JP2008143767A - 改質硫黄を使用する硫黄被覆肥料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肥料成分の溶出を制御することができ、被膜強度が優れ、かつ溶出終了後に膜殻が微生物による分解を受け、土壌中に残留しない生分解性に優れた硫黄被覆肥料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】硫黄とポリスルファイドポリマーからなる硫黄改質剤とを120〜160℃で完全に相溶して得られる改質硫黄を被覆材として、溶融状態で肥料粒子に噴霧し冷却して粒状肥料の表面に10〜300μmの改質硫黄被膜を形成してなることにより、肥料成分の溶出を制御することができることを特徴とする被覆肥料およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は粒状肥料をポリスルファイドポリマーで改質した硫黄で被覆して、被膜強度に優れ、被膜の溶出制御機能がより安定化され、かつ溶出終了後に膜殻が微生物による分解を受け、土壌中に残留しない硫黄被覆肥料並びにその製造方法に関する。
一般に作物の生育には水素、炭素、酸素、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、塩素の16元素が必要とされる。このうち窒素、リン酸、カリウムは作物の生育に大量に消耗されるため、作物の安定な収穫量を得るには、外部から肥料の形で供給されることが必要である。
近年、施肥の省力化、肥料利用率の向上および作物の生育に応じて肥効を発現させるなどを目的とし、被覆肥料が多く開発された。被覆肥料は、肥料粒子を高分子樹脂又は無機系物質で被覆し、施用後、肥料成分を植物の生長に合わせて長期にわたって緩やかに溶解・放出させることにより、肥効の持続、肥料成分の流亡防止等の効果を狙ったものである。これらの被覆肥料の被膜はほとんどが合成高分子である熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で構成される。その具体例は特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている。但し、合成高分子樹脂を被膜とする被覆肥料は肥料成分が溶出した後、残されている被膜が分解されず、土壌に残存蓄積しており、また、水田に施用した場合には残留されていた被膜は排水により河川等に流出したこともあり、環境に悪影響を及ぼす恐れがある。
一方、被覆肥料のうち、無機系物質の硫黄を被膜とする硫黄被覆肥料は、肥料成分が溶出した後に残された硫黄膜殻が土壌中の微生物により容易に分解され、崩壊消失して土壌中に残存蓄積することがない等の特徴があり、環境に優しいうえ、硫黄も作物の生育に必要な元素であり、作物の生育によい影響を与える。
硫黄被覆肥料は、基本的には、化成肥料や尿素等の基材粒子に、溶融硫黄を噴霧して硫黄被膜層を形成し、好ましくは、さらに例えばワックスで該硫黄被膜層を被覆して、ワックスを該硫黄被膜層の空隙部に充填して得られるという基本構造を有している。硫黄およびワックスの被覆量や被覆処理条件を変化させることにより、肥料成分の溶出パターンを任意にコントロールすることが可能である。その具体例は特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7に記載されている。
溶融した硫黄を粒状肥料に直接噴霧し被膜を形成させる被覆肥料は、硫黄が天然物であること、製造過程には有機溶剤を使用しないこと、肥料成分が溶出した後の硫黄膜殻は微生物に分解され土壌に残されないこと、硫黄が作物の必須元素で作物に吸収利用される等の利点を有するため、環境に優しい被覆肥料と評価される。環境問題が深刻になっている現在、合成高分子である熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂で被覆した樹脂被覆肥料に比較して、より環境に優しい環境保全型肥料として、今後ますます伸びていくものと期待されている。
特開昭62−197385号公報 特開昭62−216984号公報 特開平3−232788号公報 米国特許3295950号 特公昭46−25685号公報 特公昭54−817号公報 特開平11−228274号公報
