本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細をさまざまに変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
(実施の形態1)
本発明は、フォトレジストを用いたリソグラフィー技術を用いることなく、所望の領域に開口を形成することを特徴とする。本実施の形態では、導電層同士を電気的に接続するための開口を被照射体に形成する。以下、本発明を適用して被照射体に開口を形成する方法の一形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1(A)に、本発明を適用して開口を形成する被照射体の構造の一例を示す。被照射体は、基板10上に導電層12、第1材料層14、第2材料層16が順次積層された構造である。被照射体に対し、第2材料層16側から、第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20を重畳するように照射する。被照射体において、第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20が重畳して照射された領域を重畳照射領域22とする(図1(A)参照)。
基板10は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、半導体基板等を用いる。基板10上に下地絶縁層を形成してもよい。その場合、下地絶縁層は、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)等の絶縁材料を用いて形成する。
導電層12は、導電材料を用いて形成する。例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属元素、又は当該金属元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。化合物材料としては、窒素化合物、酸素化合物、炭素化合物、ハロゲン化合物などを用いることができ、具体的には窒化アルミニウム、窒化タングステン、窒化タンタル等が挙げられる。導電層12は、これらの導電材料のうち1つ又は複数の材料を用いて、スパッタリング法、CVD法等により、単層構造又は積層構造で形成することができる。
第1材料層14は、照射される第1のレーザビーム18を吸収することができる材料を用いて形成する。例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属元素、又は当該元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。化合物材料としては、窒素化合物、酸素化合物、炭素化合物、ハロゲン化合物などを用いることができる。その他、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、酸化インジウム、リン化インジウム、窒化インジウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸ストロンチウム等の半導体材料を用いることができる。また、硫化亜鉛、窒化シリコン、硫化水銀、塩化アルミニウム等を用いることができる。第1材料層14は、これらの材料のうち1つ又は複数を用いて、蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法等により、単層構造又は積層構造で形成する。また、第1材料層14に、水素や不活性気体(ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)等の希ガス)を添加することもできる。第1材料層14に水素や不活性気体を添加することで、後にレーザビームを照射する際、第1材料層14内での気体の放出や蒸発を起こしやすくすることができる。なお、第1材料層14は、下層に設けられた導電層12の融点の温度よりも、沸点又は昇華点の温度が低い材料を用いて形成するのが好ましい。このような材料を用いて第1材料層14を形成することで、レーザアブレーションの際に下層の導電層12に与えるダメージを防止できる。
第2材料層16は、照射される第2のレーザビーム20を吸収することができる材料を用いて形成する。また、第2材料層16は、第1のレーザビーム18を透過することができる材料を用いて形成する。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁材料、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ樹脂等の有機絶縁材料等を用いることができる。第2材料層16は、これらの材料のうち1つ又は複数を用いて、スパッタリング法、CVD法、塗布法等により、単層構造又は積層構造で形成する。
第1のレーザビーム18は、第1材料層14に吸収される波長を有し、第2のレーザビーム20と重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有することを特徴とする。第1のレーザビーム18の発振波長は、第1材料層14の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第1のレーザビーム18の発振波長が可視光線よりも長く(ここでは可視光線を含む)、具体的には400nm以上であることが望ましい。
上述するように、第1のレーザビーム18の波長は第1材料層14を構成する材料によって決定される。例えば、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ、He、He−Cd、Ar、He−Ne等の気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とする固体レーザ、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ等を用い、これらのレーザの発振波長を適宜設定することで、所望の波長を有する第1のレーザビーム18を得ることができる。ここで、ピコ秒レーザはパルス幅がピコ秒(10−12秒乃至10−10秒)台のレーザビームを射出するレーザである。フェムト秒レーザは、パルス幅がフェムト秒(10−15秒乃至10−13秒)台のレーザビームを射出するレーザである。第1のレーザビーム18を400nm以上の波長を有するレーザビームとする場合は、400nm以上の領域に強い発振波長を有するHe−Cdレーザ(440nm)、He−Neレーザ(632.8nm)、Arレーザ(488nm、514.5nm)、YAGレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ等の固体レーザの基本波(1054nm乃至1064nm)、当該固体レーザの第2高調波(527nm乃至532nm)、GaAlAsレーザ(780nm)等を用いるのが好ましい。なお、第1のレーザビーム18は、連続発振のレーザビームとパルス発振のレーザビームのどちらを用いても構わない。
第2のレーザビーム20は、第2材料層16に吸収される波長を有し、被照射体に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有することを特徴とする。第2のレーザビーム20の発振波長は、第2材料層16の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第2のレーザビーム20の発振波長が可視光線よりも短い(ここでは可視光線を含まない)紫外線の波長程度であり、具体的には400nm以下であることが望ましい。
第2のレーザビーム20の波長は、第2材料層16を構成する材料によって決定される。例えば、KrF、ArF、XeCl、XeF等のエキシマレーザ、He、He−Cd、Ar、He−Ne等の気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、YLF、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とする固体レーザ、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ等を用い、これらのレーザの発振波長を適宜設定することで、所望の波長を有する第2のレーザビーム20を得ることができる。なお、ピコ秒レーザはパルス幅がピコ秒(10−12秒乃至10−10秒)台のレーザビームを射出するレーザである。フェムト秒レーザは、パルス幅がフェムト秒(10−15秒乃至10−13秒)台のレーザビームを射出するレーザである。第2のレーザビーム20を400nm以下の波長を有するレーザビームとする場合は、400nm以下の領域に強い発振波長を有する紫外レーザを用いるのが好ましく、XeFエキシマレーザ(351nm)、XeClエキシマレーザ(308nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、YAGレーザの第3高調波(355nm)等を用いるのが好ましい。なお、第2のレーザビーム20は、連続発振のレーザビームとパルス発振のレーザビームのどちらを用いても構わない。
被照射体に照射された第1のレーザビーム18は第1材料層14で吸収され、第2のレーザビーム20は第2材料層16で吸収される。第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20は重畳するように照射されている。なお、重畳照射領域22は、第2材料層16において第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20が重畳して照射された領域と、上層の第2材料層16において第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20が重畳して照射された領域に対応する第1材料層14の領域を含む(図1(A)参照)。第1材料層14は、重畳照射領域22でアブレーションされ、上層の第2材料層16の重畳照射領域22とともに除去される。その結果、開口24が形成される。開口24の底面では、導電層12が露出する(図1(B)参照)。
被照射体に第2のレーザビーム20を照射することで、第2材料層16が加熱される。そして、第2のレーザビーム20と重畳するように第1のレーザビーム18を照射し、被照射体の一部(重畳照射領域22)をアブレーションさせ、開口を形成している。このとき、第2のレーザビーム20が照射された領域の第2材料層16は予め加熱されているため、第2材料層16の加熱されている領域を構成する材料の結合(化学結合も含む)が弱まっており、アブレーションされやすくなっている。よって、第2のレーザビーム20と重畳するように第1のレーザビーム18を照射することで、被照射体の一部を容易にアブレーションさせることが可能になる。
また、第2のレーザビーム20を照射した領域の第2材料層16を構成する材料の結合を弱めることができるため、第1のレーザビーム18のエネルギーを小さくすることが可能になる。よって、第1材料層14よりも下方にある層や基板へのレーザビームの照射によるダメージを防止することができる。
なお、第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20の照射は、(1)第2のレーザビーム20を照射している間に第1のレーザビーム18を照射する方式、(2)第2のレーザビーム20と同時に第1のレーザビーム18を照射する方式、のいずれを用いてもよい。
ここで、図1(A)を斜めから見た模式図を図3(A)に示す。図3(A)において、第1のレーザビーム18による第1ビームスポット19、第2のレーザビーム20による第2ビームスポット21が被照射体に形成されている。ここでは、第1ビームスポット19の面積S1は、第2ビームスポット21の面積S2よりも小さくなっている。つまり、S1<S2となるように、第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20を適宜調整して照射している。被照射体は、第1のレーザビーム18及び第2のレーザビーム20が重畳して照射された領域(重畳照射領域22)でアブレーションされる。図3(A)において、第1のレーザビーム18のビーム径W1を、第2のレーザビーム20のビーム径W2よりも小さくすると、容易にS1<S2とすることができる。なお、本明細書におけるビーム径は、レーザビームの進行方向(光軸)に対して垂直方向の断面のエネルギー強度分布を見た場合、ピーク値の1/e2レベルのビーム強度の幅で定義されるものとする。
また、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームは一部が重畳するように照射すればよく、図1(A)に限定されるものではない。例えば、図2(A)、(B)に示すようにレーザビームを照射してもよい。
まず、図2(A)について説明する。被照射体は、図1(A)に示す被照射体と同じであり、基板10上に導電層12、第1材料層14、第2材料層16が順次積層された構造を有する。被照射体に対し、第2材料層16側から第1のレーザビーム30及び第2のレーザビーム32を重畳するように照射している。被照射体において、第1のレーザビーム30及び第2のレーザビーム32が重畳して照射された領域を重畳照射領域34とする。
第1のレーザビーム30は、図1(A)の第1のレーザビーム18と同様の条件を満たすものである。つまり、第1材料層14に吸収される波長を有し、第2のレーザビーム32と重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有することを特徴とする。また、第2のレーザビーム32も図1(A)の第2のレーザビーム20と同様の条件を満たすものであり、第2材料層16に吸収される波長を有し、被照射体に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有することを特徴とする。被照射体に照射された第1のレーザビーム30は第1材料層14で吸収され、第2のレーザビーム32は第2材料層16で吸収される。
図3(B)は図2(A)を斜めから見た模式図に相当する。図3(B)において、第1のレーザビーム30による第1ビームスポット31、第2のレーザビーム32による第2ビームスポット33が被照射体に形成されている。ここでは、第1ビームスポット31の面積S1及び第2ビームスポット33の面積S2がほぼ同じになっている。つまり、S1≒S2となるように、第1のレーザビーム30及び第2のレーザビーム32を適宜調整して照射している。被照射体は、第1のレーザビーム30及び第2のレーザビーム32が重畳して照射された領域(重畳照射領域34)でアブレーションされる。図3(B)において、第1のレーザビーム30のビーム径W1及び第2のレーザビーム32のビーム径W2を同じにすると、容易にS1≒S2とすることができる。
図2(B)についても、被照射体は図1(A)に示す被照射体と同じであり、基板10上に導電層12、第1材料層14、第2材料層16が順次積層された構造を有する。被照射体に対し、第2材料層16側から第1のレーザビーム40及び第2のレーザビーム42を重畳するように照射している。被照射体において、第1のレーザビーム40及び第2のレーザビーム42が重畳して照射された領域を重畳照射領域44とする。
第1のレーザビーム40は、図1(A)の第1のレーザビーム18と同様の条件を満たすものである。つまり、第1材料層14に吸収される波長を有し、第2のレーザビーム42と重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有することを特徴とする。また、第2のレーザビーム42も図1(A)の第2のレーザビーム20と同様の条件を満たすものであり、第2材料層16に吸収される波長を有し、被照射体に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有することを特徴とする。被照射体に照射された第1のレーザビーム40は第1材料層14で吸収され、第2のレーザビーム42は第2材料層16で吸収される。
図3(C)は図2(B)を斜めから見た模式図に相当する。図3(C)において、第1のレーザビーム40による第1ビームスポット41、第2のレーザビーム42による第2ビームスポット43が被照射体に形成されている。ここでは、第1ビームスポット41の面積S1は、第2ビームスポット43の面積S2よりも大きくなっている。つまり、S1>S2となるように、第1のレーザビーム40及び第2のレーザビーム42を適宜調整して照射している。被照射体は、第1のレーザビーム40及び第2のレーザビーム42が重畳して照射された領域(重畳照射領域44)でアブレーションされる。図3(C)において、第1のレーザビーム40のビーム径W1を、第2のレーザビーム42のビーム径W2よりも大きくすると、容易にS1>S2とすることができる。
なお、図3(A)乃至(C)では、被照射体に形成されるビームスポットを強調して示しており、実際は被照射体に対してもっと微小に形成される。
なお、本実施の形態において、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームは、S1<S2となるように照射することが好ましい。被照射体は、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームが重畳して照射された領域でアブレーションされる。また、被照射体は、第2のレーザビームが照射された領域の第2材料層16がアブレーションされやすくなっている。第1のレーザビーム及び第2のレーザビームをS1<S2となるように照射することで、S1は全てアブレーションされる。これに対し、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームをS1>S2となるように照射すると、S2は全てアブレーションされるが、S1はアブレーションされない領域が生じる。第1材料層14よりも下方にある層や基板へのダメージを考慮すると、第1のレーザビームの照射領域は小さい方が好ましい。よって、第1のレーザビームによるビームスポットS1を全てアブレーションさせることができるS1<S2の条件が、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームを有効に活用することができるため好ましい。
次に、開口24に導電層26を形成する。導電層26は、導電層12と電気的に接続する(図1(C)参照)。また、第1材料層14を導電材料を用いて形成する場合は、導電層26は第1材料層14とも電気的に接続する。以上の工程で、フォトレジストを用いたリソグラフィー技術を用いることなく、導電層と導電層とを電気的に接続する開口を被照射体(本実施の形態では第2材料層16及び第1材料層14)に形成することができる。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減・簡略化することが可能になり、レジスト材料、現像液等の材料のロスを防ぎ、必要なフォトマスクの枚数を削減することができる。また、被照射体を構成する異なる層(アブレーションさせる層(第1材料層)及びその上層に積層された層(第2材料層))に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射することで、他の層へのダメージを防止し、容易に開口を形成することができる。したがって、半導体装置の製造において、製造コストの低減、スループットの向上を図ることができる。また、半導体装置の信頼性の向上を図ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、導電層同士、又は導電層と半導体層とを電気的に接続するための開口を被照射体に形成する方法について説明する。実施の形態1では、導電層上に積層形成された第1材料層及び第2材料層を貫通するように開口を形成し、当該開口の底面で導電層を露出させる例を示した。本実施の形態では、導電層に達する開口を形成する他の例を示す。また、半導体層に達する開口を形成する例についても示す。
図7(A)乃至(C)に、基板上に導電層、第1材料層、第2材料層が順次積層形成された被照射体において、導電層又は第1材料層に達する開口が形成された構成を示す。また、開口には導電層が形成され、当該導電層と、基板上に形成された導電層とが電気的に接続された構成を示す。
図7(A)乃至(C)において、被照射体に形成される開口は、上記実施の形態1で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用する。詳しくは、被照射体に対し、導電層上に積層された第1材料層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、被照射体の最表面層である第2材料層に吸収される波長を有する第2のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて、開口を形成する。第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、被照射体に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。第1のレーザビームや第2のレーザビームのエネルギー、第1材料層や第2材料層を構成する材料等を適宜選択することにより、被照射体においてアブレーションさせて除去する部分を選択することが可能である。
上述したように、図7(A)乃至(C)における被照射体は、基板上に導電層、第1材料層、第2材料層が順次積層形成された構造である。基板は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、半導体基板等を用いればよい。基板上に積層される導電層は、導電材料を用いて形成すればよい。例えば、導電層は、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属元素、又は当該金属元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いて形成することができる。なお、基板と導電層との間に保護層として機能する下地絶縁層を形成してもよい。下地絶縁層は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の絶縁材料を用いて形成すればよい。下地絶縁層を形成すると、レーザビームの照射による基板へのダメージを防止することができる。
第1材料層は、照射される第1のレーザビームを吸収することができる材料を用いて形成する。例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等を含む導電材料、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、酸化インジウム、リン化インジウム、窒化インジウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸ストロンチウム等の半導体材料を用いることができる。なお、第1材料層は、下層の導電層の融点の温度よりも、沸点又は昇華点の温度が低い材料を用いて形成することが好ましい。第1材料層として、下層の導電層の融点よりも沸点又は昇華点の温度が低い材料を用いると、レーザアブレーションの際に下層の導電層に与えるダメージを防止できる。
