JP2008127654A - 金型の製造方法 - Google Patents

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Kenji Hattori
憲治 服部
Motoo Niwa
基夫 丹羽
Kuniji Tsuge
国二 柘植
Tsuneo Tsuji
常男 辻
Hideaki Oshiyama
秀昭 押山
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Abstract

【課題】板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能な金型の製造方法を提供する。
【解決手段】板状の金型素材20から形成される金型2の製造方法であって、焼入れ装置4によって金型素材20を加熱した後に焼入れ装置4によって金型素材20を急速に冷却する焼入れ工程S2を備え、焼入れ工程S2において冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、金型素材20の面方向と比較して金型素材20の板厚方向において小さくするように、焼入れ装置4に対して金型素材20を配置することにより、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、板状の金型素材から形成される金型の製造方法に関するものであり、ハニカム構造体を押出し成形するための金型に用いて好適である。
例えば、自動車等の排気ガス浄化用コンバータにおいて、格子状のセル壁によって構成された多数のセルを備えたハニカム構造体が、触媒担体として用いられている。ハニカム構造体は、金型を利用して押出成形によって製造される。この金型は,表面と裏面の一方の面を成形材料を受ける側の面とし、表面と裏面の他方の面を押出し面として、板状の金型素材から製造される。金型素材に対して、成形材料を受ける側の面に材料供給用の供給穴を形成し,押出し面に格子状のスリット溝を形成し、スリット溝をその格子点において各供給穴と連通するよう形成する(特許文献1、2を参照)。
押出成形時に,金型の供給穴側から成形材料を供給し,スリット溝側からハニカム構造体を連続的に押出す。押出されたハニカム構造体は,適当な長さに順次切断され,その後乾燥される。
特許3750348号公報 特許3814849号公報
特許文献1、2には記載されていないが、この金型の型寿命を延ばすために焼入れと焼戻しを金型に施している。押出成形時に高圧力が金型にかかると共に、成形材料とのこすれにより金型が磨耗していくため、焼入れによって金型の硬度を増大させて金型の型寿命を延ばしている。また、焼入れによる脆性化を抑えて靭性を回復させたり、焼入れによる残留応力を除去する等のために、焼戻しを行っている。
例えば、供給穴とスリット溝を形成する前の金型素材や、供給穴のみを形成した金型素材に対して、焼入れと焼戻しを施すことが考えられるが、いずれの場合においても、焼入れ工程において板状の金型素材が撓み変形する。この撓み変形を修正するために、金型素材を表面と裏面で挟持部材で挟持する等して押圧力を金型素材にかけつつ焼戻しを行っている。しかし、金型素材の撓み変形が大きい場合に、焼戻し工程における押圧力によって修正することは困難である。
焼入れ工程において金型素材が撓み変形する理由は、冷却速度が不均一なために変態時期がずれる等によるものである。即ち、冷却速度の速い部分と遅い部分とにおいて歪みの大きさに差が生じるため、これにより、金型素材が全体として撓み変形する。例えば、金型素材の表面側の歪みと比較して裏面側の歪みが小さい場合、金型素材は、表面側が凸状であって裏面側が凹状に撓み変形する。金型素材の撓み変形を抑えるために極力一様に急冷する必要があるが、一様に急冷することにも限界がある。
また、この問題は、ハニカム構造体を押出し成形する金型に限らないで、板状の金型素材から形成される金型に共通する問題である。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能な金型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の金型の製造方法は、板状の金型素材から形成される金型の製造方法であって、焼入れ装置によって金型素材を加熱した後に焼入れ装置によって金型素材を急速に冷却する焼入れ工程を備え、焼入れ工程において冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、金型素材の面方向と比較して金型素材の板厚方向において小さくするように、焼入れ装置に対して金型素材を配置することを特徴とする。