しかし、硫黄は被覆材料としては物性上の多くの課題がある。例えば、機械的強度に関して言うと、硫黄は安定な固体状態において亀裂が無ければ高強度を示す。しかしながら、実際には、溶融の液体状態から冷却固化する場合、斜方晶系、単斜晶系、不定形硫黄の3種が混在し、冷却条件によりそれらの比率が変わると共に、経過時間により結晶系が変化して、収縮が発生するため、空洞や亀裂を生じ易いという問題がある。硫黄は固体状態が常温において最終的に最も安定な斜方晶系硫黄に転移していくが、通常の場合、結晶移転の過程で形成された斜方晶系結晶のサイズが大きく、収縮率が10%を超えるため、結晶の間に隙間が開いて、亀裂を生じ、強度が極端に低下することがある。また、斜方晶系硫黄の結晶集合体は可塑性が乏しく、形成された被膜は脆くて割れやすく、耐衝撃性が弱い。従って、被覆肥料の被膜として使用される場合は、硫黄被膜に生じた亀裂から水が簡単に染み込み、内部の肥料成分が溶出してしまい、肥料成分の溶出制御に問題が生じる。
被覆肥料の溶出制御性を改善するため、硫黄被膜にさらにパラフィンワックス等をシール材(シーラント)として被覆したりすることにより、硫黄被膜層の割れ目、空隙部等を塞ぎ、肥料成分の溶出性を改善する技術が開発されている。
硫黄被膜層にワックス等を更に被覆することは、肥料成分の溶出性の改善には有効であるが、硫黄被膜の強度、可塑性、耐衝撃性等の課題は解決されていない。
本発明者はこの課題を解決するため、硫黄にシクロペンタジエンおよびその2量体であるジシクロペンタジエン又はその多量体の1種又は混合物である硫黄変性剤を溶融反応して変性硫黄を形成させ、その変性硫黄を溶融状態で粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に噴霧し冷却して粒状肥料の表面に10〜300μmの変性硫黄被膜を形成してなることを特徴とする硫黄被覆肥料およびその製造方法を発明した。
しかし、変性剤として使われているシクロペンタジエンおよびその2量体であるジシクロペンタジエン又はその多量体は石油系低分子の可燃性物質で、熱的に結合したり解離したりする性質を有し、沸点が低く揮発しやすく、また、加熱反応する際に急速に発熱反応が起きるため、変性硫黄の製造設備や工程に安全性の確保が問題となる。他方、溶融反応して得た変性硫黄は加熱変性反応時間が長くなるほどその粘度が高くなる特性を有し、溶融状態で一定の粘度を維持しながら粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に噴霧し、薄く均一に被覆させることは困難である。
本発明者は、前記の事情に鑑み鋭意研究した結果、硫黄にポリスルファイドポリマーを添加して加熱で相溶させ、形成される改質硫黄を粒状肥料に被覆することにより、従来の硫黄被覆肥料の製造工程上の問題点を解決することを見出した。
本発明に使用する硫黄改質剤は下記の構造式に示されている主鎖にジスルファイド結合を持ち、末端がチオール基(−SH基)であるポリスルファイドポリマーである。
HS−(R−S−S)−R−SH
〔RはCからC1224までの直鎖又は分岐鎖アルキル基又は次の構造式
2x−O−C2x
又は
2x−O−C2y−O−C2x
で示すエーテル基、x及びyは1から3、nは1から50である。〕
加熱で溶融した硫黄に上記の硫黄改質剤を添加し、完全に溶解するまで加熱しながら撹拌し続けることにより改質硫黄を得ることができる。次にこの改質硫黄を溶融の状態で粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に噴霧し冷却して粒状肥料の表面に被膜を形成することにより硫黄被覆肥料を得ることができる。
本発明は、硫黄に改質剤を添加し、加熱相溶させることにより形成された改質硫黄は液体状態から冷却固化する際にポリスルファイドポリマーが硫黄結晶の成長を妨害し、一部の硫黄がアモルファス化され、結晶の間に充満していることにより、硫黄の固化収縮率が減少し、緻密な結晶体を形成する。また、固化収縮で形成した亀裂はポリスルファイドポリマーの存在によりその数及びサイズが抑えられることにより、改質硫黄はその強度、可塑性の向上がはかられるものである。特に衝撃を受ける際に硫黄被膜に亀裂の形成および亀裂の伸長がポリスルファイドポリマーにより阻まれることにより、大きな亀裂を形成することができない。また、ポリスルファイドポリマーの存在により、改質硫黄は物質への接着力が高く、肥料粒子との結合が強固となり、固化収縮の過程において、又は衝撃を受けて硫黄被膜に亀裂が発生しても、肥料粒子から硫黄被膜を剥れ落ちる現象がほとんど起きない。従って、この改質硫黄によって形成された被覆肥料の被膜は硬度が高く、一定の可塑性があり、耐衝撃性に優れ、肥料成分の溶出を制御することができ、かつ溶出終了後に土壌中で膜殻が微生物による分解を受け、作物の養分となり、土壌中に残留しない被覆肥料が得られる。