JP2000044377A - 粒状被覆肥料およびその製造方法 - Google Patents

粒状被覆肥料およびその製造方法

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JP2000044377A JP11140293A JP14029399A JP2000044377A JP 2000044377 A JP2000044377 A JP 2000044377A JP 11140293 A JP11140293 A JP 11140293A JP 14029399 A JP14029399 A JP 14029399A JP 2000044377 A JP2000044377 A JP 2000044377A
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thermosetting resin
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Yasuhiro Hirano
泰弘 平野
Yutaka Yamaguchi
裕 山口
Hiroshi Nakamura
宏 中村
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    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
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    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱硬化性樹脂で被覆した緩効性粒状被覆肥料に
比較してさらに溶出速度が遅延された粒状被覆肥料と、
その製造方法を提供すること。 【解決手段】熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料にお
いて、その被覆部および肥料部の少なくとも一方にワッ
クスなどの疎水性化合物を含有させ、肥料の溶出時間を
遅延させたことを特徴とする粒状被覆肥料、およびその
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緩効性(遅効性と
言うこともある)粒状被覆肥料およびその製造方法に関
する。特に、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂により樹脂被覆した緩効性肥料およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】粒状肥料を樹脂や硫黄などで被覆、カプ
セル化して肥料の溶出速度を制御するいわゆる緩効性粒
状肥料の歴史は、古く、例えば、特公昭40−2892
7号公報、特公昭44−28457号公報、特公昭37
−15382号公報、あるいは特公昭42−13681
号公報などで、種々の被覆資材や被覆方法が開示されて
いる。被覆材がポリイソシアネ−ト化合物とポリオ−ル
化合物の反応物よりなるウレタン樹脂である被覆肥料に
ついては、米国特許第3,264,089号公報に、同
じくエポキシ樹脂被覆材については、米国特許第3,2
64、088号公報に開示がある。ウレタン樹脂を被覆
材としてなる被覆肥料の製造方法については、特表平1
−500661号公報において、尿素肥料表面にイソシ
アネ−ト化合物を過剰量反応させベ−スコ−トを形成せ
しめ、その上に上記過剰イソシアネ−ト基にポリオ−ル
化合物を反応させることを特徴とする技術の開示があ
る。特表平7−500560号公報には、ポリイソシア
ネ−ト化合物とポリオ−ル化合物の混合樹脂を、各層が
10〜30μmの層をなす塗布を行い、アミンミストで
処理し各層を硬化することを特徴とする技術の開示があ
る。しかしながら、これらの技術によっては、塗膜欠陥
が少なく制御された肥料溶出がされる目的を十分満足し
なかったり、あるいは製造法的にも複雑な装置、工程を
経るため工業的に不利な面が多々ある。また、これらの
方法では、樹脂の性質または肥料の種類により肥料の外
部環境への溶出速度は定められるため、さらに溶出速度
を遅延させるには樹脂の膜厚を増加させることが有効で
あるが、被覆肥料単位重量当たりの有効肥料分の割合が
減少するために多量に被覆肥料を土壌に撒く必要があ
る。また、樹脂量を多く必要とするためコスト面の問
題、被覆肥料の製造時間の延長により生産性が低下する
等の問題がある。一方、ワックス等の疎水性化合物を肥
料にコーティングする技術は知られており、吸湿性の肥
料の製品同士の固着を防止するためワックスコーティン
グする方法として特公平6−2632号公報、特開昭5
