JP2008144848A - 自動変速機の体積膨縮吸収装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一の手法によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を自動的に調整することができる自動変速機の体積膨縮吸収装置を提供する。
【解決手段】自動変速機1のケース10の内部を気密状態に封印し、その内部に封印された空気及びオイルの温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置5を設ける。体積膨縮吸収装置5に、トランスアクスルケース11の下端部の車体後側寄りを車体前後方向に延びる円筒形状のシリンダ51と、シリンダ内に摺動自在に収容され、ケース内部の空気およびオイルが収縮する際にトランスアクスルケースの内部側に移動する一方、ケース内部の空気およびオイルが膨張する際にトランスアクスルケースの外部側に移動するピストン52とを設ける。そして、ピストンを、ケースの内部に貯留されているオイルの油面Aに対し少なくとも下部が接するように配している。
【選択図】図1
【解決手段】自動変速機1のケース10の内部を気密状態に封印し、その内部に封印された空気及びオイルの温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置5を設ける。体積膨縮吸収装置5に、トランスアクスルケース11の下端部の車体後側寄りを車体前後方向に延びる円筒形状のシリンダ51と、シリンダ内に摺動自在に収容され、ケース内部の空気およびオイルが収縮する際にトランスアクスルケースの内部側に移動する一方、ケース内部の空気およびオイルが膨張する際にトランスアクスルケースの外部側に移動するピストン52とを設ける。そして、ピストンを、ケースの内部に貯留されているオイルの油面Aに対し少なくとも下部が接するように配している。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動変速機のケースの内部に封印された空気の温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置に関する。
一般に、車両に搭載される自動変速機のケースにはブリーザ機構が設けられ、このブリーザ機構によって、自動変速機のケース内部の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに、ケース内部の空気をブリーザプラグを介して外部に放出して内外の圧力差をなくす一方、ケース内部の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに、外部の空気をブリーザプラグを介して内部に取り入れて内外の圧力差をなくすようにしている。
しかし、ブリーザ機構によってケースの内外が連通状態となるため、冠水路などを走行する際に跳ね上げられた水がブリーザプラグに掛かると、ブリーザプラグを介してケース内に水分が浸入するおそれがある。
そこで、ブリーザ機構を廃止して自動変速機のケースの内部を気密状態に封印し、自動変速機のケース内部と車体上に設けた密閉空間とを取出管を介して連通させて、ケース内部の圧力が変化した際に密閉空間内部の空気を膨縮させて調整するようにしたものが従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開2005−330977号公報
ところで、オイル自体は温度による体積変化は小さい。しかし、オイルの低温時は粘性が高く(半ゼリー状)なり、ポンプによって各部に圧送されたオイルがオイルパンに戻るのに時間がかかり、油面が低下してオイルポンプがエアを吸う不具合が起き易い。一方、オイルの高温時は、オイルが撹拌によって気泡を含み、体積が増える。そのため、オイルの油面が高いと、回転体への接触も増えて、温度上昇や泡立ちによるブリーザ吹きが起き易くなる。また、ブリーザ機構が存在しない場合でも、オイルの油面が高いと、撹拌抵抗により効率低下、損失増加による温度上昇、温度上昇による強度低下などの不具合が発生し易くなる。そのため、オイルの低温時は油面を高く、オイルの高温時は油面を低くすることがよい。
しかし、上記従来のものでは、ケース内部の圧力が変化した際に密閉空間内部の空気を膨縮させて調整することが行われているものの、温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を調整することができない。そのため、温度変化によるオイルの油面の高低差を調整する上で、何らかの手段を別途講ずる必要があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、単一の手法によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を自動的に調整することができる自動変速機の体積膨縮吸収装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、自動変速機の体積膨縮吸収装置として、自動変速機のケースの内部を気密状態に封印し、その内部に封印された空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置を設け、上記体積膨縮吸収装置に、ケースの内部の空気およびオイルの体積が収縮する際にその体積の収縮を吸収するように上記ケースの内部側に移動する一方、ケースの内部の空気およびオイルの体積が膨張する際にその体積の膨張を吸収するように上記ケースの外部側に移動する移動体を設ける。そして、上記移動体を、上記ケースの内部に貯留されているオイルの油面に対し少なくとも一部が接するように配している。