施肥の省力化、肥料利用率の向上および作物の生育に応じて肥効を発現させる良質な肥料を提供することができ、地球の環境保護には大変役立つものである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、硫黄と主鎖にジスルファイド結合を持ち、末端がチオール基であるポリスルファイドポリマーからなる硫黄改質剤とを、硫黄100重量部に対して硫黄改質剤0.5〜5重量部の割合で加熱相溶して得た改質硫黄を被覆材として、溶融状態で粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に噴霧し冷却して粒状肥料の表面に10〜300μmの改質硫黄被膜を形成してなることを特徴とする硫黄被覆肥料およびその製造方法である。
本発明は、上記の改質硫黄を得る工程(A)と粒状肥料に本発明の改質硫黄を被覆する工程(B)から構成される。
工程(A)で用いる硫黄は、通常の硫黄単体であり、例えば、天然硫黄、石油又は天然ガスの脱硫によって生成した硫黄が挙げられる。
工程(A)で用いる硫黄は、硫黄を120℃以上、好ましくは140〜160℃において加熱溶融した溶融硫黄を使用する。
工程(A)で用いる本発明の硫黄改質剤は、主鎖にジスルファイド結合を持ち、末端がチオール基であるポリスルファイドポリマーである。硫黄改質剤のチオール基は硫黄と結合反応に関与し、硫黄との均一な相溶性を付与し、また、ポリスルファイド構造は硫黄の物性、特に結晶性、強度、可塑性、接着性等を向上させることにより、本発明の被覆肥料の優れた被覆膜の性質の発現に寄与していると考えられる。
なお、上記の硫黄改質剤は、工程(A)における作業の便利性及び安全性の観点から分子量が500から1万まで、融点が100℃以下で、分解点が250℃以上を有するポリスルファイドポリマーであることが好ましい。
本発明の硫黄改質剤は適当なジメルカプト化合物を重合反応により合成することにより得られる。例えば、1,2−ジメルカプトエタンを適当な触媒の存在下で重合させれば,ポリエチレンスルファイドポリマーを合成することができる。
nHS−C−SH → HS−(C−S−S)n−1−C−SH
なお、この合成方法は有機化学上の公知手法である。
また、本発明の硫黄改質剤としてのポリスルファイドポリマーは商業上入手も可能である。たとえば、日本国内では東レファインケミカル株式会社は「チオコールLP」の商品名で下記の構造式を有するポリスルファイドポリマーを販売している。
HS−(C−O−CH−O−C−S−S)−C−O−CH−O−C−SH
〔nは5〜50である。〕
本発明は主に東レファインケミカル株式会社の「チオコールLP」を硫黄改質剤として使用する。
改質硫黄が、溶融状態から冷却固化する際に起きる結晶系の変化に与える影響は、主に硫黄と硫黄改質剤の種類及び配合割合に関係する。通常は硫黄改質剤の配合割合が増えるにつれ、できた硫黄結晶のサイズが小さくなり、また、アモルファス態硫黄も増える。硫黄100重量部に対して硫黄改質剤30重量部を超えた場合には、得られた改質硫黄が冷却固化する際に硫黄結晶の形成が完全に抑えられ、すべてアモルファス態となり、ゴムのような柔軟性を呈する。但し、このような改質硫黄は可塑性に優れているが、硬度が低いため、被覆肥料の被膜としての強度が不足する一方、結晶度の低い改質硫黄は粘度が高く、冷却時に固化安定までに時間がかかり、被覆肥料の被膜材として不適である。従って、硫黄と硫黄改質剤との配合割合を適切に調整することにより、硫黄結晶を小さく抑え、一部がアモルファス態として、結晶間を充満する状態で形成された被覆肥料の被膜は強度が高く、耐衝撃性を有し、肥料成分の保護と溶出のバランスを適切に制御することができる。
また、工程(B)の作業を考えると、硫黄改質剤の配合割合が増えると、形成した改質硫黄の溶融粘度が高くなり、肥料粒子表面に均一な膜を形成することが困難になる。また、アモルファス態硫黄が多くなれば、肥料粒子表面に噴霧された硫黄が溶融状態から固化までに時間がかかり、粒子と粒子を接着させ、肥料の塊を形成する現象が起きやすい。概して、硫黄被覆肥料の被覆材として、150℃における改質硫黄の粘度は50ミリパスカル・秒以下が好ましく、10〜30ミリパスカル・秒がより好ましく、10〜25ミリパスカル・秒が最も好ましい。
