JP2008127753A - 防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物 - Google Patents

防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防食性を有し、コンクリート製基体部分との一体性を長期間に渡って確保可能であって、さらに安価に製造することができる防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供する。
【解決手段】防食部材1において、基板部10は、一面11上に複数の突出部16を有している。アンカー用線材18は、隣接する突出部16に取り付けられている。アンカー空間17は、一面11からアンカー用線材18までの間に形成されている。
上述した防食部材1は、コンクリート基体部2や接着剤3と組み合わせて下水道施設用コンクリート構造物に用いられる。防食部材1は、コンクリート基体部2の内部空間200において、その内周面20に沿った形状に組み立てられ、一面11が内周面20と間隔Gを隔てて向き合っている。接着剤3は、間隔Gに充填され、且、アンカー空間17に充填されている。
【選択図】図8

Description

本発明は、防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物に関する。
一般に、下水道施設は、下水管路網を構成する排水管、及び、この下水管路網の保守管理を行うためのマンホールなどを有し、これらが有機的に接続されて構成されている。従来、この種の排水管、及び、マンホールは、コンクリート材料を主成分とする構造物であり、その使用環境によって、コンクリート製基体部分(管基体や桝基体)の内周面に腐食劣化が生じ易いことが知られている。
例えば、通常の下水道施設には、糞尿等を含む生活排水や、硫黄酸化物等を含む雨水等の下水が流れており、それら下水から発生する硫化水素ガスにより、コンクリート製基体部分の内周面が腐食される。また、温泉街周辺の下水道施設には常時大量の温泉排水が流れており、この温泉排水から発生する硫化水素ガスにより、コンクリート製基体部分の内周面が腐食される。さらに、工業施設周辺の下水道施設には各種工業廃液が流れており、この廃液から発生する硫化水素ガスによって、又は、この廃液自体によって直接的に、コンクリート製基体部分の内周面が腐食される。
上述した下水道施設用コンクリート構造物の腐食問題について、コンクリート製基体部分の内周面に生じた腐食部分を補修せずに放置した場合、周囲からの土圧により腐食部分に亀裂が生じ、この亀裂から漏水事故がおきるとともに、最悪の場合には崩落事故がおきる危険性が極めて高くなる。
そこで、従来より、内周面の腐食部分を補修し、下水道施設用コンクリート構造物を再構築する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、マンホールの内部空間において、合成樹脂材料でなる防食部材の複数を連結して筒状組立体を構成し、この筒状組立体の外周面と、桝基体の内周面との間に接着剤を充填することにより、筒状の防食部材が内周面に取り付けられる再構築技術が開示されている。
特許文献1の開示内容によれば、上述した下水道施設用コンクリート構造物の腐食問題を解決することができる。さらに、特許文献1では、複数の防食部材を連結して筒状組立体が構成されているから、施工作業の高効率化、施工期間の短縮、及び、施工コストの低減が図られている。
ところで、この種の防食部材を用いた下水道施設用コンクリート構造物の再構築技術では、防食部材と、接着剤との材質の違いに起因して、防食部材の剥離事故が生じ易いことが確認されている。例えば、接着剤が所謂モルタルである場合、モルタルと、防食部材との材質の相違により、防食部材が、モルタル(及び、桝基体の内周面)から剥離する。
このような防食部材の剥離事故により、防食部材と、コンクリート製基体部分の内周面との相対向面間に隙間や空洞が生じると、防食効果の信頼性が損なわれる。従って、下水道施設用コンクリート構造物の再構築技術においては、防食部材と、内周面との構造的な一体性を長期間に渡って確保しうることが重要な技術的課題となっている。
これに対し、特許文献1には、防食部材と、コンクリート製基体部分の内周面との構造的一体性を確保するための構造が充分に開示されているとはいえない。
上述した防食部材の剥離事故対策として、特許文献2には、外周面に断面T字形状のアンカー突起を有する防食部材が開示されている。特許文献2に開示されている防食部材によると、アンカー突起が接着剤に対してアンカー効果を奏することにより、防食部材と、コンクリート製基体部分の内周面との構造的一体性が一応、確保される。
しかし、実際には、上述したようなアンカー突起を防食部材の外周面上に成形するには、新たな樹脂成型用金型が必要になるなど過大な設備投資を強いられ、コスト高を招くこととなる。
特開2005−273190号公報 特開2001−248177号公報
本発明の課題は、優れた防食性(防食効果)を有する防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することである。
本発明のもう1つの課題は、コンクリート製基体部分との一体性を長期間に渡って確保することができる防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することである。
本発明の更にもう1つの課題は、安価に製造することができる防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明に係る防食部材は、基板部と、アンカー用線材と、アンカー空間とを含む。基板部は、一面上に複数の突出部を有している。アンカー用線材は、基板部の一面側において、少なくとも2つの隣接する突出部に取り付けられている。アンカー空間は、突出部に対するアンカー用線材の取り付け位置に応じて、一面からアンカー用線材までの間に形成されている。