2―93561号公報等の開示がある。樹脂でコートさ
れている被覆肥料では、特に樹脂同士の融着は問題とな
らないため、敢えて疎水性化合物を添加する必要は認め
られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱硬
化性樹脂で被覆した緩効性粒状被覆肥料に比較してさら
に溶出速度が遅延された粒状被覆肥料と、その製造方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に至った。本発明は以下とおりである。 [1]熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料において、
その被覆部および肥料部の少なくとも一方に疎水性化合
物を含有させ、肥料の溶出時間を遅延させた粒状被覆肥
料。 [2]疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100重量部
に対して0.1〜100重量部である[1]の粒状被覆
肥料。 [3]疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エス
テル、高級アルコールおよびシリコーンからなる群から
選ばれる1または2以上である[1]または[2]の粒
状被覆肥料。 [4]熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレタン樹
脂である[1]、[2]または[3]の粒状被覆肥料。 [5]ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合物、ポ
リオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである[1]
〜[4]のいずれかの粒状被覆肥料。 [6]下記(A)〜(D)のいずれか一つの工程を含む
粒状被覆肥料の製造方法。 (A)予め疎水性化合物を添加した粒状肥料を熱硬化性
樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水性化合物を添加し
た熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する工程、(C)粒状
肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両者の混合系に間欠
または連続的に疎水性化合物を添加しながら被覆する工
程、(D)上記(A)〜(C)の工程の2以上の工程を
併用する工程。 [7]下記(1)〜(5)の工程をこの順に含むもので
ある[6]の製造方法。(1)粒状肥料を転動状態にす
る工程、(2)該転動状態にある粒状肥料に層厚が1〜
10μmになる量の液状の未硬化熱硬化性樹脂を添加す
る工程、(3)該粒状肥料の転動状態を維持し、各肥料
粒子表面を該未硬化熱硬化性樹脂で被覆する工程、
(4)該粒状肥料の転動状態を維持し、該未硬化熱硬化
性樹脂を熱硬化させる工程。(5)上記(1)〜(4)
の工程をこの順にさらに1回またはそれ以上繰り返す工
程 [8]疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100重量部
に対して0.1〜100重量部である[6]または
[7]の製造方法。 [9]疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エス
テル、高級アルコールおよびシリコーンからなる群から
選ばれる1または2以上である[6]、[7]または
[8]の製造方法。 [10]熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレタン
樹脂である[6]〜[9]のいずれかの製造方法。 [11]ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合物、
ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである
[6]〜[10]のいずれかの製造方法。 [12]熱硬化性樹脂が、被覆加工温度でのゲルタイム
が5分以下のものである[6]〜[11]のいずれかの
製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に使用される疎水性化合物としては、ワッ
クス、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリ
コーン、等が挙げられ、これらの群から選ばれる1また
は2以上が使用できる。ワックスの例としては、いわゆ
