以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における車載通信システムの構成を示すブロック図である。車載通信システムは、車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eと、車内通信回線1a,1b,1c,1d,1e間を接続する中継装置2a,2bと、電子制御装置(ECU)を用いた車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jと、車載装置3a,3b,3e,3g,3h,3iに接続するセンサ4a,4b,4e,4g,4h,4iとを備える。
車内通信回線1a,1bは中継装置2aに接続されており、車内通信回線1d,1eは中継装置2bに接続されている。さらに、中継装置2a,2b間は車内通信回線1cによって接続されており、中継装置2a,2bは車内通信回線1cを介してデータを送受信することが可能である。
車載装置3a,3bは車内通信回線1aにバス型で接続されており、車内通信回線1aに接続されている車載装置3a,3b及び中継装置2aは、車内通信回線1aへ送信されたデータを共通して受信する。車載装置3c,3dは車内通信回線1bにバス型で接続されており、車内通信回線1bに接続されている車載装置3c,3d及び中継装置2aは、車内通信回線1bへ送信されたデータを共通して受信する。また、車載装置3e,3fは車内通信回線1dにバス型で接続されており、車内通信回線1dに接続されている車載装置3e,3f及び中継装置2bは、車内通信回線1dへ送信されたデータを共通して受信する。車載装置3g,3hは車内通信回線1eにバス型で接続されており、車内通信回線1eに接続されている車載装置3g,3h及び中継装置2bは、車内通信回線1eへ送信されたデータを共通して受信する。
車載装置3i,3jは当初、車載通信システムの車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eのいずれにも接続されていない。車載装置3i,3jが車載通信システムに新規に接続された場合については後述する。また、センサ4a,4b,4e,4g,4h,4iは夫々、車載装置3a,3b,3e,3g,3h,3iに接続されている。
車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eは、CAN(Control Area Network)のプロトコルに基づく通信回線であり、車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hは車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eを介してCANに基づく信号を発生又は検知することによりデータの送受信が可能である。実施の形態1では、車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eとしてCANに基づく通信回線を例に説明する。しかし本発明の車載通信システムで使用する車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eはこれに限らず、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay(登録商標)等のプロトコルに基づくデータの送受信が可能であってもよい。さらに、送受信されるデータの種類に応じて送受信のスピードが夫々異なる車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eで構成してもよい。
CANに基づく車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eは2つの信号線からなり、信号線間に発生する差動電圧を検出して信号を検知し、データを受信する。2つの信号線の電位は夫々CAN_Hレベル、CAN_Lレベルに設定されており、2つの信号線間の差動電圧がない状態がデジタル信号の「1」、差動電圧がある状態がデジタル信号の「0」に該当する。車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eに接続されている中継装置2a,2b及び車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hは、車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eの信号線間に差動電圧を発生させることで「0」,「1」で表される信号を発生し、データを送信する。
車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jは電子制御装置を用い、例えば接続しているセンサが検知した温度、角度、速度等の各種物理量の測定値の送信、又はエンジン、ブレーキ等の各種装置のマイクロコンピュータによる制御が可能である。例えば、一の車載装置3aは、操舵角を検知するセンサ4aと接続されている。車載装置3aは、センサ4aから入力された操舵角の測定値に基づいて、操舵角の値を含むデータを車内通信回線1aへ送信する。同様に、車載装置3b,3e,3g,3hは、センサ4b,4e,4g,4hから入力された各種物理量の測定値を含むデータを車内通信回線1a,1b,1d,1eへ送信する。
車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hは、中継装置2a,2bから車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eへ送信されたデータを必要に応じて受信し、受信したデータに含まれる各種物理量を使用して動作する。これにより、各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hは、各種物理量の測定値に対応させて動作することが可能となる。
