JP2008133179A - アンモニアの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を含有する水溶液からアンモニアを回収する方法であり、該方法は、少なくとも該水溶液に接触する部分がモリブデンを3wt%以上、ニッケルを15wt%以上、クロムを15wt%以上含有する合金1、または、モリブデンを1wt%以上、ニッケルを9wt%以下、クロムを20wt%以上含有する合金2で形成されている蒸留装置を用いて該水溶液を蒸留する工程を含むことを特徴とするアンモニアの回収方法。
【選択図】 なし
Description
さらに本発明は、少なくとも1個の有機置換基を有する環状炭化水素または複素環化合物とアンモニアを反応させて反応ガスを得る工程、該反応ガスから生成したニトリル化合物を分離する工程、残存ガス中のアンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を水に吸収させて水溶液を得る工程、および、該水溶液から請求項1に記載の方法によりアンモニアを回収する工程を含むニトリル化合物の製造方法を提供する。
本発明に用いられる少なくとも1個、好ましくは1〜3個の有機置換基を有する複素環化合物は、フラン、ピロール、インドール、チオフェン、ピラゾール、イミアゾール、オキサゾール、ピラン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロリン、ピロリジン、イミドゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン等の複素環に上記の有機置換基を有する複素環化合物である。その側鎖には、上記の環状炭化水素と同様にアンモ酸化反応に関与しない置換基を含んでもよい。具体例としては、フルフラール、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、2−ホルミルチオフェン、4−メチルチアゾ−ル、メチルピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、メチルキノリン、メチルピラジン、ジメチルピラジン、メチルピペラジン等が挙げられる。
これらの化合物は単独または混合物で使用できる。これらの化合物とアンモニアを反応させることにより、上記有機置換基がシアノ基に変換され、これらの化合物に対応するニトリル化合物が得られる。これらの中でもキシレンからジシアノベンゼンを製造する方法に本発明が特に好適に適用される。
(1)反応ガスを有機溶媒と接触させて、ニトリル化合物を溶媒中に捕集した後、残存ガスを水と接触させて残存ガスに含有されるアンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を水に吸収させる方法、
(2)反応ガスを水と接触させて冷却し、アンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を含有する水溶液を得ると共に、ニトリル化合物の固体スラリー(ニトリル化合物が該条件で固体の場合)またはニトリル化合物を含有する有機質液相(ニトリル化合物が該条件で水に難溶である液体の場合)を得る方法、および
(3)反応ガスを冷却してニトリル化合物の固体を析出、または液体を凝縮させて、この固体または液体を分離した後、さらに残存ガスを水と接触させてアンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を含有する水溶液を得る方法
が挙げられるがこれらに限定されない。
合金1は、モリブデンを3wt%以上、ニッケルを15wt%以上、クロムを15wt%以上含有する。モリブデン含有率は好ましくは3〜25wt%、より好ましくは3.5〜20wt%である。ニッケル含有率は好ましくは15〜82wt%、より好ましくは15〜70wt%である。クロム含有率は好ましくは15〜30wt%、より好ましくは15〜25wt%である。
合金2は、モリブデンを1wt%以上、ニッケルを9wt%以下、クロムを20wt%以上含有する。モリブデン含有率は好ましくは1〜10wt%、より好ましくは2〜8wt%である。ニッケル含有率は好ましくは0〜9wt%、より好ましくは0〜8wt%である。クロム含有率は好ましくは20〜40wt%、より好ましくは20〜30wt%である。
