従来のこの種の定着装置として、定着ローラと、該定着ローラに対して接近離間移動可能に配置され、接近時に定着ローラに当接する定着ベルトと、を備えるものがある。
この定着装置は、定着ローラにハロゲンヒータ等の加熱手段が内蔵され、該ヒータにより定着ローラがある程度の温度となったときに定着ローラに対して定着ベルトを接近移動させ定着ローラに当接させる。
そして、定着ローラと定着ベルトとの間でトナー画像が転写されたシートを挟持して搬送しつつ、加熱、加圧処理を施して、シート上の未定着トナー画像を該シートに定着させる。
ところで、近年、フルカラー画像形成装置では、画像の発色性や画像品質を向上させるために、シートの表面または両面に合成樹脂等のコート層をコーティングしたコート紙が用いられる。
コート紙上に形成された未定着トナー画像を定着装置で定着させる場合、コート紙に必要以上の熱量が加えられると、コート紙上のコート層が部分的に押し上げられる現象(以下、ブリスタという)が発生することがある。
このブリスタは、コート紙の内部でコート紙中に含まれる水分が定着装置で加熱されて水蒸気となり、この水蒸気がコート層があるために外部へ放出されず、コート層の薄い部分に集中してしまうために生じる。コート紙表面にブリスタが発生すると、コート紙表面の平滑性が失われ、画像に悪影響を及ぼす。
このコート紙のブリスタによる画質への障害を防ぐために、印字動作中に定着ローラと定着ベルトとの間に温度差を持たせる定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、コート紙に印字された未定着トナー像を定着する際には、定着ベルトと定着ローラとの間に温度差を持たせるために、コート紙が定着装置に達するタイミングで、定着ベルトを定着ローラに当接させるようにして、定着ベルトの温度をなるべく低くする。
また、一方で、先行して搬送されるシートの後端と後続するシートの先端との間隔(紙間)が狭い場合には、定着ローラに対する定着ベルトの接近離間移動の時間を確保できないため、定着ベルトをファン等の冷却手段によって冷却するようにした定着装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図7に、定着ベルトを冷却する冷却ファンを備えた従来の定着装置を示す。
この定着装置は、定着ローラ500と定着ベルト501と、を備える。この定着ベルト501は定着ローラ500に対して接近離間移動可能に配置され、接近時に定着ローラ500に当接する。
定着ベルト501は、複数(図では3つ)のローラによって懸架されており、そのうちの1つのローラ502が昇降ローラとされている。この昇降ローラ502を駆動することにより、定着ベルト501が定着ローラ500に対して図のX方向に接近離間移動する。
定着ベルト501の内面側の定着ローラ500の当接位置には、加圧パッド506が配置されている。
加圧パッド506は、定着ベルト501の定着ローラ500の反対側(定着ベルト501の内面側)で、定着ベルト501に対して図のY方向に接近離間移動可能に配置されている。加圧パッド506は、定着ベルト501が定着ローラ500に当接する方向に移動する場合は、昇降ローラ502に連動して、定着ベルト501に接近する方向に移動して、該定着ベルト501を定着ローラ500に押圧する。
また、加圧パッド506は、定着ベルト501が定着ローラ500から離間する方向に移動する場合、昇降ローラ502に連動して、定着ベルト501の内面から離間する方向に移動する。
定着ローラ500には該定着ローラ500をヒートアップさせるためのハロゲンヒータ等の定着ヒータ508が内蔵され、定着ローラ500の表面には定着ローラ500の表面温度を検知する温度センサ509が配置されている。
定着ベルト501の内面側には、該定着ベルト501の表面温度を検知する温度センサ510が配置されている。また、定着ベルト501の外面側には該定着ベルト501を冷却する冷却ファン504が配置され、冷却ファン504の後方にはエア吸気口505が配置されている。
上記構成の定着装置においては、未定着のトナー画像が転写されたコート紙が搬送されてくる前に、定着ベルト501を定着ローラ500に当接させて待機する。そして、コート紙にブリスタが発生しないように、定着ベルト501の温度が定着ローラ500の表面温度より所定温度分低い温度になるように定着ローラ500との温度差を監視しながら、冷却ファン504を駆動する。定着ベルト501と定着ローラ500との温度差が所定値を超えていれば、冷却ファン504の駆動を停止し、必要以上に定着ベルト501を冷却しないようする。また、定着ベルト501と定着ローラ500との温度差が所定値以下の場合は、冷却ファン504に対して所定の風量設定を行う。
