JP2008128125A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃圧システム系(燃料ポンプ、燃料配管、リリーフ弁、燃料噴射弁、燃圧センサ等)に故障が生じると、機関運転条件に応じて設定される通常の目標燃圧を、上限値MAX以下かつ下限値MIN以上の領域内に制限し、該制限された範囲内の目標燃圧に実際の燃圧が近づくように、燃料ポンプの吐出量をフィードバック制御する。
【選択図】図4
Description
上記発明によると、燃料供給系に異常が生じても、目標燃圧を異常時に対応する値に切り換えた上で燃料ポンプの駆動を継続させる。
従って、燃料供給系に異常が生じても、機関の運転を安全かつ安定的に継続させることが可能となる。
上記発明によると、燃料供給系に異常が生じると、目標燃圧を通常の値から、予め設定された異常時用の一定値に切り換え、燃料ポンプの駆動を継続させる。
従って、燃料供給系の異常時に、予め特定された燃圧状態で燃料供給の継続を図ることになり、異常時における燃料供給を安全かつ安定的に行わせることが可能となる。
上記発明によると、正常時に目標燃圧が運転条件などから変更される場合に、燃料供給系に異常が生じると、目標燃圧の可変範囲をより狭い範囲に限定し、この限定された範囲内の目標燃圧に基づいて燃料ポンプの駆動を継続させる。
図1は、実施形態における車両用内燃機関の燃料供給装置のシステム構成図である。
図1において、燃料タンク11は、内燃機関16と共に図示省略した車両に搭載され、内燃機関16に供給する燃料(ガソリン等)を貯留する。
前記燃料タンク11内には、電動式の燃料ポンプ12が設置され、該燃料ポンプ12は、燃料タンク11内の燃料を吸い込んで、燃料供給配管13を介して燃料ギャラリーパイプ14に燃料を圧送する。
前記燃料供給配管13の途中から燃料を燃料タンク11内に戻すためのリリーフ配管18が設けられており、該リリーフ配管18を介した燃料のリリーフは、電磁弁19によって制御される。
また、前記燃料ギャラリーパイプ14には、燃料の圧力を検出する燃圧センサ20及び燃料の温度を検出する燃温センサ21が設けられている。
燃圧制御コントローラ22は、前記燃圧センサ20及び燃温センサ21からの検出信号を入力する一方、前記燃料ポンプ12の印加電圧(駆動電流)及び電磁弁19のオン・オフを制御して燃料の供給圧を調整する。
前記燃圧制御コントローラ22及びECM23は、共にマイクロコンピュータを含んで構成され、相互に通信可能に構成され、燃圧制御コントローラ22からECM23へは燃圧の情報などが送信され、ECM23から燃圧制御コントローラ22へは、内燃機関16の運転条件(負荷・回転・水温など)の情報などが送信される。
図2のフローチャートにおいて、ステップS101では、燃圧システム系の故障の有無(燃料供給系の異常の有無)を判定する。
尚、燃料供給系(燃圧システム系)を構成する各部品の具体的な診断方法については、後で詳細に説明する。
前記所定値(1)としては、例えば、燃料供給系(燃圧システム系)の正常時に、内燃機関16の運転条件などに応じて可変に設定される目標燃圧の可変範囲の中間値とすることができる。
例えば、燃温センサ21が故障したときには高めの目標を設定し、電磁弁19の閉固着時には低めの目標を設定させ、更に、燃料噴射弁15の油密性能が低下している場合には、目標を低めに設定することができる。
上記のように、燃料供給系(燃圧システム系)の故障時に、予め故障時用に設定された一定の目標燃圧に固定して燃料ポンプ12をフィードバック制御させるので、故障時に過不足のない燃圧に制御することができ、内燃機関16の運転を安全かつ安定的に継続させて、リンプホームを可能にできる。
故障時用の目標燃圧は一定値であるため、例えば、微粒化の促進・ベーパの抑制に有利な高燃圧と、燃費性能・リニアリティの確保に有利な低燃圧とを、運転条件によって使い分けることができなくなるが、大きな過不足のない燃圧によって必要な燃料を機関16に供給して、安定的に機関16を運転させることが可能である。
図3のフローチャートは、燃圧システム系のフェイル制御の第2実施形態を示す。
ステップS201では、通常に機関16の運転条件などに基づいて目標燃圧を算出する。