したがって、工程(A)において、上記の「チオコール LP」を硫黄改質剤として使用する場合には、硫黄及び硫黄改質剤を加熱相溶させる際の配合割合は、硫黄100重量部に対して硫黄改質剤が0.5〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。硫黄100重量部に対して、硫黄改質剤が0.5重量部以下では強度、可塑性等の硫黄物性の改善効果がほとんどみられず、硫黄改質剤が5重量部を超えた使用では改質硫黄の粘度が高すぎ、肥料粒子への被覆が不適となるからである。
硫黄と硫黄改質剤との相溶は加熱温度と時間に強く依存し、自然界によく存在している斜方晶系硫黄は112.8℃で溶融するが、加熱温度が120℃以下の場合には、改質剤を完全に相溶させるまでに数十時間かかる。また、加熱温度が160℃を超えた場合には、溶融硫黄の粘度が急速に高くなり、改質剤との相溶速度が増えないのに撹拌が大変になり、作業効率が落ちる。したがって、工程(A)において、硫黄及び硫黄改質剤を加熱相溶させる際の温度は、120〜160℃が好ましく、140〜160℃が特に好ましい。
工程(B)は、工程(A)において得た改質硫黄を溶融の状態でノズルを通し、粒状肥料に噴霧し、粒状肥料の表面に硫黄膜を被覆させることにより、硫黄被覆肥料を製造する。
工程(B)に使用可能な基材肥料として、その種類は特に限定されなく、尿素、硫安、硝安、塩安、リン安、塩化カリ、硫酸カリ、その他一般に公知の化学肥料のほか、2種類以上の化学肥料単体を配合している化成肥料や有機質成分等を添加混合される混合肥料も使用することができる。なお、上記した基材肥料は例示であり、正確には肥料取締法(昭和25年法律第127号)第3条の規定に基づく肥料の公定規格に含まれる固体肥料のすべてを対象とする。
基材肥料は粒状であればよく、その粒径や形状は特に限定するものではない。不定形、角型、柱状、ペレット状、平板状その形状は問わないが、取扱い性や、均質の被膜の形成し易さのためには、粒径0.5〜15mm、好ましくは、1〜6mm、より好ましくは2〜4mm程度の球状または略球状のものが最も望ましい。
工程(B)において、改質硫黄の被覆量は、被膜の強度、崩壊性のバランスを考えつつ、対象肥料成分、設定溶出パターン、施用する土質、土壌の温度、施用季節、降雨量、地域、対象作物の種類等により、任意に調整可能であるが、通常、基材肥料重量に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%程度である。すなわち、粒状肥料の表面に形成された硫黄膜の厚さは10〜300μmに調整することが好ましい。改質硫黄の被膜の形成は、例えば、回転ドラム式コーター、回転パン式コーター、回転落下式コーターなどのほか、攪拌翼を使用する形式のヘンシェルミキサーコーターのような装置や気体による流動を利用する噴流層型コーター、流動層型コーター等のような装置を使用し、溶融改質硫黄を基材肥料粒子に噴霧することにより行われる。
肥料成分の溶出の制御性をよくするために、工程(B)において、被覆肥料の改質硫黄被膜の上に更にワックスを被覆することが望ましい。使用されるワックスはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、木ろうや蜜ろうのような動・植物系ワックスのほか、ポリエチレン系の合成ワックスも含まれている。
ワックスの被覆量は対象肥料成分、設定溶出パターン、施用する土質、土壌の温度、施用季節、降雨量、地域、対象作物の種類等により、任意に調整可能であるが、通常、硫黄被覆肥料100重量部に対して、0.5〜3重量部である。80〜100℃に加熱溶融したワックスは工程(B)において得た硫黄被覆した肥料に噴霧し、室温に冷却し、さらに肥料粒子の固結防止のために、クレイ、タルク、ホワイトカーボン等の固結防止材を肥料粒子表面に付着させることにより、硫黄被覆肥料を得た。
つぎに本発明を実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部とあるのは重量部を意味する。
(A)150℃に溶融している硫黄99部に「チオコールLP3」(東レファインケミカル株式会社)1部を添加し、150℃に5時間攪拌し、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が20ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を20部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