ここで、金型素材において冷却速度が異なる部分では歪みの大きさに差が生じるため、金型素材が全体として撓み変形する。また、板厚方向において生じた歪みの大きさの差と比較して、金型素材の面方向において生じた歪みの大きさの差によっては、小さな撓み変形しか金型素材に発生しない。この製法では、冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、金型素材の面方向と比較して金型素材の板厚方向において小さくするように、焼入れ装置に対して金型素材を配置する。即ち、撓み変形への寄与が小さい方向において冷却速度差を大きくするように焼入れ装置に対して金型素材を配置することによって、撓み変形への寄与が大きい方向において冷却速度差を小さくする。これにより、板状の金型素材の撓み変形を抑えることができ、この結果、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能な金型の製造方法を提供できる。
請求項2に記載の金型の製造方法は、冷却用ガスを金型素材に吹き付けることによって金型素材を冷却するように焼入れ装置が構成され、焼入れ装置の床面に対して金型素材の面方向が略垂直になるように床面上に金型素材を載置することを特徴とする。
ここで、金型素材に比較して焼入れ装置の熱容量が大きいため、この製法では、金型素材に比較して焼入れ装置の床面の冷却速度が遅くなる。したがって、床面上に載置された金型素材において、床面と接触していない部位と比較して、床面と接触した部位の冷却速度は遅くなる。即ち、床面上に載置された金型素材において、床面に対して垂直な方向の冷却速度差が大きくなる。
これに対して、この製法では、焼入れ装置の床面に対して金型素材の面方向が略垂直になるように床面上に金型素材を載置する。これにより、撓み変形への寄与が小さい方向において冷却速度差を大きくするように焼入れ装置に対して金型素材を配置することでき、このため、撓み変形への寄与が大きい方向において冷却速度差を小さくできる。これにより、焼入れ装置に対する金型素材の簡易な配置によって、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能な金型の製造方法を提供できる。
請求項3に記載の金型の製造方法は、焼入れ工程の後に金型素材を焼戻しする焼戻し工程を備え、板厚方向へ金型素材を挟持した状態で金型素材を焼戻しすることを特徴とする。この製法では、板厚方向へ金型素材を挟持した状態で金型素材を焼戻しするため、焼入れ工程で金型素材に生じた撓み変形を、低減できる。これにより、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形をより抑えることが可能な金型の製造方法を提供できる。
請求項4に記載の金型の製造方法は、焼入れ工程の後に金型素材を焼戻しする焼戻し工程を備え、焼入れ工程において金型素材に生じた撓み変形を修正する方向であって板厚方向へ金型素材を押圧した状態で金型素材を焼戻しすることを特徴とする。この製法では、撓み変形を修正する方向であって板厚方向へ金型素材を押圧した状態で金型素材を焼戻しするため、焼入れ工程で金型素材に生じた撓み変形を、より低減できる。これにより、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形をより抑えることが可能な金型の製造方法を提供できる。
請求項5に記載の金型の製造方法は、成形材料供給用の供給穴と供給穴に連通しハニカム構造体を押出し成形するスリット溝とを金型が備え、板状の金型素材の表面と裏面の一方の側に供給穴を形成する第1加工工程を焼入れ工程の前に備え、金型素材の表面と裏面の他方の側にスリット溝を形成する第2加工工程を焼入れ工程の後に備え、焼入れ工程において、金型素材の表面と裏面とを熱伝導性板材によって挟んで金型素材を焼入れすることを特徴とする。
