JP2008126427A - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】版胴内のインク貯留量を減らす操作を簡単に行うことができる孔版印刷装置を提供すること。
【解決手段】版胴内部のインク貯留量を低減するモードが選択された場合、これを記憶装置に記憶して版胴内部へのインク補充を行わないプログラム命令が実行され、インクを補充しなくなると共に、インクを最も消費する印字率の高い製版印刷モードが記憶装置に記憶されており、自動的にその製版印刷が実行されて印刷により版胴内部のインクが消費されて貯留量が低減される。
【選択図】図6

Description

本発明は、孔版印刷装置の版胴内部のインクが不要になった場合、簡単に版胴内部に残っているインクを空にすることができる孔版印刷装置に関する。
孔版印刷装置において、印刷終了後、長期未使用で版胴内部にインクが残った状態で版胴を放置していた場合、経時的な化学変化等によりインクのゆるみが発生してしまい、再度その版胴を使用して印刷を行った場合、画像品質が悪くなる可能性が考えられる。
ユーザーが上記のような長期未使用の版胴で印刷を行った場合、版胴内部のインクゆるみが原因だと分からずにインクパックに残っているインクの品質にまで問題があると思ってしまう。またこれが原因で画像品質に影響を及ぼしている場合、解決方法が分からなくて困ってしまう。
さらに、版胴内部に古いインクが残った状態で新しいインクを補充した場合、インク濃度にムラがでてしまうので、一度、版胴内部のインクを空にしたい場合でも、ユーザーは版胴内部のインクを空にすることは容易にできなかった。
例えば、印刷終了後、長時間使用せずにいてもインク経時変化を防止して印刷再開時の印刷品質を良いものにするための技術として、(a)インクローラ上のインクを回収し、印刷が再開される際、回収されたインクをインク回収、供給手段からインクローラに供給するインク回収、供給手段を設けた例(例えば、特許文献1参照)、(b)版胴の内周面に接触して版胴の内周面よりインクを回収するインク回収部材とを具備する例(例えば、特許文献2参照)がある。
しかし、これらの公知技術は何れもインクを回収するための機械的な装置を必要するため印刷装置の機械的な構成の改造を必要とするなど簡単な解決策ではなかった。
なお、取扱い説明書には記載されていない孔版印刷機のI/Oチェックが出来るシークレットモードによりインク検知制御をオフして常にインク有りとみなすことで版胴内部にインクが供給されず、版胴内部のインクを空にすることは可能であるが、一般のユーザーには使うことができない機能であり、ユーザーサイドでは事実上使用できなかった。
ユーザーサイドで、版胴内部のインク貯留量を減らすことができれば、長期未使用の版胴を放置しておきたい場合に版胴内部のインク貯留量が減るので、インクゆるみの心配が不要になり、再度使用する際に新しいインクが補充されるので画像品質に悪影響を及ぼさなくなる。
なお、例えば、版胴内部のインクを完璧に無くすにはメーカーサービス員が版胴を分解洗浄などしなければならないが、ここで、問題としているのはかかる完璧なインク除去でなくても、例えば、インク供給系の管や容器の表面にインクが付着して残留している程度までインク貯留量を減ずることができれば、実用上の画質良好性を得るので、その意味でのインク貯留量減が果たせればよいという意味である。
また長期未使用で版胴内部にインクが残っている状態で新しいインクパックを取付けた場合、古いインクと新しいインクが混ざってしまい画像品質に影響を及ぼす恐れがあるが版胴内部のインク貯留量が減れば、それを解消できる。
さらに、孔版印刷装置を運送したり、破棄したりする際に孔版印刷装置が転倒したり何らかのアクシデントで版胴内部のインクが漏れてしまう可能性もあるため、メーカーサービス員などの専門のオペレータに限らず誰でもインクが抜き取ることができた方が便利である。
特開平8−282078号公報 特開2001−253159号公報
本発明は、上記事情に鑑み、孔版印刷装置において、版胴内のインク貯留量を減らす操作を簡単に行うことができる孔版印刷装置を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を達成するため以下の構成とした。