この特定事項により、ケースの内部に封印された空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮をケースの内外方向へ移動することにより吸収する移動体が、ケースの内部に貯留されたオイルの油面に対し少なくとも一部が接するように配されているので、オイルに少なくとも一部が接する移動体のケース内外方向への移動に伴って、オイルの油面が変位することになる。
つまり、ケースの内部の空気およびオイルの体積が収縮している低温時にケースの内部側に移動している移動体は、オイルが暖められた際に、オイルの体積の膨張によるオイルの油面の高さの上昇に伴って加圧された空気の加圧力と、空気の温度上昇に伴って体積が膨張する空気の膨張力と、上記空気の加圧力および膨張力がオイルの油面に作用することにより上昇するオイルの圧力とによって、ケースの外部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面の高さは、オイルの油面に対し少なくとも一部が接している移動体のケースの外部側への移動に伴って低く変位することになり、高温時に気泡含有などによってオイルの体積が膨張しても、高温時におけるオイルの油面の高さの上昇が抑制される。
一方、自動変速機が停止してケースの内部のオイルの油温が低下すると、オイルの体積の収縮に伴って空気の体積が収縮し、その空気の収縮力と、この空気の収縮力がオイルの油面に作用することにより低下するオイルの圧力とによって、高温時にケースの外部側に移動していた移動体がケースの内部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面の高さは、オイルの油面に対し少なくとも一部が接している移動体のケースの内部側への移動に伴って高く変位することになり、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面の高さの下降が抑制される。
これにより、オイルの油面に対し少なくとも一部が接した状態でケースの内外方向へ移動する移動体を備えた単一の体積膨縮吸収装置によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を自動的に調整することが可能となる。
また、上記移動体を、上記ケースの内部に貯留されているオイルの油面よりも下方に沈下させている場合には、低温時にケースの内部側に移動している移動体は、オイルが暖められた際に、オイルの自重と、このオイルの体積の膨張によるオイルの油面の高さの上昇に伴って加圧された空気の加圧力と、空気の温度の上昇に伴って体積が膨張する空気の膨張力と、上記空気の加圧力および膨張力がオイルの油面に作用することにより上昇するオイルの圧力とによって、ケースの外部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面の高さは、低温時のオイルの油面よりも下方に沈下している移動体のケースの外部側への移動に伴って、その移動体のケース外部側への移動容積分低く変位することになり、高温時に気泡含有などによってオイルの体積が膨張しても、高温時におけるオイルの油面の高さの上昇が効率よく抑制される。
一方、自動変速機が停止してケースの内部のオイルの油温が低下すると、オイルの体積の収縮に伴って空気の体積が収縮し、その空気の収縮力と、この空気の収縮力がオイルの油面に作用することにより低下するオイルの圧力とによって、高温時にケースの外部側に移動していた移動体がオイルの自重に抗してケースの内部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面の高さは、オイルの油面よりも下方に沈下している移動体のケースの内部側への移動に伴って、その移動体のケース内部側への移動容積分高く変位することになり、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面の高さの下降が効率よく抑制される。
これにより、オイルの油面よりも下方に沈下した状態でケースの内外方向へ移動する移動体を備えた単一の体積膨縮吸収装置によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を効果的に調整することが可能となる。
以上、要するに、ケース内部の空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮をケースの内外方向への移動により吸収する移動体を、ケース内部のオイルの油面に対し少なくとも一部が接するように配することで、高温時にオイルおよび空気の体積の膨張により移動体をケースの外部側に移動させて、ケース内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化を調整するとともに、高温時におけるオイルの体積膨張によるオイルの油面の高さの上昇を抑制する一方、低温時にオイルおよび空気の体積の収縮により移動体をケースの内部側に移動させて、ケース内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化を調整するとともに、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面の高さの下降を抑制し、よって単一の体積膨縮吸収装置によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を自動的に調整することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の実施例1に係る体積膨縮吸収装置を備えた自動変速機のケースを車体左右方向一側から見た断面図であって、この自動変速機1のケース10内には、変速機構等が収納されている。この自動変速機1は、自動車の車体に対し横置きに搭載されている。
