JP2008131513A - 導波管−高周波線路変換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1及び第2のグランド層11,12を有した誘電体基板1上のコプレーナ線路2と、グランド層11の切り欠き部13内に配されたパッチ3と、グランド層11に取り付けた導波管4とを備える。誘電体基板1の比誘電率を8.0〜10に設定した。コプレーナ線路2はマイクロストリップ線路21とキャビティ部22とで構成し、パッチ3はマイクロストリップ線路21の先端部21aにビアホール30を介して接続した。ビアホール30とパッチ3を複数のビアホール31で囲んだ。好ましくは、キャビティ部22の内周縁部22bから内側部分の面積を導波管4の開口40の面積の0.41倍〜0.51倍に設定する。
【選択図】図1
Description
すなわち、マイクロストリップ線路等と導波管との接合部分においては、磁界成分の向きが一致した状態で、信号がマイクロストリップ線路等と導波管との間を伝わるようにして、電力の効率的な伝搬を図っている。
従来この種の導波管−高周波線路変換器としては、図14に示すように、表面にマイクロストリップ線路101を有した誘電体基板100の裏面側に、導波管110を取り付けると共に、表面側に伝送信号の波長の4分の1の長さの短絡導波管120を取り付けた構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、図15に示すように、表面にコプレーナ線路102を有した誘電体基板100の裏面側に、パッチ121を形成すると共に、開口がこのパッチ121を含むように、導波管110を誘電体基板100の裏側に取り付けた構造のものもある(例えば、非特許文献1及び特許文献2参照)。
また、図16に示すように、ビアホール122を通じて誘電体基板100表面のマイクロストリップ線路101の先端部と裏面側のパッチ121とを接続した構造のものがある(例えば、特許文献3参照)。
そして、図17に示すように、誘電体基板100の中間層にコプレーナ線路102を有する誘電体基板100の表面側に、パッチ121を形成すると共に、開口がこのパッチ121を含むように、導波管110を誘電体基板100の表側に取り付け、ビアホール122を通じてコプレーナ線路102とパッチ121とを接続した構造のものがある(例えば、特許文献4参照)。
さらに、図18に示すように、誘電体基板100表面のコプレーナ線路102がが不要放射を防止する開口を介して導波管110に接続された構造のものがある(例えば、特許文献5参照)。
図14に示した導波管−高周波線路変換器では、上方に立体的に突出した短絡導波管120を取り付ける構造であるので、コストアップに繋がるだけでなく、機器全体が大型化し、ミリ波用の機器として適当でない。
また、図15に示した導波管−高周波線路変換器では、6以上という高い比誘電率の誘電体基板100を用いることができない。高誘電率のセラミック等をコプレーナ線路102とパッチ121との間に介在させると、コプレーナ線路102とパッチ121との実効距離が長くなり、コプレーナ線路102とパッチ121との電磁結合が弱くなるからである。さらに、高誘電率の誘電体基板100を使用すると、コプレーナ線路102を構成するキャビティ部がオーバーサイズの導波管となり、高次モードの信号伝搬が発生して、機器の特性が劣化するからである。
また、図16に示した導波管−高周波線路変換器では、ビアホール122を通じてマイクロストリップ線路101とパッチ121とを接続した構造であるので、図16に示すように、上面が露出した誘電体部100aが存在すると、不要な電磁波がこの部分から上方の空間に放射される。
そして、図17及び図18に示した導波管−高周波線路変換器では、コプレーナ線路102から導波管110に直接接続した構造であるので、この導波管−高周波線路変換器をマイクロストリップ線路を主線路とする機器に使用する場合には、マイクロストリップ線路とコプレーナ線路102との間に変換器を介在させる必要があり、コストアップに繋がる。
かかる構成により、外部機器の出力端であるマイクロストリップ線路をこの導波管−高周波線路変換器のマイクロストリップ線路に直接接続して、外部機器からの信号をマイクロストリップ線路に入力することができる。信号をマイクロストリップ線路に入力すると、信号はマイクロストリップ線路の先端部側に向かい、コプレーナ線路を伝搬する。そして、この信号はマイクロストリップ線路の先端部からビアホールを介してパッチに至り、パッチから放射されて、導波管内を伝搬する。
