JP2008133577A - 人工皮革及びその製造方法 - Google Patents

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Hideaki Kitawaki
秀亮 北脇
Toyomi Okazaki
豊実 岡崎
Nobuo Okawa
信夫 大川
Naohiko Takeyama
直彦 竹山
Daisaku Ohama
大作 大浜
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Abstract

【課題】軽量、且つ風合いに優れ、加工性、着用性に優れた人工皮革の提供にある。
【解決手段】収縮性能を有する繊維(A)特に高中空収縮繊維と潜在捲縮繊維(B)を主体とする混合繊維が交絡され、且つそれぞれの収縮と捲縮が顕在化された不織布からなる人工皮革であって、下記(a)〜(b)の要件を同時に満足することを特徴とする人工皮革により上記の軽量、且つ風合い、加工性、および着用性の課題が解決される。
(a)収縮性能を有する繊維(A)が人工皮革を基準として10〜35重量%の範囲にあること。
(b)潜在捲縮繊維が人工皮革を基準として7〜25重量%の範囲にあること。
【選択図】なし

Description

本発明は、軽量で加工性、着用性の優れた人工皮革、およびそれらの製造方法に関する。
従来人工皮革は多岐に亘る用途に使用され、その天然皮革には無い軽量性、耐水性などの特徴から現在ではなくてはならない素材として生活に浸透している。特にスポーツシューズ、シルバー向けウォーキングシューズ、ランドセルなどの用途ではさらなる軽量化が望まれている。また、特にシューズ関係では、外反母趾などの防止・保護のためソフトで伸びやすく厚み方向のクッション性のある素材が望まれている。従来から人工皮革の軽量化が追求されてきているが、軽量・ソフト化をすすめるには繊維と高分子弾性体の複合構造物である人工皮革の繊維構成量と高分子弾性体の構成量を少なくすることが必要となり、この場合の人工皮革はペーパーライクになり、皮革類の本来の風合い(加工性、着用性)などを犠牲にせざるを得ないのが現状であった。
又、人工皮革の軽量化について、中空繊維を使用する試みが行われている。例えば、特開平11−100780号公報の記載にあるように、ポリエステル高中空綿を使用して軽量化を実現させる試みがなされているが、軽量化による人工皮革としての風合い(加工性、着用性)の低下を防ぐために、使用するポリエステル高中空綿に収縮性を付与して不織布となした後に加熱により面積収縮で密度を高めている。この方法では、高中空綿を使用し軽量化を試みながら、風合いを維持するために面積収縮を併用して高密度化人工皮革となり、せっかくの高中空繊維の軽量化効果が低減するという問題点がある。このように軽量化と風合い向上を同時に達成できていないのが現状である。
特開平11−100780号公報
本発明の目的は、人工皮革の軽量・ソフト化、適正な強度、風合い(加工性、着用性)を向上させた人工皮革を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル収縮繊維(A)、および潜在捲縮繊維(B)を主体とする混合繊維が交絡され、且つそれぞれの収縮と捲縮が顕在化された不織布からなる、見掛け密度が0.25〜0.45g/cmの人工皮革であって、該ポリエステル収縮繊維(A)が人工皮革を基準として10〜35重量%の範囲にあること、および該潜在捲縮繊維(B)が人工皮革を基準として7〜25重量%の範囲にあることの要件を同時に満足することことにより、軽量で且つソフトな風合い、加工性、および着用性の優れた人工皮革とすることを見出し、本発明を完成させた。高中空収縮ポリエステル繊維を用いることが軽量化に好ましい。
以上に説明したように、本発明は、0.25〜0.45g/cmの見掛け密度を有する軽量・ソフト化された人工皮革であり、従来のこのような見掛け密度を有する軽量化された人工皮革に比べ、その風合い(ソフト性、ストレッチバック性、厚み方向のクッション性、加工性、着用性)が大幅に改良されたものである。これは、収縮繊維による不織布適正密度化と、潜在捲縮繊維の捲縮発現による厚み方向のクッション性、および軽量性付与効果により、軽量性と風合い指数のバランスを実現させることが出来たことによるものである。特に潜在捲縮繊維は公知であるが人工皮革の不織布に用いて適切に立体捲縮を発現させる効果により軽量と風合いをバランスさせることができたことが大きい。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明におけるポリエステル収縮繊維(A)とは、70℃の温水中で45%以上の収縮率を有している繊維である。中でも中空部割合が40%以上の高中空であるポリエステル収縮繊維が好ましい。高中空とは、繊維横断面における中空率が40〜85%の範囲にあるものであり、45〜75%より好ましくは50〜70%の範囲にあることが軽量性の点で好ましい。中空率が85%を超える場合には、繊維壁面の厚さが薄くなりすぎ中空部破断が発生しやすくなり好ましくない。ここで中空率とは、繊維横断面において該横断面の外周部で囲まれた図形の面積を基準とした時の、中空部の総面積の割合(%)をいう。