この製法では、焼入れによって金型素材の硬度が増大する前に供給穴を形成するため、供給穴を形成するために特殊な刃具または特殊な加工方法を用いる必要がない。また、この製法では、金型素材の表面と裏面とを熱伝導性板材によって挟んで、即ち、熱伝導性板材によって供給穴を塞いだ状態で金型素材を焼入れするため、供給穴が形成されている面側の冷却面積とスリット溝が形成されていない面側の冷却面積が、実質的に同様になる。このため、金型素材の板厚方向において冷却速度差が大きくなることを抑えることができ、これにより、板厚方向において冷却速度差が大きくなることを抑えることができる。これらの結果、供給穴を形成するために特殊な刃具または特殊な加工方法を用いることなく、上述の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態による板状の金型素材から形成される金型の製造方法を、ハニカム構造体成形用の金型に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
ハニカム構造体成形用の金型2は、図1と図2に示すように、成形材料10を供給する供給穴21と供給穴21に連通しハニカム構造体1を押出し成形するスリット溝22とを金型2が備える。SKD61の鋼板からなる板状の金型素材20の表面と裏面の一方の側である穴加工面21aに供給穴21を形成し、表面と裏面の他方の側である溝形成面22aにスリット溝22を形成する。金型2の寸法L1,L2は、220mmであり、寸法L3は、径140mmであり、板厚T1は、10mmであり、板厚T2は、2.7mmである。
押出成形時に,金型2の供給穴21側から成形材料10を供給し,スリット溝22からハニカム構造体1を連続的に押出す。押出されたハニカム構造体1は,適当な長さに順次切断され,その後乾燥されることによって図3に示すハニカム構造体1が製造される。また、金型2の硬度を増大させて金型2の型寿命を延ばすため金型2の焼入れを行い、焼入れによる脆性化を抑えて靭性を回復させたり、焼入れによる残留応力を除去する等のために、金型2の焼戻しを行う。
以下、金型2の製造方法について説明する。
図4において、供給穴21を設ける穴加工面21aとスリット溝22を形成する溝形成面22aとを表裏に有する金型素材20を準備した後、第1加工工程であるステップS1において直径1mmの供給穴21をドリル加工によって形成する。焼入れ工程であるステップS2より前にステップS1において供給穴21を形成するため、即ち、焼入れによって金型素材20の硬度が増大する前に供給穴21を形成するため、供給穴21を形成するために特殊な刃具または特殊な加工方法を用いる必要がない。
ステップS2において、供給穴21が形成された金型素材20を加熱し(ステップS21),ステップS21の後に急冷する(ステップS22)。焼戻し工程であるステップS3において、焼入れされた金型素材20を加熱し(ステップS31),ステップS31の後に冷却する(ステップS32)。
第2加工工程であるステップS4において、供給穴21に連通するように、溝幅が105〜110μmのスリット溝22を形成する。100μmの厚みの円形薄刃砥石により縦方向と横方向へ研削加工することによって、図1に示すように格子状にスリット溝22を形成する。尚、図1と図2において、寸法L3の径140mm部分を板厚T2の2.7mmだけ突出させているのは、円形薄刃砥石の研削加工によってこの部分にスリット溝22を形成できるようにするためである。即ち、寸法L3の径140mm部分以外の部分が、円形薄刃砥石によって溝加工されないように、寸法L3の径140mm部分を板厚T2の2.7mmだけ突出させている。また、スリット溝22が円形薄刃砥石の研削加工によって形成されるため、ステップS2とステップS3によって金型素材20の硬度が増大した後においてスリット溝22を形成できる。
次に、ステップS2を図5と図6に基づいて説明する。
加熱(S21)と急冷(S22)の両方を行う焼入れ装置である真空炉4は、図5に示すように、ロータリーポンプ41と油拡散ポンプ42とヒータ43と冷却用ガスである窒素ガスが充填されている窒素ボンベ45とファン46を備える。尚、ヒータ43は、真空炉4の炉内の天井面と床面44と側面とに設けられる。
ステップS1において供給穴21が形成された金型素材20の表面と裏面を、即ち、穴加工面21aと溝形成面22aを熱伝導性板材である黒鉛板3によって挟む。この黒鉛板3に挟まれた金型素材20の面方向が、即ち、金型素材20の穴加工面21aと溝形成面22aの面方向が炉内の床面44に対して略垂直になるように床面44上に金型素材20を載置する。つまり、黒鉛板3に挟まれた金型素材20を縦置きで床面44上に載置する。
床面44上に金型素材20を載置した後に、ロータリーポンプ41と油拡散ポンプ42を作動させ、配管42aを介して真空炉4の炉内を約10−2〜10−3Pa(パスカル)にする。この後、ヒータ43を作動させて、炉内温度を850℃まで上昇させて80分予熱し、1030℃まで上昇させて1時間保持する。これにより、金型素材20と黒鉛板3の温度も1030℃に保持される(S21)。
