JP2008138297A - 有害物質除去材及び有害物質除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なフィルター効率を示すとともに、繊維の表面に固定化した抗菌剤によって良好な抗菌活性を示す有害物質除去材、及びそれを用いた有害物質除去方法を提供すること。
【解決手段】本明細書に定義する一般式(1)で表される抗菌剤を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維からなることを特徴とする有害物質除去材。
【選択図】なし
【解決手段】本明細書に定義する一般式(1)で表される抗菌剤を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維からなることを特徴とする有害物質除去材。
【選択図】なし
Description
本発明は、特定の構造を有する抗菌剤を付与した繊維からなる有害物質除去材、及びそれを用いた有害物質除去方法に関する。
細菌などの有害物質を除去する方法としては、各種のフィルターを用いたろ過によるものや吸着剤を用いた物理吸着によるものなどがある。
特許第3545145号には、繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体を内添してなることを特徴とする脱臭抗菌シートが記載されている。ここで用いている繊維基材は、塩化ビニル系繊維(難燃性)とバインダー繊維(ネットワーク形成)からなるものである。また、微細繊維の平均直径は1μm以下である。しかし、使用される光反応性半導体が、繊維を分解する可能性があり、問題があった。
また、特許第3784595号には、繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材に抗菌剤を被着固定するに当たり、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を前記濾材に付着させた後、60℃以下の温度で熱処理することを特徴とする濾材の抗菌処理方法が記載されている。この方法によれば、自己架橋型アクリル樹脂を用いることにより低温で抗菌剤を固定化でき、加熱による繊維の形態変化を抑えられる。この文献では、繊維はメルトブロー法で作製されているが、メルトブロー法では、一般的に100nm以下の繊維を作製することは困難であった。
一方、米国特許出願公開US2005/0249695A1には、特定の構造を有する4級アンモニウム塩を含有する抗菌部材が記載されている。しかしながら、この4級アンモニウム塩を繊維に適用することは記載されていない。
本発明は、良好なフィルター効率を示すとともに、繊維の表面に固定化した抗菌剤によって良好な抗菌活性を示す有害物質除去材、及びそれを用いた有害物質除去方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本明細書で定義する一般式(1)で表される化合物を直径100nm以下の繊維からなる担体に担持させることによって、フィルター効率と抗菌活性に優れた有害物質除去材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で表される化合物を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維であることを特徴とする有害物質除去材が提供される。
(式中、Rはそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシアミド基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、(アルキルアミノ)アルキル基、チオ基、アルキルチオ基、チオアルキル基、(アルキルチオ)アルキル基、カルバモイル基、ウレア基、チオウレア基、スルホニル基、スルホネート基、スルホンアミド基、スルホニルアミノ基、又はスルホニルオキシ基を表す。R’はそれぞれ独立にアルキル基、アルキリデン基、又はアシル基を表す。Zはそれぞれ独立にCl、Br、又はIを表す。nは1500以下の整数である)
好ましくは、一般式(1)で表される化合物は、ポリ(4−ビニル−N−アルキルピリジニウムブロミド)である。
好ましくは、担体は、2種類以上の繊維からなるものである。
好ましくは、担体の芯部の繊維は、担体の鞘部の繊維と異なるものである。
好ましくは、担体の芯部の繊維の水分率は、担体の鞘部の繊維の水分率とは異なる。
好ましくは、担体は、2種類以上の繊維からなるものである。
好ましくは、担体の芯部の繊維は、担体の鞘部の繊維と異なるものである。
好ましくは、担体の芯部の繊維の水分率は、担体の鞘部の繊維の水分率とは異なる。
好ましくは、担体の鞘部の繊維の吸湿性は、担体の芯部の繊維の吸湿性よりも高い。
好ましくは、担体の芯部の繊維と担体の鞘部の繊維の重量比は、45:55〜85:15である。
好ましくは、担体を構成する繊維の公定水分率は7%未満である。
好ましくは、担体を構成する繊維は電界紡糸法により作製される。
好ましくは、担体の芯部の繊維と担体の鞘部の繊維の重量比は、45:55〜85:15である。
好ましくは、担体を構成する繊維の公定水分率は7%未満である。
好ましくは、担体を構成する繊維は電界紡糸法により作製される。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の有害物質除去材を用いて気相あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法が提供される。
