JP2008136255A - ダイバーシチ受信装置および電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイバーシチ受信装置の通信品質を高める。
【解決手段】入力された受信信号から取得されたデータ、前記受信信号のレベルを表すレベル情報、および前記受信信号から検出された同期信号をそれぞれ出力する複数の無線受信回路21a,21bを備える。前記同期信号が検出された無線受信回路21a,21bから出力された同期信号を受信し、受信した同期信号の中のいずれかの同期信号に基づいて、前記複数の無線受信回路21a,21bがそれぞれ出力するレベル情報により表されるレベルの比較を行い、該比較の結果に基づき前記複数の無線受信回路21a,21bの中の一の無線受信回路21a,21bを選択するレベル比較回路22を備える。前記レベル比較回路22が選択した一の無線受信回路21a.21bの受信回路が出力するデータを選択的に出力するスイッチ5を備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、ダイバーシチ受信装置、およびダイバーシチ受信装置を装置の一部として備える各種電子装置に関する。
無線伝送の分野では、送信された電波の一部がビルの壁面などに反射した結果、経路の異なる複数の電波が受信点に到達して干渉しあうマルチパスフェージングの問題が知られている。スペースダイバーシチは、マルチパスフェージング対策のための技術として一般に知られている技術である。スペースダイバーシチには、複数の受信系統によりそれぞれ受信した電波のうち品質の良い方を選択する切替方式と、複数の受信系統によりそれぞれ受信した電波を合成する合成方式がある。
近年、移動体通信などに用いられる変調方式として、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal frequency Division Multiplex)変調方式が注目されている。OFDM方式では、一連のデータを送信側で周波数帯域が隣接する複数の搬送波(サブキャリア)に分配してから変調して伝送する。受信側では、分配されたデータを合成することにより、送信側から送られた一連のデータを再生する。OFDMのようなマルチキャリア伝送方式では、サブキャリアごとに上記切替えや合成を行う受信方式が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
特開平9−284191号公報 浜住、伊藤、宮沢、「広帯域信号移動受信用大域分割型ダイバーシチ合成受信方式の特性」、電子情報通信学会論文誌 B−II Vol.J80−B−II No.6 pp466−474、1997年6月
本発明は、切替型のスペースダイバーシチ方式を適用した受信装置その他の電子装置において、複数の受信系統により受信した信号のレベルを比較判定するときに生じる問題を解決し、正確な判定に基づいて常に最良の信号が選択されるようにすることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するための装置として、次の2種類のダイバーシチ受信装置を提供する。また、本発明は、次の2種類のダイバーシチ受信装置を構成要素として有する電子装置を提供する。
第1のダイバーシチ受信装置は、以下に説明する複数の無線受信手段、レベル比較手段および選択出力手段を備えることを特徴とする。
各無線受信手段は、アンテナレベル情報出力回路と、自動利得制御回路と、受信回路を備える。アンテナレベル情報出力回路は、アンテナから入力されたマルチキャリア伝送方式の受信信号のレベルを検出して、そのレベルを表すアンテナレベル情報を出力する回路である。自動利得制御回路は、受信信号を所定範囲のレベルになるようにレベル調整して出力する回路である。受信回路は、自動利得制御回路が出力する信号からサブキャリアごとのデータを取得して出力するとともに、自動利得制御回路が出力する信号のサブキャリアごとのレベルを検出して、そのレベルを表すサブキャリアレベル情報を出力する回路である。
レベル比較手段は、各無線受信手段のアンテナレベル情報出力回路が出力するアンテナレベル情報を利用して各無線受信手段の受信回路が出力するサブキャリアレベル情報が表すレベルの比較をサブキャリアごとに行い、比較の結果に基づき複数の無線受信手段の中の一の無線受信手段をサブキャリアごとに選択する手段である。例えば、サブキャリアレベル情報が表すレベルにアンテナレベル情報が表すアンテナレベルの値を乗じた乗算値の比較を行い、その値が最も大きい無線受信手段を前記一の無線受信手段として選択する。
選択出力手段は、レベル比較手段が選択した無線受信手段の受信回路が出力するデータを選択的に出力する選択出力手段とを備える。
