JP2008136770A - 緑内障治療材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】100重量部の生体適合性ポリマーおよび0.1〜100重量部のリン脂質とからなり、少なくとも一方の表面に開口部の直径が1〜10μmであるハニカム状の凹凸部を有する緑内障手術に用いるフィルム。
【選択図】なし
Description
本発明における緑内障手術材料としてのフィルムを構成する生体適合性ポリマーは、生分解性脂肪族ポリエステルであることが好ましく、具体的には生分解性脂肪族ポリエステルがポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、およびポリブチレンアジペートからなる群から選択される少なくとも1種であることが、有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。中でも、ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体が入手の容易さ、価格等の観点から望ましい。さらに、眼球に用いる点を考慮すれば、しなやかな材質であるポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体が望ましい。
本発明における緑内障手術材料としての生体適合性フィルムを構成するリン脂質は、動物組織から抽出したものでも、また人工的に合成して製造したものでもその起源を問うことなく使用できる。リン脂質としてはホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択されてなるものを利用することが望ましい。好ましくはL−α−ホスファチジルエタノールアミンであり、さらに好ましくはL−α−ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルである。
本発明の緑内障治療材は少なくとも一方の表面にハニカム状の凹凸部を有する。ハニカム状の凹凸部はフィルムの一方の表面にのみ開口部を有する複数のセルが隣接して配置された構造であることが好ましい。ハニカム状の凹凸部の好ましい態様を図1に基づき説明する。フィルムは、平面状に隣接して配置された複数のセル(1)を有する。セルはポリマー中に形成された水滴の蒸発により形成された空間であり球面状である。
本発明の緑内障手術材料は、
(1)生体適合性ポリマーおよび有機溶媒を含有するドープを、基板上にキャストし、液状膜を形成する工程、
(2)相対湿度50〜95%の大気下で、有機溶媒を蒸発させると共に水蒸気を結露させ、液状膜の表面に水滴を形成させる工程、および
(3)水滴を蒸発させる工程、
からなる方法により製造することができる。
ドープを基板上にキャストし、液状膜を得る工程である。かかる工程はドープを基板上に流し込むことで行なうことができる。基板としては、無機材料、ポリマーまたは液体を使用することができる。無機材料として、ガラス、金属、シリコンウェハー等が挙げられる。ポリマーとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン等が挙げられる。液体として、水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等が挙げられる。基板に水を使用した場合、フィルムの特徴である自立性を生かすことで、フィルムを単独で容易に基板から取り出すことが出来る。
液状膜を相対湿度50〜95%の大気下、静置し、有機溶媒を蒸発させる工程である。相対湿度は好ましくは50〜85%である。相対湿度が50%未満では液状膜上への結露が不十分になり、また、95%を超えると湿度のコントロールが難しく好ましくない。温度は、有機溶媒が徐々に蒸発する温度であればよく、好ましくは10〜30℃、より好ましくは室温である。
有機溶媒が蒸発した後は、結露により生じた水滴が蒸発する。水滴が蒸発することにより、ポリマー表面に均一に配置された細孔が残る。従って、該フィルムを調製する環境としては相対湿度が50から95%の範囲にあることが望ましい。50%以下ではキャストフィルム上への結露が不十分になり、又、95%以上では環境のコントロールが難しく好ましくない。このようにしてできる個々の空隙内径は0.1から100μmである。このようにして作製した表面に凹凸部を有するフィルムは、膜厚が充分厚い場合は、基盤に接していた裏面は孔が貫通していない平らな面となる。また、膜厚が水滴の大きさよりも薄い場合は孔が貫通したフィルムが得られる。使用目的により、貫通または非貫通膜を選択することが望ましい。
本発明の緑内障手術材料を用いた、緑内障手術の1例の概要を述べる。本例は1例であって本発明の内容をなんら制限するものではない。図2に緑内障手術における、眼球上の切開部位と本緑内障手術材料の位置関係の概要図を示す。
[実施例1]
ポリ(乳酸−カプロラクトン)共重合体(PLCA、分子量163,000、共重合モル比 乳酸/カプロラクトン=88/12) 25mg、ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルをPLCAに対し1/200の割合(重量)で加え、これをクロロホルム5mlに溶解して使用し、膜厚7μm乃至8μm、開口部の直径が5μmのハニカム状の凹凸部を有するフィルム(以下ハニカムフィルム)を作製した。
術後の目視形態および濾過胞形成の評価結果は、28日間で18眼中、4眼濾過胞が消失した。図3にハニカムフィルム使用術後の前眼部写真とUBM像を示す。