ニッケル、クロム、モリブデン以外の合金を形成する金属としては、銅、アルミニウム、タングステン、コバルト、チタン、マンガン等が挙げられ、バランスとしては鉄が使用される。合金中のニッケル、クロム、モリブデン、鉄以外の金属の含量は14wt%以下であることが好ましく、6wt%以下であることがより好ましい。合金中の銅の含有量が高くなると耐腐食性は低下する傾向があるため銅の含有量は、好ましくは10wt%以下、より好ましくは5wt%以下、特に好ましくは3wt%以下である。合金中の炭素含量は低い方が好ましく、好ましくは0.08wt%未満、より好ましくは0.03wt%未満である。
合金2としてはフェライト系ステンレス、または二相系ステンレスに分類されるものが好ましい。合金の具体例としては、SUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4L、SUS447J1等が挙げられ、これらの規格を満たす市販品が使用可能である。またこれらの相当材も好適に使用可能である。
図1に示したプロセスによりアンモ酸化反応、ニトリル化合物の分離、残存ガスと水の接触、得られた水溶液の蒸留を連続で行った。図1において、1はアンモ酸化反応器、2はニトリル捕集塔、3は冷却器、4はデカンター、5はアンモニア吸収塔、6は蒸留塔を示す。
<アンモ酸化反応>
特公平6−23158号公報に記載の方法に従ってシリカ担持流動床用アンモ酸化触媒を調製した。この触媒はシリカ以外の活性成分としてV:Cr:Mo:Bが1:1:0.1:0.2の割合で含有され、シリカの含有量は50重量wt%である。この触媒を流動床アンモ酸化反応器に充填し、メタ・パラ混合キシレン(メタキシレン80wt%、パラキシレン20wt%)、アンモニア、空気、および蒸留塔から得られるアンモニアを含有する留出成分をアンモ酸化反応器1に供給し、アンモ酸化反応を連続的に実施した。混合キシレンの供給量(WHSV)は0.07h−1、アンモニア/キシレンのモル比が10、分子状酸素/キシレンモル比を5.5、反応温度を410℃、GHSVが700h−1、圧力を0.05MPaGとした。運転開始直後の原料キシレンを基準としたジシアノベンゼン(メタ・パラ異性体の合計)の収率は81モル%であった。
アンモ酸化反応器1からの反応生成ガスをニトリル捕集塔2の底部に導入した。捕集塔は塔型容器であり、底部に反応ガス吹き込み口および捕集液抜き出し口を有し、塔内中部には金属製不規則充填物が充填されている。ニトリル捕集塔2上部からは捕集用の溶媒としてトリメチルベンゼンを供給して連続的に反応生成ガスと溶媒を接触させた。捕集塔底部の液温度は140℃とした。ニトリル捕集塔2頂部からはアンモニア、シアン化水素、二酸化炭素、窒素、酸素、一酸化炭素、溶媒、未反応キシレン等からなるガスが排出される。このガスは冷却器3で20℃に冷やされ、溶媒および水の一部を凝縮させた後、デカンター4へと導入した。デカンター4では凝縮生成した溶媒相、水相、ガス相の気液分離および液液分離が行われる。デカンター4から出るガス相はアンモニア吸収塔5へと導いた。溶媒相はニトリル捕集塔2へと再供給した。水相にはアンモニア、シアン化水素、二酸化炭素が含有されており、アンモニア吸収塔5から得られた水溶液とあわせて蒸留塔6へと導き蒸留に供した。
デカンター4出口のガス成分はアンモニア吸収塔5に導入し、水と接触させ、アンモニア、シアン化水素、二酸化炭素が吸収された水溶液を得た。吸収後の窒素、酸素、二酸化炭素、シアン化水素、一酸化炭素、アンモニア等を含む残存排ガスは排ガス処理設備へと導いた。
蒸留塔6は塔頂にコンデンサーおよび還流槽を備え、不規則充填物(カスケードミニリング)が充填された充填塔型蒸留装置である。塔本体胴部および不規則充填物の接液部材質はハステロイC22、コンデンサーおよび還流槽の接液部材質はNAR−A、底部およびリボイラーの接液部材質はSUS316Lである。これらの材質の成分組成(カタログ値)を表1に示す。
塔本体胴部、不規則充填物、コンデンサーおよび還流槽の接液部材質をSUS329J4L(サンドビック社 SAF2507)に変更した以外は実施例1の操作を繰り返した。SUS329J4Lの成分組成(カタログ値)を表2に示す。
蒸留塔の塔本体胴部、不規則充填物、コンデンサー、還流槽の接液部材質をSUS316Lとした以外は実施例1と同じ条件でアンモニアの回収を連続的に行った。約180日間が経過した頃、分離能力の低下や蒸留塔内の温度分布の変化が発生した。そこで装置を停止して蒸留装置の開放点検を実施したところ、不規則充填物に全面腐食の進行による減肉、変形が認められ、また不規則充填物の変形に起因するとおもわれる不規則充填物層の沈降が確認された。充填物層最上部不規則充填物の重量減少から計算される腐食速度は0.2mm/Yであった。また塔本体胴部にも同様の全面腐食が認められた。更なる継続運転は不可能であった。