無線受信手段の数が2系統である場合には、レベル比較手段は、第1の無線受信手段のアンテナレベル情報出力回路が出力するアンテナレベル情報が表すアンテナレベルと第2の無線受信手段のアンテナレベル情報出力回路が出力するアンテナレベル情報が表すアンテナレベルの比に、第1の無線受信手段の受信回路が出力したサブキャリアレベル情報が表すレベルの値を乗じて得た値を、第2の無線受信手段の受信回路が出力したサブキャリアレベル情報が表すレベルと比較することによって、サブキャリアレベル情報が表すレベルの比較を行うとよい。この場合、乗算回数が減り、処理が簡単になる。
また、レベル比較手段は、第1のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルと第2のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルの差が所定値よりも小さいという条件が満たされる場合を除いて、アンテナレベル情報をサブキャリアレベルが表すレベルの比較に利用してもよい。また、第1のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルと第2のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルのうち少なくとも一方のアンテナレベルが所定値よりも小さいという条件が満たされる場合を除いて、アンテナレベル情報を利用してもよい。不要な乗算処理を行わず処理を簡単にするためである。
さらに、ダイバーシチ受信装置に、デシベルを単位として表した値と該値を十進数に換算した値との対応付けを変換テーブルとして記憶する変換テーブル記憶手段を備え、レベル比較手段が、第1のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルと第2のアンテナレベル情報が表すアンテナレベルの比をデシベルを単位として表した値として求め、その値を変換テーブル記憶手段が記憶する変換テーブルを参照することにより十進数に換算し、換算により求められた値に第1の無線受信手段の受信回路が出力したサブキャリアレベル情報が表すレベルの値を乗ずることを可能にしてもよい。デシベル値から十進数への換算には多くのビット数を要するが、変換テーブルによりこれが不要になるため、回路構成が簡素化される。
また、レベル比較手段は、受信信号が、所定の制御情報を含むプリアンブルシンボルとユーザデータを含む1以上のデータシンボルとにより構成される信号である場合に、プリアンブルシンボルについて前記比較を行って一の無線受信手段を選択し、データシンボルについては、サブキャリアごとに選択された無線受信手段と同じ無線受信手段を選択するようにしてもよい。
第2のダイバーシチ受信装置は、次の複数の無線受信手段、レベル比較手段および選択出力手段を備えることを特徴とする。各無線受信手段は、入力された受信信号から取得されたデータ、受信信号のレベルを表すレベル情報、および前記受信信号から検出された同期信号をそれぞれ出力する。
また、レベル比較手段は、同期信号が検出された無線受信手段から出力された同期信号を受信し、受信した同期信号の中のいずれかの同期信号に基づいて、複数の無線受信手段がそれぞれ出力するレベル情報により表されるレベルの比較を行い、比較の結果に基づき複数の無線受信手段の中の一の無線受信手段を選択する。例えば、同期信号が検出された無線受信手段が出力するレベル情報についてレベルの比較を行い、同期信号が検出された無線受信手段の中から、出力したレベル情報が表すレベルが最も高い無線受信手段を一の無線受信手段として選択する。
選択出力手段は、レベル比較手段が選択した一の無線受信手段の受信回路が出力するデータを選択的に出力する。
本発明のダイバーシチ受信装置および電子装置は、複数の無線受信手段により受信した信号のレベルを比較する回路に対し、正確なレベル判定に必要な情報あるいは信号を供給することによって、判定の精度を高めるものである。これにより、ダイバーシチ受信機能が従来にも増して有効に機能し、通信の品質が高まる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明のダイバーシチ受信装置の第1の実施の形態であるOFDM受信装置の構成を示す図である。
図に示すように、OFDM受信装置10は、アンテナ1aと、アンテナ1aから入力されたOFDM信号を所定範囲のレベルになるようにレベル調整する自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)回路2aと、AGC回路2aが出力する信号からサブキャリアごとのデータを取得する受信回路3aとにより構成された第1の無線受信手段と、アンテナ1b、AGC回路2b、受信回路3bにより構成され、第1の無線受信手段と同じように動作する第2の無線受信手段を備える。
