JP2008139062A - 分光測定装置よび分光測定方法 - Google Patents

分光測定装置よび分光測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
光学的手法を用いて、被検査体の反射分光特性あるいは透過分光特性を広範囲に亘る測定装置を提供すること
【解決手段】
被検査体に光を照射する投光手段と、被検査体表面を1次元で撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像軸上に配設され、撮像手段の視野幅方向と垂直な方向に、撮像手段に入射する光の波長を変化させる波長特性変化手段と、撮像手段からの1次元信号を逐次入力して横方向が撮像手段の1次元撮像データ数、縦方向が撮像手段の1次元データの撮像回数となる2次元画像を生成し、該2次元画像に基づいて被検査体の分光特性を測定する信号処理手段を備えることを特徴とする、分光測定装置
【選択図】 図1

Description

本発明は、分光測定装置よび分光測定方法に関する。
物体の反射分光特性や透過分光特性を測定する方法としてプリズムや回折格子を用いた分光光度計が知られている。プリズムを用いた分光光度計は波長による光の屈折率の違い、回折格子は波長による反射角度の違いから生じる干渉を利用して物体の分光特性を測定しているが、これらは一般的に一度に微小な領域しか測定することができない。
上記のような分光光度計を用いてプラスチックフィルムなどシートの幅方向の反射分光特性、透過分光特性を測定するには、シートと分光光度計を相対的にシート幅方向に移動させる必要がある。この場合、シート幅方向の分光特性を測定するためには多くの時間を要し、また、分光光度計をシート幅方向に移動させる機構が必要でコストが高くなるという問題がある。さらに、図16のように走行シート60が幅方向と垂直な方向に移動している場合、分光光度計61が測定する個所は62のように走行シート上では部分的な位置しか測定できず、走行シート60の全領域について分光特性を測定することができない。
一度に微小領域しか測定できないという問題に対し、広い範囲を測定する方法として数種類の方式のマルチスペクトルカメラが提案されている。現在最も多く使用されているマルチスペクトルカメラは、図12に示すように、エリアカメラ30の撮影レンズの直前または直後に切替え可能な複数のバンドパスフィルタ32を取り付けたターレット31を配設し、被検査体1上の撮像領域33からの入射光を順次分光して複数のスペクトル画像を撮影するものである。例えば、複数枚のバンドパスフィルタを回転ターレットに取り付けたマルチスペクトルカメラが知られている。これはコンピュータの制御で分光フィルタ・ターレットを回転させ、自動的に波長が順次選定される方式である。この種の装置は取り付けられているバンドパスフィルタの枚数によって波長間隔が固定されるので測定の目的に対してフィルタ数を増減することが困難な欠点がある。また、分光フィルタの移動、カメラの撮像という動作を繰り返して行う必要があるため、複数の画像を得るためには多くの時間を要するという問題がある。
この他に、エリアセンサカメラとプリズムを組み合わせた装置が知られている。これは図13に示すように、透過分光器44とエリアカメラ30とを組み合わせた構成である。被検査体1上の撮像部45からの光は、レンズ41によって集光され、スリット41、レンズ43を通して透過分光器44へと導かれる。ライン状の入射光は透過分光器44によってライン状入射光の幅方向に対して垂直な方向に分光する。これによりエリアカメラ30には、ライン状の入射光の幅方向と平行な方向には撮像視野幅に対応し、ライン状入射光の幅方向と垂直な方向に各波長の強度となる2次元画像が得られる。この方法では上記マルチスペクトルカメラのように移動機構を必要としないで、視野幅方向のある範囲の分光特性が同時に得られる。
しかし、この装置はプリズムや透過分光器など高価な光学部品を多数用いているため非常に高価である。さらに、エリアカメラは縦横の画素サイズが限られているので、空間分解能、波長分解能を上げることが困難である。
また、上記マルチスペクトルカメラの持つ欠点を改善したシンプルな構造で、しかも一般的な市販の部品を使用した安価なものとして特許文献1に記載の装置がある。