上述したように、本発明に係る防食部材は、基板部と、アンカー用線材とを有しており、アンカー用線材は、基板部の一面側において、突出部に取り付けられている。即ち、本発明に係る防食部材において、基板部と、アンカー用線材とは別個独立の構成部材であり、基板部には、アンカー用線材の取り付け箇所となる突出部を有する以外に、アンカー用線材の配置を目的とした設計上の制約はない。従って、本発明に係る防食部材を製造するにあたり、基板部を成型するために新たな金型を準備するなど、過大な設備投資を強いられることがなく、安価に製造することができる。
また、基板部は、アンカー用線材とは別部材であるから、輸送効率、及び、施工効率を考慮して、基板部を扁平板状や、湾曲板状などに成形することができる。
本発明に係る防食部材は、基板部に対するアンカー用線材の取り付け態様に工夫を加え、アンカー空間を有する点に特徴の1つがある。即ち、アンカー用線材は、基板部の一面側において、少なくとも2つの隣接する突出部に取り付けられている。アンカー空間は、突出部に対するアンカー用線材の取り付け位置に応じて、基板部の一面からアンカー用線材までの間に形成されている。この構成によると、アンカー空間を容易に形成し、防食部材をマンホール(桝基体)の内装材として用いた場合に、アンカー空間にモルタル等の接着剤を浸入させることができる。
上述した防食部材は、下水道施設用コンクリート構造物の基体部分の内周面を覆うために用いられる。即ち、本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物は、コンクリート基体部と、複数の防食部材と、接着剤とを含む。コンクリート基体部は、内周面によって区画された内部空間を有している。通常、コンクリート基体部は、所謂マンホールの桝基体、又は、排水管の管基体のいずれかである。
複数の防食部材は、コンクリート基体部の内部空間において、その内周面に沿った形状に組み立てられ、アンカー用線材が配置されている一面が、内周面と間隔を隔てて向き合っている。接着剤は、間隔内に充填され、且、アンカー空間内に充填されている。
本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物は、上述した本発明に係る防食部材の利点を全て有する。例えば、本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物において、接着剤は、間隔内に充填され、且、アンカー空間内に充填されている。この構造によると、防食部材がコンクリート基体部の内周面から剥離しようとしたとき、アンカー用線材が、アンカー空間の接着剤に対してアンカー効果を奏する。従って、防食部材と、コンクリート基体部との一体性を長期間に渡って確保することができる。
本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物は、コンクリート基体部の内部空間において、その内周面に沿った形状に組み立てられた防食部材(例えば筒状組立体)を有しているから、コンクリート基体部の内周面を、腐食の原因となる硫化水素ガスや各種工業廃液から保護することができる。
本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物において、コンクリート基体部の内周面を覆う筒状組立体は、複数の防食部材を用いた組み立て構造であるから、施工作業の高効率化、施工期間の短縮、及び、施工コストの低減が図られる。
本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物において、コンクリート基体部の内周面を覆う筒状組立体は、複数の防食部材を用いた組み立て構造であるから、内周面の形状に容易に追従することができる。特に、本発明に係る防食部材において、基板部と、アンカー用線材とは別部材であって、基板部には、アンカー用線材の取り付け箇所となる突出部を有する以外に、アンカー用線材の配置を目的とした設計上の制約はない。従って、基板部を、予めコンクリート基体部の内周面の形状に適合する形状に設計することにより、内周面の形状に追従した筒状組立体を効率よく提供することができる。
同様に、筒状組立体は、防食部材の使用枚数、及び、組み合わせ枚数を任意に設定することにより、コンクリート基体部の空間容量に容易に追従することができる。従って、効率よく、且、安価に下水道施設用コンクリート構造物を提供することができる。
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)優れた防食性(防食効果)を有する防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することができる。
(2)コンクリート製基体部分との一体性を長期間に渡って確保することができる防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することができる。
(3)安価に製造することができる防食部材、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る防食部材の正面図、図2は図1に示した防食部材の背面図、図3は図2に示した防食部材の平面図、図4は図1に示した防食部材の側面図である。図1乃至図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る防食部材は、基板部10と、アンカー用線材18とを含む。
まず、基板部10は、防食性(防食効果)を有する材料を主成分とする成形体である。なお、本明細書において、「防食性(防食効果)」とは、下水道施設内において発生する硫化水素ガスなどのコンクリート腐食ガスに対する耐腐食性(耐腐食効果)と、工業施設から下水道施設に排出される各種工業廃液のうち、コンクリート腐食作用を有する薬品に対する耐薬品性(耐薬品効果)との少なくとも2つを含む。
