記被印刷物の表面に定着させることで、一連の、画像形成の工程が完了する。
前記現像手段において、静電潜像をトナー像に現像するための現像方法としては、主に結着樹脂と着色剤とワックスとからなり、磁性粉等の磁性成分を含有しない非磁性のトナー粒子に、前記トナー粒子の流動性や帯電量等を調整するための、シリカ、酸化チタン等の外添剤を外添した電子写真用トナーを、さらに、磁性を有するキャリアと混合して、2成分現像剤として現像に用いる2成分現像方法、前記電子写真用トナーを、キャリアと混合せずに現像に用いる非磁性1成分現像方法、磁性粉を含有する磁性トナー粒子を主成分とする電子写真用トナーを現像に用いる磁性1成分現像方法等が知られており、このうち、2成分現像剤を用いた2成分現像方法が、2成分現像剤用トナーを、キャリアと混合することで、安定して、均一に摩擦帯電させることができるため、最も広く普及している。
前記2成分現像方法においては、キャリアと電子写真用トナーとを混合した2成分現像剤を、現像手段内においてさらに混合することで、電子写真用トナーを摩擦帯電させた状態で、像担持体と対向させて配置した、内部に磁石を組み込んだ磁気ロールと接触させることで、前記磁気ロール上に、キャリアが穂状に連なり、その表面に電子写真用トナーが静電付着した、いわゆる磁気ブラシを形成し、前記磁気ブラシを、像担持体上の静電潜像と直接に接触させて、電子写真用トナーを、選択的に像担持体に転移させることで、静電潜像がトナー像に現像される。また、画像形成により、2成分現像剤中の電子写真用トナーが消費されて減少した際には、補充用の電子写真用トナーが現像手段内に投入されて、前記現像手段内で、キャリアと混合されることで摩擦帯電されて、前記と同様に画像形成に用いられる。
また、非磁性1成分現像方法としては、前記電子写真用トナーを、現像手段内において、規制ブレードを用いて摩擦帯電させながら現像剤担持体上に担持させることで、前記現像剤担持体の表面に、多数の電子写真用トナーからなる薄層を形成した後、前記薄層を、現像バイアスを印加した状態で、像担持体上の静電潜像と直接に接触させることで、薄層中の電子写真用トナーを、選択的に像担持体に転移させて、静電潜像をトナー像に現像する、いわゆる接触型の非磁性1成分現像方法と、前記薄層と像担持体との間に一定の距離をおいて対峙させた状態で、現像バイアスを印加して、薄層中の電子写真用トナーを、選択的に像担持体へ飛翔させて、静電潜像をトナー像に現像する、非接触型の非磁性1成分現像方法とが知られている。
また、2成分現像剤を用いた新たな画像形成方法として、前記非接触型の非磁性1成分現像方法と、2成分現像方法とを組み合わせた構成を有するハイブリッド現像方法が知られている。前記ハイブリッド現像方法では、像担持体と対向させて、現像剤担持体を配置すると共に、前記現像剤担持体と対向させて、内部に磁石を組み込んだ磁気ロールを配置した現像手段が用いられる。
そして、キャリアと電子写真用トナーとを混合した2成分現像剤を、前記現像手段内においてさらに混合することで、電子写真用トナーを摩擦帯電させた状態で、磁気ロールと接触させることで、前記磁気ロール上に磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを、現像剤担持体と直接に接触させて、電子写真用トナーを現像剤担持体に転移させることで、前記現像剤担持体の表面に、電子写真用トナーの薄層を形成した後、前記薄層を、像担持体の表面との間に一定の距離をおいて対峙させた状態で、両者間に現像バイアスを印加して、薄層中の電子写真用トナーを、選択的に、像担持体へ飛翔させることで、静電潜像がトナー像に現像される。また、画像形成により、2成分現像剤中の電子写真用トナーが消費されて減少した際には、補充用の電子写真用トナーが現像手段内に投入されて、前記現像手段内で、キャリアと混合されることで摩擦帯電されて、前記と同様に画像形成に用いられる。
前記ハイブリッド現像方法によれば、従来の、非接触型の非磁性1成分現像方法が、先に説明した現像のメカニズム上、2成分現像方法等の接触型の現像方法に比べて、形成画像の画像濃度が低くなるという問題を有していたのに対し、2成分現像方法と同様に、電子写真用トナーをキャリアと混合することによって、安定して、均一に摩擦帯電させることができるため、形成画像の画像濃度を向上できるという利点がある。また、ハイブリッド現像方法によれば、静電潜像へのトナー像の転移が、前記のように非接触で行われることから、2成分現像方法等の接触型の現像方法に比べてトナー像の乱れが少なく、鮮明な画像を形成できるという利点もある。
前記各種の現像方法に用いる電子写真用トナーを構成するトナー粒子としては、従来、いわゆる粉砕法によって製造されたものが、広く一般的に用いられてきた。粉砕法では、トナー粒子を構成すると共に、前記トナー粒子を、紙等の被印刷物の表面に定着させるための結着剤として機能する結着樹脂と、トナー粒子を着色するための着色剤と、トナー粒子を、例えば定着手段の、一対の定着ロール等の間を通すことで、加熱下で加圧する等して被印刷物の表面に定着させる際に、前記トナー粒子が、定着ロールの表面に付着する、いわゆるオフセットの不良が発生するのを防止するためのオフセット防止剤として機能するワックスと、さらに磁性トナー粒子の場合は磁性粉とを、加熱下で溶融させた状態で、混練して得たトナー成分を、冷却して固化させた後、粉砕し、さらに必要に応じて分級することでトナー粒子が製造される。
前記粉砕法で製造されるトナー粒子は、その表面状態が、トナー成分を構成する各成分の分散状態に依存して、大きく変化することが知られており、特にワックスの分散径が、トナー粒子の表面状態に及ぼす影響は大きい。すなわち、トナー成分中でのワックスの分散が不十分で、分散径が大きと、粉砕工程において、トナー成分が、前記ワックスの部分で破断して、製造されるトナー粒子の表面において、広い面積に亘って露出する。そして、電子写真用トナーを、特に長期間に亘って繰り返し、画像形成に使用した際に、トナー粒子の表面に露出したワックスが、前記トナー粒子が接触する種々の部材の表面に転移して、前記部材を汚染することによって、様々な問題を生じる。
例えば、電子写真用トナーをキャリアと混合して、2成分現像剤として、2成分現像方法やハイブリッド現像方法に使用した際に、ワックスが、前記キャリアの表面に付着する、いわゆるキャリア汚染を生じると、先に説明した、電子写真用トナーがキャリアと混合されることによる摩擦帯電が妨げられるため、帯電不良の電子写真用トナーが多量に発生して、形成画像の画像濃度が低下したり、形成画像の余白部分に電子写真用トナーが付着する、いわゆるかぶりが生じたり、前記帯電不良の電子写真用トナーが、画像形成装置の内部等を汚す、いわゆるトナー飛散が発生したりしやすくなる。またワックスが、像担持体の表面に付着した場合には、形成画像に、黒点等の画像不良を生じる、いわゆるドラム付着の不良を生じるおそれがある。