この装置は、図14に示すように、エリアカメラ30の撮影レンズ51の画像結像位置にフォーカシングスクリーン52を設置し、フォーカシングスクリーン52に投影された像をエリアカメラ30によって撮像する。撮影レンズ51とフォーカシングスクリーン52の間には、連続的に透過波長が変化する分光干渉フィルタ53が配設されており、分光干渉フィルタ53の透過波長が変化する方向に分光干渉フィルタ53を移動できるように駆動装置を介して取り付けられている。分光干渉フィルタ53を任意の波長間隔に対応した移動距離で分光干渉フィルタ53を透過波長が変化する方向に移動させ、分光フィルタの各々の移動位置において画像センサーによってフォーカシングスクリーンに結像された像を撮像することによって、図15に示すように複数の画像54を得る。得られた各画像の同一位置は、分光干渉フィルタのそれぞれ異なる透過波長を透過した画像である。
次に、これら複数の画像ファイルをコンピュータによって処理して各画像の同一位置に対応した部位の各測定波長に対応した画像信号を抽出、組み合わせて所定の波長間隔による分光反射率又は分光透過率を算出することによって物体の分光特性を測定することができる。
特開2005−300509号公報
しかし、上記特許文献1に記載の発明には、以下に示す問題がある。
まず、反射特性、透過特性を高分解能に測定しようとする場合、干渉フィルタの移動距離を小さくして多くの画像を採取する必要がある。例えば、分光特性を1nmの精度で測定したい場合、干渉フィルタの透過波長が1nmずつ変化するのに対応した距離だけ干渉フィルタ位置を変化させて画像を撮像する必要がある。透過波長を400nmから700nmまで変化させようとすると少なくとも300枚の画像が必要となる。撮像手段として1画素が8ビット(256階調)の500万画素のデジタルカメラを用いた場合、1GB以上の多くのメモリを必要とする。
さらに、エリアカメラを用いているので、複数の画像を撮像するには多くの時間を必要とする。通常、エリアカメラの撮像時間は30msec/枚である。300枚の画像を撮像すると9秒かかり、走行しているフィルムなどには数m〜数十m移動している場合があり、同一場所の分光測定には適用できない。
さらに、エリアカメラだと、同一撮像画像であっても画像内の各位置で透過波長が異なる。例えば、図15cに示すように、ある撮像画像の位置Aは500nmの光を受光するが、位置Bでは600nmの光を受光したとする。この場合、予め各画像の各位置ごとに干渉フィルタを透過する波長を記憶しておく必要があり、非常に複雑な処理を要する。
さらに、2次元的な画像を一度に撮像するため、被検査体だけでなく、干渉フィルタ上にピントが合っていないと、エリアセンサの各ピクセルに入射する光の波長範囲が広がってしまうため、本質的に波長分解能を高めることができない。干渉フィルタにピントを合わせるようにすると光学的に複雑になるほか、干渉フィルタ上の疵や埃の影響を大きく受け取るという決定的な問題もある。
本発明は、上記の従来の課題を解決するためになされたものであり、プラスチックフィルムなどシートの分光特性を一度に広い領域にて測定することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明によれば、被検査体に連続的な範囲の波長の光を照射する投光手段と、該投光手段が発した前記光が前記被検査体において透過または反射した光を撮像する1次元的視野を有する撮像手段と、前記投光手段から前記撮像手段までの間の光路上に配設され前記撮像手段の前記1次元的視野に対応する部位における光波長伝達特性を時間的に変化させる波長特性変化手段と、該波長特性変化手段の伝達特性を時間的に変化させながら順次前記撮像手段によって撮像して得た前記1次元的視野の信号を配列して2次元画像データを生成する画像処理手段とを備えることを特徴とする分光測定装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記波長特性変化手段は、前記撮像手段の視野幅方向と垂直な方向に波長伝達特性が連続的に変化するフィルタと、該フィルタを前記波長伝達特性が変化する方向に移動させるフィルタ移動手段とを有することを特徴とする分光測定装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、被検査体に連続的な範囲の波長の光を照射し、前記被検査体表面を1次元的視野を有する撮像手段で撮像する際に、前記光が前記撮像手段に達するまでの光路中の前記撮像手段の1次元的視野に対応する部位における光波長の伝達特性を時間的に変化させ、順次前記撮像手段によって撮像して得た前記1次元的視野の信号を配列して2次元画像データを生成することを特徴とする分光測定方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記光波長の伝達特性を時間的に変化させる方法として、前記撮像手段の撮像視野方向と垂直な方向に波長伝達特性が連続的に変化するフィルタを、前記波長伝達特性が変化する方向に移動させる方法を用いることを特徴とする分光測定方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、被検査体として連続走行するプラスチックフィルムを用いることを特徴とする分光測定方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、前記分光測定方法を用いてプラスチックフィルムロール体を製造することを特徴とするフィルム製造方法が提供される。
本発明において、「伝達特性」とは、波長変化手段上の前記1次元的視野に対応する部位における、前記撮像手段に向かう光の反射率特性または透過率特性をいう。
また、本発明において、「フィルタ」は、例えば、透過率や反射率が場所によって変化する干渉フィルタや透過または反射の中心波長が均一の干渉フィルタを光路方向に直交する方向を軸に回転させるようなものでもよい。
本発明によれば、以下に説明する通り、プラスチックフィルムなどシートの分光特性を一度に広い領域にて測定することができる。
以下、本発明の実施形態を、光透過性で、厚みによって透過分光特性が変化するプラスチックフィルムである被検査体1に対し、微小厚みムラによって生じる透過分光特性の異常を検出する場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシートの検査装置の構成図である。
図1において、1は被検査体であるプラスチックフィルム、2は1次元的視野を有する撮像手段であるラインセンサカメラ、3はラインセンサカメラ2の受光部、4はカメラレンズである。5は波長特性変化手段であり、干渉フィルタ6とフィルタ移動手段7で構成されている。また、8は画像処理手段、9は投光手段、10は撮像手段2の撮像範囲である。投光手段9は被検査体1の一面側より被検査体1に光を照射するように配置されている。撮像手段2は被検査体1に対して、投光手段9の他面側に配置されている。カメラレンズ4は撮像手段2の前面に配設されており、被検査体1表面にピントが合っている。一方、干渉フィルタ6上ではピントが合っていない。カメラレンズ4により被検査体1上の撮像範囲10の画像を集光して撮像手段2の受光部3へ集光する。受光部3は複数の受光素子が1次元に配列されており、各受光素子が受光した光を受光量に応じた電気信号に変換され、1次元の信号波形として出力される。受光素子数は1000、2000、5000、7500などを使用することができる。また、撮像手段2の1秒あたりの処理速度は20MHz、40MHz、160MHzなどを使用することができる。受光素子数5000、処理速度40MHzのカメラを用いた場合、1秒あたり約8000回の1次元画像を撮像することができる。
撮像手段2はデジタルカメラでもアナログカメラでもよい。デジタルカメラの場合は各受光素子の電気信号を256階調や1024階調などのデジタル値に変換する。アナログカメラの場合は電気信号をそのまま出力する。
撮像手段2の出力は画像処理手段8に接続されている。画像処理手段8は、撮像手段2がアナログカメラの場合、撮像手段2から入力された電気信号をデジタル値に変換するA/D変換器を備えていることが好ましい。
画像処理手段8は撮像手段2から出力された1次元信号を複数走査分メモリに蓄積記憶し、前記複数走査分の1次元的な電気信号を逐次配列して得られた2次元的電気信号から2次元画像を生成することができる。
カメラレンズ4は被検査体1の測定領域や、被検査体1と撮像手段2との距離によって適切なものを選定すればよい。
投光手段9は線状光源が好ましく、投光手段9の長手方向と受光部3の受光素子配列方向は平行であることが好ましい。投光手段9の種類としては蛍光灯、ライン状LED、光ファイバを線状に配列したライトガイド、ロッド照明なども使用できる。
