図1は、本発明の多層型の光ディスク1000の概念を模式的に示した図である。光ディスク1000は、基板100、および基板100に積層された第1〜第n(nは2以上の整数)の記録層を備えている。さらに、第1〜第nの記録層のそれぞれは、光ディスク1000の半径方向に第1〜第m(mは2以上の整数)のデータゾーン群に区画されたデータ領域を有している。第1〜第mのデータゾーン群のそれぞれは少なくとも1つのデータゾーンを含んでいる(図1では、一例として、データゾーン群は3つのデータゾーンを含んでいる)。また、第1〜第nの記録層のそれぞれは、データ領域以外の領域を含んでいてもよい。
光ディスク1000に情報を記録/再生するには、(a)第1の記録層の第jのデータゾーン群から第nの記録層の第jのデータゾーン群まで情報を記録/再生し、(b)j=1,2,・・・,mについて、上記ステップ(a)を繰り返すことによって行われる。このように、本発明の多層型の光ディスクを用いた情報の記録/再生方法では、各データゾーン群が連続的な情報ストリームを形成することに特徴がある。
なお、図1では記録層について、基板100から遠い側の記録層から第1、第2、第3、・・・・、第nの記録層としたが、基板100に近い側から第1、第2、第3、・・・・、第nの記録層としてもよい。データゾーン群について、ディスク1000の内側から外側に向かって、第1、第2、第3、・・・・、第mのデータゾーン群としたが、ディスク1000の外側から内側に向かって、第1、第2、第3、・・・・、第mのデータゾーン群としてもよい。
さらに、第1〜第nの記録層のうち1つの記録層は、ディスクの表面から常に所定の距離にあるような構成であってもよい。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図2(a)は、実施の形態1による2層構造を有する光ディスクの模式断面図である。また、図2(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法(方向、順番)を示した模式断面図である。さらに、本発明の光ディスクに情報を記録/再生するための装置の構成を示すブロック図を図3に示す。以下図2(a)、図2(b)、および図3を用いて実施の形態1について説明する。
図2(a)に示すように本実施の形態の光ディスクは、樹脂やガラスの基板4に2つの記録可能な記録層(L1層5、L0層6)を接着層7によって積層している。L0層6およびL1層5はともに、基板からみて遠い側に情報面がある。L0層6は約70μm〜約85μm、接着層は約30μmに設定されているので、ディスク表面からL1層の情報面までの距離は約100μm〜約115μmである。本実施の形態の光ディスクでは、最内周のクランプエリア3から、それぞれL0、L1層ともバーコードエリア(システムエリア)11、12、リードインエリア21、22、ギャップエリア31、32、テストエリア41、42、交替情報エリア51、52、交替エリア61、62が内周のシステムエリア120,121として配置されており、データエリア122,123を挟んで、交替エリア71、72、交替情報エリア81、82、リードアウトエリア91、92が外周のシステムエリア124、125として配置されている。
またユーザデータを記録/再生するデータエリア122、123は所定のディスク半径位置ごとにL0層はデータゾーン101からデータゾーン109、L1層はデータゾーン201からデータゾーン209(本実施の形態では説明の便宜上各9ゾーンになっているが、これに限定されず、任意の数のデータゾーンが可能である)に分割され、ゾーン毎に回転数を切り換えて線速度(または線密度)が略一定で記録され、その記録した情報が再生される。
それぞれのエリアの目的、役割について説明する。バーコードエリア11、12では、ディスク成形後に記録面の反射膜をレーザカッティング等の手法を用いて部分的に除去したり、印刷またはインクの塗布などを行うことにより、その表面にバーコードが生成される。バーコードの情報としては、著作権保護のための鍵情報、サポート管理のためのシリアルNo.など、またはそのディスクの種類、層数、タイプ(記録型、追記型、再生専用)などがある。このようにして、バーコードエリア11、21には、基本特性が付加された情報が予め記録されている。
バーコードエリア11、12に隣接するリードインエリア21、22には、エンボスピットにより、記録層の層数や容量、ディスク種別(再生専用のROMディスク、記録可能なRAMディスクなど)、記録型の場合はその記録条件などの物理情報、およびバーコードと組み合わせる著作権情報などがコントロールデータとして予め成形時に記録されている。リードインエリア21、22に隣接するギャップエリア31、32は、通常エンボスで形成されたROM領域と案内トラックおよびセクタ構造のRAM領域との境界にあり、通常高反射率のミラー部となっている(リードイン領域生成時のマージン領域も兼ねている)。
ギャップエリア31、32に隣接するテストエリア41、42は、実際にレーザを記録パワーで照射してレーザパワー等の最適学習を行ったり、フォーカス制御の目標位置等を学習するためのテスト領域である。テストエリアに隣接する交替情報エリア51、52は、ディフェクト等で使用できないセクタやブロックのアドレスを登録しておく領域である。また、交換情報エリア51、52に隣接する交替エリア61、62は実際に使用できないセクタやブロックに相当する部分の代替領域である。
次に、図3を参照して、本発明の記録/再生装置について詳述する。図3は本発明による光ディスクに情報を記録/再生する装置のブロック図である。この装置は、光ディスクによって反射された光ビームを受け取る受光手段と、光ビームの焦点の位置を光ディスクの記録層の積層方向に移動させる移動手段と、受光手段の出力に応じて移動手段を制御することにより、光ビームの焦点と第1〜第nの記録層のうち選択された1つの記録層との距離が所定の誤差範囲内となるようにフォーカス制御を実行する制御手段とを備えている。図3において、受光手段は光検出器511、移動手段はトラッキング制御素子509、フォーカス制御素子510および2ch駆動回路533、制御手段はDSP513にそれぞれ相当する。また、DSP513は、光検出器511からの出力に応じて光ビームの焦点の位置を補正するように、フォーカシングおよびトラッキングを制御し得る。
半導体レーザなどの光源503より出射した光ビームはカップリングレンズ504にて平行光にされた後、偏光素子505を介して、収束レンズ506により、ディスク501に光ビームの焦点(光ビームスポット)507として照射される。その反射光を偏光素子505を介して4分割の光検出器511で受光し電気信号に変換したあと、マトリクス演算器512で、非点収差によるフォーカスエラー(FE)、トラッキングエラー(TE)、RF信号を生成する。生成の方法は種々のものがあるが、代表的なものとして4分割の対角和の差動をとった非点収差によるフォーカスエラー検出、ディスクラジアル方向の2分割の差動をとり、トラックの±1次回折光の強度差をとったプッシュプルによるトラッキングエラー検出、4分割全加算によるRF生成等が挙げられる。
マトリックス演算器512で生成されたフォーカスエラー(以降FEと称す)は、DSP513内蔵のAD変換器514でデジタル化し、内部の演算コア517で位相補償、ゲイン補償のための演算が行われ、同内蔵DA変換器520によってアナログ変換され、2チャンネルの駆動回路533によって電流増幅されてフォーカス制御素子510に出力される。これによって、ディスク501上の情報面に光ビームはスポットとして結像され、所定の収束状態となるよう制御される。同様にマトリックス演算器512で生成されたトラッキングエラー(以降TEと称す)は、DSP513内蔵のAD変換器515でデジタル化され、内部の演算コア517で位相補償、ゲイン補償のための演算が行われ、同内蔵DA変換器519によってアナログ変換されて、2チャンネルの駆動回路533によって電流増幅されてトラッキング制御素子509に出力される。これによって、ディスク501上のトラックに光ビームスポットが正しく走査するように制御される。
またマトリックス演算器512で生成されたAS信号は、同様にDSP513内蔵のAD変換器516でデジタル化され、内部の演算コア517にて、TEおよびFEの除算処理(AGC)が実行される。これによって半導体レーザが記録パワーになったり、記録によりディスクの反射率が変化してFEやTEの入力振幅が変わっても、サーボループのゲインを一定に保つことができる。
