JP2008142845A - ハンドル回転用工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】いかなる作業環境下であってもハンドルへの掛け直し作業を不要とし、ハンドル回し作業の効率化、短時間化を図ると共に工具としての汎用性も高めたハンドル回転用工具を提供する。
【解決手段】ハンドル回転用工具1は、持ち手部2と、ハンドル39の輪部40に係合可能な係合部8を有するアーム部3、4と、複数の歯26を有する側面25が形成され、持ち手部2、アーム部3、4がその軸方向に沿って並列的に連結される回転用軸体5とを有して構成され、持ち手部2、アーム部3、4は、当該持ち手部2、アーム部3、4を一方向のみ回転用軸体5と連動して回転させ、且つその回転作用を簡易な操作で切り換えることができるラチェット機構13を備え、更にアーム部3は、基体30から引出体31が自在に引き出し、収納されてその長手方向の総和寸法を伸縮させる伸縮機構29を備えたものとする。
【選択図】 図5

Description

この発明は、例えば弁開閉装置等の弁を開閉するハンドルに装着して当該ハンドルを回転させるための例えばウイルキー等と称される工具の構造に関するものである。
例えば発電所でのユニット定期点検時には膨大な数の弁開閉操作が必要となるところ、弁の開閉のためのハンドルが錆、その他の要因によって直接に手では回転操作し難い場合に、ウイルキー又はハンドル回し等と称する工具を使用することは既に公知である(例えば、特許文献1を参照。)。
また、ラチェット歯車の回転方向を規制し且つその回転方向を切り替えるための機構として、カム部材に対し切替部として非接触維持部を中心としてその両側に係合支持溝部を形成し、コイルバネで付勢された当接部材が所定条件下で一方の係合支持溝部に係合するようにしたラチェット機構を備えたラチェットレンチは、既に公知になっている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平10−160035号公報 特開2006−218609号公報
しかしながら、特許文献1に示されるようなハンドル回しの構成では、一対の爪部でハンドルの輪部分を挟持してハンドルに掛け、爪部を有する部位から延出したハンドル回し本体を持ってハンドルを回すことから、ハンドルがある程度回った後に、爪部を一端外してハンドルの操作する者の近傍に掛けなおす必要があり、作業全体がその掛け直し作業により相対的に長時間化してしまい非効率であるという不具合を有する。
また、特許文献1に示されるようなハンドル回しの構成では、弁開閉装置が側壁付近に配置されている場合には、ハンドル回しでハンドルを回転操作する際に、その操作毎にハンドル回し本体が側壁に当たる等のため、一回の操作で十分にハンドルを回すことができないことから、細かにハンドル回しを掛け直す必要があり、この点でも作業全体が相対的に長時間化してしまい非効率であるという不具合を有する。
一方、特許文献2に記載されるようなラチェットレンチの構成では、ハンドルに装着することが不可能であるため、当然ながら弁開閉装置等のハンドルを回転させるには適さず、そのまま用いることはできない。
そこで、本発明は、いかなる作業環境下であってもハンドルへの掛け直し作業を不要とし、ハンドル回し作業の効率化、短時間化を図ったハンドル回転用工具を提供することを目的とする。
この発明に係るハンドル回転用工具は、持ち手部と、ハンドルの輪部に係合可能な係合部を有する複数のアーム部と、複数の歯を有する側面が形成され、前記持ち手部及びアーム部が軸方向に沿って連結される回転用軸体とを有して構成され、前記持ち手部は、一の方向では前記回転用軸体と連動して回転させ、他の方向では前記回転用軸体と独立して回転させると共に、その回転作用を切り換え可能としたラチェット機構を備え、前記アーム部は、前記回転用軸体と連動させた回転と、前記回転用軸体と独立した回転とを切り換え可能としたロック機構を備えたことを特徴としている(請求項1)。尚、回転軸体は、その軸方向において、ハンドルが回るとその中心部を貫通してスピンドルが暫時突出する構成に対応するために、スピンドルに外挿可能な貫通孔を形成しても良い。また、アーム部の数はハンドルを回すために最低でも2以上であれば良く、その数は特に限定しない。更に、アーム部のロック機構は、持ち手部のラチェット機構と同様の機構としても良い。
