JP2008140483A - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1波長のビーム整形が可能で各波長での収差の発生が無いビーム整形ミラーを備えた複数波長互換の光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】レーザビームB1〜B3はビーム整形ミラー7に対し無限系で入射し、青色レーザビームB1は対物レンズ9に対し無限系で入射し、赤色・赤外レーザビームレーザビームB2,B3は対物レンズ9に対し有限系で入射する。ビーム整形ミラー7は、波長選択性膜Ftと回折格子Grが設けられた第1光学面7aと、全反射膜Mrが設けられて反射面から成る第2光学面7bと、を互いに非平行に有する透明部材7cから成る。波長選択性膜Ftは青色レーザビームB1を透過させ、赤色・赤外レーザビームB2,B3を反射させる。波長選択性膜Ftを透過した青色レーザビームB1は、第2光学面7bでの反射後、波長選択性膜Ftを透過することにより、光強度分布が楕円形状から円形状に変換される。
【選択図】図1
【解決手段】レーザビームB1〜B3はビーム整形ミラー7に対し無限系で入射し、青色レーザビームB1は対物レンズ9に対し無限系で入射し、赤色・赤外レーザビームレーザビームB2,B3は対物レンズ9に対し有限系で入射する。ビーム整形ミラー7は、波長選択性膜Ftと回折格子Grが設けられた第1光学面7aと、全反射膜Mrが設けられて反射面から成る第2光学面7bと、を互いに非平行に有する透明部材7cから成る。波長選択性膜Ftは青色レーザビームB1を透過させ、赤色・赤外レーザビームB2,B3を反射させる。波長選択性膜Ftを透過した青色レーザビームB1は、第2光学面7bでの反射後、波長選択性膜Ftを透過することにより、光強度分布が楕円形状から円形状に変換される。
【選択図】図1
Description
本発明は光ピックアップ装置に関するものであり、例えば、CD(compact disc),DVD(digital versatile disc),BD(Blu-ray Disc等:青色レーザビームを用いる高密度光ディスク)等の複数の光ディスクに対応した光ピックアップ装置に関するものである。
例えば、1つの対物レンズで使用波長の異なる複数種類の光ディスク(例えば、CD,DVD,BD)に対応する光ピックアップ装置において、いずれの光ディスクからも十分な再生信号が得られるようにしようとすると、対物レンズで形成されるビームスポットを径の小さい円形にする必要がある。そのためのビーム整形は光利用効率を低下させずにスポット形状を円形にする上で有効であり、特に青色レーザビームの場合、リム強度(すなわち、対物レンズに入射する光束の周辺強度比)を確保する上でビーム整形は必要である。また、対物レンズに対する各レーザビームの入射方向が異なるとコマ収差が発生してしまうため、すべてのレーザビームが対物レンズに対して同じ方向から入射するように、光軸に対する傾きを補正する必要もある。
スポット形状に関しては、ビーム整形機能を有する立ち上げミラーでレーザビームを楕円ビームから円形ビームに変換する光ピックアップ装置が、特許文献1,2で提案されている。また、レーザビームの方向に関しては、波長選択性膜を有する立ち上げミラーで光軸に対する傾きを補正する光ピックアップ装置が、特許文献1〜3で提案されている。その立ち上げミラーには波長選択性膜と全反射膜が設けられており、波長選択性膜で反射する波長のレーザビームと、波長選択性膜を透過して全反射膜で反射する波長のレーザビームと、が光軸に対して同じ傾き状態となるように補正が行われる。
特開2003−098350号公報
特開2002−304761号公報
特開2002−163836号公報
1つの対物レンズで使用波長の異なる複数種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置においては、対物レンズの収差補正を特定波長に対する無限系で行えば、他の波長に対しては有限系で行うことが求められる。例えば、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームをそれぞれ出射する3つのレーザ光源と1つの対物レンズとで使用波長の異なる3種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置においては、青色レーザビームに対して無限系で収差補正された対物レンズを用いて3波長互換を実現する場合、赤色/赤外レーザビームに対して収差補正するために、赤色/赤外レーザビームに対して対物レンズを有限系とすることが求められる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されているような立ち上げミラーを用いた場合、対物レンズを赤色/赤外レーザビームに対し有限系として用いると、立ち上げミラーを構成している透明部材に赤色/赤外レーザビームが発散状態で入射することになる。発散光が透明部材を透過すると、そこで非点収差が発生してしまうため、良好なビームスポットは得られなくなる。