特許文献1には、粉砕法によって製造されるトナー粒子中での、ワックスの分散径を、所定の範囲以下に規制するための製造方法が記載されているが、前記製造方法を実施して、ワックスの分散粒径が所定の範囲に規制されたトナー粒子を製造するためには、使用する結着樹脂やワックスの種類が限定され、特にワックスとしては、その溶融温度や軟化温度が、比較的、高温側にあるものを使用しなければならないため、トナー粒子の定着可能な温度が高温側に推移して、低温定着性、すなわち、トナー粒子の定着温度を引き下げて、より低い温度で、紙等の被印刷物の表面に、良好に定着できる特性が得られないという問題がある。
特許文献2には、従来の粉砕法に代わる、新たなトナー粒子の製造方法として、結着樹脂、着色剤、ワックス等のトナー成分を、加熱下で溶融させて混練し(混練工程)、次いで、溶融状態にあるトナー成分を、円柱繊維状に引き伸ばした後(引き伸ばし工程)、切断して(切断工程)トナー粒子を製造する製造方法が記載されている。前記製造方法(以下「紡糸法」とする)によって製造されるトナー粒子は、トナー成分の破断面が、円柱繊維の切断面でのみ露出し、他の表面は、結着樹脂で覆われた平滑な円柱状をなすことから、ワックスが、トナー粒子の表面に露出する面積を、粉砕法によるトナー粒子よりも、大幅に少なくすることができる。そのため、ワックスの露出に伴う、先に説明した種々の問題を解決できるものと期待されている。
特開平11−174730号公報 特開平6−138704号公報
ところが、発明者が検討したところによると、前記紡糸法においては、引き伸ばし工程において、トナー成分を円柱繊維状に引き伸ばす際に、前記トナー成分を、混練工程より高温に加熱して溶融状態を維持する必要があり、前記溶融状態のトナー成分の粘度が低くなりすぎると、混練工程で、トナー成分中に微細に分散させたワックスが再凝集して、様々な問題を生じることが明らかとなった。すなわち、トナー成分中でワックスが再凝集して、その分散径が大きくなると、引き伸ばし工程において、円柱繊維が切れやすくなるため、トナー粒子の生産性が低下するという問題が発生する。
また、切断工程において、前記円柱繊維を細かく切断して製造される、個々のトナー粒子中に含まれるワックスの量のばらつきが大きくなるため、先に説明した低温定着性や、あるいは、オフセットが発生する温度を引き上げて、あまり低い温度でオフセットが発生しないようにする特性、すなわち耐オフセット性に、大きなばらつきを生じるおそれもある。また、特に円柱繊維の切断面において、ワックスが露出する面積が大きくなるため、前記ワックスの露出に伴う、先に説明した種々の問題を生じるおそれもある。
また、これらの問題は、特に、トナー粒子の低温定着性を向上するために、融点の低いワックスを使用した際に、顕著に発生する。そのため、紡糸法によって製造されるトナー粒子を含む、従来の電子写真用トナーでは、融点の低いワックスを使用して定着温度を引き下げることによって、トナー粒子の低温定着性を向上することができないという問題もある。
本発明の目的は、紡糸法によって、生産性よく製造することができると共に、低温定着性や耐オフセット性等の特性が均一である上、特に低温定着性に優れており、しかも長期間に亘って、繰り返し、画像形成に使用しても、ワックスの露出に伴う種々の問題を生じるおそれがないトナー粒子を含む電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、少なくとも結着樹脂とワックスとを含み、溶融状態にあるトナー成分を円柱繊維状に引き伸ばし、切断して製造される円柱状のトナー粒子を少なくとも含む電子写真用トナーであって、フローテスターを用いて測定した、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下であると共に、ワックスの融点が100℃以下であることを特徴とする電子写真用トナーである。
本発明によれば、電子写真用トナーの、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが前記範囲内となる、溶融時の粘度低下が小さいトナー成分を用いてトナー粒子を形成しているため、ワックスとして、融点が100℃以下という低融点のワックスを使用しているにも拘らず、紡糸法によるトナー粒子の製造時に、混練工程で、トナー成分中に微細に分散させた前記ワックスが、引き伸ばし工程において再凝集して、その分散径が大きくなるのを抑制して、ワックスが微細に分散された状態を維持することができる。
そのため、前記引き伸ばし工程において、円柱繊維が切れやすくなるのを抑制して、トナー粒子の生産性を向上することができる。また、切断工程において、円柱繊維を細かく切断して製造される、個々のトナー粒子中に含まれるワックスの量のばらつきを小さくして、低温定着性や耐オフセット性のばらつきを、小さくすることもできる。さらに、円柱繊維の切断面において、ワックスが露出する面積を小さくして、特に長期間に亘って、繰り返し、画像形成に使用しても、ワックスの露出に伴う種々の問題を生じるのを抑制することもできる。その上、融点が100℃以下という低融点のワックスを使用することによって、トナー粒子の低温定着性を向上することもできる。
本発明によれば、紡糸法によって、生産性よく製造することができると共に、低温定着性や耐オフセット性等の特性が均一である上、特に低温定着性に優れており、しかも長期間に亘って、繰り返し、画像形成に使用しても、ワックスの露出に伴う種々の問題を生じるおそれがないトナー粒子を含む電子写真用トナーを提供することができる。
本発明は、紡糸法によって製造される円柱状のトナー粒子を少なくとも含む電子写真用トナーであって、フローテスターを用いて測定した、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下であると共に、トナー成分中に含まれるワックスの融点が100℃以下であることを特徴とするものである。本発明において、電子写真用トナーの、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下に限定されるのは、前記傾斜Sνが前記範囲を超える場合には、紡糸法によるトナー粒子の製造時に、トナー成分の、溶融時の粘度低下が大きくなりすぎるため、混練工程でトナー成分中に微細に分散させたワックスが、引き伸ばし工程において再凝集して、その分散径が大きくなるのを抑制できないためである。
