JP2008138308A - 縦溝が形成された工業用二層織物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下面側経糸2,6が下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織を形成しており、かつ隣接する2本もしくは3本の下面側経糸が密着して、同じ下面側緯糸の上、下を通る畝織組織群を形成し、経糸接結糸が下面側経糸と同じ下面側緯糸の下を通って上下層を織り合わせ、下面側層に畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる経糸1本以上分の縦溝が形成された工業用二層織物、特に上面側経糸は組織の異なる2種類からなり、第1上面側経糸は織物組織上本来通るべき上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸4,14が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成するのが好ましい。
【選択図】図3
Description
側層において接結糸の摩耗を防止することを目的とする。
(1)上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層を、上下層を接結する経糸接結糸で織り合わせてなる二層織物において、前記下面側経糸が下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織を形成しており、かつ隣接する2本もしくは3本の下面側経糸が密着して、同じ下面側緯糸の上、下を通る畝織組織群を形成し、該畝織組織群間に経糸1本分以上の間隔を設け、前記経糸接結糸が下面側経糸の一部と同じ下面側緯糸の下を通って上下層を織り合わせ、下面側層に畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる縦溝が形成された工業用二層織物である。
(2)前記上下層を接結する経糸接結糸が上面側層の一部を形成し、前記上面側経糸は組織の異なる2種類からなり、第1上面側経糸は織物組織上本来通るべき上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成することを特徴とする上記(1)に記載の縦溝が形成された工業用二層織物である。
(4)前記経糸接結糸が、織物完全組織内に2本または4本配置されたことを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれか一に記載された縦溝が形成された工業用二層織物である。
(5)前記経糸接結糸が、畝織組織群を構成する2本もしくは3本の下面側経糸間に埋設されるように配置され、かつ下面側層表面に表出しないことを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれか一に記載された縦溝が形成された工業用二層織物である。
(6)織物完全組織が、24本または20本または16本の経糸から構成されたことを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれか一に記載された縦溝が形成された工業用二層織物である。
(7)前記織物完全組織において、下面側表面に表出する経糸が12本中8本、または10本中8本、または8本中6本であることを特徴とする上記(6)に記載された縦溝が形成された工業用二層織物である。
工業用織物の中でも製紙用織物は、特に上面側層の表面性、繊維支持性が求められているため、上面側表面の線径を小さく、糸の配置密度を高くすることで緻密な表面としてき
た。しかし、緻密な表面とすることで、原料等を脱水するためのろ水性、通気性が阻害されてしまう傾向にあるため、二層織物の下面側緯糸配置本数を上面側緯糸よりも少なくし、下面側層にろ水空間を設ける技術が活用されてきた。この方法により、上面側表面は緻密でありながらろ水性、通気性に優れた織物となる。
完全組織とは織物組織を形成する最小の繰り返し単位であり、これが前後左右に繰り返されて織物が形成される。また、この織物は上面側層と下面側層から構成される二層構造であるため、形成される完全組織も上面側層と下面側層の組み合わせからなる。そして、上面側層のシャフト数とは完全組織を形成する上面側の経糸本数であり、下面側層のシャフト数とは完全組織を形成する下面側の経糸本数であり、織物全体のシャフト数は、完全組織を形成する経糸の合計本数を表すものである。
そして、畝織組織群とは、隣接する2本または3本の下面側経糸が常に同じ下面側緯糸の上、下を交互に通って密着配置している一体となった群をいい、畝織組織群を構成する各下面側経糸は1本の下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織である。
また、補完部分とは、第1上面側経糸が、本来通るべき上面側緯糸の上を通らなかった部分を指し、またその部分では組織を崩さないように隣接する接結経糸が該上面側緯糸の上を通り、第1上面側経糸の欠けた組織を経糸接結糸が補完している。よって、第1上面側経糸と経糸接結糸が協働して第2上面側経糸と同じ組織を上面側表面に形成する。
」はどのような組織であっても構わなく、第2上面側経糸に合わせるように第1上面側経糸と経糸接結糸の組織を決定する。補完場所や下面側の接結位置等によって組織のバリエーションはいくつかあり、適宜選択できる。経糸接結糸の組織は1本の上面側緯糸の上を通る組織や、2本の上面側緯糸の上を通る組織等がある。
経糸接結糸は、端であっても下面側経糸よりも外側に突出することはないため構わないが、畝織組織群の中央に配置されていると摩耗の心配がないのでより好ましい。また下面側層はマシンやロールと直接接触する面となるが、密着して一塊になった畝織組織群が経糸接結糸を保護する機能を有することになる。
緯糸については、上面側層は緻密な表面とするために、上面側緯糸の線径を比較的小さく、そして下面側層はマシンやロール接触面側となる下面側表面は剛性や耐摩耗性が必要とされるため、下面側経糸、下面側緯糸は比較的線径の大きいものである方が好ましい。下面側経糸の線径を経糸接結糸よりも大きくすることで経糸接結糸がより擦過摩耗し難くなるため好ましいが、同線径であってももちろん構わない。
