JP2000044377A - 粒状被覆肥料およびその製造方法 - Google Patents
粒状被覆肥料およびその製造方法Info
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Abstract
比較してさらに溶出速度が遅延された粒状被覆肥料と、
その製造方法を提供すること。 【解決手段】熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料にお
いて、その被覆部および肥料部の少なくとも一方にワッ
クスなどの疎水性化合物を含有させ、肥料の溶出時間を
遅延させたことを特徴とする粒状被覆肥料、およびその
製造方法。
Description
言うこともある)粒状被覆肥料およびその製造方法に関
する。特に、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂により樹脂被覆した緩効性肥料およびその製造方法
に関する。
セル化して肥料の溶出速度を制御するいわゆる緩効性粒
状肥料の歴史は、古く、例えば、特公昭40−2892
7号公報、特公昭44−28457号公報、特公昭37
−15382号公報、あるいは特公昭42−13681
号公報などで、種々の被覆資材や被覆方法が開示されて
いる。被覆材がポリイソシアネ−ト化合物とポリオ−ル
化合物の反応物よりなるウレタン樹脂である被覆肥料に
ついては、米国特許第3,264,089号公報に、同
じくエポキシ樹脂被覆材については、米国特許第3,2
64、088号公報に開示がある。ウレタン樹脂を被覆
材としてなる被覆肥料の製造方法については、特表平1
−500661号公報において、尿素肥料表面にイソシ
アネ−ト化合物を過剰量反応させベ−スコ−トを形成せ
しめ、その上に上記過剰イソシアネ−ト基にポリオ−ル
化合物を反応させることを特徴とする技術の開示があ
る。特表平7−500560号公報には、ポリイソシア
ネ−ト化合物とポリオ−ル化合物の混合樹脂を、各層が
10〜30μmの層をなす塗布を行い、アミンミストで
処理し各層を硬化することを特徴とする技術の開示があ
る。しかしながら、これらの技術によっては、塗膜欠陥
が少なく制御された肥料溶出がされる目的を十分満足し
なかったり、あるいは製造法的にも複雑な装置、工程を
経るため工業的に不利な面が多々ある。また、これらの
方法では、樹脂の性質または肥料の種類により肥料の外
部環境への溶出速度は定められるため、さらに溶出速度
を遅延させるには樹脂の膜厚を増加させることが有効で
あるが、被覆肥料単位重量当たりの有効肥料分の割合が
減少するために多量に被覆肥料を土壌に撒く必要があ
る。また、樹脂量を多く必要とするためコスト面の問
題、被覆肥料の製造時間の延長により生産性が低下する
等の問題がある。一方、ワックス等の疎水性化合物を肥
料にコーティングする技術は知られており、吸湿性の肥
料の製品同士の固着を防止するためワックスコーティン
グする方法として特公平6−2632号公報、特開昭5
2―93561号公報等の開示がある。樹脂でコートさ
れている被覆肥料では、特に樹脂同士の融着は問題とな
らないため、敢えて疎水性化合物を添加する必要は認め
られない。
化性樹脂で被覆した緩効性粒状被覆肥料に比較してさら
に溶出速度が遅延された粒状被覆肥料と、その製造方法
を提供することにある。
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に至った。本発明は以下とおりである。 [1]熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料において、
その被覆部および肥料部の少なくとも一方に疎水性化合
物を含有させ、肥料の溶出時間を遅延させた粒状被覆肥
料。 [2]疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100重量部
に対して0.1〜100重量部である[1]の粒状被覆
肥料。 [3]疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エス
テル、高級アルコールおよびシリコーンからなる群から
選ばれる1または2以上である[1]または[2]の粒
状被覆肥料。 [4]熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレタン樹
脂である[1]、[2]または[3]の粒状被覆肥料。 [5]ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合物、ポ
リオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである[1]
〜[4]のいずれかの粒状被覆肥料。 [6]下記(A)〜(D)のいずれか一つの工程を含む
粒状被覆肥料の製造方法。 (A)予め疎水性化合物を添加した粒状肥料を熱硬化性
樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水性化合物を添加し
た熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する工程、(C)粒状
肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両者の混合系に間欠
または連続的に疎水性化合物を添加しながら被覆する工
程、(D)上記(A)〜(C)の工程の2以上の工程を
併用する工程。 [7]下記(1)〜(5)の工程をこの順に含むもので
ある[6]の製造方法。(1)粒状肥料を転動状態にす
る工程、(2)該転動状態にある粒状肥料に層厚が1〜
10μmになる量の液状の未硬化熱硬化性樹脂を添加す
る工程、(3)該粒状肥料の転動状態を維持し、各肥料
粒子表面を該未硬化熱硬化性樹脂で被覆する工程、
(4)該粒状肥料の転動状態を維持し、該未硬化熱硬化
性樹脂を熱硬化させる工程。(5)上記(1)〜(4)
の工程をこの順にさらに1回またはそれ以上繰り返す工
程 [8]疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100重量部
に対して0.1〜100重量部である[6]または
[7]の製造方法。 [9]疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エス
テル、高級アルコールおよびシリコーンからなる群から
選ばれる1または2以上である[6]、[7]または
[8]の製造方法。 [10]熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレタン
樹脂である[6]〜[9]のいずれかの製造方法。 [11]ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合物、
ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである
[6]〜[10]のいずれかの製造方法。 [12]熱硬化性樹脂が、被覆加工温度でのゲルタイム
が5分以下のものである[6]〜[11]のいずれかの
製造方法。
する。本発明に使用される疎水性化合物としては、ワッ
クス、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリ
コーン、等が挙げられ、これらの群から選ばれる1また
は2以上が使用できる。ワックスの例としては、いわゆ
るワックスが用いられ、密ロウ等の動物ロウ;カンデリ
ラロウ、カルナバロウ、木ロウ、オーリクリロウ、ダグ
ラスファー樹皮ロウ、米ぬかロウ、ホホバロウ、ベーベ
リロウ等の植物ロウ;モンタンワックス、ビートワック
ス、オゾケライト・セレシンワックス等の鉱物ワック
ス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、セミクリスタリンワックス等の石油系ワックス;ポ
リエチレンワックス等の重合体ワックス;エチレン、プ
ロピレン、ブタジエン、アクリル酸等のモノマーの少な
くとも二種を重合させて得られる共重合体ワックス;フ
ィッシャー・トロプシュワックス、化学修飾炭化水素ワ
ックス、置換アミドワックス等の合成ワックス;等が挙
げられる。石油系ワックスは、固体に限られず、アルカ
ン類、パラフィン類、アルケン類、オレフィン類、アル
キン類、アセチレン類、シクロアルカン類、シクロアル
ケン類、シクロアルキン類、等の炭化水素類;芳香族炭
化水素類;等が挙げられる。脂肪酸の例としては、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エル
カ酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、等の炭
化水素系脂肪酸またはこれらのアルカリ金属塩もしくは
アルカリ土類金属塩、等が挙げられる。脂肪酸エステル
の例としては、上記の脂肪酸と炭素数1〜40からなる
高級アルコールとのエステル、グリセリン等の多価アル
コールとのエステル等が挙げられる。高級アルコールの
例としては、上記脂肪酸のカルボキシル基を水酸基に変
えたものが挙げられる。シリコーンの例としては、ポリ
ジメチルシロキサンなどのシリコーンオイル、シリコー
ンゴム等が挙げられる。これら疎水性化合物の中でもパ
ラフィンワックス等の石油系ワックス、ポリエチレンワ
ックス等の重合体ワックスが特に好ましい。本発明で使
用する疎水性化合物は、液体、固体、半固形体のいずれ
でも良いが、固体の場合は融点が、通常40〜200
℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは60
〜120℃である。この範囲内の融点であれば取り扱い
易く、均一に疎水性化合物を製品に分散させることが容
易である。
樹脂100重量部に対して0.01〜100重量部であ
る。0.01重量部より少ないと肥料の溶出速度の遅延
効果に乏しく、100重量部より多くても一定以上の効
果は得られない。好ましくは0.1〜50重量部、さら
に好ましくは1〜20重量部である。
性樹脂で被覆した粒状被覆肥料は、疎水性化合物のみを
除いた同様の粒状被覆肥料に比べて、肥料の外部への溶
出時間が遅延されている。ここで「被覆肥料外部への肥
料の溶出時間が遅延される」とは、疎水性化合物を配合
するかしないかの差異以外は、同じ条件で作製した被検
体につき、同じ測定方法を用いて肥料の外部への溶出速
度の程度を比較した場合に、溶出速度が遅くなることを
いう。具体的には、例えば、被検体試料を一定量計り取