繊維横断面における中空部の数は一つであっても複数であってもよいが、複数の中空部を形成した場合には、一つの中空部を形成した中空繊維と同一の中空率であっても、繊維壁面の厚さが薄くなり、風合いがソフトなものになる、また中空内に部分的な支えができて中空部が潰れ難くなるとともに回復性も向上するといった好ましい点もあるが、形成する中空部の数が15を超えるようなハニカム状の繊維横断面形状を有する中空繊維では、繊維壁面の厚さが薄くなり過ぎて紡糸延伸性が低下し易い、中空破断が発生し易い、圧縮応力に対する抵抗性が低下して形態保持性が悪化し易い、といった問題が生じるので好ましくない。また、中空部の形状は任意であるが、該形状が真円である場合には高中空率のものが得られ易く、また中空形状の回復特性も良好なので好ましい。
ポリエステル収縮繊維(A)の単繊維繊度は、0.1〜8.0dtexであり、好ましくは0.2〜1.0dtex、特に、0.5〜1.0dtexの範囲にあることが好ましい。該単繊維繊度が0.1dtex未満の場合には、カード機での生産効率が低下するため好ましくない。一方、8.0dtexを超える場合には、カード機での生産効率は安定で良好であるものの、本発明のソフト性、加工性を人工皮革に発現させることが困難となるため好ましくない。
高中空ポリエステル収縮繊維の場合も、単繊維繊度は、0.1〜8.0dtexであり、好ましくは0.2〜1.0dtex、特に、0.5〜1.0dtexの範囲にあることが好ましい。上記の理由の他に、該単繊維繊度が0.1dtex未満の場合には、繊維を安定して生産することができなくなり、また得られる中空繊維の中空率も小さくなりやすい。一方、8.0dtexを超える場合には、製糸時の工程安定性は良好であるものの、繊維横断面における中空壁面の厚さが大きくなるため中空潰れが発生した場合の変形歪が大きくなり、中空形状の回復特性が低下するため好ましくない。
本発明のポリエステル収縮繊維に収縮性を付与させるためには、延伸温度、および延伸倍率を調整することにより得ることができる。繊維に収縮性を付与することにより、交絡された不織布を温水中で面積収縮させて繊維分布の均質化を図り、人工皮革としての風合いを向上させることができる。(ここで人工皮革の風合いとは、ソフト性、ストレッチバック性、厚み方向のクッション性、折れジワ感、ボリューム感、加工性、着用性を含めた天皮ライク性を示し、単に風合いといっても全ての特性を含む場合もあり、一つが二つの特性を言う場合もある)しかしながら、面積収縮により結果として不織布の見掛け密度が高まるため軽量化の目的からは反するものともなっている。これらの面積収縮による風合い改良を生かし、且つ密度アップを防ぐことを目的として潜在捲縮繊維を混合させることが本発明の特徴である。
本発明の潜在捲縮繊維(B)とは、乾熱温度100℃以上の温度で三次元捲縮を発現するものが好適に使用され、温度が100℃未満では捲縮が発現しないか、又は発現しても一部分であり大部分(50%以上)の捲縮は温度が100℃以上の時に発現するものが好ましい。三次元捲縮とは加熱処理により発現する例えば微細なスパイラル或いはループ状の捲縮を指す。
潜在捲縮繊維(B)としては、従来公知の繊維が使用できるが、極限粘度の異なる2種類以上のポリエステルや熱収縮差の異なる2成分のポリエステルからなる、例えば2成分のサイドバイサイド型や偏心芯鞘型の複合繊維が挙げられる。熱処理することで2種成分の熱収縮特性差により微細な三次元捲縮が発現する潜在捲縮繊維が好ましい。又潜在捲縮能としては170℃でのフリー収縮で20〜90ヶ/inchを発現するものが好ましい。20ヶ以下では得られる不織布、人工皮革のソフト性、人工皮革の風合い指数の高いものが得られない。又90より高いと余りに捲縮が微細に成りすぎ風合いを向上させる効果が低下する。潜在捲縮能は使用するポリエステルの種類、使用割合、延伸条件、延伸倍率等で調整することが出来る。また、ポリエチレンテレフタレートの紡糸時に片面から冷却する方法を併用することもできる。
潜在捲縮繊維(B)に使用するポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸変性などの変性ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートなど適宜2成分として用いることができる。2成分の重量比率としては30:70〜70:30、好ましくは40:60〜60〜40である。
潜在捲縮繊維(B)の単繊維繊度は、0.1〜8.0dtexであり、好ましくは0.2〜1.0dtex、特に、0.5〜1.0dtexの範囲にあることが好ましい。該単繊維繊度が0.1dtex未満の場合には、カード機での生産効率が低下するため好ましくない。一方、8.0dtexを超える場合には、同じ重量であっても細い繊維と比較して繊維本数が減少するため不織布の密度均一性は得られ難く、本発明の人工皮革の風合いが得られないため好ましくない。
本発明では、該ポリエステル収縮繊維(A)が人工皮革を基準として10〜35重量%の範囲にあることと、該潜在捲縮繊維(B)が人工皮革を基準として7〜25重量%の範囲にあることが軽量性と風合いのバランスをとるために必要である。従って、該ポリエステル収縮繊維(A)と該潜在捲縮繊維(B)の比率は、10:25〜35:7、すなわち29:71〜83:17が好ましいことになる。該ポリエステル収縮繊維(A)の比率が、該ポリエステル収縮繊維(A)と該潜在捲縮繊維(B)の合計に対し、83%を超えると面積収縮が大き過ぎるため本発明の軽量性、および風合い、すなわち加工性、着用性が得られず、また、29%未満では収縮率が小さすぎることで目標とする風合いが得られない。本発明では、該ポリエステル収縮繊維(A)と該潜在捲縮繊維(B)の他に第三成分として他の繊維を混合しても良い。例えば、綿、羊毛などの天然繊維、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維などが使用できる。この第三成分繊維の混合比率は、人工皮革となされた重量に対し、該収縮性ポリエステル繊維(A)が10〜35重量%の範囲にあることと、該潜在捲縮繊維(B)が7〜25重量%の範囲にあることが満足される範囲で可能である。