これにより、例えば弁開閉装置の弁を開く場合には、一のアーム部のロック機構を解除して回転用軸体と連動させずに任意の方向に回転させ、ハンドルの中心部から延びて輪部を支持する複数の支持部のうちの一つの時計回り側の部位に接し、他のアーム部のロック機構を解除して回転用軸体と連動させずに任意の方向に回転させ、他の支持部の時計回り側の部位に接した後、持ち手部のラチェット機構で反時計回り側の回転のときに持ち手部が回転用軸体と連動して回転するように規制し、アーム部をロック機構で回転用軸体と連動して回転するように規制することで、持ち手部を持って反時計回りに回転させることにより、持ち手部からハンドルの輪部に回転用軸体とアーム部とを介して反時計回りに回転させる力が円滑に伝達されることとなる。そして、各アーム部は、ロック機構を解除することで回転軸体と独立して且つアーム部同士も別々に回転可能であるため、アーム部同士の回転軸体側を頂点とした角度は固定されておらず可変することができる。更に、持ち手部は、ラチェット機構により回転用軸体とは独立して、しかもアーム部とも別に回転可能である。
特に、請求項2の記載によれば、前記ラチェット機構は、前記持ち手部及びアーム部に対し、回転軸を支点として両方向に揺動可能に固定されたカムと、前記カムを前記回転軸体側に付勢する付勢部とを有し、前記カムは、前記回転軸体の歯に係合する突起部を一対備えると共に、前記付勢部が突当することでこれらの一対の突起部の一方を前記回転軸体の歯に係合させ当該カムの揺動方向を定める切換用溝部を一対備え、更に、前記一対の突起部の一方が前記回転軸体の歯に係合している際に前記前記持ち手部及びアーム部の側方から突出した状態にある操作部を一対備えることで、この操作部を押圧することで前記カムが揺動し、付勢部が一対の切換用溝部のうち一方から他方に突当するように切り換わって、前記一対の突起部のうちの他方が前記回転軸体の歯に係合するようになることを特徴とする。これにより、これまで一の方向では前記回転用軸体と連動して回転させ、他の方向では前記回転用軸体と独立して回転させる作用であったのが、ハンドル回転用工具をハンドルの支持部から掛け直さなくても操作部を押圧するという簡単な操作のみで、一の方向では前記回転用軸体と独立して回転させ、他の方向では前記回転用軸体と連動して回転させることとなり、切り換えを行うことができる。
そして、前記複数のアーム部のうちの少なくとも一つは、内部に空洞部を有し、その空洞部は長手方向の反回転軸体側が開口した基体と、この基体に対し前記開口から空洞部内に収納可能な外形状の引出体とにより構成されていると共に、この基体及び引出体の軸方向に沿った総和寸法を伸縮自在とする伸縮機構を備えたことを特徴とするものであっても良い(請求項3)。特に、請求項4の記載によれば、前記伸縮機構は、前記引出体に形成された複数の溝部と、前記基体の長手方向に対しその軸方向が沿うように回転可能に取り付けられると共に前記引出体の溝部と噛み合う螺旋状の突起部が側面に形成された円柱体とを有して構成され、前記円柱体を回転することで前記引出体が前記基体から暫時引き出され又は収納されて前記アーム部が伸縮することを特徴とする。これにより、ハンドルの輪部の径寸法がハンドルの種類により異なっていても、いずれのハンドルに対しても伸縮機能によりアーム部を適宜な寸法に伸縮させることでハンドル回転用工具を支持部に的確に装着してハンドルを回転させることができる。
この発明によれば、例えば弁開閉装置の弁を開く場合には、一のアーム部のロック機構を解除して回転用軸体と独立して任意の方向に回転させ、ハンドルの中心部から延びて輪部を支持する複数の支持部のうちの一つの時計回り側の部位に接し、他のアーム部のロック機構を解除して回転用軸体と独立して任意の方向に回転させ、他の支持部の時計回り側の部位に接した後、持ち手部のラチェット機構で反時計回り側の回転のときに持ち手部が回転用軸体と連動して回転するように規制し、アーム部をロック機構で回転用軸体と連動して回転するように規制することで、持ち手部を持って反時計回りに回転させることにより、持ち手部から力がハンドルの輪部に回転用軸体とアーム部とを介して円滑に伝達されるので、ハンドルを反時計回りに回転させて、弁開閉装置の弁を開くことができる。