基板部10に適した防食性を有する材料としては、ステンレス等の金属材料、及び、合成樹脂材料などが挙げられる。用いられる合成樹脂材料としては、上述した防食性を有することを前提として、さらに素材強度、購入コスト、加工容易性などの観点から、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリプロピレン(PP)、繊維強化プラスチック(FRP=Fiber Reinforced Plastics)等が好ましい。
次に、基板部10の具体的形状について説明する。図1乃至図4に示した基板部10は、断面円弧形状の板状体であって、矢印Lで示す長さ方向に沿った長さ寸法L1が600mm程度、矢印Wで示す幅方向に沿った幅寸法W1が500mm程度である。例えば、図3において破線で示す円Cは、一般的なマンホールの開口部の形状を示すものであって、この開口部Cの径寸法D2は、600mm程度である。図3に示すように防食部材は、幅寸法W1が、一般的なマンホールの開口部の径寸法D2よりも小さいから、開口部から、その内部に案内することが可能である。
基板部10は、一面11と、他面12と、湾曲端縁13と、非湾曲端縁14とを含む。一面11は、断面円弧形状において拡張された外径面(外径側の周面)であり、他面12は、断面円弧形状において縮小された内径面(内径側の周面)である。湾曲端縁13は、基板部10の長さ方向Lに向かい合う2辺である。非湾曲端縁14は、長さ方向Lに直交する幅方向Wに向かい合う2辺である。
基板部10は、第1の連結部151と、第2の連結部152とを含む。第1及び第2の連結部151、152のそれぞれは、凹凸嵌合のための段差形状を有し、この段差形状は、湾曲端縁13、又は、非湾曲端縁14の両端縁面において、それぞれの凹凸嵌合に対応した段差形状となっている。具体的に、湾曲端縁13において、長さ方向Lの両端縁面に備えられている第1及び第2の連結部151、152のうち、第1の連結部151は幅方向Wに伸びる凸縁であり、第2の連結部152は幅方向Wに伸びる凹溝である。
一方、非湾曲端縁14において、幅方向Wの両端縁面に備えられている第1及び第2の連結部151、152のうち、第1の連結部151は長さ方向Lに伸びる凸縁であり、第2の連結部152は長さ方向Lに伸びる凹溝である。第1及び第2の連結部151、152は相互に嵌合可能に形成されている。この構成によると、同じ規格品である防食部材の複数を組立して筒状組立体を構成する場合に、隣接する防食部材において、向かい合う端縁を連続して凹凸嵌合することができる。従って、筒状組立体を構成する部品点数を実質的に削減し、製造コストを低減することができる。
基板部10は、突出部16(斜線ハッチングで表示)を含む。突出部16は、複数であって、一面11上に形成されている。図1乃至図4に示す突出部16は、所謂リブ状であって、一面11において、長さ方向L、及び、幅方向Wに沿って交差する格子状に形成されており、矢印Tで示す基板部10の厚み方向に放射状に突出している。
アンカー用線材18は、一面11の側において、少なくとも2つの隣接する突出部16に取り付けられている。アンカー用線材18は、素材強度や購入コストなどの観点から、鉄やステンレスなどの金属材料を主成分とする線材を用いることが好ましい。但し、アンカー用線材18は、金属材料に限定されない。例えば、アンカー用線材18には、合成樹脂材料を用いて構成することもできるし、炭素繊維やガラス繊維などを加工して用いることもできる。
図1乃至図6に示す防食部材において、長さ方向Lに沿って伸びるアンカー用線材18は、好ましくは長さ方向Lの一端側で、湾曲端縁13から長さ方向Lに突出している。この構成によると、防食部材の複数を長さ方向Lに結合して組み合わせる場合に、突出するアンカー用線材18を、組み合わせに係る防食部材の湾曲端(13)にオーバーラップさせることができる。
また、幅方向Wに沿って伸びるアンカー用線材18は、好ましくは幅方向Wの一端側で、非湾曲端縁14から幅方向Wに突出している。この構成によると、防食部材の複数を幅方向Wに結合して組み合わせる場合に、突出するアンカー用線材18を、組み合わせに係る防食部材の非湾曲端縁(14)にオーバーラップさせることができる。
長さ方向Lに沿って伸びるアンカー用線材18と、幅方向Wに沿って伸びるアンカー用線材18とは、格子状に組み合わされており、好ましくは格子状の交点部分で相互に結合されている。
さらに、長さ方向Lに沿って伸びるアンカー用線材18のそれぞれは、向かい合う湾曲端縁13の両端縁間において、交差する全ての突出部16に取り付けられている。同様に、幅方向Wに沿って伸びるアンカー用線材18のそれぞれは、向かい合う非湾曲端縁14の両端縁間において、交差する全ての突出部16に取り付けられている。
上述した、突出部16に対するアンカー用線材18の取り付け構造について、さらに図5乃至図7を参照して説明する。図5は図4の5−5線に沿った拡大断面図、図6は図5の6−6線に沿った拡大断面図、図7は図6に示した防食部材の一部を拡大して示す図である。
図5乃至図7を参照すると、アンカー用線材18は、湾曲端縁13又は非湾曲端縁14の両端縁間において、交差する全ての突出部16の突出先端面160に取り付けられている。図5乃至図7に示すアンカー用線材18は、突出先端面160に一部埋設されているが、例えば接着剤などにより、突出先端面160上に貼り付け固定されていてもよい。
さらに、防食部材は、基板部10の一面11において、アンカー用線材18と、突出部16とが交わらない位置に、複数のアンカー空間17を有している。アンカー空間17は、突出部16に対するアンカー用線材18の取り付け位置に応じて、一面11からアンカー用線材18までの間に形成されている。図5乃至図7に示すアンカー空間17は、格子状の突出部16により区画された凹状の窪みであって、一面11を底面とし、突出部16の立ち上がり側壁を側面としており、さらにアンカー用線材18を天面部分としている。