なお、傾斜Sνの下限については特に限定されないが、引き伸ばし工程において、トナー成分を、できるだけスムースに、円柱繊維状に引き伸ばすことができるようにして、トナー粒子の生産性を向上することを考慮すると、傾斜Sνは0.8×104Pa・S/℃以上であるのが好ましく、前記引き伸ばしやすさと、ワックスの再凝集を防止する効果とを併せ考慮すると0.85×104〜0.95×104Pa・S/℃であるのがさらに好ましい。なお、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを、本発明では、下記の方法によって求めた値でもって表すこととする。
〈傾斜Sνの算出方法〉
傾斜Sνを求める電子写真用トナー1.8gを秤量し、測定に使用するフローテスターのシリンダの内径に対応した内径を有する圧縮成形用の型内に充てんした状態で、1000kg/cm2の圧力で圧縮成形して、タブレット状の測定用のサンプルを作製する。
次に、前記サンプルを、フローテスターのシリンダ内に収容し、日本工業規格JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に所載の測定方法に則って、シリンダ内のサンプルに一定の荷重をかけながら、前記シリンダの温度を徐々に上昇させる。そして、サンプルが溶融して、シリンダの底部に設けたダイを通して、前記シリンダ外へ流出する際の、流出速度の推移を測定し、前記測定値から、溶融粘度の、温度上昇に伴う推移を求めて、溶融粘度−温度特性のグラフを作成する。
次に、前記溶融粘度−温度特性のグラフから、溶融したサンプルが、ダイを通して流出を開始した温度+5℃の温度T1(℃)での溶融粘度ν1(Pa・S)と、全てのサンプルが流出して流出が終了した温度−5℃の温度T2(℃)での溶融粘度ν2(Pa・S)とを求めて、式(1):
Figure 2008145861
により、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを算出する。
前記傾斜Sνを、先に説明した範囲に調整するためには、例えば、トナー成分を構成する各成分の種類や配合割合等を調整することが考えられる。特に結着樹脂として、その分子量分布中に、2つ以上の複数の質量平均分子量ピークを有する結着樹脂を使用すると共に、各ピークの割合を調整するのが、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを調整するために有効である。また、各ピークの割合を調整するためには、結着樹脂として、同種または相溶性を有する異種の結着樹脂であって、各ピークの質量平均分子量に相当する質量平均分子量を有する2種以上の結着樹脂を、前記各ピークの割合に相当する配合割合で配合すればよい。
また、本発明において、トナー成分中に含まれるワックスの融点が100℃以下に限定されるのは、ワックスの融点が前記範囲を超える場合には、トナー粒子に、良好な低温定着性を付与することができないためである。なお、融点の下限については特に限定されないが、オフセットが発生する温度が低下して、トナー粒子の耐オフセット性が低下するのを防止することを考慮すると、ワックスの融点は、前記範囲内でも80℃以上であるのが好ましく、前記耐オフセット性が低下するのを抑制しながら、低温定着性をさらに向上することを考慮すると85〜95℃であるのがさらに好ましい。なおワックスの融点は、示差走査熱量計〔セイコーインスツルメント(株)製のDSC6200〕を使用して、昇温速度10℃/分の条件で測定した吸熱曲線のピーク値から求めた。
〈トナー成分〉
本発明の電子写真用トナーのうち、トナー粒子のもとになるトナー成分としては、結着樹脂、着色剤、ワックス等が挙げられる。また、結着樹脂としては、例えばスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;スチレン−アクリル系樹脂;塩素化ポリスチレン、ホリプロピレン、アイオノマー等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のN−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等の、従来公知の種々の熱可塑性樹脂の1種または2種以上が挙げられ、特にスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。このうちスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂としては、スチレンの単独重合体や、スチレンと他の単量体との共重合体が挙げられる。
スチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばp−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類等が挙げられる。これら共重合モノマーは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、スチレンと共重合させることができる。
スチレン系樹脂としては、任意の分子量を有するものが、いずれも使用可能であるが、先に説明したように溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを調整するために、分子量分布中に、2つ以上の複数の質量平均分子量ピークを有すると共に、各ピークの割合を調整したスチレン系樹脂を使用するのが好ましい。特に、低分子量側の質量平均分子量ピーク(「低分子量ピーク」と称する。)が3,000〜20,000の範囲内で、かつ高分子量側の質量平均分子量ピーク(「高分子量ピーク」と証する。)が300,000〜1,500,000の範囲内であると共に、分子量分布の分散を示す、質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnが10以上ある分子量分布を有するスチレン系樹脂が好ましい。
前記分子量分布を有するスチレン系樹脂を用いると、両ピークの割合を調整することで、先に説明したように、トナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを1×104Pa・S/℃以下の範囲に、容易に調整することができるだけでなく、低分子量成分によって、トナー粒子の定着温度を引き下げて、より低い温度で、紙等の被印刷物の表面に、良好に定着できる特性、すなわち低温定着性を改善すると共に、オフセットが発生する温度を引き上げて、あまり低い温度でオフセットが発生しないようにする特性、すなわち耐オフセット性を改善することができる。なお、スチレン系樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による分子量測定装置を用いて、試料の、カラムからの溶出時間を測定した結果と、ポリスチレン樹脂の標準試料を用いて予め作成しておいた検量線とを照らし合わせることによって求めることができる。