そして、前記燃料供給系(燃圧システム系)を構成する部品のいずれもが正常であると判断された場合には、そのまま本ルーチンを終了させることで、ステップS201で算出した目標燃圧を用いて燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
ステップS203では、ステップS201で算出した目標燃圧が予め記憶された上限値MAXを超えているか否かを判断する。
ここで、ステップS201で算出した目標燃圧が前記上限値MAX以下であるときには、そのまま本ルーチンを終了させることで、ステップS201で算出した目標燃圧を用いて燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
即ち、燃圧システム系に故障が発生しているときには、機関運転条件に基づいて算出される目標燃圧の可変範囲を前記上限値MAX以下に制限し、上限値MAX以下の領域を故障時用の目標燃圧として燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
上記実施形態によると、燃圧システム系に故障が発生しているときに、最大燃圧を抑制するので油密漏れを低減でき、また、機関16に対して必要量の燃料を安定的に供給でき、少なくとも最小限の走行性を確保できる。
ステップS301では、通常に機関16の運転条件などに基づいて目標燃圧を算出する。
次のステップS302では、燃圧システム系の故障の有無(燃料供給系の異常の有無)を判定する。
一方、前記燃料供給系(燃圧システム系)を構成する部品のいずれかが故障していると判断された場合には、ステップS303へ進む。
ステップS301で算出した目標燃圧が前記上限値MAXを超えているときには、ステップS304へ進み、目標燃圧に前記上限値MAXをセットし、上限値MAXを目標に燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
ステップS301で算出した目標燃圧が前記下限値MINを下回っているときには、ステップS306へ進み、目標燃圧に前記下限値MINをセットし、下限値MINを目標に燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
上記のように、第3実施形態では、燃圧システム系に故障が発生しているときには、機関運転条件に基づいて算出される目標燃圧の可変範囲を前記上限値MAX以下かつ下限値MIN以上のより狭い範囲に制限し、上限値MAX以下でかつ下限値MIN以上の領域を故障時用の目標燃圧として燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
また、下限値MINは、運転条件に基づき設定される目標燃圧の最小値よりも高い値であって、燃料ベーパの発生を抑制でき、かつ、燃料ポンプ12における印加電圧と吐出量との相関や燃料噴射弁15における開弁時間と噴射量との相関においてリニアリティが確保できる値に設定する。
図5のフローチャートは、燃圧システム系のフェイル制御の第4実施形態を示す。
ステップS401では、通常に機関16の運転条件などに基づいて目標燃圧を算出する。
そして、前記燃料供給系(燃圧システム系)を構成する部品のいずれもが正常であると判断された場合には、そのまま本ルーチンを終了させることで、ステップS401で算出した目標燃圧をそのまま用いて燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
ステップS403では、ステップS401で算出した目標燃圧が予め記憶された下限値MINを下回っているか否かを判断する。
ここで、ステップS401で算出した目標燃圧が前記下限値MIN以上であるときには、そのまま本ルーチンを終了させることで、ステップS401で算出した目標燃圧を用いて燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
即ち、燃圧システム系に故障が発生しているときには、機関運転条件に基づいて算出される目標燃圧の可変範囲を前記下限値MIN以上に制限し、下限値MIN以上の領域を故障時用の目標燃圧として燃料ポンプ12をフィードバック制御させる。
従って、燃料ベーパの発生を回避しつつ、機関16に必要量の燃料を精度良く供給して、機関16の運転を安全かつ安定的に継続させることができる。
ステップS601では、機関16の要求燃料流量の前回値と今回値との偏差の絶対値、即ち、単位時間当たりの要求燃料流量の変化量の絶対値が、閾値A以下であるか否かを判断する。