第2材料層は、照射される第2のレーザビームを吸収することができる材料を用いて形成する。また、第1のレーザビームを透過することができる透光性の無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いて形成する。以下、図面を用いて具体的に説明する。
図7(A)は、導電層上に積層形成された第1材料層及び第2材料層において、レーザアブレーションにより第2材料層のみが除去された例である。図7(A)に示す被照射体は、基板800上に導電層802、第1材料層804、第2材料層806が順次積層形成された構造であり、第2材料層806のみを貫通するように開口810が形成されている。開口810の底面では、第1材料層804が露出している。また、開口810には導電層808が形成され、第1材料層804と接している。なお、図7(A)の場合は、第1材料層804は導電材料を用いて形成する。以上で、導電層808と第1材料層804は、電気的に接続される。
図7(B)は、導電層上に積層形成された第1材料層及び第2材料層において、レーザアブレーションにより第2材料層及び第1材料層の上層部が除去された例である。図7(B)に示す被照射体は、基板820上に導電層822、第1材料層824、第2材料層826が順次積層形成された構造であり、第2材料層826を貫通するように、且つ第1材料層824は上層部が除去され下層部が残存するように開口830が形成されている。開口830の底面では第1材料層824が露出している。第1材料層824において、開口830が形成されている領域の膜厚は、他の領域と比較して薄くなっている。また、開口830には導電層828が形成され、第1材料層824と接している。なお、図7(B)の場合も、図7(A)と同様に、第1材料層824は導電材料を用いて形成する。以上で、導電層828と第1材料層824は、電気的に接続される。
図7(C)は、被照射体に形成される開口の側面がテーパ形状を有する例である。図7(C)に示す被照射体は、基板840上に導電層842、第1材料層844、第2材料層846が順次積層形成された構造である。被照射体には、開口850が形成されている。ここでは、第2材料層846及び第1材料層844を貫通するように開口850を形成した例を示す。なお、開口850は、第2材料層846のみを貫通するように形成してもよいし、第2材料層846を貫通するように、且つ第1材料層844の上層部が除去され下層部が残存するように形成してもよい。
図7(C)において、被照射体に形成された開口850は先細りになっており、開口850の側面は底面に対してテーパ形状となっている。開口850には導電層848が形成され、導電層842と接している。また、開口850の側面において、第1材料層844とも接している。以上で、導電層842と導電層848は電気的に接続される。また、第1材料層844を導電材料を用いて形成する場合は、導電層848と第1材料層844も電気的に接続される。
次に、導電層に達する開口、又は半導体層に達する開口を被照射体に形成する例について説明する。図8(A)乃至(D)では、基板上に第1材料層、第2材料層が順次積層形成された被照射体において、第1材料層に達する開口が形成された構成を示す。また、開口には導電層が形成され、導電層と第1材料層とが電気的に接続された構成を示す。
図8(A)乃至(D)においても、被照射体に形成される開口は、上記実施の形態1で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用する。詳しくは、被照射体に対し、第1材料層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、被照射体の最表面層である第2材料層に吸収される波長を有する第2のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて、開口を形成する。第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、被照射体に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。第1のレーザビームや第2のレーザビームのエネルギー、第1材料層や第2材料層を構成する材料等を適宜選択することにより、被照射体においてアブレーションさせて除去する部分を選択することが可能である。
図8(A)乃至(D)における被照射体は、基板上に第1材料層、第2材料層が順次積層形成された構造である。基板、第1材料層、第2材料層は、図7(A)乃至(C)に示したものと同じものを用いることができる。基板は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、半導体基板等を用いればよい。第1材料層は、第1のレーザビームを吸収することができる導電材料、半導体材料等を用いて形成すればよい。第1材料層は、下層の導電層の融点の温度よりも、沸点又は昇華点の温度が低い材料を用いて形成することが好ましい。例えば、第1材料層は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等を含む導電材料、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、酸化インジウム、リン化インジウム、窒化インジウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸ストロンチウム等の半導体材料を用いることができる。第2材料層は、第2のレーザビームを吸収することができ、第1のレーザビームを透過することができる絶縁材料を用いて形成する。例えば、第2材料層は、酸化シリコン、窒化シリコン等の透光性の無機絶縁材料、アクリル、エポキシ樹脂等の透光性の有機絶縁材料を用いることができる。
なお、図8(A)乃至(D)において、基板として透光性を有する基板を用いる場合は、第1のレーザビームを基板側から第1材料層に照射することも可能である。この場合、第2材料層は、第1のレーザビームを透過する材料でなくともよい。また、基板と第1材料層との間に、酸化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁材料を用いて、下地絶縁層を形成してもよい。下地絶縁層は保護層として機能し、レーザアブレーションによる基板へのダメージを防止することができる。以下、具体的に説明する。
図8(A)は、基板上に積層形成された第1材料層及び第2材料層において、レーザアブレーションにより第2材料層のみが除去された例である。図8(A)に示す被照射体は、基板860上に第1材料層862、第2材料層864が順次積層形成された構造であり、第2材料層864のみを貫通するように開口868が形成されている。開口868の底面では、第1材料層862が露出している。また、開口868には導電層866が形成され、第1材料層862と接している。このとき、第1材料層862を導電材料を用いて形成すれば、開口868を介して導電層同士が電気的に接続される構成となる。第1材料層862を半導体材料を用いて形成すれば、開口868を介して導電層及び半導体層が電気的に接続される構成となる。
図8(B)は、基板上に積層形成された第1材料層及び第2材料層において、レーザアブレーションにより第2材料層及び第1材料層の上層部が除去された例である。図8(B)に示す被照射体は、基板870上に第1材料層872、第2材料層874が順次積層形成された構造であり、第2材料層874を貫通するように、且つ第1材料層872の上層部が除去され下層部が残存するように開口878が形成されている。開口878の底面では第1材料層872が露出している。第1材料層872において、開口878が形成されている領域の膜厚は、他の領域と比較して薄くなっている。また、開口878には導電層876が形成され、開口878の底面及び側面で第1材料層872と接している。このとき、第1材料層872を導電材料を用いて形成すれば、開口878を介して導電層同士が電気的に接続される構成となる。第1材料層872を半導体材料を用いて形成すれば、開口878を介して導電層及び半導体層が電気的に接続される構成となる。
図8(C)は、基板上に積層形成された第1材料層及び第2材料層において、レーザアブレーションにより第2材料層及び第1材料層が除去された例である。図8(C)に示す被照射体は、基板880上に第1材料層882、第2材料層884が順次積層形成された構造であり、第2材料層884及び第1材料層882を貫通して開口888が形成されている。開口888の側面で第1材料層882が露出している。また、開口888には導電層886が形成され、開口888の側面で第1材料層882と接している。このとき、第1材料層882を導電材料を用いて形成すれば、開口888を介して導電層同士が電気的に接続される構成となる。第1材料層882を半導体材料を用いて形成すれば、開口888を介して導電層及び半導体層が電気的に接続される構成となる。
図8(D)は、被照射体に形成される開口の側面がテーパ形状を有する例である。図8(D)に示す被照射体は、基板890上に第1材料層892、第2材料層894が順次積層形成された構造である。被照射体には、開口898が形成されている。ここでは、第2材料層894を貫通するように開口898が形成されている。なお、開口898は、第2材料層894を貫通するように、且つ第1材料層892の上層部が除去され下層部が残存するように形成してもよいし、第2材料層894及び第1材料層892を貫通するように形成してもよい。
図8(D)において、被照射体に形成された開口898は先細りになっており、開口898の側面は底面に対してテーパ形状となっている。開口898には導電層896が形成され、第1材料層892と接している。このとき、第1材料層892を導電材料を用いて形成すれば、開口898を介して導電層同士が電気的に接続される構成となる。第1材料層892を半導体材料を用いて形成すれば、開口898を介して導電層及び半導体層が電気的に接続される構成となる。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に、所望の形態の開口を形成することが可能になる。また、積層体でなる被照射体において、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射することで、レーザアブレーションによる被照射体の加工を、他の層へダメージを与えることなく、容易に行うことができる。よって、半導体装置の製造において、製造コストの低減、スループットの向上を図ることができる。また、信頼性の高い半導体装置を製造することが可能になる。
また、本発明は、被照射体の構造、第1材料層及び第2材料層を構成する材料、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームのエネルギー等を適宜選択することにより、様々な形態の開口を形成することが可能になる。
本実施の形態は、上記実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明に係るレーザ加工装置の構成例について説明する。
図11に、本発明に係るレーザ加工装置の構成を示す模式図を示す。本発明に係るレーザ加工装置は、第1レーザ3120、第2レーザ3130を備えている。第1レーザ3120からは第1のレーザビーム3122が射出される。第2レーザ3130からは第2のレーザビーム3132が射出される。それぞれのレーザ(第1レーザ3120、第2レーザ3130)から射出されるレーザビーム(第1のレーザビーム3122、第2のレーザビーム3132)は、ミラーや集光レンズが組み合わされた光学系によって進行方向や偏向方向等が制御され、被照射体に重畳して照射される。具体的には、第1レーザ3120から射出される第1のレーザビーム3122及び第2レーザ3130から射出される第2のレーザビーム3132は、ミラー3142、ミラー3146によって進行方向、偏向方向等が制御され、集光レンズ3140によって集光され、被照射体3110に照射される。このとき、第1のレーザビーム3122及び第2のレーザビーム3132は、ミラーや集光レンズによって、被照射体3110に重畳して照射されるように制御される。被照射体3110は、ステージ3100によって保持され、所望の位置に移動される。
被照射体3110は、基板3102上に導電層3104、第1材料層3106、第2材料層3108が順次積層された構造を有する。なお、導電層3104は設けられていなくても良いし、基板3102上に接して保護層として機能する絶縁層等が設けられていてもよい。この場合、絶縁層は酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いて形成すればよい。
基板3102、導電層3104、第1材料層3106、第2材料層3108は、上記実施の形態1、2に示したものと同じものを用いることができる。例えば、基板3102は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、半導体基板等を用いることができる。導電層3104は、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を含む導電材料を用いて形成することができる。第1材料層3106は、第1のレーザビーム3122を吸収することができる材料を用いて形成することができる。第2材料層3108は、第2のレーザビームを吸収することができ、第1のレーザビームを透過することができる材料を用いて形成することができる。なお、第1材料層3106は、下層の導電層3104の融点の温度よりも、沸点又は昇華点の温度が低い材料(例えば、比較的融点が低いクロム等)を用いて形成することが好ましい。本実施の形態では、基板3102としてガラス基板を用いる。導電層3104はタングステンを用いて形成し、第1材料層3106はクロムを用いて形成し、第2材料層3108は酸化シリコンを用いて形成する。
第1のレーザビーム3122は、第1材料層3106に吸収される波長を有する。また、第1のレーザビーム3122は、第2のレーザビーム3132と重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。よって、第1のレーザビーム3122を射出する第1レーザ3120は、発振波長が第1材料層3106の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第1レーザ3120の発振波長が可視光線よりも長く(可視光線を含む)、具体的には400nm以上であることが望ましい。
第1レーザ3120としては、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ、He、He−Cd、Ar、He−Ne等の気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とする固体レーザ、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ等を用い、これらのレーザの発振波長を適宜設定することで、所望の波長を有する第1のレーザビーム3122を射出することができる。好ましくは、400nm以上の領域に強い発振波長を有する可視光レーザを用いるとよく、He−Cdレーザ(440nm)、He−Neレーザ(632.8nm)、Arレーザ(488nm、514.5nm)、YAGレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ等の固体レーザ、GaAlAsレーザ(780nm)等を用いるのが望ましい。なお、ピコ秒レーザはパルス幅がピコ秒(10−12秒乃至10−10秒)台のレーザビームを射出するレーザである。フェムト秒レーザは、パルス幅がフェムト秒(10−15秒乃至10−13秒)台のレーザビームを射出するレーザである。第1のレーザビーム3122は、連続発振のレーザビームとパルス発振のレーザビームのどちらを用いても構わない。本実施の形態では、第1レーザ3120として、YAGレーザを用いる。
第2のレーザビーム3132は、第2材料層3108に吸収される波長を有する。また、被照射体に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。よって、第2のレーザビーム3132を射出する第2レーザ3130は、発振波長が第2材料層3108の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第2レーザ3130の発振波長が可視光線よりも短い(可視光線は含まない)紫外線の波長程度であり、具体的には400nm以下であることが好ましい。
第2レーザ3130としては、第1レーザ3120の具体例として挙げたレーザを用い、当該レーザの発振波長を適宜設定することで所望の波長を有する第2のレーザビーム3132を射出することができる。好ましくは、400nm以下の領域に強い発振波長を有する紫外レーザを用いるとよく、XeFエキシマレーザ(351nm)、XeClエキシマレーザ(308nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、YAGレーザの第3高調波(355nm)等を用いるのが望ましい。本実施の形態では、第2レーザ3130として、KrFエキシマレーザを用いる。
第1レーザ3120から射出された第1のレーザビーム3122は、ミラー3142にて反射された後、集光レンズ3140にて集光されて被照射体3110に照射され、第1材料層3106に吸収される。第2レーザ3130から射出された第2のレーザビーム3132は、ミラー3146にて反射され、ミラー3142を透過した後、集光レンズ3140にて集光されて被照射体3110に照射され、第2材料層3108に吸収される。被照射体3110において、第1のレーザビーム3122及び第2のレーザビーム3132は、重畳するように照射される。被照射体3110は、第1のレーザビーム3122及び第2のレーザビーム3132が重畳して照射された領域の一部或いは全部がアブレーションされ、開口が形成される。このとき、被照射体3110は、ステージ3100によって移動され、所望の領域が加工される。
本発明に係るレーザ加工装置の構成は、図32に示す模式図のようにすることもできる。図32に示すレーザ加工装置は、第1レーザ3220、第2レーザ3230を備えている。第1レーザ3220からは第1のレーザビーム3222が射出される。第2レーザ3230からは第2のレーザビーム3232が射出される。それぞれのレーザ(第1レーザ3220、第2レーザ3230)から射出されるレーザビーム(第1のレーザビーム3222、第2のレーザビーム3232)は、ミラーや集光レンズが組み合わされた光学系(ミラー3242及び集光レンズ3244が組み合わされた第1の光学系、ミラー3246及び集光レンズ3240が組み合わされた第2の光学系)によって、進行方向や偏向方向等が制御され、被照射体に重畳して照射される。具体的には、第1レーザ3220から射出される第1のレーザビーム3222及び第2レーザ3230から射出される第2のレーザビーム3232は、ミラー3242、ミラー3246によって進行方向、偏向方向等が制御され、集光レンズ3244、集光レンズ3240によって集光され、被照射体3210に照射される。このとき、第1のレーザビーム3222及び第2のレーザビーム3232は、ミラーや集光レンズによって、被照射体3210に重畳して照射されるように制御される。被照射体3210は、ステージ3200によって保持され、所望の位置に移動される。
被照射体3210は、基板3202上に第1材料層3204、第2材料層3206が順次積層された構造を有する。基板3202は、第1のレーザビーム3222を透過することができる基板を用いる。例えば、ガラス基板、石英基板等の透光性を有する基板を用いる。なお、基板3202上に接して、保護層として機能する透光性を有する絶縁層が設けられていてもよい。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁材料を用いて形成すればよい。
第1材料層3204は、図11に示した第1材料層3106と同じものを用いればよく、第1のレーザビーム3222を吸収することができる材料を用いて形成する。第2材料層3206は、図11に示した第2材料層3108と同じものを用いればよく、第2のレーザビーム3232を吸収することができる材料を用いて形成する。なお、図32においては、第1のレーザビーム3222は基板3202側から照射されるため、第2材料層3206は第1のレーザビーム3222を透過しない材料を用いることができる。
第1のレーザビーム3222及び当該第1のレーザビーム3222を射出する第1レーザ3220は、図11に示した第1のレーザビーム3122、第1レーザ3120と同じものを用いればよく、説明は省略する。同様に、第2のレーザビーム3232及びに当該第2のレーザビーム3232を射出する第2レーザ3230も、図11に示した第2のレーザビーム3132、第2レーザ3130と同じものを用いればよい。
第1レーザ3220から射出された第1のレーザビーム3222は、ミラー3242にて反射された後、集光レンズ3244にて集光されて基板3202側から被照射体3210に照射され、第1材料層3204に吸収される。一方、第2レーザ3230から射出された第2のレーザビーム3232は、ミラー3246にて反射された後、集光レンズ3240にて集光されて第2材料層3206側から被照射体3210に照射され、第2材料層3206に吸収される。被照射体3210において、第1のレーザビーム3222及び第2のレーザビーム3232は、重畳するように照射される。被照射体3210は、第1のレーザビーム3222及び第2のレーザビーム3232が重畳して照射された領域の一部或いは全部がアブレーションされ、開口が形成される。このとき、被照射体3210はステージ3200に鉛直に保持され、ステージ3200によって所望の位置に移動され、所望の領域が加工される。
図11及び図32は、第1のレーザビームが基板側から照射されるか、第2材料層側から照射されるかが大きく異なる。つまり、図32に示すレーザ加工装置の構成は、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームを相対する方向から照射している。第1のレーザビームを基板側から照射する場合は、基板が第1のレーザビームを透過する必要がある。これに対し、第1のレーザビームを第2材料層側から照射する場合は、第2材料層が第1のレーザビームを透過する必要がある。