また、この発明によれば、各アーム部は、ロック機構を解除することで回転軸体と独立して且つアーム部同士も別々に回転可能であるため、アーム部同士の回転軸体側を頂点とした角度は固定されておらず可変することができるので、ハンドルの種類によりハンドルの支持部の数が3、4と多様で、それゆえに支持部間について中心部を頂点とした角度が様々であっても、ハンドル回転用工具を支持部に対し最も力が加わる状態で装着してハンドルを回転させることができる。これにより、ハンドル回転用工具の確実性、汎用性を高めることができる。
更に、この発明によれば、持ち手部も、ラチェット機構により回転用軸体とは独立して、しかもアーム部とも別に回転可能であるため、弁開閉装置の弁を開く場合には、持ち手部を持って反時計回りに回転させた結果、持ち手部の位置が作業者から離れたとき又は持ち手部が壁部等に当たった場合には、持ち手部のみを時計回りに回転して作業者の近傍の位置に戻すことができる。これにより、作業中にハンドル回転用工具自体の掛け直し作業を不要とするので、全体的な作業時間の短縮化を図ることができると共に弁開閉装置が壁部などに近い位置にあっても作業を簡易に行うことができる。
特に請求項2に記載の発明によれば、ハンドル回転用工具をハンドルの支持部から外さなくても操作部を押圧するのみでアーム部の回転可能な方向を切り換えることができ
るので、作業の簡略化をより一層図ることができる。しかも、アーム部にもラチェット機構を用いた場合には、持ち手部及び各アーム部を回転させて回転軸体の軸方向に沿って並列させることで操作部の位置も回転軸体の軸方向に沿って並ぶので、一度の押圧作業で持ち手部及び各アーム部の回転可能な方向を切り換えることができる。
特に請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、ハンドルの輪部の径寸法がハンドルの種類等により様々であっても、伸縮機能によりアーム部を適宜な寸法に伸縮させることで、ハンドル回転用工具を支持部に対し最も力が加わる状態で装着してハンドルを回転させることができる。これにより、ハンドル回転用工具の確実性、汎用性を高めることができる。
以下、この発明の実施形態の最良の形態について図面により説明する。
図1、図5において、この発明に係るハンドル回転用工具1の全体構成の一例が示されている。このハンドル回転用工具1は、例えばウイルキー等とも称されるもので、持ち手部2、アーム部3、アーム部4、及び回転用軸体5を有して基本的に構成されている。尚、上記図1等では、アーム部の数は2つとして図示されているがこれに限定されず、例えば3つ等、2以上であれば良いものである。
持ち手部2は、作業を行う者が握り易い太さの直線状のグリップ部7を有している。そして、アーム部3、4は、後述するハンドル39の支持部42に係合可能なようにその先端部位が下方に向けて曲折してなる係合部8を有している。これらの持ち手部2、アーム部3、4は、この実施形態では、回転用軸体側部位において略共通の構成をなしている。このため、アーム部3を代表例として図3を用いて当該部位について説明し、他のアーム部4、持ち手部2の説明は同じ符号を付すことで省略する。
アーム部3の回転用軸体側には、回転用軸体5と回転可能に連結するための2枚のプレート部10、10が当該アーム部3の軸方向に沿って平行に延出しており、プレート部10は、略円板状の部位を有すると共にその円板状の部位の中心に回転用軸体5の最大外径寸法と略同じ内径寸法の通孔11が形成されている。このようなプレート部10、10の配置構成により、アーム部3の回転用軸体側を通孔11の径方向から見た場合には、先端側が開口した略コ字状の切欠き12を有したものとなっている。
そして、持ち手部2、アーム部3、4は、この実施形態では、切欠き12内に、回転軸14を支点として両方向に揺動可能に固定されたカム15と、このカム15を回転軸体側に付勢する付勢部16とを有した、ラチェット機構13が適宜収納されている。
カム15は、図2及び図4に示されるように、回転用軸体5の軸方向から見て例えば左右対称をなす略逆三角形の薄板状のもので、回転軸体5に係合可能な形状の突起部18A、18Bを一対有すると共に、突起部18A、18Bの反対側において付勢部16の後述する押部22が突当することで突起部18A、18Bの一方を回転軸体5に係合させカム15の揺動方向を定める切換用溝部19A、19Bを一対有し、更に切換用溝部19A、19B間に中間部24が形成されている。更にまた、カム15は、突起部18A、18Bの一方が回転軸体5に係合している際にアーム部3の切欠き12からそのいずれか一方が外方に突出した状態にある操作部20A、20Bを一対有している。