グループ1家兎6羽を使用し、片眼に緑内障濾過手術を行った。本群は、コントロール群として基本術式のみを施した。角膜輪部基底による結膜切開、3 mm×3mmの強膜半層フラップ作成、線維柱帯切除、強膜半層フラップ切除、結膜縫合を行った。術後28日間に渡って点眼麻酔下でのトノペンによる眼圧測定と超音波生態顕微鏡(UBM)による濾過胞観察を行った。眼圧測定は術前と術後3、7、10、14、17、21、28日に、UBMは術後のみ行った。UBMでは結膜下に濾過のスペースがなくなった場合を濾過胞消失、眼圧値では術前との眼圧比(術後眼圧/術前眼圧)が2回以上連続して0.8を超えた場合を濾過胞消失と定義し、濾過胞の生存期間を決定した。統計学的検定に関しては,ノンパラメトリックデータはWilcoxon rank-sum testを用い、濾過胞生存の解析にはlog-rank testを用いた。
術後の目視形態および濾過胞形成の評価結果は、28日間で6眼中、5眼濾過胞が消失した。図4に術後の前眼部写真とUBM像を示す。
グループ2家兎6羽を使用し、片眼に緑内障濾過手術を行った。本群ではマイトマイシンC(MMC)を用いた濾過手術を行った。基本術式として角膜輪部基底による結膜切開、3 mm×3mmの強膜半層フラップ作成、線維柱帯切除、強膜半層フラップ切除しフラップ作成後、スポンジに染み込ませた0.04%のMMCを3分間強膜上に留置し、その後洗い流した。その後、結膜縫合を行った。術後28日間に渡って点眼麻酔下でのトノペンによる眼圧測定と超音波生態顕微鏡(UBM)による濾過胞観察を行った。眼圧測定は術前と術後3、7、10、14、17、21、28日に、UBMは術後のみ行った。UBMでは結膜下に濾過のスペースがなくなった場合を濾過胞消失、眼圧値では術前との眼圧比(術後眼圧/術前眼圧)が2回以上連続して0.8を超えた場合を濾過胞消失と定義し、濾過胞の生存期間を決定した。統計学的検定に関しては,ノンパラメトリックデータはWilcoxon rank-sum testを用い、濾過胞生存の解析にはlog-rank testを用いた。
ポリ(乳酸−カプロラクトン)共重合体(PLCA、分子量163,000、共重合モル比 乳酸/カプロラクトン=88/12) 25mgをクロロホルム5mlに溶解して使用し、膜厚7μm乃至8μm、開口部の直径が5μmのハニカムフィルムを作製した。
グループ3家兎6羽を使用し、片眼に緑内障濾過手術を行った。本群では、ハニカムフィルムを置いた濾過手術を行った。基本術式として角膜輪部基底による結膜切開、3 mm×3mmの強膜半層フラップ作成、線維柱帯切除、強膜半層フラップ切除した。強膜半層フラップ切除後に、6 mm×6mmのセプラフィルムを、強膜半層切除施行部位を覆うように置いた。縫合は行わなかった。その後、結膜縫合を行った。術後28日間に渡って点眼麻酔下でのトノペンによる眼圧測定と超音波生態顕微鏡(UBM)による濾過胞観察を行った。眼圧測定は術前と術後3、7、10、14、17、21、28日に、UBMは術後のみ行った。UBMでは結膜下に濾過のスペースがなくなった場合を濾過胞消失、眼圧値では術前との眼圧比(術後眼圧/術前眼圧)が2回以上連続して0.8を超えた場合を濾過胞消失と定義し、濾過胞の生存期間を決定した。統計学的検定に関しては,ノンパラメトリックデータはWilcoxon rank-sum testを用い、濾過胞生存の解析にはlog-rank testを用いた。
実施例1に示したハニカムフィルム群の平均眼圧は、9.7 mmHg (術後3日)、12.7 mmHg (術後14日)、13.5 mmHg (術後28日)、比較例1のコントロール群では13.3 mmHg (術後3日)、15.7 mmHg (術後14日)、15.0 mmHg (術後28日)であった。平均眼圧は、ハニカムフィルム使用群のほうが、コントロール群より低い値を示した。
表1にUBM観察結果、および眼圧観察結果により濾過胞の平均生存期間を算出した。
比較例2のMMC投与群の濾過胞の平均生存期間は、UBM値より25.8±4.9日、眼圧値より25.8±4.9日と算出され、MMC投与群に比較してもハニカムフィルムの方が長かった。
Claims (8)
- 100重量部の生体適合性ポリマーおよび0.1〜100重量部のリン脂質とからなり、少なくとも一方の表面にハニカム状の凹凸部を有する緑内障手術に用いるフィルム。
- 100重量部の生体適合性ポリマーおよび0.1〜100重量部のリン脂質とからなり、少なくとも一方の表面にハニカム状の凹凸部を有するフィルムからなる緑内障治療材。
- 該生体適合性ポリマーが生分解性脂肪族ポリエステルである請求項2に記載の緑内障治療材。
- 該生分解性脂肪族ポリエステルがポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、およびポリブチレンアジペートからなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の緑内障治療材。
- 該生分解性脂肪族ポリエステルがポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の緑内障治療材。
- 該リン脂質がホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択されてなる請求項2から5のいずれか1項に記載の緑内障治療材。
- 該リン脂質がL−α−ホスファチジルエタノールアミンであることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の緑内障治療材。
- 該リン脂質がL−α−ホスファチジルエタノールアミンジオレオイルであることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の緑内障治療材。
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