アンカー空間17の空間容量は、一面11上における突出部16の突出距離(高さ寸法)と、この突出部16に対するアンカー用線材18の取り付け位置に応じて自由に調節することができる。
図5乃至図7に示すように、本発明の一実施形態に係る防食部材は、アンカー用線材18が、隣接する突出部16を橋渡しするような態様で、突出先端面160に取り付けられていることにより、一面11とアンカー用線材18との間にアンカー空間17が形成される点に特徴の一つがある。この意味で、本明細書において、アンカー用線材18の「線材」とは、「隣接する突出部16の間を橋渡しできる程度の長さを有する部材」を意味し、必ずしも一般的な「線材」が意味するような、「断面が円形の鋼材で、太さが5ミリほどのもの」(大辞泉)に限定されるわけではない。例えば、アンカー用線材18としては、断面楕円形状のものや、板状(帯状)のもの、さらには異形鉄筋を用いることができる。
また、アンカー用線材18の組み合わせ形状は、必ずしも格子状に限定されるわけではない。例えば、アンカー用線材18の使用本数と、その交差角度によっては、網目状またはメッシュ状に組み合わせることができる。
図1乃至図7を参照して説明したように、本発明の一実施形態に係る防食部材は、基板部10に対するアンカー用線材18の取り付け態様に工夫を加え、アンカー空間17を有する点に特徴の1つがある。即ち、アンカー用線材18は、基板部10の一面11の側において、少なくとも2つの隣接する突出部16に取り付けられており、アンカー空間17は、突出部16に対するアンカー用線材18の取り付け位置に応じて、一面11からアンカー用線材18までの間に形成されている。この構成によると、アンカー空間17を容易に形成し、防食部材を下水道施設用コンクリート構造物の内装材として用いた場合に、アンカー空間17にモルタル等の接着剤を浸入させることができる。
防食部材において、アンカー用線材18は、基体部10の突出部16に取り付けられている。即ち、基板部10と、アンカー用線材18とは別個独立の構成部材であり、基板部10には、アンカー用線材18の取り付け箇所となる突出部16を有する以外に、アンカー用線材18の配置を目的とした設計上の制約はない。従って、防食部材を製造するにあたり、基板部10を成型するために新たな金型を準備するなど、過大な設備投資を強いられることがなく、安価に製造することができる。
また、基板部10は、アンカー用線材18とは別部材であるから、輸送効率、及び、施工効率を考慮して、基板部10を扁平状や、湾曲状などに成形することができる。
防食部材は、湾曲端縁13、及び、非湾曲端縁14のそれぞれにおいて、向かい合う両端縁面に、凹凸嵌合に対応した段差形状の第1及び第2の連結部151、152を有している。この構成によると、第1及び第2の連結部151、152の凹凸嵌合により、複数の防食部材を筒状に組み合わせる組立作業を容易、且、迅速に行うことができる。
上述したように、図1乃至図7を参照して説明した防食部材は、複数を組み合わせることにより、下水道施設用コンクリート構造物の基体部分の内周面を覆うために用いられる。次に、本発明に係る下水道施設用コンクリート構造物について、図8乃至図10を参照して説明する。
図8は本発明の一実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物について一部を省略して示す断面図、図9は図8の9−9線に沿った拡大断面図、図10は図9に示した下水道施設用コンクリート構造物の一部を拡大して示す図である。図8乃至図10において、図1乃至図7に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
図8乃至図10に示す下水道施設用コンクリート構造物は、所謂、組立式マンホールであって、複数の防食部材1と、コンクリート基体部2と、接着剤(裏込め材)3とを含む。なお、コンクリート基体部2については、図示実施形態に即して、以下、桝基体2として説明する。
桝基体2は、組立式マンホールの各部を構成する斜壁ブロック21、直壁ブロック22、及び、底塊ブロック23を有し、それら全てがコンクリート材料を主成分として成型されている。
また、斜壁ブロック21は、開口部210に蓋211を有し、この蓋211がグランドライン4に露出している。底塊ブロック23は、内部底面230上に流路231を有し、この流路231に流入管51、流出管52が接続されている。流路231は、流入管51、流出管52を接続し、流入管51から流出管52へ汚水6を流す。
さらに、桝基体2は、内周面20により区画された内部空間200を有する。図8乃至図10において、内周面20は腐食部分が既に除去されており、この腐食部分を除去した後の部分が凹凸面25となっている。
複数の防食部材1は、桝基体2の内部空間200において、内周面20に沿った形状(筒状)に組み立てられて、筒状組立体100を構成している。例えば、筒状組立体100は、5つの防食部材1を一組として断面円形状の筒状に組み合わされている(図9参照)。
5つ一組の防食部材1は、それぞれが幅方向W、及び、長さ方向Lに配置され、隣接する防食部材1の相互間において相対向する湾曲端縁13、及び、非湾曲端縁14が、第1及び第2の連結部151、152の凹凸嵌合により結合されている。なお、この凹凸嵌合部分にビスやピン等の止め具を挿通して、嵌合力を高めてもよい。
筒状組立体100の開口部は径寸法D1を有し、桝基体2の開口部210は径寸法D2を有する。筒状組立体100は、図9に示す斜壁ブロック21で径寸法が最小となり、直壁ブロック22及び底塊ブロック23の積層方向に伸びるに従って、桝基体2の内部空間200にそって拡張される。