特許文献1〜3に記載されている立ち上げミラーは、平行光が入射する場合を想定しているため、上記のように発散光が入射することにより生じる非点収差に関しては何ら考慮されていない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数波長互換の光ピックアップ装置において、そのうちの1波長のビーム整形が可能であり、かつ、各波長での収差の発生が無いビーム整形ミラーを備えた光ピックアップ装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の光ピックアップ装置は、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームをそれぞれ出射する3つのレーザ光源と1つの対物レンズとで使用波長の異なる3種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置であって、前記対物レンズと3つのレーザ光源との間の光路中に、波長選択性膜及び回折格子が設けられた第1光学面と反射面から成る第2光学面とを互いに非平行に有する透明部材で構成されたビーム整形ミラーが配置されており、前記ビーム整形ミラーと3つのレーザ光源との間の光路中に、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを平行光にするコリメートレンズが配置されており、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームの光強度中心位置が一致するように、青色レーザビームを出射するレーザ光源が傾いて配置されており、前記透明部材が台形状又はくさび形状の断面を有しており、前記回折格子が断面矩形状又は断面鋸歯形状の円形溝を複数形成して成るものであり、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが前記ビーム整形ミラーに対し無限系で入射し、青色レーザビームが前記対物レンズに対し無限系で入射し、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが前記対物レンズに対し有限系で入射するように構成されており、前記波長選択性膜が青色レーザビームを透過させ、かつ、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを反射させる波長選択性を有しており、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーに入射した青色レーザビームが前記第2光学面で反射された後、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーから出射することにより、青色レーザビームの光強度分布が楕円形状から円形状に変換され、前記回折格子が、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを回折させることにより前記ビーム整形ミラーから出射する青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームの方向が同じになるようにする光軸補正機能と、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを回折作用により発散させるレンズ機能と、を有することを特徴とする。
第2の発明の光ピックアップ装置は、互いに異なる波長のレーザビームを出射する複数のレーザ光源と1つの対物レンズとで使用波長の異なる複数種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置であって、前記対物レンズと複数のレーザ光源との間の光路中に、波長選択性膜及び回折格子が設けられた第1光学面と反射面から成る第2光学面とを互いに非平行に有する透明部材で構成されたビーム整形ミラーが配置されており、前記複数のレーザ光源から出射する複数のレーザビームのうち、第1,第2のレーザビームが前記ビーム整形ミラーに対し無限系で入射し、第1のレーザビームが前記対物レンズに対し無限系で入射し、第2のレーザビームが前記対物レンズに対し有限系で入射するように構成されており、前記波長選択性膜が第1のレーザビームを透過させ、かつ、第2のレーザビームを反射させる波長選択性を有しており、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーに入射した第1のレーザビームが前記第2光学面で反射された後、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーから出射することにより、第1のレーザビームの光強度分布が楕円形状から円形状に変換され、前記回折格子が、第2のレーザビームを回折させることにより前記ビーム整形ミラーから出射する第1,第2のレーザビームの方向が同じになるようにする光軸補正機能と、第2のレーザビームを回折作用により発散させるレンズ機能と、を有することを特徴とする。
第3の発明の光ピックアップ装置は、上記第2の発明において、前記透明部材が台形状又はくさび形状の断面を有することを特徴とする。
第4の発明の光ピックアップ装置は、上記第2又は第3の発明において、前記回折格子が断面矩形状又は断面鋸歯形状の円形溝を複数形成して成るものであることを特徴とする。