また、本発明に係るレーザ加工装置の構成は、図33に示す模式図のようにすることもできる。図33に示すレーザ加工装置は、固体レーザ3430を備えている。固体レーザ3430からは基本波のレーザビーム3412が射出される。当該レーザビーム3412は、ビームスプリッタ3460によって、第2高調波のレーザビーム3422と第3高調波のレーザビーム3432が分離される。以下、基本波のレーザビーム3412を基本波レーザビーム3412、第2高調波のレーザビーム3422を第1のレーザビーム3422、第3高調波のレーザビーム3432を第2のレーザビーム3432とする。ビームスプリッタ3460によって分離されたレーザビーム(第1のレーザビーム3422、第2のレーザビーム3432)は、ミラーや集光レンズが組み合わされた光学系によって進行方向や偏向方向等が制御され、被照射体に重畳して照射される。具体的には、固体レーザ3430から射出され、ビームスプリッタ3460によって分離された第1のレーザビーム3422及び第2のレーザビーム3432は、ミラー3452、ミラー3456、ミラー3458によって進行方向、偏向方向等が制御され、集光レンズ3440によって集光され、被照射体3410に照射される。このとき、第1のレーザビーム3422及び第2のレーザビーム3432は、ミラーや集光レンズによって、被照射体3410に重畳して照射されるように制御される。被照射体3410は、ステージ3400によって保持され、所望の位置に移動される。
固体レーザ3430としては、YAGレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ等の固体レーザを用いる。これらの固体レーザの基本波(1054nm乃至1062nm)を、ビームスプリッタによって、第2高調波(527nm乃至532nm)、第3高調波(351nm乃至355nm)に分けることができる。本実施の形態では、固体レーザ3430としてYAGレーザを用いる。
被照射体3410は、基板3402上に第1材料層3406、第2材料層3408が順次積層された構造を有する。なお、基板3402と第1材料層3406の間には、図11に示すように導電層、又は絶縁層及び導電層が設けられていてもよい。図33において、基板3402は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、半導体基板等を用いることができる。第1材料層3406は、第1のレーザビーム3422を吸収することができる材料を用いて形成する。第2材料層3408は、第2のレーザビーム3432を吸収することができる材料を用いて形成する。
例えば、固体レーザ3430としてYAGレーザを適用する場合、第1のレーザビーム3422はYAGレーザの第2高調波(532nm)であり、第2のレーザビーム3432はYAGレーザの第3高調波(355nm)である。この場合、第1材料層3406は、モリブデン(Mo)を用いて形成する。また、第2材料層3408は、窒化シリコンを用いて形成する。
固体レーザ3430から射出された基本波レーザビーム3412は、ビームスプリッタ3460にて第1のレーザビーム3422及び第2のレーザビーム3432に分けられる。第1のレーザビーム3422は、ミラー3456、ミラー3458、ミラー3452にて反射された後、集光レンズ3440にて集光されて被照射体3410に照射され、第1材料層3406に吸収される。第2のレーザビーム3432は、ミラー3452を透過した後、集光レンズ3440にて集光されて被照射体3410に照射され、第2材料層3408に吸収される。被照射体3410において、第1のレーザビーム3422及び第2のレーザビーム3432は、重畳するように照射される。被照射体3410は、第1のレーザビーム3422及び第2のレーザビーム3432が重畳して照射された領域の一部或いは全部がアブレーションされ、開口が形成される。このとき、被照射体3410は、ステージ3400によって移動され、所望の領域が加工される。
図33に示すように、レーザ加工装置にビームスプリッタを組み込むことで、1つの固体レーザから2種類の波長(第2高調波及び第3高調波)を有するレーザビームを得ることができる。よって、具備するレーザの個数を減らすことができるため、装置のコストを削減することが可能になる。また、装置の小型化を図ることも可能になる。
なお、図11、図32、図33に示す本実施の形態のレーザ加工装置の構成は一例であり、レーザビームの光路に配置するミラー、集光レンズ等の個数、位置関係等は特に限定されない。また、ミラー、集光レンズ以外にも、ビームエキスパンダ、ホモジナイザ、偏光子、スリット等を用いることができ、これらを組み合わせて用いてもよい。
以上、本実施の形態で示すようなレーザ加工装置を用いることで、フォトレジストを用いることなく、被照射体の所望の領域に開口を形成することができる。また、2種類のレーザビームを重畳するように被照射体に照射し、それぞれのレーザビームを異なる層に吸収させてアブレーションさせ、開口を形成することができる。このようなレーザ加工装置を用いることで、半導体装置の製造工程において、リソグラフィー工程の回数を削減・簡略化することができ、製造コストの低減、スループットの向上が実現できる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1、2と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を適用してトランジスタ及び表示素子を有する表示装置の作製方法について説明する。トランジスタとしては、逆スタガ型トランジスタを作製する例について示す。また、表示素子として発光素子を作製する例について示す。
図9(A)に示すように、基板7000上に下地絶縁層7002を介してトランジスタ720を形成する。以下、トランジスタ720の具体的な作製方法について、図4乃至図6を用いて説明する。
基板7000上に下地絶縁層7002を形成し、当該下地絶縁層7002上に導電層703を形成する(図4(A)参照)。基板7000は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等を含むガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いる。また、基板7000の表面が平坦化されるようにCMP法などによって、研磨しても良い。
下地絶縁層7002は、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法等の種々の方法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の絶縁材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。下地絶縁層7002は形成しなくとも良いが、基板7000からの汚染物質などを遮断する効果がある。また、後にレーザビームを照射する際に、基板へのダメージを防止する効果もある。
導電層703は導電材料を用いて形成すればよく、例えば銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属元素、又は当該金属元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料等を用いて形成すればよい。また、リン(P)等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも積層構造でもよく、例えば、窒化タングステン膜とモリブデン(Mo)膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電層のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電層のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電層の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
導電層703は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより形成する。
導電層703上に第1材料層7402、第2材料層7404を順次積層形成する。第2材料層7404側から、第1のレーザビーム7412及び第2のレーザビーム7414を選択的に照射する。このとき、第1のレーザビーム7412及び第2のレーザビーム7414は、少なくとも一部が重畳するように照射する。第1のレーザビーム7412及び第2のレーザビーム7414が重畳して照射された領域を重畳照射領域7416とする(図4(A)参照)。
第1材料層7402は、第1のレーザビーム7412を吸収することができる材料を用いて形成する。なお、第1材料層7402は、下層に設けられた導電層703の融点の温度よりも、沸点又は昇華点の温度が低い材料を用いて形成するのが好ましい。例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属元素、又は当該元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料等の導電材料、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、酸化インジウム、リン化インジウム、窒化インジウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸ストロンチウム等の半導体材料を用いることができる。また、硫化亜鉛、窒化シリコン、硫化水銀、塩化アルミニウム等を用いることができる。第1材料層7402は、これらの材料のうち1つ又は複数を用いて、蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法等により、単層構造又は積層構造で形成すればよく、例えば膜厚20nmのクロム膜や酸化亜鉛膜、窒化アルミニウム膜を用いることができる。なお、導電層703が第1のレーザビーム7412を吸収してアブレーションされる材料を用いて形成された層であれば、第1材料層7402は設けなくともよい。
第2材料層7404は、第2のレーザビーム7414を吸収することができる材料を用いて形成する。また、第2材料層7404は、第1のレーザビーム7412を透過することができる材料を用いて形成する。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁材料、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ樹脂等の有機絶縁材料等を用いることができる。第2材料層7404は、これらの材料のうち1つ又は複数を用いて、スパッタリング法、CVD法、塗布法等により、単層構造又は積層構造で形成すればよく、例えば膜厚50nmの窒化酸化シリコン膜、ポリイミド膜を用いることができる。
第1のレーザビーム7412は、第1材料層7402に吸収される波長を有し、第2のレーザビーム7414と重畳して照射した重畳照射領域7416の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有するものを用いる。第1のレーザビーム7412の発振波長は、第1材料層7402の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第1のレーザビーム7412の発振波長が可視光線よりも長く、具体的には400nm以上であることが望ましい。このようなレーザビームは、気体レーザ、固体レーザ、半導体レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ等の種々のレーザを用い、これらのレーザの発振波長を適宜設定することで得ることができる。なお、第1のレーザビーム7412は、連続発振のレーザビームとパルス発振のレーザビームのどちらを用いても構わない。
第2のレーザビーム7414は、第2材料層7404に吸収される波長を有し、被照射体(ここでは基板7000から導電層703までの積層体に相当)に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有するものを用いる。第2のレーザビーム7414の発振波長は、第2材料層7404の吸収波長領域内であることが好ましい。より好ましくは、第2のレーザビーム7414の発振波長が可視光線よりも短い紫外線の波長程度であり、具体的には400nm以下であることが望ましい。このようなレーザビームは、エキシマレーザ、気体レーザ、固体レーザ、半導体レーザ等の種々のレーザを用い、これらのレーザの発振波長を適宜設定することで得ることができる。なお、第2のレーザビーム7414も、連続発振のレーザビームとパルス発振のレーザビームのどちらを用いても構わない。
第1のレーザビーム7412は第1材料層7402に吸収され、第2のレーザビーム7414は第2材料層7404で吸収される。第1材料層7402及び第2材料層7404は、第1のレーザビーム7412及び第2のレーザビーム7414が重畳して照射された領域(重畳照射領域7416)においてアブレーションされる。残存する第1材料層7403及び第2材料層7405をマスクとして導電層703を選択的にエッチングし、ゲート電極層704を形成する(図4(B)参照)。
ゲート電極層704は、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。このような方法を用いると、所望の場所に選択的に導電層を形成することができる。また、ゲート電極層704は、導電層703上にフォトレジストを用いてマスクを形成し、当該マスクを用いて導電層703を選択的にエッチングして形成してもよい。
エッチングやレーザアブレーションを利用して第1材料層7403及び第2材料層7405を除去した後、ゲート電極層704上にゲート絶縁層706を形成し、当該ゲート絶縁層706上に半導体層を形成する(図4(C)参照)。
ゲート絶縁層706は、CVD法、スパッタリング法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の絶縁材料を用いて形成する。ゲート絶縁層706は、単層構造でも積層構造でもよい。例えば、ゲート絶縁層706は、酸化窒化シリコン層の単層構造や、窒化シリコン層及び酸化シリコン層の2層の積層構造を用いればよい。また、これらを用いて、3層以上の積層構造としてもよい。好ましくは、緻密な膜質を有する窒化シリコンを用いるとよい。また、ゲート絶縁層706は、下層のゲート電極層704を銀や銅を用いて液滴吐出法により形成した場合は、窒化シリコンやNiBを用いて形成することが好ましい。窒化シリコンやNiBを用いて形成した膜は、不純物の拡散を防ぎ、表面を平坦化する効果がある。なお、ゲート絶縁層706の成膜中に、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませてもよい。希ガス元素を反応ガスに含ませることで、低い成膜温度で、リーク電流の少ない緻密な絶縁層を得ることができる。
半導体層は、半導体層705及び一導電性を有する半導体層709の積層構造を形成する。半導体層は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう)や、当該アモルファス半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう)半導体等の結晶性半導体などを用いて形成することができる。半導体層は各種手段(スパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成することができる。
SASは、アモルファスと結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5nm乃至20nmの結晶領域を観測することが出来、シリコンを主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではシリコン結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端化するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、シリコンを含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。シリコンを含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。このシリコンを含む気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2倍乃至1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa乃至133Paの範囲、電源周波数は1MHz乃至120MHz、好ましくは13MHz乃至60MHzの範囲である。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100℃乃至200℃の範囲の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020cm−3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm−3以下、好ましくは1×1019cm−3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体層としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
半導体層に、多結晶半導体又はセミアモルファス半導体等の結晶性半導体を用いる場合、その半導体層の作製方法は、各種の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いて形成すればよい。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。例えば、シリコンを用い、結晶化を助長する元素を導入しないで半導体層を作製する場合は、非晶質シリコン層にレーザビームを照射する前に、窒素雰囲気下で700℃、1時間加熱することによって非晶質シリコン層の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させるのが好ましい。これは水素を多く含んだ非晶質シリコン層にレーザビームを照射すると非晶質シリコン層が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタリング法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン含有水又は過酸化水素水による処理等により、非晶質半導体層の表面に酸化膜を形成することが望ましい。
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザビーム照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザビーム照射を単独で、複数回行っても良い。
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、線状プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
また、半導体層は、有機半導体材料を用いて形成することができる。有機半導体材料としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。例えば、骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料を用いることができ、具体的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の材料を用いることができる。その他、有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体層を形成することができる材料がある。なお、このような有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
本実施の形態では、半導体層705及び一導電性を有する半導体層709として非晶質半導体層を形成する。一導電性を有する半導体層709としては、n型を付与する不純物元素であるリン(P)を含むn型を有する半導体層を形成する。一導電性を有する半導体層709は、ソース領域及びドレイン領域として機能し、半導体層705と、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層と、のオーミック接触を良好にする。なお、一導電性を有する半導体層709は必要に応じて形成すればよく、n型を付与する不純物元素(P、As)を有するn型を有する半導体層やp型を付与する不純物元素(B)を有するp型を有する半導体層を形成することができる。
一導電性を有する半導体層709上に第1材料層7422、第2材料層7424を順次積層形成する。第2材料層7424側から、第1のレーザビーム7432及び第2のレーザビーム7434を選択的に照射する。このとき、第1のレーザビーム7432及び第2のレーザビーム7434は、少なくとも一部が重畳するように照射する。第1のレーザビーム7432及び第2のレーザビーム7434が重畳して照射された領域を重畳照射領域7436とする(図4(C)参照)。
第1材料層7422、第2材料層7424は、上述した第1材料層7402、第2材料層7404と同様に形成すればよい。また、第1のレーザビーム7432は、前述した第1のレーザビーム7412と同様に第1材料層7422に吸収される波長を有し、重畳照射領域7436の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有するものを用いればよい。第2のレーザビーム7434も、前述した第2のレーザビーム7414と同様に第2材料層7424に吸収される波長を有し、被照射体(ここでは基板7000から一導電性を有する半導体層709までの積層体)に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有するものを用いればよい。
第1のレーザビーム7432は第1材料層7422に吸収され、第2のレーザビーム7434は第2材料層7424で吸収される。第1材料層7422及び第2材料層7424は、第1のレーザビーム7432及び第2のレーザビーム7434が重畳して照射された領域(重畳照射領域7436)においてアブレーションされる。残存する第1材料層7423及び第2材料層7425をマスクとして半導体層705及び一導電性を有する半導体層709を選択的にエッチングし、半導体層707及び一導電性を有する半導体層711を形成する(図4(D)参照)。
エッチングやレーザアブレーションを利用して第1材料層7423、第2材料層7425を除去した後、一導電性を有する半導体層711上に導電層713を形成する(図5(A)参照)。
導電層713は導電材料を用いて形成すればよく、例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属元素、又は当該元素を主成分とする合金材料若しくは化合物等の導電材料を用いて形成すればよい。また、導電層713は、単層構造でも積層構造でもよい。
導電層713は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより形成すればよい。