請求項1にかかる発明は、孔版印刷装置において、孔版印刷装置が待機状態で、操作パネルからユーザーが版胴内部に残ったインク貯留量を低減することを設定できるモードを選択することが可能であることとした。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の孔版印刷装置において、版胴内部のインク貯留量を低減するモードが選択された場合、これを記憶装置に記憶して版胴内部へのインク補充を行わないプログラム命令が実行され、インクを補充しなくなることとした。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の孔版印刷装置において、インク補充を行わないプログラム命令が実行された場合、予めインクを最も消費する印字率の高い製版印刷モードが記憶装置に記憶されており、自動的にその製版印刷が実行されて印刷が開始されることとした。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の孔版印刷装置において、版胴内部のインクを抜取っている最中にユーザーにより操作パネル上でキャンセルキーが押された場合、インク抜取り作業は一旦停止され、再度抜取り作業を行う場合は再度エンターキーを押せば作業が続行となり、もう一度クリアキーを押した場合には版胴内部のインクを低減する制御は中断されて記憶装置には版胴内部のインクを低減するモードが中断されたことを記憶し、通常のインクを補充するプログラム命令が実行され、操作パネルも通常の待機状態画面に戻ることとした。
請求項5にかかる発明は、請求項3に記載の孔版印刷装置において、版胴内部のインクを低減している最中に孔版印刷装置の電源がオフになり再度電源をオンにした場合は、前記記憶装置より版胴内部のインクを低減する命令が実行されていたことを孔版印刷装置が起動した直後に読取り、操作パネルには引続きプリントを再開して版胴内部のインク抜取りを行うか、通常の印刷を行うか表示することとした。
請求項6にかかる発明は、請求項3に記載の孔版印刷装置において、版胴内のインク量を検出するインク量検出センサにより、版胴内部のインクが低減されたことが検出された場合、操作パネルに版胴内部のインクが低減されたことを表示することとした。
請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の孔版印刷装置において、版胴内部のインクが低減されたことが操作パネルに表示された場合、ユーザーが実行キーを押すことで記憶装置には版胴内部のインクが低減されインクの抜取り作業が完了したことが記憶され、通常のインクを補充する制御に戻ることとした。
請求項8にかかる発明は、請求項6に記載の孔版印刷装置において、版胴内部のインク抜取りが完了し、その後に版胴を長期未使用にする場合は電源をオフにするように操作パネルに表示し、版胴内部のインク抜取りが完了し、その後に別な版胴と交換したり、インクを抜取った版胴に新たにインクを再度補充したりする場合は実行キーを押すように操作パネルに表示することとした。
請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の孔版印刷装置において、新たにインクを補充するために操作パネルにて実行キーが押された場合は版胴内部のインク溜りが最適な状態になるまでインクを補充することとした。
請求項1に記載の発明では、版胴内部のインク貯留量を低減する(抜き取る)という作業はほとんど行うことがないので操作パネル上にインク抜取りボタンとして新規にボタンを追加する必要がなく、従来の設定モード項目のうちの一つとして追加しておけばユーザーが誤ってインク抜取りボタンを押すというミスも無くなる。
請求項2に記載の発明では、版胴内部のインク貯留量を低減するモードが選択されたことを記憶装置に記憶して、版胴内部へのインク補充を行わないプログラム命令を実行することで、版胴内部のインク貯留量が可能な限り低減されるまでインクを補充しなくなることが可能となる。
請求項3に記載の発明では、版胴内部のインク貯留量を低減するモードが選択された場合、自動的にメモリに予め格納されている黒ベタ製版データにより製版印刷を行うので、黒ベタチャートを有していないユーザーが所有の原稿を設定して印刷を行ってインクを抜取るという効率の悪さを解消できる。またインクを抜取った版胴を放置する場合も考えられるが、この場合、黒ベタ製版のマスタが巻かれた状態で放置されるので機密マスタを放置するということが無くなる。