以上で説明した該ポリエステル収縮繊維(A)、該潜在捲縮繊維(B)、および第三成分繊維を前記の混合割合で計量混綿して公知の手段であるローラーカード、フラットカードなどを用いて開繊し、得られたウェブを機械的に積層するか、空気流を使用して積層する。さらに、積層された該ウェブを絡合させるには、ニードルロッカー等によりバーブ付針でパンチングするのが最も効率的である。さらに、その他の方法としては高圧水流等による方法を採用してもよい。次にこのようにして得られた絡合ウェブに熱処理を施して該ウェブの面積が30%以上減少するように、好ましくは35〜60%の範囲の減少となるように収縮させる。この面積が35%未満であると、繊維密度の均一性が不十分となり、得られる人工皮革に折れ皺が発生し易くなる。また、この面積が60%を超えると、繊維密度が高過ぎるため人工皮革となされた場合の風合いが硬い、あるいは軽量性が得られないため本発明を達成することができない。収縮のための熱処理温度は100℃未満で行われることが好ましい。該収縮熱処理温度が100℃以上の場合は、該潜在捲縮繊維(B)の三次元捲縮が同時に発現することとなり好ましくない場合がある。該収縮処理温度が100℃未満の場合には該潜在捲縮繊維(B)の三次元捲縮が全く発現しないか、または、その一部(発現率が50%未満)が発現するため、続いて行う高温熱処理で残りの三次元の捲縮が発現する。特に、該収縮処理では三次元捲縮を発生させず、次の高温熱処理で三次元捲縮を全面的に発生させることが好ましい。このように後の高温熱処理で三次元捲縮を発現させた場合には捲縮発現による繊維の変形や移動が表層部から内層部までほぼ均一に起こるので繊維密度が均一となり風合いが向上する。さらに、該高温熱処理において、ウェブの面積をほぼ一定に保つことが風合いを向上させる。面積が実質的に変化しないように拘束するには、具体的にはウェブを加圧加工してやればよく、該潜在捲縮繊維(B)の三次元捲縮の発現のみを起こさせることとなる。該ウェブを加圧加工する方法としては、平板プレス、シリンダープレス、ローラープレス等の滑らかな表面を有する平板、又はロール、ベルトを使用したものが採用される。さらに、それらの表面の速度を若干変えて加圧時にウェブ層内に剪断力が作用するように行うことが好ましい。また、加圧と同時に熱を加えても良く、又は、加圧前にウェブに所定温度の加熱をしておき該ウェブが冷却しない間に加圧するようにしても良い。
以上のようにして製造したウェブは、軽量でかつソフトでボリューム感に富んだ人工皮革用基材に適した不織布(C)となる。この風合いが天皮ライクなソフトでボリューム感に富むようになる理由としては、明確ではないが次のような点が考えられる。収縮処理、及び高温熱処理の工程において不織布ウエッブ内の収縮繊維、潜在捲縮繊維等の繊維相互の相対的繊維移動量が大きくなってパンチングで生じた繊維の交絡部の緊張が緩和されるためではないかと考えられる。同時に特に潜在捲縮繊維の三次元捲縮の発現によりウェブ内の繊維密度の不均一性が修正され、均一にする効果又三次元捲縮の発現により不織布の厚さ方向の圧縮回復性が向上し高密度化が防がれていることも考えられる。
以上で説明した不織布(C)に高分子弾性体(D)が含浸されて人工皮革用の基材(繊維複合体)となされる。高分子弾性体(D)としては、例えばポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、あるいはポリブタジエン、ポリイソプレンなどの合成ゴムなどが挙げられる。この中では、耐摩耗性、弾性回復性、柔軟性等の面からポリウレタンが好ましく用いられる。これらの高分子弾性体は有機溶剤で溶解、あるいは分散された溶液、あるいは分散液として含浸に供される。好ましくは、これらの高分子は地球環境保護、および作業環境保護のためにも水溶液、あるいは水分散として含浸に供されることが好ましい。
繊維複合体は、その表面にそのまま着色表皮層が形成されて人工皮革となされるが、その表面にポリウレタン多孔質層を形成した上で着色表皮層を形成して人工皮革となしても良い。ポリウレタン多孔質層を得る方法としては、従来から知られている方法が採用できる。例えば、ポリウレタンの良溶剤でありかつ水と相溶性の有機溶剤にポリウレタンを溶解させ、このポリウレタン溶液を任意の厚みで支持体上にコーティングし、水浴中に浸漬して多孔凝固させる所謂湿式凝固法、またはポリウレタンを水と相溶性はないがポリウレタンを溶解あるいは分散できる有機溶剤に溶解、あるいは分散させた溶液、あるいは分散液を任意の厚みで支持体上にコーティングし、水の蒸発を妨げながら有機溶剤を選択的に蒸発させる乾式多孔成形法、またはポリウレタンの水溶液あるいは水分散液中に熱膨張性微粒子カプセルを分散させ任意の厚みで支持体上にコーティングし、乾燥しながら熱膨張性カプセルを膨張させる方法、またはポリウレタンの分子末端にアルコール性水素を有するプレポリマーとポリイソシアネート、および水を混合し、直後に任意の厚みで支持体上にコーティングする方法、または溶融ポリウレタン中に不活性ガスを分散させて任意の厚みで支持体上にコーティング、発泡させる方法、または、ケミカル発泡剤を混合したポリウレタン溶液ねあるいは分散液を任意の厚みで支持体上にコーティングする方法などが挙げられる。この中でも、湿式凝固法が孔の形状を制御し易く本発明のポリウレタン多孔質を得るのに好ましい。