り水を加えた後、水中で一定温度で保存して、水中の肥
料濃度を分析機器にて追跡して被覆肥料外部への肥料の
溶出時間が測定される。肥料の溶出時間の測定において
は、比較用基準系中の肥料の外部への溶出率が50〜9
0%になる条件下において実施することが好ましい。溶
出時間の遅延の程度は、疎水性化合物を添加しない比較
用基準系に対して一定時間経過後の本発明の樹脂被覆肥
料の肥料溶出率が、通常95〜0.01%、好ましくは
90〜0.1%、さらに好ましくは80〜1%、さらに
好ましくは50〜10%となる値で示される。この値以
上では従来の樹脂で被覆された粒状肥料と比較して疎水
性化合物を添加する意義に乏しく、この値以下では肥料
が外部へ溶出せず肥料としての効果を発揮できない。
限定されないが、(A)予め疎水性化合物を添加した粒
状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水
性化合物を添加した熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する
工程、(C)粒状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両
者の混合系に間欠または連続的に疎水性化合物を添加し
ながら被覆する工程、(D)上記(A)〜(C)の工程
の2以上の工程を併用する工程、等で製造されるのが好
ましい。具体的には、粒状肥料を作製する段階で疎水性
化合物を添加しても良く、粒状肥料に予め疎水性化合物
を分散させても良い。また、熱硬化性樹脂を構成する樹
脂成分に疎水性化合物を添加、懸濁、溶解させても良い
し、硬化前の熱硬化性樹脂に疎水性化合物を添加しても
良い。さらにまた、工程(C)における疎水性化合物の
添加の時期は粒状肥料を熱硬化性樹脂で被覆する前、被
覆中、被覆後であっても良く、連続的に添加しても間欠
的に添加しても一度に添加しても良い。要は、熱硬化性
樹脂で被覆した粒状被覆肥料において、その被覆部およ
び肥料部の少なくとも一方に疎水性化合物を含有させる
ようにする。
は、公知のものが使用でき、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ−ル樹脂、アルキ
ッド樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、
シリコーン樹脂、等を挙げることができ、必要に応じて
これらの中から選ばれた2種以上を混合して用いても良
い。これらの中で、エポキシ樹脂やウレタン樹脂が作業
性、性能の面から好ましいものであり、特にポリイソシ
アネ−ト化合物とポリオ−ル化合物に硬化触媒を処方し
たウレタン樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂とは、ポリイソシアネ−ト化合物とポリオ
−ル化合物を反応させることにより3次元架橋させた樹
脂の総称であるが、本発明でいう未硬化ウレタン樹脂と
は、該ポリイソシアネ−ト化合物と該ポリオ−ル化合物
の混合物であり、全く反応させてないか、あるいは3次
元化しない程度予め一部を硬化反応させたものいう。硬
化反応の促進のために触媒を添加しておくことも有用な
技術である。該未硬化樹脂の形態としては無溶剤型、溶
液型、水系エマルジョン型等何れでも良いが、特に無溶
剤型で、かつ加工温度において液状であるものが好適で
ある。ポリイソシアネ−ト化合物の例としては、トルエ
ンジイソシアネ−ト(TDIと言うことがある)、ジフ
ェニルメタンジイソシアネ−ト(MDIと言うことがあ
る)、ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンイソシア
ネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロン
ジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、等を
挙げることことができ、必要に応じてこれらの混合物を
用いることができる。なかでも、MDIもしくはTDI
またはこれらから誘導されるオリゴマ−体が好適に用い
られる。ポリオ−ル化合物の例としては、多価アルコ−
ル、アミノアルコ−ル、アミンを開始剤として用い、エ
チレンオキサイドやプロピレンオキサイドを重付加して
得られるポリエ−テルポリオ−ル;テトラヒドロフラン
を重合して得られるポリテトラメチレンエ−テルグルコ
−ルなどのポリエ−テル型ポリオ−ル;多価アルコ−ル
とポリエ−テルポリオ−ルとカルボン酸化合物を反応さ
せる等の方法により得られるポリエステル型ポリオ−
ル;等が挙げられる。また、生分解性を考慮してOH基
含有の天然物、またはその変性物を用いることも可能で
ある。
用のものを用いることができ、具体的に例示すると、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合
物;ジブチルスズラウレート、ジブチルスズマレート等
の有機スズ化合物;尿素、トリエチレンジアミン、N−
メチルモルフォリン、N,Nジメチルモルフォリン、ジ
アザビシクロウンデセン、イミダゾール、エチルメチル
イミダゾール、ジアザビシクロオクタン、2,4,6,