この図1および図2において、ケース10は、トランスアクスルケース11と、このトランスアクスルケース11の車体左右方向一側に接合されるリヤケースと、トランスアクスルケース11の車体左右方向他側に接合されるトランスアクスルハウジングとで構成されている。なお、トランスアクスルハウジングの内部には、トルクコンバータが収納され、トランスアクスルケース11の内部には、変速機構(不図示)が収納されている。ケース10(トランスアクスルケース11)の下端部には、オイルを貯留する浅箱形状のオイルパン2が設けられている。このオイルパン2に貯留されたオイルは、トルクコンバータの作動油として、また、変速機構の潤滑油として、また、変速機構のクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合要素を接離させるためのアクチュエータ(不図示)の作動油として、オイルポンプ(不図示)によって供給される。このオイルポンプによって供給されたオイルは、トルクコンバータやアクチュエータにおいては所定の油路を介して、また変速機構においては、ケース10(トランスアクスルケース11)の内側の壁面等を伝って回収される。オイルパン2内のオイルは、自動変速機1のオイルポンプの作動時に、オイルレベルが所定以上、つまり、オイル量が規定量以上であることが必要であり、所定のオイルレベルに達しない場合には、適宜に補給する必要がある。なお、オイル量が不足すると、上述のトルクコンバータやアクチュエータが良好に作動しなくなったり、変速機構を構成するプラネタリギヤの回転要素(サンギヤ、プラネタリギヤ、キャリヤ、リングギヤ等)の摩耗量が増加したりすることになる。
トランスアクスルケース11内の上部側には、トルクコンバータに連結された出力軸(不図示)やプラネタリギヤ等を有する主変速機構、およびドライブピニオン(不図示)を有する副変速機構が配設されている。
また、オイルパン2は、トランスアクスルケース11の下端部の車体前側寄り(図では右側寄り)に設けられており、その上方には、トランスアクスルケース11の下端部に取り付けられた薄箱形状のバルブボディ3が設けられている。オイルポンプの吸込側はバルブボディ3に油路41を介して接続されている。上記油路41は、バルブボディ3の内部を経て吸込管42と連結されている。上記吸込管42は、分割パン23(後述する)を貫通して更に下方へ延び、その下端のオイル吸引口42aをオイルパン2の底部において開口させている。そして、オイルパン2に貯留されたオイルは、オイルポンプによって、吸込管42およびバルブボディ3の内部を経てから油路41を介して汲み上げられるようになっている。
そして、ケース10の内部は、気密状態に封印されている。また、トランスアクスルケース11の下端部の車体後側寄り(図1および図2では左側寄り)には、ケース10の内部に封印された空気の温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置5が設けられている。この体積膨縮吸収装置5は、車体前後方向に延びる円筒形状のシリンダ51と、このシリンダ51内に摺動自在に収容された移動体としてのピストン52とを備えている。このピストン52は、シリンダ51の壁面51aに対しシール材53を介してシールされている。そして、ピストン52は、図1に示すように、ケース10内部の空気およびオイルの体積が収縮する際にその体積の収縮を吸収するようにシリンダ51の壁面51aに対しトランスアクスルケース11の内部側(図1および図2では右側)に移動する一方、図2に示すように、ケース10内部の空気およびオイルの体積が膨張する際にその体積の膨張を吸収するようにシリンダ51の壁面51aに対しトランスアクスルケース11の外部側(図1および図2では左側)に移動するようになっている。また、上記ピストン52は、上記ケース10の内部に貯留されるオイルの油面Aに対し少なくとも下部が接するように配されている。
この場合、ピストン52の背面側(図1および図2では左面側)には、該ピストン52を内部側に付勢する付勢スプリング54が設けられ、ピストン52の下部に作用するオイルの自重に抗してピストン52の内外方向への移動が支障なく行えるようにしている。また、シリンダ51の壁面51aは、ケース10の内部の空気およびオイルの体積の膨縮によるピストン52のトランスアクスルケース11の内外方向への移動が十分に行えるような長さに設定されている。
したがって、上記実施例1では、ケース10の内部に封印された空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮をトランスアクスルケース11のシリンダ51の壁面51aに対しトランスアクスルケース11の内外方向へ移動することにより吸収するピストン12が、ケース10の内部に貯留されたオイルの油面Aに対し少なくとも下部が接するように配されているので、オイルに少なくとも下部が接するピストン52のトランスアクスルケース11の内外方向への移動に伴って、オイルの油面Aが変位することになる。