かかるポリウレタンとしては、人工皮革用として使用されるポリウレタンが最も適当であり、有機ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖伸長剤の重合反応で得られる従来公知の熱可塑性ポリウレタンである。ここで使用される有機ジイソシアネートとしては分子中にイソシアネート基を2個含有する脂肪族、脂環族または芳香族ジイソシアネート、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。そして高分子ジオールとしては例えばグリコールと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合で得られたポリエステルグリコール、ラクトンの開環重合で得られたポリラクトングリコール、脂肪族または芳香族ポリカーボネートグリコール、あるいはポリエーテルグリコールの少なくとも1種から選ばれた平均分子量が500〜4000のポリマーグリコールが挙げられる。そして鎖伸長剤としてはイソシアネートと反応しうる水素原子を2個含有する分子量500以下のジオール、例えばエチレングリコール、1,4ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。このポリウレタン多孔質層は、前述の繊維複合体上に直接、コーティングなどにより形成することができ、または剥離性支持体上で作成された着色表皮層を繊維複合体に接着剤により貼り合わせても良い。
以上のように作成された繊維複合体は、その表面に高分子弾性体(E)からなる着色表皮層が形成されて人工皮革となる。着色表皮層の形成方法は、従来から知られている方法が採用され、例えば、表皮用ポリマーの有機溶剤溶液、あるいは水溶液、あるいはこれらの分散液に染料、顔料などの着色剤を混合した液を繊維複合体の表面に、スプレー、あるいはコーティング、あるいは転写(ラミネート)などの方法が挙げられる。表皮用の高分子弾性体(E)としては、前記の高分子弾性体(D)と同じものが使用できるが、人工皮革用として使用されるポリウレタンが最も適当である。また、転写用の接着剤としては、従来から知られている接着剤が使用できるが、その中でもポリウレタン系接着剤(ポリイソシアネート系接着剤)が好ましく、有機溶剤系、あるいは水系のどちらも使用できる。また、このようにして作成される本発明の人工皮革の見掛け密度は、0.25〜0.45g/cm好ましくは0.25〜0.36g/cmの範囲となるように、不織布の密度、および不織布に含浸されるポリウレタン量、および表面形成用のポリウレタンコーティング量が任意に決定される。見掛け密度が0.25g/cmに満たない場合は、軽量ではあるが、本発明の風合い(加工性、着用性)が得られない。また、見掛け密度が0.45g/cmを超える場合は、従来人工皮革と比べて軽量とは言えず本発明の軽量性が得られない。
以下、具体的に実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、実施例中「部」および「%」とあるのは、いずれも重量基準であり、特性測定値は下記の方法で得られたものである。また、以下の例において繊度、収縮率、捲縮数、柔軟性(曲げ抵抗)、腰の強さ(曲げ圧縮応力:P5)、風合い指数、圧縮弾性率、およびストレッチバック性は次ような方法で測定した。
繊度
JIS L−1010−7−5−1A法により測定し、単位はdtexで表す。
収縮率
収縮前の面積をS1とする。収縮後の面積をS2とする。
収縮率は次の計算で求める。
収縮率(%)=(S1−S2)×100/S1
捲縮数
JIS L−1010−7−12−1の方法により測定し、単位はケ/inchで表す。
曲げ抵抗:Rb
試験片25mm×90mmを準備し、長手方向の下部の20mmを保持具で垂直方向に保持し、保持具より20mmの高さの位置にあるUゲージの測定部に試験片のもう一方の片端の先端から20mmの位置の中央部があたるように、試験片を曲げながら保持具をスライドさせて固定し、固定してから5分後の応力を記録計より読み取り、幅1cm当たりの応力に換算して柔軟度として単位はg/cmで表す。
曲げ圧縮応力:P5
2.5cm×9.0cmの試験片を一方の端より30mmの位置で折り曲げて、20mmの間隔にセットされた平板とUゲージの測定板との間に固定する。次いでUゲージの測定板を10mm/分の速度で平板と水平に下方へ移動させて試験片を圧縮し、平板とUゲージとの間隔が5mmとなった時の応力を記録計より読み取り、幅1cm当たりの応力に換算して曲げ圧縮応力(腰の強さ)とした。単位はmN/cmとした。
風合い指数
風合い(加工性、着用性等)を評価する手段として、その構造の緻密性と均一性によってもたらされる柔らかくて腰が強いことを評価することとし、この指標として(曲げ圧縮応力)/(曲げ抵抗)を皮革ライク性として表す。この値が高いほど風合いが良いことを示す。
圧縮弾性率
1平方センチメートル当たりに500gの荷重をかけた際の厚み(h1)と1平方センチメートル当たりに25gの荷重をかけた際の厚み(h0)の比率((h0−h1)/h0)×100で表し、単位は%とした。実施例で示す通常の厚みは25g/m荷重下でのものである。