1時間の保持の後に、配管42aのバルブ42bを閉めてヒータ43の作動を停止させる。この後、窒素ボンベ45から配管45aを介して窒素ガスを、真空炉4の炉内へ吹き付けて、窒素ガスによって炉内を大気圧まで上昇させる。この時、ファン46を作動させることによって効率的に窒素ガスを金型素材20と黒鉛板3に吹き付け、これにより、黒鉛板3に挟まれた金型素材20を急冷する(S22)。
窒素ガスを炉内へ吹き付け開始して約30分後に、金型素材20の温度は、1030℃から100℃に下降する。一方、窒素ガスを炉内へ吹き付け開始して約40分後に、床面44の温度は,1030℃から100℃に下降する。これは、金型素材20と黒鉛板3に比較して真空炉4の熱容量が大きいため、金型素材20に比較して真空炉4の床面44の冷却速度が遅くなるからである。吹き付け開始して約40分後に、黒鉛板3に挟まれた金型素材20を炉内から取り出す。
図5においては記載されていないが、図6に示すように、断面が「コ」の字型の留め具31によって、金型素材20を挟持している黒鉛板3が固定される。留め具31はステンレスから形成され、留め具31が嵌まる凹部3aを、黒鉛板3に形成する。
次に、ステップS2において発生する撓み変形について図7に基づいて説明する。
上述したように、金型素材20と比較して真空炉4の床面44の冷却速度が遅くなるため、床面44上に載置された金型素材20において、床面44と接触していない部位と比較して、床面44と接触した部位の冷却速度が遅くなる。つまり、床面44上に載置された金型素材20において、床面44に対して垂直な方向(図7において上下方向)の冷却速度差が、即ち、穴加工面21aと溝形成面22aの面方向、即ち、金型素材20の面方向の冷却速度差が大きくなる。
一方、金型素材20の板厚方向(図7において左右方向)においては、原理上冷却速度が同様になる。また、黒鉛板3によって供給穴21を塞いだ状態で金型2を焼入れするため、供給穴21が形成されている穴加工面21a側の冷却面積とスリット溝22が形成されていない溝形成面22a側の冷却面積は、実質的に同様になる。このため、金型素材20の板厚方向において冷却速度差が大きくなることを抑えることができ、これにより、板厚方向において冷却速度差が大きくなることを抑えることができる。
これらの結果、ステップS22において冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、金型素材20の面方向と比較して金型素材20の板厚方向において小さくできる。
ステップS22の金型素材20において冷却速度の異なる部分が生じるため、この部分の間で変態時期がずれる等により歪みの大きさに差が生じる。このため、金型素材20が全体として撓み変形する。例えば、金型素材20の板厚方向において冷却速度の異なる部分が生じれば、D1の撓み変形が発生し、金型素材20の面方向において冷却速度の異なる部分が生じれば、D2の撓み変形が発生する。尚、D1の撓み変形は、穴加工面21a側の歪みが溝形成面22a側と比較して大きい場合の撓み変形を示し、D2の撓み変形は、床面44と接触した面側の歪みが接触面と反対側の面側と比較して大きい場合の撓み変形を示す。
また、図7より明らかな様に、金型素材20の板厚方向において生じた歪みの大きさの差と比較して、金型素材20の面方向において生じた歪みの大きさの差によっては、小さな撓み変形しか金型素材20に発生し得ない。即ち、金型素材20の板厚方向と金型素材20の面方向において同じ冷却速度差が生じた場合、D2の撓み変形と比較してD1の撓み変形が大きくなる。
ステップS22において冷却速度差を、金型素材20の面方向と比較して金型素材20の板厚方向において小さくできるため、D1の撓み変形を小さくできる。一方、金型素材20の面方向冷却速度差が大きくなっても、D2の撓み変形は大きくなり得ない。即ち、撓み変形への寄与が小さい方向(図7において上下方向)において冷却速度差を大きくするように真空炉4に対して金型素材20を配置することによって、撓み変形への寄与が大きい方向(図7において左右方向)において冷却速度差を小さくする。これにより、板状の金型素材20の撓み変形(D1の撓み変形)を、上述した形状寸法において約0.2mmに抑えることができ、この結果、板状の金型素材20から形成される金型2の撓み変形を抑えることができる。