具体的には、ケース10の内部の空気およびオイルの体積が収縮している低温時にシリンダ51の壁面51aに対しトランスアクスルケース11の内部側に移動しているピストン52は、オイルが暖められた際に、オイルの体積の膨張によるオイルの油面Aの高さの上昇に伴って加圧された空気の加圧力と、空気の温度の上昇に伴って体積が膨張する空気の膨張力と、上記空気の加圧力および膨張力がオイルの油面Aに作用することにより上昇するオイルの圧力とによって、トランスアクスルケース11の外部側に移動し、ケース10内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面Aの高さは、オイルの油面Aに対し少なくとも下部が接しているピストン52のトランスアクスルケース11の外部側への移動に伴って低く変位することになり、高温時に気泡含有などによってオイルの体積が膨張しても、高温時におけるオイルの油面Aの高さの上昇が抑制される。
一方、自動変速機1が停止してケース10の内部のオイルの油温が低下すると、オイルの体積の収縮に伴って空気の体積が収縮し、その空気の収縮力と、この空気の収縮力がオイルの油面Aに作用することにより低下するオイルの圧力とによって、高温時にトランスアクスルケース11の外部側に移動していたピストン52がトランスアクスルケース11の内部側に移動し、ケース10内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面Aの高さは、オイルの油面Aに対し少なくとも下部が接しているピストン52のトランスアクスルケース11の内部側への移動に伴って高く変位することになり、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面Aの高さの下降が抑制される。
これにより、オイルの油面Aに対し少なくとも下部が接した状態でトランスアクスルケース11の内外方向へ移動するピストン52を備えた単一の体積膨縮吸収装置5によって、ケース10内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース10内部でのオイルの油面Aの高低差を自動的に調整することができる。
次に、本発明の実施例2を図3および図4に基づいて説明する。
この実施例では、体積膨縮吸収装置の構成を変更している。なお、体積膨縮吸収装置を除くその他の構成は、上記実施例1の場合と同じであり、同一部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例では、図3および図4に示すように、体積膨縮吸収装置6は、トランスアクスルケース11の下端部の車体後側寄り(図3および図4では左側寄り)に設けられている。
この体積膨縮吸収装置6は、車体後側壁11bの下部位置に回転自在に支持された回転軸61と、この回転軸61を中心にしてトランスアクスルケース11の底壁11aの前側端を略四分の一円弧状に車体後方に膨出させた案内壁62と、この案内壁62を車体左右両側から仕切る仕切壁63(図では一方のみ示す)と、上記回転軸61に内端部が取り付けられ、上記案内壁62に沿って外周部が摺動案内される断面略三角形状の移動体64とを備えている。この移動体63は、案内壁62および仕切壁63に対し気密状態で摺接し、ケース10の内部に封印された空気の漏洩を防止するようにしている。そして、移動体64は、図3に示すように、ケース10の内部の空気およびオイルの体積が収縮する際にその体積の収縮を吸収するように案内壁62および仕切壁63に対しトランスアクスルケース11の内部側(図3および図4では下側)に移動する一方、図4に示すように、ケース10の内部の空気およびオイルの体積が膨張する際にその体積の膨張を吸収するように案内壁62および仕切壁63に対しトランスアクスルケース11の外部側(図3および図4では上側)に移動するようになっている。また、上記移動体64は、上記ケース10の内部に貯留されるオイルの油面Aに対し少なくとも一部が接するように配されている。
この場合、移動体64は、その移動体64の自重と該移動体64に作用するオイルの自重とが均衡し、移動体64に対し作用するオイルの自重に抗して移動体64の内外方向への移動が支障なく行えるようにしている。また、案内壁62は、ケース10の内部の空気およびオイルの体積の膨縮による移動体64のトランスアクスルケース11の内外方向への移動が十分に行えるような長さに設定されている。
したがって、上記実施例2では、ケース10の内部に封印された空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮を体積膨縮吸収装置6の案内壁62および仕切壁63に対しトランスアクスルケース11の内外方向へ移動することにより吸収する移動体64が、ケース10の内部に貯留されたオイルの油面Aに対し少なくとも一部が接するように配されているので、オイルに少なくとも一部が接する移動体64のトランスアクスルケース11の内外方向への移動に伴って、オイルの油面Aが変位することになる。
具体的には、ケース10の内部の空気およびオイルの体積が収縮している低温時に体積膨縮吸収装置6の案内壁62および仕切壁63に対しトランスアクスルケース11の内部側に移動していた移動体64は、オイルが暖められた際に、オイルの体積の膨張によるオイルの油面Aの高さの上昇に伴って加圧された空気の加圧力と、空気自体の温度の上昇に伴って体積が膨張する空気の膨張力と、上記空気の加圧力および膨張力がオイルの油面Aに作用することにより上昇するオイルの圧力とによって、トランスアクスルケース11の外部側に移動し、ケース10内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面Aの高さは、オイルの油面Aに対し少なくとも一部が接している移動体64のトランスアクスルケース11の外部側への移動に伴って低く変位することになり、高温時に気泡含有などによってオイルの体積が膨張しても、高温時におけるオイルの油面Aの高さの上昇が抑制される。