ストレッチバック性
JIS K 6505に準ずる方法にて、20%まで伸長させた直後、伸長時のチャック速度で元の位置(伸長前のサンプル長さ)まで戻し、再び同様に20%まで伸長させた後、元の位置まで戻す操作を繰り返し、2回目の伸長時に応力の発生した伸度(L0)%と10回目の伸長時に応力の発生した伸度(L1)%との比率((20−L1)/(20−L0))×100で表し、単位は%とした。
[実施例1]
[ポリエステル収縮繊維−1の作成]
酸化チタンを0.07重量%含有する、固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートをノズルから引き取って単繊維繊度が3.2dtexの未延伸糸を得た。得られた該未延伸糸を温度65℃の温水中で、延伸倍率3.5倍で1段延伸して、単繊維繊度が1.0dtex、カット長が51mmのポリエステルの短繊維(ポリエステル収縮性繊維−1)を得た。なお、ポリエステル収縮繊維−1は、温度70℃、20分間の温水処理により45%収縮する繊維であった。
[潜在捲縮繊維−1の作成]
5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を2.5モル%共重合した固有粘度0.48のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルと、固有粘度0.35のポリエチレンテレフタレートとを複合重量比1:1のサイドバイサイド型複合繊維として製糸し、温度130℃の加熱処理により三次元捲縮を発現する繊維繊度2.5dtexの二成分コンジュゲートポリエステル繊維を作成した。なお、カット長51mmにカットし短繊維(潜在捲縮繊維−1)とした。乾熱170℃の無荷重下で処理した時の捲縮数は55ケ/inchであった。
[不織布−1の作成]
上記の作成したポリエステル収縮繊維−1を55部と潜在捲縮繊維−1を25部、および2.0dtex、カット長51mmの非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を20部とを混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ3個を有する針を装着したニードルロッカールームで1000本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い繊維を交絡させて、目付け150g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬して、面積収縮が38%となるように収縮させ、次いで50℃で乾燥させて、150℃に加熱された金属ドラムと60メッシュのステンレスネットベルト間に把持しながら60秒間の加熱処理を施して目付け242g/m、厚さ1.05mm、見掛け密度0.23g/cmの不織布−1を得た。得られた不織布−1は、ソフトなクッション性に富んだものであった。
[人工皮革−1の作成]
得られた不織布−1を6重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液に浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、基材の圧縮が回復する前に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を500g/mの目付けでコーティングし、次いで水中に浸漬してポリウレタンを凝固させDMFを十分に洗浄除去した後120℃で乾燥してポリウレタン多孔質層の形成されたシートを得た。得られたポリウレタン多孔質層を有するシートの表面に、10%ポリウレタン−DMF溶液に白顔料を分散させた塗料を110メッシュのグラビアロールにて塗布と乾燥を4回繰り返し、白色表面を有する人工皮革−1を得た。得られた人工皮革−1は、目付けが401g/m、厚さが1.2mm、見かけ密度が0.33g/cmであり、ポリエステル収縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は33.2重量%であり、また、潜在捲縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は15.1重量%であった。なお、人工皮革−1は、ソフトであり、厚さ方向でのクッション性に富み、表面を内側に曲げても大きな皺で折れることもないものであり、曲げ抵抗(Rb)1.1g/cm、曲げ圧縮応力(P5)67g/cmであり、風合い指数は60.9であった。また、圧縮弾性率は13.3%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示し、ストレッチバック性も縦方向97.8%、横方向97.7%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示した。
[実施例2]
[高中空ポリエステル収縮繊維−1の作成]
酸化チタンを0.07重量%含有する、固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートを溶融し中空型紡糸ノズルから引き取って単繊維繊度が3.2dtex、中空率が50%の未延伸糸を得た。得られた該未延伸糸を温度65℃の温水中で、延伸倍率3.5倍で1段延伸して、単繊維繊度が1.0dtex、中空率が50%、カット長が51mmの高中空ポリエステルの短繊維(高中空ポリエステル収縮繊維−1)を得た。なお、該高中空ポリエステル収縮繊維−1は、温度70℃、20分間の温水処理により45%収縮する繊維であった。