講求項4に記載の発明では、版胴内部のインクを抜取っている最中にユーザーがインク抜取り作業を中断したいと思った場合、ユーザーは操作パネルのキャンセルキーを押すことでインク抜取り作業が一旦停止となるが、ここで再度インク抜取りを行いたい場合はエンターキーを押すことで作業続行が可能であり、キャンセルキーを押せばインク抜取り作業が終了した状態となるのでユーザーが簡単にインク抜取り作業の中断と再開を選択することができる。
請求項5に記載の発明では、インク抜取り作業中に誤って電源コンセントを抜いてしまったり、停電等で孔版印刷装置の電源が落ちてしまったりした場合でも孔版印刷装置のメモリにインク抜取り作業を実行されていることが記憶されているのでユーザーが電源をオンして改めてインク抜取りモードを選択してインクの抜取りを開始しなくてもインク抜取りを続行することが可能になり、せっかくインクを抜いている最中の版胴に誤ってインクを補充してしまうという不具合がなくなる。
請求項6に記載の発明では、インク量検出センサが機能することで、版胴内都のインクが無いと判断した場合、版胴内部のインク抜取り作業が完了したとCPUは認識し、操作パネルに版胴内部のインクが無くなったことをユーザーに知らせることができる。
請求項7に記載の発明では、上記により操作パネルにインク抜取り作業が完了したことを表示した後、ユーザーがエンターキーを押すことで通常のインク制御状態に戻るので再度孔版印刷装置の電源を再起動させた場合は、通常の印刷状態で起動が可能となる。
請求項8、9に記載の発明では、インク抜取り作業が完了した後、操作パネルにその後のインク貯留量が低減された状態になった版胴の処理方法が選択できるようになり、ユーザーが版胴内部のインクを抜いたままにしておきたい場合は孔版印刷装置をオフにするか版胴を抜取ることで版胴内部のインクを抜取った状態で放置することが可能となる。或いは、別なインクを改めて版胴に補給したい場合はエンターキーを押すことでインク補給が開始される。
[1]孔版印刷装置の概要
図1は、本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の概略正面図を示している。同図において、孔版印刷装置1は、画像読取部2、給紙部3、製版部4、排版部5、排紙部6、印刷部7等から主に構成されている。本発明に関連する印刷部7、製版部4を除く他の部位は従来と同様であるので、個々の詳細な説明は省略する。印刷部7は、版胴8とプレスローラ9とから主に構成されている。
支軸8aに回転自在に支持され、メインモータ(図示省略)により図1の時計回り方向に回転駆動される版胴8は、その外周面上に図示しないステージ部及び用紙クランパ10を有しており、内部にはインク供給手段11を有している。プレスローラ9は図示しない揺動手段によって揺動され、その外周面を版胴8の外周面に対して接離自在に設けられている。プレスローラ9は印刷用の用紙Pを版胴8に圧接させ、用紙Pに印刷画像を転写させる。
インク供給手段11は、インクローラ12、ドクタローラ13、インク補充ローラ14、インク回収部材としてのインク回収ブレード15等から主に構成されている。インクローラ12は、その外周面が版胴8の内周面と近接するように設置されており、図示しないインク供給源よりインクポンプの駆動によりインク供給パイプを介して供給されたインキを版胴8の内周面に供給する。インクローラ12は版胴8と同期して図の時計回り方向に回転駆動される。
インクローラ12の近傍に配設されたドクタローラ13は一対の側板間に回転自在に支持されており、上記メインモータからの回転駆動力でインクローラ12とは逆方向に回転駆動される。ドクタローラ13は、その外周面とインクローラ12の外周面との間に僅かな隙間が生じるように配置され、インクローラ12の外周面との近接部において楔状のインク溜まり17を形成している。インク供給パイプより供給されたインク溜まり17のインクはインクローラ12の外周面とドクタローラ13の外周面との隙間を通過し、インクローラ12の外周面上にインク層を形成し、版胴8の内周面に供給されて印刷に供される。
製版部4において、マスタ18はロール18aに巻成され、図示しないホルダ手段によりロール芯を回転可能に支持されている。マスタ18は図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ19に、無数の発熱素子を有するサーマルヘッド20により押圧されている。サーマルヘッド20は図示しないバネ部材によりプラテンローラ19に付勢されている。