中継装置2aは、接続している車内通信回線1a,1bを介して車載装置3a,3bから各種物理量の測定値を含むデータを受信して記憶する。また、中継装置2bは、接続している車内通信回線1d,1eを介して車載装置3e,3g,3hから各種物理量の測定値を含むデータを記憶する。中継装置2a,2bは夫々、記憶しているデータを必要に応じて車内通信回線1a,1b,1c,1d,1eへ送信する。
CANでは、各種物理量毎にID(Identifier)が割り振られている。したがって、実施の形態1における車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jと中継装置2a,2bとの間で送受信される各種物理量の測定値を含むデータは、物理量毎に割り振られたID及びその物理量の測定値を含む。中継装置2a,2bは、車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jから送信されたデータからIDを特定し、送信されたデータがいずれの物理量に対する測定値を含むデータであるかを判断することができる。
図2は、本発明の実施の形態1における車載通信システムを構成する車載装置3a及び中継装置2aの内部構成を示すブロック図である。車載装置3aは、以下各構成部の動作を制御する制御部30と、各構成部へ電力を供給する電源回路31と、制御に必要なデータを記憶する記憶部32と、車内通信回線1aとの通信を制御する通信制御部33と、センサ4aからの信号を入力する入力部34と、図示しない制御対象装置へ制御信号を出力する出力部35とを備える。他の車載装置3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jは、車載装置3aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。なお、車載装置によっては入力部34及び出力部35はいずれか一方のみ備える構成でもよい。
車載装置3aの制御部30は、電源回路31を介して図示しない車両のオルタネータから電力の供給を受け、入力部34を介して車載装置3aに接続されているセンサ4aからの測定値を表す信号を検知し、出力部35を介して車載装置3aに接続されている制御対象の装置へ制御信号を送信する。記憶部32は揮発性のメモリからなり、制御部30は処理の過程で発生する各種情報、又はセンサ4aから入力された信号が表す測定値を一時的に記憶する。
車載装置3aの記憶部32には、センサ4aが検知する物理量の種類に割り振られたIDが「送信データID」として記憶されている。車載装置によっては、制御に必要な物理量の種類に割り振られたIDが「受信データID」として記憶部32に記憶されている。さらに、車載装置3aの記憶部32にはオプションとしての車載装置の有無を表すオプションフラグが記憶されており、初期状態ではオプションフラグはオフ、即ちオプションとしての車載装置は無しにセットされている。また、車載装置3hの記憶部32は、オプションフラグのオンに対しては「受信データID」が記憶されている。車載装置3hは、オプションとしての車載装置が車載通信システムに接続されている場合はオプションとしての車載装置から送信されるデータに含まれる物理量を使用して動作するが、オプションの車載装置が接続されていない場合は他の車載装置から送信されるデータに含まれる物理量を使用せずに動作するためである。なお、オプションフラグのオン/オフに対して夫々異なる「受信データID」が記憶され、オプションとしての車載装置の有無によって使用する物理量を切り換えるように設定されていてよい。
車載装置3aの記憶部32は揮発性メモリであるが図示しない電池を内蔵し、記憶しているデータを保持するようにしてある。
通信制御部33は、ネットワークコントローラチップを有して車内通信回線1aとの通信を実現するものである。制御部30は、通信制御部33を介して上述のように車内通信回線1aの信号線間に差動電圧を発生させてデータを送信し、信号線間の差動電圧を検出して信号を検知し、データを受信する。車載装置3aの制御部30は、例えばミリ秒の一定時間毎にセンサ4aから入力される信号を検知し、検知した信号が示す測定値に基づいて、測定値を含むデータを通信制御部33から送信する。
また、車載装置3aの制御部30は、動作に必要な物理量の測定値を含むデータを受信するデータとし、センサ4aから入力される測定値を含むデータを送信するデータとし、夫々のデータを識別するための識別情報を通信制御部33からの信号によって送信する。具体的には、車載装置3aの制御部30は、動作に必要な物理量に割り振られた「受信データID」と、センサ4aから入力される物理量に割り振られた「送信データID」とを通信制御部33から送信する。
中継装置2aは、中継装置2aの動作を制御する制御部20と、各構成部へ電力を供給する電源回路21と、揮発性のメモリからなる主記憶部22と、不揮発性の記憶媒体からなる補助記憶部23と、車内通信回線1aに接続されている第1通信部24と、車内通信回線1bに接続されている第2通信部25と、車内通信回線1cと接続されている第3通信部26とを備える。他の中継装置2bについては中継装置2aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。
補助記憶部23には、中継装置2aとして動作するための制御プログラムが記憶されており、制御部20は制御プログラムを補助記憶部23から主記憶部22に読み出すことにより中継装置2aとして動作する。
第1通信部24、第2通信部25及び第3通信部26は、ネットワークコントローラを有し、車内通信回線1a、車内通信回線1b及び車内通信回線1cを介してCANに基づくデータの送受信を実現する。制御部20は、第1通信部24、第2通信部25及び第3通信部26を介して車内通信回線1a,1b,1cの信号線間に差動電圧を発生させて「0」,「1」で表される信号を発生してデータを送信し、信号線間の差動電圧を検出して信号を検知しデータを受信する。