導電層713上に第1材料層7442、第2材料層7444を順次積層形成する。第2材料層7444側から、第1のレーザビーム7452及び第2のレーザビーム7454を選択的に照射する。このとき、第1のレーザビーム7452及び第2のレーザビーム7454は、少なくとも一部が重畳するように照射する。第1のレーザビーム7452及び第2のレーザビーム7454が重畳して照射された領域を重畳照射領域7456とする(図5(A)参照)。
第1材料層7442、第2材料層7444は、上述した第1材料層7402、第2材料層7404と同様に形成すればよい。また、第1のレーザビーム7452は、前述した第1のレーザビーム7412と同様に第1材料層7442に吸収される波長を有し、重畳照射領域7456の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有するものを用いればよい。第2のレーザビーム7454も、前述した第2のレーザビーム7414と同様に第2材料層7444に吸収される波長を有し、被照射体(ここでは基板7000から導電層713までの積層体)に不可逆的な変化を与えないエネルギーを有するものを用いればよい。なお、導電層713が第1のレーザビーム7452を吸収してアブレーションされる材料を用いて形成された層であれば、第1材料層7442は設けなくともよい。
第1のレーザビーム7452は第1材料層7442に吸収され、第2のレーザビーム7454は第2材料層7444で吸収される。第1材料層7442及び第2材料層7444は、第1のレーザビーム7452及び第2のレーザビーム7454が重畳して照射された領域(重畳照射領域7456)においてアブレーションされる。残存する第1材料層7443a、第1材料層7443b、及び第2材料層7445a、第2材料層7445bをマスクとして導電層713を選択的にエッチングし、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する導電層712a、導電層712bを形成する(図5(B)参照)。
導電層712a、712bは、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。このような方法を用いると、所望の場所に選択的に導電層を形成することができる。また、導電層712a、712bは、導電層713上にフォトレジストを用いてマスクを形成し、当該マスクを用いて導電層713を選択的にエッチングして形成してもよい。
エッチングやレーザアブレーションを利用して第1材料層7443a、7443b及び第2材料層7445a、7445bを除去する(図6(A)参照)。そして、導電層712a、712bをマスクとして、一導電性を有する半導体層711を選択的にエッチングして、半導体層707を露出させる。半導体層は、分離した一導電性を有する半導体層710a、一導電性を有する半導体層710bと、半導体層708となる(図6(B)参照)。なお、一導電性を有する半導体層711を選択的にエッチングした後、下層の半導体層708は露出部が他の部分と比較して凹むことがある。
半導体層708、一導電性を有する半導体層710a、710bは、スパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法などにより形成した半導体層上にフォトレジストを用いてマスクを形成し、当該マスクを用いて選択的にエッチングして形成してもよい。
また、半導体層708、一導電性を有する半導体層710a、710bは、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。このような方法を用いると、所望の場所に選択的に半導体層を形成することができる。
以上の工程で、逆スタガ型トランジスタ(ボトムゲート型トランジスタともいわれる)であるトランジスタ720を作製することができる。
次に、トランジスタ720を覆うように、絶縁層7010を形成する(図9(A)参照)。
絶縁層7010は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料等を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。また、シロキサンを含む材料を用いて形成してもよい。また、有機絶縁材料を用いてもよく、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いて形成することもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
絶縁層7010は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)、スピンコート法などにより形成することができる。
次に、レーザビームを照射し(図9(B)参照)、導電層712bに達する開口7038を絶縁層7010に形成する(図9(C)参照)。
図9(C)において、絶縁層7010に形成される開口7038は、上記実施の形態1乃至3で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成する。
詳しくは、図9(B)に示すように、絶縁層7010側から導電層712bに吸収される波長を有する第1のレーザビーム7032と、絶縁層7010に吸収される波長を有する第2のレーザビーム7034を重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて、開口7038を形成する。第1のレーザビーム7032は、第2のレーザビーム7034と重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビーム7034は、基板7000から絶縁層7010までの積層体に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。具体的なレーザビームは上記実施の形態に準じ、説明は省略する。本実施の形態では、第1のレーザビーム7032及び第2のレーザビーム7034の照射によるアブレーションにより、絶縁層7010のみを除去して開口を形成する。もちろん、本発明は特に限定されず、第1のレーザビーム7032及び第2のレーザビーム7034のエネルギー等を適宜選択することにより、導電層712bの上層部が除去され下層部が残存するように又は導電層712bを貫通するように開口を形成することもできる。
なお、基板7000、下地絶縁層7002、ゲート絶縁層706を透光性を有する材料を用いて形成する場合は、第1のレーザビームを基板7000側から照射することも可能である。絶縁層7010に吸収される第2のレーザビームは、絶縁層7010側から照射する。導電層712bに吸収される第1のレーザビームは、基板7000側から照射する。このとき、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームは重畳するように照射する。重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて、絶縁層7010(又は絶縁層7010及び導電層712b)に開口7038を形成する。この場合、絶縁層7010は第1のレーザビームを透過させる必要がないため、材料の選択の幅が拡がる。
また、開口7038は、絶縁層7010上にフォトレジストを用いてマスクを形成し、当該マスクを用いて選択的にエッチングして形成してもよい。そのほか、液滴吐出法を用いてマスクを形成し、当該マスクを用いて選択的にエッチングして形成してもよい。
次に、トランジスタ720と電気的に接続する発光素子7020を形成する。発光素子7020としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの発光を示すものを形成すればよい。また、発光素子7020として白色(W)の発光を示すものを形成し、カラーフィルタと組み合わせてRGBの発光を得てもよい。以下に、発光素子7020の形成方法について説明する。
まず、導電層712bが露出された開口7038に画素電極として機能する発光素子の第1の電極層7012を形成する。導電層712bと第1の電極層7012とは、電気的に接続される(図10(A)参照)。
第1の電極層7012は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電材料で形成することができる。例えば、ITOに酸化シリコンが2wt%乃至10wt%の範囲で含まれたターゲットを用いて、スパッタリング法で酸化シリコンを含む酸化インジウム錫を形成することができる。その他、ZnOにガリウム(Ga)をドープした導電性材料、酸化シリコンを含み酸化インジウムに2wt%乃至20wt%の範囲の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された酸化物導電性材料であるインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))を用いて形成してもよい。
第1の電極層7012は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより形成した導電層を選択的にエッチングして形成する。
また、第1の電極層7012は、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いて、所望の場所に選択的に形成することもできる。
第1の電極層7012は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層7012の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
次に、第1の電極層7012上に開口を有するように隔壁層7014を形成する(図10(B)参照)。隔壁層7014は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等の無機絶縁材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成されたシリコン、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、シリコンに結合する水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。
隔壁層7014は、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法などを用いて選択的に形成することができる。また、絶縁材料を用いて隔壁層を全面に形成し、リソグラフィー工程を利用してレジストマスク等を形成し、エッチング加工して所望の形状を有する隔壁層7014を形成してもよい。その他、感光性の材料を用いて隔壁層を全面に形成し、感光性の材料からなる隔壁層を露光及び現像することにより、所望の形状を有する隔壁層7014を形成することもできる。なお、隔壁層7014は曲率半径が連続的に変化する形状が好ましい。隔壁層をこのような形状にすることで、上方に形成される層7016、第2の電極層7018の被覆性が向上する。
また、液滴吐出法により、隔壁層7014を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減してもよいし、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。この工程により平坦性が向上すると、表示装置の表示ムラなどを防止することができ、高精細な画像を表示することができる。
次に、第1の電極層7012及び隔壁層7014上に層7016、第2の電極層7018を積層して形成する。そして、第1の電極層7012と第2の電極層7018との間に層7016が挟持された構造の発光素子7020を得る(図10(C)参照)。層7016は、少なくとも所望の発光波長を得ることができる発光材料を含む層(以下、発光層ともいう)で構成される。具体的には、層7016は、有機化合物、無機化合物、又は両者を含む層で形成される。
以上の工程で、発光素子7020を備えた表示装置を得ることができる。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減・簡略化することが可能になり、レジスト材料、現像液等の材料のロスを防ぎ、必要なフォトマスクの枚数を削減することができる。また、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射することで、他の層へダメージを低減し、容易に開口を形成することができる。したがって、表示装置の製造工程において、製造コストの低減、スループットの向上を図ることができる。また、信頼性の高い半導体装置を製造することが可能になる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至3と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明に係る表示パネルの構成について説明する。
図15(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス状に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はトランジスタであり、トランジスタのゲート電極側が走査線と、ソース電極若しくはドレイン電極側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
図15(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示装置の構成を示しているが、図16(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図16(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にトランジスタで回路を形成したものであっても良い。図16において、ドライバIC2751は、FPC2750と接続している。
また、画素に設けるトランジスタを、結晶性が高い多結晶(微結晶)半導体で形成する場合には、図15(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図15(B)において、3701は画素部であり、信号線側駆動回路は、図15(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるトランジスタを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図15(C)に示すように、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
本実施の形態において、スイッチング素子と画素電極とを接続する配線(導電層)を形成する開口、トランジスタのゲート電極を走査線と接続する配線(導電層)を形成する開口、ソース電極若しくはドレイン電極を信号線と接続する配線(導電層)を形成する開口等に、上記実施の形態1乃至4で示したような、レーザアブレーションを利用する本発明を適用することができる。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を削減・簡略化することができる。また、本発明は、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射することで起きるレーザアブレーションを利用して、開口を形成する。このようにすることで、他の層や基板へのダメージを防ぎつつ、容易にアブレーションさせることが可能になる。よって、表示パネルを作製する際の製造コストを低減し、スループットを向上させることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態1乃至4と適宜自由に組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明に係る表示装置の例について、図27を用いて説明する。
図27(A)は、本実施の形態で示す表示装置の上面の模式図を示している。また、図27(B)には、図27(A)中の線分QRにおける断面図を示す。
図27に示す表示装置900は、基板901上に画素部902と、駆動回路部904と、を有する。また、基板901の上方には、シール材910を介して封止基板908が設けられている。さらに、基板901上には、端子部906が設けられている。画素部902を構成する複数の素子の動作を制御する信号や、電源電位は、端子部906を介して、外部から入力される。
画素部902には発光素子930と、駆動用トランジスタ924と、スイッチング用トランジスタ922と、容量素子920と、が設けられている。発光素子930は、一対の電極層間に、少なくとも発光層を含む層が挟持されている。発光素子930は、駆動用トランジスタ924と電気的に接続している。
発光素子930の下方の電極層(駆動用トランジスタ924と電気的に接続する電極層)の端部は、隔壁層918で覆われている。隔壁層918は、酸化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁材料、アクリル、ポリイミド、レジスト等の有機絶縁材料、又はシロキサン材料等を用いて形成する。隔壁層918により、隣接して設けられる別の発光素子と分離することができる。なお、本実施の形態のように、曲率半径が連続的に変化するような丸みを帯びた形状の端部を有する隔壁層918とすることで、上方に積層して形成される層の被覆性が向上するので好ましい。
駆動回路部904には、複数のトランジスタ926が設けられており、画素部902の動作を制御する駆動回路を構成する。駆動回路部904には、例えばシフトレジスタ、デコーダ、バッファ、サンプリング回路、ラッチ等が設けられる。
基板901と封止基板908とは、画素部902及び駆動回路部904が封じ込められるように、シール材910を介して貼り合わされている。封止基板908には、カラーフィルタ942と、遮光層944とが設けられている。なお、本発明は特に限定されず、カラーフィルタ942と、遮光層944は設けなくともよい。
本実施の形態と、上記実施の形態4は、トランジスタのゲート電極層が半導体層よりも下方にあるか、上方にあるかが大きく異なる。その他の構成は、上記実施の形態4に準じる。
次に、具体的な作製方法の例について説明する。
基板901の上に下地絶縁層として、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより窒化酸化シリコンを用いて下地絶縁層903aを10nm乃至200nm(好ましくは50nm乃至150nm)形成し、酸化窒化シリコンを用いて下地絶縁層903bを50nm乃至200nm(好ましくは100nm乃至150nm)積層する。又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて下地絶縁層903a、下地絶縁層903bを形成する。基板901としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板、またはステンレス基板の表面に絶縁層を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。プラスチック基板としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)からなる基板、可撓性基板としてはアクリル等の合成樹脂を用いることができる。
下地絶縁層としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを用いることができる。下地絶縁層は、単層構造でも2層、3層といった積層構造でもよい。
次いで、下地絶縁層上に半導体層を形成する。半導体層は25nm乃至200nm(好ましくは30nm乃至150nm)の膜厚で各種手段(スパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成すればよい。本実施の形態では、非晶質半導体層を、レーザ結晶化し、結晶性半導体層とするものを用いるのが好ましい。
このようにして得られた半導体層に対して、トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。この不純物元素のドーピングは、半導体層を結晶化する工程の前の非晶質半導体層に行ってもよい。非晶質半導体層の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も同時に行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
半導体層は選択的にエッチングし、所望の形状に加工すればよい。また、半導体層は、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。
なお、半導体層と同一の工程で、容量素子を構成する下部電極層も形成される。下部電極層は、トランジスタを構成する半導体層と同一層で形成される。
半導体層を覆うゲート絶縁層を形成する。ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタリング法などを用い、厚さを10nm乃至150nmとしてシリコンを含む絶縁層で形成する。ゲート絶縁層としては、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁材料で形成すればよく、積層構造でも単層構造でもよい。また、絶縁層は窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化シリコン層の3層の積層構造、酸化窒化シリコン層の単層、2層からなる積層構造でも良い。
次いで、ゲート絶縁層上にゲート電極層を形成する。ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により導電層を形成し、当該導電層を選択的にエッチングして形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)等の金属元素、又は当該金属元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体層や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層構造でも積層構造でもよい。このとき、後に完成する容量素子の上部電極層も形成される。上部電極層は、ゲート電極層と同一材料でなる。
また、本実施の形態では、ゲート電極層の側面をテーパ形状を有するように形成する。当該ゲート電極層のテーパ形状は、エッチング加工の際に、ウェットエッチング法を用いて形成することができる。また、ドライエッチング法を行った後、続けてウェットエッチング法を行うことで形成することもできる。なお、垂直形状の側面を有するゲート電極層を形成してもよい。また、ゲート電極層を2層の積層構造とし、各層でテーパ角度が異なるようにしてもよい。ゲート電極層の側面をテーパ形状にすることで、上層に積層する層の被覆性を向上することができる。
また、ゲート電極層は、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。