上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は1:1であってもよく、その他2:1や3:2、4:3等適宜選択できる。下面側緯糸本数を上面側緯糸本数より少なくすることで横溝も形成され、縦溝と組み合わせることで脱水性、ろ水性がより向上する。
図1〜11は本発明の実施例であり、図12は従来例を示す。図1、4、6は意匠図であり、図2、5、7は経糸に沿った断面図で、図3、12は緯糸に沿った断面図で、図8は図6の意匠図に示した織物の上面側表面写真、図9は下面側表面写真、図10は経糸に沿った断面写真、図11は緯糸に沿った断面写真である。
意匠図では糸が上下に正確に重なって配置されることになっているが、これは図面の都合上であって実際の織物ではずれて配置されていることがある。特に、下面側経糸は畝織組織群を形成しているため大幅にずれている。緯糸については配置比率から一部上面側緯糸の下に下面側緯糸が配置されていないところもある。
図1は本発明の実施例1の織物の意匠図である。実施例1は経糸24本からなる24シャフトの織物であり、4、10、16、22が経糸接結糸である。上面側層は平織組織であり、下面側層は2本の下面側経糸により畝織組織群を形成しており、経糸接結糸は各畝織組織群の真ん中に配置している。経糸接結糸は下面側経糸と同じ下面側緯糸の下側を通る組織であるため、2本の下面側経糸が下面側緯糸の下側を通る場所と同じところの一部で下面側緯糸と織り合わせる。経糸接結糸は上面側層と下面側層の両方を上下する糸であって引き込みが強く、線径の関係からも、実質的に下面側表面に現れることがなく見かけ上は2本の下面側経糸が並列してナックルを形成しているように見え、経糸接結糸が擦過摩耗することはほとんどない。また、下面側緯糸においても経糸3本分以上の長さのロングクリンプが下面側表面に形成されるため耐摩耗性にも優れたものとなる。
さらに、図3に示した通り畝織組織群では下面側経糸が密着配置しているため、畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる溝(図中斜線部)が形成されるため、脱水性、通気性に優れた織物となる。
詳しくは、図1、2の経糸5、9、17、21が第1上面側経糸であり、1、3、7、11、13、15、19、23が第2上面側経糸である。第2上面側経糸は1本の上面側緯糸の上、下を通る平織組織を形成している。そして、同じ平織組織を形成するためには、第1上面側経糸5は上面側緯糸5’の上を通る必要があるが、そこを通らず代わりに隣接配置する経糸接結糸4が上面側緯糸5’の上を通り、それらが協働して経糸1本分の平織組織を形成している。また、第1上面側経糸9においても同様で、本来通るべき上面側緯糸3’の上を通らず、代わりに隣接配置する経糸接結糸10が上面側緯糸3’の上を通り、それらが協働して平織組織を形成している。その他の第1上面側経糸においても同様であり、このようにして上面側表面に均一な平織組織が形成される。
図4は本発明の実施例2の織物の意匠図である。実施例2は経糸20本からなる20シャフトの織物であり、4、14が経糸接結糸である。上面側層は平織組織であり、下面側層は2本の下面側経糸により畝織組織群を形成しており、4つの畝織組織群のうち2つの畝織組織群の真ん中に経糸接結糸が配置されている。
また、下面側緯糸においても経糸2本分以上の長さのロングクリンプが下面側表面に形成されるため耐摩耗性にも優れたものとなる。
図6は本発明の実施例3の織物の意匠図である。実施例3は経糸16本からなる16シャフトの織物であり、4、12が経糸接結糸である。
上面側層は平織組織であり、図8、図10の通り第1上面側経糸3は経糸接結糸4に補完されて(補完部分30)、協働して第2上面側経糸(1,7等)と同じ平織組織を形成する。
実施例1と同様に下面側層の畝織組織群とその隣の畝織組織群の間に縦方向に伸びる脱水溝が形成されるため、脱水性、通気性に優れた織物となる。
1’、2’・・20’ 上面側緯糸、下面側緯糸
30 補完部分
Claims (7)
- 上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層を、上下層を接結する経糸接結糸で織り合わせてなる二層織物において、前記下面側経糸が下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織を形成しており、かつ隣接する2本もしくは3本の下面側経糸が密着して、同じ下面側緯糸の上、下を通る畝織組織群を形成し、該畝織組織群間に経糸1本分以上の間隔を設け、前記経糸接結糸が下面側経糸の一部と同じ下面側緯糸の下を通って上下層を織り合わせ、下面側層に畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる縦溝が形成された工業用二層織物。
- 前記上下層を接結する経糸接結糸が上面側層の一部を形成し、前記上面側経糸は組織の異なる2種類からなり、第1上面側経糸は織物組織上本来通るべき上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成することを特徴とする請求項1に記載の縦溝が形成された工業用二層織物。
- 前記畝織組織群の全てに1本の経糸接結糸が配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
- 前記経糸接結糸が、織物完全組織内に2本または4本配置されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
- 前記経糸接結糸が、畝織組織群を構成する2本もしくは3本の下面側経糸間に埋設されるように配置され、かつ下面側層表面に表出しないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
- 織物完全組織が、24本または20本または16本の経糸から構成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
- 前記織物完全組織において、下面側表面に表出する経糸が12本中8本、または10本中8本、または8本中6本であることを特徴とする請求項6に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
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