中継装置2aの制御部20は、電源回路21を介して車両のオルタネータから電力の供給を受け、車載装置3a,3bから受信したデータから各種物理量の種類及び値を抽出して主記憶部22のDB(Data Base)27に記憶する。具体的には、中継装置2aの制御部20は、受信したデータに含まれる物理量のIDを特定し、IDに対応付けて物理量の値を記憶する。中継装置2aの制御部20は、車載装置3a,3bから送信されるデータは車内通信回線1a及び第1通信部24を介して受信し、車載装置3c,3dから送信されるデータは車内通信回線1b及び第2通信部25を介して受信する。車載装置3e,3f,3g,3hから送信されるデータは、一度中継装置2bに記憶され、中継装置2aの制御部20は、車載装置3e,3f,3g,3hからのデータを中継装置2bから車内通信回線1c及び第3通信部26を介して受信する。
また、中継装置2aの制御部20は、第1通信部24を介して接続している車内通信回線1aを「バスA」、第2通信部25を介して接続している車内通信回線1bを「バスB」、第3通信部26を介して接続している車内通信回線1cを「バスC」と識別して主記憶部22に記憶している。
本発明の車載通信システムを構成する中継装置2aの制御部20は更に、第1通信部24及び第2通信部25を介して車載装置3a,3b,3c,3dから送信される「送信データID」及び「受信データID」を受信する。「送信データID」及び「受信データID」の送受信は、物理量を含むデータと同様に「送信データID」及び「受信データID」を含むとして車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h及び中継装置2a,2bが認識できるように規定されたIDと、該IDに対応する物理量の値として「送信データID」及び「受信データID」とを含んだデータを送受信することにより実行される。
中継装置2aの制御部20は、受信した各車載装置3a,3b,3c,3dの「送信データID」及び「受信データID」と共に、「送信データID」及び「受信データID」を車内通信回線1a,1b,1cのいずれを介して受信したか否かを判別する。中継装置2aの制御部20は、車載装置3a,3b,3c,3dから受信した「送信データID」及び「受信データID」と、判別した車内通信回線1a,1b,1cのいずれかとに基づいて、各種物理量を含むデータをいずれの車内通信回線へ送信すればよいかを示す中継情報28を構築する。また中継装置2aの制御部20は、構築した中継情報28を主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶する。中継装置2aの制御部20は、主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶されている中継情報28を読み出して異なる車内通信回線1a,1b,1cを介して接続されている車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h間のデータ交換を制御する。
また、主記憶部22には、制御部20の処理の過程で発生する各種情報が記憶される。なお、主記憶部22は揮発性メモリであるが図示しない電池を内蔵し、記憶しているデータを保持できるようにしてもよい。
上述のように構成される車載通信システムにおいて、中継装置2aの制御部20が車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を記憶する処理について説明する。図3は、本発明の実施の形態1における車載通信システムを構成する中継装置2aの制御部20が、受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を記憶する処理手順を示すフローチャートである。
車載装置3aの制御部30は、電源回路31を介して電源がオンになったか否かを判断する(ステップS11)。車載装置3aの制御部30は電源がオンになっていないと判断した場合は(S11:NO)、処理をステップS11へ戻し、電源がオンになったと判断するまで待機する。
車載装置3aの制御部30は、電源がオンになったと判断した場合(S11:YES)、「送信データID」及び「受信データID」を送信する(ステップS12)。
中継装置2aの制御部20は、「送信データID」及び「受信データID」を受信し(ステップS13)、受信した「送信データID」及び「受信データID」を更に他の中継装置2aへ送信する(ステップS14)。中継装置2aの制御部20は、車載装置3e,3f,3g,3hから受信した「送信データID」及び「受信データID」については他の中継装置2bを介して受信する。中継装置2aの制御部20は、受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築して主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶し(ステップS15)、処理を終了する。
中継装置2aの制御部20はステップS13〜ステップS15の処理手順を車載装置3a,3b,3c,3d又は中継装置2bから「送信データID」及び「受信データID」を受信する都度繰り返すことにより、車載通信システム全体に対応する中継情報28を構築し、記憶する。
図4は、本発明の車載通信システムを構成する車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから送信される「送信データID」及び「受信データID」の内容例を示す説明図である。図4(a)に示す例では、車載装置3aは車載装置IDを「A」として識別され、センサ4aが検知する「a」のIDが割り振られた物理量を含むデータを送信する。車載装置3aは「送信データID」として「a」を送信することが示されている。車載装置3bは車載装置IDを「B」として識別され、センサ4bが検知する「b」のIDが割り振られた物理量を含むデータを送信し、「a」のIDが割り振られた物理量を制御に使用する。したがって、車載装置3bは「a」及び「b」を「送信データID」及び「受信データID」として送信することが示されている。同様にして車載装置3cは車載装置IDを「C」として識別され、「受信データID」として「b」を送信することが示されている。また車載装置3dは車載装置IDを「D」として識別され、「受信データID」として「e」を送信することが示されている。
