JP2008124818A - 空間多重伝送復調方法及び空間多重伝送復調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】MIMOなどの空間多重伝送方式を移動体通信においても高品質で実現する。
【解決手段】時刻mにおける受信データベクトルr(m)と伝送路行列G(m)とを用いて復号データベクトルq(m)を求める。復号データベクトルq(m−1)、q(m)と受信データベクトルr(m−1)、r(m)とを用いて伝送路行列H(m)を求める。その伝送路行列H(m)から伝送路の変動を考慮し時刻m+1における補正された伝送路行列G(m+1)を求める。初期値は、パイロットデータベクトルs(0)、s(1)とその受信データベクトルr(0)、r(1)とから伝送路行列H(1)を求める。その伝送路行列H(1)を、伝送路の変動を考慮して、最初にデータを復調する時刻2における補正された伝送路行列G(2)を求める。この逐次演算により伝送路行列が更新されて、正確な受信データの復調が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】時刻mにおける受信データベクトルr(m)と伝送路行列G(m)とを用いて復号データベクトルq(m)を求める。復号データベクトルq(m−1)、q(m)と受信データベクトルr(m−1)、r(m)とを用いて伝送路行列H(m)を求める。その伝送路行列H(m)から伝送路の変動を考慮し時刻m+1における補正された伝送路行列G(m+1)を求める。初期値は、パイロットデータベクトルs(0)、s(1)とその受信データベクトルr(0)、r(1)とから伝送路行列H(1)を求める。その伝送路行列H(1)を、伝送路の変動を考慮して、最初にデータを復調する時刻2における補正された伝送路行列G(2)を求める。この逐次演算により伝送路行列が更新されて、正確な受信データの復調が可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、少なくとも送信アンテナを複数本用いる空間多重伝送における復調方法及び復調装置に関する。本発明は、特に、MIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送方法の復調方法及び復調装置に用いることができ、伝送路特性が時間的に変動する移動体通信に有効である。また、MISO、STBC(:Space Time Block Code)通信方式においても有効である。
MIMOを用いた空間多重伝送方法に関しては、下記特許文献が知られている。受信装置において復調された受信データから、真の送信データを予測するには、送信アンテナと受信アンテナ間の伝達関数である伝送路行列が知られている必要がある。何れの特許文献においても、この伝送路行列を推定する方法として、必要なシンボル数の、受信装置において既知のパイロットデータを送信して、これを受信装置で復調して受信データを得て、その受信データとパイロットデータとの関係から、伝送路行列を推定する方式が採用されている。パイロットデータのシンボル数の期間は、伝送路行列が変化しないとすれば、パイロットデータを受信した時の伝送路行列は、正確に推定することが可能となる。また、パイロットデータの送信周期に比べて、伝送路行列の変動周期が長い場合には、次のパイロットデータが受信されるまでの間は、前のパイロットデータにより推定された伝送路行列を用いることで、可なり正確な受信データの復調が可能となる。
しかしながら、上記のMIMOを用いた空間多重伝送方式を移動体通信に用いる場合には、次の問題がある。パイロットデータの送信周期に比べて、伝送路行列の変動周期が短くなった場合において、隣接するパイロットデータの送信時刻間で、一定の伝送路行列を用いて復調をした場合には、復調誤差が大きくなり、ビットエラーが発生する。
したがって、本発明の目的は、高速移動体通信においても正確な復調が可能なようにすることである。
このために、本発明は、パイロットデータ間においても、変動する伝送路行列をより正確に推定することで、正確な復調を実現することを目的とする。
このために、本発明は、パイロットデータ間においても、変動する伝送路行列をより正確に推定することで、正確な復調を実現することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明は、搬送波を送信データで変調して得られる送信信号を、少なくとも送信アンテナを複数本用いて空間多重化して送信し、受信装置において、送信信号を復調して受信データを得て、送信データと受信データとの関係を規定する伝送路行列を推定し、この推定された伝送路行列と受信データとから、判定された真の送信データである真の復号データを求める空間多重伝送復調方法において、推定された伝送路行列の更新タイミングにおいては、現復調タイミングにおいて復調された現受信データと、復調に用いる現伝送路行列とから、その現受信データに対応する判定された真の現復号データを求め、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、現受信データと過去の受信データとから構成される受信データ組と、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、真の復号データと過去の真の復号データとから構成される真の復号データ組と、から新たな伝送路行列を求めて、その新たな伝送路行列に基づいて伝送路行列を更新するこことを特徴とする空間多重伝送復調方法である。
また、第2の発明は、搬送波を送信データで変調して得られる送信信号を、少なくとも送信アンテナを複数本用いて空間多重化して送信し、受信装置において、送信信号を復調して受信データを得て、送信データと受信データとの関係を規定する伝送路行列を推定し、この推定された伝送路行列と受信データとから、判定された真の送信データである真の復号データを求める空間多重伝送復調方法に用いられる復調装置において、送信信号を復調して受信データを得る受信装置と、推定された伝送路行列の更新タイミングにおいて、復調装置により現復調タイミングにおいて復調された現受信データと、復調に用いる現伝送路行列とから、その現受信データに対応する判定された真の現復号データを求める復号装置と、推定された伝送路行列の更新タイミングにおいて、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、現受信データと過去の受信データとから構成される受信データ組と、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、真の復号データと過去の真の復号データとから構成される真の復号データ組と、から新たな伝送路行列を求めて、その新たな伝送路行列に基づいて伝送路行列を更新する伝送路行列更新装置とを有するこことを特徴とする空間多重伝送復調装置である。
本発明は、送信アンテナが複数である空間多重伝送方式に適用できる。送信アンテナが複数でありさえすれば、受信アンテナの数は、単数であっても、複数であっても良い。送信アンテナと受信アンテナの数は同一であっても、異なっていても良い。また、複数の送信アンテナから送信される送信データの組(送信データベクトル)と、次のタイミングにおける送信データベクトルとが所定の関係にある時分割多重を行う方式、すなわち、STBC(Space Time Block Code) 通信方式にも適用できる。また、MISO、MIMO、MIMO−SDM(Space Division Multiplex)に、適用することができる。
伝送路行列の更新タイミングは、各受信データの復調タイミングであっても良いし、この復調タイミングの周期よりは長い周期であっても良い。また、伝送路行列の推定誤差が、所定値以上となった時に、伝送路行列を更新するようにしても良い。推定誤差としては、現受信データが現送信伝送路行列により逆変換される送信データと、その送信データを判定した後に得られる真の送信データである真の復号データとの間の偏差を用いることがでできる。または、真の復号データが現送信伝送路行列により変換されるレプリカ受信データと現受信データとの間の偏差を用いることができる。