一方、自動変速機1が停止してケース10の内部のオイルの油温が低下すると、オイルの体積の収縮に伴って空気の体積が収縮し、その空気の収縮力と、この空気の収縮力がオイルの油面Aに作用することにより低下するオイルの圧力とによって、高温時にトランスアクスルケース11の外部側に移動していた移動体64がトランスアクスルケース11の内部側に移動し、ケース10内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化が調整されるようにしている。このとき、オイルの油面Aの高さは、オイルの油面Aに対し少なくとも一部が接している移動体64のトランスアクスルケース11の内部側への移動に伴って高く変位することになり、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面Aの高さの下降が抑制される。
これにより、オイルの油面Aに対し少なくとも一部が接した状態でトランスアクスルケース11の内外方向へ移動する移動体64を備えた単一の体積膨縮吸収装置6によって、ケース10内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース10内部でのオイルの油面Aの高低差を自動的に調整することができる。
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記各実施例では、ピストン52の下部および移動体64の一部のみをオイルの油面Aに接するように設けたが、ピストンの下部および移動体がオイルの油面よりも下方に沈下するように設けられていてもよい。その場合、低温時にケースの内部側に移動しているピストンまたは移動体は、オイルが暖められた際に、オイルの自重が作用しているとともに、オイルの体積の膨張によるオイルの油面の高さの上昇に伴って加圧された空気の加圧力と、空気の温度の上昇に伴って体積が膨張する空気の膨張力とがオイルの油面に作用する際の空気の加圧力および膨張力に抗するオイルの圧力によって、ケースの外部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の膨張による空気の圧力変化が調整されることになり、このとき、オイルの油面の高さは、低温時のオイルの油面よりも下方に沈下しているピストンまたは移動体のケースの外部側への移動に伴って、そのピストンまたは移動体のケース外部側への移動容積分低く変位することになり、高温時に気泡含有などによってオイルの体積が膨張しても、高温時におけるオイルの油面の高さの上昇が効率よく抑制される。一方、自動変速機が停止してケースの内部のオイルの油温が低下すると、オイルの体積の収縮に伴って空気の体積が収縮し、その空気の収縮力がオイルの油面に作用することにより低下するオイルの圧力によって、オイルの高温時にケースの外部側に移動していたピストンまたは移動体がオイルの自重に抗してケースの内部側に移動し、ケース内部での空気およびオイルの体積の収縮による空気の圧力変化が調整されることになり、このとき、オイルの油面の高さは、オイルの油面よりも下方に沈下しているピストンまたは移動体のケースの内部側への移動に伴って、そのピストンまたは移動体のケース内部側への移動容積分高く変位することになり、低温時におけるオイルの粘性の上昇による油面Aの高さの下降が効率よく抑制される。これにより、オイルの油面よりも下方に沈下した状態でケースの内外方向へ移動するピストンまたは移動体を備えた単一の体積膨縮吸収装置によって、ケース内部での空気の圧力変化を調整しつつ温度変化によるケース内部でのオイルの油面の高低差を効果的に自動調整することが可能となる。
1 自動変速機
10 ケース
11 トランスアクスルケース(ケース)
5 体積膨縮吸収装置
52 ピストン(移動体)
6 体積膨縮吸収装置
64 移動体
A オイルの油面
10 ケース
11 トランスアクスルケース(ケース)
5 体積膨縮吸収装置
52 ピストン(移動体)
6 体積膨縮吸収装置
64 移動体
A オイルの油面
Claims (2)
- 自動変速機のケースの内部が気密状態に封印され、その内部に封印された空気およびオイルの温度変化に伴う体積の膨縮を吸収する体積膨縮吸収装置が設けられており、
上記体積膨縮吸収装置は、ケースの内部の空気およびオイルの体積が収縮する際にその体積の収縮を吸収するように上記ケースの内部側に移動する一方、ケースの内部の空気およびオイルの体積が膨張する際にその体積の膨張を吸収するように上記ケースの外部側に移動する移動体を備え、
上記移動体は、上記ケースの内部に貯留されているオイルの油面に対し少なくとも一部が接するように配されていることを特徴とする自動変速機の体積膨縮吸収装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の体積膨縮吸収装置において、
上記移動体は、上記ケースの内部に貯留されているオイルの油面よりも下方に沈下していることを特徴とする自動変速機の体積膨縮吸収装置。
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