蒸留塔の不規則充填物層の上部に種々の材質からなる板状のテストピースを設置した以外は実施例1と同様にして暴露試験を行った。約300日間の運転継続後、装置を停止して蒸留装置を開放し、テストピースを取り出した。テストピースの重量減少から腐食速度を計算した。試験した材質の成分組成(カタログ値)を表3に、腐食速度の結果を表4に示す。NAR−20−3は住友金属工業社製、SUS329J4Lは住友金属工業社製DP−3、SUS329J3Lはサンドビック社整SAF2205、SUS447J1は昭和電工社性ショーマック30、ハステロイB、モネルおよびカーペンター20はいずれも三菱マテリアル社製である。
一方、一般に耐食性が優れているとされるハステロイB、モネル、純チタン等は、アンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を含有する水溶液の蒸留という過酷な条件では腐食が進行した。
Claims (14)
- アンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を含有する水溶液からアンモニアを回収する方法であり、該方法は、少なくとも該水溶液に接触する部分がモリブデンを3wt%以上、ニッケルを15wt%以上、クロムを15wt%以上含有する合金1、または、モリブデンを1wt%以上、ニッケルを9wt%以下、クロムを20wt%以上含有する合金2で形成されている蒸留装置を用いて該水溶液を蒸留する工程を含むことを特徴とするアンモニアの回収方法。
- 前記合金1がハステロイCまたはその相当材である請求項1に記載の方法。
- 前記合金2がSUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4L、SUS447J1またはその相当材である請求項1に記載の方法。
- 2.7wt%以上のアンモニアを含む水溶液に接触し、かつ、90℃以上に加熱される部分を前記合金で形成する請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液の蒸発と凝縮が定常的に起こる部位を前記合金で形成する請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液がアンモニアを5〜50wt%、シアン化水素を0.1〜5wt%、二酸化炭素を1〜20wt%含む請求項1に記載の方法。
- 蒸留を0.1〜0.7MPaGの圧で行う請求項1に記載の方法。
- 前記蒸留装置の底部から得られた水の少なくとも一部を、アンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素の吸収に再使用する請求項1に記載の方法。
- 前記蒸留装置の頂部から得られる留出成分の一部を凝縮し、残部をガスとしてそのまま蒸留装置から抜き出す請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液を、少なくとも1個の有機置換基を有する環状炭化水素または複素環化合物とアンモニアを反応させて反応ガスを得、該反応ガスから生成したニトリル化合物を分離し、次いで、残存ガス中のアンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を水に吸収させて得る請求項1に記載の方法。
- 前記環状炭化水素がキシレンであり、ニトリル化合物がジシアノベンゼンである請求項10に記載の方法。
- 少なくとも1個の有機置換基を有する環状炭化水素または複素環化合物とアンモニアを反応させて反応ガスを得る工程、該反応ガスから生成したニトリル化合物を分離する工程、残存ガス中のアンモニア、二酸化炭素およびシアン化水素を水に吸収させて水溶液を得る工程、および、該水溶液から請求項1に記載の方法によりアンモニアを回収する工程を含むニトリル化合物の製造方法。
- 回収したアンモニアを前記環状炭化水素または複素環化合物との反応に再使用する請求項12に記載のニトリル化合物の方法。
- 前記環状炭化水素がキシレンであり、ニトリル化合物がジシアノベンゼンである請求項12に記載の方法。
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