本発明での変調方式は、FSK、PSKなどのディジタル変調方式を用いることができるが、QPSK、QAM、64QAMなどのPSK変調方式が有効である。また、QPSKやQAMなどのPSKに、OFDM変調方式を組合せて周波数多重化した場合にも、本発明は有効である。ディジタル変調方式であれば、送信データの値は、複素空間上の離散的な値として限定されているので、受信データを用いて、MLD(Maximum Likelihood Detection)等を用いて判定処理をして、真の送信データである真の復号データを推定することができる。判定処理をして、真の復号データを得る方法は、MLDの他、伝送行列の逆行列を用いるZF(Zero Forcing)法、MMSE(Minimum Mean Square Error) 法などの空間フィルタリング手法を用いることができる。
更新される伝送路行列の初期値である初期伝送路行列は、受信装置において既知のパイロットデータと、そのパイロットデータの受信データとから求めることができる。すなわち、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、受信装置において既知のパイロットデータ組と、それを復調して得られる受信データ組とから、初期伝送路行列を求めることができる。パイロットデータの受信毎に、伝送路行列を初期伝送路行列にリセットする必要は、必ずしもないが、そうすれば、より正確に伝送路行列を推定することができる。
また、伝送路行列の推定に用いられた受信データの受信時刻と、その伝送路行列を用いて、受信データを復号化する時刻とは異なる。したがって、復調タイミングにおいて、真の復号データを求めるのに用いられる伝送路行列は、過去の復調タイミングにおいて求められた伝送路行列の時間変化特性を、その復調タイミングまで外挿して得られる伝送行列に補正することが望ましい。このようにすれば、さらに、復調時刻における伝送路を反映した伝送路行列を求めることができる。
また、求められる伝送路行列は、復号データベクトルの組と受信データベクトルの組とが用いられるために、誤差を含む可能性がある。推定された伝送路行列に高周波的に変動する誤差が含まれる場合には、正確な復調が妨げられる。よって、伝送路行列から高周波変動成分を除去するような各種のフィルタリングを行うことが望ましい。例えば、更新タイミングにおいて更新される伝送路行列は、更新タイミングにおいて新たに求められた伝送路行列と過去に更新された所定回数の伝送路行列とを平均した平均行列を、次の更新された伝送路行列とするようにしても良い。また、更新タイミングにおいて新たに求められた伝送路行列と、前回に更新された伝送路行列又は過去に更新された所定回数の伝送行列を平均した平均行列との加重平均された行列を、次の更新された伝送路行列としても良い。このような処理をした伝送路行列を用いると、高周波的変動誤差が除去され、復号精度を向上させることができる。
本発明では、受信データを復調するとき、複素平面上において、最も距離の近い可能性のある真の送信データである復号データを得る。この現在の復号データと過去の復号データとの組と、対応する現在の受信データと過去の受信データとの組とから、その復調時刻での伝送路行列を求めるようにした点が、本発明の要旨である。復号データの組と、受信データの組との関係が、その時の伝送路の状態を反映した伝送路行列を与える。このようにして、伝送路行列を更新して、次の復調時刻では、その伝送行列とその時の受信データとを用いて、真の復号データを判定するようにしている。したがって、本発明では、受信装置や送信装置が移動して、送信装置と受信装置との間の相対距離が時間的に変動し、伝送路行列が時間的に変動するような伝送路であっても、正確に、受信データを復調することができる。よって、本発明は、受信装置が停止しているが、送信装置が移動している場合、送信装置が停止しているが、受信装置が移動している場合、その両者が移動している場合などの、空間多重伝送方式を移動体通信に用いた場合に有効である。
また、受信装置において既知の、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数のパイロットデータを受信して、このパイロットデータ組とそれに対応する受信データ組とから、その時の伝送路行列を正確に求めることができる。パイロットデータを受信する毎に、この伝送路行列を初期値とすれば、更新される伝送路行列において誤差が拡大することを防止することができる。
まず、本発明の原理について説明する。説明を簡単にするために、単一搬送波を用いたQPSK変調方式で、送信アンテナ数が2、受信アンテナ数が2の2×2のMIMO−SDM方式に本発明を用いた場合について説明する。
〔初期伝送路行列の推定〕
まず、伝送路行列Hは、2行2列であり、時刻tにおける伝送路行列H(t)を(1)式のように定義する。ただし、hijは、図2に示すように、送信アンテナiから受信アンテナjへの伝送路の伝達関数である。
次に、各送信アンテナから送信される送信データの組を考える。すなわち、各送信アンテナの送信データを成分とするベクトルsを、時刻tにおける送信データベクトルs(t)として、(2)式のように定義する。ただし、s1 、s2 は、それぞれ、送信アンテナ1、2から送信される送信データである。s1 、s2 は、exp(π/4) 、exp(3 π/4) 、exp(5 π/4) 、exp(7 π/4) の4値の何れかをとる値である。
同様に、各受信アンテナにより受信される受信データの組を考える。すなわち、各受信アンテナにより受信される受信データを成分とするベクトルrを、時刻tにおける受信データベクトルr(t)として、(3)式のように定義する。ただし、r1 、r2 は、それぞれ、受信アンテナ1、2により受信される受信データである。
まず、伝送路行列Hは、2行2列であり、時刻tにおける伝送路行列H(t)を(1)式のように定義する。ただし、hijは、図2に示すように、送信アンテナiから受信アンテナjへの伝送路の伝達関数である。
送信データベクトルs(t)と、それに対応する受信データベクトルr(t)を、与えても、(4)又は(5)式では、4要素を有する伝送路行列H(t)を求めることができない。そこで、Δt時刻前、すなわち、時刻、t−Δtにおける送信データベクトルs(t−Δt))と、それに対応する受信データベクトルr(t−Δt)を考える。そして、2つの送信データベクトル(s(t) s(t−Δt))から成る送信データ行列S(t)を、(6)式で定義する。
同様に、2つの受信データベクトル(r(t) r(t−Δt))から成る受信データ行列R(t)を、(7)式で定義する。
以上の定義のように、行列は英文字の大文字、ベクトルは同一文字の小文字、行列、ベクトルの要素は、添字付きの小文字で表す。
以下、説明を簡単にするために、送信タイミングを0,Δt、2Δt、…、nΔtとし、それぞれの時刻を、Δtを1単位として、単に、0、1、2、…nで表す。そして、時刻0、1で送信される2シンボルの送信データをパイロットデータと定義する。すると、上記の送信データ関する定義から、各送信アンテナから送信される第1シンボルのパイロットデータは、s1 (0)、s2 (0)、第1シンボルのパイロットデータベクトルは、s(0)、第2シンボルのパイロットデータは、s1 (1)、s2 (0)、第2シンボルのパイロットデータベクトルは、s(1)、2シンボルで構成されるパイロットデータ行列は、S(1)で定義される。
同様に、時刻0、1で受信される2シンボルの受信データを受信パイロットデータと定義する。すると、上記の受信データに関する定義から、各受信アンテナから出力される第1シンボルの受信パイロットデータは、r1 (0)、r2 (0)、第1シンボルの受信パイロットデータベクトルは、r(0)、第2シンボルの受信パイロットデータは、r1 (1)、r2 (0)、第2シンボルの受信パイロットデータベクトルは、r(1)、2シンボルで構成される受信パイロットデータ行列は、R(1)で定義される。
このように定義すれば、パイロットデータ行列S(1)、受信パイロットデータ行列R(1)、伝送路行列H(1)には、(10)、(11)式の関係が成立する。
ここで、パイロットデータ行列S(1)の逆行列が存在するようにパイロットデータを選択する。すると、(12)式により、伝送路行列H(1)を求めることができる。
この伝送路行列H(1)が、初期値を与える初期伝送路行列となる。ただし、(11)式から明らかなように、時刻0、1での送信データと受信データとから、伝送路行列を求めているので、時刻0と、時刻1とで、伝送路行列が不変であれば、(11)式から、伝送路行列は正確に求まる。しかし、この時刻間で、伝送路行列が変動していると、(12)式で求められる伝送路行列H(1)は、近似値となる。
