JP5344741B2 - アクリロニトリルの精製方法 - Google Patents
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上述の方法においては、製品塔の上部より製品品位のアクリロニトリルを得、アクリロニトリル及び不純物を含む液を塔底より分離する。ここで、特許文献1には、アクリロニトリルの収量を上げる方法として、製品塔塔底液中のアクリロニトリルを回収するために、製品塔塔底液をさらに蒸留する方法や、製品塔塔底液を急冷塔にリサイクルする方法が開示されている。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、アクリロニトリルの製造プロセスにおいて、製品塔等の装置寿命の延長、製品品質の安定化及びアクリロニトリル製造プロセス負荷の軽減を達成することのできる、新規な方法を提供することである。
[1]
アクリロニトリル及び酢酸を含む溶液を蒸留する工程を備えるアクリロニトリルの精製方法であって、
前記蒸留工程における蒸留装置の製品塔の塔底液が接触する部分の材質がカーボンスチールからなり、
前記塔底液中の酢酸濃度が1.5〜3.5質量%である、方法。
[2]
アクリロニトリル及び酢酸を含む溶液を蒸留する工程を備えるアクリロニトリルの精製方法であって、
前記蒸留工程における蒸留装置の製品塔の塔底液が接触する部分の材質がステンレススチールからなり、
前記塔底液中の酢酸濃度が1.5〜7.0質量%である、方法。
また、本実施の形態の別の一態様は、アクリロニトリル及び酢酸を含む溶液を蒸留する工程を備えるアクリロニトリルの精製方法であって、前記蒸留工程における蒸留装置の製品塔の塔底液が接触する部分の材質がステンレススチールからなり、前記塔底液中の酢酸濃度が1.5〜7.0質量%である、方法、である。
図1は、アクリロニトリル製造プロセスの一例を概念的に示す概略図である。アクリロニトリル製造プロセスにおいては、まず、ガス状プロピレン及び/又はプロパンをライン2から、アンモニアをライン3から、分子状酸素(通常は空気を用いる)はライン4から、それぞれ流動層触媒を充填した流動層反応器1に供給し、アンモ酸化反応を行う。得られた反応生成ガスをライン5から抜き出し、急冷塔6に導入する。急冷塔6では反応生成ガスと水を向流接触させ、反応生成ガスを冷却し、高沸点物質及びガス中に微量に含まれている流動層触媒を除去する。また、未反応アンモニアを硫酸で中和除去する。これらの高沸点物質、触媒及び硫安は、急冷塔6の塔底のライン7よりプロセス系外に抜き出す。
経過時間=(製品塔塔底部の液容積,m3)/(ライン27流量,m3/h)×3
で計算される時間を経た後が好ましい。
ガスクロマトグラフィーは、島津GC−17Aを用い、カラムは、TC−FFAP 60m×0.32膜厚0.25μmを用いた。検出器はFID、キャリヤーガスにはヘリウムを用いた。
カラム温度条件は、以下の通りであった。
初期温度: 50℃
昇温速度: 5℃/分
最終温度1:180℃ 15分HOLD
昇温速度: 10℃/分
最終温度2:230℃ 10分HOLD
最終温度3:50℃ 5分HOLD
プロピレン、アンモニア及び空気を内径8m、長さ20mの縦型円筒型の流動層反応器1に供給し、プロピレンのアンモ酸化反応を下記の通り行った。流動層反応器1は、その内部に原料ガス分散管や分散板、除熱管及びサイクロンを有していた。製品塔24は、シーブトレイ50段からなり、下部より数えて12段目に供給段を有し、42段目から液体のアクリロニトリルを製品として抜き出すライン26を有していた。製品塔24、製品塔塔底ライン27及びリボイラーの材質は、カーボンスチールであった。