同様にして、図4(b)に示す例では、車載装置3eは車載装置IDを「E」として識別され、「送信データID」として「e」を送信することが示されている。また、車載装置3fは車載装置IDを「F」として識別され、「受信データID」として「g」を送信することが示されている。車載装置3gは車載装置IDを「G」として識別され、「送信データID」及び「受信データID」として「g」及び「h」を送信し、車載装置3hは車載装置IDを「H」として識別され、「送信データID」として「h」を送信することが示されている。
中継装置2aの制御部20は、各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから送信された、図4に示したような「送信データID」及び「受信データID」を必要な場合は中継装置2bを介して受信して主記憶部22に記憶する。車載装置3a,3bから車内通信回線1aを介して受信した「送信データID」及び「受信データID」については、車内通信回線1aを識別する「バスA」に対応付けて記憶し、車載装置3c,3dから車内通信回線1bを介して受信した「送信データID」及び「受信データID」については、車内通信回線1bを識別する「バスB」に対応付けて記憶する。つまり、中継装置2aの制御部20は図4(a)に示したように、車載装置ID「A」,「B」で識別された車載装置3a,3bから受信した「送信データID」及び「受信データID」を「バスA」に対応付けて記憶し、車載装置ID「C」,「D」で識別された車載装置3c,3dから受信した「送信データID」及び「受信データID」を「バスB」に対応付けて記憶している。一方、中継装置2bを介して受信した「送信データID」及び「受信データID」については、車内通信回線1cを識別する「バスC」に対応付けて記憶する。つまり、中継装置2aは、図4(b)に示した「送信データID」及び「受信データID」を「バスC」に対応付けて記憶している。
ここで例えば中継装置2aの制御部20は、車載装置3bから受信した「送信データID」及び「受信データID」により、車載装置3bがID「a」の物理量を含むデータを受信することを認識できる。車載装置3bは、ID「a」の物理量を含むデータを送信する車載装置3aと同一の車内通信回線1aに接続されているので、中継装置2aがID「a」の物理量を含むデータを車載装置3aから車載装置3bへ中継する必要がない。ID「a」の物理量は「受信データID」として記憶されている場合も、「送信データID」として記憶されている場合も、いずれの場合も「バスA」が対応付けて記憶されているので、中継装置2aの制御部20は中継する必要がないと判断することができる。
一方、中継装置2aの制御部20は、車載装置3cから受信した「送信データID」及び「受信データID」により、車載装置3cがID「b」の物理量を含むデータを受信することを認識できる。さらに、車載装置3bから中継装置2bを介して受信した「送信データID」及び「受信データID」によって車載装置3bがID「b」の物理量を含むデータを送信することを認識できる。この場合は、ID「b」のデータを送信する車載装置3bと受信する車載装置3cとが異なる車内通信回線1a,1bに夫々接続されているので、中継装置2aがID「b」のデータを車載装置3bから車載装置3cへ中継する必要がある。ID「b」のデータは「受信データID」として記憶されている場合は「バスB」が対応付けて記憶されており、「送信データID」として記憶されている場合は「バスA」が対応付けて記憶されているので、中継装置2aの制御部20は、ID「b」のデータは「バスA」から「バスB」へ中継する必要があると判断することができる。
さらに、中継装置2aの制御部20は、車載装置3dから受信した「送信データID」及び「受信データID」により、車載装置3dがID「e」のデータを受信することを認識できる。また、車載装置3eから中継装置2bを介して受信した「送信データID」及び「受信データID」により、車載装置3eがID「e」のデータを送信することを認識できる。この場合は、ID「e」のデータを送信する車載装置3eと受信する車載装置3dとが、異なる車内通信回線1d,1bに接続されており、更に車載装置3d,3e間は車内通信回線1cを介しているので中継装置2a,2bによりID「e」のデータを中継する必要があることを認識できる。ID「e」のデータは「受信データID」として記憶されている場合は「バスB」が対応付けて記憶されており、「送信データID」として記憶されている場合は「バスC」が対応付けて記憶されているので、中継装置2aの制御部20は、ID「e」のデータは「バスC」から「バスB」へ中継する必要があると判断することができる。
そこで、中継装置2aは、主記憶部22に記憶してある各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて、以下のように中継情報28を構築する。図5は、本発明の車載通信システムを構成する中継装置2aの制御部20が中継情報28を構築して記憶する処理手順を示すフローチャートである。
中継装置2aの制御部20は、中継装置2aに接続されている車内通信回線1a,1b,1cの内の、車載装置3a,3b,3c,3dが直接的に接続されている車内通信回線1a,1bの識別情報が対応付けられて記憶されている「送信データID」及び「受信データID」を抽出する(ステップS21)。具体的には、中継装置2aの制御部20は、「バスA」及び「バスB」が対応付けられて記憶されている図4(a)に示した「送信データID」及び「受信データID」、即ちID「a」「b」「e」を抽出する。