今、受信装置が電波の進行方向に平行に直線的に等速運動をしているとする。搬送波の伝搬定数γ( ただし、γ=α+jβ、αは減衰定数、βは位相定数である)として、送信データの周期Δt間での受信装置の移動距離(送信装置から遠ざかる方向を正とする)Δxで、搬送波はexp(- γΔx) だけ、振幅と位相が変化する。以下、γΔxを、時間Δt又は距離Δx当たりの伝送量Δγ=(α+jβ)Δxとする。伝送路行列Hは、Δtの間に、exp(- γΔx) =exp(- Δγ) 倍の値に変化する。したがって、受信データベクトルは、伝送量Δγだけ、減算された値となる。例えば、減衰定数を0とすれば、受信データの位相は、伝送路がΔxだけ長くなったことによる遅延作用により、βΔxだけ遅れる。また、伝送路行列H(1)を受信データの復調に用いる時刻は時刻2であるから、伝送路行列は時刻2における値が必要となる。一般的に、時刻m−1における伝送路行列H(m−1)と、Δt後の時刻mにおける伝送路行列H(m)との間には、(13)式が成立する。
ただし、Eは単位行列である。
このような伝送路行列の時間変化を考慮すると、(12)式で求められた伝送路行列(1)は、時刻0と時刻1との中点時刻における伝送路行列と考えることができる。したがって、時刻2における補正された正確な伝送路行列G(2)は、H(1)のexp(- 3Δγ/2) 倍の値となる。すなわち、G(2)とH(1)との間には、(14)式による関係が成立する。
この補正された時刻2における伝送路行列G(2)を、初期伝送路行列とすると、より正確な復調が可能となる。なお、復調時刻2において、伝送路行列H(1)を用いた場合には、伝送路行列H(1)は、(15)式に示す誤差ΔH(1)を有する。
ΔH(1)が存在しても、受信データを判定して、MLD法などにより、真の送信データを求める場合に、ビットエラーが発生しない程度であれば、伝送路行列を補正することなく、H(1)を初期伝送行列とすることも可能である。
以下の説明では、より正確な復調を実現するために、時刻2におけるより正確な伝送行列である補正された初期伝送行列G(2)を用いる。
以下の説明では、より正確な復調を実現するために、時刻2におけるより正確な伝送行列である補正された初期伝送行列G(2)を用いる。
〔受信データの復調〕
時刻2以後、次のパイロットデータが受信されるまでの期間において、Δt間隔で、データの復調が行われるものとする。
時刻2での復調においては、時刻1において推定された時刻2での伝送路行列G(2)を用いる。すると、時刻2で受信された受信データベクトルr(2)、送信データベクトルs(2)、初期伝送路行列G(2)との間には、(16)式が成立する。
時刻2以後、次のパイロットデータが受信されるまでの期間において、Δt間隔で、データの復調が行われるものとする。
時刻2での復調においては、時刻1において推定された時刻2での伝送路行列G(2)を用いる。すると、時刻2で受信された受信データベクトルr(2)、送信データベクトルs(2)、初期伝送路行列G(2)との間には、(16)式が成立する。
したがって、受信装置において、推定される送信データベクトルs(2)は、伝送路行列G(2)の逆行列が存在すれば、(17)式で、一意に、符号間干渉なく求められる。しかし、伝送路行列G(2)の逆行列が存在しない場合には、各送受信アンテナ間の伝送路の独立性がなく、一意的には、送信データベクトルを決定することはできない。すなわち、符号間干渉が発生する。
このようにして、(17)式で得られた送信データベクトルs(2)は、推定された伝送路行列G(2)が時刻2における現実の伝送路の正確な伝送路行列であれば、理論値である(exp((2i−1)π/4) 、exp((2j−1)π/4) )の16通りの何れかになる。ただし、i,j=1、2、3、4である。ところが、伝送路行列G(2)は、時刻2における真の伝送路行列に対して、一般的には、推定誤差を有する。したがって、(17)式で求められた送信データベクトルs(2)に最も近い理論値(exp((2i−1)π/4) 、exp((2j−1)π/4) )を決定する必要がある。これが受信データの判定処理である。この16通りの理論値だけをとる送信データベクトルを候補送信データベクトルuとする。(18)式で定義されるように、(17)式で求められた送信データベクトルs(2)と、候補送信データベクトルuの差ベクトルのノルムLs が最小となる候補送信データベクトルuを真の復号データベクトルqとして決定することで、受信データの判定が完了する。
また、上記の判定は、受信データベクトルの次元で行っても良い。候補送信データベクトルの任意の一つのベクトルuに対して、その受信データベクトルをレプリカ受信データベクトルvとすると、候補送信データベクトルuと、時刻2でのレプリカ受信データベクトルv(2)との間には、(19)式の関係が成立する。
そして、現実の受信データベクトルr(2)と、レプリカ受信データベクトルv(2)との差のベクトルのノルムLr が最小となる候補送信ベクトルuを真の復号データベクトルqとして決定する。このようにしても、受信データベクトルr(2)に対応した最も確からしい復号データベクトルqを決定することができる。なお、伝送路行列G(2)の逆行列が存在しない場合にも、この方法で、復号データベクトルqを決定することができるが、符号間干渉によりその復号データベクトルは複数となり、受信データベクトルから復号データベクトルを一意的に決定することができないことに変わりはない。この方法は、MLD(Maximum Likelihood Detection)と言われる方法である。
〔伝送路行列の更新〕
次に、伝送路行列の更新方法について説明する。上記の(18)式、又は、(20)式のノルムを最小とする確定された一つの候補送信データベクトルuを、時刻2における復号データベクトルq(2)として定義する。また、Δt前の時刻1における復号データベクトルq(1)は、第2シンボルのパイロットデータs(1)として知られている。よって、この時刻1、2における復号データベクトル(q(1) q(2))の行列を復号データ行列Q(2)として定義する。この時の受信データ行列はR(2)となり、受信装置におて、既に、受信されているデータで構成される。
次に、伝送路行列の更新方法について説明する。上記の(18)式、又は、(20)式のノルムを最小とする確定された一つの候補送信データベクトルuを、時刻2における復号データベクトルq(2)として定義する。また、Δt前の時刻1における復号データベクトルq(1)は、第2シンボルのパイロットデータs(1)として知られている。よって、この時刻1、2における復号データベクトル(q(1) q(2))の行列を復号データ行列Q(2)として定義する。この時の受信データ行列はR(2)となり、受信装置におて、既に、受信されているデータで構成される。
受信装置において真の送信データと考えられる復号データ行列Q(2)を受信データ行列R(2)に変換する伝送路行列H(2)が、最も新しい受信データ情報により得られる伝送路行列である。この時刻2における推定すべき伝送路行列H(2)、復号データ行列Q(2)、受信データ行列R(2)には、(21)式の関係式が成立する。
よって、復号データ行列Q(2)の逆行列が存在すれば、(22)式により、時刻2における伝送路行列H(2)が求められる。
よって、復号データ行列Q(2)の逆行列が存在すれば、(22)式により、時刻2における伝送路行列H(2)が求められる。
求めるべきは、次の受信データの復調タイミングである時刻3における予測される伝送路行列である。前述したように、この伝送路行列H(2)は、時刻1と時刻2との中点時刻1.5における伝送路行列である。中点時刻1.5と次の時刻3間における伝送路の伝達関数の変化を(14)式と同様に考慮して、補正された時刻3における正確な伝送路行列G(3)を求める。(14)式におけるΔrは、パイロットデータとパイロットデータの間のデータを送信するデータブロックにおいては、一定と見做す。受信装置の移動の様子(加速度などを)を知ることができるのであれば、それを考慮して、各時刻におけるΔrを求めることは可能である。
このようにして、次の復調時刻3において、用いられる補正された伝送路行列G(3)を求めることができる。