特開平11−194647号公報
特開2004−205673号公報
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態の一例である定着装置145を備えた画像形成装置100について説明する。
この画像形成装置100は、フルカラーの画像を形成する画像形成装置であり、図1に示すように、自動原稿給送装置(Auto Document Feeder:以下、ADFと呼ぶ)170を備えている。
ADF170は、原稿載置台171に載置された原稿をスキャナ102で読み取ることができる位置まで自動的に給送する。原稿載置台171には、最大100枚以上の原稿を載置することができる。原稿載置台171に載置された原稿は原稿給紙ローラ172によって給紙される。また、原稿の両面を読み取る場合、原稿給紙ローラ172から給紙された原稿は原稿両面反転ローラ173によって表裏反転される。
原稿給紙ローラ172、あるいは原稿両面反転ローラ173により搬送されてくる原稿は、原稿搬送ベルト174によってプラテンガラス101上を搬送される。原稿搬送ベルト174は、原稿をスキャナ102の読み取り位置で停止させたり、原稿排出口175に搬送したり、また、原稿の裏面を読み取る際には、原稿を原稿両面反転ローラ173へと戻すように搬送したりする。原稿排出口175の原稿の最大積載枚数は、原稿載置台171と同様に100枚以上である。
スキャナ102は、原稿照明ランプ103や走査ミラー104等から構成され、原稿ランプ103、走査ミラー104〜106は不図示のモータによって所定方向に往復走査する。この往復走査中にプラテンガラス101上に載置された原稿からの反射光が走査ミラー104〜106を介してレンズ107を透過し、イメージセンサ部108内のCCDセンサに結像して電気信号に変換され、該電気信号が露光制御部109に送られる。
露光制御部109はレーザやポリゴンスキャナ等で構成され、イメージセンサ部108で電気信号に変換され、かつ、所定の画像処理が施された画像信号に基づいて変調されたレーザ光119が感光体ドラム111を露光する。
感光体ドラム111の周囲には、感光体ドラム111上を除電するための前露光ランプ121、感光体ドラム111を帯電させる1次帯電器112、およびクリーニング装置120が配置されている。また、感光体ドラム11の周囲には、各現像器113〜116を順次感光体ドラム111に接するように移動させる現像ロータリ117が配置されている。
現像器113〜116には、レーザ光119により感光体ドラム111上に形成された静電潜像を現像する4色のトナーが充填されている。感光ドラム111上に現像された画像は、1次転写ローラ122により中間転写体118に転写されてる。 感光体ドラム111は不図示のモータによって回転駆動され、1次帯電器112により所望の電位に帯電された後、露光制御部109からのレーザ光119が感光体ドラム111を露光する。そして、現像ロータリ117が1色目の現像器113を感光体ドラム111上の静電潜像に対向するように移動させて、現像器113内のトナーを静電的に付着させ、これにより、感光体ドラム111上に現像されたトナー像が形成される。
現像ロータリ117に収容された4色の現像器113〜116のトナーによってフルカラーの画像を形成する場合には、感光体ドラム111上の1色目のトナー像が1次転写ローラ122により中間転写体118へ1次転写された後、現像ロータリ117が2色目の現像器114を感光体ドラム111に接するように移動させる。
このとき、中間転写体118上に1次転写されている1色目の現像画像の先端と感光体ドラム111上に現像される2色目の現像画像の先端とが1次転写ローラ122の位置で、完全に一致するタイミングで、再度、露光制御部109から照射されるレーザ光119により、静電潜像画像を形成する。そして、中間転写体118上に1次転写されている1色目の現像画像の上に2色目の現像画像を重ね合わせる。この重ね合わせを3色目、4色目と繰り返すことにより、中間転写体118上に4色のフルカラーの現像画像を1次転写する。