プラテンローラ19には図示しないステッピングモータが連結されていて、このステッピングモータによりプラテンローラ19が時計回りに回転駆動されることにより、マスタ18はマスタロール18aより繰り出されるようになっている。
プラテンローラ19の下流側には、製版されたマスタ18を適当な長さに切断する上下刃(ギロチンタイプ)または回転刃移動タイプ等のカッタ21が設けられ、さらにカッタ21の下流側には、マスタ18を搬送する一対の搬送ローラ22が設けられている。これらが製版部4を構成する。
製版部4では、原稿を搬送すると共に原稿の情報を読み取りCCD(charge coupled device)等で電気信号に変換するスキャナ装置を経由して、制御手段30(図2乃至図4参照)よりサーマルヘッド20の発熱素子に通電されて加熱穿孔製版が行われる。印刷モードを通常の片面印刷にするのか両面印刷にするかの選択は、オペレータが操作パネル(図2参照)に入力して指示することで設定され制御される。
図2は、本実施例に用いられる制御手段30の制御ブロック図を示している。制御手段30はCPU、ROM、メモリ(RAM)等を有する周知のマイクロコンピュータで構成され、孔版印刷装置1に設けられた操作パネル31からの動作指令により、本発明にかかるインク抜き動作をはじめ、当該孔版印刷装置1を駆動し印刷を遂行するための種々のモータの作動を制御する。操作パネル31上には、印刷動作に必要な指示を入力するための各種キー及びスイッチ類が割り付けられている。制御手段30は、2,3、4、5、6、7、31、32と信号の授受を行う。
図3、図4において、インク溜り17には針状電極からなるインク量検出センサ32の先端部が位置するように版胴内の固定部材に取り付けられている。従来よりインク補充のために設けられている既存のインク量検出センサ32を本発明においても利用している。インク量検出センサ32は制御手段30と信号を授受できるように回線で結ばれている。インク量検出センサ32は対向するインクローラ12との間の誘電率がインク溜り17に溜まっているインクの量に応じて変化することに基いて、インク溜り17のインク量を検知し、この検出出力が入力された制御手段30はその溜り量を適宜なものとするようにインキ供給ポンプを駆動して、常時一定量のインクがインク溜り17に溜まっているように、例えば、図3に示すように十分溜まっているように制御する。
版胴内部のインク貯留量を低減する(インク抜取りと同義)モードが実行されインク無しと判断される状況では、図4に示すようにインク溜り17内のインクにインク量検出センサ32が届かない状態となり、インクが送給管内部やインク収容部の壁部に付着して残留する以外は除かれたような状態になっている。
[2]インク抜取り動作
インク抜き取りモードは図2に示した操作パネル31によるオペレータからの指示に従い、制御手段30によって、図5、図6に示すフローチャートに示す手順で実行される。 以下、図5、図6によりステップ順に手順を説明する。
ステップP−1で孔版印刷装置1の電源がオンになると、ステップP−2で記憶装置(制御手段30のメモリ)にインキ抜取りモードが記憶されているか否かが判断される。記憶されていれば、イエスであるのでステップP−3に進み、インク溜まり17に通常のインク補充が行われる。
ステップP−4でオペレータが操作パネル31を操作して、版胴8内部のインク抜取りモードを選択する。これにより、ステップP−5でインク抜取りモードが選択されたことを記憶装置(メモリ)に記憶させる。ステップP−6でCPUはインクの補充を行わないプログラムを実行する。つまり、インク溜り17に対するインク供給は停止される。
さらに、ステップP−7で、記憶装置(制御手段30のPOM)よりインク抜取り用の印字率が高い(例:黒ベタ、印刷速度1速、インク濃度濃い)、ここでは黒ベタ製版チャートデータを呼び出して製版印刷を開始する。インク抜取り用の黒ベタ製版がされたマスタを用いて印刷が行われることにより、既にインクの補充が停止された状態のもとで用紙に黒ベタ像が印刷されてインクが多量に消費されていき、この消費分のインクが版胴8の内部から抜取られていくことになる。
ここで、インク抜き取りのため用紙に印刷する際には、1回の印刷毎に新しい用紙を用いる方法でもよいが、用紙の経済性に配慮するのであれば、同一の用紙に対して複数回の転写(印刷)を行ってから排出するようにするのがよい。この場合、圧胴タイプの孔版印刷装置では、用紙クランパ10の開放タイミングを、用紙クランパ10が用紙をクランプした状態でプレスローラ9が複数回回転してから用紙クランパ10を開放し用紙を排出するように制御手段30で制御する。