このようにして、次の復調時刻3において、用いられる補正された伝送路行列G(3)を求めることができる。
〔逐次演算の一般化〕
時刻mにおける受信データの復調は、次のようにして行われる。Δt時間前の時刻m−1において、時刻mにおける補正された正確な伝送路行列G(m)は、既に、求められている。したがって、時刻mでの受信データベクトルr(m)と送信データベクトルs(m)と伝送路行列G(m)との間には、(23)式の関係式が成立する。
時刻mにおける受信データの復調は、次のようにして行われる。Δt時間前の時刻m−1において、時刻mにおける補正された正確な伝送路行列G(m)は、既に、求められている。したがって、時刻mでの受信データベクトルr(m)と送信データベクトルs(m)と伝送路行列G(m)との間には、(23)式の関係式が成立する。
次に、(24)式により、受信データベクトルr(m)と候補送信データベクトルuのレプリカ受信データベクトルG(m)uとの差ベクトルのノルムLr (m)が最小となる候補送信データベクトルを復号データベクトルq(m)として決定する。これにより、時刻mにおいて、受信データベクトルr(m)から、正確な復号データベクトルq(m)が決定される。
次に、次の復調タイミングである時刻m+1における伝送路行列G(m+1)を求める処理が、以下のようになされる。時刻m−1での復号データベクトルq(m−1)は、時刻m−1における復調処理によって決定されているので、ベクトルq(m−1)、q(m)からなる復号データ行列Q(m)を生成することができる。時刻mにおては、時刻m−1における受信データベクトルr(m−1)及びr(m)は既知であるので、受信データ行列R(m)を求めることができる。復号データ行列Q(m)が真の値であれば、復号データ行列Q(m)と、受信データ行列R(m)との間の関係が、その時の伝送路行列H(m)となる。Q(m)、R(m)、H(m)には、(25)、(26)式の関係が成立する。
そして、復号データ行列Q(m)の逆行列Q-1(m)が存在する場合には、(27)により、伝送路行列H(m)を求めることができる。Q-1(m)が存在する場合とは、行列式a=q1 (m−1)q2 (m)−q1 (m)q2 (m−1)≠0の場合である。
具体的には、伝送路行列H(m)の各成分hij(m)は、(28)式により求められる。
具体的には、伝送路行列H(m)の各成分hij(m)は、(28)式により求められる。
次に、この伝送路行列H(m)は、時刻m−1と時刻mの中点時刻(2m−1)/2における伝送路行列である。ところが、この推定された伝送路行列H(m)が復調に使用されるのは、次の復調時刻であるm+1である。したがって、中点時刻(2m−1)/2から時刻m+1までの伝送路の変動に基づく、補正された正確な伝送路行列G(m+1)を求める必要がある。補正は、(29)式による。
ただし、Δγ(m)は、前述したように、時刻mにおいて予測される時刻m+1と時刻m間における伝送量の変化分、又は、伝送路がその時間においてΔxだけ長くなったことによるその長さΔxの伝送路における伝送量である。このような補正が、請求項の伝送路行列の時間変化特性の外挿による補正に相当する。
このようにして、時刻mでの全ての処理は完了する。時刻m+1では、伝送路行列G(m+1)を用いて、時刻m+1での受信データの復調処理と次の復調時刻m+2における伝送路行列の更新処理とが実行される。このような逐次演算が、次のパイロットデータが受信されるまで実行される。次のパイロットデータが受信された時には、伝送路行列をリセットして、2シンボルから成るパイロットデータにより正確な初期伝送路行列H(1)、G(2)が演算されて、上記の処理が繰り返される。
復号データ行列Q(m)の逆行列Q-1(m)が存在しない場合には、伝送路行列H(m)の更新は、行わずに、直近に求められている伝送路行列H、Gを用いる。ただし、その求められた時刻と、次に復調に使用する時刻との差に応じた時間差又は距離差に対応する伝送量の補正を(29)式と同様な式で補正しても良い。ただし、(29)式の3/2が、時刻差又は距離差に対応した時間単位となる。
この復調の様子を図に示すと図1のようになる。時刻mにおける受信データベクトルr(m)と、伝送路行列G(m)とを用いて、復号データベクトルq(m)を求める。復号データベクトルq(m−1)、q(m)と、受信データベクトルr(m−1)、r(m)とを用いて、伝送路行列H(m)を求める。その伝送路行列H(m)から、伝送路の変動を考慮し、時刻m+1における補正された伝送路行列G(m+1)を求める。これの繰り返し演算となる。初期値は、パイロットデータベクトルs(0)、s(1)と、その受信データベクトルr(0)、r(1)とから、伝送路行列H(1)を求める。その伝送路行列H(1)を、伝送路の変動を考慮して、最初にデータを復調する時刻2における補正された伝送路行列G(2)を求める。この逐次演算により伝送路行列が更新されて、正確な受信データの復調が可能となる。
なお、特許請求の範囲の現復調タイミングは、時刻mのことであり、現受信データは、受信データベクトルr(m)の成分であるr1 (m)、r2 (m)のことである。また、現復号データは、復号データベクトルq(m)の成分であるq1 (m)、q2 (m)のことである。さらに、過去の受信データは、受信データベクトルr(m−1)の成分であるr1 (m−1)、r2 (m−1)のことである。また、過去の復号データは、復号データベクトルq(m−1)の成分であるq1 (m−1)、q2 (m−1)のことである。また、現伝送路行列はG(m)のことである。また、補正された伝送路行列を用いないのであれば、現伝送路行列はH(m−1)のことである。また、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数は、上記の説明では2である。受信データ組は、受信データ行列R(m)、復号データ組は、復号データ行列Q(m)のことであり、新たな伝送路行列は、H(m)、G(m+1)のことである。
なお、特許請求の範囲の現復調タイミングは、時刻mのことであり、現受信データは、受信データベクトルr(m)の成分であるr1 (m)、r2 (m)のことである。また、現復号データは、復号データベクトルq(m)の成分であるq1 (m)、q2 (m)のことである。さらに、過去の受信データは、受信データベクトルr(m−1)の成分であるr1 (m−1)、r2 (m−1)のことである。また、過去の復号データは、復号データベクトルq(m−1)の成分であるq1 (m−1)、q2 (m−1)のことである。また、現伝送路行列はG(m)のことである。また、補正された伝送路行列を用いないのであれば、現伝送路行列はH(m−1)のことである。また、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数は、上記の説明では2である。受信データ組は、受信データ行列R(m)、復号データ組は、復号データ行列Q(m)のことであり、新たな伝送路行列は、H(m)、G(m+1)のことである。
〔実施態様の各種の変形〕
1.伝送量Δγの推定
パイロットデータのシンボル数を多くすれば、隣接するシンボルの各中点時刻における伝送路行列Hを複数求めることができる。この伝送路行列Hの時間変化特性を測定して、データの送信周期Δt当たりの伝送量の変化を測定すれば、Δγを得ることができる。パイロットデータブロックを受信する毎に、この伝送量Δγは、更新することができる。パイロットデータブロック間のデータブロックにおいては、伝送量Δγは一定と見做すか、受信装置の移動速度をリアルタイムに検出してΔt時間毎の移動距離Δxを求めて、そのΔxに応じて、伝送量Δγを補正するようにしても良い。
1.伝送量Δγの推定
パイロットデータのシンボル数を多くすれば、隣接するシンボルの各中点時刻における伝送路行列Hを複数求めることができる。この伝送路行列Hの時間変化特性を測定して、データの送信周期Δt当たりの伝送量の変化を測定すれば、Δγを得ることができる。パイロットデータブロックを受信する毎に、この伝送量Δγは、更新することができる。パイロットデータブロック間のデータブロックにおいては、伝送量Δγは一定と見做すか、受信装置の移動速度をリアルタイムに検出してΔt時間毎の移動距離Δxを求めて、そのΔxに応じて、伝送量Δγを補正するようにしても良い。