−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、等が挙
げられるが、中でも窒素原子を含有するアミン系触媒が
好適に用いられる。これらの触媒はそのまま、あるいは
水溶液または懸濁液として使用に供される。固体触媒に
ついては粉砕微粉化したものを使用するのが好ましい。
さらに、必要に応じて、着色のために顔料や染料、ある
いは充填剤としてタルク、マイカ、シリカ、カ−ボンブ
ラック、樹脂粉末、等の無機/有機粉粒体を使用するこ
とも可能である。また、必要に応じて界面活性剤を添加
することもできる。熱硬化性樹脂による粒状肥料の被覆
は転動状態で実施されるのが好ましく、粒状肥料を転動
状態にする方法としては、特に装置に制限はなく公知、
慣用のものを用いることができるが、例えば、回転パ
ン、回転ドラムなどが挙げられる。なお、該装置に加温
設備を付設されたものは、被覆加工の高精度化や加工時
間の調整に好適である。使用される粒状肥料は、従来の
肥料の粒状物の何れであっても良い。その具体例として
は、尿素、硫安、塩安、燐安、硝安、硝安石灰、石灰窒
素、硝酸ソ−ダ、アセトアルデヒド縮合尿素等の窒素質
肥料、焼成りん肥、加工燐酸肥料、重加燐酸石灰、混合
燐酸肥料等の燐酸質肥料、塩化加里、硫酸加里苦土、重
炭酸加里、けい酸加里肥料等の加里質肥料、燐酸加里肥
料、硝酸加里肥料等の化成肥料、又は有機質肥料など、
さらにこれらの肥料の混合物を、それ自体公知の方法に
より造粒した粒状肥料を挙げることができる。粒状肥料
の粒径に特に限定はないが、1〜5mmであることが製
造上好ましい範囲である。
は、通常、転動状態にある粒状肥料を所定の加工温度に
する工程(4)を含む。加工温度としては、上記未硬化
樹脂のゲルタイム(JISのK 5909に準じて測
定)が5分以内、さらに好ましくは3分以内である。該
転動状態にある粒子に、上記未硬化樹脂を添加する工程
(2)においては、予め硬化剤や触媒が配合、混合された
樹脂組成物を滴下、噴霧等の方法により投入する。ある
いは、主剤、硬化剤、触媒等を別々に添加、肥料粒子を
樹脂でコ−ティングする際に各成分が混合されるような
方法でも良い。一度に投入される樹脂量はコ−ティング
される膜厚が1〜10μmになるように調整される。さ
らに好ましくは2〜6μmである。1μm未満では、被
覆回数が多すぎて工業的に不利になる。一方、膜厚が1
0μmを越えると以下の問題が生じる。すなわち、本発
明の方法においては、転動状態にある肥料に、液状の未
硬化樹脂が投入され、まず、粒子の転動により粒子表面
に均一な未硬化樹脂層が形成され、同時に樹脂の硬化反
応が進行する。この際、樹脂は反応に伴い徐々に増粘が
起こり、曳糸性を帯びるようになる。その際に、樹脂の
粘着性が増大し肥料粒子同士が樹脂により粘着され、多
数の粒子からなる塊状物になり、元の一次粒子にほぐれ
なかったり、ほぐれたとしても樹脂表面に損傷を与える
懸念がある。樹脂膜が10μmを越えると、上述の通り
の問題が起こり、個々の粒子を均一に未硬化樹脂でコ−
ティングすることは難しい。本発明者らは、樹脂膜が厚
いと、粒子転動により粘着しあった粒子同士を引き離す
力が足りなくなるためだと考えている。いずれにせよ、
一度に厚い樹脂膜で被覆しようとする場合には、通常の
転動型コ−ティング法では上記不具合を生じ、所望の樹
脂被覆した粒状肥料を製造することは困難である。
脂が被覆された粒状肥料をそのまま転動状態で維持し、
樹脂を硬化させる。ここで言う硬化とは、一般にいう完
全硬化の必要はなく、樹脂がゲル化点を過ぎ、曳糸性が
なくなった状態をいう。そのような状態になれば、その
後は樹脂の粘着性に伴い粒子同士が凝集し、解砕不能と
なることはないので、次の未硬化樹脂を添加することが
可能である。この目的を達成できる範囲であれば、樹脂
成分を肥料に間欠的に添加しても連続的に添加しても良
い。本発明の製造方法は、上記工程を複数回繰り返すこ
とで所望の膜厚で樹脂被覆した粒状肥料を得ることがで
きる。製品の被覆樹脂膜厚は希望する溶出パタ−ンによ
って異なるが、一般に20〜200μmが好適な範囲で
ある。最終層までコ−トされた被覆肥料は、必要に応じ
て樹脂の完全硬化のため、所定の硬化温度で十分維持さ
れる工程を含んでも良い。また、肥料の固結防止や施肥
した際の浮上防止のために、該被覆肥料表面にクレイ等
の無機微粉を添加することも有用な技術である。本発明
の粒状被覆肥料は、従来公知の分野に使われるが、とく
に人為的に施肥が困難な場所、例えば一般道路、高速道
路等の分離帯に設けられている植え込み植物に対する施
肥や、施肥面積が広大である大規模農場等に利用するこ
とができる。
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。 参考例1 粒状尿素(平均粒径3.4mm)2kgを、熱風発生機
を付設した温度制御可能な傾斜パン型転動造粒機(パン
径520mm)に仕込み、20〜30RPMで回転させ
粒状肥料を転動状態にした。該装置を加熱して仕込んだ
粒状尿素の温度を70〜75℃に維持し、転動状態を維
持させた。被覆樹脂として、ポリメリックMDI(住友
バイエルウレタン製、商品名:スミジュ−ル44V1
0)を4.7g、分岐ポリエ−テル型ポリオ−ル(住友
バイエルウレタン製、商品名:スミフェンTM)を5.