本発明によれば、気相中あるいは液相中の粒子を高効率で除去することができ、特に細菌やウイルス等の微生物由来の有害物質を選択的に捕捉・不活性化できる有害物質除去材を作製することができる。更に、前記の有害物質除去材は十分な力学的強度を有し、フィルターとしての寿命も長いため、空気清浄用や液体清浄用のフィルター材料として活用できる。本発明の方法によれば、気相中あるいは液相中の有害物質を効率的に除去できる空気清浄機あるいは液体清浄機を作製できるため、産業において非常に有用である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の有害物質除去材は、一般式(1)で表される化合物を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維からなることを特徴とするものである。本発明においては担体を構成する繊維の繊維径を100nm以下にすることによって、フィルター効率を向上させることができ、また、比表面積を向上させ、これにより有効な抗菌剤量を増大することができる。本発明のさらに好ましい態様によれば、担体の構造を、鞘部に高吸湿性材料を配置し、芯部に低湿性材料を配置した二重構造とすることができる。これにより、親水性の抗菌剤を含むコーティング液が浸透しやすくなり、同時に芯部に耐久性に優れた合成繊維を多く配置し、全体として繊維強度を向上させることができる。
本発明の有害物質除去材は、一般式(1)で表される化合物を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維からなることを特徴とするものである。本発明においては担体を構成する繊維の繊維径を100nm以下にすることによって、フィルター効率を向上させることができ、また、比表面積を向上させ、これにより有効な抗菌剤量を増大することができる。本発明のさらに好ましい態様によれば、担体の構造を、鞘部に高吸湿性材料を配置し、芯部に低湿性材料を配置した二重構造とすることができる。これにより、親水性の抗菌剤を含むコーティング液が浸透しやすくなり、同時に芯部に耐久性に優れた合成繊維を多く配置し、全体として繊維強度を向上させることができる。
本発明で用いる担体は、1種類の繊維からなるものでもよいし、2種類以上の繊維からなるものでもよいが、2種類以上の繊維からなる複合繊維を用いることが好ましい。複合繊維としては、担体の芯部の繊維と担体の鞘部の繊維とが異なるような複合繊維であることが好ましい。
本発明の有害物質除去材を構成する担体は、好ましくは芯部と鞘部で水分率の異なる繊維からなるものである。なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。
前記繊維における芯部と鞘部との水分率の差は0.1〜15.0%の範囲内であることが好ましく、0.2〜14.0%の範囲内であることが更に好ましく、0.5〜13.0%の範囲内であることが特に好ましい。
本発明の有害物質除去材を構成する担体は、芯部に低吸湿性材料、鞘部に高吸湿性材料を有する複合繊維であることが望ましい。鞘部に高吸湿性材料を配置することにより、繊維近傍の雰囲気を抗菌剤が活性を示す湿度に調整することができる。また、芯部に低吸湿性で比較的強度の高い材料を配置することにより繊維全体の強度を高くすることが可能となる。
芯部の低吸湿性材料と鞘部の高吸湿性材料との比率は、重量比で低吸湿性材料:高吸湿性材料=45:55〜85:15であることが望ましい。高吸湿性材料の割合が55%を超えると、繊維の強度が保てず、形成後に破損等を生じ、フィルター材料等の加工に支障をきたす可能性が高くなる。一方、高吸湿性材料の割合が15%未満である場合は、繊維表面の高吸湿性材料の層が非常に薄くなってしまうため、繊維近傍の雰囲気を調湿することが不可能となる。
芯部の低吸湿性材料と鞘部の高吸湿性材料の比率は、重量比で45:55〜85:15であることが好ましく、50:50〜80:20であることが更に好ましく、55:45〜75:25であることが特に好ましい。
本発明の有害物質除去材に用いられる繊維の芯部を構成する低吸湿性材料としては、ナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、アクリル繊維、ポリウレタン、ポリカーボネート等が好適に用いられる。
一方、前記繊維の鞘部を構成する高吸湿性材料としては、キュプラ、レーヨンなどの再生セルロース系繊維などが挙げられる。
これらの材料は単独で用いてもよいし、複数の材料を混合して用いてもよい。
一方、前記繊維の鞘部を構成する高吸湿性材料としては、キュプラ、レーヨンなどの再生セルロース系繊維などが挙げられる。
これらの材料は単独で用いてもよいし、複数の材料を混合して用いてもよい。
本発明の有害物質除去材に用いられる繊維の公定水分率は、12%未満であることが好ましく、7%未満であることがさらに好ましく、6%未満であることがさらに好ましく、5%未満であることが特に好ましい。
本発明の有害物質除去材に用いられる繊維の平均繊維径は、100nm以下であり、90nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることが特に好ましい。また、平均繊維径の下限については特に制限はないが、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上が特に好ましい。なお、本発明の平均繊維径はSEM測定の画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
本発明において用いられる合成樹脂繊維の力学物性としては、引張弾性率が1GPa以上であることが好ましく、5GPa以上であることがさらに好ましく、10GPa以上であることが特に好ましい。
本発明に用いられる繊維の作製法としては、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するために、電界紡糸法を採用することが好ましい。
電界紡糸法としては、加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている方法を用いることができる。
電界紡糸法では、溶融法、溶液法の両方を用いることができるが、繊維径を小さくするためには溶液法が好ましい。