RF信号は、独自のAGC回路521によって振幅を一定にし、さらに高次の等リップルフィルタで構成されたイコライザ522によって信号帯域を強調した後、2値化回路523によって2値化データにされる。2値化データはディスク上のアドレス抽出回路524、データ抽出回路525にそれぞれ入力される。そして、アドレス抽出回路524によって得られたアドレスをコントローラ528に入力してホスト527がインターフェース526を介して要求する所望のデータが格納された領域のアドレス差を算出し、それに応じた指令を演算コア517へ送る。光ビームスポット507は、トラバースモータ532によってディスク半径方向に、またパルス生成部529およびスイッチ530によって所望の層の情報面へと移動され、所定の領域を検索する。
所定の領域を検索した後、データ抽出回路525によってデータを取り込み、エラー訂正やデコード(不図示)を行って、データをインターフェース回路526を介してホスト等へ転送する。また信号を記録する場合も、同様にホストの命令コマンドによって記録するべき位置の開始アドレスをコントローラに入力し、この開始アドレスとアドレス抽出回路524によって得られる現在アドレスとのアドレス差によって光ビームを所望の位置まで移動し、エンコード回路(不図示)でエンコードされた記録データに応じて変調した記録パルスを半導体レーザ503によって記録する。
さらに本実施の形態の装置を起動し、光ディスクに情報を記録/再生するときの処理の流れを以下に詳細に説明する。
まず起動手順およびその方法について説明する。装置に電源が投入されると、演算コア517は、DA変換器518、駆動回路531を介して、トラバースモータ532を駆動し、それにより光ビームがディスク501の内周付近へ移動する。そして、スピンドルモータによってディスク501を所定の回転数で回転させる。さらにフォーカス制御素子510をディスク501に接近離間させて現れるフォーカスエラーを検出して、収束レンズ506に近い層L0にフォーカス制御を引き込む。その後トラッキング制御素子509を駆動して、トラッキング制御を引き込む。これによって安定にRF信号が検出できるようになり、アドレス抽出回路524によってトラック上のアドレス情報を抽出し、現在光ビームが走査しているトラックを認識する。
次に、このディスクの種別やブックタイプの制御情報が書かれたリードインエリア21または22の所定のトラックをアクセスする。このとき走査しているトラックとリードインエリアのトラックとは物理形状が異なり、トラッキングエラー検出方式を切り換えることもある。この場合はまずその境界であるギャップエリアの先頭トラックまで移動を行い、そこを起点に再度リードインの所定トラックに向けて移動を行う。このとき、移動する直前または直後にトラッキングの検出方式を、例えば位相差方式からプッシュプル方式に切り換えるように構成する。
リードインエリア21の所定のトラックへ移動し、その部分での必要な情報を取得できたら、次に再度トラッキングエラーの検出方式を元に戻し、光ビームスポットをテストエリア41へ移動し、記録または再生信号の品質を向上するためのレーザパワーや記録パルス幅等の学習、あるいはフォーカス制御の目標位置等の学習を行う。学習が終了したら次に交替情報エリア51へ移動し、ディスクの欠陥等で記録できない箇所の有無とその位置、その代替箇所の有無とその位置情報を読み取り、システムコントローラのメモリに記憶すると共に、以降の記録/再生コマンドの発行時にその情報を反映させて処理を行う。
2層(または多層)ディスクである場合には、フォーカスジャンプを行って、L0層からL1層へ移動し、さらにL1層のテストエリア42および交替情報エリア52で同様の処理を繰り返す(多層ディスクの場合は基本的にこの処理を繰り返せばよい)。全ての層で必要な情報が獲得できたら基本的に起動終了であるが、このときL0層のスタートアドレスで待機しておくと次の処理に移行しやすい。また万が一L0層(表面に近い層)でのリードインでの情報が読めない場合は、その位置からフォーカスジャンプを実行していき、読み込み可能な層のリードインをアクセスしていく。よってL1層のリードインエリア22にはディスクとしての共通となる部分の制御情報が格納されている。なお、図2(a)中で、L0層、L1層での光ビームスポット207のフォーカス位置をそれぞれ実線および点線で示している。
次に所望のデータを光ディスクのデータエリア122,123に記録する手順、方法について、特に分かり易くするため長時間の動画を連続的に記録する場合について、図2(b)を用いて説明する。図2(b)は本実施の形態の記録再生装置で光ディスクへ長時間の動画を連続的に記録する場合の光ビームの動きを示した図である。上記起動手順に従って起動を終了すると、光ビームスポット207はデータエリア101の実質的な先頭トラックSに位置している。最初に記録するときはこの先頭トラック101から記録を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次記録していく。実質的なデータゾーン101の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、フォーカスジャンプを実行してL1層のデータゾーン201に光ビームスポット207を移動し、さらにデータゾーン201の実質的開始トラックSへシークした後、記録を再開する。
なおフォーカスジャンプの方法については、ホスト527またはコントローラ528から検索の指令と同様にしてコマンドを演算コア517が受けたとき、すなわち光ビームがスパイラル動作によって、データゾーンの最終アドレスに到達したときに、スイッチ530をAとCの接続からBとCの接続に切り換え、フォーカス制御を解除して、パルス生成部529より所定の加速パルス、減速パルスをスイッチ530、DA変換器520、2チャンネル駆動回路533を介して、フォーカス制御素子510に印加して行う。さらにこの加減速パルスの生成やタイミング等の具体的制御方法については、本発明とは直接関係なく従来の技術(特開平9−326123号公報)と同様に構成することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
L0層のトラックと同様に、ちょうどその上部に位置するL1層のトラックも基本的に内周から外周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次記録していく。さらに実質的なデータゾーン201の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、逆向き(図2(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行してL0層のデータゾーン101の隣接データゾーン102の開始トラックSに移動する。その後、このデータゾーン102の実質的開始トラックSより記録を再開し、記録するデータが終了するまで同様の処理を続け、データゾーン101、201、102、202、103、・・・、209と移動して順次記録をしていく。
またディスクの途中で記録が完了した場合は、所定の領域に設けた論理的な管理領域にその終了場所情報を含む1ボリュームの開始終了アドレスや容量等を登録しておく。そして次回インクリメントして記録する場合に該情報を参照して開始アドレスにアクセスする。このときの記録は開始アドレスは異なるが、層間およびゾーンの移動のシーケンスは上記の場合と同様である。また動画でなくPC等のデータ記録をする場合も、基本的に記録していく手順は同じであるが、上記管理領域をディスクの欠陥領域の交替情報領域および交替領域として使用し、データの信頼を向上するように構成することもできる。