また、結着樹脂としてのポリエステル系樹脂としては、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを重縮合させて得られるものなどを用いることができる。このうち多価カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等の2価カルボン酸;n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の2価カルボン酸のアルキルもしくはアルケニルエステル;1,2,4−べンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−べンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロへキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。また、これら多価カルボン酸の無水物や、低級アルキルエステル等も使用できる。
一方、多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオぺンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ぺンタエリスリトール、ジぺンタエリスリトール、トリぺンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ぺンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルべンゼン等のトリオール以上の多価アルコール類が挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂は、通常の画像形成装置において用いる熱定着手段によって、紙等の被印刷物の表面に、良好に定着させることを考慮すると、軟化点が110〜150℃、特に120〜140℃であるのが好ましい。また、結着樹脂としてポリエステル系樹脂を含むトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを1×104Pa・S/℃以下の範囲内に調整するためには、スチレン系樹脂の場合と同様に、分子量分布中に、2つ以上の複数の質量平均分子量ピークを有すると共に、各ピークの割合を調整したポリエステル系樹脂を使用するのが好ましい。特に、低分子量側の質量平均分子量ピーク(「低分子量ピーク」と称する。)が3,000〜5,000の範囲内で、かつ高分子量側の質量平均分子量ピーク(「高分子量ピーク」と証する。)が50,000〜100,000の範囲内であるポリエステル系樹脂が好ましい。
また、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の結着樹脂は、トナー粒子を、紙等の被印刷物の表面に、できるだけ良好に定着させること、すなわち定着性を向上することを考慮すると、熱可塑性樹脂であるのが好ましいが、その一部が架橋構造を有していてもよい。
一部に架橋構造を導入することによって、トナー粒子の定着性を低下させることなく、前記トナー粒子の保存安定性や形態保持性、耐久性、すなわち、トナー粒子を長期間に亘って保存した際に、多数のトナー粒子が塊状に融着して、いわゆるブロッキングを発生したり、個々のトナー粒子が変形したりするのを防止する効果を、向上させることができる。架橋分の含量は特に限定されないが、ソックスレー抽出機を用いて結着樹脂を抽出して求められるゲル分の含量で表して10質量%以下、特に0.1〜10質量%であるのが好ましい。結着樹脂の一部を架橋構造とするためには、架橋剤を添加して樹脂を架橋させたり、熱硬化性樹脂を配合したりすればよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂や、シアネート樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。また、結着樹脂は、着色剤やワックス、電荷制御剤等の添加剤の分散性を向上させるため、分子中に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシドキシ(エポキシ)基等の官能基を有しているのが好ましい。結着樹脂が、前記官能基を有するか否かは、例えばFT−IR装置等を用いて確認することができ、どの程度の量の官能基を有するかは、例えば滴定法によって定量することができる。
結着樹脂のガラス転移温度Tgは55〜70℃であるのが好ましい。ガラス転移温度が前記範囲未満では、トナー粒子がブロッキングしやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、潜像保持体の表面に付着して離れなくなるトナー付着を生じるおそれもある。また、ガラス転移温度が前記範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。なお、結着樹脂のガラス転移温度は、例えば先に説明した示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線における、比熱の変化点から求めることができる。
着色剤としては、トナー粒子の色に合わせた各色の着色剤を用いることができる。その好適な例は下記の通りである。
(黒色顔料)
アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック。
(黄色顔料)
黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネープルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ。
(橙色顔料)
赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK。
(赤色顔料)
べンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B。
(紫色顔料)
マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ。
(青色顔料)
紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC。
(緑色顔料)
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG。
(白色顔料)
亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛。
(体質顔料)
バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部、特に2〜8質量部であるのが好ましい。
ワックスとしては、先に説明したようにオフセット防止剤として機能する、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、サトウワックス、木ワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス類;モンタンワックス等の鉱物系ワックス類;密ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックス等の動物系ワックス類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス類;エステル系ワックス類;テフロン(登録商標)系ワックス類;石炭、天然ガス等からフィッシャー・トロプシュ法によって合成されるフィッシャー・トロプシュワックス類等の中から、融点が100℃以下である1種または2種以上のワックスが挙げられる。
また、2種以上のワックスを併用する場合には、併用する全てのワックスの融点が100℃以下であるの理想的であるが、前記併用系全体での融点が100℃以下となるのであれば、併用する少なくとも1種のワックスは、融点が100℃を超えてもよい。また、ワックスとしては、前記ワックスを、トナー粒子中に均一に分散させることを考慮すると、側鎖にエステルを有するワックス、具体的にはポリエチレンワックスや、側鎖にエステルを有するフィッシャー・トロプシュワックスが好ましい。またワックスは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線において、85〜95℃の範囲に吸熱のメインピークを有しているのが好ましい。吸熱のメインピークが前記範囲未満にあるワックスを用いた場合には、トナー粒子がブロッキングしやすくなったり、定着時に、トナー粒子が、溶融状態で定着ローラに固着することで、紙等の被印刷物が定着ローラに巻きつく、いわゆるホットオフセットが発生しやすくなったりするおそれがある。
また、吸熱のメインピークが前記範囲を超える位置にあるワックスを用いた場合には、良好な低温定着性が得られないおそれがある。ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であるのが好ましい。添加量が前記範囲未満では、ワックスを添加することによる、先に説明した効果が十分に得られないおそれがあり、前記範囲を超える場合には、トナー粒子がブロッキングしやすくなったり、ワックスがトナー粒子から脱利しやすくなったりするおそれがある。
トナー粒子には、前記以外に、他の種々の添加剤を含有させてもよい。前記他の添加剤としては、例えば電荷制御剤、安定剤等が挙げられる。電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電特性を制御するためのもので、トナーの帯電極性に応じて正電荷制御用および/または負電荷制御用の電荷制御剤を用いる。
このうち正帯電性の電荷制御剤としては、例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物類;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の亜ジン化合物からなる直接染料類;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物類;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料類;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;べンジルメチルへキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などの1種または2種以上が挙げられる。特にニグロシン化合物は、より迅速な帯電の立ち上がり特性が得られることから、正帯電性トナーとして好適である。
また、正帯電性の電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等を使用することもできる。具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点で好適である。また、スチレンと共にスチレン−アクリル系樹脂を構成するアクリル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。
さらに、4級アンモニウム塩化合物としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート類;ジメチルメタクリルアミド;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体やキレート化合物が有効であり、中でもアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体または塩が好ましい。このうち、アセチルアセトン金属錯体としては、例えばアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート等が挙げられる。またサリチル酸系金属錯体または塩としては、例えば3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
トナー粒子がカラートナーである場合、電荷制御剤としては、カラートナーの色目に影響を与えないために、無色、白色ないしは淡色であるものを用いるのが好ましい。電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部、特に1〜5質量部であるのが好ましい。
〈トナー粒子の製造方法〉
前記各成分を含有する円柱状のトナー粒子は、先に説明したように、溶融状態にあるトナー成分を円柱繊維状に引き伸ばした後、切断することで製造される。より具体的には、前記円柱状のトナー粒子は、例えば特開2006−106236号公報に所載の製造方法に則って、図1、図2の製造工程を経て製造される。
まず図1を参照して、結着樹脂、着色剤、ワックス等のトナー成分を、予備混合装置7を用いて予備混合して混合物を得、前記混合物を、内部に混練部材としての回転スクリュー15を有する一軸型エクストルーダ1のホッパ1Aから、前記一軸型エクストルーダ1内に供給する。次に、前記一軸型エクストルーダ1内で、図示しないヒータに通電する等して、前記混合物を、結着樹脂の融点以上の温度、例えば130℃〜240℃程度に加熱して、結着樹脂その他の、溶融可能な成分を溶融させると共に、回転スクリュー15を回転させて、混合物を、図において右方向に搬送しながら混練して、溶融状態の混練物を得る。