なお、ゲート電極層を形成する際のエッチングによって、ゲート絶縁層は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
半導体層に不純物元素を添加し、一対の不純物領域を形成する。半導体層に形成された不純物領域は、ソース領域又はドレイン領域として機能する。添加する不純物元素は、n型を付与する不純物元素、又はp型を付与する不純物元素を適宜選択して添加すればよい。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)や砒素(As)等を用いることができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。このとき、一対の不純物領域の間には、チャネル形成領域が形成される。
なお、半導体層において、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域とチャネル形成領域との間に、LDD(Light Doped Drain)領域といわれる不純物領域を形成してもよい。LDD領域は、ソース領域又はドレイン領域よりも、低濃度な不純物領域である。また、LDD領域は、ゲート電極層と重なる構造としてもよいし、重ならない構造としてもよい。
また、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザビームの照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層のプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う第1の層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁層913と絶縁層914との積層構造とする。絶縁層913及び絶縁層914は、スパッタリング法、またはプラズマCVDを用いた窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化シリコン層などを用いることができ、他のシリコンを含む絶縁層を単層構造または3層以上の積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300℃乃至550℃で1時間乃至12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400℃乃至500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁層913に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410℃で加熱処理を行う。
絶縁層913、絶縁層914としては、他に窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁材料を用いてもよく、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
次いで、絶縁層913、絶縁層914、ゲート絶縁層に、半導体層に形成されたソース領域又はドレイン領域に達する開口を形成する。
開口は、上記実施の形態1乃至4で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成することができる。詳しくは、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。本実施の形態では、半導体層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、ゲート絶縁層、絶縁層913及び絶縁層914に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせてゲート絶縁層、絶縁層913及び絶縁層914を除去し、半導体層に達する開口を形成する。なお、第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。
半導体層のソース領域又はドレイン領域に達する開口は、フォトレジストを用いてマスク層を形成し、当該マスク層を用いてエッチング加工して形成してもよい。
半導体層のソース領域又はドレイン領域に達する開口にソース電極層又はドレイン電極層を形成する。以上で、半導体層のソース領域又はドレイン領域とソース電極層又はドレイン電極層とが電気的に接続される。
ソース電極層又はドレイン電極層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電層を形成し、当該導電層を選択的にエッチングして形成することができる。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の元素、又は当該元素を主成分とする合金材料若しくは当該元素を主成分とする金属窒化物を用いて形成する。ソース電極層又はドレイン電極層は、単層構造でも積層構造でもよい。
また、ソース電極層又はドレイン電極層は、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。このような方法を用いると、所望の場所に選択的に導電層を形成することができる。なお、ソース電極層又はドレイン電極層の形成時に、端子部906の端子電極層950も形成される。
以上の工程で、画素部902にトランジスタ922、トランジスタ924、駆動回路部904に複数のトランジスタ926を有するアクティブマトリクス基板を作製することができる。
なお、本発明は特に限定されず、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
次に第2の層間絶縁層として絶縁層916を形成する。絶縁層916としては酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒素を含む酸化アルミニウム(酸化窒化アルミニウムともいう)、酸素を含む窒化アルミニウム(窒化酸化アルミニウムともいう)、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザン、低誘電率(Low−k)材料を用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。平坦化のために設ける層間絶縁層としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されるので、絶縁層916の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
絶縁層916は、その他ディップ法、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁層916を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
画素部902の絶縁層916に、トランジスタ924のソース電極層又はドレイン電極層に達する開口を形成する。開口は、上述したソース電極層又はドレイン電極層及び半導体層のソース領域又はドレイン領域を電気的に接続するための開口と同様に形成すればよい。
例えば、上記実施の形態1乃至4で示したように、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。詳しくは、ソース電極層又はドレイン電極層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、絶縁層916に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせ、絶縁層916を除去して開口を形成することができる。このとき、第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。なお、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して開口を形成する場合には、ソース電極層又はドレイン電極層に比較的蒸発し易い低融点金属(本実施の形態ではクロム)を用いることが好ましい。もちろん、レーザアブレーションを利用せず、フォトレジストを用いてマスク層を形成し、当該マスク層を用いてエッチング加工して開口を形成してもよい。
画素部902の絶縁層916上に発光素子930を形成する。発光素子930は、トランジスタ924と電気的に接続するようにする。
まず、絶縁層916に設けられ、トランジスタ924のソース電極層又はドレイン電極層が露出した開口に、第1の電極層932を形成する。
次に、第1の電極層932の端部を覆い、当該第1の電極層932上に開口を有するように隔壁層918を形成する。隔壁層918としては酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを用いることができ、単層構造でも2層、3層といった積層構造でもよい。また、隔壁層918の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料を用いることができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
隔壁層918は、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法などを用いて形成することができる。また、感光性の材料を用いて隔壁層を全面に形成し、感光性の材料からなる隔壁層を露光及び現像することで、所望の形状に加工することができる。また、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などを用いて全面に形成し、リソグラフィー技術を用いてレジスト等のマスクを形成し、所望の形状にエッチング加工してもよい。
所望の形状に加工するエッチング加工は、ドライエッチング法又はウェットエッチング法のどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチング(ドライエッチング法の一種)が適している。エッチングガスとしては、CF4、CHF3、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にレジスト等のマスクを形成する必要はない。
隔壁層918は、曲率半径が連続的に変化する形状が好ましい。隔壁層をこのような形状にすることで、上方に積層形成される層の被覆性が向上する。
次に、第1の電極層932及び隔壁層918上に層934、第2の電極層936を積層形成する。そして、第1の電極層932と第2の電極層936との間に層934が挟持された構造の発光素子930を得る。層934は、少なくとも所望の発光波長を得ることができる発光材料を含む層で構成される。
第1の電極層932及び第2の電極層936のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。第1の電極層932及び第2の電極層936は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物、2wt%乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も用いることができる。
なお、層934で発光した光を外部に取り出すために、第1の電極層932と第2の電極層936のいずれか一方または両方は、インジウム錫酸化物等を用いるか、或いは銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成して、可視光が透過できるように、形成することが好ましい。
第1の電極層932は、前述の材料を全面に形成した後、選択的にエッチングして形成することができる。また、第1の電極層932は、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ナノインプリント法、液滴吐出法、ディスペンサ法、選択的な塗布法などを用いて形成してもよい。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。このような方法を用いると、所望の場所に選択的に導電層を形成することができる。
また、第1の電極層932は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層932の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
第1の電極層932を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、第1の電極層932中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極層932は脱ガスなどを生じないため、第1の電極層932上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い表示装置を作製することができる。
第2の電極層936は、蒸着法、スパッタリング法等を用いて形成することができる。また、第2の電極層936上にパッシベーション層(保護層)として絶縁層を設けてもよい。このように第2の電極層936を覆うようにしてパッシベーション層を設けることは有効である。パッシベーション層としては、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁層からなり、該絶縁層の単層構造もしくは組み合わせた積層構造を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション層として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、層934の耐熱性が低い場合でも、容易に積層形成することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタリング法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、層934の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に層934が酸化するといった問題を防止できる。
第1の電極層932上に形成される層934は、少なくとも発光材料を含む発光層で構成される。発光層は、有機化合物、無機化合物、又は有機化合物と無機化合物とを含む層で形成する。第1の電極層932と第2の電極層936との間に、層934が設けられて発光素子930を得ることができる。
このように発光素子930が形成された基板901と、封止基板908とをシール材910によって固着し、発光素子930を封止する。シール材910としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域948には充填材を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。充填材を透過して光を取り出す構造の場合は、充填材は透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。以上の工程において、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する。また充填材は、液状の状態で滴下し、表示装置内に充填することもできる。充填材として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、発光素子930の劣化を防ぐことができる。
また、素子の水分による劣化を防ぐため、画素部902を取り囲むように乾燥剤を設けてもよい。例えば、封止基板に形成された凹部に乾燥剤を設置すればよく、このような構造にすることで、薄型化を妨げない構成とできる。また、ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成し、吸水面積を広く取ると、吸水効果が高い。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成すると、光取り出し効率を低下させることもない。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を取り出す場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子からの光を妨げないような、隔壁層の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
また、ソース電極層又はドレイン電極層と第1の電極層932が直接接して電気的な接続を行わず、配線層(導電層)を介して接続していてもよい。
本実施の形態では、端子部906において、端子電極層950に異方性導電層952によってFPC954を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。
また、図27(A)で示すように、本実施の形態において作製される表示装置は、画素部902と同一基板上に駆動回路部904が設けられている。なお、本発明は特に限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減・簡略化することが可能になる。また、本発明は、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射してレーザアブレーションさせ、開口を形成することができる。このようにすることで、他の層や基板へのダメージを防ぎつつ、容易にアブレーションさせ開口を形成することができる。したがって、表示装置の製造において、製造コストの低減、スループットの向上を図ることができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至5と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態7)
表示装置の表示機能を有する発光素子は、様々な素子構造を適用することができる。一般的に、発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。ここでは、図12乃至図14を用いて、本発明に適用できる発光素子の例について説明する。
図12は、有機EL素子について示している。図12に示す発光素子は、第1の電極層8270と第2の電極層8250との間に、層8260が挟持されている。第1の電極層8270及び第2の電極層8250のいずれか一方は陽極となり、他方は陰極となる。なお、陽極とは、発光層に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは発光層に電子を注入する電極のことを示す。本実施の形態では、第1の電極層8270を陽極とし、第2の電極層8250を陰極とする。また、層8260は、正孔注入層8262、正孔輸送層8264、発光層8266、電子輸送層8268、電子注入層8269が順次積層された構成とする。
第1の電極層8270と第2の電極層8250は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物、2wt%乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も第1の電極層8270を形成するのに用いることができる。第1の電極層8270の形成方法については、上述した実施の形態4の第1の電極層7012や、実施の形態6の第1の電極層932と同じである。また、第2の電極層8250の形成方法について特に限定はなく、例えばスパッタリング法や蒸着法等を用いて形成することができる。
なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極層8270と第2の電極層8250のいずれか一方または両方は、インジウム錫酸化物等を用いるか、或いは銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成して、可視光が透過できるように、形成することが好ましい。
正孔注入層8262は、第1の電極層8270から正孔輸送層8264へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。正孔注入層8262を設けることによって、第1の電極層8270と正孔輸送層8264との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔が注入され易くなる。正孔注入層8262は、正孔輸送層8264を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが小さく、第1の電極層8270を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが大きい物質、または正孔輸送層8264と第1の電極層8270との間に1nm乃至2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。正孔注入層8262を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。つまり、正孔注入層8262におけるイオン化ポテンシャルが正孔輸送層8264におけるイオン化ポテンシャルよりも相対的に小さくなるような物質を正孔輸送性物質の中から選択することによって、正孔注入層8262を形成することができる。正孔注入層8262を設ける場合、第1の電極層8270は、インジウム錫酸化物等の仕事関数の高い物質を用いて形成することが好ましい。なお、本発明は特に限定されず、正孔注入層8262は設けなくともよい。
正孔輸送層8264とは、第1の電極層8270側から注入された正孔を発光層8266へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層8264を設けることによって、第1の電極層8270と発光層8266との距離を離すことができ、その結果、第1の電極層8270等に含まれている金属に起因して発光が消滅することを防ぐことができる。正孔輸送層8264は、正孔輸送性物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、正孔輸送性物質とは、電子よりも正孔の移動度が高く、電子の移動度に対する正孔の移動度の比の値(=正孔移動度/電子移動度)が好ましくは100よりも大きい物質をいう。正孔輸送層8264を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)等が挙げられる。なお、正孔輸送層8264は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。
