JP2008138274A - バッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

バッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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健志 大友
Junichi Oda
淳一 小田
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Abstract

【課題】円板状ターゲット素材とバッキングプレート素材を接合してバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを製造する方法を提供する。
【解決手段】片面に突起21を有する高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材1と熱伝導性に優れかつ前記円板状ターゲット素材1よりも低硬度の金属からなる円板状バッキングプレート素材3を前記円板状ターゲット素材の突起21が前記円板状バッキングプレート素材に接するように重ね合わせたのち加圧接合してスパッタリングターゲットとバッキングプレートを接合するバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを製造する方法において、前記円板状ターゲット素材の片面に形成されている突起21は、全てその先端7が円板状ターゲット素材の中央に向かって傾斜していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、円板状ターゲット素材とバッキングプレート素材を接合してバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを製造する方法に関するものであり、特にチタンまたはチタン合金などの高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材と、銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金などからなる熱伝導性に優れかつ低硬度の金属からなる円板状バッキングプレート素材を接合してバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを製造する方法に関するものである。
一般に、チタンまたはチタン合金からなる薄膜を形成する方法の一つとしてチタンまたはチタン合金からなるターゲットをスパッタリングする方法が知られている。このチタンまたはチタン合金からなるターゲットを用いてスパッタリングするには、チタンまたはチタン合金からなる円板状ターゲット素材を銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属からなる円板状バッキングプレート素材に接合してバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを作製し、このバッキングプレート付きスパッタリングターゲットをスパッタリング装置にセットし、スパッタリングすることにより成膜する。この時、スパッタリング中にチタンまたはチタン合金からなるターゲットに発生する熱は熱伝導性に優れた銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなるバッキングプレートから逃がしながらスパッタリングを行なっている。
前記円板状ターゲット素材と円板状バッキングプレート素材の接合には、一般にInまたはSn合金からなるろう材が使用されているが、チタンなどのような高融点の金属からなるターゲットと比較的低融点でかつ熱伝導性に優れた金属からなるバッキングプレートとをろう材で接合してなるバッキングプレート付きスパッタリングターゲットは、ターゲットとバッキングプレートの熱膨張差が大きくなってその接合面に大きなせん断応力が発生し、ターゲットとバッキングプレートが剥離することがある。
これを防止するために、近年、片面に突起または凹溝を有する円板状ターゲット素材および片面に突起または凹溝を有するバッキングプレート素材を作製し、円板状ターゲット素材の突起とバッキングプレート素材の凹溝または円板状ターゲット素材の凹溝とバッキングプレート素材の突起が嵌合するように重ね合わせ、これを加熱しながら加圧接合してターゲットとバッキングプレートを機械的接合すると共に拡散接合させたバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを作製し、このバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行なっている(特許文献1、2参照)。
さらに、図3の一部断面図に示されるように、チタンまたはチタン合金などの高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材11の片面にM字状の二つの突起2、2´を設け、これを突起2、2´が前記円板状バッキングプレート素材3の片面4に接するように重ねて加圧接合することにより図4の一部断面図に示されるように円板状ターゲット素材11の突起2、2´をバッキングプレート素材3の片面に二個の突起2、2´が反対側に広がるように食い込ませ、機械的接合と共に拡散接合させてバッキングプレート付きスパッタリングターゲット5を作製している。このとき、突起2および2´の付け根部分にまでバッキングプレート素材が流動して到達し、ターゲット素材とバッキングプレート素材は機械的接合すると共に拡散接合してバッキングプレート付きスパッタリングターゲットが出来上がるとされている(特許文献2参照)。
特開平8−188872号公報 特表2003−535212号公報
しかし、円板状ターゲット素材11とバッキングプレート素材3を重ね合わせて加圧すると、加圧によって低硬度の銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなるバッキングプレート素材が中心部から半径方向(図4のS方向)外側に向かって流動する。かかるバッキングプレート素材が加圧時に流動すると、バッキングプレート素材の流動方向に対抗して垂直面を持つ突起2はバッキングプレート素材の流動を遮るように働くので突起2の付け根部分までバッキングプレート素材が到達するが、バッキングプレート素材の流動方向に対して裏側または影側となる位置に垂直面を持つ突起2´は、突起2´の付け根にまでバッキングプレート素材が十分に流れ込まず、加圧接合して出来上がったバッキングプレート付きスパッタリングターゲットにおける突起2´の付け根部分に空洞6が発生することがある。かかる空洞6が発生すると、バッキングプレート付きスパッタリングターゲットの超音波探傷検査時に空洞として検出され、空洞が検出されたバッキングプレート付きスパッタリングターゲットは、不良品となって破棄されるので歩留まりが悪くなり好ましくない。
そこで、本発明者等は、かかるバッキングプレートとスパッタリングターゲットの接合部分に発生する空洞を無くすことのできるスパッタリングターゲットとバッキングプレートの接合方法を開発すべく研究を行った。
その結果、図1の一部断面図に示されるように、チタンまたはチタン合金などの高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材1の一方の面にすべての突起21の先端7が円板状ターゲット素材1の中心部に向かって傾斜している突起21を形成し、この突起21の先端7がすべて円板状ターゲット素材1の中心部に向かって傾斜している突起21を有するチタンまたはチタン合金などの高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材1を前記低硬度の銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる円板状バッキングプレート素材3の片面4に接するように重ねて加圧接合すると、図2の一部断面図に示されるようにスパッタリングターゲットの突起21はすべてバッキングプレート素材の流動方向に対抗する向きに傾斜しているので、加圧時にS方向に流動したバッキングプレート素材が押されて前記窪みに流入し、S方向に流動したバッキングプレート素材3が突起21の付け根部分まで入り込み、バッキングプレートとスパッタリングターゲットの接合部に空洞を生じることなく機械的接合と共に拡散接合させることができる、という知見を得たのである。