一方、給紙カセット133,134,135又は136からピックアップローラ125,126,127又は128を介して給紙されたシートは、給紙ローラ129,130,131又は132によってレジストレーションローラ143に向けて搬送される。停止しているレジストレーションローラ143の近傍までシートが搬送されると、中間転写体118に結像されている未定着トナー画像に2次転写ローラ123によって転写バイアスがかけられる。
そして、この状態で画像先端とシート先端とが一致するようにレジストレーションローラ143が駆動されることで、シート上に画像が2次転写される。そして、画像が2次転写されたシートは搬送ベルト144によって本発明の実施の形態の一例である定着装置145に搬送される。
なお、1次転写ローラ122によって中間転写体118に転写されずに感光体ドラム111上に残留したトナーはドラムクリーナ装置120によって清掃され、清掃後、前露光ランプ121によって感光体ドラム111の残留電荷が消去される。
本発明の実施の形態の一例である定着装置145は、詳細は後述するが、定着ローラ600および定着ベルト601を備えており、シートに転写されたトナー像を加圧、加熱して定着させる。定着装置145を通過したシートは、内排出ローラ147、外排紙ローラ148を経て外部に搬出される。
さらに、図1において符号146は排紙フラッパであり、シートの進路を搬送経路138と反転経路139との何れか一方に切り替える。シートの両面に画像を形成する両面記録(両面複写)の際には、排紙フラッパ146を上げることによって、内排紙ローラ147から送り出されるシートを搬送経路138から、一旦、反転経路139に進入させた後に進行方向を逆転させて両面反転搬送経路140に搬送する。これにより、シートは裏返された状態で再給紙経路141に導かれ、再給紙経路141に導かれたシートは再給紙ローラ142によってレジストレーションローラ143に再給紙される。
また、シートを反転して外部に排出する際には、排紙フラッパ150を上げ、反転ローラ149によってシートの後端が反転フラッパ150を通過した状態の位置までシートを反転経路139へ送り込む。その後、反転ローラ149を逆転させることによってシートを裏返し、反転外排紙経路151を経由して外排出ローラ148側に送り出して排出する。
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態の一例である定着装置145について説明する。
本発明の実施の形態の一例である定着装置145は、図5に示すように、定着ローラ600と定着ベルト601とを備える。定着ベルト601は、定着ローラ600に対して接近離間移動可能に配置され、接近時に定着ローラ600に当接する。
定着ベルト601は、複数(図では3つ)のローラによって懸架されており、そのうちの1つのローラ602が昇降ローラとされている。この昇降ローラ602を駆動することにより、定着ベルト601が定着ローラ600に対して図のX方向に接近離間移動する。
定着ベルト601の内面側の定着ローラ600の当接位置には、加圧パッド606が配置されている。
加圧パッド606は、定着ベルト601の定着ローラ600の反対側(定着ベルト601の内面側)で、定着ベルト601に対して図のY方向に接近離間移動可能に配置されている。加圧パッド606は、定着ベルト601が定着ローラ600に当接する方向に接近移動する場合は、昇降ローラ602に連動して、定着ベルト601に接近する方向に移動して、該定着ベルト601を定着ローラ600に押圧する。
また、加圧パッド606は、定着ベルト601が定着ローラ600から離間する方向に移動する場合、昇降ローラ602に連動して、定着ベルト601の内面から離間する方向に移動する。
定着ローラ600には該定着ローラ600を加熱させるためのハロゲンヒータ等の定着ヒータ608が内蔵され、定着ローラ600の表面には定着ローラ600の表面温度を検知する温度センサ609が設けられている。
定着ベルト601の内面側には、該定着ベルト601の表面温度を検知する温度センサ610が設けられている。また、定着ベルト601の内面側には、該定着ベルト601を冷却する冷却ローラ(冷却手段)604が設けられている。
冷却ローラ604は、ヒートパイプから構成されている。冷却ローラ604は、定着ローラ600に当接した状態の定着ベルト601に対して接近離間する方向(図のZ方向)に移動可能に配置されており、接近時に定着ベルト601に当接して、該定着ベルト601を冷却する。