第5の発明の光ピックアップ装置は、上記第2〜第4のいずれか1つの発明において、前記第1,第2のレーザビームの光強度中心位置が一致するように、第1のレーザビームを出射するレーザ光源が傾いて配置されていることを特徴とする。
第6の発明の光ピックアップ装置は、上記第2〜第5のいずれか1つの発明において、前記第1のレーザビームの波長よりも前記第2のレーザビームの波長が長いことを特徴とする。
第7の発明の光ピックアップ装置は、上記第2〜第6のいずれか1つの発明において、前記第1のレーザビームが青色レーザビームであり、前記第2のレーザビームが赤色レーザビーム,赤外レーザビームのうちの少なくとも一方であることを特徴とする。
第1の発明によれば、青色レーザビームが対物レンズに対し無限系で入射し、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが対物レンズに対し有限系で入射するように構成されているので、各レーザビームに対する収差補正を良好に行うことができる。赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが対物レンズに対し有限系で入射するように構成しても、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームは波長選択性膜で反射するので、ビーム整形ミラーでの非点収差の発生は無い。一方、青色レーザビームはビーム整形ミラーで光強度分布が楕円形状から円形状に変換されるので、微小なビームスポットを効率良く得ることができる。
さらに、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームに対する回折格子のレンズ機能によると、ビーム整形ミラーに対し無限系で入射する赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを回折作用により発散させる構成になっているので、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームとも無限系でビーム整形ミラーに入射するように、コリメートレンズを配置した設計にすることができる。3波長とも無限系で構成することにより、コリメート位置から光検出位置までの距離を同じに設計できるため、各レーザビームを受光する光検出器は1つで済み、光検出器の共用により部品点数の削減が可能となる。また、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームに対する回折格子の光軸補正機能により、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを対物レンズに対して同じ方向から入射させることができ、結果としてコマ収差の発生を回避することができる。したがって、3波長で良好なビームスポットを得ることができる、3波長互換の光ピックアップ装置を実現することができる。
第2の発明によれば、第1のレーザビームが対物レンズに対し無限系で入射し、第2のレーザビームが対物レンズに対し有限系で入射するように構成されているので、各レーザビームに対する収差補正を良好に行うことができる。第2のレーザビームが対物レンズに対し有限系で入射するように構成しても、第2のレーザビームは波長選択性膜で反射するので、ビーム整形ミラーでの非点収差の発生は無い。一方、第1のレーザビームはビーム整形ミラーで光強度分布が楕円形状から円形状に変換されるので、微小なビームスポットを効率良く得ることができる。
さらに、第2のレーザビームに対する回折格子のレンズ機能によると、ビーム整形ミラーに対し無限系で入射する第2のレーザビームを回折作用により発散させる構成になっているので、第1,第2のレーザビームとも無限系でビーム整形ミラーに入射するように設計することができる。両波長とも無限系で構成することにより、コリメート位置から光検出位置までの距離を同じに設計できるため、各レーザビームを受光する光検出器は1つで済み、光検出器の共用により部品点数の削減が可能となる。また、第2のレーザビームに対する回折格子の光軸補正機能により、第1,第2のレーザビームを対物レンズに対して同じ方向から入射させることができ、結果としてコマ収差の発生を回避することができる。したがって、各波長で良好なビームスポットを得ることができる、複数波長互換の光ピックアップ装置を実現することができる。
第3の発明によれば、透明部材が台形状又はくさび形状の断面を有する構成になっているので、ビーム整形を簡単な構成で行うことができる。第4の発明によれば、断面矩形状又は断面鋸歯形状の円形溝を複数形成して成る回折格子を用いているので、光軸に対する傾き補正を簡単な構成で行うことができる。第5の発明によれば、第1,第2のレーザビームの光強度中心位置が一致するように、第1のレーザビームを出射するレーザ光源が傾いて配置されているので、第2のレーザビームに対する位置のズレを簡単な構成で補正することができる。第6の発明によれば、波長の短い第1のレーザビームについて、光利用効率を向上させながらビーム整形により良好なビームスポットを得ることが可能となる。