発光層8266は、発光機能を有する層であり、有機化合物でなる発光材料を含む。また、無機化合物を含んでいてもよい。発光層8266に含まれる有機化合物は、発光性の有機化合物であれば特に限定はなく、種々の低分子系有機化合物、高分子系有機化合物を用いることができる。また、発光性の有機化合物は、蛍光発光材料、又は燐光発光材料のどちらを用いることも可能である。発光層8266は、発光性の有機化合物のみからなる層としてもよいし、発光性の有機化合物を当該有機化合物よりも大きいエネルギーギャップを有するホスト材料に分散した構成としてもよい。なお、発光層8266を、有機化合物でなる発光材料とホスト材料とを含む層のように複数の化合物を混合した層とする場合は、共蒸着法を用いて形成することができる。ここで、共蒸着とは、一つの処理室内に設けられた複数の蒸着源からそれぞれ原料を気化させ、気化した原料を気相状態で混合し、被処理物上に堆積させる蒸着法をいう。
電子輸送層8268は、第2の電極層8250から注入された電子を発光層8266へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層8268を設けることによって、第2の電極層8250と発光層8266との距離を離すことができ、その結果、第2の電極層8250等に含まれている金属に起因して発光が消滅することを防ぐことができる。電子輸送層8268は、電子輸送性物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、電子輸送性物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、正孔の移動度に対する電子の移動度の比の値(=電子移動度/正孔移動度)が好ましくは100よりも大きい物質をいう。電子輸送層8268を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。また、電子輸送層8268は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。
電子注入層8269は、第2の電極層8250から電子輸送層8268へ電子の注入を補助する機能を有する層である。電子注入層8269は、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層8268を形成するのに用いることのできる物質の中から、電子輸送層8268の形成に用いる物質よりも電子親和力が相対的に大きい物質を選択して用いることによって形成することができる。このようにして電子注入層8269を形成することによって第2の電極層8250と電子輸送層8268との間の電子親和力の差が緩和され、電子が注入され易くなる。また、電子注入層8269には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、リチウム酸化物、カリウム酸化物、ナトリウム酸化物等のアルカリ金属の酸化物、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物等のアルカリ土類金属の酸化物、フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属のフッ化物、フッ化カルシウム等のアルカリ土類金属のフッ化物、またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属等の無機物が含まれていてもよい。また、電子注入層8269はBPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の有機化合物を含む構成であってもよいし、LiF等のアルカリ金属のフッ化物、またはCaF2等のアルカリ土類金属のフッ化物等の無機化合物からなる構成であってもよい。このようにLiF等のアルカリ金属のフッ化物、またはCaF2等のアルカリ土類金属のフッ化物等の無機化合物を用いて1nm乃至2nmの薄膜として電子注入層8269が設けられることによって電子注入層8269のエネルギーバンドが曲がる、或いは電子注入層8269にトンネル電流が流れることにより、第2の電極層8250から電子輸送層8268へ電子の注入が容易となる。
なお、正孔注入層8262に換えて正孔発生層が設けられていてもよいし、または電子注入層8269に換えて電子発生層が設けられていてもよい。
ここで、正孔発生層とは、正孔を発生する層である。正孔輸送性物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって正孔発生層を形成することができる。ここで、正孔輸送性物質としては、正孔輸送層8264を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、レニウム酸化物等の金属酸化物を用いることが好ましい。
また、電子発生層とは、電子を発生する層である。電子輸送性物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって電子発生層を形成することができる。ここで、電子輸送性物質としては電子輸送層8268を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、電子供与性を示す物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選ばれた物質、具体的にはリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)等を用いることができる。
正孔注入層8262、正孔輸送層8264、発光層8266、電子輸送層8268、電子注入層8269は、それぞれ、蒸着法、液滴吐出法、または塗布法等を用いて形成すればよい。第1の電極層8270又は第2の電極層8250は、スパッタリング法または蒸着法等を用いて形成すればよい。
本実施の形態において、層8260は、少なくとも発光層8266を含んでいればよく、その他の機能を有する層(正孔注入層8262、正孔輸送層8264、電子輸送層8268、電子注入層8269等)は適宜設ければよい。
また、第1の電極層8270を陰極とし、第2の電極層8250を陽極としてもよい。その場合、層8260は、第1の電極層8270側から、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層が順次積層された構成となる。
次に、無機EL素子について、図13、図14を用いて説明する。無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と不純物元素とで構成される。不純物元素は、発光中心として機能する。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、700℃乃至1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化カルシウム、硫化イットリウム、硫化ガリウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化イットリウム等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
局在型発光の不純物元素として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。ハロゲン元素は電荷補償として機能することもできる。
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の不純物元素として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム等を用いることができ、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅、硫化銀等を用いることができる。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅、塩化銀等を用いることができる。
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01atom%乃至10atom%の範囲であればよく、好ましくは0.05atom%乃至5atom%の範囲である。
薄膜型無機EL素子の場合、発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
図13(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図13(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層50、層51、第2の電極層53を含む。層51は、少なくとも発光層52を含む構成とする。
図13(A)に示す発光素子は、第1の電極層50と第2の電極層53との間に、発光層52のみで構成される層51が挟持されている。図13(B)及び図13(C)に示す発光素子は、図13(A)の発光素子において、第1の電極層50又は第2の電極層53と、発光層52と、の間に絶縁層を設ける構造である。図13(B)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54を有し、図13(C)に示す発光素子は、第1の電極層50と発光層52との間に絶縁層54a、第2の電極層53と発光層52との間に絶縁層54bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層構造でもよいし、積層構造でもよい。
また、図13(B)では第1の電極層50に接するように絶縁層54が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層53に接するように絶縁層54を設けてもよい。
次に、分散型無機EL素子について説明する。分散型無機EL素子の場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の発光層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって発光層中に均一に分散し固定される。
分散型無機EL素子の場合、発光層の形成方法は、選択的に発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10nm乃至1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
図14(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図14(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層60、層65、第2の電極層63を含む。層65は、少なくとも発光層を含む構成とする。
図14(A)における発光素子は、第1の電極層60、発光層62、第2の電極層63の積層構造を有し、発光層62中にバインダによって保持された発光材料61を含む。
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、絶縁材料を用いることができる。具体的には、有機絶縁材料や無機絶縁材料を用いることができ、有機絶縁材料及び無機絶縁材料の混合材料を用いてもよい。有機絶縁材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
バインダに含まれる無機絶縁材料としては、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸素及び窒素を含むシリコン、窒化アルミニウム、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム、酸化チタン、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸鉛、酸化タンタル、タンタル酸バリウム、タンタル酸リチウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機絶縁材料に、誘電率の高い無機絶縁材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。バインダに無機絶縁材料と有機絶縁材料との混合層を用い、高い誘電率とすると、発光材料により大きい電荷を誘起することができる。
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが、本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(種々のウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3−メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
図14(B)及び図14(C)に示す発光素子は、図14(A)の発光素子において、第1の電極層60又は第2の電極層63と、発光層62と、の間に絶縁層を設ける構造である。図14(B)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64を有し、図14(C)に示す発光素子は、第1の電極層60と発光層62との間に絶縁層64a、第2の電極層63と発光層62との間に絶縁層64bとを有している。このように絶縁層は発光層を挟持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層構造でもよいし、積層構造でもよい。
また、図14(B)では第1の電極層60に接するように絶縁層64が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第2の電極層63に接するように絶縁層64を設けてもよい。
図13における絶縁層54、図14における絶縁層64のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐圧が高く、緻密な膜質であることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、窒化シリコン、酸化ジルコニウム等やこれらの混合層又は2種以上の積層を用いることができる。これらの絶縁層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して形成してもよい。バインダ材料は、発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10nm乃至1000nmの範囲である。
図13、図14に示す無機EL素子は、発光層を挟持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
本実施の形態(図12乃至図14)で示した発光素子は、上記実施の形態で示した表示装置の表示素子として具備されることができる。
例えば、図10に示す表示装置に、図12に示す有機EL素子を適用する場合、第1の電極層7012又は第2の電極層7018は、第1の電極層8270又は第2の電極層8250に相当する。層7016は、層8260に相当する。同様に、図27に示す表示装置の場合も、第1の電極層932又は第2の電極層936は、第1の電極層8270又は第2の電極層8250に相当する。層934は、層8260に相当する。
また、図10に示す表示装置に、図13、図14で示す無機EL素子を適用する場合も同様である。第1の電極層7012若しくは第2の電極層7018は、第1の電極層50若しくは第2の電極層53、又は第1の電極層60若しくは第2の電極層63に相当する。層7016は、層51若しくは層65に相当する。同様に、図27に示す表示装置の場合も、第1の電極層932若しくは第2の電極層936は、第1の電極層50若しくは第2の電極層53、又は第1の電極層60若しくは第2の電極層63に相当する。層934は、層51若しくは層65に相当する。
本実施の形態で示す発光素子及びトランジスタ等を接続するための開口の形成に、本発明を適用することができる。本発明を適用することで、発光素子を有する表示装置の製造工程において、スループットが向上する。
本実施の形態は、実施の形態4乃至6と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、液晶表示装置について説明する。
図29(A)は、液晶表示装置の上面図であり、図29(B)は図29(A)の線分GHにおける断面図である。
図29(A)で示すように、画素領域606、走査線駆動回路である駆動回路領域608a、走査線駆動領域である駆動回路領域608bが、シール材692によって、基板600と封止基板695との間に封止され、基板600上にICドライバによって形成された信号線駆動回路である駆動回路領域607が設けられている。画素領域606にはトランジスタ622及び容量素子623が設けられ、駆動回路領域608bにはトランジスタ620及びトランジスタ621を有する駆動回路が設けられている。基板600には、上記実施の形態と同様の基板を適用することができる。基板600として合成樹脂からなる基板を用いる場合は、他の基板と比較して耐熱温度が低いことが懸念されるが、耐熱性の高い基板を用いた作製工程の後、転置することによって採用することが可能となる。
画素領域606には、下地絶縁層604a、下地絶縁層604bを介して基板600上にスイッチング素子となるトランジスタ622が設けられている。本実施の形態では、トランジスタ622にマルチゲート型薄膜トランジスタを用いる。トランジスタ622は、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、2層の積層構造であるゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層を有する。ソース電極層又はドレイン電極層は、半導体層の不純物領域と電気的に接続される。また、ソース電極層又はドレイン電極層は画素電極層630と電気的に接続される。
ソース電極層又はドレイン電極層は積層構造となっている。ソース電極層又はドレイン電極層は、ゲート電極層を覆う絶縁層612、絶縁層611及びゲート絶縁層に形成された開口で、半導体層の不純物領域と接し、電気的に接続されている。
半導体層の不純物領域に達する開口は、上記実施の形態1乃至4で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成することができる。詳しくは、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。本実施の形態では、半導体層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、ゲート絶縁層、絶縁層611及び絶縁層612に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせてゲート絶縁層、絶縁層611及び絶縁層612を除去し、半導体層に達する開口を形成する。なお、第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。
半導体層の不純物領域に達する開口は、フォトレジストを用いてマスク層を形成し、当該マスク層を用いてエッチング加工して形成してもよい。
また、ソース電極層又はドレイン電極層644a、644bは絶縁層615に形成された開口で画素電極層630と接し、電気的に接続される。絶縁層615に形成される開口は、上記実施の形態1乃至4で示したように、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。詳しくは、ソース電極層又はドレイン電極層644bに吸収される波長を有する第1のレーザビームと、絶縁層615に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせ、ソース電極層又はドレイン電極層644b及び絶縁層615を除去して開口を形成することができる。このとき、第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。本実施の形態は、ソース電極層又はドレイン電極層644bに比較的蒸発し易い低融点金属(本実施の形態ではクロム)を用い、ソース電極層又はドレイン電極層644aにはソース電極層又はドレイン電極層644bよりも蒸発しにくい高融点金属(本実施の形態ではタングステン)を用いる。なお、レーザビームのエネルギーや、ソース電極層又はドレイン電極層の材料を適宜選択することにより、アブレーションにより絶縁層615のみを除去して開口を形成することも可能である。もちろん、レーザアブレーションを利用せず、フォトレジストを用いてマスク層を形成し、当該マスク層を用いてエッチング加工して開口を形成してもよい。
ソース電極層又はドレイン電極層644a、644bが露出された開口に画素電極層630を形成して、ソース電極層又はドレイン電極層644a、644bと画素電極層630が電気的に接続される。
薄膜トランジスタ(TFT)は、種々の方法で作製することができる。例えば、半導体層として、結晶性半導体層を適用する。結晶性半導体層上には、ゲート絶縁層を介してゲート電極層が設けられる。該ゲート電極層を用いて該結晶性半導体層へ不純物元素を添加することができる。このようにゲート電極層を用いた不純物元素の添加により、不純物元素添加のためのマスク層を形成する必要はない。ゲート電極層は、単層構造、又は積層構造とすることができる。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。このように低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Lightly doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。その後、ゲート電極層等を覆う絶縁層611及び絶縁層612を形成する。絶縁層611(及び絶縁層612)に混入された水素により、結晶性半導体層のダングリングボンドを終端することができる。
さらに平坦性を高めるため、層間絶縁層として絶縁層615を形成してもよい。絶縁層615は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成することができる。例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、有機絶縁材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
また結晶性半導体層を用いることにより、画素領域と駆動回路領域を同一基板上に一体形成することができる。その場合、画素部のトランジスタと、駆動回路領域608bのトランジスタとは同時に形成される。駆動回路領域608bに用いるトランジスタは、CMOS回路を構成する。CMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、GOLD構造であるが、トランジスタ622のようなLDD構造を用いることもできる。
本実施の形態に限定されず、画素領域606の薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
なお、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(例えば順スタガ型)、ボトムゲート型(例えば、逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