次に所望のデータを再生する手順、方法について説明する。再生の場合の光ビームスポットの動きも基本的には記録の場合と同じであり、長時間の動画がほぼ全面にわたって記録されている場合では、初期位置のデータゾーン101のトラックSより、管理領域に入っているナビ情報やホストPCやリモコン等の要求に従って、所望のチャプタの先頭アドレスや所望データの先頭アドレスへ光ビームスポットを移動していき、後は同様にゾーンと層間を相互に移動していく。例えば記録した映画を最初から再生する場合はこの先頭トラック101から再生を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっているので、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次再生していく。実質的なデータゾーン101の終了トラックEまで記録が完了すると、フォーカスジャンプを実行してL1層のデータゾーン201に光ビームスポットを移動し、さらにデータゾーン201の実質的開始トラックSへシークした後、再生を再開する。
L0層のトラックと同様にL1層のトラックも基本的に内周から外周に向かってスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次再生していく。さらに実質的なデータゾーン201の終了トラックEまで再生を完了すると、逆向きにフォーカスジャンプを実行してL0層のデータゾーン101の隣接データゾーン102の開始トラックSに移動する。その後、このデータゾーン102の実質的開始トラックSより再開を再開し、再生が終了するまで同様の処理を続け、データゾーン101、201、102、202、103、・・・、209と移動して順次再生をしていく。
なお、データゾーンには物理アドレスが所定の方向に沿って増加するように割り当てられており、第1の記録層(L0層)のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第2の記録層(L1層)のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが同一であることが望ましい。もし両者が一致していない場合は、システムの方で各ゾーンの先頭番地を格納管理しておけばよい。また物理アドレスは単純に、例えば層毎にL0から内周から外周(または外周から内周)へ昇順になるように割り振り、欠陥等の交替処理含めて物理アドレスを記録するゾーンの順番と方向に合致するようにする構成であれば、ディスクの構成も単純になる。以上の本実施の形態の説明は、L0層もL1層も内周から外周に向かってのパラレルパススパイラルの場合の動作について説明したが、L0層、L1層が外周から内周に向かってのパラレルスパイラルであっても、本発明は何ら限定されない。
(実施の形態2)
図4(a)は、実施の形態2による3層構造を有する光ディスクの模式断面図である。また、図4(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法(方向、順番)を示した模式断面図である。この3層ディスクのL0、L1、L2層の同一半径方向の領域は基本的に図1の2層ディスクL0、L1の領域と同じ役割を担っている。
この3層ディスクのデータエリア100、200,300はすべてスパイラル方向が同一であるパラレルパスである。すなわち、各データエリアのデータゾーンには物理アドレスが所定の方向に沿って増加するように割り当てられており、第1の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向、第2の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向、および第3の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向が同一である。本実施の形態では、特に、各記録層の物理アドレスが増加する方向は、ディスクの内周から外周に向かう方向とする。
これらのデータエリアに記録する手順、方法について、特に分かり易くするため長時間の動画を連続的に記録する場合について、図4(b)を用いて説明する。光ビームスポット107はディスク201中のL0層のデータエリアゾーン101の実質的な先頭トラック101Sに位置している。最初に記録するときはこの先頭トラック101Sから記録を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次記録していく。実質的なゾーン101の終了トラック101Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、フォーカスジャンプを実行して、L1層のゾーン201に光ビームスポット207を移動し、さらにゾーン201の実質的開始トラック201Sへシークした後、記録を再開する。
なおフォーカスジャンプの方法については、ホスト527またはコントローラ528から検索の指令と同様にしてコマンドを演算コア517が受けたとき、すなわち光ビームがスパイラル動作によって、データゾーンの最終アドレスに到達したときに、スイッチ530をAとCの接続からBとCの接続に切り換え、フォーカス制御を解除して、パルス生成部529より所定の加速パルス、減速パルスをスイッチ530、DA変換器520、2チャンネル駆動回路533を介して、フォーカス制御素子510に印加して行う。さらにこの加減速パルスの生成やタイミング等の具体的制御方法については、本発明とは直接関係なく従来の技術と同様に構成することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
L0層のトラックと同様に、その上部に位置するL1層のトラックも基本的に内周から外周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラック201Sからトラック201Eへ向かって、順次記録していく。実質的なゾーン201の終了トラック201Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、さらにその上に位置するL2層のゾーン301に光ビームスポット107を移動し、さらにゾーン301の実質的開始トラック301Sへシークした後、記録を再開する。
L0層、L1層と同様に、その上部に位置するL2層のトラックも基本的に内周から外周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラック301Sからトラック301Eへ向かって、順次記録していく。
実質的なゾーン301の終了トラック301Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、逆向き(図4(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行して、L2層からL1層を通過し、L0層に光ビームを移動した後、ゾーン102の開始トラック102Sに移動する。その後、このゾーン102の実質的開始トラック102Sより記録を再開し、以降記録するデータが終了するまで同様の処理を続け、ゾーン101、201、301、102、202、302、103、203、・・・、309と移動して順次記録をしていく。
このときL2層からL0層へわたる多層ディスクのフォーカスジャンプは、図5(a)に示すように、1層毎に移動するに適切な波高値、パルス幅のフォーカスジャンピングパルスをフォーカス制御素子510に向けて出力し、L2→L1→L0と1層ずつフォーカスを引き込んでから次のフォーカスジャンプを出力するようにすれば、安定に移動することができる。逆に高速移動が必要な場合は、図5(b)に示すように移動する層の数、すなわち移動距離に応じた波高値、パルス幅のフォーカスジャンピングパルスをフォーカス制御素子510に向けて出力し、さらにFEの0クロス等、または2値化信号を検出、カウントすることで、所望の層のデータエリアに到達することができる。