[不織布−2の作成]
高中空ポリエステル収縮繊維−1を50部と実施例1と同様の混率で潜在捲縮繊維−1、非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ1個を有する針を装着したニードルロッカールームで1500本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い、繊維を交絡させて、目付け170g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬して、面積収縮が35%となるように収縮させ、次いで50℃で乾燥させて、150℃に加熱された金属ドラムと60メッシュのステンレスネットベルト間に把持しながら60秒間の加熱処理を施して目付け262g/m、厚さ1.19mm、見掛け密度0.22g/cmの不織布−2を得た。得られた不織布−2は、ソフトなクッション性に富んだものであった。
[人工皮革−2の作成]
得られた不織布−2を6重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、基材の圧縮が回復する前に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を500g/mの目付けでコーティングし、次いで水中に浸漬してポリウレタンを凝固させDMFを十分に洗浄除去した後120℃で乾燥してポリウレタン多孔質層の形成されたシートを得た。得られたポリウレタン多孔質層を有するシートの表面に、10%ポリウレタン−DMF溶液に白顔料を分散させた塗料を110メッシュのグラビアロールにて塗布と乾燥を4回繰り返し、白色表面を有する人工皮革−2を得た。得られた人工皮革−2は、目付けが370g/m、厚さが1.2mm、見かけ密度が0.308g/cmであり、高中空ポリエステル収縮繊維−1の人工皮革重量を基準としての比率は27.0重量%であり、また、潜在捲縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は13.5重量%であった。なお、人工皮革−2は、ソフトであり、厚さ方向でのクッション性に富み、表面を内側に曲げても大きな皺で折れることもないものであり、曲げ抵抗(Rb)0.9g/cm、曲げ圧縮応力(P5)55g/cmであり、風合い指数は61.1であった。また、圧縮弾性率は17.2%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示し、ストレッチバック性も縦方向98.6%、横方向97.8%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示した。
[実施例3]
[潜在捲縮繊維−2の作成]
5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を2.5モル%共重合した固有粘度0.48のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルと、固有粘度0.35のポリエチレンテレフタレートとを複合重量比1:1のサイドバイサイド型複合繊維として製糸し、温度130℃の加熱処理により三次元捲縮を発現する繊維繊度0.8dtexの二成分コンジュゲートポリエステル繊維を作成した。なお、カット長35mmにカットし短繊維(潜在捲縮繊維−2)とした。乾熱170℃の無荷重下で処理した時の捲縮数は45ケ/inchであった。
[不織布−3の作成]
実施例2で作成した高中空ポリエステル収縮繊維−1を50部と潜在捲縮繊維−2を25部、および0.8tex、カット長35mmの非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を25部とを混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ1個を有する針を装着したニードルロッカールームで1500本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い、繊維を交絡させて、目付け130g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬して、面積収縮が35%となるように収縮させ、次いで50℃で乾燥させて、150℃に加熱された金属ドラムと60メッシュのステンレスネットベルト間に把持しながら60秒間の加熱処理を施して目付け200g/m、厚さ1.0mm、見掛け密度0.20g/cmの不織布−3を得た。得られた不織布−3は、ソフトなクッション性に富んだものであった。
[人工皮革−3の作成]