中継装置2aの制御部20は、ステップS21で抽出した「送信データID」及び「受信データID」毎に、夫々を「送信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1a,1b,1cのいずれかの識別情報を「送信元回線」として記憶し、夫々を「受信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1a,1b,1cのいずれかの識別情報を「送信先回線」として記憶する(ステップS22)。
ステップS22について具体的には、ステップS21で抽出したID「a」「b」「e」に対し、夫々を「送信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1a,1b,1cのいずれかの識別情報、及び「受信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1a,1b,1cのいずれかの識別情報を記憶する。中継装置2aの制御部20は、まずID「a」に対し、ID「a」を「送信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1aの識別情報「バスA」を「送信元回線」として主記憶部22に記憶する。同様に中継装置2aの制御部20は、ID「a」を「受信データID」として記憶している場合に対応付けられている車内通信回線1aの識別情報「バスA」を「送信先回線」として主記憶部22に記憶する。さらに中継装置2aの制御部20は同様にしてID「b」に対し、「バスA」を「送信元回線」とし、「バスB」を「送信先回線」として主記憶部22に記憶する。中継装置2aの制御部20は同様にしてID「e」に対し、「バスC」を「送信元回線」とし、「バスB」を「送信先回線」として主記憶部22に記憶する。
次に中継装置2aの制御部20は、ステップS21で抽出したIDに対し、ステップS22で記憶した「送信元回線」「送信先回線」夫々の識別情報から、「送信元回線」「送信先回線」は異なる車内通信回線の識別情報であるか否かを判断する(ステップS23)。中継装置2aの制御部20は、同一の車内通信回線の識別情報であると判断した場合は(S23:NO)、「動作」として「中継無し」を記憶し(ステップS24)、処理を終了する。
一方、中継装置2aの制御部20は、異なる車内通信回線の識別情報であると判断した場合は(S23:YES)、「動作」として『「送信元回線」から「送信先回線」へ中継』を記憶し(ステップS25)、処理を終了する。
中継装置2aの制御部20は、ステップS22〜ステップS25の処理をステップS21で抽出したID全てについて実行する。
図6は、本発明の車載通信システムを構成する中継装置2aの制御部20が記憶する中継情報28の内容例を示す説明図である。図6(a)は、図4に示した「送信データID」及び「受信データID」に対し、図5に示した処理手順により中継装置2aの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28の例を示している。同様にして図6(b)は、中継装置2bの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28の例を示している。
上述のように記憶された中継情報28に基づいて、中継装置2aの制御部20はデータの送受信の中継を行なうことが可能となる。この場合、電源がオンとなった各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから送信される「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築するので、車載通信システムを構成する車載装置の配置に対応させて設定した中継情報28を予め中継装置2aの補助記憶部23等に記憶させておく必要がなく、自動的に効率良くデータを中継することができる。
次に、車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hが車内通信回線1a,1b,1d,1eに夫々接続されており、各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h及び中継装置2aが夫々稼動中に、新たに車載装置3i,3jがオプションとして車内通信回線1a,1bに新規に接続された場合の中継装置2a,2b及び各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jの処理について説明する。
新規に接続される車載装置3i,3jは、車載通信システムに接続される前の状態であるか否かを示す初期フラグがオンにセットされて記憶部32に記憶されている以外、上述の車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hと同一の構成である。車載装置3i,3jの制御部30は、記憶部32に記憶されている初期フラグがオンにセットされているか否かを判断し、初期フラグがオンにセットされている場合は、一の車載通信システムに接続したことを通知するための接続通知を通信制御部33により送信する。また、中継装置2aの制御部20は、接続通知を受信して車載装置3i,3jが新規に接続されたことを認識することが可能である。
図7及び図8は、本発明の車載通信システムに新規に車載装置3i,3jが接続された場合の、中継装置2a及び車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jの処理手順を示すフローチャートである。なお、車載通信システムに既に接続されている車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hの処理手順については、オプションフラグのオン/オフに対して異なる「受信データID」を記憶部32に記憶している車載装置3hを例にして説明する。
新規に接続された車載装置3iの制御部30は、電源回路31を介して電源がオンになったか否かを判断する(ステップS301)。新規に接続された車載装置3iの制御部30は、電源がオンになっていないと判断した場合(S301:NO)、処理をステップS301へ戻し、電源がオンになったと判断するまで待機する。