付勢部16は、切欠き12の奥側立面に有底の孔17を形成し、この孔17内に例えばコイルバネ等の弾性部材21が収納され、孔17から切欠き12内に突出した例えば略半球状の押部22をカム15側に常時押圧するようになっている。尚、特に図4に示されるように、押部22から軸棒23が延出形成されて、この軸棒23が弾性部材21の輪内に収納されるようにしても良い。
回転用軸体5は、特に図3に示されるように、側面25に円状の周面に複数の歯26が軸方向に沿って延びるように形成されて歯車形状を構成していると共に、持ち手部2、アーム部3、4がその軸方向に抜けるのを防止するために、その長手方向の両側端から側面25よりも径方向外側に延出したフランジ27を有している。そして、この実施形態では、回転用軸体5に対しその軸方向から見て中心となる部位に、ハンドル39のスピンドル43に外挿可能な貫通孔28が形成されている。
以上の回転用軸体5及びラチェット機構13の構成に基づいて、持ち手部2、アーム部3、4の回転の規制及びその変換の作用について以下に説明する。
まず、持ち手部2でハンドル39を弁開閉装置が開く方向、すなわち、反時計回りに回転させる場合には、持ち手部2のラチェット機構13は簡易な操作で次のような動作を経る。例えば、図4(B)のように、ラチェット機構13がハンドル39を時計回りに回転させるための状態にある場合には、操作部20Bが切欠き12から側方に突出しているので、この操作部20Bを押してカム15を図4(B)の白抜き矢印の方向(反時計回り)に回転させる。これにより、カム15は、付勢部16の押圧部22に対し、切換用溝部19Bに係合した位置から図4(C)に示されるように中間部24側に移行するに従い、この中間部24で押圧部22を押圧し、その後、この中間部24が外れて切換用溝部19Aに達した際には、図4(A)に示されるように、付勢部16の弾性部材21の復元力で押圧部22が切換用溝部19Aに係合する。
一方、各アーム部3、4のラチェット機構13は、回転用軸体5が反時計回りに回転した際に、回転用軸体5の歯26がカム15を押圧することでアーム部3、4を反時計回りに回転させる必要があるので、図4(B)に示されるように、付勢部16の押圧部22は切換用溝部19Bに係合して、突起部18Aが突起部18Bよりも回転用軸体5側に突出し、回転用軸体5の歯26と係合する位置に設定することとなる。
しかるに、持ち手部2が図4(A)の状態、アーム部3、4が図4(B)の状態では、持ち手部2のグリップ部7を持って反時計回り(図4(A)の矢印方向)に回転させた場合に、持ち手部2では、カム15の突起部18Bが回転用軸体5の歯26に突当して押圧し、アーム部3、4では回転用軸体5の歯26がカム15の突起部18Aに突当して押圧するため、持ち手部2、回転用軸体5、アーム部3、4が連動して反時計回りに回転するので、持ち手部2に加えた反時計回り方向の回転をアーム部3、4にまで円滑に伝達することができる。一方、持ち手部2のグリップ部7を持って時計回り(図4(A)の矢印方向とは逆方向)に回転させた場合には、持ち手部2は、歯26が突起部18Bに接した際にカム15が回転軸14を支点として揺動し、歯26が突起部18Bを乗り越えて、突起部18Bは回転用軸体5の歯26を押圧しないため、持ち手部2は回転用軸体5と独立して時計回りに回転するので、回転用軸体5によるハンドル39の回転動作に影響を与えることなく、持ち手部2を所望の位置に戻すことが可能である。
次に、持ち手部2でハンドル39を弁開閉装置が閉じる方向、すなわち、時計回りに回転させる場合には、持ち手部2のラチェット機構13は簡易な操作で次のような動作を経る。例えば、図4(A)のように、ラチェット機構13がハンドル39を反時計回りに回転させるための状態にある場合には、操作部20Aが切欠き12から側方に突出しているので、この操作部20Aを押してカム15を図4(A)の白抜き矢印の方向(時計回り)に回転させる。これにより、カム15は、付勢部16の押圧部22に対し、切換用溝部19Aに係合した位置から図4(C)に示されるように中間部24側に移行するに従い、この中間部24で押圧部22を押圧し、その後、この中間部24が外れて切換用溝部19Bに達した際には、図4(B)に示されるように、付勢部16の弾性部材21の復元力で押圧部22が切換用溝部19Bに係合する。