るワックスが用いられ、密ロウ等の動物ロウ;カンデリ
ラロウ、カルナバロウ、木ロウ、オーリクリロウ、ダグ
ラスファー樹皮ロウ、米ぬかロウ、ホホバロウ、ベーベ
リロウ等の植物ロウ;モンタンワックス、ビートワック
ス、オゾケライト・セレシンワックス等の鉱物ワック
ス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、セミクリスタリンワックス等の石油系ワックス;ポ
リエチレンワックス等の重合体ワックス;エチレン、プ
ロピレン、ブタジエン、アクリル酸等のモノマーの少な
くとも二種を重合させて得られる共重合体ワックス;フ
ィッシャー・トロプシュワックス、化学修飾炭化水素ワ
ックス、置換アミドワックス等の合成ワックス;等が挙
げられる。石油系ワックスは、固体に限られず、アルカ
ン類、パラフィン類、アルケン類、オレフィン類、アル
キン類、アセチレン類、シクロアルカン類、シクロアル
ケン類、シクロアルキン類、等の炭化水素類;芳香族炭
化水素類;等が挙げられる。脂肪酸の例としては、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エル
カ酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、等の炭
化水素系脂肪酸またはこれらのアルカリ金属塩もしくは
アルカリ土類金属塩、等が挙げられる。脂肪酸エステル
の例としては、上記の脂肪酸と炭素数1〜40からなる
高級アルコールとのエステル、グリセリン等の多価アル
コールとのエステル等が挙げられる。高級アルコールの
例としては、上記脂肪酸のカルボキシル基を水酸基に変
えたものが挙げられる。シリコーンの例としては、ポリ
ジメチルシロキサンなどのシリコーンオイル、シリコー
ンゴム等が挙げられる。これら疎水性化合物の中でもパ
ラフィンワックス等の石油系ワックス、ポリエチレンワ
ックス等の重合体ワックスが特に好ましい。本発明で使
用する疎水性化合物は、液体、固体、半固形体のいずれ
でも良いが、固体の場合は融点が、通常40〜200
℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは60
〜120℃である。この範囲内の融点であれば取り扱い
易く、均一に疎水性化合物を製品に分散させることが容
易である。
【0006】疎水性化合物の使用量は、通常、熱硬化性
樹脂100重量部に対して0.01〜100重量部であ
る。0.01重量部より少ないと肥料の溶出速度の遅延
効果に乏しく、100重量部より多くても一定以上の効
果は得られない。好ましくは0.1〜50重量部、さら
に好ましくは1〜20重量部である。
【0007】本発明の、疎水性化合物を配合した熱硬化
性樹脂で被覆した粒状被覆肥料は、疎水性化合物のみを
除いた同様の粒状被覆肥料に比べて、肥料の外部への溶
出時間が遅延されている。ここで「被覆肥料外部への肥
料の溶出時間が遅延される」とは、疎水性化合物を配合
するかしないかの差異以外は、同じ条件で作製した被検
体につき、同じ測定方法を用いて肥料の外部への溶出速
度の程度を比較した場合に、溶出速度が遅くなることを
いう。具体的には、例えば、被検体試料を一定量計り取
り水を加えた後、水中で一定温度で保存して、水中の肥
料濃度を分析機器にて追跡して被覆肥料外部への肥料の
溶出時間が測定される。肥料の溶出時間の測定において
は、比較用基準系中の肥料の外部への溶出率が50〜9
0%になる条件下において実施することが好ましい。溶
出時間の遅延の程度は、疎水性化合物を添加しない比較
用基準系に対して一定時間経過後の本発明の樹脂被覆肥
料の肥料溶出率が、通常95〜0.01%、好ましくは
90〜0.1%、さらに好ましくは80〜1%、さらに
好ましくは50〜10%となる値で示される。この値以
上では従来の樹脂で被覆された粒状肥料と比較して疎水
性化合物を添加する意義に乏しく、この値以下では肥料
が外部へ溶出せず肥料としての効果を発揮できない。
【0008】本発明の粒状被覆肥料の製造方法は、特に
限定されないが、(A)予め疎水性化合物を添加した粒
状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水
性化合物を添加した熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する
工程、(C)粒状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両
者の混合系に間欠または連続的に疎水性化合物を添加し
ながら被覆する工程、(D)上記(A)〜(C)の工程
の2以上の工程を併用する工程、等で製造されるのが好
ましい。具体的には、粒状肥料を作製する段階で疎水性