次に、前記混練物をギアポンプ4に供給し、前記ギアポンプ4内で、図示しないヒータに通電する等して加熱して溶融状態を維持しながら、モータ5によるギアポンプ4の回転数を調整することで、圧力および押出量を所定の範囲に調整した後、その内部に、螺旋状の流路を形成するように捩られた曲面を有する羽根体14が、混練物の流れ方向に沿って隣接するもの同士で螺旋の捩れ角度を反転させながら複数個(図の例では3個)設けられた構造を有する静止型ミキサ2に供給する。
次に、前記混練物を、前記静止型ミキサ2内と、それに続く、流路構造体3内の多段の分配流路3A内とを、この順に通過させることで、前記羽根体14や分配流路3Aの機能によって、さらに混練して、各成分を、均一に、細かく分散した状態とした後、分配流路3Aの最終段の各流路出口に設けられた押出用のノズル6を通して下向きに押し出し、図示しない延伸用エアー吹き出し装置から吹き出す熱風によって押出方向に延伸させた状態で、送風ファンからの冷風によって急冷することによって、ノズル6の開口形状が円形である場合、円柱繊維状とされた複数の繊維状体12を連続的に製造する。
次に、図2を参照して、前記複数の繊維状体12を、ベルトコンベア11上に載置して横向きに搬送し、その搬送途中で室温下に放冷させて、適度な粘度を持った略直線状の繊維状体12が横方向に整然と並んだ一層の集合体とした後、次工程の繊維切断装置8に到達させる。繊維状体12を搬送する手段としては、ベルトコンベア11の他に、一定の流速と流れ方向を持った空気流などによる気体搬送手段を用いてもよい。
繊維切断装置8は、ベルトコンベア11上を搬送される繊維状体12の搬送方向と直交する方向に延びた固定刃9と、複数の切断刃10aが回転軸に取り付けられた回転刃10とを有している。前記繊維切断装置8の回転刃10を、図示しないモータによって回転駆動させながら、切断刃10aと固定刃9のエッジ9aとの間に、ベルトコンベア11上を搬送された繊維状体12を連続的に供給して、前記切断刃10aと固定刃9のエッジ9aとの間で生じる剪断作用によって繊維状体12を順次切断させると、円柱状のトナー粒子13を、連続的に製造することができる。
ここで、繊維状体12の切断長(トナー粒子13の、円柱の軸線方向の長さ)は、繊維状体12の搬送速度と、回転刃10の回転速度の比によって調節することができる。また、切断後のトナー粒子を、必要に応じて分級してもよい。なお、繊維状体12を切断する方法としては、前記繊維状体12を、ミキサ等を用いて粉砕した後、必要に応じて分級する方法等を採用することもできる。
〈トナー粒子〉
図3に示すように、前記製造方法等によって製造される円柱状のトナー粒子16は、円柱の軸線方向の長さaと、径方向の長さbとの比a/bが2以下であるのが好ましい。比a/bが前記範囲を超えるトナー粒子は、現像剤担持体の表面との接触面積が大きいため、前記現像剤担持体に対する付着力が大きくなる傾向がある。そのため、先に説明したように、シリカの帯電量を400μC/g以上に限定しているにも拘らず、現像時に、薄層から像担持体に飛翔させる電子写真用トナーの量を増加させることができず、特に連続画像形成した際に、形成画像の画像濃度が低下したり、濃度のムラが生じたり、余白部分にかぶりが生じたりするおそれがある。また、比a/bが前記範囲を超えるトナー粒子は、像担持体の表面に対する付着力も大きいため、前記像担持体の表面に固着して、ダッシュマークの原因となるおそれもある。
なお、比a/bは、前記製造方法等によって製造することが可能なトナー粒子における、最小の値までを含み得る。例えば、先に説明したように、連続的に製造した繊維状体12を、繊維切断装置8を用いて切断したり、ミキサ等を用いて粉砕したりしてトナー粒子を製造する場合に、製造可能なトナー粒子における比a/bの最小値は1である。なお、トナー粒子の、円柱の軸線方向の長さaと、径方向の長さbは、それぞれ、走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製のJSM−880〕を用いて撮影した、トナー粒子の、倍率2000倍の画像中から任意に選定した100個のトナー粒子における、前記長さa、bの測定値から算出した平均値でもって表すこととする。
また、トナー粒子は、高画質の画像を形成することを考慮すると、体積基準の中心粒径が5〜10μm、特に6〜9μmであるのが好ましい。体積基準の中心粒径は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製のマルチサイザー3〕を使用して、アパーチャ径100μmの条件で測定した粒度分布の測定値から算出した値でもって表すこととする。
〈電子写真用トナー〉
本発明の電子写真用トナーは、前記トナー粒子に、必要に応じて外添剤を、所定の割合で配合し、ヘンシェルミキサ等を用いて混合して製造することができる。外添剤としては、一次粒子径10〜25nmのシリカが好適に用いられる。前記シリカの外添量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜3.0質量部、特に0.5〜2.0質量部であるのが好ましい。また、前記シリカ以外の他の外添剤を併用する場合、その外添量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜3.0質量部、特に0.3〜2.0質量部であるのが好ましい。
前記本発明の電子写真用トナーは、キャリアと混合せずに、接触型または非接触型の非磁性1成分現像方法に用いてもよいし、キャリアと、所定の割合で混合して、2成分現像剤として、2成分現像方法やハイブリッド現像方法に使用することもできる。すなわち、前記2成分現像剤を、スタート現像剤として用いると共に、同じ電子写真用トナーを、補給用トナーとして、レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置に用いて、先に説明した2成分現像方法やハイブリッド現像方法を実施することで、紙等の被印刷物の表面に、画像を形成することができる。
〈キャリア〉
キャリアとしては、2成分現像剤用として従来公知の、種々の構成を有するキャリアが使用可能であり、特に、磁性を有するコアの表面を、樹脂のコート層でコートした、いわゆる樹脂コートタイプのキャリアが好適に使用される。前記樹脂コートタイプのキャリアを構成するコアとしては、例えば鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の金属または合金の粒子や、前記金属または合金と、マンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、または、前記いずれかの材料からなる微粒子を、樹脂の粒子中に分散させた樹脂キャリア等の1種または2種以上が挙げられる。