3g、及びアミン触媒として2,4,6−トリス(ジメ
チルアミノメチル)フェノ−ルを0.1gを攪拌混合し
て得た未硬化ウレタン樹脂組成物を、速やかに加温され
かつ転動状態にある該粒状尿素に添加した。該未硬化ウ
レタン樹脂組成物は室温において液状であった。なお、
本実施例で用いた未硬化ウレタン樹脂のゲルタイムは6
5℃において2分30秒であった。ゲルタイム(熱硬化
温度ということもある)はJISのK5909に準じて
測定した。また、投入した樹脂量は、仕込み肥料に対し
て0.5重量%であり、該粒径の肥料を被覆した場合、
コ−ト樹脂の膜厚は約3.1μmとなる。目視観察で
は、投入した樹脂は約30秒でほぼ均一に粒状肥料表面
をコ−トすることが確認された。樹脂投入後3分後に試
料の一部を取り出したところ、樹脂は殆ど粘着性を失っ
た状態であった。3分毎に上記工程を16回繰り返し、
肥料に対して8重量%被覆を行った。最終的に該樹脂被
覆した粒状肥料を70℃−75℃で10分維持し、樹脂
を完全硬化することでウレタン樹脂被覆した粒状肥料を
作成した。全工程の所要時間は約1時間であり、工業的
に有利な方法であった。 該工程による樹脂の被覆量は
該被覆肥料断面の電子顕微鏡<SEM>観察から樹脂膜
の厚みは約50μmであることが分かった。上記工程に
より作成した樹脂被覆粒状肥料の25℃での肥料溶出挙
動を評価した。その結果、該被覆尿素は、約85日間で
80%の肥料分が溶出した。なお、肥料溶出の評価は農
林水産省環境技術研究所より提案の方法(例えば「詳解
肥料分析法」越野正義編著、1988年)に則り行っ
た。
商品名ネオワックスCL−70、融点70〜80℃)を
添加した分岐ポリエ−テル型ポリオ−ル(住友バイエル
ウレタン製、商品名:スミフェンTM)を用いた他は参
考例1と全く同様の操作で、疎水性物質を含む樹脂被覆
肥料を作製した。樹脂使用量は参考例1と同様に肥料に
対して8重量%であり、ポリエチレンワックスの使用総
量は、ウレタン樹脂成分100部に対して5部である。
類、疎水性化合物の添加方法を表1に記載のものとした
以外は、実施例1と同様の操作でサンプルを作製した。
これらの水中(25℃)での、尿素肥料の溶出割合の経
時変化を追跡した。肥料溶出挙動につき表2に示した。
なお、表1中、使用樹脂量(肥料に対する重量%)と
は、尿素肥料重量に対するウレタン樹脂重量%を示す。
使用した疎水性化合物はポリエチレンワックス(ヤスハ
ラケミカル株式会社製、商品名ネオワックスCL−7
0、融点70〜80℃)、流動パラフィン(和光純薬株
式会社製、試薬)である。疎水性化合物の使用量はウレ
タン樹脂100重量部に対する重量部で表示した。疎水
性化合物の添加方法は、疎水性化合物を分岐ポリエ−テ
ル型ポリオ−ル(住友バイエルウレタン製、商品名:ス
ミフェンTM)に予め加熱溶融させて使用した場合を
「ポリオールに予め分散」と記載し、尿素肥料に疎水性
化合物を添加して全体に分散させてからウレタン樹脂コ
ートを行なった場合を「肥料に前処理」として表1に示
した。
%としたもののサンプルを参考例1と同様にして作製
し、これらの水中(25℃)での尿素肥料の溶出割合の
経時変化を追跡した。結果を表1と2に示す。
樹脂で被覆した従来の緩効性被覆肥料に比較して、さら
に溶出時期を遅延させることができる。本発明の粒状被
覆肥料を使用することにより、従来以上に目的、環境、
用途に応じて幅広く施肥設計ができることに加えて、人
為的に施肥が困難な場所、例えば一般道路、高速道路等
の分離帯に設けられている植え込み植物に対する施肥
や、施肥面積が広大である大規模農場等に利用すること
ができる。また、これにより長期に渡り肥効を維持でき
るため施肥の手間やコストを削減することができ、必要
以上に肥料を散布する必要がないので環境に対する負荷
も少なくなる。さらに、肥料の溶出時間を従来の樹脂被
覆肥料よりも肥料の溶出を遅らせることができるので、