第7の発明によれば、3波長のいずれのレーザビームを用いた場合でも対物レンズに対して同じ方向から入射させることができるので、3種類の光ディスクに対する互換性を確保することができる。例えば、3つのレーザ光源から出射されるレーザビームとして、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを用いれば、CD,DVD,BDの3種類の光ディスクに対応することができる。
以下、本発明に係る光ピックアップ装置の実施の形態等を、図面を参照しつつ説明する。図1に、光ピックアップ装置の一実施の形態の概略構成を模式的に示す。この光ピックアップ装置11は、発振波長の異なる3つのレーザ光源(赤色/赤外用の2波長半導体レーザ1aに搭載されている2つの光源と青色用の半導体レーザ1bに搭載されている1つの光源とから成る。)と1つの対物レンズ9とで、使用波長の異なる3種類の光ディスク12に対応する、3波長・1レンズタイプの光ピックアップ装置であり、3種類の光ディスク12のいずれに対しても情報の記録/再生を行うことが可能な構成になっている。
ここで想定している3種類の光ディスク12とは、例えば、青色レーザ対応(波長λ1:405nm)の第1の光ディスク(青色レーザビームを用いる高密度光ディスク;基板厚0.1mm,NA=0.85),赤色レーザ対応(波長λ2:650nm)の第2の光ディスク(DVD;基板厚0.6mm,NA=0.6〜0.65),赤外レーザ対応(波長λ3:780nm)の第3の光ディスク(CD;基板厚1.2mm,NA=0.45〜0.5)である。ただし、その使用波長はこれらに限るものではない。また、その適用対象も光ディスクに限らず、光ディスク以外の光情報記録媒体に対しても本発明は適用可能である。
図1に示す光ピックアップ装置11は、赤色/赤外用の2波長半導体レーザ1a,青色用の半導体レーザ1b,ダイクロイックプリズム2,ビームスプリッター3,コリメートレンズ4,光検出器6,ビーム整形ミラー7,収差補正素子8,対物レンズ9,ホルダー10等で構成されている。この光ピックアップ装置11の光学構成を光路に沿って以下に説明する。
光ピックアップ装置11は、前述したように、赤色/赤外用の2波長半導体レーザ1aに搭載されている2つの光源と、青色用の半導体レーザ1bに搭載されている1つの光源と、をレーザ光源として有している。そして、3つのレーザ光源のいずれか1つが点灯することにより出射した、波長λ1の青色レーザビームB1,波長λ2の赤色レーザビームB2又は波長λ3の赤外レーザビームB3で、対応する光ディスク12に対する光情報の記録又は再生が行われる(λ1<λ2<λ3)。
半導体レーザ1a又は1bから出射したレーザビームB1,B2又はB3は、ダイクロイックプリズム2に入射する。ダイクロイックプリズム2は、青色,赤色,赤外の各レーザビームB1〜B3の光路を合成する光路合成素子である。したがって、半導体レーザ1bから出射した青色レーザビームB1は、ダイクロイックプリズム2で反射され、半導体レーザ1aから出射した赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、ダイクロイックプリズム2を透過することにより、各レーザビームB1〜B3の光路が合成される。
ダイクロイックプリズム2を出射したレーザビームB1,B2又はB3は、その一部がビームスプリッター3で反射される。ビームスプリッター3は、各半導体レーザ1a,1bから光ディスク12への光路(往路)と光ディスク12から光検出器6への光路(復路)との分岐を行う光路分岐素子であり、入射光を透過光と反射光とに光量を2分割するハーフミラーとして機能する。
ビームスプリッター3で反射したレーザビームB1,B2又はB3は、コリメートレンズ4で平行光となった後、ビーム整形ミラー7に入射する。ビーム整形ミラー7は、波長選択性膜Ft及び回折格子Grが設けられた第1光学面7aと、反射面から成る第2光学面7bと、を互いに非平行に有する透明部材7cで構成されている。つまりビーム整形ミラー7は、台形状の断面を有する透明部材7cを基板として、その表面側の第1光学面7aに波長選択性膜Ftと回折格子Grが設けられ、裏面側の第2光学面7bに全反射膜Mr(例えば、金属膜,誘電体多層膜)が設けられた構成になっている。
波長選択性膜Ftは、青色レーザビームB1を透過させ、かつ、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3を反射させる波長選択性を有している。したがって、ビーム整形ミラー7に入射した青色レーザビームB1は、まず第1光学面7aの波長選択性膜Ftを透過し、次に第2光学面7bの全反射膜Mrから成る反射面で反射され、第1光学面7aの波長選択性膜Ftを透過して、ビーム整形ミラー7から出射することになる。このように青色レーザビームB1がビーム整形ミラー7を通ることによって、青色レーザビームB1の光強度分布は楕円形状から円形状に変換される。ビーム整形ミラー7は青色レーザビームB1に対して光学的なパワーを有していないので、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射してきた青色レーザビームB1は、ビーム整形されるとともに、対物レンズ9に対し無限系で入射するように光路が対物レンズ9に向けて略90°折り曲げられる。