電界紡糸法に用いられる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
電界紡糸法に用いられる樹脂溶液に、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
本発明の有害物質除去材に好ましく用いられる、芯部と鞘部で水分率が異なる繊維の作製法としては、芯部と鞘部で二段階の電界紡糸法を実施してもよいし、芯部と鞘部とを同時に紡糸して前記の構成の繊維を作製してもよい。
芯部と鞘部とを同時に紡糸する場合には、Nano Letters誌、2004年、Vol.4、933頁などに記載されている装置を用いて作製することができる。
本発明の有害物質除去材においては、抗菌剤として下記一般式(1)で表される化合物が担体に担持されている。
(式中、Rはそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシアミド基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、(アルキルアミノ)アルキル基、チオ基、アルキルチオ基、チオアルキル基、(アルキルチオ)アルキル基、カルバモイル基、ウレア基、チオウレア基、スルホニル基、スルホネート基、スルホンアミド基、スルホニルアミノ基、又はスルホニルオキシ基を表す。R’はそれぞれ独立にアルキル基、アルキリデン基、又はアシル基を表す。Zはそれぞれ独立にCl、Br、又はIを表す。nは1500以下の整数である)
アルキルとは、直鎖、分岐鎖、環状又はその組み合わせの何れでもよく、炭素数1から30、好ましくは炭素数1から20、より好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6のアルキルを意味する。アルケニル及びアルキニルとは、炭素数2以上の上記のアルキルにおいて少なくとも1個以上の二重結合又は三重結合を有するものを意味する。アルコキシとは、直鎖、分岐鎖、環状又はその組み合わせの何れでもよく、炭素数1から30、好ましくは炭素数1から20、より好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6のアルコキシを意味する。アリールとは、5、6又は7員の単環の芳香族基を意味し、0から4個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、ホウ素、リン、硫黄、セレンなど)を含んでいてもよい。アリールの具体例としては、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジなどが挙げられる。
一般式(1)の定義における各置換基の具体例は、米国特許出願公開US2005/0249695A1の段落番号0076から0106に記載の通りである。一般式(1)で表される化合物は、米国特許出願公開US2005/0249695A1に記載の方法に準じて合成することができる。
一般式(1)で表される化合物を担体に担持させる方法は、該化合物を担体に接触させて担持させることができる限り、特に限定されない。一般式で表される化合物の水溶液を調製し、担体をこの水溶液に一定の時間(例えば、1〜48時間、好ましくは6〜24時間程度)浸漬させることにより、担体の表面に該化合物を付与させることができる。
本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルター、マスク、拭き取りシートなどに用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
エチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液を調製し、図1の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.01〜0.1mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った後、真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布N−1を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、85nmであった。
エチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液を調製し、図1の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.01〜0.1mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った後、真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布N−1を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、85nmであった。
(実施例2)
エチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液の代わりにセルロースのN−メチルモルホリン−N−オキシド5質量%溶液を用いる以外は実施例1と同じ方法で、膜厚85μmの不織布N−2を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、80nmであった。
エチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液の代わりにセルロースのN−メチルモルホリン−N−オキシド5質量%溶液を用いる以外は実施例1と同じ方法で、膜厚85μmの不織布N−2を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、80nmであった。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートのトリフルオロ酢酸10質量%溶液とエチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液を調製し、図2の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がエチルセルロースとなるように配置し、シリンジ送り速度0.01〜0.1mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った。芯部と鞘部の比率が質量比でポリエチレンテレフタレート:エチルセルロース=60:40となるように作製した。真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布N−3を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、85nmであった。
ポリエチレンテレフタレートのトリフルオロ酢酸10質量%溶液とエチルセルロースのテトラヒドロフラン10質量%溶液を調製し、図2の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がエチルセルロースとなるように配置し、シリンジ送り速度0.01〜0.1mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った。芯部と鞘部の比率が質量比でポリエチレンテレフタレート:エチルセルロース=60:40となるように作製した。真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布N−3を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、85nmであった。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレートのトリフルオロ酢酸溶液の代わりにポリカーボネートのテトラヒドロフラン10質量%溶液を用いる以外は、実施例3と同じ方法でナノファイバー不織布を作製した。芯部と鞘部の比率が質量比でポリカーボネート:エチルセルロース=75:25となるように作製し、膜厚75μmの不織布N−4を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、90nmであった。
ポリエチレンテレフタレートのトリフルオロ酢酸溶液の代わりにポリカーボネートのテトラヒドロフラン10質量%溶液を用いる以外は、実施例3と同じ方法でナノファイバー不織布を作製した。芯部と鞘部の比率が質量比でポリカーボネート:エチルセルロース=75:25となるように作製し、膜厚75μmの不織布N−4を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、90nmであった。
(実施例5)
エチルセルロースのテトラヒドロフラン溶液の代わりにセルロースのN−メチルモルホリン−N−オキシド5質量%溶液を用いる以外は実施例3と同じ方法でナノファイバー不織布を作製した。芯部と鞘部の比率が質量比でポリエチレンテレフタレート:セルロース=80:20となるように作製し、膜厚80μmの不織布N−5を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、80nmであった。
エチルセルロースのテトラヒドロフラン溶液の代わりにセルロースのN−メチルモルホリン−N−オキシド5質量%溶液を用いる以外は実施例3と同じ方法でナノファイバー不織布を作製した。芯部と鞘部の比率が質量比でポリエチレンテレフタレート:セルロース=80:20となるように作製し、膜厚80μmの不織布N−5を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、80nmであった。
(比較例1)
エチルセルロースのテトラヒドロフラン20質量%溶液を調製し、図1の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.1〜0.5mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った後、真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布H−1を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、600nmであった。
エチルセルロースのテトラヒドロフラン20質量%溶液を調製し、図1の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.1〜0.5mm/min、印加電圧10〜20kVの範囲で調整して電界紡糸を行った後、真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚85μmの不織布H−1を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、600nmであった。
(比較例2)
ポリカーボネートのテトラヒドロフラン10質量%溶液とエチルセルロースのテトラヒドロフラン20質量%溶液を調製した後、質量比で75:25の比率で混合し、図2の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.1〜0.5mm/min、印加電圧10〜20kVで電界紡糸を行った。真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚75μmの不織布H−2を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、570nmであった。