一方、各アーム部3、4のラチェット機構13は、回転用軸体5が時計回りに回転した際に、回転用軸体5の歯26がカム15を押圧することでアーム部3、4を時計回りに回転させる必要があるので、図4(A)に示されるように、付勢部16の押圧部22は切換用溝部19Aに係合して、突起部18Bが突起部18Aよりも回転用軸体5側に突出し、回転用軸体5の歯26と係合する位置に設定することとなる。
しかるに、持ち手部2が図4(B)の状態、アーム部3、4が図4(A)の状態では、持ち手部2のグリップ部7を持って時計回り(図4(B)の矢印方向)に回転させた場合に、持ち手部2では、カム15の突起部18Aが回転用軸体5の歯26に突当して押圧し、アーム部3、4では回転用軸体5の歯26がカム15の突起部18Bに突当して押圧するため、持ち手部2、回転用軸体5、アーム部3、4が連動して時計回りに回転するので、持ち手部2に加えた時計回り方向の回転をアーム部3、4に円滑に伝達することができる。一方、持ち手部2のグリップ部7を持って反時計回り(図4(B)の矢印方向とは逆方向)に回転させた場合には、歯26が突起部18Aに接した際にカム15が回転軸14を支点として揺動し、歯26が突起部18Aを乗り越えて、突起部18Aは回転用軸体5の歯26を押圧しないため、持ち手部2は回転用軸体5と独立して反時計回りに回転するので、回転用軸体5によるハンドル39の回転動作に影響を与えることなく、持ち手部2を所望の位置に戻すことが可能である。
尚、操作部20A又は20Bを押してラチェット機構13に対する回転用軸体5と連動した回転方向の切り換え操作を行うにあたり、図6に示されるように、持ち手部2、アーム部3、4を回転用軸体5の軸方向に沿って重なるように並列させた状態で行っても良い。これにより、操作部20A又は20Bも回転用軸体5の軸方向に沿って並んでいるので、一の動作で持ち手部2、アーム部3、4の操作部20A又は20Bを押すことができ、回転方向の切り換え操作の簡便化を図ることが可能である。
また、アーム部3、4も、上述のようにこの実施形態では、持ち手部2と同様の構成のラチェット機構13を備えたものとして説明したが、アーム部3、4は後述するようにハンドル39の支持部42の所定側に当接するようにするための回転用軸体5とは独立した回転と、回転用軸体5と連動した回転があれば足りる。従って、アーム部3、4は、ラチェット機構13の回転規制の切換作用を有しない下位概念の構成として、アーム部3、4に対し、回転用軸体5の歯26に突当し係止するための係止片と、この係止片を歯26側に近接し又は遊離させる作動部と、この作動部に対し係止片が歯26から遊離した状態を一時的に保持しその保持を解除する操作部とのみを備えて、回転用軸体5と連動させた回転と回転用軸体5と連動させない回転とを切り換え可能とした公知のロック機構(図示せず。)を有するものとしても良い。
アーム部3は、この実施形態では、図2に示されるように、内部に空洞部を有し、その空洞部は長手方向の反回転軸体側に開口37を有する基体30と、この基体30に対し開口37から空洞部内に収納可能な外形状の引出体31とにより構成されている。そして、アーム部3は、基体30から引出体31の引出し量を調整することで、アーム部3全体の長手方向を自在に伸縮するための伸縮機構29を有している。
この伸縮機構29は、基体30の引出体31側近傍部位に切欠き32を形成し、この切欠き32の周縁部位のうちアーム部3の長手方向側部に円柱体33の回転軸35、35を回転可能に取り付ける。そして、円柱体33の周面には螺旋状に延びるネジ部34が形成されたものとする。また、引出体31には基体30の円柱体33側となる面にネジ溝36を複数形成する。これにより、円柱体33に対し任意の方向に回転軸35を軸心として回転させるという簡易な操作で、円柱体33のネジ部34と引出体31のネジ溝36とが噛み合って、引出体31を基体30の開口37から引出し又は開口37から収納するように動作させることができる。尚、アーム部4もこの伸縮機構29を有したものとしても良い。
最後に、ハンドル回転用工具1をハンドル39に装着してこのハンドル39を弁開閉装置の弁が開くように反時計回りに回す過程の一例について、図5から図9を用いて説明する。
