JP2008119455A - ロール仕上機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱ロール1に巻き掛けられて周回するベルト2に対向せしめて減圧室10を設け、ブロワ11で排気する。これにより、加熱ロールとベルトとの間に挟みつけられている洗濯物5の付近に通風を生じる。さらに乾燥を促進するため、前記のベルトは通気性の大きいものとし、かつベルト2のテンション及び走行速度を調節して乾燥所要時間の極小値を求めて操業する。
【選択図】図1
Description
加熱ロール1はほぼ水平な軸(紙面に直角)の周りに、矢印a方向に回転していて、過熱蒸気によって140℃〜170℃に加熱されている。
上記加熱ロール1に無端環状のベルト2が巻き掛けられており、該ベルトは複数個のローラ3a〜3dに案内されて周回している。矢印b,c,d,e,fは周回方向を表している。
未仕上げ洗濯物4は矢印hのように搬入され、加熱ロール1とベルト2との間へ供給され(矢印e)、加熱ロールやベルトと一緒に矢印a方向に回ってゆく。符号5を付して示したのは、仕上げ途中の洗濯物である。
従来例のロール仕上機においては、ベルトのテンションについては別段の考慮が為されておらず、0.15キログラム/センチメートル未満に設定されていて、前記のローラ3aは、それ以上の力に耐えることはできなかった。
また、被処理物である洗濯物がロールに巻きつかないようにするため、特許文献2として挙げた特開2005−205065号公報「ロール仕上機における巻付き防止方法、及びエアー式巻付き防止装置」が提案されている。
しかし、ロール仕上げにおける洗濯物の乾燥所要時間を短縮して作業の処理能率を向上させることについては、別段の新規な技術が開発されていない。
ロール仕上機の処理能率を上げようとする場合、仕上済み洗濯物が自然乾燥状態に達していることが条件とされる。
このためロール仕上機においては、被処理物である洗濯物を如何にして速く自然乾燥状態まで乾かすかということが能率向上の決め手になる。
ロール仕上機の形状,重量や設置個数を増加させることなく乾燥所要時間を短縮することができれば、製造コスト増加を抑制して洗濯物の処理能率を向上せしめ得ることが期待される。
ただし本発明を実施する際、ロール仕上機の形状,重量や設置個数は任意に設定することができる。
そこで、通気度とテンションとの相関の下に、ベルトの最適通気度および最適テンションを探求して、実施形態1(請求項1)の発明を創作し、
その後、研究を続けて乾燥の進行状況がベルトの走行速度(加熱ロールの周速)にも関連していることを発見し、この新たな知見に基づいて実施形態2(請求項2)の発明を創作するに至り、
さらに、前記実施形態1と実施形態2とを総合的に検討,解析して上位概念としての請求項3の発明を創作して本願発明を完成した。
この図2の実験におけるベルトの走行速度(加熱ロールの周速)は、従来技術の範囲内(24メートル/分未満)であって、15メートル/分である。
(注)従来例におけるベルト走行速度は一般に10〜15メートル/分である。
この図2の縦軸に表された乾燥所要時間は、横軸の通気度20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分と30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分との間に極小値が認められる。
請求項1の発明は、上述のごとく確認した図2(実施形態1)の原理に基づき、工業的に利用し得る具体的な構成を創作したものである。
前記ベルトの通気度が、20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分〜30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分であり、
かつ、該ベルトのテンションが0.15キログラム/センチメートル〜1.8キログラム/センチメートルであることを特徴とする。
しかし、その後の研究において、ベルトの走行速度(加熱ロールの周速)を従来例よりも著しく高く、25メートル/分に設定してみたところ、図3(実施形態2)を得た。
すなわち、ベルト走行速度を上げると、乾燥所要時間カーブの極小位置が「通気度の大きい方向」へ移動した。
前記ベルトの走行速度が24メートル/分以上であり、
該ベルトの通気度が、30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分〜50,000立方センチメートル/平方センチメートル・分であり、
かつ、該ベルトのテンションが0.15キログラム/センチメートル〜1.8キログラム/センチメートルであることを特徴とする。
前記請求項1の構成と比較して異なる点は次のとおりである。
イ.ベルト走行速度の領域が高いこと。
ロ.通気量の大きいベルトを選定したこと。
前記ベルトの通気度が、20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以上であることを特徴とする。
しかし、従来技術において誰も試みなかった「20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以上」という通気度の領域において、従来技術では達成し得なかった高能率のロールプレスが可能であることが確認された。なお、望ましくは20,000〜30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分の間が推奨される。
前記ベルトの幅寸法が、前記加熱ロールの長さ寸法とほぼ等しい1枚のベルトであり、