受信装置の移動速度が速くなく、パイロットデータブロックの送信周期が長い場合には、次のようにして求めても良い。一つのパイロットデータブロックを受信して、これから求められる伝送路行列Hの平均値HE を求めて、1周期前のパイロットデータブロックで求められている平均された伝送行列Hの平均値HS を求め、それらの値HE 、HS から、隣接するパイロットデータブロック間のΔt当たりの平均された伝送量Δγを求める。この値を次のパイロットデータブロックが受信されるまでの伝送量Δγとする。多数シンボルで構成されるパイロットデータを用いる場合の上述の手法も含めて、これらは、直線外挿補間の手法であるが、受信装置の移動態様が測定でき、伝送量の曲線的変化が予測できるのであれば、曲線による外挿補間の手法を用いても良い。
2.補正された伝送路行列Gの必要性
上記したように、伝送路行列を求めた時刻と、それを用いて復調する復調時刻のずれを、伝送量Δγにより補正することで、より、正確な受信データの復調が可能となる。上記したように、この補正は、1.5Δtの時間差に基づく伝送量の変化を補正するものであるが、この期間の伝送量の変動が小さい場合には、1.5Δt時間前の伝送路を反映している伝送路行列Hを用いても良い。伝送路行列Hを用いた時の誤差は、(24)式においてG(m)をH(m−1)として求められた復号データベクトルq(m)のレプリカ受信ベクトルH(m−1)q(m)と、受信データベクトルr(m)との差ベクトルのノルムとなる。したがって、ビットエラーが発生する確率は、G(m)を用いた場合に比べて高くなるが、ビットエラーが発生しない余裕がある範囲の誤差であれば、伝送路行列Hを用いることも十分に可能である。
また、上記の説明では、(29)式のように、伝送路行列H(m)の全ての要素について、同一の補正係数exp (−3Δγ/2)を掛けているが、各要素毎に補正係数が異なるのであれば、補正係数を各要素毎に変えても良い。
上記したように、伝送路行列を求めた時刻と、それを用いて復調する復調時刻のずれを、伝送量Δγにより補正することで、より、正確な受信データの復調が可能となる。上記したように、この補正は、1.5Δtの時間差に基づく伝送量の変化を補正するものであるが、この期間の伝送量の変動が小さい場合には、1.5Δt時間前の伝送路を反映している伝送路行列Hを用いても良い。伝送路行列Hを用いた時の誤差は、(24)式においてG(m)をH(m−1)として求められた復号データベクトルq(m)のレプリカ受信ベクトルH(m−1)q(m)と、受信データベクトルr(m)との差ベクトルのノルムとなる。したがって、ビットエラーが発生する確率は、G(m)を用いた場合に比べて高くなるが、ビットエラーが発生しない余裕がある範囲の誤差であれば、伝送路行列Hを用いることも十分に可能である。
また、上記の説明では、(29)式のように、伝送路行列H(m)の全ての要素について、同一の補正係数exp (−3Δγ/2)を掛けているが、各要素毎に補正係数が異なるのであれば、補正係数を各要素毎に変えても良い。
3.送信アンテナと受信アンテナの数について
上記の説明では、送信アンテナと受信アンテナとを同数の2本とした。上記の説明が、3以上のn×nのMIMOにおいても、成立することは明らかである。全ての行列がn×nの正方行列となるからである。
上記の説明では、送信アンテナと受信アンテナとを同数の2本とした。上記の説明が、3以上のn×nのMIMOにおいても、成立することは明らかである。全ての行列がn×nの正方行列となるからである。
送信アンテナの数が、受信アンテナの数よりも多い場合にも、上記した説明は成立する。例えば、送信アンテナの数をn本、受信アンテナの数をm本(1≦m<n)とした場合を考える。送信データ行列Sをn×nの正方行列(データ数を増加するだけであるので、このように設定できる)とすれば、受信データ行列Rはm×n、伝送路行列Hは、m×n行となる。送信データ行列の逆行列が存在する限り、伝送路行列Hを求めることができる。伝送路行列Hが求まれば、受信データベクトルとレプリカ受信データベクトルの差ベクトルのノルムが最小な復号データベクトルを求めることができる。
また、送信アンテナの数が、受信アンテナの数よりも少ない場合にも、上記した説明は成立する。例えば、送信アンテナの数をn本、受信アンテナの数をm本(2≦n<m)とした場合を考える。送信データ行列Sをn×nの正方行列とすれば、受信データ行列Rはm×n、伝送路行列Hは、m×n行となる。送信データ行列の逆行列が存在する限り、伝送路行列Hを求めることができる。伝送路行列Hが求まれば、受信データベクトルとレプリカ受信データベクトルの差ベクトルのノルムが最小な復号データベクトルを求めることができる。
したがって、本発明は、送信アンテナが2本以上存在した空間多重伝送方式において適用することができる。
また、STBC方式は、上述した方式の特別な場合であるから、送信データ行列Sを正方行列として、送信データ行列に逆行列が存在する限り、伝送路行列Hを推定することができる。よって、本発明は、STBC方式にも適用可能である。
したがって、本発明は、送信アンテナが2本以上存在した空間多重伝送方式において適用することができる。
また、STBC方式は、上述した方式の特別な場合であるから、送信データ行列Sを正方行列として、送信データ行列に逆行列が存在する限り、伝送路行列Hを推定することができる。よって、本発明は、STBC方式にも適用可能である。
4.伝送路行列の更新時期について
上記の説明では、Δt毎の毎回の復調時刻において、伝送路行列の更新を実行している。伝送路行列が大きく変化しないのであれば、この更新周期は、復調周期Δtよりも長くすることができる。また、(24)式におけるノルムLr (m)の最小値が所定値を越える毎に、伝送路行列の更新を実行し、越えない場合には、その更新を実行しないような不定期な更新であっても良い。さらに、更新周期が復調周期よりも長い場合において、更新後、kだけ経過した復調時刻における補正された伝送路行列を、直近に更新された伝送路行列を、kΔγで補正した伝送路行列を受信データの復調に用いても良い。そして、この補正された伝送路行列に対して、(24)式におけるノルムLr (m)の最小値が所定値を越える毎に、伝送路行列を更新するようにしても良い。
上記の説明では、Δt毎の毎回の復調時刻において、伝送路行列の更新を実行している。伝送路行列が大きく変化しないのであれば、この更新周期は、復調周期Δtよりも長くすることができる。また、(24)式におけるノルムLr (m)の最小値が所定値を越える毎に、伝送路行列の更新を実行し、越えない場合には、その更新を実行しないような不定期な更新であっても良い。さらに、更新周期が復調周期よりも長い場合において、更新後、kだけ経過した復調時刻における補正された伝送路行列を、直近に更新された伝送路行列を、kΔγで補正した伝送路行列を受信データの復調に用いても良い。そして、この補正された伝送路行列に対して、(24)式におけるノルムLr (m)の最小値が所定値を越える毎に、伝送路行列を更新するようにしても良い。
5.伝送路行列H,Gのフィルタリングについて
上記の説明では、最も新しい受信データ行列R、復号データ行列Qとから、最新の伝送路行列H,Gを求めている。この場合には、推定された伝送路行列の高周波的変動が、そのまま、復号に反映される。高周波成分が雑音成分であることも考えられるので、この伝送路行列H,Gに関して、良く知られている比例、積分演算や、所定期間における各種の平均、加重平均などにより、更新されるべき伝送路行列を求めても良い。
上記の説明では、最も新しい受信データ行列R、復号データ行列Qとから、最新の伝送路行列H,Gを求めている。この場合には、推定された伝送路行列の高周波的変動が、そのまま、復号に反映される。高周波成分が雑音成分であることも考えられるので、この伝送路行列H,Gに関して、良く知られている比例、積分演算や、所定期間における各種の平均、加重平均などにより、更新されるべき伝送路行列を求めても良い。
例えば、(30)式に示されるように、受信データ行列R、復号データ行列Qとから求められる各復調時刻毎の伝送路行列H(t)、G(t)の過去の一定期間(k+1の復調時刻数)における平均行列H1 (m)、G1 (m)を、更新行列としても良い。