投光手段9の光源の種類としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプなどを用いてもよく、被検査体1の分光特性を考慮して選定すればよい。
例として、図3に撮像手段2の相対感度を、図4、図5にハロゲンランプ、メタルハライドランプの相対強度をそれぞれ示す。ハロゲンランプを撮像手段2で撮像した場合、撮像手段2の相対感度は図6のように、メタルハライドランプを用いたときの相対感度は図7のようになる。主に500nm〜700nm程度の分光特性を測定する場合はハロゲンランプを、550nmあたりの分光特性を測定する場合はメタルハライドランプを選定するなどの方法がある。
次に波長特性変化手段5について説明する。波長特性変化手段5は、干渉フィルタ6とフィルタ移動手段7で構成されている。
被検査体1とカメラレンズ4の間に、干渉フィルタ6を、透過中心波長が変化する方向と受光部3の受光素子配列方向とが互いに垂直となるように配設する。干渉フィルタ6はカメラレンズ4と撮像手段2との間に配設してもよいが、市販のカメラレンズ4と撮像手段2は容易に接続可能なようになっているので、干渉フィルタ6はカメラレンズ4の前面に配設することが好ましい形態である。また、干渉フィルタを被検査体1よりも投光手段9の側に設けてもよい。
干渉フィルタ6は透明ガラス基板の上に誘電体多層膜の厚さを一方向に連続的に変化させたフィルタであり、多層膜厚の変化方向に透過中心波長が連続的に変化するという特徴を持っている。干渉フィルタ6の1つにSCHOTT社のVERIL VIS 60(商品名)がある。これは60mm×25mm、厚さ約5mmの透明ガラス板に対し、長手方向に透過中心波長が連続的に変化するように、ガラス板に誘電体多層膜を付与したものである。干渉フィルタVERIL VIS 60(商品名)の、フィルタエッジからの距離と透過中心波長との関係を図2に示す。
干渉フィルタ6はフィルタ移動手段7に取り付けられており、フィルタ移動手段7によって、透過中心波長が変化する方向へ往復移動することができる。これにより、投光手段9からラインセンサカメラ2に至る前の光路の途中にあってラインセンサカメラ2の1次元的視野で撮像されるときの光が通過する部位6aにおける光の透過率(伝達特性)を順次変化させることができる。フィルタ移動手段7は1軸ステージが好ましく、ステッピングモータなどによって速度、加速度、移動距離を設定できるものが好ましい。
フィルタ移動手段7は、前記画像処理手段8に接続されており、画像処理手段8からフィルタ移動手段7に信号を送ることにより、干渉フィルタ6を移動、停止させることができる。
また、干渉フィルタ6の近傍に1次元的視野の方向に長手方向を有するスリット11を配設することも好ましい形態である。こうすることにより、図18に示すように、干渉フィルタ6を透過し、ラインセンサカメラ2へ入射する迷光の波長を制限することができるので、干渉フィルタ6上でピントが合っていなくても、波長分解能を向上することが可能となる。1次元的視野を用いるので本質的に波長が変化する方向の光の広がりが制限されるからである。
次に上記構成において、2次元画像データを得る方法について説明する。
まず、画像処理手段8からフィルタ移動手段7に信号を出して、干渉フィルタ6を初期位置に移動させる。初期位置とは、干渉フィルタ6の透過中心波長が変化する方向において、撮像手段2の撮像軸と干渉フィルタ6が交わる点と干渉フィルタ4の端部からの距離が所定の初期値となる位置であり、被検査体1の測定する波長に合わせて設定することができる。初期値は、フィルタ移動手段7の加速度を考慮して測定開始波長が中心となる位置よりやや外側に設定することが好ましい。
次に、画像処理手段8からフィルタ移動手段7に、所定距離だけ干渉フィルタ6を移動させる信号を送る。所定の距離は被検査体1の測定波長範囲に合わせて設定することができ、例えば、図2において480nm〜650nmの範囲を測定する場合、上記初期値は約20mm、干渉フィルタ6の移動距離は43−20=23mmとなる。
次に、干渉フィルタ6の移動速度が一定となってから、画像処理手段8は撮像手段2の1次元出力信号を画像処理手段8の内部にあるメモリに蓄積開始する。