ところで、誘電体基板が8.0以上10以下という高い比誘電率に設定されているので、コプレーナ線路とパッチとの実効距離が長くなり、コプレーナ線路とパッチとの電磁結合が弱くなるおそれがある。
しかし、この発明では、コプレーナ線路を構成するマイクロストリップ線路の先端部とパッチとをビアホールを介して接続しているので、コプレーナ線路とパッチとの間の電磁結合が強化される。この結果、変換効率が高くなる。
また、図16に示した変換器とは異なり、キャビティ部で囲まれたマイクロストリップ線路の先端部とビアホールとを接続した構造であるので、上面が露出した誘電体部分が存在しても、不要な電磁波がこの部分から上方の空間に放射されることはない。
かかる構成により、8.0以上10以下という高い比誘電率の誘電体基板を使用していても、コプレーナ線路のキャビティ部がオーバーサイズにならず、実質的に所望の大きさになる。このため、不要な高次モードの信号の発生もなく、変換器の動作が安定する。
かかる構成により、高周波モジュールのマイクロストリップ線路の端部から導波管−高周波線路変換器のマイクロストリップ線路に入力された信号は、コプレーナ線路を通じて導波管に至り、導波管を介してホーン型のアンテナから送信される。そして、ホーン型のアンテナで受信された信号は、導波管を介してコプレーナ線路に至り、マイクロストリップ線路を通じて高周波モジュールに入力される。
また、誘電体基板の表面には、平面的なマイクロストリップ線路とコプレーナ線路のみが形成されているので、立体的な短絡導波管等を取り付ける必要がない。すなわち、フォトリソグラフィ工法等による基板プロセスのみで製造することができ、この結果、コストダウンだけでなく機器全体の薄型化をも図ることができる。しかも製作精度も向上させることができるので、製品のバラツキを低減させることができる。
また、コプレーナ線路を構成するマイクロストリップ線路の先端部とパッチとをビアホールを介して接続して、コプレーナ線路とパッチとの間の電磁結合を強化しているので、変換効率を向上させることができる。
また、上面が露出した誘電体部分が存在しても、不要な電磁波がこの部分から上方の空間に放射されることがないので、かかる不要放射除去によって変換効率を向上させることができる。
さらに、8.0以上10以下という高い比誘電率の誘電体基板を用いているので、高誘電体による波長短縮効果によって、変換器全体をさらに小型化することができる。
第1のグランド層11は、図2に示すように、誘電体基板1の裏面1bに形成されており、第2のグランド層12は、誘電体基板1の中間に形成されている。
具体的には、キャビティ部22に長尺状の凹部22aを形成し、マイクロストリップ線路21の略半部を凹部22a内に挿入した。すなわち、マイクロストリップ線路21の途中から先端部21a迄の部分21bとキャビティ部22とでコプレーナ線路2を構成し、マイクロストリップ線路21の基端部側の部分21cを、マイクロストリップ線路のみで構成にした。
このパッチ3は、この切り欠き部13内に位置するようにして、誘電体基板1の裏面1bに形成されている。このパッチ3は、図2に示すように、コプレーナ線路2のマイクロストリップ線路21の先端部21aのほぼ真下に位置している。そして、このパッチ3が、1本のビアホール30を介してマイクロストリップ線路21の先端部21aと接続している。
詳しくは、ビアホール30が、マイクロストリップ線路21の先端部21aから垂下し、第2のグランド層12と接触しないように、第2のグランド層12の孔12aを通過してパッチ3の上面に至っている。
図4は、パッチ3のシールド状態を示す斜視図である。
図4に示すように、複数のビアホール31が、切り欠き部13の外周縁部13aとキャビティ部22の内周縁部22bとに沿って列設されている。
具体的には、ビアホール31を、キャビティ部22の内周縁部22bから垂下して、第2のグランド層12に接触させた状態で貫通させ、切り欠き部13の外周縁部13aに接続した。そして、これら檻状に設けられた複数のビアホール31の間隔を、伝送信号の波長以下の大きさに設定して、シールド効果を高めた。
具体的には、この実施例では、キャビティ部22の形状に対応した切り欠き部13が導波管4の開口40と同形に設定され、開口40をこの切り欠き部13に一致させた状態で、導波管4が第1のグランド層11に取り付けられている。