そして、要求燃料流量の変化量の絶対値が閾値A以下であれば、ステップS602へ進み、燃圧センサ20で検出される実際の燃圧とそのときの目標燃圧との偏差の絶対値が閾値B以上であるか否かを判断する。
燃圧偏差の絶対値が閾値B以上であって、目標に収束できていない状態であるときには、更に、ステップS603へ進んで、燃料ポンプ12が全開で駆動されているか否か(駆動デューティが100%であるか否か)を判断する。
ここで、実際の燃圧が目標に収束しないまま燃料ポンプ12が全開で駆動されている状態が、所定時間以上継続している場合には、ステップS605へ進んで、燃料ポンプ12の故障を判定する。
ステップS601〜ステップS604のいずれかでNOの判定がなされたときには、故障判定の条件が揃っていないので、故障判定を行うことなく、そのまま本ルーチンを終了させる。
また、燃料ポンプ12の駆動回路にリレーが介装される場合には、該リレーのオフ状態では、前記図6のフローチャートに示される故障判定をキャンセルさせるようにする。
図7のフローチャートは、燃圧システム系の故障診断に含まれる燃料配管の異常診断の例を示す。
前記構成部品の正常時であれば、ステップS702へ進み、燃料ポンプ12の吐出量(駆動デューティ)の今回値と前回値との偏差に所定値αを乗算することで、吐出量の変化による燃圧変化推定量Pを算出する。
実際の燃圧変化と前記燃圧変化推定量Pとの偏差の絶対値が閾値C以上である場合には、燃料ポンプ12からの吐出量の変化に見合う圧力変化が生じていないことになり、ステップS704では、このような状態が所定時間以上継続しているか否かを判別する。
一方、ステップS701,S703,S704のいずれかでNOの判定がなされた場合には、ステップS706へ進んで、燃料配管は正常であると判定する。
また、燃料配管の異常診断方法としては、燃料ギャラリーパイプ14に設けた燃圧センサ20の他に、燃料ポンプ12の直下にも燃圧センサを設けて、2つの燃圧センサによる検出燃圧の違いに基づいて異常の有無を診断させることができる。
前記公報に開示される燃料噴射弁の診断方法は、燃料噴射弁に流れる駆動電流の微分波形を出力する回路と、微分回路の出力のピークを検出するピーク検出回路とを備え、前記ピーク検出回路によって所定レベル以上のピークが検出されないときに、燃料噴射弁の故障を判定するものである。
ステップS801では、電磁弁19の作動状態(開制御状態)であるか否かを判別する。
電磁弁19の開制御状態であれば、ステップS802へ進み、燃料ポンプ12や燃圧センサ20などの他の部品が正常であるか否かを判別する。
駆動デューティの変化量の絶対値が閾値D以下であれば、燃料ポンプ12の吐出量の変化が殆どない状態であると判断して、ステップS804へ進む。
電磁弁19が開状態であってリリーフ配管18を介して燃料が燃料タンク11内にリリーフされる状態において、燃料ポンプ12の吐出量が殆ど変化しなければ、燃圧は減少変化することになる。
燃圧センサ20で検出された実際の燃圧の今回値と前回値との偏差が閾値E以上である状態が所定時間以上継続すると、電磁弁19の閉固着によって燃料がリリーフされていないものと推定し、ステップS806で電磁弁19(リリーフ弁)の故障を判定する。
図9のフローチャートは、燃圧システム系の故障診断に含まれる燃温センサ21の異常診断の例を示す。
ステップS901では、燃温センサ21の検出信号を入力する。
スタータスイッチのオンである始動中(クランキング中)においては、燃温センサ21の故障を判定することなく、本ルーチンをそのまま終了させる。
燃温センサ21で検出された燃温が所定温度αよりも低い場合には、ステップS904へ進み、その継続時間が所定時間に到達しているか否かを判別する。
燃料ギャラリーパイプ14内の燃料の温度は、機関温度の上昇に伴って上昇するから、燃温センサ21が正常であれば、機関の始動後に、燃温の検出値が所定温度αよりも低い状態が所定時間以上に継続することはない。
また、ステップS903で、燃温センサ21で検出された燃温が所定温度α以上であると判断されたときには、ステップS905へ進んで、燃温センサ21で検出された燃温が所定温度β(>α)以上であるか否かを判別する。
そして、燃温センサ21による燃温の検出値が所定温度β以上である状態が所定時間以上継続している場合には、ステップS907へ進んで、燃温センサ21の故障を判定する。