OFDM受信装置10は、さらに、第1の無線受信手段により受信した信号と第2の無線受信手段により受信した信号のレベルをサブキャリアごとに比較するレベル比較回路4を備える。また、OFDM受信装置10は、レベル比較回路4が出力する比較結果に基づいて第1の無線受信手段と第2の無線受信手段のうち信号のレベルが高い受信系統を選択して、その受信系統から出力されるサブキャリアごとの受信データをサブキャリアごとに選択出力するスイッチ5(選択出力手段)を備える。また、OFDM受信装置10は、スイッチ5により選択的に出力されたサブキャリアごとの受信データを合成することにより、送信側で送信された一連のデータを再生するデータ処理回路6を備える。
以下、第1の無線受信手段を構成するアンテナ1a、AGC回路2a、受信回路3aを例にあげて、第1および第2の無線受信手段の動作について説明する。
AGC回路2aは、アンテナ1aから入力された信号のレベルが常に一定になるように増幅器の利得を制御して信号の増幅を行い、増幅された信号を出力する。アンテナ1aから入力される信号のレベルは、AGC回路2aの増幅器により、例えば増幅器の検波出力の電圧などとして検出される。AGC回路2aは、検出した値に基づいて、増幅器の利得を調整する。
ここで、従来のダイバーシチ受信装置では、アンテナ1aから入力される受信信号のレベルは、AGC回路2aの増幅器の利得制御の目的でのみ用いられていた。しかし、本実施の形態のOFDM受信装置10では、AGC回路2aは、アンテナ1aから入力された信号のレベルから受信信号強度指標(RSSI:Receive Signal Strength Indication)を計算し、図に示すように、アンテナレベル情報としてレベル比較回路4に供給する。すなわち、本実施の形態におけるAGC回路2aは、AGC回路として動作するとともに、アンテナレベル情報を取得し出力するアンテナレベル情報出力回路としても動作する。
受信回路3aは、AGC回路2aから出力された信号を復調することによりサブキャリアごとに受信データを取得する。また、受信回路3aは、AGC回路2aから出力される信号のレベルを検出する。信号のレベルは、受信回路3aに含まれるFFT回路によりAGC回路2aから供給された信号をフーリエ変換することにより求められた周波数スペクトルから、サブキャリアの周波数間隔ごとに信号のレベルを計算することによって求められる。詳細には、信号のレベルは、サブキャリアごとに信号の水平成分Iと直交成分Qを求め、式(1)に示すように水平成分Iの二乗と直交成分Qの二乗の和のルートを計算することにより得られる。
Figure 2008136255
但し、二乗計算は複雑であるため、本実施の形態では、式(1)に代えて、式(2)に示すような近似式を用いて計算を行っている。
k番目のサブキャリアの信号レベル = (I+Q) … (2)
なお、式(1)、(2)に示すように、本明細書では、サブキャリアを番号k(1〜N、但しNはサブキャリアの総数)により区別するものとする。また、サブキャリアごとの信号のレベルは、受信信号全体のレベルと区別するため、以下、「サブキャリアレベル」と称することとする。
例えばサブキャリア数N=64である場合には、(I+Q)k=1〜(I+Q)k=64までの、64のサブキャリアレベルを表す情報(以下、サブキャリアレベル情報と称する)が、受信回路3aから順次または同時に出力され、レベル比較回路4に供給される。
次に、レベル比較回路4について詳細に説明する。前述のように、レベル比較回路4には、AGC回路2aおよびAGC回路2bから出力されるアンテナレベル情報RSSIと、受信回路3aおよび受信回路3bから出力されるサブキャリアレベル情報(I+Q)が供給される。以下、第1の無線受信手段から供給された信号などには「1」の数字を、第2の無線受信手段から供給された信号などには「2」の数字を付すこととする。例えば、第1の無線受信手段から供給されるRSSI情報はRSSI1、第2の無線受信手段から供給されるサブキャリアレベル情報は(I2+Q2)kのように表記する。
図2は、レベル比較回路4の詳細な構成を示す図である。図中の破線7は、従来と異なる部分を示している。すなわち、従来のダイバーシチ受信装置のレベル比較回路では、受信回路からサブキャリアごとに供給されるサブキャリアレベル情報が、そのまま比較器8に入力され、比較されていた。しかし、OFDM受信装置10のレベル比較回路4では、破線7に囲まれた部分に示されるように、受信回路3aから供給されたサブキャリアレベル情報が表すレベル(I1+Q1)kに、AGC回路2aから供給されたアンテナレベル情報が示す受信信号強度指標RSSI1を乗算することにより得られた信号と、受信回路3bから供給されたサブキャリアレベル情報が表すレベル(I2+Q2)kに、AGC回路2bから供給されたアンテナレベル情報が示す受信信号強度指標RSSI2を乗算することにより得られた信号とが、比較器8に入力される。これは、比較器8が、次の(3)式で表される値が1より大きいか小さいかを判定することに他ならない。