画像処理手段8は撮像手段2からの1次元信号を所定ライン数メモリに蓄積する。所定ライン数は上記干渉フィルタ6の移動距離、すなわち被検査体1の測定波長範囲に合わせて設定することが好ましい。例えば、干渉フィルタ4を移動させて、透過中心波長が1nm変化するごとに撮像手段2で撮像すると、測定波長範囲は650nm−480nm=170nmなので、170ライン撮像することになる。ただし、本撮像方法は1つの例であり、透過中心波長が1nm変化するごとに複数のライン数撮像してもよいし、干渉フィルタ6の透過中心波長が2nm変化するごとに撮像するようにしてもよい。また、とびとびの波長について離散的に撮像してもよい。
また、干渉フィルタ6の移動速度は、干渉フィルタ6の移動距離や撮像手段2の処理速度、所定の撮像ライン数によって決定することが好ましい。例えば、上記のように干渉フィルタ6の移動距離が23mmで、撮像手段2の撮像ライン数が170ラインとし、撮像手段2の処理速度が3400ライン/secであるとすると、170ライン撮像するのに要する時間は、50msecである。50msecで干渉フィルタ4を23mm移動させるには、干渉フィルタ4の移動速度を460mm/secに設定すればよい。
次に、撮像手段2によって所定ライン数撮像すると、画像処理手段8は、フィルタ移動手段7に、フィルタ移動停止命令を出す。この後、画像処理手段8は干渉フィルタ6を初期値へ戻す信号を送ることが好ましい。こうして、2次元的な画像データを得ることができる。なお、この画像は、ディスプレイに表示してもよいが、画像として表示する必要がない場合には、単にメモリ上にデータを蓄積するだけでもよい。
次に、画像処理手段8のメモリに蓄積された2次元画像データに基づいて、被検査体1の分光特性を測定する方法について説明する。
図8に画像処理手段8のメモリに蓄積された2次元画像データ20の例を模式的に示す。2次元画像データ20は横方向が被検査体1の撮像位置に、縦方向が透過波長に対応する。例えば、上記のように、干渉フィルタ6の透過中心波長が480nm〜650nmまで変化する間に1nm毎に撮像した場合、縦方向が170ラインの画像データが得られる。
この撮像画像データ20に対し、例えば図9に示すように、2次元画像の縦方向の信号レベルプロファイルA−A’、B−B’を求めることによって、撮像位置による分光特性の違いを測定することができる。
また、分光特性が正常な被検査体1の撮像画像を予め撮像しておき、順次撮像によって得られる撮像画像20と前記正常部の撮像画像とを比較することによって被検査体1の波長特性を測定することができ、被検査体1の微小厚みムラによって生じる透過波長特性の異常を検出することができる。
2次元画像20は256階調や1024階調などのデジタル画像なので、この画像のコントラストを強調する画像処理などを行うことにより、わずかな分光特性の変化を測定、検出、あるいは表示することができる。
上記では、撮像手段に入射する光の波長を変化させる別の波長特性変化手段5としては、図10に示すように円盤形の基板71上に、円周方向に透過波長が連続的に変化する干渉フィルタを付与した波長特性変化手段5を用い、撮像手段2の視野幅方向と波長特性変化手段5の半径方向が平行になるように波長特性変化手段5を配置し、波長特性変化手段5の中心を軸として回転させながら撮像手段2で1次元画像を撮像してもよい。
また、図11に示すように、円柱72の表面に、円柱長手方向に垂直な方向に透過波長が連続的に変化する干渉フィルタを付与した波長特性変化手段5を用いて、波長特性変化手段5の円柱軸と撮像手段2の撮像視野幅方向が平行になるように波長特性変化手段5を配置し、波長特性変化手段5の円柱軸を中心として回転させながら撮像手段2で1次元画像を撮像してもよい。この場合、透過波長が連続的に変化する領域は、波長特性変化手段5の円周方向において半周未満であることが好ましい。
上記のように、本発明によると、干渉フィルタとラインセンサカメラを組み合わせることによって、被検査体の広い範囲の分光特性を、短時間に測定することができる。
また、本発明は走行しているプラスチックフィルムなどのシートの分光測定にも適用できる。上記2次元画像20の採取を連続的に行い、得られた2次元画像を順次画像処理することによって、走行しているシートの分光測定にも適用することができる。