また、樹脂のコート層を形成する樹脂としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
キャリアの質量平均粒径は10〜200μm、特に30〜150μmであるのが好ましい。樹脂のコート層には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の添加剤を含有させて、その特性を調整してもよい。コート層の厚みは、従来と同程度でよく、コアへのコート量で表して0.01〜10質量%、特に0.05〜5質量%であるのが好ましい。
〈実施例1〉
(トナー粒子の製造)
結着樹脂(a)としての、質量平均分子量Mwが5,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、結着樹脂(b)としての、質量平均分子量Mwが350,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、着色剤としてのカーボンブラック〔三菱化学(株)のMA100〕と、ワックス〔中京油脂(株)製のMP−WAXL−994、融点100℃〕と、正電荷制御剤〔オリエント化学工業(株)製のN−01〕とを、トナー成分として、下記表1に示す割合で、先に説明した、図1の製造工程のうち予備混合装置7に供給した。
Figure 2008145861
そして、図1、図2の製造工程に従って、先に説明したように、前記トナー成分を予備混合装置7による予備混合、一軸型エクストルーダ1による混練、ギアポンプ4による圧力および押出量の調整、静止型ミキサ2および流路構造体3内での更なる混練、ノズル6を通しての押出、熱風による延伸、冷風による急冷の各工程を経て円柱繊維状の複数の繊維状体12を製造し、前記複数の繊維状体12を、ベルトコンベア11上で搬送しながらがら放冷した後、繊維切断装置8によって切断して、円柱状で、かつ、円柱の軸線方向の長さa=6.5μm、径方向の長さb=9.7μmで、かつ体積基準の中心粒径が8.0μmであるトナー粒子を、連続的に製造した。なお、繊維状体12の切断長に相当する、円柱の軸線方向の長さaは、繊維状体12の搬送速度と、回転刃10の回転速度の比によって調節した。
トナー粒子の、円柱の軸線方向の長さaと、径方向の長さbは、それぞれ、先に説明したように、走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製のJSM−880〕を用いて撮影した、トナー粒子の、倍率2000倍の画像中から任意に選定した100個のトナー粒子における、前記長さa、bの測定値から算出した平均値でもって表した。また、前記トナー粒子の、体積基準の中心粒径は、先に説明した粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製のマルチサイザー3〕を使用して、アパーチャ径100μmの条件で測定した粒度分布の測定値から算出した値でもって表した。
(電子写真用トナーの調製)
前記トナー粒子100質量部と、外添剤としてのシリカ〔日本アエロジル(株)製のRA−200H〕1.0質量部、および酸化チタン〔チタン工業(株)製のST−100〕0.8質量部とを配合し、ヘンシェルミキサ〔三井鉱山(株)製〕を用いて混合して電子写真用トナーを調製した。
〈実施例2〉
結着樹脂(a)としての、質量平均分子量Mwが5,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、結着樹脂(b)としての、質量平均分子量Mwが350,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、結着樹脂(c)としての、質量平均分子量Mwが48,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、着色剤としてのカーボンブラック〔三菱化学(株)のMA100〕と、ワックス〔中京油脂(株)製のMP−WAXL−994、融点100℃〕と、正電荷制御剤〔オリエント化学工業(株)製のN−01〕とを、トナー成分として、下記表2に示す割合で、図1の製造工程のうち予備混合装置7に供給したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を製造し、電子写真用トナーを調製した。
Figure 2008145861
〈実施例3〉
ワックスとして、クラリアント社製の登録商標セリダスト(Ceridust)2051(融点81℃)を同量、使用したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を製造し、電子写真用トナーを調製した。
〈比較例1〉
結着樹脂(a)としての、質量平均分子量Mwが5,000であるスチレン−アクリル系樹脂と、結着樹脂(d)としての、質量平均分子量Mwが300,000であるスチレンアクリル系樹脂と、着色剤としてのカーボンブラック〔三菱化学(株)のMA100〕と、ワックス〔中京油脂(株)製のMP−WAXL−994、融点100℃〕と、正電荷制御剤〔オリエント化学工業(株)製のN−01〕とを、トナー成分として、下記表2に示す割合で、図1の製造工程のうち予備混合装置7に供給したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を製造し、電子写真用トナーを調製した。
Figure 2008145861
〈比較例2〉
ワックスとして、日本精鑞(株)製のFT100(融点103℃)を同量、使用したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を製造し、電子写真用トナーを調製した。
〈傾斜Sνの算出〉
前記各実施例、比較例で製造した電子写真用トナー1.8gを秤量し、フローテスター〔(株)島津製作所製のCFT−500D〕用のシリンダの内径に対応した内径を有する圧縮成形用の型内に充てんした状態で、1000kg/cm2の圧力で圧縮成形して、タブレット状の測定用のサンプルを作製した。
次に、前記サンプルを、前記フローテスターのシリンダ内に収容し、日本工業規格JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に所載の測定方法に則って、シリンダ内のサンプルに30kgfの荷重をかけながら、前記シリンダの温度を、毎分4℃の昇温速度で徐々に上昇させた。そして、サンプルが溶融して、シリンダの底部に設けた、直径1mm、長さ1mmのダイを通して、前記シリンダ外へ流出する際の、流出速度の推移を測定し、前記測定値から、溶融粘度の、温度上昇に伴う推移を求めて、溶融粘度−温度特性のグラフを作成した。