撓み変形への寄与が大きい方向(図8において上下方向)において冷却速度差を大きくした場合を、比較例として図8に示す。具体的に、図7の場合と同様に黒鉛板3によって挟まれた金型素材20を、穴加工面21aが床面44と接触するように横置きで床面44上に載置する。この比較例では、撓み変形への寄与が大きい方向において冷却速度差を大きくしているため、上述した形状寸法において撓み変形D3が約1.0mmと大きくなる。従って、本発明の一実施形態による板状の金型素材20から形成される金型2の製造方法では、撓み変形への寄与が大きい方向において冷却速度差を小さくしているため、図7に示した撓み変形D1(約0.2mm)を、撓み変形D3(約1.0mm)の約1/5に低減できる。
次に、ステップS3を図9と図10に基づいてに説明する。
加熱(S31)と冷却(S32)の両方を行う真空炉5は、図9に示すように、ロータリーポンプ51とヒータ52と窒素ガスが充填されている窒素ボンベ55とファン56を備える。ヒータ52は、真空炉5の炉内の側面のみに設けられるが、加熱(S31)と冷却(S32)の両方を、真空炉4によって行うことも可能である。
金型素材20に生じた撓み変形D1を修正する方向であって板厚方向(図9において上下方向)へ金型素材20をプレス治具54によって押圧した状態で金型素材20を、炉内の床面53上に載置する。床面53上に金型素材20を載置した後に、ロータリーポンプ51を作動させ、配管51aを介して真空炉5の炉内を約1Paにする。この後、ヒータ52を作動させて、炉内温度を600℃まで上昇させて2時間保持する。これにより、金型素材20とプレス治具54の温度も600℃に保持される(S31)。
2時間の保持の後に、配管51aのバルブ51bを閉めてヒータ52の作動を停止させる。この後、窒素ボンベ55から配管55aを介して窒素ガスを、真空炉5の炉内へ吹き付けて、窒素ガスによって炉内を大気圧まで上昇させる。尚、焼入れ工程S2と比較して焼戻し工程S3における炉内の真空度が低いため、炉内の酸素の残存量を考慮して、窒素ガスによるリークレベルの調整によって炉内の真空レベルを若干負圧レベルで維持することが望ましい。
この時、ファン56を作動させることによって効率的に窒素ガスを金型素材20とプレス治具54に吹き付け、これにより、プレス治具54によって押圧された金型素材20を冷却する(S32)。
窒素ガスを炉内へ吹き付け開始して約40分後に、金型素材20とプレス治具54の温度は、600℃から100℃に下降する。吹き付け開始して約40分後に、プレス治具54によって押圧された金型素材20を炉内から取り出す。
図10に示すように、金型素材20に生じた撓み変形D1を修正する方向(図10において下方から上方へ向かう方向)であって板厚方向(図10において上下方向)へ金型素材20をプレス治具54によって押圧する。具体的に、スペーサ54cを介してプレス板54aによって金型素材20を挟み、ナット54bをネジ締めすることによって、撓み変形D1と反対の方向へ金型素材20を押圧する。この様に押圧した状態で焼戻しを行う(ステップS3)ことによって、撓み変形D1を約0.1〜0.2mmに抑えることができる。
(変形例)
尚、撓み変形D1が0.5mm以下の場合、図10においてスペーサ54cを省略することが可能である。この場合、プレス治具54によって板厚方向へ金型素材20を挟持した状態で金型素材20を焼戻しする(ステップS3)。これにより、撓み変形D1を約0.1〜0.2mmに抑えることができる。
また、上述の例では、焼入れ工程S2の前に第1加工工程S1を行っているが、これに限らない。例えば、図4において、焼入れ工程S2と焼戻し工程S3の後に、第1加工工程S1と第2加工工程S4を行うことも可能である。この場合、図7(ステップS22)において、金型素材20に供給穴21が形成されていないため、穴加工面21a側の冷却面積と溝形成面22a側の冷却面積が同様になる。従って、供給穴21を塞ぐための黒鉛板3が不要となる。
以上、本発明による金型2の製造方法は、板状の金型素材20から形成される金型2の製造方法であって、焼入れ装置である真空炉4によって金型素材20を加熱した後に真空炉4によって金型素材20を急速に冷却する焼入れ工程S2を備え、焼入れ工程S2において冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、金型素材20の面方向と比較して金型素材20の板厚方向において小さくするように、真空炉4に対して金型素材20を配置する。
これにより、板状の金型素材から形成される金型の撓み変形を抑えることが可能な金型の製造方法を提供できる。