(A)150℃に溶融している硫黄99部に「チオコールLP3」(東レファインケミカル株式会社)1部を添加し、150℃に5時間攪拌し、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が20ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を20部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを1部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
(A)150℃に溶融している硫黄98部に「チオコールLP33」(東レファインケミカル株式会社)2部を添加し、150℃に8時間攪拌し続け、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が24ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を20部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを1部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
(A)150℃に溶融している硫黄99.5部に「チオコールLP23」(東レファインケミカル株式会社)0.5部を添加し、150℃に6時間攪拌し、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が18センチポアズである。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)83部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を17部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを2部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、30〜80μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
(A)150℃に溶融している硫黄97部に「チオコールLP33」(東レファインケミカル株式会社)3部を添加し、150℃に8時間攪拌し、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が38ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を20部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを1部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
(A)150℃に溶融している硫黄95部に「チオコールLP3」(東レファインケミカル株式会社)5部を添加し、150℃に10時間攪拌し、改質硫黄を形成させる。この改質硫黄は150℃での粘度が75ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた改質硫黄を20部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを1部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの改質硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
この硫黄被覆肥料は肥料粒子表面に噴霧された改質硫黄が溶融状態から固化までに時間がかかり、粒子と粒子を接着させ、多数の肥料塊を形成し、品質に問題を生じた。
比較例1
(A)硫黄を150℃に溶融し、粘度が9ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた硫黄を20部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
比較例2
(A)硫黄を150℃に溶融し、粘度が9ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)80部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた硫黄を20部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを1部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、40〜100μmの硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