又は、幅寸法の合計が前記加熱ロールの長さ寸法とほぼ等しい複数枚のベルトから成ることを特徴とする。
ベルト走行速度が高いので洗濯物の処理能率が向上する。
図1は本発明の1実施形態を模式的に描いた正面図である。
この実施形態は、前掲の図6に示した従来例のロール仕上機に本発明を適用して改良した1例である。
前掲の図6(従来例)に比して異なるところは、エアシリンダ7に対して作動空気を供給する管路に可変減圧弁9を設けて、テンションローラとしての機能を兼ねているローラ3aに与える力を任意に制御し得るようになっている。
ベルト2が受けるテンションは、ローラ3aが与えられるシリンダ出力の約半分に相当する。
図示を省略するが、前記のエアシリンダ7に代えて油圧シリンダを設けるとともに、圧力調整可能な作動油を供給することによって、前記のベルトにテンションを与えるように構成することもできる。
各ローラ(3a〜3d)は、このような大きいテンションに耐え得るよう、従来例よりも丈夫にしてある。
本発明においては、通気度20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分〜30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分のベルトを使用する。
図2に示した実験においては、カンバス通気度25,000立方センチメートル/平方センチメートル・分の市販のベルトを用いた。
(注)カンバス通気度:ドライヤーカンバスの開口度を表示する。
表示単位は立方センチ/平方センチ・分(1/2インチ水柱圧)であり、
カンバスの表裏面に圧力差(1/2インチ水柱圧)を与え、この時、単位時間に単位面積を通過する空気量を測定する。
通気度が20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以下であると、洗濯物から発生した蒸気の発散が妨げられて乾燥所要時間が長くなる。
ところが、通気度が40,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以上であると、洗濯物を加熱ロールに向けて押さえつける密度が減少し、洗濯物と加熱ロールとの密着が不充分になって、加熱ロールから洗濯物への熱伝導が悪くなるので、却って乾燥所要時間が長くなる(従来技術においては、洗濯物の押し付け密度を重視して、ベルトの通気度を20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分未満にしていた)。 上述のように諸条件が相関して、本例の条件(ベルト走行速度24メートル/分)において、ベルトの最適通気度は20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分と30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分との間に存在する。
ベルトテンションが1.8キログラム/センチメートルに近づくほど、最短乾燥時間が得られる通気度が30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分に近づく。
本発明者の実験によると、ベルトテンションを0.3〜1.8キログラム/センチメートルの間に設定することが一層望ましい。ただし(図6参照)従来例のロール仕上機におけるローラ3aは0.3キログラム/センチメートルのテンションに耐え得ないから、本発明を実施する場合は減圧弁8を変えるだけでは足りず、ローラ3a(または、これと同様に機能しているテンションローラ)を丈夫なものに作り替えねばならない。
特に、前述のごとく、従来例のロール仕上機テンションローラの仕様を変更して強化しなければ壊れてしまうような大きいベルトテンションを与えることは、適宜に為し得る設計的配慮とは言えない。
従来においては、ベルトテンションの大小が乾燥速度に影響を及ぼすとは思いもよらなかったので、漫然と0.15キログラム/センチメートル未満に設定されていた。
本発明を実施する際、ロール仕上機メーカーの立場から見れば所望の通気度を有するベルトは市販品を購入することができる。
しかし、市販のベルトの幅寸法はベルトメーカーの規格に基づいて製造供給されているので、ロール仕上機メーカーが設計製作しようとする加熱ロールの長さ寸法と市販ベルトの幅寸法とを整合させるために工夫を要する。
本例においては、求められるロール仕上げ性能に基づいて所要の加熱ローラ長さ寸法とベルトの幅寸法とを算出し、算出された幅寸法と一致するように、複数枚の既製ベルトを並べて所望の幅寸法を得た。
図2を参照して説明した前記第1の実施形態においては、ベルトの走行速度に関して別段の考慮を払わず、従来例(24メートル/分未満)の範囲内で15メートル/分に設定されていたが、第2の実施形態においては新たな実験結果(図3)に基づいてベルトの走行速度を24メートル/分以上の30メートル/分に設定した。
この速度領域(24メートル/分以上)でベルトを走行させることは、未だ曾て試みられたことが無い。
高速走行(24メートル/分以上)の実験結果では、乾燥所要時間の極小値が30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分〜50,000立方センチメートル/平方センチメートル・分の間に現れている。
図3に示した第2の実施形態(請求項2)によっても、前記第1の実施形態(請求項1)におけると同様に乾燥所要時間を短縮することができ、ベルト走行速度の上昇によってロール仕上げ作業の能率がいっそう向上する。