[(I1+Q1)×RSSI1]/[(I2+Q2)×RSSI2]…(3)
この構成によれば、次の問題点を解決することができる。前述のように、AGC回路を搭載したダイバーシチ受信装置では、アンテナから入力された信号のレベルが低い場合でも、AGC回路が出力する信号のレベルは、ほぼ一定になる。しかし、レベルが低くAGC回路により大幅に増幅された信号はノイズを多く含むため、スペクトル全域にわたり信号対雑音比(SN比)が小さくなる。すなわち、通信品質が劣る。
十分な通信品質を確保するためには、第1、第2の無線受信手段が出力する信号のうち、SN比が大きい方の信号を選択することが好ましい。しかし、AGC回路が出力する信号のレベルはほぼ一定である。このため、レベル比較回路により単純に信号レベルの比較を行った場合、第1の無線受信手段が出力する信号が選択される可能性と、第2の無線受信手段が出力する信号が選択される可能性は、ほぼ同じと考えてよい。これは、SN比の小さい信号、すなわち通信品質が劣る信号が選択される可能性があることを意味している。
これに対し、本実施の形態のOFDM受信装置10では、レベル比較回路4は、AGC回路2a、2bによりレベル調整される前の信号レベルを表すアンテナレベル情報を利用して、サブキャリアレベルの比較を行う。このため、受信回路3a、3bから出力されたサブキャリアレベル情報が同程度のレベルを表していたとしても、アンテナレベルが高い方の無線受信手段で受信された信号が選択される。すなわち、SN比の大きい方の信号が選択され、十分な通信品質を確保することができる。
ここで、図1および図2のレベル比較回路4は、以下に説明する図3のレベル比較回路9に置き換えることもできる。
前述のように、比較器8は、前述の(3)式が示す値に基づいて、レベルの大小を判定しているが、上記(3)式は、次の(4)式のように書き換えることができる。さらに、(4)式は、(5a)式あるいは(5b)式のように書き換えることができる。
[(I1+Q1)/(I2+Q2)]×[RSSI1/RSSI2]…(4)
[(I1+Q1)×(RSSI1/RSSI2)]/(I2+Q2)…(5a)
(I1+Q1)/[(I2+Q2)×(RSSI2/RSSI1)]…(5b)
この際、(3)式と(5a)、(5b)式は実質的には同じであるため、比較器8は(5a)、(5b)式が示す値に基づいても、レベルの大小を判定することができる。レベル比較回路9は、この関係を利用することにより処理を簡素化した回路である。
(3)式に基づいて回路を構成する場合には、レベル比較回路は、(I1+Q1)×RSSI1の計算と、(I2+Q2)×RSSI2の計算、すなわち2回の乗算を行う必要がある。しかし、(5a)式では、(I1+Q1)×(RSSI1/RSSI2)の1回の乗算を行うだけでよい。乗算に先立ち、RSSIの比(RSSI1/RSSI2)を計算しておく必要があるが、RSSIをデシベル値として処理すれば、RSSI1/RSSI2は引き算により簡単に求めることができる。また、計算をデシベル値で行う場合、一般に十進数で計算する場合に比べて扱う値は小さくなるため、計算に使用する記憶領域も少なくてよい。(5b)式の場合も同様である。
以下、レベル比較回路9の構成および動作について説明する。レベル比較回路9は、図3に示すように、AGC回路2aから供給されたアンテナレベル情報RSSI1とAGC回路2bから供給されたアンテナレベル情報RSSI2について所定の判定処理を行って出力値AおよびBを出力する判定回路11を備える。
判定回路11は、まず、AGC2aから供給された値RSSI1と、AGC2bから供給された値RSSI2の比を求める。前述のように、RSSIの比は、デシベル値の引き算を行うことにより簡単に求めることができる。判定回路11は、この計算結果からRSSI1がRSSI2よりも大きいと判定した場合には、図に示すように出力値としてA=RSSI1/RSSI2、B=1という値を出力する。一方、RSSI2がRSSI1よりも大きいと判定した場合には、判定回路11は、出力値としてA=1、B=RSSI2/RSSI1という結果を出力する。
図に示すように、受信回路3aから供給されたサブキャリアレベル情報の値(I1+Q1)に対しては、出力値Aが乗算される。また、受信回路3bから供給されたサブキャリアレベル情報の値(I2+Q2)に対しては、出力値Bが乗算される。しかし、前述のように、AまたはBのいずれか一方の値は1であるため、実質的には行われる乗算処理は1回である。