一方、ビーム整形ミラー7に入射した赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、波長選択性膜Ftで反射されて、光路が対物レンズ9に向けて略90°折り曲げられる。このとき、赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、回折格子Grの回折作用を受けることになる。回折格子Grは、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3を回折させることによりビーム整形ミラー7から出射するレーザビームB1〜B3の方向が同じになるようにする光軸補正機能と、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3を回折作用により発散させるレンズ機能と、を有している。したがって、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射してきた赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、光軸AXに対して傾き補正されるとともに、対物レンズ9に対し有限系で入射するように光路が対物レンズ9に向けて略90°折り曲げられる。このビーム整形ミラー7の詳細に関しては後述する。
ビーム整形ミラー7を出射したレーザビームB1,B2又はB3は、収差補正素子8(例えば液晶素子)を透過し、対物レンズ9で集光されて光ディスク12の記録面に到達し結像する。収差補正素子8と対物レンズ9はホルダー10に保持されており、フォーカシング,トラッキング等の際にアクチュエータ(不図示)で一体的に駆動されるように構成されている。ホルダー10で収差補正素子8と対物レンズ9との位置関係が常に(情報の記録時・再生時共に)一定に保たれるため、収差補正素子8と対物レンズ9との位置ズレによる特性劣化を回避することができる。
情報再生時に光ディスク12の記録面で反射されたレーザビームB1,B2又はB3は、対物レンズ9と収差補正素子8を順に通過し、ビーム整形ミラー7で反射され、コリメートレンズ4を通過した後、その一部がビームスプリッター3を透過する。ビームスプリッター3を透過したレーザビームB1〜B3は、光検出器6の受光面に到達して結像する。光検出器6は、受光したレーザビームB1,B2又はB3の光情報を検出し電気信号として出力する。
従来より知られている一般的なプリズム型(断面形状が台形状又はくさび形状のもの。)のビーム整形素子では、互いに非平行な透過面と反射面を有する透明部材でビーム整形が行われる。このため、透過面に入射したレーザビームは透明部材の分散特性によって波長毎に異なった角度で屈折することになる。例えば、図4(A)に示すように透明部材7cに対し青色レーザ光線L1(実線)及び赤色レーザ光線L2(破線)が同じ入射角度で第1光学面7aから入射した場合、赤色レーザ光線L2に対する屈折率よりも青色レーザ光線L1に対する屈折率の方が大きいため、透明部材7cに対する光線入射時の第1光学面7aでの屈折角の差(つまり分散特性)によって、透明部材7cから出射するレーザ光線L1,L2の方向に差が生じてしまう。これは一方の波長について光軸に傾きが生じることを意味する。
本実施の形態のようにビーム整形ミラーを立ち上げミラーとして用いる場合には、2本のレーザ光線L1,L2が光軸AX(図1)に対して同じ傾き状態となるように補正する必要がある。その補正を行うことは、透明部材7cの第2光学面7bに回折格子を設けることにより可能である。つまり、図4(B)に示すように、透明部材7cが有する波長の分散特性を回折格子の分散特性で相殺すれば、各波長の光軸傾きが発生することなく2波長のビーム整形を実現することが可能である。ただし、これを3波長互換に適用することには問題がある。例えば、青色の波長で収差が最小となるよう補正された対物レンズ1つで3波長互換を行う場合、赤色/赤外の波長に対して収差補正するために赤色/赤外の波長に対して対物レンズを有限系とすることが求められるからである。しかし、ビーム整形ミラーを有限系で用いた場合には、赤色/赤外レーザビームが発散状態で透明部材7cを透過することになるため、非点収差が発生するといった問題が生じてしまう。
上記問題を解決するため本実施の形態(図1)では、青色レーザビームB1を透過させ、かつ、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3を反射させる波長選択性膜Ftを第1光学面7aに成膜し、さらに赤色/赤外の波長に対する光軸補正機能と赤色/赤外の平行光を発散させるレンズ機能とを有する回折格子Grを第1光学面7aに設け、第2光学面7bには全反射膜Mrを設けて反射面を構成している。そのように波長選択性膜Ft,回折格子Gr等を備えたビーム整形ミラー7の構造を図3に示す。図3(A)はビーム整形ミラー7の断面構造を模式的に示しており、図3(B)は回折格子Grの回折パターン構造を示しており、図3(C)は図3(B)におけるx−x’線断面を模式的に示している。回折格子Grは、図3(B)に示すように円形溝がほぼ同心円状に複数形成された回折パターン構造を、第2光学面7bの有効光路範囲(又は全面)に有する構成になっている。また回折格子Grは、図3(C)に示すように断面矩形状の円形溝が複数形成された構造を有している。ただし、回折格子Grとして、断面鋸歯形状の円形溝が複数形成された構造を有するものを用いてもよい。