次に、画素電極層630を覆うように、印刷法や液滴吐出法により、配向膜と呼ばれる絶縁層631を形成する。なお、絶縁層631は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビング処理を行う。このラビング処理は液晶のモード、例えばVAモードのときには処理を行わないときがある。配向膜として機能する絶縁層633も絶縁層631と同様である。続いて、シール材692を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
その後、配向膜として機能する絶縁層633、対向電極として機能する導電層634、カラーフィルタとして機能する着色層635、偏光子641(偏光板ともいう)、及び偏光子642が設けられた封止基板695と、TFT基板である基板600とをスペーサ637を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層632を設ける。本実施の形態の液晶表示装置は透過型であるため、基板600の素子を有する面と反対側にも偏光子(偏光板)643を設ける。偏光子は、接着層によって基板に設けることができる。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに封止基板695には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、カラーフィルタ等は、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。
なお、バックライトにRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継続加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合がある。ブラックマトリクスは、トランジスタやCMOS回路の配線による外光の反射を低減するため、トランジスタやCMOS回路と重なるように設けるとよい。なお、ブラックマトリクスは、容量素子に重なるように形成してもよい。容量素子を構成する金属膜による反射を防止することができるからである。
液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板600と封止基板695とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。滴下法は、注入法を適用しづらい大面積基板を扱うときに適用するとよい。
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用した。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150℃乃至200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。形状は円錐状、角錐状などを用いることができ、特別な限定はない。
続いて、画素領域と電気的に接続されている端子電極層678a、678bに、異方性導電体層696を介して、接続用の配線基板であるFPC694を設ける。FPC694は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
なおトランジスタが有する配線層(導電層)、ゲート電極層、画素電極層630、対向電極層である導電層634は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化シリコンを混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属元素又は当該金属元素を主成分とする合金材料若しくは金属窒化物から選ぶことができる。
偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
なお、本実施の形態ではTN型の液晶パネルについて示しているが、上記のプロセスは他の方式の液晶パネルに対しても同様に適用することができる。例えば、ガラス基板と平行に電界を印加して液晶を配向させる横電界方式の液晶パネルに本実施の形態を適用することができる。また、VA(Vertical Aligment)方式の液晶パネルに本実施の形態を適用することができる。
図17と図18は、VA型液晶パネルの画素構造を示している。図17は平面図であり、図中に示す線分IJに対応する断面構造を図18に表している。以下の説明ではこの両図を参照して説明する。
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極が有り、それぞれの画素電極にTFTが接続されている。各TFTは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
画素電極層1624は開口1623(コンタクトホール)により、配線層1618でTFT1628と接続している。また、画素電極層1626は開口1627(コンタクトホール)により、配線層1619でTFT1629と接続している。TFT1628のゲート電極層1602と、TFT1629のゲート電極層1603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能する配線層1616は、TFT1628とTFT1629で共通に用いられている。
開口1623、開口1627は、上記実施の形態1乃至4で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成することができる。詳しくは、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。本実施の形態では、配線層1618、1619に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、上層の絶縁層1620及び絶縁層1622に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせて絶縁層1620、1622を除去して開口を形成する。第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。なお、絶縁層1620、1622を除去して開口を形成したが、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームのエネルギーや、配線層1618、1619を構成する材料等を適宜選択することにより、配線層1618、1619の上層部が除去され下層部が残存するように又は貫通するように開口を形成してもよい。この場合でも、開口の側面(又は側面及び底面)で配線層1618、1619は露出するため、画素電極層1624、1626と電気的に接続されることは可能である。
画素電極層1624と画素電極層1626は、導電材料を全面に形成した後、選択的にエッチングして形成することができる。画素電極層1624と画素電極層1626の形状は異なっており、スリット1625によって分離されている。V字型に広がる画素電極層1624の外側を囲むように画素電極層1626が形成されている。画素電極層1624と画素電極層1626に印加する電圧のタイミングを、TFT1628及びTFT1629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。対向基板1601には、遮光層1632、着色層1636、対向電極層1640が形成されている。また、着色層1636と対向電極層1640の間には平坦化層1637が形成され、液晶の配向乱れを防いでいる。図19に対向基板側の構造を示す。対向電極層1640は異なる画素間で共通化されている電極であるが、スリット1641が形成されている。このスリット1641と、画素電極層1624及び画素電極層1626側のスリット1625とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界を効果的に発生させて液晶の配向を制御することができる。これにより、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角を広げている。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減・簡略化することが可能になる。また、本発明は、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射してレーザアブレーションさせ、開口を形成することができる。このようにすることで、他の層や基板へのダメージを防ぎつつ、容易にアブレーションさせ開口を形成することができる。したがって、表示装置の製造工程において、コストを低減させ、スループットを向上させることが可能になる。
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、表示素子に液晶表示素子を用いる液晶表示装置について説明する。
図30に示す表示装置は、基板450上に、画素領域に逆スタガ型トランジスタであるトランジスタ420、画素電極層451、絶縁層452、絶縁層453、液晶層454、スペーサ481、絶縁層435、対向電極層456、カラーフィルタ458、ブラックマトリクス457、対向基板410、偏光板(偏光子)431、偏光板(偏光子)433、封止領域にシール材482、端子電極層487、異方性導電層488、FPC486が設けられている。
本実施の形態で作製されるトランジスタ420のゲート電極層、半導体層、ソース電極層、ドレイン電極層、及び画素電極層451は、上記実施の形態6、8等で示すように、導電材料又は半導体材料からなる材料層を形成し、当該材料層を適宜選択的にエッチングして形成することができる。
本実施の形態では、チャネルを形成する半導体層として非晶質半導体層を用いている。チャネルを形成する半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間に設けられる一導電性を有する半導体層は、必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電性を有する半導体層として非晶質n型半導体層を積層する。また一導電性を有する半導体層としてn型半導体層を形成し、nチャネル型薄膜トランジスタのNMOS構造、p型半導体層を形成したpチャネル型薄膜トランジスタのPMOS構造、nチャネル型薄膜トランジスタとpチャネル型薄膜トランジスタとのCMOS構造を作製することができる。
導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、nチャネル型トランジスタ、Pチャネル型トランジスタを形成することもできる。また、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
本実施の形態では、トランジスタ420はnチャネル型の逆スタガ型薄膜トランジスタとなっている。また、半導体層のチャネル領域上に保護層を設けたチャネル保護型の逆スタガ型薄膜トランジスタを用いることもできる。
次いで、バックライトユニット352の構成について説明する。バックライトユニット352は、蛍光を発する光源361として冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード、無機EL、有機EL、蛍光を効率よく導光板365に導くためのランプリフレクタ362、蛍光が全反射しながら全面に光を導くための導光板365、明度のムラを低減するための拡散板366、導光板365の下に漏れた光を再利用するための反射板364を有するように構成されている。
バックライトユニット352には、光源361の輝度を調整するための制御回路が接続されている。制御回路からの信号供給により、光源361の輝度を制御することができる。
トランジスタ420のソース電極層又はドレイン電極層及び画素電極層451は、絶縁層452に形成された開口で電気的に接続される。当該開口は、上記実施の形態1乃至4で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成することができる。詳しくは、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。本実施の形態では、ソース電極層又はドレイン電極層に吸収される波長を有する第1のレーザビームと、絶縁層452に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせ、ソース電極層又はドレイン電極層及び絶縁層452を除去して開口を形成する。開口の側面及び底面では、ソース電極層又はドレイン電極層及び一導電性を有する半導体層が露出する。第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。レーザビームの照射によるアブレーションを利用して開口を形成する場合には、ソース電極層又はドレイン電極層に比較的蒸発し易い低融点金属(本実施の形態ではクロム)を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では、絶縁層452及びソース電極層又はドレイン電極層を貫通するように開口を形成する例を示すが、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームのエネルギーや、ソース電極層又はドレイン電極層及び絶縁層等を構成する材料を適宜選択することにより、絶縁層452のみを貫通するように、又はソース電極層又はドレイン電極層の上層部が除去され下層部が残存するように開口を形成することも可能である。
絶縁層452に形成された開口に画素電極層451を形成し、画素電極層451及びソース電極層又はドレイン電極層は電気的に接続される。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減又は簡略化することが可能になる。また、本発明は、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射してレーザアブレーションさせ、開口を形成することができる。このようにすることで、他の層や基板へのダメージを防ぎつつ、容易にアブレーションさせ開口を形成することができる。したがって、表示装置の製造工程において、コストを低減させ、スループットを向上させることが可能になる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至4、8と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる表示装置の一例について説明する。
図20は、本発明を適用したアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。なお、図20ではアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示すが、本発明はパッシブマトリクス型の電子ペーパーにも適用することができる。
電子ペーパーとしてツイストボール表示方式を用いることができる。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
トランジスタ5801は逆コプラナ型の薄膜トランジスタであり、ゲート電極層5802、ゲート絶縁層5804、配線層5805a、配線層5805b、半導体層5806を含む。配線層5805a、配線層5805bは、ソース電極層又はドレイン電極層として機能する。また配線層5805bは第1の電極層5807と絶縁層5908に形成される開口で接して電気的に接続されている。第1の電極層5807と第2の電極層5808との間には黒色領域5900a及び白色領域5900bを有し、周りが液体で満たされているキャビティ5904を含む球形粒子5809が設けられており、球形粒子5809の周囲は樹脂等の充填材5905で充填されている。
本実施の形態において、トランジスタ5801を構成するゲート電極層5802、半導体層5806、配線層5805a、5805bなどは、上記実施の形態で示すように、導電材料又は半導体材料からなる材料層を形成し、当該材料層を適宜選択的にエッチングして形成することができる。
配線層5805bは絶縁層5908に形成された開口で第1の電極層5807と電気的に接続される。当該開口は、上記実施の形態1乃至4で示したように、レーザビームの照射によるアブレーションを利用して形成することができる。詳しくは、異なる層(アブレーションさせる層及びその上層に積層された層)に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射し、重畳して照射した領域の一部或いは全部をアブレーションさせて開口を形成する。本実施の形態では、配線層5805bに吸収される波長を有する第1のレーザビームと、絶縁層5908に吸収される波長を有する第2のレーザビームとを重畳するように照射し、重畳して照射した領域をアブレーションさせ、絶縁層5908及び配線層5805bを除去して開口を形成する。第1のレーザビームは、第2のレーザビームと重畳して照射した領域でアブレーションさせることができる程度のエネルギーを有する。第2のレーザビームは、照射した領域に不可逆的な変化を与えない程度のエネルギーを有する。レーザビームの照射によるアブレーションを利用して開口を形成する場合には、配線層5805bに比較的蒸発し易い低融点金属(本実施の形態ではクロム)を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では、絶縁層5908及び配線層5805bを貫通するように開口を形成する例を示すが、第1のレーザビーム及び第2のレーザビームのエネルギーや、配線層及び絶縁層等を構成する材料を適宜選択することにより、絶縁層5908のみを貫通するように、又は配線層5805bの上層部が除去され下層部が残存するように開口を形成することも可能である。
絶縁層5908に形成された開口に第1の電極層5807を形成し、配線層5805bと第1の電極層5807は電気的に接続される。
レーザアブレーションを利用することで、複雑なリソグラフィー工程を行うことなく、絶縁層に開口を形成することができる。
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm乃至200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1の電極層と第2の電極層との間に設けられるマイクロカプセルは、第1の電極層と第2の電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子と、黒い微粒子が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能であるため、電波発信源から表示機能付き表示装置を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
トランジスタはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。
本実施の形態では、具体的には、表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示すが、勿論本発明はパッシブマトリクス型の表示装置にも適用できる。
本発明を適用することで、フォトレジストを用いたリソグラフィー工程を用いることなく、所望の領域に開口を形成することができる。よって、リソグラフィー工程を削減・簡略化することが可能になる。また、本発明は、異なる層に吸収される2種類のレーザビームを重畳するように照射してレーザアブレーションさせ、開口を形成することができる。このようにすることで、他の層や基板へのダメージを防ぎつつ、容易にアブレーションさせ開口を形成することができる。したがって、表示装置の製造コストを低減させ、スループットを向上させることができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態11)
次に、実施の形態4乃至10によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実装する態様について説明する。
まず、COG方式を採用した表示装置について、図16(A)を用いて説明する。基板2700上には、文字や画像などの情報を表示する画素部2701が設けられる。複数の駆動回路が設けられた基板を、矩形状に分断し、分断後の駆動回路(ドライバICとも表記)2751は、基板2700上に実装される。図16(A)は複数のドライバIC2751、ドライバIC2751の先にFPC2750を実装する形態を示す。また、分割する大きさを画素部の信号線側の辺の長さとほぼ同じにし、単数のドライバICの先にテープを実装してもよい。
また、TAB方式を採用してもよく、その場合は、図16(B)で示すように複数のテープを貼り付けて、該テープにドライバICを実装すればよい。COG方式の場合と同様に、単数のテープに単数のドライバICを実装してもよく、この場合には、強度の問題から、ドライバICを固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
これらの表示パネルに実装されるドライバICは、生産性を向上させる観点から、一辺が300mm乃至1000mm以上の矩形状の基板上に複数個作り込むとよい。
つまり、基板上に駆動回路部と入出力端子を一つのユニットとする回路パターンを複数個形成し、最後に分割して取り出せばよい。ドライバICの長辺の長さは、画素部の一辺の長さや画素ピッチを考慮して、長辺が15mm乃至80mm、短辺が1mm乃至6mmの矩形状に形成してもよいし、画素領域の一辺、又は画素部の一辺と各駆動回路の一辺とを足した長さに形成してもよい。
ドライバICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15mm乃至80mmで形成されたドライバICを用いると、画素部に対応して実装するのに必要な数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ガラス基板上にドライバICを形成すると、母体として用いる基板の形状に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからICチップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
また、図15(B)のように走査線側駆動回路3702は基板上に一体形成される場合、画素部3701の外側の領域には、信号線側の駆動回路が形成されたドライバICが実装される。これらのドライバICは、信号線側の駆動回路である。RGBフルカラーに対応した画素領域を形成するためには、XGAクラスで信号線の本数が3072本必要であり、UXGAクラスでは4800本が必要となる。このような本数で形成された信号線は、画素部3701の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ドライバICの出力端子のピッチに合わせて集められる。