次に、3層ディスクで所望のデータを再生する手順、方法について説明する。再生の場合の光ビームスポットの動きも基本的には記録の場合と同じである。長時間の動画がほぼ全面にわたって記録されている場合は、初期位置のゾーン101のトラック101Sより、管理領域に入っているナビ情報、ホストPC、リモコン等の要求に従って、所望のチャプタの先頭アドレスや所望データの先頭アドレスへ光ビームスポットを移動していき、その後は同様にゾーンと層間を相互に移動していく。例えば、記録した映画を最初から再生する場合はこの先頭トラック101から再生を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっているので、光ビームスポットがトラックを走査すると、トラック101Sからトラック101Eへ向かって順次再生される。実質的なゾーン101の終了トラック101Eまで記録を完了すると、フォーカスジャンプを実行してL1層のゾーン201に光ビームスポットを移動し、さらにゾーン201の実質的開始トラック201Sへシークした後、再生を再開する。L0層のトラックと同様に、L1層のトラックも基本的に内周から外周に向かってスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラック201Sからトラック201Eへ向かって、順次再生が行われる。さらに実質的なゾーン201の終了トラック201Eまで再生が完了すると、L1層と同様に、その上部に位置するL2層のゾーン301に光ビームスポットをフォーカスジャンプさせる。L2層のトラックも基本的に内周から外周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラック301Sからトラック301Eへ向かって、順次再生が行われる。
実質的なゾーン301の終了トラック301Eまで再生を完了すると、逆向き(図4(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行して、L2層からL1層を通過し、L0層に光ビームを移動した後、ゾーン102の開始トラック102Sに移動する。その後、このゾーン102の実質的開始トラック102Sより再生を再開し、以降再生するデータが終了するまで同様の処理を続け、ゾーン101、201、301、102、202、302、103、203、・・・、309と移動して順次再生をしていく。
ここで、2層ディスクの場合と同様に、アクセスのための物理アドレスは上記移動するゾーンの順番と物理アドレスが増加する方向とが一致していることが望ましい。もし両者が一致していない場合は、システムのほうで各ゾーンの先頭番地を格納管理しておけばよい。また物理アドレスは単純に、例えば層ごとに内周から外周(または外周から内周)へ昇順になるように割り当てられ、欠陥等の交替処理含めて物理アドレスを記録するゾーンの順番および方向に合致するようにする構成であれば、ディスクの構成も単純になる。以上の本実施の形態の説明は、L0層、L1層、およびL2層が内周から外周に向かうスパイラルの場合の動作について説明したが、L0層、L2層が外周から内周に、L1層が内周から外周に向かうスパイラルであってもよく、本発明は何ら限定されない。また本実施の形態では、最も外側の(基板から最も遠い)L0層のゾーン101から記録再生を開始するように構成したが、最も内側の(基板に最も近い)層に位置するデータエリアの先頭ゾーンから記録/再生を開始するように構成してもよい。一例として図6に、2層ディスクにおいて基板に最も近い層(L1層)から情報を記録/再生する方法を説明する模式断面図を示す。
(実施の形態3)
図7(a)は、実施の形態3による光ディスクの構造の模式断面図である。また、図7(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法(方向、順番)を示した模式断面図である。本実施の形態は、DSP513およびホスト527のμコードやソフトウェアのシーケンス処理を変更するだけで、図3と同様の構成で実現することができる。本実施の形態3は、L0層とL1層とのスパイラル方向が逆になっているオポジットパスである。この場合について、所望のデータをディスクのデータエリアに記録する手順、方法について説明する。
特に本発明を分かり易くするため、実施の形態1同様、長時間の動画を連続的に記録する場合について説明する。上記起動手順に従って起動終了すると、光ビームスポットは光ディスクのデータゾーン101の実質的な先頭トラックSに位置する。最初に記録するときは、この先頭トラック101から記録を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次記録していく。実質的なゾーン101の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、フォーカスジャンプを実行してL1層のデータゾーン201に光ビームスポットを移動し、さらにデータゾーン201の実質的開始トラックSへシークした後、記録を再開する。なおフォーカスジャンプの制御方法については、本発明とは直接関係なく従来の技術と同様に構成することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
L0層とは逆にL1層のトラックは基本的に外周から内周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとディスク外周側のトラックSからトラックEへ向かって順次記録していく。さらに実質的なデータゾーン102の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、逆向き(図7(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行してL0層のデータゾーン101の隣接データゾーン102の開始トラックSに移動する。その後、このデータゾーン103の実質的開始トラックSより記録を再開し、記録するデータが終了するまで同様の処理を続け、データゾーン101、201、102、202、103、・・・、209と移動して順次記録をしていく。
またディスクの途中で記録が完了した場合は、所定の領域に設けた論理的な管理領域にその終了場所情報を含む1ボリュームの開始終了アドレスや容量等を登録しておく。そして次回インクリメントして記録する場合に該情報を参照して開始アドレスにアクセスする。このときの記録は開始アドレスは異なるが、層間およびゾーンの移動のシーケンスは上記の場合と同様である。また動画でなくPC等のデータ記録をする場合も、基本的に記録していく手順は同じであるが、上記管理領域をディスクの欠陥領域の交替情報領域および交替領域として使用し、データの信頼を向上するように構成することもできる。図7(a)中でのL0層、L1層での光ビームスポット207のフォーカス位置を実線及び点線で示す。
次に所望のデータを再生する手順、方法について説明する。再生の場合の光ビームスポットの動きも基本的には記録の場合と同じであり、長時間の動画がほぼ全面にわたって記録されている場合では、初期位置のデータゾーン101のトラックSより、管理領域に入っているナビ情報やホストPCやリモコン等の要求に従って、所望のチャプタの先頭アドレスや所望データの先頭アドレスへ光ビームスポットを移動していき、後は同様にゾーンと層間を相互に移動していく。例えば記録した映画を最初から再生する場合はこの先頭トラック101から再生を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっているので、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、順次再生していく。実質的なデータゾーン101の終了トラックEまで記録が完了すると、フォーカスジャンプを実行してL1層のデータゾーン102に光ビームスポットを移動し、さらにデータゾーン102の実質的開始トラックSへシークした後、再生を再開する。データゾーン101のL0層とは逆にL1層のトラックは基本的に外周から内周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとディスク外周側のトラックSからトラックEへ向かって順次再生していく。さらに実質的なデータゾーン102の終了トラックEまで記録を完了すると、逆向き(図7(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行してL0層のデータゾーン101の隣接データゾーン102の開始トラックSに移動する。その後、このデータゾーン103の実質的開始トラックSより再生を再開し、再生が終了するまで同様の処理を続け、データゾーン101、201、102、202、103、・・・、209と移動して順次再生をしていく。
以上の光ビームスポットの移動を図7(b)の矢印にて示す。この実施の形態3の最大の特徴は、少ないバッファでシームレスの再生が実現するできる点である。この点についてさらに説明する。