筒状組立体100は、アンカー用線材18の配置されている一面11が、内周面20と間隔Gを隔てて向き合っている。間隔Gは、例えば、筒状組立体100の開口部の径寸法D1と、桝基体2の開口部210の径寸法D2との、径寸法差により生じる隙間である。間隔Gは、筒状組立体100が、内周面20の形状に沿って形成されていることにより、斜壁ブロック21から底塊ブロック23までの内周面20に沿って、筒状組立体100の周囲に連続して形成されている。
接着剤(裏込め材)3は、間隔Gの内部に充填されており、筒状組立体100の外周面と、桝基体2の内周面20とを接着する。より具体的に、接着剤3は、間隔Gの内部に隙間無く充填されていることにより、アンカー空間17、及び、凹凸面25の内部に浸入して硬化している。接着剤3には、周知のモルタルや、エポキシ樹脂等の合成樹脂材料を用いることができる。
さらに、図示実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物(マンホール)は、保守点検時に作業員が内部空間200を昇降するためのステップ7を有している。図示からは必ずしも明らかではないが、防食部材1は、ステップ7の取り付けられる箇所に、一面11から他面12に貫通するステップ露出孔を有することが好ましい。
図8乃至図10を参照して説明した下水道施設用コンクリート構造物は、複数の防食部材1が、内部空間200において、内周面20に沿った筒状に組み立てられ、防食部材1のそれぞれにおいてアンカー用線材18が配置されている一面11が、筒状組立体100の外周面として、内周面20と間隔Gを隔てて向き合っている。アンカー用線材18は、突出部16の突出先端面160に取り付けられており、隣接する突出部16の間であって、一面11からアンカー用線材18までの間に、アンカー空間17を有している。
上述した下水道施設用コンクリート構造物の構造によると、接着剤3は、間隔Gの内部に充填され、アンカー空間17に浸入した状態で硬化している。アンカー空間17は、一面11上であって、アンカー用線材18よりも筒状組立体100の軸方向に後退した位置に凹状に形成されている。従って、防食部材1に内周面20から剥離しようとする動作が生じたとしても、アンカー空間17の接着剤3に対して、アンカー用線材18がアンカー効果を奏し、防食部材1の剥離動作が規制される。よって、防食部材1と、接着剤3との材質の違いにかかわらず、防食部材1と、桝基体2との一体性を長期間に渡って確保することができる。
また、接着剤3は、間隔Gの内部において、凹凸面25にも浸入して硬化している。即ち、下水道施設用コンクリート構造物は、腐食部分を除去した後の内周面20の欠損部分(凹凸面25)が、接着剤3によって補修されており、周囲からの土圧により凹凸面25に亀裂が生じることを防止しうる。しかも、筒状組立体100は、内周面20を全面に渡って被覆することにより、内部空間200を内側から支持しているから、下水道施設用コンクリート構造物全体の機械的強度を向上することができる。
防食部材1の基板部10は、防食性を有するPVC、PP等の合成樹脂材料を主成分として構成されている。従って、筒状組立体100が内周面20に内装された後にも、桝基体2の内部空間200に継続して発生する硫化水素ガスや各種工業廃液に対して、優れた防食効果を有することができる。
桝基体2において、内周面20を覆う筒状組立体100は、複数の防食部材1を長さ方向L、及び、幅方向Wに組み合わせた構造である。防食部材1のそれぞれは、桝基体2の開口部210より小さい寸法に成形可能である(図3参照)から、防食部材1を開口部210から内部空間200へ搬入することができる。
桝基体2において、内周面20を覆う筒状組立体100は、複数の防食部材1を用いた組み立て構造であるから、内周面20の形状に容易に追従することができる。特に、防食部材1において、基板部10と、アンカー用線材18とは別部材であって、基板部10には、アンカー用線材18の取り付け箇所となる突出部16を有する以外に、アンカー用線材18の配置を目的とした設計上の制約はない。従って、基板部10を、予め桝基体2の内周面20の形状に適合する形状に設計することにより、内周面20の形状に追従した筒状組立体100を効率よく提供することができる。
さらに、筒状組立体100は、複数の防食部材1を用いた組み立て構造であるから、防食部材1の組み合わせ枚数を任意に設定することにより、筒状組立体100の長さ寸法L1、及び、内部容量を容易に増減することができる。従って、様々な容量で構成されている桝基体2の内部空間200に対し、迅速、且、容易に筒状組立体100を設置することができる。
防食部材1のそれぞれは、小型化及び軽量化が可能であって、施工現場での取りまわしが容易であるから、狭い内部空間200で筒状組立体100を組立する作業の高効率化が図られる。また、作業の高効率化により施工期間の短縮を実現できるから、一般交通への負担を最小限に抑えることができる。しかも、防食部材1のそれぞれは、重量が軽量化されているから、施工作業の高効率化、施工期間の短縮、及び、施工コストの低減が図られる。
防食部材1は、その内部構成として、第1及び第2の連結部151、152を含む。従って、この防食部材1を用いた筒状組立体100は、部品点数が低減されており、且、筒状組立体100の組み合わせ構造が簡略化されているから、製造コストを低減することができる。また、防食部材1相互の連結作業も簡略化されるので、容易、且、迅速に組立作業を実行することができ、施工効率の向上が図られる。
図1乃至図10を参照して説明した防食部材1、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物の利点について、さらに製造方法の観点から説明する。図11乃至図19は、図8乃至図10に示した下水道施設用コンクリート構造物の製造方法を示す図である。図11乃至図19において、図1乃至図10に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