前掲の図2及び図3は、上記4次元グラフについてベルト走行速度をパラメータとして3次元グラフ(立体グラフ)を想定し、更にベルトのテンションについて、0.15キログラム/センチメートルと1.8キログラム/センチメートルとの2つの面で切断して2本の曲線を得たものである。
そこで、これら2枚のグラフ(2つの実施形態)を参照しつつ、従来技術の領域と本願発明の領域との境界を探求した結果、「本願発明に欠くことができず、かつ、従来技術においては考えられていなかった構成」は、「ベルトの通気度が、20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以上」であることを確認した(請求項3)。
洗濯物5は、図示の点イで挿入され、円弧矢印aのように回動して、図示の点ロで放出される。すなわち、点イから左回り(反時計方向)に点ロまでの間が洗濯物の回動区域である。
上気の回動区域の一部分を緩やかに覆う形の減圧室10を設け、その中の空気をブロワ11で排気して減圧室内の空気を流動させる。
洗濯物に触れているベルトの外側に空気が流れていると、洗濯物から発生した蒸気が速やかに取り除かれ、洗濯物の乾燥がいっそう速くなる。
本発明を実施する場合、減圧室兼加圧室を構成しておき、ブロワ11による吸気と排気とを切り替えることにより、図4に示した改良例として用いたり、図5に示した改良例として用いたり、任意に選択することもできる。
本発明を実施する際、必ずしも減圧室もしくは加圧室を設けなくても、洗濯物が回動する区域においてベルトの外周付近に空気流を発生させれば、図4や図5に示した改良例と同様の効果が得られる。
ベルトの外周付近に空気流を発生させるには、例えば吸気ダクトを設けるとか、空気ノズルを設けるとか、扇風機で風を送るとか、種々の手段が考えられる。
ただし、減圧室とブロワとによる構成は、作業環境の保全という意味から好ましい。本発明者の試験研究によると、加圧室を設けた場合も、減圧室を設けた場合と同様の乾燥促進効果が得られた。
2…ベルト
3a〜3d…ローラ
4…未仕上げ洗濯物
5…洗濯物
6…仕上済み洗濯物
7…エアシリンダ
8…減圧弁
9…可変減圧弁
10…減圧室
11…ブロワ
12…加圧室
a…加熱ロールの回転方向を表す矢印
b,c,d,e…ベルトの周回方向を表す矢印
h…洗濯物の送り込み方向を表す矢印
g…洗濯物の送り出し方向を表す矢印
W…間隔寸法
イ…洗濯物の送り込み箇所
ロ…洗濯物の送り出し箇所
α…ベルトテンション0.15kg/cmのカーブ
β…ベルトテンション1.8kg/cmのカーブ
γ…ベルトテンション0.15kg/cmのカーブ
δ…ベルトテンション1.8kg/cmのカーブ
Claims (7)
- 水平軸の周りに回転している加熱ロールと、該加熱ロールに巻き掛けられて周回する無端環状のベルトとを備え、脱水処理された洗濯物を上記加熱ロールとベルトとの間に挟み込んでプレスするとともに乾燥させるロール仕上機において、
前記ベルトの走行速度が24メートル/分未満であり、
該ベルトの通気度が、20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分ないし30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分であり、
かつ、該ベルトのテンションが0.15キログラム/センチメートルないし1.8キログラム/センチメートルであることを特徴とするロール仕上機。 - 水平軸の周りに回転している加熱ロールと、該加熱ロールに巻き掛けられて周回する無端環状のベルトとを備え、脱水処理された洗濯物を上記加熱ロールとベルトとの間に挟み込んでプレスするとともに乾燥させるロール仕上機において、
前記ベルトの走行速度が24メートル/分以上であり、
該ベルトの通気度が、30,000立方センチメートル/平方センチメートル・分ないし50,000立方センチメートル/平方センチメートル・分であり、
かつ、該ベルトのテンションが0.15キログラム/センチメートルないし1.8キログラム/センチメートルであることを特徴とするロール仕上機。 - 水平軸の周りに回転している加熱ロールと、該加熱ロールに巻き掛けられて周回する無端環状のベルトとを備え、脱水処理された洗濯物を上記加熱ロールとベルトとの間に挟み込んでプレスするとともに乾燥させるロール仕上機において、
前記ベルトの通気度が、20,000立方センチメートル/平方センチメートル・分以上であることを特徴とするロール仕上機。 - 前記ベルトの外周に接している空間の少なくとも一部の区域の空気を流動せしめる手段が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載したロール仕上機。
- 前記の空気を流動せしめる手段が、ベルトの外周を緩やかに覆って設けられた減圧室、および該減圧室内の空気を排出するブロワを備えていることを特徴とする、請求項4に記載したロール仕上機。
- 前記の空気を流動せしめる手段が、ベルトの外周を緩やかに覆って設けられた加圧室、および該加圧室内へ空気を圧送するブロワを備えていることを特徴とする、請求項4に記載したロール仕上機。
- 前記ベルトの幅寸法が、前記加熱ロールの長さ寸法とほぼ等しい1枚のベルトであり、
又は、幅寸法の合計が前記加熱ロールの長さ寸法とほぼ等しい複数枚のベルトから成ることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れかに記載したロール仕上機。
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