比較器8には、RSSIが大きい方の系のサブキャリアレベルの値にRSSIの比を乗算した値と、RSSIが小さい方の系のサブキャリアレベルの値とが入力される。比較器8は、入力された2つの値の比、すなわち(5a)あるいは(5b)式が表す値に基づいて、レベルの大小を判定する。
以上に説明したように、(5a)式、(5b)式に基づいて構成されたレベル比較回路9は、回路の構成および処理ともに、レベル比較回路4よりも簡単になる。
次に、判定回路11の他の処理例を示す。以下に示す例は、アンテナレベル情報を利用することにより得られる効果が大きい場合にのみ、レベル比較回路9が乗算処理を行うようにした例である。判定回路11は、乗算処理が不要と判定した場合には、出力値A,Bをいずれも1に設定する。図3に示す回路構成から明らかであるように、判定回路11の出力値がA=1、B=1の場合には、実質的には乗算処理は行われない。
判定回路11は、以下の3つの条件が満たされているか否かを判定する。第1の判定は、OFDM受信装置の設定が、ダイバーシチ受信においてアンテナレベル情報(RSSI)を考慮するという設定になっているか否かの判定である。例えば、アンテナにおける受信レベルが正しく検出できず、アンテナレベル情報が不正確な場合には、アンテナレベル情報を利用することは必ずしも通信品質の向上にはつながらず、むしろ品質を劣化させる可能性がある。そこで、OFDM受信装置の使用者が所定の操作を行うことにより、アンテナレベル情報を考慮するか否かを選択できるようにしておく。
上記所定の操作により設定された設定値は、OFDM受信装置が備えるレジスタ内に記憶される。あるいは、OFDM受信装置の使用者が必要に応じて外部から判定回路11に対して指示信号を供給できるようにしてもよい。判定回路11は、レジスタ内の値または供給された指示信号が示す値を参照することにより判定を行う。RSSI考慮の指定がされていなければ、判定回路11は、A=1、B=1を出力する。
第2の判定は、RSSI1とRSSI2の差が所定値より小さいか否かの判定である。差が所定値よりも小さい場合には、2つのアンテナの受信レベルが均等であるため、どちらの無線受信手段の信号が選択されても通信品質に差は生じない。したがって、乗算処理による補正は不要である。
判定回路11は、式(6)に示すように、RSSI1(dB)とRSSI2(dB)の差の絶対値と所定値Xとを比較することにより、第2の判定を行う。所定値Xは、例えば1〜2dB程度とする。
|RSSI1(dB)―RSSI2(dB)| < X …(6)
式(6)の条件が満たされている場合には、判定回路11は、A=1、B=1を出力する。なお、第2の判定は、例えば十進数表現のRSSI1とRSSI2の比を所定値と比較することによって判定してもよい。例えば、RSSI1とRSSI2の比が1に近い値(例えば0.9〜1.1の範囲の値)である場合に、判定回路11がA=1、B=1を出力するようにしてもよい。
第3の判定は、サブキャリアレベルの値(I1+Q1)、(I2+Q2)が所定値よりも小さいか否かの判定である。アンテナにより受信された信号は、正常な動作の下ではAGC回路により一定レベルに保たれるので、サブキャリアレベルの値が小さい場合には、そのサブキャリアレベル情報の信頼度は低いと考えられる。この場合、信頼度の低い情報をダイバーシチ処理に用いることは好ましくない。
判定回路11は、式(7)に示すように、サブキャリアレベル(I1+Q1)、(I2+Q2)と、所定値Yとをそれぞれ比較することにより、第3の条件を判定する。所定値Yは、例えば5とする。
(I1+Q1) < Y または (I2+Q2) < Y … (7)
式(7)の条件が満たされている場合には、判定回路11は、A=1、B=1を出力する。
図4は、上記3つの判定を行う判定回路11の処理を示すフローチャートである。判定回路11は、まずステップS101において前記第1の判定を行う。判定回路11は、RSSI考慮が指定されていない場合には、ステップS107においてA=B=1を出力する。RSSI考慮が指定されている場合には、ステップS102の処理へと進む。
ステップS102では、前記第2の判定が行われる。判定回路11は、前記式(6)の条件が満たされていれば、ステップS107においてA=B=1を出力し、満たされていなければ、ステップS103の処理へと進む。
ステップS103では、前記第3の判定が行われる。判定回路11は、前記式(7)の条件が満たされていれば、ステップS107においてA=B=1を出力し、満たされていなければ、ステップS104の処理へと進む。
ステップS104、S105およびS106の処理は、図3を参照して説明した処理と同じである。すなわち、判定回路11は、ステップS104においてRSSI1とRSSI2の大小を比較し、RSSI1がRSSI2よりも大きければステップS106において、出力値としてA=RSSI1/RSSI2、B=1という値を出力する。一方、RSSI2がRSSI1よりも大きければ、ステップS105において、出力値としてA=1、B=RSSI2/RSSI1という値を出力する。