ステップP−8でインク抜取り用の黒ベタ製版がされたマスタを用いた印刷が続行されてインクの抜取りが続行する。なお、ステップP−2で「記憶装置にインク抜取りモードが記憶されていない?」に対してノーである場合は、インク抜取り中つまり、インク抜取り用の黒ベタ製版がされたマスタを用いた印刷が続行中に電源がオフになってしまった場合であるから、直ちにステップP−8へ進む。
ステップP−9で「キャンセルボタンを押さない?」のかどうかを聞いてくる。押さなければステップP−10へ進み、版胴8におけるインクの有無の検知がなされ、インク有りと判断されれば、さらなる抜取りのためステップP−8へ戻る。ステップP−10でインク無しと判断されれば、版胴内部のインク抜取りが完了したことを操作パネル31に表示する(ステップP−11)と共に、ステップP−12で、記憶装置(制御手段30のROM)に対し、インク抜取りが完了したことを記憶させる。ここで、ステップP−10におけるインク有無検知の判断は、インク検出センサ32からの出力に従い、制御手段30が予め記憶された判断基準に基き判断する。
ステップP13で、制御手段30のCPUは記憶装置(制御手段30のROM)にインク抜取りが完了していることが記録されていることを認識した上で通常のインク補充を行うプログラムを実行する。
ステップP−14で、新たなインクを補充しますか?と操作パネル31で表示され、オペレータに判断が求められる。新たなインクを補充するのであれば、イエスであるからステップP−15へ進み、版胴内部のインク溜りが安定するまでインクが補充される。ステップP−14で、新たなインクを補充しないのであれば、版胴内部のインクが空の状態のままステップP−16へ進み、操作パネル31に「版胴を長期間使用しない場合は版胴を取り出してください。」という表示がなされる。
ステップP−9で、キャンセルボタンが押された場合には、ステップP−17へ進み、操作パネル31に、「インク抜取りを中断しますか?」と表示される。インク抜取りを中断しないのであればステップP−10へ進む。ステップP−17でインク抜取りを中断するのであれば、ステップP−18で、記憶装置(制御手段30のメモリ)にインク抜取りが中断したことを記憶させる。さらにステップP−19へ進み、通常のインク補充を行うプログラムを実行する。
以下に、上記手順の要点を実施形態例として整理する。
[例1:請求項対応]
ユーザーが版胴内部に残ったインク貯留量を低減するという作業は通常は行わない作業であるにも拘らず、操作パネル31にボタンを設けてこのボタンの操作で版胴8内部のインク抜取りを実行するようにした場合には、オペレーターの誤操作により、必要時以外に抜取りプログラムが実行されてしまう可能性がある。
そこで、かかるボタンを設けるのではなく、初期設定ボタン等の各種モード設定用のボタンを押すことで操作パネル31上のタッチパネル画面上にインク抜取りモードが表示されるようにし、ユーザーはこの画面上に表われた「版胴内部のインクを空にしますか?」の表示に付随して表われる「イエス」、「ノー」のタッチスイッチ部を選択することで「イエス」の場合はインク空モードが実行され、「ノー」の場合はキャンセルされるといった簡易的な構成とするのがよい。このように、操作パネルからユーザーが版胴内部に残ったインキ貯留量を低減することを設定できる構成とする。
[例2:請求項2対応]
例1により、版胴8内部のインクを空にするモードが選択された場合、制御手段30における基板のメモリに版胴8内部のインクを抜取るモードが選択されその制御が行われていることが書き込まれ、且つCPUではROMからインクを補充しない命令を読取り、インク量検出センサ32が機能してもインク補充を行わないように制御する。これにより、版胴内部のインク貯留量がインク供給配管内部や貯留部内壁部などに付着する以外は可能な限り低減されるまでインクを補充しなくなることが可能となる。
[例3:請求項3対応]
例2により、インク補充を行わないプログラム命令が実行された場合、CPUではメモリに格納されたインクが最も消費されやすい印字率の高いデータが入っており、例として黒ベタ画像データで製版する命令が読み込まれ実行される。尚、版胴8内部のインク貯留量を低減するための黒ベタ画像は紙詰まりしやすいため、印刷速度や用紙の先端は余白が設けられたものやインク濃度はユーザーが調整可能にしても問題無い。