ドライバICは、基板上に形成された結晶性半導体により形成されることが好適であり、該結晶性半導体は連続発振のレーザビームを照射することで形成されることが好適である。従って、当該レーザビームを発生させる発振器としては、連続発振の固体レーザ又は気体レーザを用いることが好ましい。連続発振のレーザビームを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体層を得ることができる。このような半導体層を用いてトランジスタを作製すると、移動度や応答速度が良好なために高速駆動が可能で、従来よりも素子の動作周波数を向上させることができ、特性バラツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。なお、さらなる動作周波数の向上を目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザビームの走査方向と一致させるとよい。これは、連続発振のレーザビームによるレーザ結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向とレーザビームの基板に対する走査方向とが概ね平行(好ましくは−30度以上30度以下)であるときに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル方向に延在する多結晶半導体層によって構成される半導体層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル方向に沿って形成されていることを意味する。
レーザ結晶化を行うには、レーザビームの大幅な絞り込みを行うことが好ましく、そのレーザビームの形状(ビームスポット)の幅は、ドライバICの短辺と同じ幅の1mm以上3mm以下程度とすることがよい。また、被照射体に対して、十分に且つ効率的なエネルギー密度を確保するために、レーザビームの照射領域は、線状であることが好ましい。但し、ここでいう線状とは、厳密な意味で線を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは長楕円形を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10以上10000以下)のものを指す。このように、レーザビームの形状(ビームスポット)の幅をドライバICの短辺と同じ長さとすることで、生産性を向上させた表示装置の作製方法を提供することができる。
図16(A)、(B)のように走査線駆動回路及び信号線駆動回路の両方として、ドライバICを実装してもよい。その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにするとよい。
画素領域は、信号線と走査線が交差してマトリクスを形成し、各交差部に対応してトランジスタが配置される。本実施の形態は、画素領域に配置されるトランジスタとして、非晶質半導体又はセミアモルファス半導体をチャネル部としたTFTを用いることを特徴とする。非晶質半導体は、プラズマCVD法やスパッタリング法等の方法により形成する。セミアモルファス半導体は、プラズマCVD法で300℃以下の温度で形成することが可能であり、例えば、外寸550mm×650mmの無アルカリガラス基板であっても、トランジスタを形成するのに必要な膜厚を短時間で形成できるという特徴を有する。このような製造技術の特徴は、大画面の表示装置を作製する上で有効である。また、セミアモルファスTFTは、SASでチャネル形成領域を構成することにより2cm2/V・sec乃至10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。このように、システムオンパネル化を実現した表示パネルを作製することができる。
半導体層をSASで形成したTFTを用いることにより、走査線側駆動回路も基板上に一体形成することができる。なお、半導体層をSASで形成したTFTを用いる場合には、走査線側駆動回路及び信号線側駆動回路の両方にドライバICを実装するとよい。
その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにすることが好適である。例えば、走査線側のドライバICを構成するトランジスタには30V程度の耐圧が要求されるものの、駆動周波数は100kHz以下であり、比較的高速動作は要求されない。従って、走査線側のドライバを構成するトランジスタのチャネル長(L)は十分大きく設定することが好適である。一方、信号線側のドライバICのトランジスタには、12V程度の耐圧があれば十分であるが、駆動周波数は3Vにて65MHz程度であり、高速動作が要求される。そのため、ドライバを構成するトランジスタのチャネル長などはミクロンルールで設定することが好適である。
ドライバICの実装方法は、特に限定されるものではなく、COG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法を用いることができる。
ドライバICの厚さは、対向基板と同じ厚さとすることで、両者の高さはほぼ同じものとなり、表示装置全体としての薄型化に寄与する。また、それぞれの基板を同じ材質のもので作製することにより、この表示装置に温度変化が生じても熱応力が発生することなく、TFTで作製された回路の特性を損なうことはない。その他にも、本実施形態で示すようにICチップよりも長尺のドライバICで駆動回路を実装することにより、1つの画素領域に対して、実装されるドライバICの個数を減らすことができる。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
(実施の形態12)
実施の形態4乃至11によって作製される表示パネル(EL表示パネル、液晶表示パネル)において、半導体層を非晶質半導体、又はSASで形成し、走査線側の駆動回路を基板上に形成する例を示す。
図22は、1cm2/V・sec乃至15cm2/V・secの電界効果移動度が得られるSASを使ったnチャネル型のTFTで構成する走査線側駆動回路のブロック図を示している。
図22において8500で示すブロックが1段分のサンプリングパルスを出力するパルス出力回路に相当し、シフトレジスタはn個のパルス出力回路により構成される。8501はバッファ回路であり、その先に画素8502が接続される。
図23は、パルス出力回路8500の具体的な構成を示したものであり、nチャネル型のTFT8601、TFT8602、TFT8603、TFT8604、TFT8605、TFT8606、TFT8607、TFT8608、TFT8609、TFT8610、TFT8611、TFT8612、TFT8613で回路が構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を8μmとすると、チャネル幅は10μm乃至80μmの範囲で設定することができる。
また、バッファ回路8501の具体的な構成を図24に示す。バッファ回路も同様にnチャネル型のTFT8620、TFT8621、TFT8622、TFT8623、TFT8624、TFT8625、TFT8626、TFT8627、TFT8628、TFT8629、TFT8630、TFT8631、TFT8632、TFT8633、TFT8634、TFT8635で構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を10μmとすると、チャネル幅は10μm乃至1800μmの範囲で設定することとなる。
このような回路を実現するには、TFT相互を配線によって接続する必要がある。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
(実施の形態13)
本実施の形態を図28を用いて説明する。図28は、本発明を適用して作製されるTFT基板2800を用いてEL表示モジュールを構成する一例を示している。図28において、TFT基板2800上には、画素により構成された画素部が形成されている。
図28では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲート電極層とソース電極層若しくはドレイン電極層の一方とを接続してダイオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。駆動回路2809は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体層で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
TFT基板2800は、液滴吐出法で形成されたスペーサ2806a、スペーサ2806bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。TFT2802、TFT2803とそれぞれ接続する発光素子2804、発光素子2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙には少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図28では発光素子2804、発光素子2805を上方放射型(トップエミッション型)の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
外部回路である駆動回路2809は、外部回路基板2811の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは近接させて、熱を機器の外部へ伝えるために使われる、パイプ状の高効率な熱伝導デバイスであるヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図28では、トップエミッション型のEL表示モジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造、もちろん上面、下面両方から光が放射する両方放射構造としても良い。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
また、EL表示モジュールは、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上方放射型の表示装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板又はλ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、TFT素子基板側から順に、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板(λ/4板、又はλ/2板)、偏光板という構成になり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両方放射される両方放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高精細で精密な画像を表示することができる。
TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂を用いて樹脂フィルムを貼り付けて封止構造を形成してもよい。本実施の形態では、ガラス基板を用いるガラス封止を示したが、樹脂による樹脂封止、プラスチックによるプラスチック封止、フィルムによるフィルム封止、など様々な封止方法を用いることができる。樹脂フィルムの表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
本発明を適用して作製したTFT基板等を備えた表示装置は、工程が一部簡略化し、その製造においてスループットが向上する。したがって、量産性良く表示モジュールを製造することが可能になる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至7、実施の形態11、12と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態14)
本実施の形態を図31(A)及び図31(B)を用いて説明する。図31(A)、図31(B)は、本発明を適用して作製されるTFT基板2600を用いて液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
図31(A)は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間に画素部2603と液晶層2604が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600の外側には偏光板2607、拡散板2613が配設されており、対向基板2601の外側には偏光板2606が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
図31(B)は図31(A)の液晶表示モジュールにOCBモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べ、各色の表示領域を限定する必要がなく、どの領域でも3色全ての表示を行うことができる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の表示装置に、FS方式を用いたFLCモード、及びOCBモードを適用し、高性能で高画質な表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
OCBモードの液晶層は、いわゆるπセル構造を有している。πセル構造とは、液晶分子のプレチルト角がアクティブマトリクス基板と対向基板との基板間の中心面に対して面対称の関係で配向された構造である。πセル構造の配向状態は、基板間に電圧が印加されていない時はスプレイ配向となり、電圧を印加するとベンド配向に移行する。このベンド配向が白表示となる。さらに電圧を印加するとベンド配向の液晶分子が両基板と垂直に配向し、光が透過しない状態となる。なお、OCBモードにすると、従来のTNモードより約10倍速い高速応答性を実現できる。
また、FS方式に対応するモードとして、高速動作が可能な強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)を用いたHV(Half V)−FLC、SS(Surface Stabilized)−FLCなども用いることができる。OCBモードは粘度の比較的低いネマチック液晶を用い、HV−FLC、SS−FLCには、強誘電相を有するスメクチック液晶を用いることができる。
また、液晶表示モジュールの高速光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。上記高速化は、TNモードの液晶表示モジュールの画素領域の画素ピッチが30μm以下の場合に、より効果的である。また、印加電圧を一瞬だけ高く(または低く)するオーバードライブ法により、より高速化が可能である。
図31(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
以上に示す液晶表示モジュールは、TFT基板2600の作製に本発明を適用することができる。また、本発明を適用して、TFT基板2600と画素部等を接続するための開口を形成することができる。したがって、一部工程を簡略化することができ、スループットも向上するため、液晶表示モジュールを量産性良く製造することができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至3、実施の形態8、9、11、12と適宜自由に組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態15)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図21はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
本実施の形態に係るテレビジョン装置を構成する表示パネルは、画素部9011、信号線側駆動回路9012、走査線側駆動回路9013で構成される。該表示パネルにおいて、信号線側駆動回路9012及び走査線側駆動回路9013は、図15(A)で示すように外付けの駆動回路としてもよいし、図16(A)に示すようにCOG方式により別途ドライバICとして実装してもよいし、図16(B)に示すようにTAB方式によりドライバICとして実装してもよい。また、図15(B)に示すように走査線側駆動回路をTFTで形成して基板上に画素部と一体形成してもよいし、図15(C)に示すように信号線側駆動回路及び走査線側駆動回路をTFTで形成して基板上に画素部と一体形成してもよい。図15、図16の詳細な説明は、上記実施の形態で説明したので、ここでは省略する。
図21において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ9014で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路9015と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路9016と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路9017などからなっている。コントロール回路9017は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路9018を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ9014で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路9019に送られ、その出力は音声信号処理回路9110を経てスピーカー9113に供給される。制御回路9111は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部9112から受け、チューナ9014や音声信号処理回路9110に信号を送出する。
これらの表示モジュールを、図25(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして液晶表示モジュールを用いれば液晶テレビジョン装置、EL表示モジュールを用いればELテレビジョン装置、またプラズマテレビジョン、電子ペーパーなども作製することができる。図25(A)において、表示モジュールにより主画面2403が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2409、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
図25(A)において、筐体2401に表示用パネル2402が組みこまれ、受信機2405により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2404を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体2401に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2406により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2407が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2403の他にサブ画面2408を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2403及びサブ画面2408を本発明の液晶表示用パネル又はEL表示用パネルで形成しても良いし、主画面2403を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2403を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大面積基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、製造コストを抑えて表示装置を製造することができる。
図25(B)は例えば20インチ〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2410、表示部2411、操作部であるリモコン装置2412、スピーカー部2413等を含む。本発明は、表示部2411の作製に適用される。図25(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
本発明を適用して、表示装置のTFTと画素を接続する開口等を形成することができる。その結果、簡略化した工程とすることができ、表示装置の製造において、スループットを向上させることができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至14と適宜自由に組み合わせることができる。
(実施の形態16)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末機器、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図26を参照して説明する。
図26(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明に係る表示装置を適用することができる。その結果、簡略化した工程で作製でき、スループットが向上するため、携帯情報端末機器を量産性良く製造することができる。
図26(B)に示すデジタルビデオカメラは、本体9700、表示部9701等を含んでいる。表示部9701は本発明に係る表示装置を適用することができる。その結果、簡略化した工程で作製でき、スループットが向上するため、デジタルビデオカメラを量産性良く製造することができる。
図26(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明に係る表示装置を適用することができる。その結果、簡略化した工程で作製でき、スループットが向上するため、携帯電話機を量産性良く製造することができる。
図26(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明に係る表示装置を適用することができる。その結果、簡略化した工程で作製でき、スループットが向上するため、携帯型のテレビジョン装置を量産性良く製造することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明に係る表示装置を適用することができる。
図26(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明に係る表示装置を適用することができる。その結果、簡略化した工程で作製でき、スループットが向上するため、携帯型のコンピュータを量産性良く製造することができる。
このように、本発明に係る表示装置を適用することで、電子機器を量産性良く製造することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至15と自由に組み合わせることができる。