化合物を添加しても良く、粒状肥料に予め疎水性化合物
を分散させても良い。また、熱硬化性樹脂を構成する樹
脂成分に疎水性化合物を添加、懸濁、溶解させても良い
し、硬化前の熱硬化性樹脂に疎水性化合物を添加しても
良い。さらにまた、工程(C)における疎水性化合物の
添加の時期は粒状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する前、被
覆中、被覆後であっても良く、連続的に添加しても間欠
的に添加しても一度に添加しても良い。要は、熱硬化性
樹脂で被覆した粒状被覆肥料において、その被覆部およ
び肥料部の少なくとも一方に疎水性化合物を含有させる
ようにする。
【0009】本発明に使用される熱硬化性樹脂として
は、公知のものが使用でき、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ−ル樹脂、アルキ
ッド樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、
シリコーン樹脂、等を挙げることができ、必要に応じて
これらの中から選ばれた2種以上を混合して用いても良
い。これらの中で、エポキシ樹脂やウレタン樹脂が作業
性、性能の面から好ましいものであり、特にポリイソシ
アネ−ト化合物とポリオ−ル化合物に硬化触媒を処方し
たウレタン樹脂が好ましい。
【0010】ウレタン樹脂についてさらに説明すると、
ウレタン樹脂とは、ポリイソシアネ−ト化合物とポリオ
−ル化合物を反応させることにより3次元架橋させた樹
脂の総称であるが、本発明でいう未硬化ウレタン樹脂と
は、該ポリイソシアネ−ト化合物と該ポリオ−ル化合物
の混合物であり、全く反応させてないか、あるいは3次
元化しない程度予め一部を硬化反応させたものいう。硬
化反応の促進のために触媒を添加しておくことも有用な
技術である。該未硬化樹脂の形態としては無溶剤型、溶
液型、水系エマルジョン型等何れでも良いが、特に無溶
剤型で、かつ加工温度において液状であるものが好適で
ある。ポリイソシアネ−ト化合物の例としては、トルエ
ンジイソシアネ−ト(TDIと言うことがある)、ジフ
ェニルメタンジイソシアネ−ト(MDIと言うことがあ
る)、ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンイソシア
ネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロン
ジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、等を
挙げることことができ、必要に応じてこれらの混合物を
用いることができる。なかでも、MDIもしくはTDI
またはこれらから誘導されるオリゴマ−体が好適に用い
られる。ポリオ−ル化合物の例としては、多価アルコ−
ル、アミノアルコ−ル、アミンを開始剤として用い、エ
チレンオキサイドやプロピレンオキサイドを重付加して
得られるポリエ−テルポリオ−ル;テトラヒドロフラン
を重合して得られるポリテトラメチレンエ−テルグルコ
−ルなどのポリエ−テル型ポリオ−ル;多価アルコ−ル
とポリエ−テルポリオ−ルとカルボン酸化合物を反応さ
せる等の方法により得られるポリエステル型ポリオ−
ル;等が挙げられる。また、生分解性を考慮してOH基
含有の天然物、またはその変性物を用いることも可能で
ある。
【0011】ウレタン樹脂の硬化触媒としては、公知慣
用のものを用いることができ、具体的に例示すると、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合
物;ジブチルスズラウレート、ジブチルスズマレート等
の有機スズ化合物;尿素、トリエチレンジアミン、N−
メチルモルフォリン、N,Nジメチルモルフォリン、ジ
アザビシクロウンデセン、イミダゾール、エチルメチル
イミダゾール、ジアザビシクロオクタン、2,4,6,
−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、等が挙
げられるが、中でも窒素原子を含有するアミン系触媒が
好適に用いられる。これらの触媒はそのまま、あるいは
水溶液または懸濁液として使用に供される。固体触媒に
ついては粉砕微粉化したものを使用するのが好ましい。
さらに、必要に応じて、着色のために顔料や染料、ある
いは充填剤としてタルク、マイカ、シリカ、カ−ボンブ
ラック、樹脂粉末、等の無機/有機粉粒体を使用するこ
とも可能である。また、必要に応じて界面活性剤を添加
することもできる。熱硬化性樹脂による粒状肥料の被覆
は転動状態で実施されるのが好ましく、粒状肥料を転動