次に、上記ステップS104、S105およびS106の処理を、さらに簡単にするための工夫について説明する。前述のようにRSSIの比はデシベル値として計算する場合には引き算として簡単に求めることができる。しかし、判定回路11の出力値AあるいはBは、サブキャリアレベル(I1+Q1)あるいは(I2+Q2)と乗算されるため、判定回路11は、出力値AあるいはBを十進数表現の値として出力する必要がある。
そこで、デシベル計算したRSSIの比を簡単に十進数表現の値に変換できるように、予め、図5に示すような変換テーブルをメモリあるいはレジスタに記憶しておく。これにより、ステップS105あるいはS106の処理では、十進数表現への変換のための計算が不要になり、単に変換テーブルを参照することによってデシベル値を十進数に置き換えればよいことになる。
以下、変換テーブルについて、RSSIの値が0から147dBまでの値をとり得る場合を例にあげて、さらに説明する。なお、I、Qは、それぞれ12ビットの整数であり、I+Qは、十進数表現で0〜4095までの値をとり得るものとする。この場合、式(4)の(I1+Q1)/(I2+Q2)の値は、十進数表現で、4095〜1、0、1/2〜1/4095のいずれかの値となる。
RSSIの値が0から147dBまでの値をとり得る場合には、RSSIの比、すなわちRSSI1(dB)−RSSI2(dB)の絶対値もまた、0から147dBまでの範囲の値をとり得ることになる。147dBは、10進数表現に直すと、10exp(147/10)≒5.012×10exp(14)であるため、この値を変換テーブルに記憶しようとすると多くのビット数を要することになる。しかし、以下の関係に着目した場合には、変換テーブルの記憶に要するビット数を大幅に節減することができる。
(I1+Q1)/(I2+Q2)が4095〜1の範囲の値で、RSSIの比が1/4096(=−36.1dB)以下の場合には、(4)式の値は、常に1以下になる。一方、(I1+Q1)/(I2+Q2)が4096以上の値で、RSSIの比が4096(=36.1dB)以上の場合には、(4)式の値は、常に1以上になる。したがって、RSSI1(dB)−RSSI2(dB)の絶対値が36.1dB以上の場合には、ステップS105における出力値B、あるいはS106における出力値Aとして、必ずしもステップS104において求めたRSSIの比を十進数に変換した正確な値を出力しなくても、比較器8が判定を誤ることはない。
そこで、例えば図5に例示する変換テーブルのように、RSSI1(dB)−RSSI2(dB)の絶対値が37dB以上の場合に対応する値としては、一律に37dBの変換値である5011を記憶しておけばよい。但し、36dBの対応値との区別がつけば、この値は必ずしも5011でなくてもよい。例えば、5011という値を記憶するためには13ビット必要であるが、4095とすれば12ビットで足りる。よって、RSSI1(dB)−RSSI2(dB)の絶対値が37dB以上の場合に対応する値として4095という値を記憶しておけば、変換テーブルの記憶に使用される記憶領域を節約することができる。
次に、比較器8により正確な比較を行うための、さらなる工夫について説明する。前述のように、本来式(1)により求めるべき受信レベルを、式(2)の近似式によって求めた場合、雑音による位相変動などが原因で、レベル比較回路が判定を誤ることがある。レベル比較回路の判定誤りは、データ処理回路6の処理にも影響する可能性がある。
そこで、受信回路3aおよび3bが受信データを取得する度にレベル比較を行うのではなく、比較的正確に検出できたサブキャリアレベルの情報を、複数回の比較に利用することによって、判定誤りの可能性を低減する。
OFDMのパケット信号は、図6に示すように、複数のシンボルにより構成されている。パケットの先頭に配置されるプリアンブルシンボルは、AGC用シンボル、同期用シンボル、位相基準シンボルなど、通信制御に必要な各種シンボルを含むシンボルである。ユーザのデータはプリアンブルシンボルに続いて配置される(図の第1、第2、第3シンボル)。
前述のように、受信回路3a、3bは、シンボルごとにFFT演算を行ってサブキャリアレベルを取得し、サブキャリアレベル情報をレベル比較回路4に供給する。しかし、レベル比較回路4は、第1、第2、第3シンボルについては、供給されたサブキャリアレベル情報ではなく、プリアンブルシンボルについて取得されたサブキャリアレベル情報を利用してレベルの大小の判定を行う。パケットの先頭部分は位相変動の影響を受けにくく、式(1)と式(2)の差が比較的小さいことを利用したものである。
実施の形態2.