車載装置3iの制御部30は、電源がオンになったと判断した場合(S301:YES)、初期フラグがオンにセットされているか否かを判断する(ステップS302)。車載装置3iの制御部30は、初期フラグがオフにセットされていると判断した場合(S302:NO)、既に車載通信システムに接続されて車載装置の一として動作しており、接続したことを通知する必要はないので処理を終了し、車載装置としての動作を継続する。
新規に接続された車載装置3iの制御部30は、初期フラグがオンにセットされていると判断した場合(S302:YES)、初期フラグをオフにセットし(ステップS303)、車載通信システムに接続したことを通知する接続通知を車内通信回線1bへ送信する(ステップS304)。
中継装置2aの制御部20は、車内通信回線1b及び第2通信部25を介して接続通知を受信し(ステップS305)、車載装置3iが車載通信システムに新規に接続されたこと、具体的には車載装置3iの「送信データID」を示す新規接続情報を第1通信部24、第2通信部25及び第3通信部26から車内通信回線1a,1b,1cへ送信する(ステップS306)。
他の中継装置2bの制御部20は、車内通信回線1c及び第1通信部24を介して新規接続情報を受信し(ステップS307)、第2通信部25及び第3通信部26から新規接続情報を送信する(ステップS308)。なおこの時点で、他の車載装置3a,3b,3c,3dが車内通信回線1a,1bを介して新規接続情報を受信する。
中継装置2bと車内通信回線1eを介して接続されている一の車載装置3hの制御部30は、通信制御部33から新規接続情報を受信し(ステップS309)、受信した新規接続情報に示される車載装置3iの「送信データID」が、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」と一致するか否かを判断する(ステップS310)。
車載装置3hの制御部30は、車載装置3iの「送信データID」が、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」と一致しないと判断した場合(S310:NO)、使用するデータを変更せず処理を終了する。
車載装置3hの制御部30は、車載装置3iの「送信データID」が、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」と一致すると判断した場合(S310:YES)、オプションフラグをオンにセットする(ステップS311)。車載装置3hの制御部30は、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」を「送信データID」と共に車内通信回線1eへ送信する(ステップS312)。
中継装置2bの制御部20は、車載装置3hから送信された「送信データID」及び「受信データID」を受信し(ステップS313)、受信した「送信データID」及び「受信データID」を第1通信部24から車内通信回線1cを介して中継装置2aへ送信する(ステップS314)。
中継装置2aの制御部20は、中継装置2bから送信された「送信データID」及び「受信データID」を受信し(ステップS315)、受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築して記憶し(ステップS316)、処理を終了する。なお、中継装置2bの制御部20も受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築して記憶する。
中継装置2aの制御部20は接続通知を受信する都度、新規接続情報を送信するようにしてあり、車載装置3hのステップS310〜ステップS312の処理は新規接続情報を受信する都度実行される。
なお、車載装置3iの制御部30は、ステップS301において電源がオンになったと判断した場合(S301:YES)、図3に示したように車載装置3iの「送信データID」及び「受信データID」を車内通信回線1aへ送信する。中継装置2aの制御部20は、車載装置3iが送信した「送信データID」及び「受信データID」を受信し、受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築して主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶する。
なお、新規に接続する車載装置3iの制御部30が「送信データID」及び「受信データID」を送信するタイミングは、ステップS301において電源がオンになったと判断した場合とは限らず、初期フラグがオンにセットされていると判断した場合に(S302:YES)、接続通知と共に「送信データID」及び「受信データID」を送信する構成でもよい。さらに、新規に接続する車載装置3iの制御部30は、接続通知を送信した後に改めて「送信データID」及び「受信データID」を送信する構成でもよい。
また、車載装置3hの記憶部32には、オン/オフの二値で表されるオプションフラグではなく、車載装置3i,3jの新規接続に対して二以上のバリエーションが設定され、夫々のバリエーションに対応する「受信データID」を記憶しておく構成でもよい。この場合、バリエーションに対して優先順位を設定しておき、ステップS310での判断処理において、新規接続情報に示される「送信データID」と優先順位の高い方のバリエーションに対応する「受信データID」とが一致する場合に初めて一致すると判断し、当該「受信データID」を送信するようにしてもよい。この場合、優先順位の低いバリエーションに対応する「受信データID」と一致しても、「送信データID」と「受信データID」とは一致しないと判断する。