また、最新の時刻mにおいて推定された伝送路行列H(m)、G(m)と、それらのΔt時刻前の時刻m−1での補正伝送行列H2 (m−1)、G2 (m−1)との、加重平均値を、新たに更新された補正伝送路行列H2 (m)、G2 (m)として、この伝送行列に基づいて復調する方法がある。すなわち、(31)式により、補正伝送路行列H2 (m)、G2 (m)を求める方法がある。係数αを大きくすれば、過去の履歴に重きを置いて補正伝送路行列が演算されることになる。比例、積分演算で、積分係数を大きくしたのと透過である。
また、上記の第1の方法と第2の方法とを組合せた方法も考えられる。受信データ行列R、復号データ行列Qとから求められた各復調時刻毎の伝送路行列H(t)、G(t)の過去の一定期間(k+1の復調時刻数)における平均行列H1 (m)、G1 (m)と、最新の時刻mにおいて求められた伝送路行列H(m)、G(m)との加重平均を、時刻mでの更新された伝送路行列H3 (m)、G3 (m)とする方法である。すなわち、(32)式により、更新された伝送路行列H3 (m)、G3 (m)を求める方法である。
6.伝送路行列の更新の意味
復調時刻mにおける伝送行列H(m)、G(m)は、それらの初期伝送行列H(1)、G(2)を用いて、(33)式のように表現することができる。ただし、B(m)は、初期伝送行列に対する変位を表しているので、変位行列と呼ぶ。
また、送信データベクトルs(m)は、受信データベクトルr(m)を用いて、(34)式で表現される。したがって、B-1(m)r(m)を補正された受信データベクトルr' (m)とすれば、この補正された受信データベクトルr' (m)を用いるのであれば、変動しない初期伝送行列H(1)、G(2)を用いて、復号できる。したがって、伝送行列の更新と、受信データベクトルのB-1(m)r(m)による補正は、等価となる。よって、本件発明の伝送路行列の更新は、このような伝送路行列の変動により、受信データベクトルを補正することも含むものである。
復調時刻mにおける伝送行列H(m)、G(m)は、それらの初期伝送行列H(1)、G(2)を用いて、(33)式のように表現することができる。ただし、B(m)は、初期伝送行列に対する変位を表しているので、変位行列と呼ぶ。
以下、本発明の具体的な実施例として、本発明を実現する復調装置を示す。
本実施例は図2に示すように、送信アンテナが2本、受信アンテナが2本の2×2のMIMO伝送方式によるものである。送信装置10は送信アンテナ11、12を有し、受信装置20は受信アンテナ21、22を有する。送信装置10はシリアルな送信データを、2系統に分離して、変調して、各送信アンテナ11、12から送信する多重化装置15を有している。また、受信装置20は、受信アンテナ21、22から受信された高周波変調信号を受信して、送信時のベースバンドデータに復号化する復調装置25を有している。
本実施例は図2に示すように、送信アンテナが2本、受信アンテナが2本の2×2のMIMO伝送方式によるものである。送信装置10は送信アンテナ11、12を有し、受信装置20は受信アンテナ21、22を有する。送信装置10はシリアルな送信データを、2系統に分離して、変調して、各送信アンテナ11、12から送信する多重化装置15を有している。また、受信装置20は、受信アンテナ21、22から受信された高周波変調信号を受信して、送信時のベースバンドデータに復号化する復調装置25を有している。
送信アンテナ11、12から受信アンテナ21、22への伝達関数が伝送路行列である。伝送路行列の各要素は、図示されているように、h11は、送信アンテナ1から受信アンテナ1への伝達関数、h12は、送信アンテナ1から受信アンテナ2への伝達関数、h21は、送信アンテナ2から受信アンテナ1への伝達関数、h22は、送信アンテナ2から受信アンテナ2への伝達関数である。送信データs1 、s2 、受信データr1 、r2 、時刻mにおける送信データベクトル、受信データベクトル、送信データ行列、受信データ行列の定義は前述した通りである。
次に、受信装置20の復調装置25の構成について説明する。復調装置25は、受信アンテナ21、22で受信された高周波変調信号から搬送波を再生して、その搬送波を用いて高周波変調信号を同期復調して受信データを得るQPSK復調装置50(請求項の受信装置に対応)を有している。このQPSK復調装置50から、受信データr1 、r2 が得られる。受信データr1 、r2 は複素空間にけおる任意の値exp(j θ) であり、まだ、exp(j (2k−1)π/4)(ただし、k=1,2,3,4)の離散値には判定されて復号されていない値である。本明細書では、この離散的な真の送信データを求めることを復号化と言う。
また、復調装置25は、受信データ判定部51と初期伝送路行列演算部52とMIMOデコード部53と伝送路行列更新部54などから主に構成されている。これらは、アナログ回路、デジタル回路、コンピュータ・ハードウェア、またはコンピュータ・ソフトウェアなどによって実現することができ、それらの実現方式は任意でよく、特段限定されるものではない。
そして、この復調装置25の最も大きな特徴は、伝送路行列更新部54により、受信データの受信時刻における伝送路行列を求め、次の復調時刻において、その伝送路行列を用いて、受信データを復号化する点に大きな特徴がある。
そして、この復調装置25の最も大きな特徴は、伝送路行列更新部54により、受信データの受信時刻における伝送路行列を求め、次の復調時刻において、その伝送路行列を用いて、受信データを復号化する点に大きな特徴がある。
受信データ判定部51は、受信データr1 ,r2 がパイロットデータであるか否かを判定し、これらがパイロットデータである場合には、受信データr1 ,r2 を初期伝送路行列演算部52へ、そうでなければ受信データr1 ,r2 をMIMOデコード部53へ送出する。また、同時に、受信データr1 ,r2 がパイロットデータである場合には、スイッチsw1を接点aに接続し、そうでなければスイッチsw1を接点bに接続する。
初期伝送路行列演算部52は、入力されたパイロットデータに基づいて、送信局と当該受信局との間のマルチパスの各伝搬路特性を推定する。即ち、(10)、(11)、(12)式にしたがって、初期伝送路行列H(1)を演算する。その後、(14)式に従って、次の復調時刻2における補正された初期伝送路行列G(2)を求め、接点aに出力する。
MIMOデコード部53は、スイッチsw1から初期伝送路行列G(2)を入力する。次に、MIMOデコード部53は、パイロットデータではない復号されるべき受信データr1 ,r2 を受信データ判定部51から入力する。そして、(16)〜(20)式に従って、最初のデータの復号データq(2)を得る。
また、一般に、データの復調時刻mにおいては、受信データ判定部51から受信データベクトルr(m)を入力して、伝送路行列更新部54からその時刻における伝送路行列G(m)を入力して、(24)式によるノルムLr (m)が最小となる候補送信データベクトルuを真の復号データベクトルq(m)として求める。
また、一般に、データの復調時刻mにおいては、受信データ判定部51から受信データベクトルr(m)を入力して、伝送路行列更新部54からその時刻における伝送路行列G(m)を入力して、(24)式によるノルムLr (m)が最小となる候補送信データベクトルuを真の復号データベクトルq(m)として求める。
伝送行列更新部54は、受信データ判定部51から既に入力されているパイロットデータブロックではない復調時刻m−1、mにおける受信データベクトルr(m−1)、r(m)から、受信データ行列R(m)を生成する。また、伝送行列更新部54は、MIMOデコード部53から、既に、入力されている復号データベクトルq(m)、q(m−1)から復号データ行列Q(m)を生成し、(27)式により伝送路行列H(m)を求め、(29)式により時刻m+1における補正された伝送路行列G(m+1)を求める。そして、伝送路行列G(m+1)をMIMOデコード部53に出力する。MIMOデコード部53は、次の復調時刻m+1において、入力した受信データベクトルr(m+1)と、伝送路行列G(m+1)から、復号データベクトルq(m+1)を求める。
なお、請求項において、復号装置は、主として、MIMOデコード部53に、伝送路行列更新装置は、伝送路行列更新部54に、伝送路行列初期化装置は、初期伝送路行列演算部52に対応する。
なお、請求項において、復号装置は、主として、MIMOデコード部53に、伝送路行列更新装置は、伝送路行列更新部54に、伝送路行列初期化装置は、初期伝送路行列演算部52に対応する。