流動層触媒は、粒径10〜100μm、平均粒径55μmであるモリブデン−ビスマス−鉄系担持触媒を用い、静止層高2.7mとなるよう充填した。空気分散板から空気を56000Nm3/h供給し、原料ガス分散管からプロピレン6200Nm3/h及びアンモニアを6600Nm3/h供給した。反応温度は440℃となるよう除熱管で制御した。圧力は0.70kg/cm2Gであった。
反応生成ガスを急冷塔6に導入し、水と向流接触させ、未反応のアンモニアを硫酸で中和除去した。急冷塔6から流出したガスを吸収塔9に導入した。塔頂のライン14より吸収水を導入し、ガスと向流接触させ、ガス中のアクリロニトリル、アセトニトリル及び青酸を水中に吸収させた。吸収水量は、吸収塔塔頂から排出されるガス中のアクリロニトリル濃度が100volppmとなるように調整した。吸収されなかったガスは、吸収塔塔頂ライン11より取り出し、焼却した。
吸収塔塔底液を80℃に予熱し、回収塔12に供給した。回収塔12でアセトニトリル及び大部分の水を分離し、塔頂ライン17からアクリロニトリル、青酸及び水を留出させた。該留出蒸気を凝縮し、有機層と水層を形成させ、水層は回収塔12の供給ライン10にリサイクルし、有機層は脱青酸脱水塔18に供給した。
脱青酸脱水塔18の塔頂ライン19から粗青酸ガスを抜き出し、凝縮器20に送り冷却して分縮した。凝縮した青酸液を塔頂に還流し、凝縮しなかった不純物の少ない青酸ガスをライン21から系外に抜き出した。凝縮器20の上部管板に酢酸をスプレー方式で散布した。純酢酸の散布量は、ライン26から製品として取得されたアクリロニトリルとの重量比で0.0023であった。
脱青酸脱水塔18の中段位から塔内液を抜き出し、図示していない脱青酸脱水塔デカンターにて有機層と水層の二層に分離し、水層は、ライン22により抜き出し、回収塔の供給液にリサイクルした。有機層は再び塔に戻した。塔底ライン23から粗アクリロニトリルを抜き出し、製品塔24に送った。
留出蒸気は、ライン25より抜き出し、凝縮器29で全量凝縮させた。凝縮液の一部をライン30により塔に還流し、凝縮液の内の300kg/hを、ライン28より脱青酸脱水塔デカンターに戻した。還流比(=ライン30/ライン26)は、1.25であった。塔底液はライン27より抜き出し、全量急冷塔6にリサイクルした。製品塔の塔底液中の酢酸濃度は1.80質量%であった。
実施例1における製品塔の各流量と代表物質の組成を表1に示した。なお、表中のANはアクリロニトリルを示す。
製品塔の塔底液中の酢酸濃度が3.0質量%となるよう塔底流量を変えたこと以外は、実施例1と同一の設備、方法でアクリロニトリルを製造した。塔底抜出流は、全量急冷塔6にリサイクルした。
実施例2における製品塔の各流量と代表物質の組成を表2に示した。
プロパン、アンモニア及び空気を実施例1と同じ流動層反応器1に供給し、プロパンのアンモ酸化反応を下記の通り行った。製品塔24は、シーブトレイ50段からなり、下部より数えて12段目に供給段を有し、42段から液体のアクリロニトリルを製品として抜き出すライン26を有していた。製品塔24、製品塔塔底ライン27及び図示していないリボイラーの材質は、ステンレススチール(SUS304)であった。
流動層触媒は、粒径10〜100μm、平均粒径55μmであるモリブデン−バナジウム系担持触媒を用い、静止層高2.2mとなるよう充填した。空気分散板から空気を64500Nm3/h供給し、原料ガス分散管からプロパン4300Nm3/h及びアンモニアを4300Nm3/h供給した。反応温度は440℃となるよう除熱管で制御した。圧力は0.75kg/cm2Gであった。
反応生成ガスを急冷塔6に導入し、水と向流接触させた。また、未反応のアンモニアを硫酸で中和除去した。