この発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、
(1)片面に突起を有する高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材と熱伝導性に優れかつ前記ターゲットよりも低硬度の金属からなる円板状バッキングプレート素材を前記円板状ターゲット素材の突起が前記円板状バッキングプレート素材に接するように重ねて加圧接合してスパッタリングターゲットとバッキングプレートを接合するバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記円板状ターゲット素材の片面に形成されている突起は、全てその先端が円板状ターゲット素材の中心部に向かって傾斜しているバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法、
(2)前記片面に突起を有する高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材はチタンまたはチタン合金からなり、一方、前記熱伝導性に優れかつ前記ターゲットよりも低硬度を有する円板状バッキングプレート素材は、銅もしくは銅合金またはアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる前記(1)記載のバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法、
(3)前記(1)または(2)記載の方法で作製したバッキングプレート付きスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
なお、図1〜2にこの発明のスパッタリングターゲット素材の片面に設けられる突起の断面形状を具体的に示したが、この発明のスパッタリングターゲット素材に設けられる突起の断面形状は図1〜2に限定されるものではない。
この発明のスパッタリングターゲットとバッキングプレートの接合方法により作製したバッキングプレート付きスパッタリングターゲットは、内部に空洞を含むことがないので不良品が発生することがなく、したがって、製造コストを削減することができ、半導体装置産業の発展に大いに貢献しうるものである。
実施例1
直径:350mm、厚さ:10mmの寸法を有する円板状高純度Tiターゲット素材を用意した。さらに直径:400mm、厚さ:20mmの寸法を有する円板状A5052アルミニウム合金バッキングプレート素材を用意した。
前記円板状高純度Tiターゲット素材の表面を、不二美36−2:G10E(直創)を60°に磨きつけたバイトを使用し、回転数:100rpm、送り:0.3mm、切り込み:当り面より0.27mmで切削することにより、前記高純度Tiターゲット素材の表面にらせん状の切り込み溝を形成した。この切り込み溝を有する円板状高純度Tiターゲット素材を中心を通る直線に沿って二分し、その断面を観察した結果、図1に示されるような先端が円板状高純度Tiターゲット素材の中心部に向かって傾斜している突起が形成されていた。
この円板状高純度Tiターゲット素材を、先に用意した直径:350mm、厚さ:10mmの寸法を有する円板状A5052アルミニウム合金バッキングプレート素材に、円板状高純度Tiターゲット素材に形成された突起が接するように重ね合わせ、この状態で温度:300℃に加熱し、圧力:50MPaで素材の板厚方向に加圧することによりバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを作製した。このバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを超音波探傷検査した結果、接合部に空洞は発見されなかった。
実施例2
直径:350mm、厚さ:10mmの寸法を有する円板状純銅バッキングプレート素材を用意した。実施例1で作製した円板状高純度Tiターゲット素材を、前記円板状純銅バッキングプレート素材に円板状高純度Tiターゲット素材の突起が前記円板状純銅バッキングプレート素材に接するように重ね合わせ、温度:500℃に加熱する以外は実施例1と同じ条件で素材の板厚方向に加圧することによりバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを作製した。このバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを超音波探傷検査した結果、接合部に空洞は発見されなかった。
従来例1
実施例1で用意した円板状高純度Tiターゲット素材の片面に断面が図3に示されるM字状の突起を形成し、このM字状の突起を形成した円板状高純度Tiターゲット素材をM字状の突起が円板状A5052アルミニウム合金バッキングプレート素材に接するように重ね、実施例1と同様に加圧することによりバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを作製した。このバッキングプレート付きスパッタリングターゲットを超音波探傷検査した結果、アルミニウム合金の流動が大きい周辺部の接合部に空洞が発見された。
この発明の円板状ターゲット素材と円板状バッキングプレート素材を重ね合わせる前の状態を示す一部断面説明図である。 この発明の円板状ターゲット素材と円板状バッキングプレート素材を重ね合わせたのち加圧接合して得られたバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの一部断面説明図である。 従来の円板状ターゲット素材と円板状バッキングプレート素材を重ね合わせる前の状態を示す一部断面説明図である。 従来の円板状ターゲット素材と円板状バッキングプレート素材を重ね合わせたのち加圧接合して得られたバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの一部断面説明図である。
符号の説明
1 円板状ターゲット素材
2 突起
2´ 突起
3 バッキングプレート
4 片面
5 バッキングプレート付きスパッタリングターゲット
6 空洞
7 先端
7´ 先端
11 円板状ターゲット素材
21 突起

Claims (3)

  1. 片面に突起を有する高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材と熱伝導性に優れかつ前記円板状ターゲット素材よりも低硬度の金属からなる円板状バッキングプレート素材を前記円板状ターゲット素材の突起が前記円板状バッキングプレート素材に接するように重ね合わせたのち加圧接合してスパッタリングターゲットとバッキングプレートを接合するバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法において、
    前記円板状ターゲット素材の片面に形成されている突起は、全てその先端が円板状ターゲット素材の中央に向かって傾斜していることを特徴とするバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 前記片面に突起を有する高硬度の金属からなる円板状ターゲット素材はチタンまたはチタン合金からなり、一方、前記熱伝導性に優れかつ前記円板状ターゲット素材よりも低硬度を有する円板状バッキングプレート素材は、銅もしくは銅合金またはアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1記載のバッキングプレート付きスパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 前記請求項1または2記載の方法で作製したバッキングプレート付きスパッタリングターゲット。
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