次に、図2を参照して、画像形成装置100の制御系について説明する。
図2に示すように、画像形成装置100の制御系は、操作部201および本体制御部(制御手段)202を備える。
操作部201は、図3に示す操作部パネル300やLCD表示部301での入力操作に応じた表示や音等を制御する。本体制御部202は、不図示の記憶手段(ROM等)に格納された制御プログラムをRAM(不図示)ロードして画像形成装置100の全体の動作を制御する。例えば、給紙段からシートを給紙し、画像形成部でトナー画像を形成し、シート上にトナー画像を転写し、定着装置145で未定着のトナー画像をシートに定着させる際の動作やシート位置(搬送)等の制御を実行する。
また、本体制御部202は、シートの位置情報や温度センサ609,610からの温度情報、操作部300からの用紙情報やプリント開始情報等に基づいて、定着ヒータ608、昇降ローラ駆動手段206、冷却ローラ駆動手段(駆動手段)207を制御する。
昇降ローラ駆動手段206は、昇降ローラ602を図5のX方向に移動させて定着ベルト601を定着ローラ600に対して接近離間する方向に移動させるとともに、昇降ローラ602の動作に連動させて加圧パッド606を定着ベルト601に対して図5のY方向に接近離間移動させる。
冷却ローラ駆動手段207は、定着ローラ600に当接した状態の定着ベルト601に対して冷却ローラ604を接近離間する方向(図のZ方向)に移動させる。
次に、図3を参照して、画像形成装置100に設けられた操作パネル300について説明する。
図3(a)に示すように、操作パネル300には、LCD表示部301が配置されている。LCD表示部301には、画像形成装置100の動作や機能を設定する設定画面が表示される。
LCD表示部301の側部には、ユーザーモードキー303、テンキー302、およびリセットキー308が配置されている。
ユーザーモードキー303は、画像形成装置の各種動作モードをユーザーの好みに応じて設定変更するためのキーであり、シートの用紙タイプ登録(図4参照)を行う場合にも押下される。テンキー202は、0〜9までの数値を入力するためのキーである。
リセットキー308は、LCD表示部301で設定変更された機能や、テンキー302で設定された置数(部数)をデフォルト値に戻したりするためのキーである。
テンキー302に側部には、スタートキー304、ストップキー305、電源キー306、節電モードキー307が配置されている。
スタートキー304は、LCD表示部301にて設定された機能にしたがって動作開始を実行させるためのキーである。ストップキー305は、画像形成装置100の動作を停止させるためのキーである。
電源キー306は、画像形成装置100やADF170の電源をON/OFF操作するためのキーである。節電モードキー307は、画像形成装置100のスタンバイ時に、定着装置145の目標温度やモータ等の各種待機電力に設定するためのキーである。
図3(b)はLCD表示部301の表示例を示すものであり、LCD表示部301の画面略中央には、等倍設定キー310、変倍率を設定する倍率キー311、および給紙選択キー314が配置されている。倍率キー311で設定された倍率は、画像形成装置100のスキャナ102の制御に反映される。
LCD表示部301の画面左下には、ソータ設定キー312および両面モード設定キー313が配置されている。両面モード設定キー316は、画像形成装置100でシートが片面のみ印字されるのか、両面共に印字されるのか、またはADF170で給送される原稿が片面のみ読み込まれるのか、両面共に読み込まれるのかなどを設定する。
LCD表示部301の画面右下には、自動画像変換モード設定キー316、濃度調整キー315,317、画像モードキー318は、および応用モードキー319が配置されている。
自動画像変換モード設定キー316は、画像モードキー318で設定される画像読み込みモード(文字モード、文字写真モード、写真モードなど)の設定に関わらず、文字モード、かつ自動的に原稿の下地を読み飛ばす地飛ばしモードが設定される。濃度調整キー315,317は、画像モードキー318で設定された画像読み込みモードにおいて、画像濃度を濃くしたり、薄くしたりするためのキーである。応用モードキー319は、その他の画像形成装置で編集可能な各種複写モードを設定するためのキーである。