尚、上述した例に限らないで、これらの組み合わせや、他の種々の変形例が考えられる。
図1は、本発明の一実施形態による金型2の平面図である。 図2は、図1中のII−II線断面図である。 図3は、図1に示す金型2を使用して製造されたハニカム構造体1の斜視図である。 図4は、図1に示す金型2の製造工程図である。 図5は、金型素材20が載置されている焼入れ装置である真空炉4の断面模式図である。 図6(a)は、熱伝導性板材である黒鉛板3によって挟持されている金型素材20の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIB矢視図である。 図7は、焼入れによる金型素材20の撓み変形を説明するための金型素材20の断面模式図である。 図8は、図6の比較例を示す断面模式図である。 図9は、金型素材20が載置されている真空炉5の断面模式図である。 図10は、図9中のX部の拡大模式図である。
符号の説明
1 ハニカム構造体、10 成形材料、2 金型、20 金型素材
21 供給穴、21a 穴加工面、22 スリット溝、22a 溝形成面
3 黒鉛板(熱伝導性板材)、3a 凹部、31 留め具、4 真空炉(焼入れ装置)
41 ロータリーポンプ、42 油拡散ポンプ、42a 配管、42b バルブ
43 ヒータ、 44 床面、45 窒素ボンベ、45a 配管、46 ファン
5 真空炉、51 ロータリーポンプ、51a 配管、51b バルブ、52 ヒータ
53 床面、54 プレス治具、54a プレス板、54b ナット
54c スペーサ、 55 窒素ボンベ、55a 配管、56 ファン

Claims (5)

  1. 板状の金型素材から形成される金型の製造方法であって、
    焼入れ装置によって前記金型素材を加熱した後に該焼入れ装置によって該金型素材を急速に冷却する焼入れ工程を備え、
    前記焼入れ工程において冷却速度が速い部分と遅い部分との冷却速度差を、前記金型素材の面方向と比較して該金型素材の板厚方向において小さくするように、前記焼入れ装置に対して前記金型素材を配置することを特徴とする金型の製造方法。
  2. 前記焼入れ装置の床面に対して前記金型素材の前記面方向が略垂直になるように該床面上に該金型素材を載置することを特徴とする請求項1に記載の金型の製造方法。
  3. 前記焼入れ工程の後に、前記金型素材を焼戻しする焼戻し工程を備え、
    前記板厚方向へ前記金型素材を挟持した状態で該金型素材を焼戻しすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金型の製造方法。
  4. 前記焼入れ工程の後に、前記金型素材を焼戻しする焼戻し工程を備え、
    前記焼入れ工程において前記金型素材に生じた撓み変形を修正する方向であって前記板厚方向へ前記金型素材を押圧した状態で該金型素材を焼戻しすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金型の製造方法。
  5. 成形材料供給用の供給穴と,該供給穴に連通しハニカム構造体を押出し成形するスリット溝とを前記金型が備え、
    前記金型素材の表面と裏面の一方の側に前記供給穴を形成する第1加工工程を前記焼入れ工程の前に備え、
    前記金型素材の前記表面と前記裏面の他方の側に前記スリット溝を形成する第2加工工程を前記焼入れ工程の後に備え、
    前記焼入れ工程において、前記金型素材の前記表面と前記裏面とを熱伝導性板材によって挟んで該金型素材を焼入れすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の金型の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009287085A (ja) * 2008-05-29 2009-12-10 Ihi Corp 熱処理装置および熱処理方法
KR101546722B1 (ko) 2014-09-15 2015-08-24 이용훈 금형용 강재의 변형방지 방법
KR101864569B1 (ko) * 2018-01-26 2018-06-04 공주대학교 산학협력단 열처리 트레이용 금형 고정장치
CN117737686A (zh) * 2024-01-31 2024-03-22 湖南德智新材料有限公司 石墨产品的膜层制备方法

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