このとき、撮像手段2の視野幅方向がシート走行方向に対して垂直になるように、例えば、図17に示すように、干渉フィルタの移動方向がシート走行方向と平行になるように、撮像手段2を配設することが好ましい。図17は、本発明の一実施形態の分光測定装置を用いて走行シートの分光特性を測定する方法を示した図である。これによりシート幅方向の所定範囲の分光特性を一度に測定することができる。シートが100m/minの速度で走行している場合、上記の例のように測定する場合、50msecの間にシートが移動する距離は約83mmであるが、シートの波長特性はこの距離ではほとんど変化しないので、移動するシートに対しても適用することが可能である。
なお、本実施形態では、波長特性変化手段を被検査体と撮像手段の間に配置し、撮像手段に入射する光の波長を変化させたが、波長特性手段を被検査体と投光手段の間に配置し、投光手段から被検査体に照射する光の波長を変化させてもよい。
また、本実施形態では、撮像手段を被検査体に対して投光手段の反対面側に設置して、被検査体の透過波長特性を測定したが、撮像手段を被検査体に対して投光手段と同じ面側に設置することにより、被検査体の反射波長特性を測定することができる。
[実施例1]
被検査体として、厚みによって透過分光特性が変化するプラスチックフィルムを用いた。厚みは100μmのものを用いた。このフィルムは製造工程でスジ状の厚みムラ欠点が生じる場合があり、欠点部分では透過分光特性が正常部と異なる。
このフィルムの波長特性を測定する装置として、図1に記載の装置を用い、光源はハロゲンランプを用い、ランプからの出射光を光ファイバライトガイドによって石英ロッド端面に入射させ、ロッド表面から発する光をフィルムに照射させた。被検査体に対して投光手段と反対側にラインセンサカメラを設置した。ラインセンサカメラは画素数7450である。カメラレンズは焦点距離55mmのものを用いた。干渉フィルタはSHOTT社のVERIL VIS 60(商品名)を用い、フィルタ移動手段は、自動1軸ステージを用いた。
干渉フィルタの長手方向の寸法は60mmであり、図2に示すように干渉フィルタの長手方向に透過中心波長が変化する。干渉フィルタの透過中心波長に対する半値幅は10〜18nmである。図2に示すようにラインセンサカメラで撮像を開始する際、ラインセンサカメラ撮像軸と干渉フィルタが交わる位置は、干渉フィルタの透過中心波長が低い側の端部から15mmとした。この場合の透過中心波長は450nmである。また、測定波長範囲は200nmとした。この場合、透過中心波長650nmに相当する干渉フィルタ位置は42mmなので、干渉フィルタ移動距離は27mmとなる。
画像処理手段はラインセンサカメラで撮像した1次元信号を、横方向がラインセンサカメラ画素数、縦方向がラインセンサカメラ撮像ライン数となる2次元画像を生成することができる装置を用いた。
ラインセンサカメラの処理速度は3000ライン/secに設定した。干渉フィルタの透過中心波長が1nm変化するごとにラインセンサカメラで1ライン撮像する場合、ラインセンサカメラの撮像ライン数は200となり、画像取り込みに要する時間は約67msecとなる。したがって、干渉フィルタの移動速度は、30mm移動するのに67msec必要なので、約447mm/secとなる。
上記構成にてフィルムを撮像した結果、わずかな厚みムラによる透過波長特性の変化を撮像することができた。
[比較例1]
上記フィルムの測定を、図1のラインセンサカメラ2の代わりに図14に示すエリアカメラ30と同様の構造を有するエリアカメラを用いて実施した。使用したカメラは縦横の画素数がそれぞれ640、480のVGAタイプであり、画像1枚を撮像するのに要する時間は33msecである。
エリアカメラを用いた以外、干渉フィルタ、移動ステージ、透過中心波長の初期値、測定波長範囲などは上記実施例と同じとした。このときの撮像画像数は200枚となる。エリアカメラが画像を1枚撮像し、メモリに蓄積するのに要する時間は33msecなので、全画像を撮像するのに要した時間は、200×33msec=6.6secとなり、上記実施例の約100倍の時間を要した。また、視野幅方向7450画素のラインセンサカメラから、640画素のエリアセンサカメラに代えたので空間分解能が約1/12に低下した。
さらに、得られた200枚の各画像について、各画素に対応する中心透過波長を求める必要があり、非常に複雑な処理を要した。
さらに、エリアカメラを用いた場合、図18のようにスリットを用いることができないので、図19に示すようにエリアカメラの1つの受光素子に入射する光の波長の範囲が広くなり、波長分解能が低下するという問題が生じた。