図4(a)は、LCD表示部301において、給紙段ごとの用紙タイプを設定登録する画面400の表示例である。この用紙タイプ登録画面400は、操作パネル300(図3(a)参照)でユーザーモードキー303が押下され、不図示のユーザーモード選択画面により用紙タイプの登録が押下されたときに表示される。
用紙タイプ登録画面400には、画像形成装置100の給紙カセット133〜136がそれぞれカセット1(401)〜カセット4(404)として表示されている。例えば、給紙カセット133に用紙タイプ(材質)を登録する場合、該当するカセット1(401)の選択キーを押下すると、そのキーの表示が白黒反転し、図4(b)に示すカセット1の用紙タイプ登録画面410へと遷移する。同様に、給紙カセット134に用紙タイプを登録する場合、該当するカセット2(402)の選択キーを押下し、給紙カセット135に用紙タイプを登録する場合、該当するカセット3(403)の選択キーを押下する。また、給紙カセット136に用紙タイプを登録する場合、該当するカセット4(404)の選択キーを押下する。
この実施の形態での用紙タイプ登録画面400では、給紙カセット133、給紙カセット134はコート紙が設定登録され、給紙カセット135、給紙カセット136は初期値として普通紙が設定登録されている。
また、図4(b)に示すカセット1の用紙タイプ登録画面410には、普通紙キー411、色紙キー412およびコート紙キー413が配置されている。
普通紙キー411は、給紙カセット133のシートが普通紙であれば、これを押下する。また、初期値として普通紙が選択されるので、初めて本画面410に入ったときには、普通紙のキーが選択された状態(黒反転)となっている。色紙キー412は、給紙カセット133のシートが色紙であれば、これを押下する。
コート紙キー413は、給紙カセット133のシートがコート紙であれば、これを押下する。
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態の一例である定着装置145の動作例について説明する。ここで、図6での各処理は、不図示の記憶手段(ROM等)に格納された制御プログラムをRAM(不図示)ロードして本体制御部202のCPU等により実行される。
まず、ステップS700で、電源キー306により画像形成装置100の電源が投入されると、ステップS701に移行する。ステップS701では、初期動作が実行され、制御部202は定着ヒータ608をOFF制御するとともに、昇降ローラ駆動手段206を制御して、定着ベルト601および加圧パッド606を定着ローラ600から離間移動させるように昇降ローラ602を駆動する。また、制御部202は冷却ローラ駆動手段207を制御して、冷却ローラ604を定着ベルト601から離間移動させる。
次に、ステップS702では、制御部202は定着ローラ600側の温度センサ609による検知情報に基づいて定着ローラ600の温度がスタンバイ温度であるか否かを判断する。そして、スタンバイ温度であると判断された場合には、ステップS705に移行し、そうでない場合はステップS703に移行する。
ステップS703では、制御部202は定着ヒータ608をONして、定着ローラの温度がスタンバイ温度に達するまで温度調整制御(以下、温調制御と称す)を行い、ステップS704に移行する。ステップS704では、制御部202は昇降ローラ駆動手段206を制御して、昇降ローラ602を定着ローラ600側に接近移動させる。これにより、定着ベルト601が定着ローラ600に当接するとともに、加圧パッド606が定着ベルト601に圧着する。この状態でステップS702に戻り、制御部202は定着ローラ600側の温度センサ609による検知情報に基づいて定着ローラ600の温度がスタンバイ温度であるか否かを判断する。
なお、ステップS704で、定着ベルト601を定着ローラ600に当接させる理由は以下のとおりである。加圧パッド606が冷えきっている場合に、定着ベルト601が急激に冷却されてしまう。このため、定着ベルト601側の温度センサ610で定着ベルト601の温度が低下していると検知される。そこで、定着ベルト601と定着ローラ600との温度差を一定にするために、印字動作が開始されるまでは、加圧パッド606を定着ローラ600に定着ベルト601を介して圧着することで、加圧パッド606を昇温させる。
一方、ステップS705では、制御部202は定着ヒータスタンバイ温調制御モードへ移行し、定着ローラ600側の温度センサ609からの検知情報に基づいて定着ローラ600の温度がスタンバイ温度に保持されるように定着ヒータ608を制御する。その後、ステップS706に移行する。
