JP2008120902A - 伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明は、上記課題を解決するべく、チグラーナッタ触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムと、メタロセン触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとの重量比が50/50〜90/10であるゴム組成物で構成されていることを特徴とする伝動ベルトを提供するものである。
【選択図】 図1
Description
本実施形態に於ける前記圧縮ゴム層5を構成する前記所定ゴム組成物は、チグラーナッタ触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムと、メタロセン触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとを含み、且つ、前記チグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとの重量比が50/50〜90/10に設定されている。
したがって、前記メタロセン触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは分子量分布が狭く分子の運動性が拘束されやすいため、単独で用いた場合は摩耗が抑制されるが、一方ではチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムよりも、低温条件下でのポリマーの運動性が劣るという問題を有している。
しかし、本実施形態に於いては前記チグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとメタロセン触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとの重量比を50/50〜90/10に設定することで、前記問題を克服することができるという利点を有する。
これらの中でも、チグラーナッタ触媒存在下で重合されてなるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン成分が50〜70重量%、プロピレン成分が25〜45重量%、ジエン成分が4〜8重量%となる重量割合で各モノマー成分が含有されているものがより好ましい。
これらの中でも、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン成分が50〜70重量%、プロピレン成分が25〜45重量%、ジエン成分が4〜8重量%となる重量割合で各モノマー成分が含有されているものがより好ましい。
前記短繊維6としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、綿繊維、絹繊維、麻繊維、羊毛繊維、セルロース繊維、芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、炭素繊維、ポリケトン繊維、玄武岩繊維などを用いることができる。
さらにこの圧縮ゴム層5を構成するゴム組成物には、通常、上記のような短繊維6以外に添加剤や軟化剤、カーボンブラック、架橋剤、加硫促進剤等が配合される。
さらに、添加後に於いても添加剤の粒子が形状を保持しているものが好ましく、使用の際の平均粒子径は10μm〜数百μmであるものが好ましい。
なお、流動点は、JIS K 2269に規定の方法により測定することができる。
この軟化剤としては、出光興産(株)より商品名「ダイアナプロセスオイルPX−90」「ダイアナプロセスオイルPX−32」、「ダイアナプロセスオイルNS−24」、「ダイアナプロセスオイルNS−100」、神戸油化学(株)より商品名「シンタックN−60」、「シンタックN−70」、エッソ(株)より商品名「LP−49」「LP−69」などとして市販のものを用いることができる。
中でも、有機補強剤を用いることで心線との接着力を向上させることができ、接着ゴム層3と心線2との界面での剥離を抑制させてVリブドベルトの長期耐久性をより向上させ得る。
前記ラテックスとしては、クロロスルホン化ポリエチレン、あるいはアルキルクロロスルホン化ポリエチレンをポリマー成分として含有するものや、カルボキシル変性ビニルピリジンラテックス、ビニルピリジンラテックスなどピリジン基あるいはカルボキシル基を含むもの、クロロプレン(CR)ラテックス、2,3−ジクロロブタジエン(2,3DCB)ラテックスなどの塩素基を含有するもの、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)ラテックス、カルボキシル基含有水素添加NBRラテックスなどニトリル基を含有するもの、フェニル基を側鎖に有するスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)ラテックスなどを単独または複数混合して用いることができ、要すれば、異なるRFL処理液を用いて心線に複数回のRFL処理を実施することも可能である。
また、このRFL処理液には、RFとラテックスとが(RF/ラテックス)の重量比で1/2〜1/10の割合で含有されることが好ましい。
このゴムコート帆布に用いるゴムにも、接着ゴム層3と同様にチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、メタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アルキルクロロスルホン化ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムあるいはその水素添加物、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム等を単独または複数混合されものを採用することができる。
本実施形態のVリブドベルトの製造方法は、成形ドラムにゴム引き帆布層1と、接着ゴム層3と、圧縮ゴム層5とをそれぞれ形成するための未加硫ゴムシート作製工程と、RFL処理された心線2とを巻き付ける巻付け工程と、前記巻付け工程後に実施する加硫工程と、前記加硫工程後に実施するリブ形成工程と、前記リブ形成工程後に実施する切断工程とで構成されている。
前記加硫缶内の加圧力としては、通常、内圧を4〜8kgf/cm2、外圧を7〜10kgf/cm2の範囲に設定する。
前記加硫処理時間としては、通常、20〜60分間の範囲に設定する。
また、伝動ベルトの製造方法についても上記例示に限定されるものではなく適宜変更が可能である。
(使用配合:圧縮ゴム層)