図7は、本発明のダイバーシチ受信装置の第2の実施の形態であるOFDM受信装置の構成を示す図である。図に示すように、OFDM受信装置20は、アンテナ1a、アンテナ1aが出力する信号からサブキャリアごとのデータを取得する受信回路21aからなる第1の無線受信手段と、アンテナ1b、受信回路21bにより構成され、第1の無線受信手段と同じように動作する第2の無線受信手段とを備える。
OFDM受信装置20は、さらに、受信回路21aと受信回路21bにおいてそれぞれ検出された出力信号のレベルを比較するレベル比較回路22と、レベル比較回路22が出力する判定結果に基づいて受信回路21aと受信回路21bから出力される受信データのうちレベルが高い方の受信データを選択して出力するスイッチ5と、スイッチ5により選択出力されたサブキャリアごとのデータを合成することにより送信側で送信された一連のデータを再生するデータ処理回路6を備える。
以下、第1の無線受信手段を構成するアンテナ1a、受信回路21aを例にあげて、第1および第2の無線受信手段の動作について説明する。
受信回路21aは、アンテナ1aから入力された信号を復調することによりサブキャリアごとに受信データを取得する。また、受信回路21aは、アンテナ1aから入力された信号のレベルを検出する。信号のレベルは、受信回路21aに含まれる中間周波数増幅器の電界強度検出機能によって検出することができる。あるいは、受信回路21aに含まれるFFT回路によりアンテナ1aから入力された信号をフーリエ変換することにより求められた周波数スペクトルから、サブキャリアの周波数間隔ごとに信号のレベルを計算することによって求められる。この場合の計算は、第1の実施の形態の受信回路3aと同様の方法により行う。受信回路21aは、サブキャリアレベル情報を、同時または順次、出力して、レベル比較回路22に供給する。
また、受信回路21aは、受信信号の開始タイミングや、受信信号に含まれるデータの区切りのタイミングを表す同期信号を生成し、レベル比較回路22に供給する。詳細には、受信回路21aは、受信信号の先頭部分に付加されているプリアンブルシンボルの中に含まれる同期用シンボルを検出し、その検出タイミングに基づいて同期信号を発生させ、レベル比較回路22に供給する。レベル比較回路22、スイッチ5、およびデータ処理回路6は、いずれもこの同期信号に基づいて動作する。
但し、同期信号は前述のように受信信号から同期用シンボルを検出することにより生成されるため、受信信号のレベルが小さく同期用シンボルを検出できなければ、レベル比較回路22には同期信号は供給されない。
従来のダイバーシチ受信装置では、同期信号を生成してレベル比較回路に供給する受信回路は、いずれか1つの受信回路と定められていた。このため、その受信回路を含む受信系統の受信信号のレベルが小さく、同期信号がレベル比較回路に供給されなかった場合には、ダイバーシチ受信装置は動作することができなかった。例えば、同期信号を生成する系のアンテナが外された場合などには、他方のアンテナが十分に強い電波を受信したとしても、レベル比較回路は動作しない。さらには、レベル比較回路の判定結果を参照して動作するスイッチも動作しないため、データ受信そのものが行われなくなる。
これに対し、本実施の形態におけるOFDM受信装置20の場合には、受信回路21a、21bの両方がレベル比較回路22に同期信号を供給する機能を備えている。レベル比較回路22は、受信回路21a、21bの両方から同期信号が供給された場合には、予め決められた一方の受信回路(例えば受信回路21aとする)からの同期信号を参照することにより動作する。あるいは、平均レベルが高い方の受信系統の同期信号を参照することにより動作してもよい。また、受信回路21a、21bのいずれか一方の受信回路が同期用シンボルを検出できず、一方の受信回路からしか同期信号が供給されなかった場合には、レベル比較回路22は、供給された同期信号を参照することにより動作する。
このように、本実施の形態のOFDM受信装置では、レベル比較回路22に対し重複して同期信号を供給することによって、同期信号が供給されないことによる受信誤りや、装置の動作停止を防止することができる。
ここで、図7の構成では、データの選択出力はスイッチ5により制御されているが、図8に示すOFDM受信装置30のように、データ出力制御回路24とデータ処理回路23a、23bの組合せによってデータの選択出力を実現してもよい。