急冷塔6から取り出したガスを吸収塔9に導入した。塔頂ライン14より吸収水を導入し、ガスと向流接触させ、ガス中のアクリロニトリル、アセトニトリル及び青酸を水中に吸収させた。未吸収のガスは、吸収塔塔頂ライン11より取り出し、焼却した。吸収塔塔頂から取り出したガス中のアクリロニトリル濃度が100volppmとなるよう、吸収水量を調整した。
吸収塔塔底液を予熱し、回収塔12に供給した。回収塔でアセトニトリル及び大部分の水を分離し、塔頂ライン17からアクリロニトリル、青酸及び水を留出させた。該留出蒸気を凝縮し、有機層と水層を形成させ、水層は回収塔の供給ライン10にリサイクルし、有機層は脱青酸脱水塔18に供給した。
脱青酸脱水塔18の塔頂ライン19から粗青酸ガスを抜き出し、凝縮器20に送り冷却して分縮した。凝縮した青酸液を塔頂に還流し、凝縮しなかった不純物の少ない青酸ガスをライン21により系外に抜き出した。凝縮器20の上部管板に酢酸をスプレー方式で散布した。酢酸の散布量は、ライン26より製品として取得されたアクリロニトリルとの重量比で0.0033であった。
脱青酸脱水塔18の中段位から塔内液を抜き出し、図示していない脱青酸脱水塔デカンターにて有機層と水層の二層に分離し、水層は、回収塔の供給ライン10にリサイクルした。有機層は再び塔に戻した。塔底から粗アクリロニトリルを抜き出し、製品塔24に送った。
留出蒸気はライン25より抜き出し、凝縮器29で全量凝縮させた。留出凝縮液の内の250kg/hは、ライン28より脱青酸脱水塔デカンターに戻した。還流比(=ライン30/ライン26)は、1.28であった。塔底抜出流は、全量急冷塔6にリサイクルした。製品塔の塔底液中の酢酸濃度は2.00質量%であった。
実施例3における製品塔の各流量と代表物質の組成を表3に示した。
製品塔の塔底液中の酢酸濃度が6.0質量%となるように塔底流量を変えたこと以外は、実施例3と同一の設備、方法でアクリロニトリルを製造した。塔底抜出流は、全量急冷塔6にリサイクルした。
製品塔の各流量と代表物質の組成を表4に示した。
製品塔の塔底液中の酢酸濃度が1.0質量%となるように塔底流量を変えたこと以外は、実施例3と同一の設備、方法でアクリロニトリルを製造した。塔底抜出流は、全量急冷塔6にリサイクルした。
比較例1における製品塔の各流量と代表物質の組成を表5に示した。
製品塔の塔底液中の酢酸濃度が7.5質量%となるように塔底流量を変えたこと以外は、実施例3と同一の設備、方法でアクリロニトリルを製造した。塔底抜出流は、全量急冷塔6にリサイクルした。
製品塔の各流量と代表物質の組成を表6に示した。
還流量を増加させたときの、製品塔の各流量と代表物質の組成を表7に示した。
2 プロピレン及び/又はプロパンの供給管
3 アンモニアの供給管
4 空気(酸素)の供給管
6 急冷塔
5、7、8 ライン
9 吸収塔
10、11 ライン
12 回収塔
13、14、15、16、17 ライン
18 脱青酸脱水塔
19 ライン
20 脱青酸脱水塔凝縮器
21、22、23 ライン
24 製品塔
25、26、27、28 ライン
29 製品塔凝縮器
30 ライン
31 製品塔塔底ポンプ
32 製品塔リボイラー
33 製品塔トレイ(1段目)
34 製品塔トレイ(2段目)
35、36、37 ライン
Claims (2)
- アクリロニトリル及び酢酸を含む溶液を蒸留する工程を備えるアクリロニトリルの精製方法であって、
前記蒸留工程における蒸留装置の製品塔の塔底液が接触する部分の材質がカーボンスチールからなり、
前記塔底液中の酢酸濃度が1.5〜3.5質量%である、方法。 - アクリロニトリル及び酢酸を含む溶液を蒸留する工程を備えるアクリロニトリルの精製方法であって、
前記蒸留工程における蒸留装置の製品塔の塔底液が接触する部分の材質がステンレススチールからなり、
前記塔底液中の酢酸濃度が1.5〜7.0質量%である、方法。
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