本発明の活用例として、プラスチックフィルムなどの反射分光特性や透過分光特性の測定装置に適用できる。
本発明の一実施形態の斜視図である。 本発明の一実施形態における干渉フィルタの端部からの位置と透過中心波長の関係を示す図である。 本発明の一実施形態におけるラインセンサカメラの相対感度を示す図である。 本発明の一実施形態におけるハロゲンランプの相対強度を示す図である。 本発明の一実施形態におけるメタルハライドランプの相対強度を示す図である。 本発明の一実施形態におけるハロゲンランプをラインセンサカメラで撮像した場合の相対感度を示す図である。 本発明の一実施形態におけるメタルハライドランプをラインセンサカメラで撮像した場合の相対感度を示す図である。 本発明の一実施形態における画像処理手段のメモリに蓄積された2次元画像を示す図である。 本発明の一実施形態における2次元画像の信号レベルプロファイルを示す図である。 本発明の別の波長特性変化手段を用いた実施形態の斜視図である。 本発明のさらに別の波長特性変化手段を用いた実施形態の斜視図である。 従来のマルチスペクトルカメラを示す図である。 別の従来のマルチスペクトルカメラを示す図である。 特許文献1の分光測定装置の斜視図である。 特許文献1の分光測定装置によって分光測定する方法を示す図である。 分光光度計を用いて走行シートの分光特性を測定する方法を示す図である。 本発明の一実施形態の分光測定装置を用いて走行シートの分光特性を測定する方法を示す図である。 本発明の一実施形態の側面図である。 本発明の比較例としてエリアカメラを用いた場合の形態の側面図である。
符号の説明
1 被検査体
2 撮像手段
3 受光部
4 カメラレンズ
4a レンズ
5 波長特性変化手段
6 干渉フィルタ
7 フィルタ移動手段
8 画像処理手段
9 投光手段
10 撮像手段撮像位置
11 スリット
20 2次元画像
30 エリアカメラ
31 ターレット
32 バンドパスフィルタ
33 エリアカメラ撮像部
40 イメージング分光器
41 レンズ
42 スリット
43 レンズ
44 透過型分光器
45 撮像部
51 撮影用レンズ
52 フォーカシングスクリーン
53 干渉フィルタ
54 エリアカメラ撮像画像
60 走行シート
61 分光光度計
62 分光光度計測定位置
71 円盤形の基板
72 円柱

Claims (6)

  1. 被検査体に連続的な範囲の波長の光を照射する投光手段と、該投光手段が発した前記光が前記被検査体において透過または反射した光を撮像する1次元的視野を有する撮像手段と、前記投光手段から前記撮像手段までの間の光路上に配設され前記撮像手段の前記1次元的視野に対応する部位における光波長伝達特性を時間的に変化させる波長特性変化手段と、該波長特性変化手段の伝達特性を時間的に変化させながら順次前記撮像手段によって撮像して得た前記1次元的視野の信号を配列して2次元画像データを生成する画像処理手段とを備えることを特徴とする、分光測定装置。
  2. 前記波長特性変化手段は、前記撮像手段の視野幅方向と垂直な方向に波長伝達特性が連続的に変化するフィルタと、該フィルタを前記波長伝達特性が変化する方向に移動させるフィルタ移動手段とを有することを特徴とする、請求項1に記載の分光測定装置。
  3. 被検査体に連続的な範囲の波長の光を照射し、前記被検査体表面を1次元的視野を有する撮像手段で撮像する際に、前記光が前記撮像手段に達するまでの光路中の前記撮像手段の1次元的視野に対応する部位における光波長の伝達特性を時間的に変化させ、順次前記撮像手段によって撮像して得た前記1次元的視野の信号を配列して2次元画像データを生成することを特徴とする、分光測定方法。
  4. 前記光波長の伝達特性を時間的に変化させる方法として、前記撮像手段の撮像視野方向と垂直な方向に波長伝達特性が連続的に変化するフィルタを、前記波長伝達特性が変化する方向に移動させる方法を用いることを特徴とする、請求項3に記載の分光測定方法。
  5. 被検査体として連続走行するプラスチックフィルムを用いることを特徴とする、請求項3または4に記載の分光測定方法。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の分光測定方法を用いてプラスチックフィルムロール体を製造することを特徴とするフィルム製造方法。
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