図9は、本発明の車載通信システムを構成する車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jから、車載装置3i,3jが新規に接続された場合に送信される「送信データID」及び「受信データID」の内容例を示す説明図である。図9(a)に示す例では、図4(a)に示した例に加え、車内通信回線1a,1bに夫々、新規に接続された車載装置3j,3iから送信された「送信データID」及び「受信データID」が示されている。車載装置3iは、車載装置IDを「I」として識別され、センサ4iが検知する「i」のIDが割り振られた物理量を含むデータを送信するので「i」を「送信データID」とし、「b」のIDが割り振られた物理量を制御に使用する。したがって、車載装置3iからは「i」及び「b」が「送信データID」及び「受信データID」として送信されることが示されている。同様にして車載装置3jからは「g」が「受信データID」として送信されることが示されている。
図9(b)に示す例では、車載装置3hが車載通信システムに新規に接続されたことに対応して、車載装置3hが「i」のIDが割り振られた物理量を制御に使用するため、「i」が「受信データID」として送信し直されることが示されている。
中継装置2a,bは、車載装置3i,3jが新規に接続された場合に各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hから送信された図9に示した「送信データID」及び「受信データID」を主記憶部22に記憶する。中継装置2a,2bが「送信データID」及び「受信データID」を記憶した後の処理は、車載装置3i,3jが新規に接続される前の処理と同様であるため詳細な説明を省略する。
図10は、本発明の車載通信システムを構成する中継装置2aの制御部20が、車載装置3i,3jが新規に接続された後に構築する中継情報28の内容例を示す説明図である。図10(a)は、中継装置2aの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28の例を示している。同様に図10(b)は、中継装置2bの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28の例を示している。
中継装置2aの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28には、車載装置3i,3jが新規に接続された後、ID「g」のデータは「バスC」から「バスA」へ中継し、ID「i」のデータは「バスB」から「バスC」へ中継することが示されている。また、中継装置2bの主記憶部22及び/又は補助記憶部23に記憶される中継情報28には、車載装置3i,3jが新規に接続された後、ID「i」のデータは「バスC」から「バスE」へ中継することが示されている。
図7及び図8に示した処理手順により、車載装置3i,3jが新規に接続された後の車載通信システム全体に対応する図10に示した中継情報28が構築され記憶される。これにより、車載装置3i,3jが車載通信システムの車内通信回線1a,1bに新規に接続されたことが自動的に検知することができ、更に車載装置3i,3jの接続に対応させて車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3j間で効率的にデータを中継することができる。
なお、車載装置3iが接続されて車載通信システムが稼動中に車載装置3iが電源をオフにして休止する場合、車載装置3iが休止することを示す休止通知を送信してから休止する構成としてもよい。この場合、中継装置2a,2bは休止通知を受信することにより車載装置3iが休止し、車載装置3iからデータの送信及び/又は受信が停止することを自動的に検知することができる。中継装置2aは、図10に示した中継情報28に基づいて動作してデータを中継していたことに対して車載装置3iが動作を休止する場合は、車載装置3iはデータを受信しないので、車載装置3iが接続している車内通信回線1b(「バスB」)へ送信するように設定されていた中継情報28を変更する必要があるときがある。実施の形態1では、車載装置3iはID「c」のデータを受信していたので、ID「c」のデータを「バスA」から「バスB」へ中継することを示す中継情報28は変更する必要があるかとも考えられるが、実施の形態1では車載装置3iが接続していた車内通信回線1bには、他にもID「c」のデータを受信する車載装置3cが接続されている。したがって、中継装置2aは中継情報28を変更する必要はない。
車載装置3iから休止通知を受信した中継装置2aは、車載装置3iから送信及び/又は受信が停止されるデータを示すデータ停止情報を他の車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jへ送信する。他の車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jはデータ停止情報を受信し、データ停止情報に示されている車載装置3iが送信するデータに含まれる物理量を動作に使用している場合は、当該物理量を使用しないで動作するモードに切り換えるために、異なる物理量に割り振られたIDを「受信データID」として送信する。中継装置2aは、各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jから改めて受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を図4に示したように戻す。これにより、車載通信システムは他の車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jの動作を一の車載装置3iの休止に自動的に対応させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、車載通信システムを構成する車載装置3hは、オプションフラグのオン/オフに対して夫々異なる「受信データID」を記憶しており、新規に車載装置が接続されたことを検知した場合はオプションフラグをオンにセットし、オプションフラグがオンの場合の「受信データID」を改めて送信する構成とした。
これに対し、実施の形態2では、車載装置3hはオプションフラグのオン/オフに対応する夫々異なる制御プログラム32PO及び制御プログラム32Pを記憶部32に記憶しており、オプションフラグのオン/オフに対して読み込む制御プログラム32PO,32Pを切り換える。これにより、車載装置の新規接続に対応させて車載装置3hの動作モードそのものを切り換えることができる。