コリメートレンズ4から出射した青色レーザビームB1は、図1に示すように、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射する。そして、第1光学面7aに設けられている波長選択性膜Ftを透過した後、第2光学面7bで反射され、波長選択性膜Ftを透過してビーム整形ミラー7から出射することにより、ビーム整形が行われる。このとき、対物レンズ9に入射するレーザビームB1が光軸AXに対して傾かないように、ビーム整形ミラー7の取り付け角度が設定される。
また、青色レーザビームB1と赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3とでビーム強度中心位置にズレがあると、光検出器6でのオフセット等により制御(トラッキング制御,フォーカス制御等)上の問題を招いてしまうので、レーザビームB1〜B3のビーム強度中心位置を一致させるため、図1に示すように、青色用の半導体レーザ1bを傾けて取り付ける。レーザビームB1〜B3の光強度中心位置が一致するように、青色用のレーザ光源1bを傾けて配置することにより、他のレーザビームB2,B3に対する位置のズレを簡単な構成で補正することが可能となる。なお、コリメートレンズ4を各半導体レーザ1a,1bについて分けて配置し、青色用の半導体レーザ1aからそれに対応するコリメートレンズまでを光軸垂直方向に移動させることによっても、ビーム強度中心位置を一致させるための調整を行うことが可能である。
一般に、レーザビームを楕円ビームから円形ビームに変換するビーム整形には、楕円ビーム断面の短軸方向にビーム径を拡大するタイプと、楕円ビーム断面の長軸方向にビーム径を縮小するタイプと、がある。図1に示す光ピックアップ装置11は、楕円ビーム断面の短軸方向に青色レーザビームB1のビーム径を拡大するタイプのビーム整形を採用している。ただし、ビーム整形ミラー7の配置を変更することにより、楕円ビーム断面の長軸方向に青色レーザビームB1のビーム径を縮小するタイプを光ピックアップ装置11に採用することも可能である。
図2(A)に、楕円ビーム断面の短軸方向に青色レーザビームB1のビーム径を拡大する場合のビーム整形ミラー7の配置とそのときの光路を示し、図2(B)に、楕円ビーム断面の長軸方向に青色レーザビームB1のビーム径を縮小する場合のビーム整形ミラー7の配置とそのときの光路を示す。図2(A)(B)に示すいずれのタイプでビーム整形を行った場合でも、第1光学面7aと第2光学面7bとが成す角度,間隔等を所定の大きさに調整することにより、レーザビームの光強度分布を楕円形状から理想的な円形状に変換することができる。したがって、リム強度の高い良好なビームスポットを光ディスク12の記録面上に形成することが可能である。
コリメートレンズ4から出射した赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、図1に示すように、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射する。そして、ビーム整形ミラー7の第1光学面7aに設けられている波長選択性膜Ftにより、対物レンズ9に向けて反射される。赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、ビーム整形ミラー7の第1光学面7aで反射されるため、発散状態で透明部材7cを透過することはない。したがって、ビーム整形ミラー7で非点収差が発生することもない。
第1光学面7aの波長選択性膜Ftで赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3が反射される際には、回折格子Grの回折作用により赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3は発散光となる。つまり、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射してきた赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3は、回折格子Grの光学的なパワーにより、対物レンズ9に対し有限系で入射することになる。赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3が対物レンズ9に対し有限系で入射する構成により、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3に対する収差補正を良好に行うことが可能となる。
また、第1光学面7aの波長選択性膜Ftで赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3が反射される際には、回折格子Grの回折作用により光軸AXに対する傾き補正が行われる。つまり、青色レーザビームB1が光軸AXに対して傾いていない最適な状態になるようにビーム整形ミラー7の取り付け角度が設定されるので、赤色レーザビームB2又は赤外レーザビームB3の方向を回折格子Grで傾き補正する。例えば、図3(A)に示すように透明部材7cに対し青色レーザ光線L1及び赤色レーザ光線L2が同じ入射角度で第1光学面7aから入射した場合、回折格子Grで傾き補正が行われないと、赤色レーザ光線L2’(破線)は青色レーザ光線L1とは異なった方向で第1光学面7aから出射することになる。本実施の形態のように、回折格子Grで傾き補正が行うと、その回折作用により赤色レーザ光線L2(実線)を青色レーザ光線L1と同じ方向(つまり平行方向)で第1光学面7aから出射させることが可能になる。これにより、回折格子Grの回折作用により、レーザビームB1〜B3を対物レンズ9に対して同じ方向から入射させることができ、結果としてコマ収差の発生を回避することができる。