比較例3
(A)硫黄を150℃に溶融し、粘度が9ミリパスカル・秒である。(B)粒状尿素肥料(粒径約2〜3mm)83部を予め55〜60℃に予熱し、リフター付の回転ドラムコーター中で、肥料粒子を転動させながら、140℃〜150℃で溶融させた硫黄を17部噴霧し、80℃にまで冷却してから、80℃で溶融させたパラフィンワックスを2部噴霧し、つぎに冷風を送って、40℃にまで冷却し、30〜80μmの硫黄被膜を有する被覆肥料を製造した。
被覆肥料の被膜性質については、公定肥料分析法に従い、被覆肥料粒子の崩壊強度を機械的強度として、衝撃試験前の肥料初期溶出率を被膜に亀裂の形成程度として、衝撃試験後の肥料初期溶出率を被膜の耐衝撃性として、上記実施例と比較例の測定結果を表1に示す。なお、崩壊強度は木屋式硬度計を使用して、2mm〜3mmの粒径のものを測定した圧壊強度である。衝撃試験とは200gの被覆肥料サンプルを2mの高さから、水平のステンレス板上に落下させたものである。また、被覆肥料の肥料溶出率の測定方法は公定肥料分析法に準拠する。
Figure 2008143767
硫黄被覆肥料の崩壊強度については、比較例が2kg前後に対して、実施例では3.5kgを超え、比較例より70〜140%も高くなり、改質硫黄で形成された被覆肥料の被膜強度が顕著に向上したことが明らかになった。
また、比較例1では肥料初期溶出率が46%に達したことは硫黄被膜に多数の亀裂が存在していて、水分が亀裂から簡単に滲入することができ、肥料成分が溶解され、流出してしまうからである。比較例2と3では肥料初期溶出率が低いのはワックス層が硫黄被膜の亀裂を塞いだからである。これに対して、ワックス層のない実施例1では肥料初期溶出率が23%で比較例1の半分しかないことは改質硫黄で形成した被膜に亀裂の数が少なく、亀裂の規模も小さいことを示唆した。衝撃試験後の肥料初期溶出率は、比較例1では88%、比較例2では50%、比較例3でも37%に達したが、これに対して、硫黄改質剤の添加量が1%でワックス層のない実施例1では35%で、硫黄改質剤の添加量が0.5部の実施例4では20.4%、硫黄改質剤の添加量が1.0部の実施例2では12%に留まり、硫黄改質剤の添加量が2部以上の実施例3、実施例5、実施例6では10%以下に抑えられた。すなわち、本発明の変性硫黄の被覆肥料は被膜強度がよく、耐衝撃性にも優れていて、肥料成分の溶出を制御することができ、施肥の省力化、肥料利用率の向上および作物の生育に応じて肥効を発現させる良質な肥料である。

Claims (4)

  1. 硫黄にポリスルファイドポリマーからなる硫黄改質剤を添加して完全に相溶させることにより得られた改質硫黄を被覆材として、粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に被覆することにより、肥料成分の溶出を制御することができることを特徴とする被覆肥料。
  2. 請求項1に記載されている硫黄改質剤は下記の構造式に示されている主鎖にジスルファイド結合を持ち、末端がチオール基であるポリスルファイドポリマーであることを特徴とする被覆肥料。
    HS−(R−S−S)−R−SH
    〔RはCからC1224までの直鎖又は分岐鎖アルキル基又は次の構造式
    2x−O−C2x
    又は
    2x−O−C2y−O−C2x
    で示すエーテル基、x及びyは1から3、nは1から50である。〕
  3. 請求項1に記載されている被覆肥料の被覆材は硫黄100重量部に対して請求項2に記載されている硫黄改質剤0.5〜5重量部の割合で120〜160℃の溶融状態で完全に相溶させ、150℃で粘度が50ミリパスカル・秒を超えない改質硫黄である。
  4. 請求項3に記載されている改質硫黄を130℃〜160℃の溶融状態で粒状化学肥料又は有機肥料を含む粒状配合肥料に噴霧し冷却して粒状肥料の表面に10〜300μmの改質硫黄被膜を形成してなることにより、肥料成分の溶出を制御することができることを特徴とする請求項1に記載されている被覆肥料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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