本発明の技術を用いて使用する樹脂量を削減しつつ溶出
速度を調整できる等、樹脂使用コストの削減、環境に対
する負荷低減、単位重量当たりの肥効の向上等を図るこ
とができる。この様に、本発明の技術は産業上利用する
上で極めて有用である。
Claims (12)
- 【請求項1】熱硬化性樹脂で被覆した粒状被覆肥料にお
いて、その被覆部および肥料部の少なくとも一方に疎水
性化合物を含有させ、肥料の溶出時間を遅延させたこと
を特徴とする粒状被覆肥料。 - 【請求項2】疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100
重量部に対して0.1〜100重量部であることを特徴
とする請求項1記載の粒状被覆肥料。 - 【請求項3】疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪
酸エステル、高級アルコールおよびシリコーンからなる
群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする
請求項1または2記載の粒状被覆肥料。 - 【請求項4】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウレ
タン樹脂であることを特徴とする請求項1、2または3
記載の粒状被覆肥料。 - 【請求項5】ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化合
物、ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粒状
被覆肥料。 - 【請求項6】下記(A)〜(D)のいずれか一つの工程
を含むことを特徴とする粒状被覆肥料の製造方法。 (A)予め疎水性化合物を添加した粒状肥料を熱硬化性
樹脂で被覆する工程、(B)予め疎水性化合物を添加し
た熱硬化性樹脂で粒状肥料を被覆する工程、(C)粒状
肥料を熱硬化性樹脂で被覆する際、両者の混合系に間欠
または連続的に疎水性化合物を添加しながら被覆する工
程、(D)上記(A)〜(C)の工程の2以上の工程を
併用する工程。 - 【請求項7】下記(1)〜(5)の工程をこの順に含む
ことを特徴とする請求項6記載の製造方法。 (1)粒状肥料を転動状態にする工程 (2)該転動状態にある粒状肥料に層厚が1〜10μm
になる量の液状の未硬化熱硬化性樹脂を添加する工程 (3)該粒状肥料の転動状態を維持し、各肥料粒子表面
を該未硬化熱硬化性樹脂で被覆する工程 (4)該粒状肥料の転動状態を維持し、該未硬化熱硬化
性樹脂を熱硬化させる工程 (5)上記(1)〜(4)の工程をこの順にさらに1回
またはそれ以上繰り返す工程 - 【請求項8】疎水性化合物の量が、熱硬化性樹脂100
重量部に対して0.1〜100重量部であることを特徴
とする請求項6または7記載の製造方法。 - 【請求項9】疎水性化合物が、ワックス、脂肪酸、脂肪
酸エステル、高級アルコールおよびシリコーンからなる
群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする
請求項6、7または8記載の製造方法。 - 【請求項10】熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはウ
レタン樹脂であることを特徴とする請求項6〜9のいず
れかに記載の製造方法。 - 【請求項11】ウレタン樹脂が、ポリイソシアネ−ト化
合物、ポリオ−ル化合物および硬化触媒を含むものであ
ることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の
製造方法。 - 【請求項12】熱硬化性樹脂が、被覆加工温度でのゲル
タイムが5分以下のものであることを特徴とする請求項
6〜11のいずれかに記載の製造方法。
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