以上説明したように光ピックアップ装置11は、青色レーザビームB1が対物レンズ9に対し無限系で入射し、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3が対物レンズ9に対し有限系で入射するように構成されているので、各レーザビームB1〜B3に対する収差補正を良好に行うことが可能となる。赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3が対物レンズ9に対し有限系で入射するように構成しても、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3は波長選択性膜Ftで反射するので、ビーム整形ミラー7での非点収差の発生は無い。一方、青色レーザビームB1はビーム整形ミラー7で光強度分布が楕円形状から円形状に変換されるので、微小なビームスポットを効率良く得ることができる。
さらに、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3に対する回折格子Grのレンズ機能によると、ビーム整形ミラー7に対し無限系で入射する赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3を回折作用により発散させる構成になっているので、レーザビームB1〜B3とも無限系でビーム整形ミラー7に入射するように、コリメートレンズ4を配置した設計にすることができる。3波長とも無限系で構成することにより復路での結像位置を同じにできるので、コリメート位置から光検出位置までの距離を同じに設計できるため、各レーザビームB1〜B3を受光する光検出器6は1つで済み、光検出器6の共用により部品点数の削減が可能となる。また、赤色レーザビームB2及び赤外レーザビームB3に対する回折格子Grの光軸補正機能により、3波長のレーザビームB1〜B3を対物レンズ9に対して同じ方向から入射させることができ、結果としてコマ収差の発生を回避することができる。したがって、3波長で良好なビームスポットを得ることができる、3波長互換の光ピックアップ装置11を実現することができる。
上記光ピックアップ装置11のように構成すれば、簡単かつコンパクトでありながら、3波長λ1〜λ3のビーム整形と光軸AXに対する傾き補正により、良好な信号(例えば、記録信号,再生信号)を得ることが可能である。3波長λ1〜λ3のいずれのレーザビームB1〜B3を用いた場合でも対物レンズ9に対して同じ方向から入射させることができるので、3種類の光ディスク12(BD,DVD,CD)に対する互換性を確保することができる。また、波長の短い青色レーザビームB1には高い光利用効率が求められるため、そのビーム整形によって良好なビームスポットが得られることには、光ピックアップ装置11の3波長互換を達成する上での大きなメリットがある。
この実施の形態のように、透明部材7cが台形状(又はくさび形状)の断面を有する構成にすれば、ビーム整形を簡単な構成で行うことができ、断面矩形状(又は断面鋸歯形状)の円形溝を複数形成して成る回折格子Grをビーム整形ミラー7に用いれば、光軸AXに対する傾き補正を簡単な構成で行うことができる。また、3波長のレーザビームB1〜B3の光強度中心位置が一致するように、青色用のレーザ光源1bを傾けて配置すれば、他のレーザビームB2,B3に対する位置のズレを簡単な構成で補正することができる。
B1 青色レーザビーム
B2 赤色レーザビーム
B3 赤外レーザビーム
L1 青色レーザ光線
L2 赤色レーザ光線
Gr 回折格子
Ft 波長選択性膜
Mr 全反射膜
1b 青色用の半導体レーザ(レーザ光源)
1a 赤色/赤外用の半導体レーザ(レーザ光源)
4 コリメートレンズ
6 光検出器
7 ビーム整形ミラー
7a 第1光学面
7b 第2光学面(反射面)
7c 透明部材
8 収差補正素子
9 対物レンズ
11 光ピックアップ装置
12 光ディスク
AX 光軸
B2 赤色レーザビーム
B3 赤外レーザビーム
L1 青色レーザ光線
L2 赤色レーザ光線
Gr 回折格子
Ft 波長選択性膜
Mr 全反射膜
1b 青色用の半導体レーザ(レーザ光源)
1a 赤色/赤外用の半導体レーザ(レーザ光源)
4 コリメートレンズ
6 光検出器
7 ビーム整形ミラー
7a 第1光学面
7b 第2光学面(反射面)
7c 透明部材
8 収差補正素子
9 対物レンズ
11 光ピックアップ装置
12 光ディスク
AX 光軸
Claims (7)