ポリカーボネートのテトラヒドロフラン10質量%溶液とエチルセルロースのテトラヒドロフラン20質量%溶液を調製した後、質量比で75:25の比率で混合し、図2の装置を用いてナノファイバー不織布を作製した。シリンジ送り速度0.1〜0.5mm/min、印加電圧10〜20kVで電界紡糸を行った。真空中で80℃8時間乾燥し、膜厚75μmの不織布H−2を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、570nmであった。
(水分率の測定)
前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを温度20℃相対湿度65%の環境に12時間以上放置し、その後各サンプルの水分率をハロゲン水分計MB35(OHAUS社製)を用いて測定した。
前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを温度20℃相対湿度65%の環境に12時間以上放置し、その後各サンプルの水分率をハロゲン水分計MB35(OHAUS社製)を用いて測定した。
(フィルター効率の測定)
前記前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットし、同口径の試験用ダクト内に設置した。
前記前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットし、同口径の試験用ダクト内に設置した。
粒子発生器(TSI社製)を用いて50〜500nmの微粒子を発生させ、静電分級器(TSI社製)を用いて特定の粒子径の微粒子をダクト内に5.3cm/secの流速で導入した。
サンプルホルダーの上流と下流で凝縮粒子カウンター(TSI社製)を用いて粒子数をカウントし、上流と下流での粒子数比から特定の粒子径でのフィルター効率を算出した。
粒子径50〜500nmの範囲で上記の測定を行い、平均のフィルター効率を算出した。
以上の結果を表1にまとめた。
(抗菌剤の付与)
化合物(A)の10質量%水溶液を調製し、前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを室温で16〜24時間浸漬させ、繊維表面に抗菌剤を付与させた。
また、N−1、N−4、H−1、H−2の各サンプルを市販の銀系抗菌剤(バイオシュアSG、抗菌化研(株)製の1%懸濁液)に浸漬させ、それぞれ比較例H−3〜H−6とした。
化合物(A)の10質量%水溶液を調製し、前記N−1〜N−5及びH−1〜H−2の各サンプルを室温で16〜24時間浸漬させ、繊維表面に抗菌剤を付与させた。
また、N−1、N−4、H−1、H−2の各サンプルを市販の銀系抗菌剤(バイオシュアSG、抗菌化研(株)製の1%懸濁液)に浸漬させ、それぞれ比較例H−3〜H−6とした。
(抗菌活性試験)
前記N−1〜N−5及びH−1〜H−6の各サンプルを5cm角に切り、試験片とした。大腸菌及び黄色ブドウ球菌の菌液を各試験片に滴下し、35℃24時間培養後、菌液を洗い出し生菌数を測定した。抗菌剤無しの試験片で培養後の生菌数(a)と抗菌剤有りの試験片で倍養後の生菌数(b)から、下記式を用いて抗菌活性値を算出した。
抗菌活性値=Log(a/b)
前記N−1〜N−5及びH−1〜H−6の各サンプルを5cm角に切り、試験片とした。大腸菌及び黄色ブドウ球菌の菌液を各試験片に滴下し、35℃24時間培養後、菌液を洗い出し生菌数を測定した。抗菌剤無しの試験片で培養後の生菌数(a)と抗菌剤有りの試験片で倍養後の生菌数(b)から、下記式を用いて抗菌活性値を算出した。
抗菌活性値=Log(a/b)
結果を表2にまとめた。尚、H−3〜H−6の各サンプルについては抗菌剤が繊維表面に固定されなかったため、評価不能とした。
1 電源装置
2 シリンジ
3 ニードル
4 コレクター
5 ポリマー溶液
6 ナノファイバー
11 電源装置
12 シリンジ
13 ニードル
14 コレクター
15 芯材溶液
16 鞘材溶液
17 ナノファイバー
2 シリンジ
3 ニードル
4 コレクター
5 ポリマー溶液
6 ナノファイバー
11 電源装置
12 シリンジ
13 ニードル
14 コレクター
15 芯材溶液
16 鞘材溶液
17 ナノファイバー
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表される化合物を担持した担体を備える有害物質除去材であって、前記担体が直径100nm以下の繊維からなることを特徴とする有害物質除去材。
- 一般式(1)で表される化合物が、ポリ(4−ビニル−N−アルキルピリジニウムブロミド)である、請求項1に記載の有害物質除去材。
- 担体が、2種類以上の繊維からなるものである、請求項1又は2に記載の有害物質除去材。
- 担体の芯部の繊維が、担体の鞘部の繊維と異なるものである、請求項1から3の何れかに記載の有害物質除去材。
- 担体の芯部の繊維の水分率が、担体の鞘部の繊維の水分率とは異なる、請求項4に記載の有害物質除去材。
- 担体の鞘部の繊維の吸湿性が、担体の芯部の繊維の吸湿性よりも高いことを特徴とする、請求項4又は5に記載の有害物質除去材。
- 担体の芯部の繊維と担体の鞘部の繊維の重量比が、45:55〜85:15である、請求項4から6の何れかに記載の有害物質除去材。
- 担体を構成する繊維の公定水分率が7%未満である、請求項4から7の何れかに記載の有害物質除去材。
- 担体を構成する繊維が電界紡糸法により作製されることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の有害物質除去材。
- 請求項1から9の何れかに記載の有害物質除去材を用いて気相あるいは液相中の有害物質を除去することを含む、有害物質除去方法。
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2006
- 2006-11-30 JP JP2006322896A patent/JP2008138297A/ja active Pending
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