[例4:請求項4対応]
例3により、版胴8内部のインク貯留量を低減する制御が実行されている最中にユーザーが操作パネル31のクリアキーを押した場合は、インク抜き作業が一旦中止し、操作パネル31に「インク抜取りを中断しますか?」と表示され「イエス」の場合は版胴内部のインク貯留量を低減する制御は中断されてメモリには版胴内部のインク貯留量を低減するモードが中断されたこと(版胴内部のインク抜き取りが完了した状態と同じ命令)を記憶させる(ステップP−18)。
その後、通常のインクを補充するプログラム命令が実行され(ステップP−19)インク検知によりインクが不足状態な場合はインク補充を行う。キャンセルされた時点で操作パネルも待機状態画面に戻る。「ノー」の場合は、再度版胴内部のインクを空にする制御を続行する。
[例5:請求項5対応]
例3により、版胴8内部のインク貯留量を低減する制御が実行されている最中に停電などで電源が一旦落ちてしまった場合、ユーザーは例1から行う必要が無く、孔版印刷装置の電源がオンになって起動した直後に、CPUはメモリから版胴内部のインク抜取りが実行されていたことを読取り、再度、CPUはROMからインクを補充しない命令を読取りユーザーがプリントスタートキーを押すことで容易にインク抜取りの再開をすることができる。ステップP−2で「ノー」からステップP−8に至るプロセスが該当する。
[例6:請求項6対応]
例3によりインク抜取り作業中に、インク量検出センサ32によりインクが無しとみなされた場合(ステップP−10)は、操作パネル31に「版胴のインク抜き取り作業が完了しました」と表示(ステップP−11)してユーザーに版胴内部のインクが無くなったことを知らせる。
[例7:請求項7対応]
例6により操作パネル31に版胴内部のインク抜取りが完了したことが表示された時点で実施例5の版胴内部のインク抜取り作業が中断された場合と同様にインク抜取り作業が完了したことを制御手段30のメモリに記憶され、通常のインクを補充する制御が実行される。
[例8:請求項8対応]
例6により版胴内部のインク抜き取りが完了し、操作パネル31に「版胴のインク抜き取り作業が完了しました」と表示した後に、ユーザーがエンターキーを押すことで次の選択肢が表示される。
版胴を長期未使用にする場合は、電源をオフにするように操作パネル31に表示し、さらに、「版胴を長期使用しない場合は版胴を取出して下さい。この版胴で再度電源をオンすると再びインクが補充されます」、「新たなインクを補充したい場合、または別な版胴と交換する場合はエンターキーを押して下さい」と実行キーを押すように表示する。
[例9:請求項9対応]
例8でエンターキーが押された場合は例4で記載してあるインク抜取り作業が途中で中断された後の処理と同じになり、インク量検出センサにより版胴内のインク量が適正になるまでインクが補給される。
版胴内部のインクを抜取る作業が必要な可能性として、不要になった孔版印刷装置を破棄したり、仕事場の引越し作業等で孔版印刷装置を運搬したりする時に、版胴内部にインクが溜まった状態であると何かの拍手で孔版印刷装置が転倒したりして版胴が破損してインクが漏れたりして問題が生じる可能性がある。
また、長期間において版胴を使用しない場合においては、版胴内部のインク状態はゆるんでしまい本来のインクの状態とは違う状態になっているため画像品質も低下するので、ユーザーがすぐに印刷を行いたい場合でもインク抜きを行わなければならない。
しかも、ユーザーは版胴内部のインクを無くす方法が分からないことが想定されるので、画像品質が安定するまで新たにインクを補給しつづけて無駄にインクを消耗してしまう可能性も考えられる。
この発明によれば、ユーザーは版胴を破棄したり、版胴を搬送したり、或いは長期間使用しない等の必要に応じて版胴内部のインク貯留量を低減することができる。
また、版胴内部のインクを空にするために黒ベタチャート等の原稿をユーザーが有していなくても孔版印刷装置の内部メモリにインク抜取り専用のチャートデータを格納したので簡単に版胴内部のインク抜取り作業を開始することができるようになる。
本発明の孔版印刷装置の概賂構成図である。 孔版印刷装置の制御手段を示すブロック図である。 インク量検出センサの配置例を説明した図である。 インク量検出センサの配置例を説明した図である。 インク抜取り手順等を説明したフローチャートである。 インク抜取り手順等を説明したフローチャートである。