この実施形態では、スピンドル43がハンドル39を回転するに従いその中心部41から突出する規格であるところ、まず、図6に示されるように、持ち手部2、アーム部3、4を回転用軸体5に対し軸方向に沿うように配置し、操作部20B又は20Aを押圧して持ち手部2、アーム部3、4の全てが回転用軸体5と独立して回転する方向が一致するように(図6では時計回りの方向となるように)リセットする。次に、図5に示されるように、持ち手部2、アーム部3、4を回転用軸体5と独立して回転させて相互に開き、ハンドル39の支持部42の位置にできるだけ沿うような位置関係に設定する。そして、図7に示されるように、回転用工具1を回転用軸体5の貫通孔28がスピンドル43に外挿するように装着する。
次に、図8に示されるように、各アーム部3、4のラチェット機構13を操作し、アーム部3、4が回転用軸体5と独立して支持部42の時計回り側の部位に当接するように回転させる。アーム部3は、本ケースでは、反時計回り側に支持部42が存するので、ラチェット機構13を図4(B)の状態となるように操作して、アーム部3を図8の白抜き矢印の方向に回転用軸体5と独立して反時計回りに回転させ、支持部42の時計回り側に当接させる。また、アーム部4は、本ケースでは、時計回り側に支持部42が存するので、ラチェット機構13を図4(A)の状態となるように操作して、アーム部4を図8の矢印の方向に回転用軸体5と独立して時計回りに回転させ、アーム部3とで最も力がハンドル39の輪部40に伝達される位置を調べ、その適切となる支持部42の時計回り側に当接させる。この場合、アーム部4の係合部8が支持部42に当たらないように、アーム部4を回転用軸体5の軸方向に沿って上側に持ち上げて回転させる必要もある。もっとも、アーム部3、4はいずれへの回転も自在となるように、ラチェット機構13を図4(C)に示される状態、すなわち、カム15の両突起部18A、18Bによるロックが解除された状態に設定しても良い。
そして、図9に示されるように、持ち手部2については、ラチェット機構13が、図4(A)に示される状態となるようにし、アーム部3、4については、ラチェット機構13が図4(B)に示される状態となるようにして、これら持ち手部2の反時計回りの回転が回転用軸体5を介してアーム部3、4に伝達されるように設定する。尚、アーム部3、4については、回転用軸体5と一体的に回転するようになるようにロックしても良い。この設定が完了したら、持ち手部2を持って図9の矢印方向(反時計回り側)に回転させる。これにより、持ち手部2から反時計回り側の回転力が回転用軸体5を介してアーム部3、4に伝達されて、アーム部3、4がハンドル39の支持部42をその時計回り側部位から反時計回り側に押圧するので、ハンドル39は反時計回りに回転して弁開閉装置の弁が開かれる。
この操作中に、持ち手部2が回転して作業を行う者から離れてしまい、又は持ち手部2に対する回転許容範囲が狭い場合には、上記のようにラチェット機構13は図4(A)の状態に設定されているため、持ち手部2を持って時計回りに回転させた場合には、持ち手部2は、回転用軸体5と独立して手許の位置まで復帰するので、再度、持ち手部2を手許側から反時計回りの方向に回転させるという操作を行うことが可能である。
尚、ハンドル39の中心部41をスピンドル43が貫通しない規格の場合でも、回転用軸体5の貫通孔28をスピンドルに外挿する操作が不要となるのみであるので、対応可能である。また、ハンドル39の輪部40の径寸法が様々であっても、伸縮機構29を有しているので、アーム部3の長手方向寸法を自在に伸縮可能であるから、いずれの径寸法のハンドル39であっても、最も力が伝達する位置で各アーム部3、4をハンドル39の支持部42に当接させることができる。