実施の形態2における車載通信システム全体の装置の構成は実施の形態1と同様であるために詳細な説明を省略し、同一の符号を使用して車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3jの一である車載装置3hが制御プログラム32PO,32Pを切り換える処理について説明する。図11は、本発明の実施の形態2における車載通信システムを構成する車載装置3h及び中継装置2bの内部構成を示すブロック図である。
中継装置2bの構成については、実施の形態1における中継装置2aの構成と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。車載装置3hについても記憶部32に記憶されている情報以外は実施の形態1における車載装置3aと同様であるため詳細な説明を省略する。
車載装置3hの記憶部32には、オプションフラグのオン/オフに対応付けて二つの制御プログラム32PO,32Pが記憶されている。車載装置3hの制御部30は、電源回路31を介して電源がオンになった場合に、図示しない電池により保持されているオプションフラグがオフにセットされているときは制御プログラム32Pを読み出して動作し、オプションフラグがオンにセットされているときは制御プログラム32POを読み出して動作するように切り換える。なお、車載装置3hの記憶部32に記憶される制御プログラムは、複数の車載装置の接続/非接続に対応するオプションフラグのオン/オフの組み合わせに対応するように、三以上記憶されている構成でもよい。
図12及び図13は、本発明の実施の形態2における車載通信システムを構成する車載装置3hが、車載装置3i,3jが新規に接続された場合に中継装置2bを介して受信した新規接続情報に基づいて動作モードを切り換える処理手順を示すフローチャートである。図12及び図13の処理手順は、車載装置3iが車内通信回線1aに新規に接続した場合の処理手順を示しており、ステップS401〜ステップS412の内、車載装置3i,3h及び中継装置2a,2bのステップS401〜ステップS411の処理手順は図7及び図8に示した処理手順の内のステップS301〜ステップS311と同様であるので説明を省略する。
車載装置3hの制御部30は、車載装置3iの「送信データID」が、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」と一致しないと判断した場合(S410:NO)、車載装置3hの動作モードを変更せず処理を終了する。
一方車載装置3hの制御部30は、車載装置3iの「送信データID」が、オプションフラグのオンに対して記憶されている「受信データID」と一致すると判断した場合(S410:YES)、オプションフラグをオンにセットし(ステップS411)、自身を再起動し(ステップS412)、処理を終了する。
再起動により電源がオンになった場合は、図3に示した車載装置3aの制御部30の処理手順同様に、電源がオンになったことを検知した車載装置3hの制御部30が、制御プログラム32POを読み込んで動作する場合の「送信データID」及び「受信データID」を車内通信回線1eを介して中継装置2bへ送信する。中継装置2bは、車載装置3hが送信した「送信データID」及び「受信データID」を受信し、受信した「送信データID」及び「受信データID」に基づいて中継情報28を構築して記憶する。中継装置2bは、車載装置3iから中継装置2aを介して受信したデータを車載装置3hへ送信する。
上述のような処理手順により、実施の形態2における車載通信システムを構成する車載装置3hは、車載装置3iが接続されている場合に対応させて自身の動作モードを自動的に切り換えることができる。
また、本実施の形態2においても車載装置3iは、休止する場合に休止することを示す休止通知を送信し、中継装置2aは休止通知を受信して他の車載装置3a,3b,3c,3dへ、更に中継装置2bを介して車載装置3e,3f,3g,3h,3jへ、車載装置3iからデータの送信が停止されることを示すデータ停止情報を送信する。各車載装置3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jは夫々データ停止情報を受信した場合、データ停止情報に示されているデータが含む物理量を現在動作に使用しているか否かを判断する。例えば車載装置3hの制御部30が、車載装置3iから送信されていたデータに含まれる物理量を動作に使用していると判断した場合は、当該物理量を使用しない異なる動作に切り換えるためにオプションフラグをオフにセットして再起動し、車載装置3iが休止している場合に対応した動作ができるよう制御プログラム32Pを読み出して、動作を再開する。これにより、車載装置3hは、オプションとしての車載装置3iが休止している場合に対応させて自身の動作モードを自動的に切り換えることができる。
なお、実施の形態1及び2において、車載通信システムを構成する中継装置2aは、車載装置3i,3jの車内通信回線1a,1bへの新規接続を車載装置3i,3jからの接続通知を受信することにより検知し、車載装置3i,3jの休止を休止通知を受信することにより自動的に検知する構成とした。しかしながら、本発明の車載通信システムはこれに限らず、オプションとしての車載装置3i,3jは接続通知又は休止通知を送信する手段を有していなくともよい。例えば、車載装置3i,3jは車内通信回線1a,1bに新規に接続された後に電源オンになった場合、「送信データID」及び「受信データID」を送信する。車載通信システムの中継装置2a,2bは、受信した「送信データID」がそれまで受信していなかったIDを示す場合に、当該「送信データID」を送信する車載装置が新規に接続されたことを検知したと判断する構成でもよい。また、それまで受信していたIDを含むデータを受信できなくなった場合に、当該データを送信する車載装置が休止したことを検知したと判断する構成でもよい。