実施例1〜10、比較例1〜3の伝動ベルトの圧縮ゴム層の形成に用いる配合(重量部)を表1に示す。
全ての実施例、比較例の伝動ベルトの製造において接着ゴム層を構成するゴム組成物は共通とした。
具体的には、表3に示す配合を用いた。
前記ゴム引き帆布層の形成に用いるゴム組成物としては、接着ゴムと同じゴム組成物を用いた。
全ての実施例、比較例の伝動ベルトの製造において接着ゴム層に埋設して用いる心線は共通とした。
具体的には、次の通りである。
まず初めに、前処理としてイソシアネートを含有してなるトルエン溶液(イソシアネート固形分20重量%)にこの未処理の心線を浸漬した後、240℃で40秒間の加熱によって乾燥させた。
次いで、前処理した心線を下記に示すRFL接着溶液に浸漬し、200℃で80秒間の加熱によって乾燥処理し、さらに前記接着ゴム層で用いたものと同様のゴム組成物をトルエン溶液に溶解してなる接着溶液に浸漬した後、60℃で40秒間の加熱によって乾燥させる、RFL処理を施した。
各実施例、比較例の伝動ベルトの圧縮ゴム層の形成に用いられるゴム組成物の加硫後の物性を調査すべく、表1の配合にて加硫ゴムシートを作製した。
具体的には、各ゴム組成物をバンバリーミキサーにて混練した後、カレンダーロールにて圧延してシート化し、前記短繊維をベルト幅方向に配向させて未加硫ゴムシートを作成した。
さらに前記未加硫ゴムシートを160℃で30分間加熱して加硫処理を施し、加硫ゴムシートを得た。
各加硫ゴムシートを用いて、表2に示す物性評価を行った。
前記加硫ゴムシートの硬さについてはJIS K 6253により(タイプA)デュロメータ硬さを求めた。
さらに前記加硫ゴムシートの反列理方向の引張り試験をJIS K 6251に基づき実施し、100%モジュラス(M100)、引張り強さ(Ts)、破断伸び(Elo)を求めた。
これらの結果を表4に示す。
上記に説明した圧縮ゴム層用、接着ゴム層用、ゴム引き帆布層用の配合及びRFL処理された心線を用いて実施例1〜10、比較例1〜3のVリブドベルトをそれぞれ製造した。
具体的には、圧縮ゴム層、接着ゴム層のそれぞれのゴム組成物をバンバリーミキサーにより混練し、カレンダーロールによりシート化して、接着ゴム層用、圧縮ゴム層用の未加硫シートを作製し、表面が平滑な円筒状の成形ドラムの周面にゴム引き帆布層用シートを巻きつけてセットしたものの上に、接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付け、さらにRFL処理した心線を螺旋状にスピニングし、その上にさらに接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付け、最後に圧縮ゴム層用未加硫ゴムシートの順に巻き付けて積層体とした。
前記製造方法で得たそれぞれの前記Vリブドベルトを供して下記の走行試験を行った。
またVリブドベルトの走行試験を説明する概略図を図2に示した。
(Vリブドベルトの摩耗性)
前記走行試験条件でそれぞれの前記Vリブドベルトを80℃の雰囲気下で200時間走行させた後、前記Vリブドベルトの走行前の重量から走行後の重量を引き、重量減量を求め、この重量減量を走行前の重量で割ることで、前記Vリブドベルトの摩耗率(%)を求めた。結果を表5に示す。
前記走行試験条件でそれぞれの前記Vリブドベルトを200時間走行させ、前記Vリブドベルトから発する異音の有無を確認した。結果を表5に示す。
(Vリブドベルトの劣化性)
用いる走行試験機を−40℃の雰囲気下で走行させること、並びに、それぞれの前記Vリブドベルトを1時間走行させた後1時間停止させることを1セットとし、この走行、停止を繰り返して走行試験を実施する点以外はVリブドベルトの摩耗性評価と同様にVリブドベルトの走行試験を実施した。
全走行時間(走行時間のみの積算時間)が100時間経過及び200時間経過した時点で、前記Vリブドベルトの圧縮ゴム部のクラックを目視によって確認した。結果を表5に示す。
高温走行試験における摩耗率が低く、低温走行試験での100時間経過時点におけるクラックの発生が見られないものを「○」として判定した。
また、高温走行試験における摩耗率が特に低く、低温走行試験での200時間経過時点におけるクラックの発生が見られず、しかも、異音の発生のないものを「◎」として判定した。
高温走行試験における摩耗率が高いか、低温走行試験での100時間経過時点におけるクラックの発生が見られたものを「×」として判定した。
結果を表5に示す。
Claims (5)
- チグラーナッタ触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムと、メタロセン触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとを含み、且つ、前記チグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとメタロセン型エチレン‐α‐オレフィン共重合体ゴムとの重量比が50/50〜90/10であるゴム組成物で構成されていることを特徴とする伝動ベルト。
- 前記ゴム組成物が添加剤を含有し、該添加剤としてポリエチレン樹脂が用いられている請求項1記載の伝動ベルト。
- 前記ゴム組成物が軟化剤を含有し、該軟化剤としてパラフィン系軟化剤又はナフテン系軟化剤が用いられ、該軟化剤の流動点が−25℃以下である請求項1又は2記載の伝動ベルト。
- Vリブドベルトである請求項1〜3の何れかに記載の伝動ベルト。
- チグラーナッタ触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるチグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムと、メタロセン触媒存在下で重合されてなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであるメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとを含み、且つ、前記チグラーナッタ触媒型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとメタロセン型エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとの重量比が50/50〜90/10であるゴム組成物を用いて成型することを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
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