次に、復調装置25の動作手順について、図4に基づいて説明する。本実施例では、図3の装置は、コンピュータ装置で実現したもので、受信された高周波変調信号をサンプリングして、ディジタルデータにしてから、QPSK復調以下の処理を行うものである。複素空間のベースバンドの受信データrに変換されたデータに関して、以下の処理が実行される。図4の手順は、復調装置25が受信モードになった時に実行される。まず、ステップ100において、受信データベクトルrが読み取られ、ステップ102で、装置が受信モードに設定されてから、初めて受信するパイロットデータか否かが判定される。パイロットデータが受信されていない場合には、伝送路行列が、全く求まっていないので、受信データの復調処理をすることなく、ステップ100に戻る。このステップ100、102のループにより、最初のパイロットデータが受信されるまで、CPUは、待機することになる。
次に、初めてのパイロットデータが受信されると、初めて、受信データの処理が可能となる。パイロットデータであれば、ステップ104において、受信データベクトルr(m)として記憶し、時刻変数mを1だけ更新する。次に、ステップ106において、次の受信データベクトルrが読み込まれ、次のステップ106において、パイロットデータか否かが判定される。パイロットデータであれば、次のステップ110において、パイロットデータの先頭か否かが判定れる。先頭でない場合には、次のステップ112で、受信データベクトルr(m)を記憶し、復調時刻変数mを1だけ更新し、ステップ114へ移行して、パイロットデータの終了か否かが判定される。受信データがパイロットデータの最終でない場合には、ステップ106へ移行して、受信データの記憶を繰り返す。受信データがパイロットデータの最終である場合には、本実施例では、2シンボルの受信パイロットデータr(0)、r(1)の受信が完了したことになるので、ステップ116に移行して、初期伝送路行列H(1)が、(12)式により演算される。ここで、送信データ行列S(1)は、パイロットデータs(0)、s(1)で構成されるので、受信装置において既知の値である。次に、ステップ118において、(14)式により、初期伝送路行列H(1)の補正演算を行って、次の復調時刻2における補正された初期伝送路行列G(2)が求められる。このステップは、請求項の伝送路行列補正装置に対応する。そして、次の受信データを読み取るべく、ステップ106に戻る。
ステップ108で、受信データがパイロットデータでないと判定された場合には、復号すべきデータであるから、ステップ120に移行して、受信データベクトルr(m)を記憶して、時刻変数mを1だけ更新して、ステップ122に移行する。ステップ122では、時刻mにおける補正された伝送路行列(m)、既に得られている受信データ行列R(m)とから、(23)、(24)式により、候補送信データベクトルuの中から、ノルムLr (m)を最小とする復号データベクトルq(m)を求める。次に、ステップ124において、復号データ行列Q(m)、受信データ行列R(m)とから、伝送路行列(m)を(26)、(27)式により求める。次に、次の復調時刻m+1での補正された正確な伝送路行列G(m+1)を(29)式により求める。このステップは、請求項の伝送路行列補正装置に対応する。そして、ステップ106に戻る。この処理の繰り返しにより、受信データベクトルr(m)は、精度高く、復号データベクトルq(m)を得ることができる。
また、このデータの復号の後に、次のパイロットデータが受信されると、ステップ108の判断がYes となるので、ステップ110で、パイロットデータの先頭か否かが判定されて、判定がYes であれば、ステップ128において、時刻変数mが0に初期設定され、次のステップ112で、受信データベクトルr(m)は、受信パイロットデータr(0)として記憶される。このような処理により、パイロットデータが受信される毎に、伝送路行列H、Gは、初期値にリセットされることになり、伝送路の推定誤差が伝搬することを防止することができる。
実施例1は、データの復調時刻毎に伝送路行列を推定する方法を採用している。本実施例では、(24)式により、受信データベクトルr(m)と、レプリカ受信データベクトルG(m)uとの差ベクトルのノルムLr (m)の最小値、すなわち、受信データベクトルr(m)とレプリカ復号データベクトルG(m)q(m)のノルムLq (m)が所定値Th以上である場合に、伝送路行列を更新するようにしたことが特徴である。図5に示すように、図4のステップ122と124との間に、ステップ200の判定ステップ(請求項の判定装置に対応)を挿入している。ステップ200で、上記のノルムLq (m)が所定値Th以上と判定された場合には、図4のステップ124以下の伝送路行列H、Gの更新処理が実行され、そうでない場合には、図4のステップ124以下の更新処理をすることなく、図4のステップ106に戻り、次の復調時刻m+1での受信データベクトルr(m+1)の読取が実行される。
また、高周波変動誤差があることを考慮して、ノルムLq (m)が所定回数(例えば、3、4回)連続して、所定値Th以上となった場合に、伝送路行列の更新を行うようにしても良い。さらに、ノルムLq (m)の過去の所定回数分の平均値が、所定値Th以上となった場合に、伝送路行列の更新を行うようにしても良い。
また、高周波変動誤差があることを考慮して、ノルムLq (m)が所定回数(例えば、3、4回)連続して、所定値Th以上となった場合に、伝送路行列の更新を行うようにしても良い。さらに、ノルムLq (m)の過去の所定回数分の平均値が、所定値Th以上となった場合に、伝送路行列の更新を行うようにしても良い。
実施例1、2は、時刻m−1、mの2時刻における2シンボル分の復号データベクトルq(m−1)、q(m)と、受信データベクトルr(m−1)、r(m)から、伝送路行列H(m)、補正された伝送路行列G(m+1)を求める方式である。したがって、伝送路の高周波的変動が直ちにデータの復号に反映されることになる。これも一つの利点ではあるが、この高周波変動を除去して、ある時間範囲での平均された値で伝送路行列を求めるのも効果がある。このために、実施例1、2における図4のステップ126の後に、その意味を上述したように、高周波成分を除去する(31)、(32)式で示すH2 (m)、G2 (m+1)、H3 (m)、G3 (m+1)を、データの復号に用いる伝送路行列としている。
〔変形例〕
全実施例において、補正された伝送路行列Gを用いることなく、伝送路行列H(m)を次の復調時刻m+1でのデータの復号に用いる伝送路行列としても良い。また、パイロットデータは、2×2のMIMOの場合には、少なくとも2シンボルあれば良い。パイロットデータは、送信データ行列を正方行列とするために、少なくとも送信アンテナの数だけのシンボルを有すれば良い。パイロットデータを最低限のシンボル数以上とした場合には、複数の初期伝送路行列を求めることができるので、それらの平均値などを用いることで、さらに、正確な初期伝送路行列を得ることができると共に、伝送路の変化特性を予測することができる。
全実施例において、補正された伝送路行列Gを用いることなく、伝送路行列H(m)を次の復調時刻m+1でのデータの復号に用いる伝送路行列としても良い。また、パイロットデータは、2×2のMIMOの場合には、少なくとも2シンボルあれば良い。パイロットデータは、送信データ行列を正方行列とするために、少なくとも送信アンテナの数だけのシンボルを有すれば良い。パイロットデータを最低限のシンボル数以上とした場合には、複数の初期伝送路行列を求めることができるので、それらの平均値などを用いることで、さらに、正確な初期伝送路行列を得ることができると共に、伝送路の変化特性を予測することができる。
本発明は、高品質の移動体通信に用いることができる。
10…送信装置
15…多重化装置
20…受信装置
25…復調装置
50…QPSK復調装置
51…受信データ判定部
52…初期伝送行列演算部
53…MIMOデコード部
54…伝送行列更新部
15…多重化装置
20…受信装置
25…復調装置
50…QPSK復調装置
51…受信データ判定部
52…初期伝送行列演算部
53…MIMOデコード部
54…伝送行列更新部
Claims (14)
- 搬送波を送信データで変調して得られる送信信号を、少なくとも送信アンテナを複数本用いて空間多重化して送信し、受信装置において、前記送信信号を復調して受信データを得て、送信データと受信データとの関係を規定する伝送路行列を推定し、この推定された伝送路行列と前記受信データとから、判定された真の送信データである真の復号データを求める空間多重伝送復調方法において、