図5は、この実施例の導波管−高周波線路変換器の作用を説明するための概略斜視図であり、図6は、マイクロストリップ線路21の長さ方向と垂直な方向に切断して示す断面図である。
図5に示すように、導波管−高周波線路変換器を外部機器200に接続して、高周波信号Mをマイクロストリップ線路21に入力することができる。
このとき、外部機器200の出力線路がマイクロストリップ線路の場合には、そのマイクロストリップ線路を導波管−高周波線路変換器のマイクロストリップ線路21に直接接続することができる。
高周波信号Mを外部機器200からマイクロストリップ線路21に入力すると、高周波信号Mは、マイクロストリップ線路の先端部側に向かい、コプレーナ線路2を伝搬する。
このとき、高周波信号MがTEMモードで伝搬する場合には、図6にも示すように、磁界Hの面(以下「H面」と記す)がマイクロストリップ線路21に垂直で且つ誘電体基板1の表面1aに垂直な面となる。
したがって、高周波信号Mがコプレーナ線路2からビアホール30を通じてパッチ3に至る間、H面は、傾かずに、パッチ3まで伝搬する。そして、高周波信号Mに対応した電磁波がパッチ3から放射され、導波管4内を伝搬することとなる。
かかる状態において、パッチ3から放射される電磁波のH面も、マイクロストリップ線路21を伝搬してきた磁界の向きと同じであり、TEモードの電磁波が導波管4内を伝搬することとなる。
このように、高周波信号Mによる電磁波のH面が、傾いたり、ねじれたりすることなく、マイクロストリップ線路21から導波管4に伝搬するので、高周波信号Mのマイクロストリップ線路21から導波管4への伝搬がスムーズに行われ、導波管−高周波線路変換器による電力損失は少ない。
しかし、この実施例では、コプレーナ線路2を構成するマイクロストリップ線路21の先端部21aとパッチ3とをビアホール30を介して接続しているので、誘電体基板1の比誘電率によって、コプレーナ線路2とパッチ3との間の電磁結合が弱くなるという事象は生じない。
図7は、この発明の第2実施例に係る導波管−高周波線路変換器の分解斜視図であり、図8は、第2実施例の導波管−高周波線路変換器を示す断面図であり、図9は、第2実施例の導波管−高周波線路変換器を示す平面図である。
この実施例は、図7に示すように、コプレーナ線路2のキャビティ部22の面積を導波管4の開口40の面積よりも小さくした点が、上記第1実施例と異なる。
具体的には、図7〜図9に示すように、導波管4の開口40の長辺及び短辺の長さをそれぞれをa0、b0とし、キャビティ部22の内周縁部22bの長編及び短辺をそれぞれa、bとした場合に、キャビティ部22の内周縁部22bから内側部分の面積S(=a×b)を導波管4の開口40の面積S0(=a0×b0)の0.41倍以上0.51倍以下に設定した。
すなわち、誘電体基板1の比誘電率が8.0〜10であることを考慮して、キャビティ部22の上記面積Sの実効面積が導波管4の開口40の面積S0に等しくなるように設定した。
なお、キャビティ部22の内周縁部22bから内側部分と同形状の切り欠き部13の面積も、導波管4の開口40の面積S0の0.41倍以上0.51倍以下に設定した。
このシミュレーションでは、導波管4として、長辺a0及び短辺b0がそれぞれ3.76mm、1.88mmの標準導波管WR−15を採用した。そして、比誘電率8.0〜10において、キャビティ部22の上記面積Sの実効面積が開口40の面積S0と等しくなる場合の、長辺a及び短辺bの長さと実際の面積Sを求めた。
このシミュレーションの結果、図10に示すように、比誘電率8.0の時には、キャビティ部22の実際の面積Sが開口40の面積S0の0.51倍で、その実効面積が面積S0と等しくなった。そして、比誘電率が大きくなるに従って、面積Sの面積S0に対する倍率が小さくなり、比誘電率が10の時に、面積Sが開口40の面積S0の0.41倍で、その実効面積が面積S0と等しくなった。
このように、誘電体基板1の高誘電率性を利用して、キャビティ部22の大きさを小さくすることで、変換器全体を小型にすることができる。
また、上記のように、キャビティ部22を小さくしたことにより、図8に示すように、誘電体基板1の表面に前部に露出部Aが発生するが、マイクロストリップ線路21の先端部21aとビアホール30とが接続され、しかも、パッチ3とビアホール30とが複数のビアホール31でシールドされた構造であるので、上面が露出部Aが発生しても、不要な電磁波がこの部分から上方の空間に放射されることはない。