ステップS706では、制御部202は定着ベルト601が定着ローラ600に当接しているか否かを判断し、当接している場合は、ステップS707に移行し、当接していない場合は、ステップS708に移行する。
ステップS707では、制御部202は昇降ローラ駆動手段206を制御して、昇降ローラ602を定着ローラ600から離間移動させる。これにより、定着ベルト601が定着ローラ600から離間する、加圧パッド606が定着ベルト601から離間し、この状態でステップS708に移行する。
ステップS708では、制御部202は操作パネル300のスタートキー304が操作されたか否かを監視する。そして、スタートキー304が押下されてプリントが開始されると、ステップS709で、制御部202はプリント温調制御モードに移行し、定着ローラ600の温度がプリント可能な温度になるように定着ヒータ607を制御して、ステップS710に移行する。
ステップS710では、制御部202は昇降ローラ駆動手段206を制御して、昇降ローラ602を定着ローラ600側に接近移動させる。これにより、定着ベルト601が定着ローラ600に当接するとともに、加圧パッド606が定着ベルト601に圧着し、この状態でステップS711に移行する。
ステップS711では、制御部202は、像形成する用紙の材質としてコート紙が選択されているか否かを判断する。そして、コート紙が選択されている場合は、ステップS712に移行し、そうでない場合は、ステップS714に移行する。
ステップS712では、制御部202は温度センサ610による定着ベルト601の検知温度が温度センサ609による定着ローラ600の検知温度よりも低く、且つその差が一定の温度差内か否かを判断する。そして、定着ベルト601の温度が定着ローラ600の温度よりも低く且つその差が一定の温度差内である場合(ステップS712のNo)は、ステップS713に移行する。一方、定着ベルト601の温度が定着ローラ600の温度よりも低く且つその差が一定の温度差を超える場合(ステップS712のYes)は、ステップS714に移行する。
ステップS713では、制御部202は冷却ローラ駆動手段207を制御して、冷却ローラ604を定着ベルト601に接近する方向に移動させて定着ベルト601に当接させ、該定着ベルト601を冷却する。
そして、ステップS714で、給紙カセット133〜136のいずれかのカセットから給紙されたシートへのトナー画像の転写及び定着装置145での定着処理が行われる。その後、ステップS715では、制御部202はすべてのシートへの像形成が終了か否かを判断する。
ステップS715で、すべてのシートへの像形成が終了したと判断されてプリント動作を終了する場合は、ステップS716に移行する。一方、ステップS715で、プリント動作が継続中である場合は、ステップS711へ戻り、上記同様の処理を繰り返す。
ステップS716では、制御部202は冷却ローラ604が定着ベルト601に当接しているか否かを判断し、当接している場合は、ステップS717に移行し、当接していない場合は、ステップS702に戻り、上記同様の処理を繰り返す。ステップS717では、制御部202は冷却ローラ駆動手段207を制御して、冷却ローラ604を定着ベルト601から離間する方向に移動させる。この状態でステップS702に戻り、上記同様の処理を繰り返す。
以上説明したように、この実施の形態では、冷却ローラ604を、定着ローラ600に当接した状態の定着ベルト601に対して接近離間移動可能に配置し、冷却ローラ604が定着ベルト601に接近移動して当接することで、定着ベルト601が冷却される。従って、従来必要であった冷却ファンの設置スペースや冷却用エアの進入路の配置スペースが不要となる。
これにより、図5の設置幅W2(本発明例)と図7の設置幅W1(従来例)との比較から明らかなように、定着装置145の小型化を図ることができ、定着装置145の設置スペースを極力小さくすることができる。
また、冷却ローラ604が定着ベルト601に当接して定着ベルト601を直接冷却するので、定着ベルト601に対する十分な冷却効果を得ることができる。これにより、小型の画像形成装置でコート紙等に未定着トナー画像を定着させる場合であっても、コート紙等にブリスタを発生させることなく、高画質な出力画像を得ることができる。