ステップS1001では、燃圧センサ20の検出信号を読み込み、燃圧センサ20による検出圧力をPとする。
ステップS1002では、スタータスイッチのオン・オフを判別する。
前記故障発生前の燃圧データは、前記上限値MAXとして用いられる。
一方、スタータスイッチがオフである始動後においては、ステップS1003へ進み、燃圧センサ20の検出圧力Pが下限圧よりも低いか否かを判別する。
従って、燃圧センサ20の検出圧力Pが下限圧よりも低い場合には、燃圧センサ20が燃圧を誤検出している可能性があるので、ステップS1004へ進んで、燃圧センサ20の検出圧力Pが下限圧よりも低い状態が所定時間以上継続しているか否かを判断する。
一方、燃圧センサ20の検出圧力Pが下限圧以上であるときには、ステップS1003からステップS1005へ進み、燃圧センサ20の検出圧力Pが上限圧(>下限圧)以上であるか否かを判別する。
従って、燃圧センサ20の検出圧力Pが上限圧以上である場合には、燃圧センサ20が燃圧を誤検出している可能性があるので、ステップS1007へ進んで、燃圧センサ20の検出圧力Pが上限圧以上である状態が所定時間以上継続しているか否かを判断する。
尚、上記では、燃料ポンプ12、燃料配管、燃料噴射弁15、電磁弁19(リリーフ弁)、燃温センサ21、燃圧センサ20それぞれについて故障診断方法を示したが、これらの診断方法に限定されるものでないことは明らかであり、公知の種々の診断方法を適用できる。
(イ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置において、
正常時の目標燃圧を所定の上限値及び下限値に基づいて制限して、前記燃料ポンプを駆動することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
従って、吐出量不足を回避し、油漏れやベーパの発生を抑制し、かつ、燃料ポンプや燃料噴射弁における制御信号と燃料量との相関のリニアリティを確保できる目標燃圧の設定が行え、機関の運転を安定的に継続させることができる。
(ロ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置において、
異常判定直前の燃圧を上限値として設定し、正常時の目標燃圧を前記上限値以下に制限して前記燃料ポンプを駆動することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
従って、異常状態で実現できる最大燃圧を上限値として、異常時に燃料ポンプを駆動制御できる。
(ハ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
燃料配管の異常が判定されたときに、前記燃料ポンプの駆動を強制的に停止させることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
従って、燃料配管の異常によって配管途中からの燃料漏れが発生する可能性がある状態で、燃料ポンプが駆動され、多量の燃料が漏れ出すことを回避できる。
(ニ)請求項2記載の内燃機関の燃料供給装置において、
異常判定されたデバイスの種類に応じて、異なる目標燃圧を設定することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
従って、故障したデバイスの種類毎に最適な目標燃圧を設定でき、安定的な機関運転の実現と、安全性の確保とを高い次元で両立させることができる。
Claims (3)
- 目標燃圧に基づいて燃料ポンプを駆動して、内燃機関に燃料を圧送する内燃機関の燃料供給装置であって、
燃料供給系の異常を判定したときに、前記目標燃圧を異常時用の目標値に切り換えて前記燃料ポンプを駆動することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 前記異常時用の目標値が、予め設定された一定値であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記異常時用の目標値が、正常時の目標燃圧を所定範囲内に制限した値であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料供給装置。
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