基本的な動作については、上記したようにL0層のゾーンは内周から外周、L1層のゾーンは外周から内周へスパイラルに動作して記録/再生を行っていくが、このときL0層のデータゾーン101の最終トラックEからL1層のデータゾーン201の開始トラックSはほぼ垂直な位置関係にあり、L0層からL1層に向かってフォーカスジャンプすると、次の開始トラックの近接位置に到達するので記録または再生を再開するまでの時間が大幅に短縮することができる。また図8に示すように2以上のデータゾーン(この場合、複数のデータゾーンをデータゾーン群と呼んでもよい)にまたがって動画データなどを連続的に記録する場合で、留守録や補足的な番組データなどより、記録するファイルや動画データの長さが予め分かっている場合は、そのデータの約1/2強をL0層のデータゾーン群に記録し、次にフォーカスジャンプして残りのデータをL1層のデータゾーン群に記録するように構成すれば良い。
急に録画ボタンを押して録画を開始した場合は、上記の基本動作を行って、時間の要するL1層からL0層のゾーン切り換え時に記録する転送レートを一時的に下げ、転送レートが安定した後、元の転送レートで記録するように構成すれば、記録再生が途切れることはない。このようにして、記録するデータやファイル毎にボリューム管理し、図8に示すようにVolume1、Volume2、Volume3、Volume4とそのサイズに応じて各層での連続記録するトラック数(データゾーン数)を切り換え、管理しながら記録再生を実現するようにすればよい。
なお本実施の形態においても実施の形態1と同様に、データゾーンには物理アドレスが所定の方向に沿って増加するように割り当てられており、第1の記録層(L0層)のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第2の記録層(L1層)のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが同一であることが望ましい。もし両者が一致していない場合は、システムの方で各ゾーンの先頭番地を格納管理しておけばよい。また物理アドレスは単純に、例えばL0層については内周から外周に、L1層については外周から内周に昇順になるように割り振り、欠陥等の交替処理含めて物理アドレスを記録するゾーンの順番と方向に合致するようにする構成であれば、ディスクの構成も単純になる。以上の本実施の形態3の説明では、L0層については内周から外周に、L1層については外周から内周に昇順になるように物理アドレスを割り当てたが、逆に、L0層について外周から内周に、L1層については内周から外周に昇順になるように物理アドレスを割り当ててもよい。
(実施の形態4)
図9(a)は、記録層を3層に積層した3層ディスクの一実施形態であり、図9(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法を示した模式断面図である。この3層ディスクのL0、L1、L2層の同一半径方向の領域は、基本的に図2の2層ディスクL0、L1の領域と同じ役割を担っている。
この3層ディスクにおいて、各データゾーンには物理アドレスが所定の方向に沿って増加するように割り当てられており、第1の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第3の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが同一であり、第1の記録層の前記データゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第2の記録層の前記データゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが反対になっている。すなわち、データエリア100、200、300において、層毎に交互にスパイラル方向が逆になっており、本実施形態では、L0層のデータエリア100は内周から外周、L1層のデータエリア200は外周から内周、L2層のデータエリア300は内周から外周となっている。
これらの各データエリアに記録する手順、方法について、特に分かり易くするため長時間の動画を連続的に記録する場合について、図9(b)を用いて説明する。光ビームスポットは、光ディスク中のL0層のデータエリアゾーン101の実質的な先頭トラック101Sに位置している。最初に記録するときはこの先頭トラック101Sから記録を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、ディスクの内周から外周へ向けて順次記録していく。実質的なゾーン101の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、フォーカスジャンプを実行して、L1層のゾーン201に光ビームスポットを移動し、さらにゾーン201の実質的開始トラック201Sへシークした後、記録を再開する。
なお、フォーカスジャンプの方法については、ホスト527またはコントローラ528から検索の指令と同様にしてコマンドを演算コア517が受けたとき、すなわち光ビームがスパイラル動作によって、データゾーンの最終アドレスに到達したときに、スイッチ530をAとCの接続からBとCの接続に切り換え、フォーカス制御を解除して、パルス生成部529より所定の加速パルス、減速パルスをスイッチ530、DA変換器520、2チャンネル駆動回路533を介して、フォーカス制御素子に印加して行う。さらにこの加減速パルスの生成やタイミング等の具体的制御方法については、本発明とは直接関係なく従来の技術と同様に構成することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
L0層の上部に位置するL1層のゾーン201のトラックは、L1層とは逆に外周から内周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとディスク外側のトラック201Sからトラック201Eへ向かって、順次記録していく。
実質的なゾーン201の終了トラック201Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、さらにその上に位置するL2層のゾーン301に光ビームスポットを移動する。L2層は、L0層同様内周から外周に向かってのスパイラル構造になっており、ゾーン301の実質的開始トラック301Sへシークした後、記録を再開する。
このゾーン301は、ゾーン101のL0層と同様に、トラックが内周から外周に向かってのスパイラル構造であるので、光ビームスポットがトラックを走査するとディスク内側のトラック301Sからトラック301Eへ向かって、順次記録していく。
実質的なゾーン301の終了トラック301Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、逆向き(図9(b)中下向き)にフォーカスジャンプを実行して、L2層からL1層を通過し、L0層に光ビームを移動した後、ほぼ同一半径にあるゾーン102の開始トラック102Sに移動する。その後、このゾーン102の実質的開始トラック102Sより記録を再開し、以降記録するデータが終了するまで同様の処理を続け、ゾーン101、201、301、102、202、302、103、203、・・・、309と移動して順次記録をしていく。
このときL2層からL0層へ渡る多層ディスクのフォーカスジャンプは、上記の図5と同様に適用することができる。
なお、この3層ディスクで所望のデータを連続的に再生する手順、方法については、記録の場合の動きとほぼ等価であるので、詳細な説明を省略する。
(実施形態5)
次に、記録層がさらに増加した場合について、図10に示すような4層ディスクの場合について説明する。