図8の構成では、データ出力制御回路24は、受信回路21aにより取得した受信データを選択するようレベル比較回路22から指示を受けた場合にはデータ処理回路23aに対し受信回路21aが出力したサブキャリアごとの受信データを合成して出力するように指示し、データ処理回路23bに対してはデータを出力しないように指示する。この場合、OFDM受信装置30の出力は、受信回路21aを含む第1の無線受信手段により受信されたデータとなる。
一方、データ出力制御回路24は、受信回路21bにより取得した受信データを選択するようレベル比較回路22から指示を受けた場合にはデータ処理回路23aに対しデータを出力しないように指示し、データ処理回路23bに対しては受信回路21bが出力したサブキャリアごとの受信データを合成して出力するように指示する。この場合、OFDM受信装置30の出力は、受信回路21bを含む第2の無線受信手段により受信されたデータとなる。
図7に示すダイバーシチ受信部20の構成では、データが複数ビットで構成される場合、スイッチ5の構造が複雑になる。しかし、図8に示すダイバーシチ受信部30の構成では、受信回路21aとデータ処理回路23a、受信回路21bとデータ処理回路23bが、それぞれ直接接続されており、データ出力制御回路24はデータ処理回路の出力のON/OFFを制御するだけでよい。したがって、回路の構造が簡単になる。なお、図8に示すデータ出力制御回路およびデータ処理回路23a、23bの構成は、第1の実施の形態に採用した場合にも、同様の効果を奏することは明らかである。
以上、2つの実施の形態と各実施の形態の変形例について説明したが、本発明について、他にも種々の実施の形態が考えられることは言うまでもない。例えば、上記各形態では、受信系統の数は2であったが、3以上の受信系統により受信を行う構成としてもよい。また、本発明は、OFDM受信装置に限らず、他のマルチキャリア方式の受信装置、あるいはシングルキャリア方式の受信装置にも適用可能である。
また、本明細書におけるダイバーシチ受信装置は、上記構成を有するあらゆる装置を意味し、装置の外観は問わない。すなわち、本明細書のダイバーシチ受信装置は、筐体を備えた箱形の受信装置としてのみならず、組込モジュールや、半導体チップとしても実施することもできる。
また、ダイバーシチ受信装置を備えた電子装置としては、携帯電話、携帯型情報端末、携帯型ゲーム機器、無線LANを利用するパソコンなどがある。また、ホームエレクトロ二クスの分野では、無線通信機能を備えたビデオ、テレビ、冷蔵庫などの家電製品も提案されている。本発明は、そのような、あらゆる電子装置を対象とする。
本発明のダイバーシチ受信装置の第1の実施の形態であるOFDM受信装置の構成を示す図である。 図1のレベル比較回路の詳細な構成を示す図である。 レベル比較回路の他の構成例を示す図である。 判定回路の他の処理例を示すフローチャートである。 デシベル表記と十進数表記の変換テーブルの例を示す図である。 OFDM方式におけるパケット信号の構成概要を示す図である。 本発明のダイバーシチ受信装置の第2の実施の形態であるOFDM受信装置の構成を示す図である。 選択出力手段の他の構成を示す図である。
符号の説明
1a,1b アンテナ、 4,9 レベル比較回路、 5 スイッチ、 7 従来との相違箇所、 10,20,30 OFDM受信装置、 A,B 出力値、 I 信号の水平成分、 Q 信号の直交成分、 k サブキャリア番号。

Claims (3)

  1. 入力された受信信号から取得されたデータ、前記受信信号のレベルを表すレベル情報、および前記受信信号から検出された同期信号をそれぞれ出力する複数の無線受信手段と、
    前記同期信号が検出された無線受信手段から出力された同期信号を受信し、受信した同期信号の中のいずれかの同期信号に基づいて、前記複数の無線受信手段がそれぞれ出力するレベル情報により表されるレベルの比較を行い、該比較の結果に基づき前記複数の無線受信手段の中の一の無線受信手段を選択するレベル比較手段と、
    前記レベル比較手段が選択した一の無線受信手段の受信回路が出力するデータを選択的に出力する選択出力手段とを備えることを特徴とするダイバーシチ受信装置。
  2. 前記レベル比較手段は、前記同期信号が検出された無線受信手段が出力するレベル情報を参照して前記レベルの比較を行い、前記同期信号が検出された無線受信手段の中から、出力したレベル情報が表すレベルが最も高い無線受信手段を前記一の無線受信手段として選択することを特徴とする請求項1記載のダイバーシチ受信装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたダイバーシチ受信装置を一部として備える電子装置。
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