- 青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームをそれぞれ出射する3つのレーザ光源と1つの対物レンズとで使用波長の異なる3種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズと3つのレーザ光源との間の光路中に、波長選択性膜及び回折格子が設けられた第1光学面と反射面から成る第2光学面とを互いに非平行に有する透明部材で構成されたビーム整形ミラーが配置されており、前記ビーム整形ミラーと3つのレーザ光源との間の光路中に、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを平行光にするコリメートレンズが配置されており、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームの光強度中心位置が一致するように、青色レーザビームを出射するレーザ光源が傾いて配置されており、前記透明部材が台形状又はくさび形状の断面を有しており、前記回折格子が断面矩形状又は断面鋸歯形状の円形溝を複数形成して成るものであり、青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが前記ビーム整形ミラーに対し無限系で入射し、青色レーザビームが前記対物レンズに対し無限系で入射し、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームが前記対物レンズに対し有限系で入射するように構成されており、前記波長選択性膜が青色レーザビームを透過させ、かつ、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを反射させる波長選択性を有しており、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーに入射した青色レーザビームが前記第2光学面で反射された後、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーから出射することにより、青色レーザビームの光強度分布が楕円形状から円形状に変換され、前記回折格子が、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを回折させることにより前記ビーム整形ミラーから出射する青色レーザビーム,赤色レーザビーム及び赤外レーザビームの方向が同じになるようにする光軸補正機能と、赤色レーザビーム及び赤外レーザビームを回折作用により発散させるレンズ機能と、を有することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 互いに異なる波長のレーザビームを出射する複数のレーザ光源と1つの対物レンズとで使用波長の異なる複数種類の光ディスクに対応する光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズと複数のレーザ光源との間の光路中に、波長選択性膜及び回折格子が設けられた第1光学面と反射面から成る第2光学面とを互いに非平行に有する透明部材で構成されたビーム整形ミラーが配置されており、前記複数のレーザ光源から出射する複数のレーザビームのうち、第1,第2のレーザビームが前記ビーム整形ミラーに対し無限系で入射し、第1のレーザビームが前記対物レンズに対し無限系で入射し、第2のレーザビームが前記対物レンズに対し有限系で入射するように構成されており、前記波長選択性膜が第1のレーザビームを透過させ、かつ、第2のレーザビームを反射させる波長選択性を有しており、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーに入射した第1のレーザビームが前記第2光学面で反射された後、前記波長選択性膜を透過してビーム整形ミラーから出射することにより、第1のレーザビームの光強度分布が楕円形状から円形状に変換され、前記回折格子が、第2のレーザビームを回折させることにより前記ビーム整形ミラーから出射する第1,第2のレーザビームの方向が同じになるようにする光軸補正機能と、第2のレーザビームを回折作用により発散させるレンズ機能と、を有することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記透明部材が台形状又はくさび形状の断面を有することを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折格子が断面矩形状又は断面鋸歯形状の円形溝を複数形成して成るものであることを特徴とする請求項2又は3記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1,第2のレーザビームの光強度中心位置が一致するように、第1のレーザビームを出射するレーザ光源が傾いて配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1のレーザビームの波長よりも前記第2のレーザビームの波長が長いことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1のレーザビームが青色レーザビームであり、前記第2のレーザビームが赤色レーザビーム,赤外レーザビームのうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
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