得られた不織布−3を6重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、基材の圧縮が回復する前に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を450g/mの目付けでコーティングし、次いで水中に浸漬してポリウレタンを凝固させDMFを十分に洗浄除去した後120℃で乾燥してポリウレタン多孔質層の形成されたシートを得た。得られたポリウレタン多孔質層を有するシートの表面に、10%ポリウレタン−DMF溶液に白顔料を分散させた塗料を110メッシュのグラビアロールにて塗布と乾燥を4回繰り返し、白色表面を有する人工皮革−3を得た。得られた人工皮革−3は、目付けが350g/m、厚さが1.2mm、見かけ密度が0.292g/cmであり、高中空ポリエステル収縮繊維−1の人工皮革重量を基準としての比率は28.6重量%であり、また、潜在捲縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は14.3重量%であった。なお、人工皮革−3は、ソフトであり、厚さ方向でのクッション性に富み、表面を内側に曲げても大きな皺で折れることもないものであり、曲げ抵抗(Rb)0.65g/cm、曲げ圧縮応力(P5)50g/cmであり、風合い指数は76.9であった。また、圧縮弾性率は15.3%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示し、ストレッチバック性も縦方向98.2%、横方向97.4%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示した。
[実施例4]
[不織布−4の作成]
実施例1で作成したポリエステル収縮繊維−1を50部と実施例3で作成した潜在捲縮繊維−2を25部、および0.8dtex、カット長35mmの非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を25部とを混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ1個を有する針を装着したニードルロッカールームで1500本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い、繊維を交絡させて、目付け170g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬して、面積収縮が35%となるように収縮させ、次いで50℃で乾燥させて、150℃に加熱された金属ドラムと60メッシュのステンレスネットベルト間に把持しながら60秒間の加熱処理を施して目付け262g/m、厚さ1.19mm、見掛け密度0.22g/cmの不織布−4を得た。得られた不織布−4は、ソフトなクッション性に富んだものであった。
[人工皮革−4の作成]
得られた不織布−4を6重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、基材の圧縮が回復する前に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を600g/mの目付けでコーティングし、次いで水中に浸漬してポリウレタンを凝固させDMFを十分に洗浄除去した後120℃で乾燥してポリウレタン多孔質層の形成されたシートを得た。得られたポリウレタン多孔質層を有するシートの表面に、10%ポリウレタン−DMF溶液に白顔料を分散させた塗料を110メッシュのグラビアロールにて塗布と乾燥を4回繰り返し、白色表面を有する人工皮革−4を得た。得られた人工皮革−4は、目付けが443g/m、厚さが1.3mm、見かけ密度が0.341g/cmであり、ポリエステル収縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は29.5重量%であり、また、潜在捲縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は17.7重量%であった。なお、人工皮革−4は、ソフトであり、厚さ方向でのクッション性に富み、表面を内側に曲げても大きな皺で折れることもないものであり、曲げ抵抗(Rb)0.90g/cm、曲げ圧縮応力(P5)65g/cmであり、風合い指数は72.2であった。また、圧縮弾性率は10.8%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示し、ストレッチバック性も縦方向98.1%、横方向98.4%と通常の人工皮革に比べ大きい値を示した。
[比較例1]
[不織布−5の作成]
実施例1で得られたポリエステル収縮繊維−1を50部と0.8dtex、カット長38mmの非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を50部とを混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ1個を有する針を装着したニードルロッカールームで1500本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い、繊維を交絡させて、目付け180g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬して、面積収縮が35%となるように収縮させ、次いで110℃で乾燥させて目付け277g/m、厚さ1.0mm、見掛け密度0.277g/cmの不織布−5を得た。得られた不織布−5は、ソフトではあるがしっかりした密度感のあるものであった。
[人工皮革−5の作成]
得られた不織布−5を実施例1と同様のポリウレタン溶液を使用して、また実施例1と同様の操作で含浸、コート、および表面塗装を施して白色表面を有する人工皮革−5を得た。得られた人工皮革−5は、目付けが450g/m、厚さが1.15mm、見かけ密度が0.391g/cmであり、収縮性繊維の人工皮革重量を基準としての比率は30.8重量%であった。人工皮革−5は、実施例1の人工皮革−1、および実施例2の人工皮革−2に比べ重量も重く、充実感(密度感)のあるものであり、表面を内側に曲げると大きな皺で折れるものであり、曲げ抵抗(Rb)1.31g/cm、曲げ圧縮応力(P5)63g/cmであり、風合い指数は48.1であった。また、圧縮弾性率は2.6%と通常の人工皮革と同程度であり、本発明の実施例1で得られた人工皮革−1、および実施例2で得られた人工皮革−2に比べ小さい値を示し、ストレッチバック性も縦方向85.9%、横方向90.3%と通常の人工皮革と同程度であった。