図10は、記録層を4層に積層した4層ディスクの一実施形態である。この4層ディスクにおいて、各データゾーンには物理アドレスが所定の方向に沿って増加するように割り当てられており、第1の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第3の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが同一であり、第2の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第4の記録層のデータゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが同一であり、第1の記録層の前記データゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向と第2の記録層の前記データゾーンにおいて物理アドレスが増加する方向とが反対になっている。すなわち、データエリア100、200、300、400において、層毎に交互にスパイラル方向が逆になっており、本実施形態では、L0層のデータエリア100およびL2層のデータエリア300は内周から外周、L1層のデータエリア200およびL4層のデータエリア400は外周から内周となっている。
これらの各データエリアに記録する手順、方法について、特に分かり易くするため長時間の動画を連続的に記録する場合について説明する。図10において、光ビームスポットは、光ディスク中のL0層のデータエリアゾーン101の実質的な先頭トラック101Sに位置している。最初に記録するときはこの先頭トラック101Sから記録を開始する。トラックは基本的にスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとトラックSからトラックEへ向かって、ディスクの内周から外周へ向けて順次記録していく。実質的なゾーン101の終了トラックEまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、フォーカスジャンプを実行して、L1層のゾーン201に光ビームスポットを移動し、さらにゾーン201の実質的開始トラック201Sへシークした後、記録を再開する。
なお、フォーカスジャンプの方法については、ホスト527またはコントローラ528から検索の指令と同様にしてコマンドを演算コア517が受けたとき、すなわち光ビームがスパイラル動作によって、データゾーンの最終アドレスに到達したときに、スイッチ530をAとCの接続からBとCの接続に切り換え、フォーカス制御を解除して、パルス生成部529より所定の加速パルス、減速パルスをスイッチ530、DA変換器520、2チャンネル駆動回路533を介して、フォーカス制御素子に印加して行う。さらにこの加減速パルスの生成やタイミング等の具体的制御方法については、本発明とは直接関係なく従来の技術と同様に構成することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
L0層の上部に位置するL1層のトラックは、L0層とは逆に外周から内周に向かってのスパイラル構造となっており、光ビームスポットがトラックを走査するとディスク外側のトラック201Sからトラック201Eへ向かって、順次記録が行われる。
実質的なゾーン201の終了トラック201Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、さらにその上に位置するL2層のゾーン301に光ビームスポットを移動する。L2層は、L0層同様内周から外周に向かってのスパイラル構造になっており、ゾーン301の実質的開始トラック301Sへシークした後、記録を再開する。光ビームスポットがトラックを走査するとディスク内側のトラック301Sからトラック301Eへ向かって順次記録が行われる。
実質的なゾーン301の終了トラック301Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、なおさらにその上に位置するL3層のゾーン401に光ビームスポットを移動する。L3層は、L1層同様外周から内周に向かってのスパイラル構造になっており、ゾーン401の実質的開始トラック401Sへシークした後、記録を再開する。光ビームスポットがトラックを走査するとディスク外側のトラック401Sからトラック401Eへ向かって順次記録が行われる。
実質的なゾーン401の終了トラック401Eまで記録を完了すると、一旦再生モードに切り換え、逆向き(図10中下向き)にフォーカスジャンプを実行して、L3層からL2層、L1層を通過し、L0層に光ビームを移動した後、ほぼ同一半径にあるゾーン102の開始トラック102Sに移動する。その後、このゾーン102の実質的開始トラック102Sより記録を再開し、以降記録するデータが終了するまで同様の処理を続け、ゾーン101、201、301、401、102、202、302、402、103、203、・・・、409と移動して順次記録をしていく。
このときL3層からL0層へわたる多層ディスクのフォーカスジャンプは、上記の図5と同様にすることができる。
なお、この4層ディスクで所望のデータを再生する手順、方法について、連続的に再生する場合は、記録の場合の動きとほぼ等価であるので、詳細な説明を省略する。
以上本実施の形態5では、L0層が内周から外周、L1層が外周から内周、L2層が内周から外周、L3層が外周から内周にそれぞれ向かうスパイラルの場合の動作について説明したが、L0層が外周から内周、L1層が内周から外周、L2層が外周から内周、L3層が内周から外周にそれぞれ向かうスパイラルであってもよい。また本実施の形態では、最も外側の(基板から最も遠い)L0層のゾーン101から記録再生を開始するように構成した。しかし、これに限定されず、例えば図11に示すように2層の場合であればL1から、同様に3層の場合はL2から、4層の場合はL3からといった最も内側の(基板に最も近い)層に位置するデータエリアの先頭ゾーンから記録/再生を開始するように構成してもよい。
(実施の形態6)
図12(a)は、実施の形態6による光ディスクの構造の模式断面図である。また、図12(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法(方向、順番)を示した模式断面図である。本実施の形態6は、DSP213およびホスト227のμコードやソフトウェアのシーケンス処理を変更するだけで、図3と同様の構成で実現することができる。本実施の形態6において、L0層およびL1層のスパイラル方向は同一(ディスクの内周から外周)になっている。この場合について、所望のデータをディスクのデータエリアに記録する手順、方法について説明する。特に本発明を分かり易くするため、これまでと同様に長時間の動画を連続的に記録する場合について説明する。
図12(a)に示すように、本実施の形態6の光ディスクは、それぞれL0層およびL1層を備えており、L0層とL1層とは若干レイアウトが異なる。ただし各エリアの目的、機能、役割は基本的に同じである。
本実施の形態のディスクは、樹脂やガラスの基板4に2つの記録層L1層5、L0層6を接着層7によって積層している。またL0層6およびL1層5はともに、基板からみて遠い側に情報面がある。L0層6は約80μm、接着層は約20μmに設定されているので、ディスク表面からL1層の情報面までの距離は約100μmである。3層、4層になった場合は、ディスク表面から120μmの位置にL2層の情報面が、ディスク表面から140μmの位置にL3層の情報面が存在する。本実施形態においては、層の数は直接関係がないので、2層ディスクの場合で説明を行う。
最内周のクランプエリア3から、それぞれL0、L1層ともバーコードエリア(システムエリア)11、12、リードインエリア21、22、ギャップエリア31、32、テストエリア41、42、交替情報エリア51、52、交替エリア61、62が内周のシステムエリア120,121として配置されており、データエリア122,123を挟んで、交替エリア71、72、交替情報エリア81、82、リードアウトエリア91、92が外周のシステムエリア124、125として配置されている。
またユーザデータを記録/再生するデータエリア122、123は所定の半径位置ごとにL0層はゾーン102からゾーン108、L1層はゾーン201からゾーン209に分割され(本実施の形態では説明の便宜上、L0層は7ゾーンに、L1層は9ゾーンになっているが、これに限定されず、任意の数のデータゾーンが可能である)、ゾーン毎に回転数を切り換えて線速度(または線密度)略一定で記録される。