状態にする方法としては、特に装置に制限はなく公知、
慣用のものを用いることができるが、例えば、回転パ
ン、回転ドラムなどが挙げられる。なお、該装置に加温
設備を付設されたものは、被覆加工の高精度化や加工時
間の調整に好適である。使用される粒状肥料は、従来の
肥料の粒状物の何れであっても良い。その具体例として
は、尿素、硫安、塩安、燐安、硝安、硝安石灰、石灰窒
素、硝酸ソ−ダ、アセトアルデヒド縮合尿素等の窒素質
肥料、焼成りん肥、加工燐酸肥料、重加燐酸石灰、混合
燐酸肥料等の燐酸質肥料、塩化加里、硫酸加里苦土、重
炭酸加里、けい酸加里肥料等の加里質肥料、燐酸加里肥
料、硝酸加里肥料等の化成肥料、又は有機質肥料など、
さらにこれらの肥料の混合物を、それ自体公知の方法に
より造粒した粒状肥料を挙げることができる。粒状肥料
の粒径に特に限定はないが、1〜5mmであることが製
造上好ましい範囲である。
【0012】本発明の粒状被覆肥料の製造方法において
は、通常、転動状態にある粒状肥料を所定の加工温度に
する工程(4)を含む。加工温度としては、上記未硬化
樹脂のゲルタイム(JISのK 5909に準じて測
定)が5分以内、さらに好ましくは3分以内である。該
転動状態にある粒子に、上記未硬化樹脂を添加する工程
(2)においては、予め硬化剤や触媒が配合、混合された
樹脂組成物を滴下、噴霧等の方法により投入する。ある
いは、主剤、硬化剤、触媒等を別々に添加、肥料粒子を
樹脂でコ−ティングする際に各成分が混合されるような
方法でも良い。一度に投入される樹脂量はコ−ティング
される膜厚が1〜10μmになるように調整される。さ
らに好ましくは2〜6μmである。1μm未満では、被
覆回数が多すぎて工業的に不利になる。一方、膜厚が1
0μmを越えると以下の問題が生じる。すなわち、本発
明の方法においては、転動状態にある肥料に、液状の未
硬化樹脂が投入され、まず、粒子の転動により粒子表面
に均一な未硬化樹脂層が形成され、同時に樹脂の硬化反
応が進行する。この際、樹脂は反応に伴い徐々に増粘が
起こり、曳糸性を帯びるようになる。その際に、樹脂の
粘着性が増大し肥料粒子同士が樹脂により粘着され、多
数の粒子からなる塊状物になり、元の一次粒子にほぐれ
なかったり、ほぐれたとしても樹脂表面に損傷を与える
懸念がある。樹脂膜が10μmを越えると、上述の通り
の問題が起こり、個々の粒子を均一に未硬化樹脂でコ−
ティングすることは難しい。本発明者らは、樹脂膜が厚
いと、粒子転動により粘着しあった粒子同士を引き離す
力が足りなくなるためだと考えている。いずれにせよ、
一度に厚い樹脂膜で被覆しようとする場合には、通常の
転動型コ−ティング法では上記不具合を生じ、所望の樹
脂被覆した粒状肥料を製造することは困難である。
【0013】上述の通りの工程により、通常、未硬化樹
脂が被覆された粒状肥料をそのまま転動状態で維持し、
樹脂を硬化させる。ここで言う硬化とは、一般にいう完
全硬化の必要はなく、樹脂がゲル化点を過ぎ、曳糸性が
なくなった状態をいう。そのような状態になれば、その
後は樹脂の粘着性に伴い粒子同士が凝集し、解砕不能と
なることはないので、次の未硬化樹脂を添加することが
可能である。この目的を達成できる範囲であれば、樹脂
成分を肥料に間欠的に添加しても連続的に添加しても良
い。本発明の製造方法は、上記工程を複数回繰り返すこ
とで所望の膜厚で樹脂被覆した粒状肥料を得ることがで
きる。製品の被覆樹脂膜厚は希望する溶出パタ−ンによ
って異なるが、一般に20〜200μmが好適な範囲で
ある。最終層までコ−トされた被覆肥料は、必要に応じ
て樹脂の完全硬化のため、所定の硬化温度で十分維持さ
れる工程を含んでも良い。また、肥料の固結防止や施肥
した際の浮上防止のために、該被覆肥料表面にクレイ等
の無機微粉を添加することも有用な技術である。本発明
の粒状被覆肥料は、従来公知の分野に使われるが、とく
に人為的に施肥が困難な場所、例えば一般道路、高速道
路等の分離帯に設けられている植え込み植物に対する施
肥や、施肥面積が広大である大規模農場等に利用するこ
とができる。
【0014】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。 参考例1 粒状尿素(平均粒径3.4mm)2kgを、熱風発生機
を付設した温度制御可能な傾斜パン型転動造粒機(パン
径520mm)に仕込み、20〜30RPMで回転させ
粒状肥料を転動状態にした。該装置を加熱して仕込んだ
粒状尿素の温度を70〜75℃に維持し、転動状態を維
持させた。被覆樹脂として、ポリメリックMDI(住友
バイエルウレタン製、商品名:スミジュ−ル44V1
0)を4.7g、分岐ポリエ−テル型ポリオ−ル(住友
バイエルウレタン製、商品名:スミフェンTM)を5.