図1は、この発明に係るハンドル回転用工具を側方から見た状態を示す説明図である。 図2(A)は、同上のハンドル回転用工具を構成するアーム部のうち伸縮機構を有するアーム部の平面図であり、図2(B)は同アーム部の側面図である。 図3(A)は、同上のハンドル回転用工具を構成する回転軸体の平面図であり、図3(B)は同回転軸体の側面図である。 図4は、持ち手部、アーム部に設けられたラチェット機構を示す説明図であり、図4(A)は、持ち手部との関係では回転軸体と連動して反時計回り側の回転を与えられた状態を示す説明図、図4(B)は、持ち手部との関係では回転軸体と連動して時計回り側の回転を与えられた状態を示す説明図、図4(C)はラチェット機構による規制が一時的に解除された状態を示す説明図である。 図5は、同上のハンドル回転用工具の全体構成を示す斜視図であり、各持ち手部、アーム部が適宜開いた状態を示す説明図である。 図6も、同上のハンドル回転用工具の全体構成を示す斜視図であり、操作部を回転軸部の軸方向に沿って並列させるべく各持ち手部、アーム部が閉じた状態を示す説明図である。 図7は、スピンドルがハンドルを回転するに従いその中心部から突出する規格である場合に、ハンドル回転用器具を当該ハンドルに装着しようとする過程を示す説明図である。 図8は、ハンドル回転用器具をスピンドルに外挿しつつハンドルに装着した後、各アーム部を任意の方向に回転して最もハンドルに力を伝達することができる、支持部への当接位置を定めようとする過程を示す説明図である。 図9は、アーム部の支持部への当接位置が定まった状態で持ち手部を回すことにより各アーム部にその回転を伝達させ、ひいてはハンドルを回転させる工程を示す説明図である。
符号の説明
1 ハンドル回転用工具
2 持ち手部
3 アーム部
4 アーム部
5 回転用軸体
8 係合部
11 通孔
12 切欠き
13 ラチェット機構
14 回転軸
15 カム
16 付勢部
17 孔
18A 突起部
18B 突起部
19A 切換用溝部
19B 切換用溝部
20A 操作部
20B 操作部
21 弾性部材
25 側面
26 歯
27 フランジ
28 貫通孔
29 伸縮機構
30 基体
31 引出体
32 切欠き
33 円柱体
34 ネジ山部
35 回転軸
36 ネジ溝
37 開口
39 ハンドル
40 輪部
41 中心部
42 支持部
43 スピンドル

Claims (4)

  1. 持ち手部と、ハンドルの輪部に係合可能な係合部を有する複数のアーム部と、複数の歯を有する側面が形成され、前記持ち手部及びアーム部が軸方向に沿って連結される回転用軸体とを有して構成され、
    前記持ち手部は、一の方向では前記回転用軸体と連動して回転させ、他の方向では前記回転用軸体と独立して回転させると共に、その回転作用を切り換え可能としたラチェット機構を備え、
    前記アーム部は、前記回転用軸体と連動させた回転と、前記回転用軸体と独立した回転とを切り換え可能としたロック機構を備えたことを特徴とするハンドル回転用工具。
  2. 前記ラチェット機構は、前記持ち手部及びアーム部に対し、回転軸を支点として両方向に揺動可能に固定されたカムと、前記カムを前記回転軸体側に付勢する付勢部とを有し、
    前記カムは、前記回転軸体の歯に係合する突起部を一対備えると共に、前記付勢部が突当することでこれらの一対の突起部の一方を前記回転軸体の歯に係合させ当該カムの揺動方向を定める切換用溝部を一対備え、更に、前記一対の突起部の一方が前記回転軸体の歯に係合している際に前記前記持ち手部及びアーム部の側方から突出した状態にある操作部を一対備えることで、この操作部を押圧することで前記カムが揺動し、付勢部が一対の切換用溝部のうち一方から他方に突当するように切り換わって、前記一対の突起部のうちの他方が前記回転軸体の歯に係合するようになることを特徴とする請求項1に記載のハンドル回転用工具。
  3. 前記複数のアーム部のうちの少なくとも一つは、内部に空洞部を有し、その空洞部は長手方向の反回転軸体側が開口した基体と、この基体に対し前記開口から空洞部内に収納可能な外形状の引出体とにより構成されていると共に、この基体及び引出体の軸方向に沿った総和寸法を伸縮自在とする伸縮機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドル回転用工具。
  4. 前記伸縮機構は、前記引出体に形成された複数の溝部と、前記基体の長手方向に対しその軸方向が沿うように回転可能に取り付けられると共に前記引出体の溝部と噛み合う螺旋状の突起部が側面に形成された円柱体とを有して構成され、
    前記円柱体を回転することで前記引出体が前記基体から暫時引き出され又は収納されて前記アーム部が伸縮することを特徴とする請求項3に記載のハンドル回転用工具。
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