まず、図11に示すように、桝基体2の内周面20に生じた腐食部分を、好ましくは高圧水洗浄により除去する。内周面20において、腐食部分を除去した後の凹凸面25には、予め、エポキシ樹脂や、モルタル等の補修剤を充填して補強してもよい。
図12は、図11に示した工程の後の工程を示す図であって、図11に示した工程の後、複数の防食部材1を、桝基体2の開口部210から内部空間200に搬入し、内周面20と、一面11との相対向面間に間隔Gが生じるように、複数の防食部材1を筒状に組み合わせて、筒状組立体100を構成する。この筒状組立体100は、底塊ブロック23の内部底面230に立設される。
図13を参照すると、隣接する防食部材1の連結工程について、一方の非湾曲端縁14の第1の連結部151を、向かい合う他方の非湾曲端縁14の第2の連結部152に案内して、相互に凹凸嵌合する。非湾曲端縁14の凹凸嵌合部分には、エポキシ樹脂等の合成樹脂系シール剤を塗布することにより、硫化水素ガスに対する気密性、及び、汚水に対する水密性を確保することが好ましい。
また、アンカー用線材18は、第2の連結部152において非湾曲端縁14から突出しており、第1の連結部151と、第2の連結部152とを相互に凹凸嵌合した場合に、上述したアンカー用線材18の突出端が、第1の連結部151の側の非湾曲端縁14にオーバーラップされる。例えば、アンカー用線材18は、その突出端にフック状の掛止部(図示しない)を有することにより、オーバーラップさせた状態で、基体部10の一部や、交差するアンカー用線材18に掛止可能であることが好ましい。
図13に示した連結工程により、図14に示すように無端円筒状の組立体100が得られとともに、図15に示すように筒状組立体の100の外周面には、その全周に沿ってアンカー用線材18が途切れることなく連続して配置され、且、全周に沿って接着剤(3)を保持可能なアンカー空間17が多数形成されている。
図16は、図12乃至図15に示した工程の後の工程を示す図であって、図12乃至図15に示した工程の後、さらに複数の防食部材1を開口部210から内部空間200に搬入し、内部底面230に先行して立設された筒状組立体100を基礎として、長さ方向Lに連結して積み上げる。
図17を参照すると、一方の湾曲端縁13の第1の連結部151を、向かい合う他方の湾曲端縁13の第2の連結部152に案内して、相互に凹凸嵌合する。湾曲端縁13の凹凸嵌合部分には、エポキシ樹脂等の合成樹脂系シール剤を塗布することにより、硫化水素ガスに対する気密性、及び、汚水に対する水密性を確保することが好ましい。
また、アンカー用線材18は、第2の連結部152において湾曲端縁13から突出しており、第1の連結部151と、第2の連結部152とを相互に凹凸嵌合した場合に、上述したアンカー用線材18の突出端が、第1の連結部151の側の湾曲端縁13にオーバーラップされる。例えば、アンカー用線材18は、その突出端にフック状の掛止部(図示しない)を有することにより、オーバーラップさせた状態で、基体部10の一部や、交差するアンカー用線材18に掛止可能であることが好ましい。
図17に示した長さ方向Lへの連結作業は、桝基体2の容量に応じて、開口部210まで繰り返し行われ、連結して得られた筒状組立体の100の外周面には、その長さ方向Lに沿ってアンカー用線材18が途切れることなく連続して配置される。
図18は、図16及び図17に示した工程の後の工程を示す図であって、筒状組立体100の組み立て作業によって、すべての内周面20が筒状組立体100で被覆される。
筒状組立体100は、アンカー用線材18が配置されている一面11が外周面となっており、その外周面の全周に沿って、接着剤を保持可能なアンカー空間17が多数形成されている。さらに、筒状組立体100の外周面と、桝基体2の内周面20との相対向面間には間隔Gが形成されている。
図19は、図18に示した工程の後の工程を示す図であって、間隔Gに、例えばモルタルなどの接着剤3を充填する。接着剤3は、間隔G、及び、腐食部分を除去した後の内周面20の凹凸面25を埋めるとともに、アンカー空間17に含浸した状態で、養生期間を経て硬化される。
図11乃至図19を参照して説明した下水道施設用コンクリート構造物の製造方法によると、図1乃至図10を参照して説明した防食部材1、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物の利点を全て有することができる。例えば、接着剤3は、間隔Gにおいてアンカー空間17の内部に浸入して硬化しているから、このアンカー空間17の接着剤3に対して、アンカー用線材18がアンカー効果を奏することにより、防食部材1と、桝基体2との一体性が確保される。
また、本発明の一実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物に用いられる筒状組立体100は、複数の防食部材1の組み立て構造である。防食部材1のそれぞれは、小型化及び軽量化が可能であるから、狭い内部空間200で筒状組立体100を形成する施工作業の高効率化、施工期間の短縮、及び、施工コストの低減が図られる。
本発明の一実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物は、防食部材1を内部空間200で筒状組立体100に組み合わせることにより内周面20の保護が図られる。この構成によると内周面20を高圧水洗浄した後の止水処理や乾燥処理が不要となり、施工作業の高効率化、施工期間の短縮、及び、施工コストの低減が図られる。
なお、図8乃至図19に示した下水道施設用コンクリート構造物は、基本的に既設人孔の再構築工法であることを前提としているが、周知の下水道施設用コンクリート構造物腐食問題を踏まえ、少なくとも今後、新設される下水道施設用コンクリート構造物(マンホール)を製造する場合には、予め本実施例に係る腐食対策を施すことができる。図示は省略するが、例えば、周知の桝基体成型工程において、図1乃至図7に示す防食部材1を筒状に組み合わせて、内型として用いることにより、打設した生コンクリート材料をアンカー空間17に直接的に浸入させ、硬化させることができる。この工法によると、防食部材1が内周面20に直接埋設された状態の桝基体2を成型することができる。