3g、及びアミン触媒として2,4,6−トリス(ジメ
チルアミノメチル)フェノ−ルを0.1gを攪拌混合し
て得た未硬化ウレタン樹脂組成物を、速やかに加温され
かつ転動状態にある該粒状尿素に添加した。該未硬化ウ
レタン樹脂組成物は室温において液状であった。なお、
本実施例で用いた未硬化ウレタン樹脂のゲルタイムは6
5℃において2分30秒であった。ゲルタイム(熱硬化
温度ということもある)はJISのK5909に準じて
測定した。また、投入した樹脂量は、仕込み肥料に対し
て0.5重量%であり、該粒径の肥料を被覆した場合、
コ−ト樹脂の膜厚は約3.1μmとなる。目視観察で
は、投入した樹脂は約30秒でほぼ均一に粒状肥料表面
をコ−トすることが確認された。樹脂投入後3分後に試
料の一部を取り出したところ、樹脂は殆ど粘着性を失っ
た状態であった。3分毎に上記工程を16回繰り返し、
肥料に対して8重量%被覆を行った。最終的に該樹脂被
覆した粒状肥料を70℃−75℃で10分維持し、樹脂
を完全硬化することでウレタン樹脂被覆した粒状肥料を
作成した。全工程の所要時間は約1時間であり、工業的
に有利な方法であった。 該工程による樹脂の被覆量は
該被覆肥料断面の電子顕微鏡<SEM>観察から樹脂膜
の厚みは約50μmであることが分かった。上記工程に
より作成した樹脂被覆粒状肥料の25℃での肥料溶出挙
動を評価した。その結果、該被覆尿素は、約85日間で
80%の肥料分が溶出した。なお、肥料溶出の評価は農
林水産省環境技術研究所より提案の方法(例えば「詳解
肥料分析法」越野正義編著、1988年)に則り行っ
た。
【0015】実施例1 ポリエチレンワックス(ヤスハラケミカル株式会社製、
商品名ネオワックスCL−70、融点70〜80℃)を
添加した分岐ポリエ−テル型ポリオ−ル(住友バイエル
ウレタン製、商品名:スミフェンTM)を用いた他は参
考例1と全く同様の操作で、疎水性物質を含む樹脂被覆
肥料を作製した。樹脂使用量は参考例1と同様に肥料に
対して8重量%であり、ポリエチレンワックスの使用総
量は、ウレタン樹脂成分100部に対して5部である。
【0016】実施例2〜18 使用するウレタン樹脂量、使用する疎水性化合物の種
類、疎水性化合物の添加方法を表1に記載のものとした
以外は、実施例1と同様の操作でサンプルを作製した。
これらの水中(25℃)での、尿素肥料の溶出割合の経
時変化を追跡した。肥料溶出挙動につき表2に示した。
なお、表1中、使用樹脂量(肥料に対する重量%)と
は、尿素肥料重量に対するウレタン樹脂重量%を示す。
使用した疎水性化合物はポリエチレンワックス(ヤスハ
ラケミカル株式会社製、商品名ネオワックスCL−7
0、融点70〜80℃)、流動パラフィン(和光純薬株
式会社製、試薬)である。疎水性化合物の使用量はウレ
タン樹脂100重量部に対する重量部で表示した。疎水
性化合物の添加方法は、疎水性化合物を分岐ポリエ−テ
ル型ポリオ−ル(住友バイエルウレタン製、商品名:ス
ミフェンTM)に予め加熱溶融させて使用した場合を
「ポリオールに予め分散」と記載し、尿素肥料に疎水性
化合物を添加して全体に分散させてからウレタン樹脂コ
ートを行なった場合を「肥料に前処理」として表1に示
した。
【0017】比較例1〜3 尿素肥料重量に対するウレタン樹脂重量%を6、7、8
%としたもののサンプルを参考例1と同様にして作製
し、これらの水中(25℃)での尿素肥料の溶出割合の
経時変化を追跡した。結果を表1と2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明の粒状被覆肥料は、単に熱硬化性
樹脂で被覆した従来の緩効性被覆肥料に比較して、さら
に溶出時期を遅延させることができる。本発明の粒状被
覆肥料を使用することにより、従来以上に目的、環境、
用途に応じて幅広く施肥設計ができることに加えて、人
為的に施肥が困難な場所、例えば一般道路、高速道路等
の分離帯に設けられている植え込み植物に対する施肥
や、施肥面積が広大である大規模農場等に利用すること
ができる。また、これにより長期に渡り肥効を維持でき
るため施肥の手間やコストを削減することができ、必要
以上に肥料を散布する必要がないので環境に対する負荷
も少なくなる。さらに、肥料の溶出時間を従来の樹脂被
覆肥料よりも肥料の溶出を遅らせることができるので、
本発明の技術を用いて使用する樹脂量を削減しつつ溶出
速度を調整できる等、樹脂使用コストの削減、環境に対
する負荷低減、単位重量当たりの肥効の向上等を図るこ
とができる。この様に、本発明の技術は産業上利用する