特にL0層には、単層ディスクの記録層と同じ厚みを有し(表面からの距離が同じである)、起動時にフォーカス制御の引き込み行うフォーカス引き込みゾーンが151、152がデータゾーンの内外周に割り当てられており、L0層は計7ゾーンとなっている。L1層にはフォーカス引き込みゾーンはなく、その位置に相当する部分はデータエリア(ゾーン201、209)になっており、他の部分はL0層と同様である。データを記録/再生するデータエリアは所定の半径位置ごとにゾーンに分割され、ゾーン毎に回転数を切り換えて線速度一定(あるいは線密度一定)で記録される。
本実施の形態6では、装置に電源が投入されると、トラバースモータ532によって光ビームが内周側フォーカス引き込みゾーン151あるいは外周側フォーカス引き込みゾーン152へ移動し、スピンドルモータによってディスクを所定の回転数で回転させ、フォーカス制御素子510をディスクに接近離間させて現れるフォーカスエラーを検出し、収束レンズに近いL0層にフォーカス制御を引き込む。このときの光ビームの球面収差をL0層の厚みである85μmに合致するように補正しておくと、少なくとも初期の状態では、単層、2層または多層ディスクのいずれにおいても、このL0層は同じ厚みの80μmであるので、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の品質が保証され、安定してフォーカス制御、トラッキング制御を引き込むことが可能である。またここで外部からの振動や衝撃等によってフォーカスの引き込みが失敗し、光ディスク501と収束レンズ506とが衝突し、ディスク表面上に傷がついても、このフォーカス引き込みエリアにはアドレスデータのみが存在し、制御コードやユーザデータは記録されていないので特に問題にはならない。トラッキング制御を引き込んだ後、調整用のダミーのRF信号記録等を行ってオフセットやゲイン等の必要な学習を実行すると、安定にRF信号が検出できるようになるため、アドレス抽出回路524によってトラック上のアドレス情報を抽出し、現在光ビームが走査しているトラックを認識する。次いで、このディスクの種別やブックタイプの制御情報が格納されたリードインエリア21または22の所定のトラックにアクセスする。所定のリードイン情報を取得すると、実際の情報の記録/再生が開始可能なスタンバイ状態になり起動が完了する。このようにフォーカス引き込みゾーンを学習ゾーンとして使用することで、安定な起動を保証することができる。また、ディスクにおいて、膜厚や基材厚、またはチルトのばらつきについて、このフォーカス引き込みゾーンを基準に製造、検査すれば、この特定場所を中心に最適な学習がなされるので、記録/再生マージンを拡大することができる。
また上記では、フォーカス引き込みゾーンでトラッキング制御をONにし、そのフォーカス引き込みゾーンでアドレス情報を取得して、所望のトラックにアクセスするような構成を説明したが、フォーカス制御引き込み後、トラッキング制御は動作させずにトラバースモータ532を駆動し、所望のトラックが位置するゾーン近傍領域へ移動し、その場所でトラッキング制御をONにしてアドレス情報を取得し、近傍にある所望のトラックにアクセスしてもよい。
本実施の形態6は、1つの層で2ゾーン(または、記録する前に設定された所定数のデータゾーンを含むデータゾーン群)ごとに、連続的に記録が行われるので連続記録におけるフォーカスジャンプの回数が少なくて済み、従って、対物レンズのディスクへの衝突の確率を低減することができる。これについて図12(b)を用いて説明する。情報の記録は、ゾーン201〜202、ゾーン102〜103、ゾーン203〜204、・・・のように、データゾーン群ごとに順番に実行される。例えば、大きな動画ファイルを記録する場合は、まずL1層のゾーン201の先頭トラックSに移動し、スパイラルに沿ってトラックを走査しながら、ゾーン201の最終トラックEに向けてシーケンシャルに記録していく。1ゾーン分の記録が完了しても、ゾーンを跨ぎ同じL1層の隣接したゾーン202に記録を継続していき、ゾーン202の最終トラックEに到達し、2ゾーン分の記録が完了すると、L1層からフォーカスジャンプによって光ビームスポットをL0層に移動し、ゾーン102の先頭トラックSにアクセスする。
同様にスパイラルに沿ってトラックを走査しながら、ゾーン102の最終トラックEに向けてシーケンシャルに記録していき、L1層と同様に1ゾーン分の記録が完了しても、ゾーンを跨ぎ同じL0層のゾーン103に記録を継続する。ゾーン103の最終トラックEに到達し、2ゾーンの記録が完了すると、再度L0層からフォーカスジャンプによって光ビームスポットをL1層に移動し、ゾーン203の先頭トラックSにアクセスして、同様にシーケンシャルに記録していく。指定されたファイルサイズの記録が完了するまでこの手順を繰り返していく。以上の光ビームスポットの移動を図12(b)に矢印にて示す。
ここで、アクセスのための物理アドレスは上記移動するゾーンの順番と物理アドレスが増加する方向とが一致していることが望ましい。もし両者が一致していない場合は、システムのほうで各ゾーンの先頭番地を格納管理しておけばよい。また物理アドレスは単純に、例えば層ごとにL0から内周から外周(あるいは外周から内周)へ昇順になるように割り当てられ、欠陥等の交替処理含めて物理アドレスを記録するゾーンの順番および方向に合致するようにする構成であれば、ディスクの構成も単純になる。さらに用途に応じて物理アドレスの配置を切り換え、その情報を交代エリアの一部の管理領域に記録しておけば、多様な用途に効率的に記録できる。
以上説明したように、本実施の形態6のディスクでは、L0層の内周および外周にフォーカス引き込みゾーンを配置しており、起動時あるいは再起動時において、このフォーカス引き込みゾーンに光ビームスポットを移動し、フォーカスの引き込み動作を行う。これらの領域にはデータの記録がなされないので、万が一フォーカスの引き込みが失敗して、レンズが光ディスクに衝突し、L0層が損傷しても、その奥にあるL1層の情報の記録/再生は保証される。
また、本実施の形態6では各L0層、L1層は2ゾーン連続のデータゾーン群単位で記録するような構成を説明したが、スピンドルモータの回転切り換えの応答性およびジッタフリーでの記録可能性の許容範囲内で連続的にゾーンを切り換えた場合(例えば3ゾーン、4ゾーン毎)でも、本実施の形態は同様に適用することができ、フォーカス引き込みおよびフォーカスジャンプによるデータ損傷の確率を大幅に低減することができる。
また図13(a)に示すように、L0層のスパイラル方向はディスクの外周から内周、L1層のスパイラル方向はディスクの内周から外周のように、L0層とL1層との方向性が逆になっているオポジットパスの場合でも、本実施の形態6を適用することは可能であり、所望のデータをディスクのデータエリアに記録、再生する場合は、図13(b)で矢印で示したように、同一層で複数ゾーン(データゾーン群)に跨るスパイラル動作とフォーカスジャンプとを含むアクセスをするように構成すればよい。
(実施の形態7)
図14(a)は、光ディスクの構造を模式的に示した平面図である。図14(b)は、従来技術の記録方法による光ディスクのトラックの一部拡大図、ならびにその場合のトラッキングエラー信号(TE)および全反射信号(AS)の波形を示す図である。また、図14(c)は、本発明の実施の形態7による光ディスクのトラックの一部拡大図、ならびにその場合のトラッキングエラー信号(TE)およびASの波形を示す図である。
従来の光ディスクのトラックは1スパイラル構造になっており、このトラックに連続記録していく場合は、例えば内周側のトラック1からスパイラルに沿って、トラック1、2、3と隣のトラックへ順次記録を進めていく。このような場合に連続記録を実行すると、ビームスポットの位置より内周側の隣接トラックは記録済みの状態、外周側の隣接トラックは未記録の状態となり、両側の隣接トラックで反射光量が異なってくる。プッシュプルトラッキング等のトラック溝部の1次回折光の強度によりトラックずれを検出する方式では、従来このような隣接トラックの反射率差の影響を受けにくかったが、高密度になってトラックピッチが狭くなってくると、ディスク上のトラックに対する光ビームの相対的なスポット径が大きくなり、この両隣接トラックの反射率差の影響を受ける。光ビームが記録、未記録境界を走査しているときは、図14(b)に示すように、光ビームの左側が記録側、右側が未記録側となるため、片側トラッキング信号にオフセット(図14(b)のTE波形図中の矢印で示すTSの範囲)が生じ、記録中にトラッキングが外れ易く、また曲の頭出しや終了付近の再生中に音飛び等の可能性が大きくなる。