前記推定された伝送路行列の更新タイミングにおいては、
現復調タイミングにおいて復調された現受信データと、復調に用いる現伝送路行列とから、その現受信データに対応する判定された真の現復号データを求め、
伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、前記現受信データと過去の受信データとから構成される受信データ組と、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、前記真の復号データと過去の真の復号データとから構成される真の復号データ組と、から新たな伝送路行列を求めて、その新たな伝送路行列に基づいて伝送路行列を更新するこことを特徴とする空間多重伝送復調方法。 - 伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、受信装置において既知のパイロットデータ組と、それを復調して得られる受信データ組とから求められる伝送路行列を、順次更新される前記伝送路行列の初期行列としてリセットすることを特徴とする請求項1に記載の空間多重伝送復調方法。
- 前記伝送路行列の更新は、受信データの復調タイミング毎に実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空間多重伝送復調方法。
- 前記伝送路行列の更新は、前記現受信データが前記現送信伝送路行列により変換される送信データと前記真の復号データとの間の偏差、又は、前記真の復号データが前記現送信伝送路行列により変換されるレプリカ受信データと前記現受信データとの間の偏差が、所定値以上となった場合に、行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空間多重伝送復調方法。
- 復調タイミングにおいて、前記真の復号データを求めるのに用いられる伝送路行列は、過去の復調タイミングにおいて求められた伝送路行列の時間変化特性を、その復調タイミングまで外挿して得られる伝送行列に補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空間多重伝送復調方法。
- 更新タイミングにおいて更新される前記伝送路行列は、更新タイミングにおいて前記新たに求められた伝送路行列と過去に更新された所定回数の伝送路行列とを平均した平均行列を、次の更新された伝送路行列とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空間多重伝送復調方法。
- 更新タイミングにおいて前記新たに求められた伝送路行列と、前回に更新された伝送路行列又は過去に更新された所定回数の伝送行列を平均した平均行列との加重平均された行列を、次の更新された伝送路行列とすることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空間多重伝送復調方法。
- 搬送波を送信データで変調して得られる送信信号を、少なくとも送信アンテナを複数本用いて空間多重化して送信し、受信装置において、前記送信信号を復調して受信データを得て、送信データと受信データとの関係を規定する伝送路行列を推定し、この推定された伝送路行列と前記受信データとから、判定された真の送信データである真の復号データを求める空間多重伝送復調方法に用いられる復調装置において、
前記送信信号を復調して受信データを得る受信装置と、
前記推定された伝送路行列の更新タイミングにおいて、前記復調装置により現復調タイミングにおいて復調された現受信データと、復調に用いる現伝送路行列とから、その現受信データに対応する判定された真の現復号データを求める復号装置と、
前記推定された伝送路行列の更新タイミングにおいて、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、前記現受信データと過去の受信データとから構成される受信データ組と、伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、前記真の復号データと過去の真の復号データとから構成される真の復号データ組と、から新たな伝送路行列を求めて、その新たな伝送路行列に基づいて伝送路行列を更新する伝送路行列更新装置と
を有するこことを特徴とする空間多重伝送復調装置。 - 伝送路行列を求めるのに必要なシンボル数で構成され、受信装置において既知のパイロットデータ組と、それを復調して得られる受信データ組とから求められる伝送路行列を、順次更新される前記伝送路行列の初期行列としてリセットする伝送路行列初期化装置を、さらに、有することを特徴とする請求項8に記載の空間多重伝送復調装置。
- 前記伝送路行列更新装置は、受信データの復調タイミング毎に、前記伝送路行列の更新を実施することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の空間多重伝送復調装置。
- 前記現受信データが前記現送信伝送路行列により変換される送信データと前記真の復号データとの間の偏差、又は、前記真の復号データが前記現送信伝送路行列により変換されるレプリカ受信データと前記現受信データとの間の偏差が、所定値以上か否かを判定する判定装置を有し、
前記判定装置により前記偏差が所定値以上となった場合に、前記伝送路行列更新装置は、前記伝送路行列の更新を行う
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の空間多重伝送復調装置。 - 復調タイミングにおいて、前記真の復号データを求めるのに用いられる伝送路行列は、過去の復調タイミングにおいて求められた伝送路行列の時間変化特性を、その復調タイミングまで外挿して得られる伝送行列に補正する伝送行列補正装置を、
さらに、有することを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れか1項に記載の空間多重伝送復調装置。 - 前記伝送路行列更新装置は、更新タイミングにおいて前記新たに求められた伝送路行列と過去に更新された所定回数の伝送路行列を平均した平均行列を、次の更新された伝送路行列とする装置である
ことを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載の空間多重伝送復調装置。 - 前記伝送路行列更新装置は、更新タイミングにおいて前記新たに求められた伝送路行列と、前回に更新された伝送路行列又は過去に更新された所定回数の伝送行列を平均した平均行列との加重平均された行列を、次の更新された伝送路行列とすることを特徴とする請求項8乃至請求項13の何れか1項に記載の空間多重伝送復調装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306828A JP2008124818A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 空間多重伝送復調方法及び空間多重伝送復調装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2009065393A (ja) * | 2007-09-05 | 2009-03-26 | Toyota Central R&D Labs Inc | 復調方法及び復調装置 |
JP2009147940A (ja) * | 2007-12-11 | 2009-07-02 | Sony Deutsche Gmbh | 送信装置及び方法並びに受信装置及び方法 |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006306828A patent/JP2008124818A/ja active Pending
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KR101502171B1 (ko) * | 2007-12-11 | 2015-03-12 | 소니 주식회사 | 송신 장치 및 방법과, 수신 장치 및 방법 |
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