図11は、この実施例の導波管−高周波線路変換器の反射特性を示す線図であり、図12は、この実施例の導波管−高周波線路変換器の透過特性を示す線図である。
このシミュレーションでは、誘電体基板1として、比誘電率が8.8で厚さが0.4mmのLTCC基板を用い、導波管4として、開口40の長辺a0及び短辺b0が3.76mm、1.88mmの標準導波管WR−15を用いた。また、図9に示すように、マイクロストリップ線路21の線幅間隙Wを0.1mm、ビアホール30からマイクロストリップ線路21の先端部21aまでの距離pを0.3mm、ビアホール30からパッチ3の中心迄の距離p2を0.2mm、マイクロストリップ線路21の先端部21aと凹部22aの奥部とのギャップ幅gを0.1mmに設定した。そして、キャビティ部22の長辺a及び短辺bを2.70mm、3.51mmに設定して、キャビティ部22の内周縁部22b内側の面積Sを導波管4の開口40の面積S0の1/2にした。
かかる条件下で、周波数60GHzの高周波信号Mをマイクロストリップ線路21に入力して、この導波管−高周波線路変換器の反射特性と透過特性を解析したところ、図11に示すように、周波数で−19.2dBという低い反射特性を得ると共に、図12に示すように、−2.2dBという透過特性を得た。
このように、この実施例の導波管−高周波線路変換器によれば、コプレーナ線路2と誘電体基板1との間の整合性がとれており、この結果、効率の高い変換が可能となると想定することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図13は、この発明の第3実施例に係る無線通信装置を示す断面図である。
この無線通信装置は、例えば、ミリ波通信装置やレーダ装置であり、RFモジュール5とホーンアンテナ6とを、上記第2実施例の導波管−高周波線路変換器に装着した構成となっている。
具体的には、誘電体基板1の後端部側(図13の左部側)を延出し、RFモジュール5をその延出部分の表面1aに搭載した。そして、RFモジュール5の図示しないマイクロストリップ線路と導波管−高周波線路変換器のマイクロストリップ線路21とを接続した。また、ホーンアンテナ6は、導波管4の下端部に連結した。
また、ホーンアンテナ6で受信された高周波信号Mは、導波管4及びパッチ3を介してコプレーナ線路2に至り、コプレーナ線路2のマイクロストリップ線路21を通じてRFモジュール5に入力される。
なお、この実施例では、ホーンアンテナ6を、導波管4に連結した例を示したが、アンテナはホーン型のアンテナに限定されるものではなく、導波管をインタフェースとする全てのアンテナを導波管4に連結することができることは勿論である。
その他の構成及び作用は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
Claims (3)
- 第1及び第2のグランド層を裏面及び中間にそれぞれ有する誘電体基板の表面に設けられたマイクロストリップ線路の途中から先端部迄の部分を、誘電体基板表面に形成された平面状のキャビティ部の凹部内に配置して形成したコプレーナ線路と、
上記第1のグランド層の部位であって上記コプレーナ線路のキャビティ部の真裏に位置する部位に形成された切り欠き部内に配設され且つ上記第2のグランド層に非接触のビアホールを介して、上記マイクロストリップ線路の先端部に接続したパッチと、
その開口が上記切り欠き部を内部に含んだ状態で上記第1のグランド層に取り付けられた導波管と
を具備する導波管−高周波線路変換器であって、
上記誘電体基板の比誘電率を8.0以上10以下に設定すると共に、上記切り欠き部の外周縁部と上記キャビティ部の内周縁部とを、その縁部に沿って所定間隔で列設され且つ上記第2のグランド層に接触の複数のビアホールで接続した、
ことを特徴とする導波管−高周波線路変換器。 - 請求項1に記載の導波管−高周波線路変換器において、
上記キャビティ部の内周縁部から内側部分の面積を上記導波管の開口の面積の0.41倍以上0.51倍以下に設定した、
ことを特徴とする導波管−高周波線路変換器。 - 請求項1又は請求項2に記載の導波管−高周波線路変換器を備え、
高周波モジュールのマイクロストリップ線路の端部を当該導波管−高周波線路変換器のマイクロストリップ線路に接続すると共に、導波管をインタフェースとするアンテナを上記導波管に連結した
ことを特徴とする無線通信装置
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