そして、前記溶融粘度−温度特性のグラフから、溶融したサンプルが、ダイを通して流出を開始した温度+5℃の温度T1(℃)での溶融粘度ν1(Pa・S)と、全てのサンプルが流出して流出が終了した温度−5℃の温度T2(℃)での溶融粘度ν2(Pa・S)とを求めて、先に示した式(1)により、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを算出した。
〈実機試験〉
前記各実施例、比較例で調製した電子写真用トナーを、フェライトキャリア〔質量平均粒径80μm、シリコーン樹脂コート、パウダーテック(株)製〕100質量部あたり7質量部の割合で配合して2成分現像剤を調製した。そして、前記2成分現像剤を、京セラミタ(株)製のモノクロ複合機KM−4055を2成分現像方法用に改造した改造機に、スタート現像剤として使用すると共に、前記2成分現像剤に使用したのと同じ電子写真用トナーを補給用トナーとして使用して、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの常温、常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
(画像濃度、かぶり濃度測定)
前記常温、常湿環境下で、印字率5%の標準パターンを8万枚、連続して画像形成した後、1枚目、2万枚目、4万枚目、6万枚目、および8万枚目の形成画像のベタ部の画像濃度を、反射濃度計〔東京電色(株)製のTC−6D〕を用いて測定して画像濃度とした。また、同じ形成画像の余白部分の画像濃度を、前記反射濃度計を用いて測定してかぶり濃度とした。
(ドラム付着の観察)
前記常温、常湿環境下で、印字率5%の標準パターンを8万枚、連続して画像形成した後、1枚目、2万枚目、4万枚目、6万枚目、および8万枚目の形成画像について、ドラム付着に起因する画像の不具合の有無を観察した。
以上の結果を表4に示す。
Figure 2008145861
表より、トナー粒子を紡糸法で製造したものの、前記トナー粒子を形成するトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃を超えていた比較例1の電子写真用トナーを用いた場合には、6万枚目、および8万枚目の画像において、かぶり濃度が上昇すると共に、ドラム付着が発生しているのが確認された。
これに対し、トナー粒子を紡糸法で製造すると共に、前記トナー粒子を形成するトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνを1×104Pa・S/℃以下とした実施例1〜3、比較例2の電子写真用トナーを用いた場合には、1枚目の画像から8万枚目の画像まで、前記かぶり濃度の上昇やドラム付着、画像濃度の低下等を生じることなく、常に良好な画像を形成できることが確認された。
(定着性評価)
前記常温、常湿環境下、および温度10〜15℃、相対湿度30〜35%RHの低温、低湿環境下で、縦20mm×横20mmのベタパターンを100枚、連続して画像形成した後、下記表5に示す各形成画像について、底面積20cm2の摩擦面の全面にガーゼを貼り付けた質量1035gの錘を、前記ガーゼを貼り付けた摩擦面が、ベタパターン上に重なるように載置した状態で5往復、摩擦させた。そして、摩擦させる前後の、前記ベタパターンの画像濃度を、反射濃度計〔東京電色(株)製のTC−6D〕を用いて測定して、式(2):
Figure 2008145861
により、摩擦前後の画像濃度の維持率(%)を求めて、定着性を評価した。結果を表5に示す。
Figure 2008145861
表より、トナー粒子を紡糸法で製造したものの、前記トナー粒子を形成するトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃を超えていた比較例1の電子写真用トナーを用いた場合には、低温、低湿条件下で連続画像形成した際に、定着ローラの温度低下に伴って、60枚目以降の形成画像において、トナー粒子の定着性が悪化して、画像濃度の維持率が90%を下回ることが判った。
この原因としては、トナー成分中のワックスが、引き伸ばし工程において再凝集した結果、切断工程を経て製造される個々のトナー粒子中に含まれるワックスの量のばらつきが大きくなったり、特に円柱繊維の切断面において、大きい面積で露出したワックスが、その後の過程でトナー粒子から脱落したりして、トナー粒子全体でのワックスの含有量が少なくなって、低温定着性が低下したことが考えられた。
また、トナー粒子を紡糸法で製造すると共に、前記トナー粒子を形成するトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下であったものの、ワックスの融点が100℃を超えていた比較例2の電子写真用トナーを用いた場合には、低温、低湿条件下で連続画像形成した際に、定着ローラの温度低下に伴って、10枚目以降の形成画像において、トナー粒子の定着性が悪化して、画像濃度の維持率が90%を下回ることが判った。
これに対し、トナー粒子を紡糸法で製造すると共に、前記トナー粒子を形成するトナー成分の、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下であり、なおかつワックスの融点が100℃以下であった実施例1〜3の電子写真用トナーを用いた場合には、低温、低湿条件下で連続画像形成した際に、定着ローラの温度低下が発生しても、1枚目の画像から100枚目の画像まで、トナー粒子の定着性を良好に維持して、画像濃度の維持率を90%以上に維持できることが確認された。
本発明の電子写真用トナーに用いるトナー粒子を製造する工程の一例を説明する概略図である。 前記工程の続きの工程を説明する概略図である。 前記工程によって製造されるトナー粒子の外観を示す斜視図である。
符号の説明
1A ホッパ
1 一軸型エクストルーダ
2 静止型ミキサ
3A 分配流路
3 流路構造体
4 ギアポンプ
5 モータ
6 ノズル
7 予備混合装置
8 繊維切断装置
9a エッジ
9 固定刃
10 回転刃
10a 切断刃
11 ベルトコンベア
12 繊維状体
13 トナー粒子
14 羽根体
15 回転スクリュー

Claims (1)

  1. 少なくとも結着樹脂とワックスとを含み、溶融状態にあるトナー成分を円柱繊維状に引き伸ばし、切断して製造される円柱状のトナー粒子を少なくとも含む電子写真用トナーであって、フローテスターを用いて測定した、溶融粘度−温度特性の傾斜Sνが1×104Pa・S/℃以下であると共に、ワックスの融点が100℃以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
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