[比較例2]
[不織布−6の作成]
実施例3で得られた潜在捲縮繊維−2を50部と0.8dtex、カット長38mmの非収縮ポリエチレンテレフタレート短繊維(帝人テクノプロダクツ製)を50部とを混綿した後、カード機を通してウェブを作成し、次いでバーブ1個を有する針を装着したニードルロッカールームで1500本/cmの打ち込み密度にてパンチングを行い、繊維を交絡させて、目付け200g/mのウェブを得た。該ウェブを70℃の温水中に2分間浸漬したが、面積は収縮しなかった。次いで50℃で乾燥させて、150℃に加熱された金属ドラムと60メッシュのステンレスネットベルト間に把持しながら60秒間の加熱処理を施して目付け200g/m、厚さ1.0mm、見掛け密度0.20g/cmの不織布−6を得た。得られた不織布−6は、ソフトでクッション性のあるものであったが、表を内に曲げた場合、大きな皺が発生し、折れるものであった。
[人工皮革−6の作成]
得られた不織布−6を実施例1と同様のポリウレタン溶液を使用して、また実施例1と同様の操作で含浸、コート、および表面塗装を施して白色表面を有する人工皮革−6を得た。得られた人工皮革−6は、目付けが373g/m、厚さが1.15mm、見かけ密度が0.324g/cmであり、ポリエステル収縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は0重量%、また、潜在捲縮繊維の人工皮革重量を基準としての比率は26.8重量%であった。人工皮革−6は、実施例1の人工皮革−1、および実施例2の人工皮革−2に比べると同様に軽量ではあるが、表面を内側に曲げると大きな皺で折れるものであり、曲げ抵抗(Rb)0.87g/cm、曲げ圧縮応力(P5)33g/cmであり、風合い指数は37.9であった。また、圧縮弾性率は4.3%と通常の人工皮革と同程度であり、本発明の実施例1で得られた人工皮革−1、および実施例2で得られた人工皮革−2に比べ小さい値を示し、ストレッチバック性も縦方向77.9%、横方向88.3%と通常の人工皮革と同程度であり、実施例1で得られた人工皮革−1、および実施例2で得られた人工皮革−2に比べ小さいものであった。
本発明の人工皮革は靴類、鞄類、各種競技用ボール、運動用具、装丁材、壁装飾、化粧箱、研磨布あるいは家具・車輌シートなど幅広い用途に軽量性を生かして利用することができる。

Claims (11)

  1. ポリエステル収縮繊維(A)、および潜在捲縮繊維(B)を主体とする混合繊維が交絡され、且つそれぞれの収縮と捲縮が顕在化された不織布(C)を構成成分とし、見掛け密度が0.25〜0.45g/cmの範囲の人工皮革であって、下記(a)〜(b)の要件を同時に満足することを特徴とする人工皮革。
    (a)ポリエステル収縮繊維(A)が人工皮革を基準として10〜35重量%の範囲にあること。
    (b)潜在捲縮繊維(B)が人工皮革を基準として7〜25重量%の範囲にあること。
  2. 見掛け密度が0.30〜0.45g/cmの範囲の人工皮革である請求項1記載の人工皮革。
  3. ポリエステル収縮繊維(A)が、中空部割合が40%以上の高中空であるポリエステル繊維であり、見掛け密度が0.25〜0.36g/cmの範囲である請求項1記載の人工皮革。
  4. ポリエステル収縮繊維の繊度が1dtex以下である請求項1〜3いずれか記載の人工皮革。
  5. 潜在捲縮繊維(B)の繊度が1dtex以下である請求項1〜4いずれか記載の人工皮革。
  6. 該不織布(C)に高分子弾性体(D)が含浸されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の人工皮革。
  7. 該不織布(C)の少なくとも片面に高分子弾性体(E)が被覆されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の人工皮革。
  8. 該高分子弾性体(D)、および該高分子弾性体(E)がポリウレタンである請求項6〜7記載の人工皮革。
  9. ポリエステル収縮繊維(A)、および潜在捲縮繊維(B)を主体とし、2種の繊維が下記範囲を満足するように混合した繊維ウェブを交絡処理した後、該繊維ウェブの面積収縮と立体捲縮の発現をその順序で行って不織布(C)とした後、高分子弾性体を付与し、見掛け密度を0.25〜0.45g/cmの範囲とすることを特徴とする人工皮革の製造方法。
    (a)ポリエステル収縮繊維(A)が人工皮革を基準として10〜35重量%の範囲にあること。
    (b)潜在捲縮繊維(B)が人工皮革を基準として7〜25重量%の範囲にあること。
  10. ポリエステル収縮繊維(A)が、中空部割合が40%以上の高中空ポリエステル繊維である請求項9記載の人工皮革の製造方法。
  11. 立体捲縮の発現をウェブの面積、厚さを一定に拘束しつつ行う請求項9〜10いずれかに記載の人工皮革の製造方法。
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