図20及び図21は、本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の平面図である。図20及び図21において、図1乃至図19に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
図20に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した筒状組立体100とは異なり、非湾曲端縁14に備えられている第1及び第2の連結部151、152のうち、第1の連結部151が外径側に凹段部が向いた段差形状であり、第2の連結部152が内径側に凹段部が向いた段差形状となっている。この構造によっても、図1乃至図19を参照して説明した防食部材1、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物の利点を全て有しうることは自明である。
また、図21に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した筒状組立体100とは異なり、4枚の防食部材1によって構成されており、防食部材1は、非湾曲端縁14の一方に連結部151が備えられている。この連結部151は、内径側に後退した凹段形状であって、凹段部分が外径側に向いている。隣接する2つの防食部材1は、一方の非湾曲端縁14が、他方の非湾曲端縁14の連結部151に嵌合されている。この構造によっても、図1乃至図19を参照して説明した防食部材1、及び、これを用いた下水道施設用コンクリート構造物の利点を全て有しうることは自明である。
図22乃至図25は、本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の正面図である。図22乃至図25において、図1乃至図21に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
図22に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した実施形態とは異なり、複数の突出部16が幅方向Wに間隔を隔てて配置され、突出部16のそれぞれは、基板部10の長さ方向Lにのみ条状に伸びている。アンカー用線材18は、突出部16に直交する関係で、幅方向Wに沿って配置されている。
また、図23に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した実施形態とは異なり、複数の突出部16が長さ方向Lに間隔を隔てて配置され、突出部16のそれぞれは、基板部10の幅方向Wにのみリング状、又は、鍔状に伸びている。アンカー用線材18は、突出部16に直交する関係で、長さ方向Lに沿って配置されている。
図24に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した実施形態と同様に、突出部16が基板部10の一面11上に格子状に備えられている一方、図1乃至図19に示した実施形態とは異なり、アンカー用線材18が基板部10の一面11を螺旋状に巻装された状態で突出部16に取り付けられている。
図25に示す筒状組立体100は、図1乃至図19に示した実施形態と同様に、突出部16が基板部10の一面11上に格子状に備えられている一方、図1乃至図19に示した実施形態とは異なり、アンカー用線材18は網目状、又は、メッシュ状であって、基板部10の一面11に巻装された状態で突出部16に取り付けられている。
図22乃至図25に示したいずれの実施形態によっても、アンカー用線材18が、隣接する突出部16に取り付けられている構造により、一面11からアンカー用線材18までの間にアンカー空間17が形成されているから、図1乃至図21を参照して説明した利点を全て有することができる。
図26は本発明のもう一つの実施形態に係る防食部材1の斜視図、図27は図26に示した防食部材1を用いた筒状組立体100の正面図である。図26及び図27において、図1乃至図25に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
図26に示す防食部材1の基板部10は、平面視した形状がL字状であり、互いに直交する第1及び第2の面部を有している。図示からは必ずしも明らかではないが、基板部10は、一面11の両側において、第1及び第2の面に、突出部16、アンカー空間17、及び、アンカー用線材18を有している。また、図27に示す筒状組立体100は、図26に示した防食部材を角筒形形状に組み合わせた実施形態である。
図26及び図27に示したいずれの実施形態によっても、アンカー用線材18が、隣接する突出部16に取り付けられている構造により、一面11からアンカー用線材18までの間にアンカー空間17が形成されているから、図1乃至図25を参照して説明した利点を全て有することができる。
図28は、本発明のさらにもう一つの実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物の断面図である。図28において、図1乃至図27に図示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。図28に示す下水道施設用コンクリート構造物は、マンホールとともに下水道施設を構成する排水管(図8及び図9参照)であって、複数の防食部材1と、コンクリート基体部2と、接着剤(裏込め材)3とを含む。なお、コンクリート基体部2については、図示実施形態に即して、以下、管基体2として説明する。
複数の防食部材1は、管基体2の内部空間において、その内周面20に沿った形状(筒状または管状)に組み立てられ、アンカー用線材18が配置されている一面11が、内周面20と間隔(G)を隔てて向き合っており、接着剤3は間隔(G)内に充填され、且、アンカー空間17内に充填されている。