符号の説明
1 孔版印刷装置
4 製版部
7 印刷部
8 版胴
9 プレスローラ
10 用紙クランパ
11 インク供給手段
12 インクローラ
13 ドクタローラ
14 インク補充ローラ
17 インク溜り
18 マスタ
20 サーマルヘッド
30 制御手段
P 用紙

Claims (9)

  1. 孔版印刷装置において、孔版印刷装置が待機状態で、操作パネルからユーザーが版胴内部に残ったインク貯留量を低減することを設定できるモードを選択することが可能であることを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 請求項1に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内部のインク貯留量を低減するモードが選択された場合、これを記憶装置に記憶して版胴内部へのインク補充を行わないプログラム命令が実行され、インクを補充しなくなることを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 請求項2に記載の孔版印刷装置において、
    インク補充を行わないプログラム命令が実行された場合、予めインクを最も消費する印字率の高い製版印刷モードが記憶装置に記憶されており、自動的にその製版印刷が実行されて印刷が開始されることを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 請求項3に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内部のインクを抜取っている最中にユーザーにより操作パネル上でキャンセルキーが押された場合、インク抜取り作業は一旦停止され、再度抜取り作業を行う場合は再度エンターキーを押せば作業が続行となり、もう一度クリアキーを押した場合には版胴内部のインクを低減する制御は中断されて記憶装置には版胴内部のインクを低減するモードが中断されたことを記憶し、通常のインクを補充するプログラム命令が実行され、操作パネルも通常の待機状態画面に戻ることを特徴とする孔版印刷装置。
  5. 請求項3に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内部のインクを低減している最中に孔版印刷装置の電源がオフになり再度電源をオンにした場合は、前記記憶装置より版胴内部のインクを低減する命令が実行されていたことを孔版印刷装置が起動した直後に読取り、操作パネルには引続きプリントを再開して版胴内部のインク抜取りを行うか、通常の印刷を行うか表示することを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 請求項3に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内のインク量を検出するインク量検出センサにより、版胴内部のインクが低減されたことが検出された場合、操作パネルに版胴内部のインクが低減されたことを表示することを特徴とする孔版印刷装置。
  7. 請求項6に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内部のインクが低減されたことが操作パネルに表示された場合、ユーザーが実行キーを押すことで記憶装置には版胴内部のインクが低減されインクの抜取り作業が完了したことが記憶され、通常のインクを補充する制御に戻ることを特徴とする孔版印刷装置。
  8. 請求項6に記載の孔版印刷装置において、
    版胴内部のインク抜取りが完了し、その後に版胴を長期未使用にする場合は電源をオフにするように操作パネルに表示し、
    版胴内部のインク抜取りが完了し、その後に別な版胴と交換したり、インクを抜取った版胴に新たにインクを再度補充したりする場合は実行キーを押すように操作パネルに表示することを特徴とする孔版印刷装置。
  9. 請求項8に記載の孔版印刷装置において、
    新たにインクを補充するために操作パネルにて実行キーが押された場合は版胴内部のインク溜りが最適な状態になるまでインクを補充することを特徴とする孔版印刷装置。
JP2006310669A 2006-11-16 2006-11-16 孔版印刷装置 Pending JP2008126427A (ja)

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