上で極めて有用である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料にお
    いて、その被覆部および肥料部の少なくとも一方に疎水
    性化合物を含有させ、肥料の溶出時間を遅延させたこと
    を特徴とする粒状被覆肥料。
  2. 【請求項2】疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100
    重量部に対して0.1〜100重量部であることを特徴
    とする請求項1記載の粒状被覆肥料。
  3. 【請求項3】疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪
    酸エステル、高級アルコールおよびシリコーンからなる
    群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする
    請求項1または2記載の粒状被覆肥料。
  4. 【請求項4】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレ
    タン樹脂であることを特徴とする請求項1、2または3
    記載の粒状被覆肥料。
  5. 【請求項5】ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合
    物、ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粒状
    被覆肥料。
  6. 【請求項6】下記(A)〜(D)のいずれか一つの工程
    を含むことを特徴とする粒状被覆肥料の製造方法。 (A)予め疎水性化合物を添加した粒状肥料を熱硬化性
    樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水性化合物を添加し
    た熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する工程、(C)粒状
    肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両者の混合系に間欠
    または連続的に疎水性化合物を添加しながら被覆する工
    程、(D)上記(A)〜(C)の工程の2以上の工程を
    併用する工程。
  7. 【請求項7】下記(1)〜(5)の工程をこの順に含む
    ことを特徴とする請求項6記載の製造方法。 (1)粒状肥料を転動状態にする工程 (2)該転動状態にある粒状肥料に層厚が1〜10μm
    になる量の液状の未硬化熱硬化性樹脂を添加する工程 (3)該粒状肥料の転動状態を維持し、各肥料粒子表面
    を該未硬化熱硬化性樹脂で被覆する工程 (4)該粒状肥料の転動状態を維持し、該未硬化熱硬化
    性樹脂を熱硬化させる工程 (5)上記(1)〜(4)の工程をこの順にさらに1回
    またはそれ以上繰り返す工程
  8. 【請求項8】疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100
    重量部に対して0.1〜100重量部であることを特徴
    とする請求項6または7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪
    酸エステル、高級アルコールおよびシリコーンからなる
    群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする
    請求項6、7または8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウ
    レタン樹脂であることを特徴とする請求項6〜9のいず
    れかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化
    合物、ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものであ
    ることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の
    製造方法。
  12. 【請求項12】熱硬化性樹脂が、被覆加工温度でのゲル
    タイムが5分以下のものであることを特徴とする請求項
    6〜11のいずれかに記載の製造方法。
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