上述した構造によると、図1乃至図27を参照して説明した利点を全て有する排水管を提供することができる。例えば、排水管は、内周面20、及び、内周面20において腐食部分を除去した後の凹凸面25を、複数の防食部材1を用いた筒状(管状)組立体100で覆うことができるから、筒状組立体100が内周面20に内装された後にも、管基体2の内部空間に継続して発生する硫化水素ガスや各種工業廃液に対して、優れた防食効果を有することができる。
接着剤3は、間隔(G)の内部に充填され、アンカー空間17に浸入した状態で、硬化している。しかもアンカー空間17は、一面11上であって、アンカー用線材18よりも筒状組立体100の軸方向に後退した位置に凹状に形成されている。従って、防食部材1に内周面20から剥離しようとする動作が生じたとしても、アンカー空間17の接着剤3に対して、アンカー用線材18がアンカー効果を奏し、防食部材1の剥離動作が規制される。よって、防食部材1と、接着剤3との材質の違いにかかわらず、防食部材1と、管基体2との一体性を長期間に渡って確保することができる。
なお、図示は省略するが、下水道施設用コンクリート構造物が所謂排水管である場合、防食部材1は組立体である必要は無い。例えば、防食部材1は、製造当初から無端の筒状体として、一体成型することができる。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
本発明の一実施形態に係る防食部材の正面図である。 図1に示した防食部材の背面図である。 図2に示した防食部材の平面図である。 図1に示した防食部材の側面図である。 図4の5−5線に沿った拡大断面図である。 図5の6−6線に沿った拡大断面図である。 図6に示した防食部材の一部を拡大して示す図である。 本発明の一実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物について、一部を省略して示す断面図である。 図8の9−9線に沿った拡大断面図である。 図9に示した下水道施設用コンクリート構造物の一部を拡大して示す図である。 図8乃至図10に示した下水道施設用コンクリート構造物の製造方法を示す図である。 図11に示した工程の後の工程を示す図である。 図12に示した工程について一部を省略して示す図である。 図13に示した工程により得られる筒状組立体の平面図である。 図14に示した筒状組立体の平面断面図である。 図12乃至図15に示した工程の後の工程を示す図である。 図16に示した工程について一部を省略して示す図である。 図16及び図17に示した工程の後の工程を示す図である。 図18に示した工程の後の工程を示す図である。 本発明のもう一つの実施形態に係る筒状組立体の平面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の平面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の正面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の正面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の正面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る筒状組立体の正面図である。 本発明のもう一つの実施形態に係る防食部材の斜視図である。 図26に示した防食部材を用いた筒状組立体の正面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る下水道施設用コンクリート構造物の断面図である。
符号の説明
1 防食部材
100 筒状組立体
10 基板部
11 一面
16 突出部
160 突出先端面
17 アンカー空間
18 アンカー用線材
2 コンクリート基体部(桝基体、管基体)
20 内周面
200 内部空間
3 接着剤
G 防食部材と内周面との間隔

Claims (3)

  1. 基板部と、アンカー用線材と、アンカー空間とを含む防食部材であって、
    前記基板部は、一面上に複数の突出部を有しており、
    前記アンカー用線材は、前記基板部の前記一面側において、少なくとも2つの隣接する前記突出部に取り付けられており、
    前記アンカー空間は、前記突出部に対する前記アンカー用線材の取り付け位置に応じて、前記一面から前記アンカー用線材までの間に形成されている、
    防食部材。
  2. コンクリート基体部と、複数の防食部材と、接着剤とを含む下水道施設用コンクリート構造物であって、
    前記コンクリート基体部は、内周面によって区画された内部空間を有しており、
    前記防食部材のそれぞれは、請求項1に記載されたものでなり、
    前記複数の防食部材は、前記コンクリート基体部の前記内部空間において、その内周面に沿った形状に組み立てられ、前記アンカー用線材が配置されている一面が、前記内周面と間隔を隔てて向き合っており、
    前記接着剤は、前記間隔内に充填され、且、前記アンカー空間内に充填されている、
    下水道施設用コンクリート構造物。
  3. 請求項2に記載された下水道施設用コンクリート構造物であって、
    前記コンクリート基体部は、排水管の管基体、又は、マンホールの桝基体のいずれかである、
    下水道施設用コンクリート構造物。
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KR101726275B1 (ko) * 2016-11-07 2017-04-13 주식회사 보람 친환경 상하수도 맨홀

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