本実施の形態7は、DSP513およびホスト527のμコードやソフトウェアのシーケンス処理を変更するだけで、図3と同様の構成で実現することができる。図15にその情報記録/再生装置の構成を表すブロック図を示す。本実施の形態7においては単層ディスク、2層以上の多層ディスク共に適用することが可能であるが、特に説明を分かり易くするため単層ディスクの場合について述べる。
未記録ディスクに所定のファイルサイズのデータを記録する場合、レーザを記録パワーでパルス変調し、その熱によって記録層を相変化させ、マークを形成していく。通常未記録の状態では記録層は結晶状態(クリスタル)である。記録パワーのレーザを記録層に当てると、結晶状態(クリスタル)の記録層は相変化を起こして非結晶状態(アモルファス)へと転移し、このようにしてマークが形成される。マークを再生するには、再生パワーのレーザをこのマークに当てて、その反射率の変化を検出することにより行う。従って、未記録部トラックと記録済みトラック(図14(b)中の網掛け部)とでは、平均反射光量が変わってくるので、トラッキングエラー信号(TE)およびサーボ帯域の全反射信号(AS)は、図14(b)に示すように記録したトラックの部分において振幅が変化する。さらに、記録/未記録の境界部分のトラック5において、両隣接トラックの反射率差の影響を受けTEの対称性も悪くなる。すなわち図14(b)のTE信号の波形における中点Sがトラック中心になるはずであるが、実際には点Tにトラッキングがかかることになり、片側のトラッキング範囲が狭くなる。
本実施の形態7において連続して記録を実行するときは、通常の1スパイラルディスクの場合は、零セクタあるいはスピンドルのFGのZ相において1回転位置を検出し、その検出信号に同期してトラック1本おきにトラックジャンプを行い、1本おきに記録をしていく。また、図14(a)のような同心円トラックを有するディスクの場合も、零セクタあるいはスピンドルのFGのZ相において1回転位置を検出し、その検出信号に同期してトラック1本おきにトラックジャンプを行い、1本おきに記録をしていく。これを図15のブロック図を参照して説明すると、アドレス抽出回路524より、ジャンピングのタイミングをコントローラ518で生成し、トラックジャンプパルス生成部540で生成したジャンピングパルスを、スイッチ539、DA519、2ch駆動回路523を介して、トラッキング制御素子509へ出力し、トラック1本に記録した後、隣接トラックを1本飛び越し、再度記録を開始する動作を行う。図16(a)は、光ディスクに記録を行っている途中の平面図であり、図16(b)に、トラック1本おきに記録を行っているときのトラックの一部拡大図、ならびにTE波形およびジャンピング波形を示す。
またランド、グルーブ記録型ディスクのように、それぞれのトラックが独立した2スパイラル構造のトラックの場合は、まず一方のスパイラルトラックAをスパイラル走査によって記録を行う。次に、他方のスパイラルトラックBをスパイラル走査によって記録を行う。このように2本のトラックを別々に記録するようにすれば、未記録ディスクを記録していく際に、スパイラルトラックAの記録時は両側の隣接トラックは常に未記録状態となり、次のスパイラルトラックBの記録時では両側の隣接トラックは常に記録状態となるので、ビームスポットの内側および外側の隣接トラックの反射率差がなくなり、トラッキング信号のオフセット変動を防止することができる。さらに再生する場合においても、同様に隣接トラックは同じ状態となるので、安定な記録、再生動作を実現できる。
さらに1本おきに記録することを利用し、例えば偶数番目のトラック(または奇数番目のトラック)にオーディオやビデオ情報、奇数番目のトラック(または偶数番目のトラック)にPC用のコードデータを記録するように構成すれば、ファイルやデータの管理が簡単になり、そのためのプログラム容量等を削減することができる。
(実施の形態8)
図17は、本発明の実施の形態5の光ディスクの概念を示す平面図である。実施の形態8は、多層構造を有する光ディスクの各層における最適なディスクレイアウトの一例を示す。図17に示すように、ディスク個体情報(層数、容量、トラックピッチ、ROM/RAMの種別などの書き換えおよび追記の必要のないコントロール情報)は、1層目のリードインエリア、ディスク表面の黒色のバーコード(以下BBCと称す)に記録されてもよいし、特定の一部の領域の記録膜を意図的に透明にし、その記録膜の下のアルミ膜をバースト的レーザではがすこと(以下BCAと称す)によって記録されてもよい。初期起動の際に、ディスク表面または最下層のL0層(光源からみて最も近い層)にフォーカスをかけ、ディスク個体情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確定する。その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げる。また記録中に発見した欠陥部分のアドレスや、物理情報の配置パターンをL0層に配置する。
ディスク毎に特性が異なる記録学習のエリア、フォーカス位置の学習エリアは各層に設けられる。これにより、L0層以外の記録層において、リードインエリアおよび交替エリアを省くことができ、ディスクの総ユーザ容量をアップすることができる。
図18は、パーシャル2層ROMの構成の一例を示す図である。図18では、光ビームの光源からみて2層目(奥側の層)をアルミ膜にエンボスピットで形成した再生専用のROM層または反射率の高いライトワンス(R)層とし、1層目を記録可能なRAM層とする。ゲームやアプリケーション元のソフトは2層目のROM層やR層に記録して配布され、アップデート情報やユーザ情報は1層目のRAM層に記録される。2層目(奥側の層)をROM層にすることにより、1層目のRAM層の反射率は高くなり、S/Nの確保が容易になる。またプリライトを行う場合についても、ディスクの製造または検査工程で管理された装置、ヘッドで記録するので、2層目をROM層とすることが信頼性面で好ましい。
ところで、多層ディスクの場合は、記録層の貼り合わせ精度に限界があり、1層目と2層目でアドレス部やゾーン境界を正確に合わせることができない。これを逆に利用して、著作権の保護や海賊版防止のためのシステムを実現することができる。
図19は、著作権保護処理を説明するためのタイミングチャートである。図19において、L0層とL1層のアドレス位置とアドレス情報信号とが示されている。図19に示すように、1層目(L0層)にフォーカス制御をかけて、PLL同期して得られる1層目(L0層)のアドレス部の位置を基準にして、層間クロストークで読み込める2層目(L1層)のアドレス部の位置Tをリードクロックまたはタイマー等で計測し、その計測値をBCAに書き込む。
図20は、著作権保護処理を説明するためのフローチャートである。装置が起動すると、ディスク表面にフォーカスをONにする(ステップ1)。次に、ディスク表面のBBC(またはBCA)を読み込む(ステップ2)。装着されたディスクの著作権情報を判定し(ステップ3)、著作権によりコピーが防止される場合は、登録された保護情報である1層目(L0層)アドレス位置から2層目(L1層)アドレス位置まで登録情報(クロック情報または時間情報)を読み取る(ステップ4)。次いで、実際に1層目(L0層)にフォーカスおよびトラッキングをかけ(ステップ5)、1層目(L0層)の実アドレスが再生できるようになった段階で、2層目(L1層)のクロストークアドレスを認識してその位置のクロック差(または時間差)を計測する(ステップ6)。ステップ6での測定値がBBCから読みとった登録情報と比較し(ステップ7)、その比較結果が所定の範囲にある場合はそのコンテンツを再生可能とし(ステップ8)、そうでない場合は再生不適と判断して停止する(ステップ9)。
このように、たとえディスク基板からスタンパやカッティングが複製できたとしても、張り合わせ位置を数クロック単位で合わせ込むことは極めて困難であるか不可能であるので、BBC(またはBCA)を模倣したとしてもその登録情報と実際の測定情報とは異なり、コンテンツを再生することはできない。このようにして、容易に著作権の保護とその適性な再生を行うことができる。
以上、本発明の実施の形態において説明してきた光ディスクは、任意の数の層を有する多層ディスクにおいても当然適用することができる。