JP2008116714A - 光学フィルタ及び色分解プリズム - Google Patents

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Abstract

【課題】分光クロストークを抑制でき、安定した色分解性能が得られる光学フィルタ及び色分解プリズムを提供する。
【解決手段】本発明に係る光学フィルタP12は、第1光学膜Hと第2光学膜Mとを交互に複数積層した光学多層膜からなる。そして、第1光学膜Hとして高屈折率膜、第2光学膜Mとして屈折率が基材11W,12Wよりも高くかつ第1光学膜Hよりも低い中間屈折率膜を用いることで、第1,第2光学膜H,M間の屈折率差を小さくしている。その結果、入射角30°以上で入射する光の偏光分離が抑制され、PS偏光分離幅が狭められることになる。これにより、分光クロストークを抑制でき、安定した色分解性能を得ることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学多層膜からなる光学フィルタ、特に、入射光を青色、緑色及び赤色の色成分別に分解する色分解プリズムに関する。
近年、青色用、緑色用及び赤色用の3個の固体撮像素子を用いる3板式ビデオカメラが開発されている。この種のビデオカメラには、撮像光束を青色、緑色及び赤色の3原色に色分解する色分解プリズムが用いられている。
3板式ビデオカメラ用の色分解プリズムは、光の入射側より第1,第2,第3の3つのプリズム部材が順に配置されてなり、これら3つのプリズム部材間の2つのプリズム界面に、色分離用の第1,第2の光学フィルタが順に形成されている。第1,第2の光学フィルタは、通常、屈折率の異なる二種以上の光学膜を交互に積層した光学多層膜(ダイクロイック膜)で構成されている。
色分解プリズムの種類としては、第1光学フィルタを青反射膜、第2光学フィルタを赤反射膜で構成した、いわゆるエアギャップ方式の色分解プリズムと、第1光学フィルタを緑反射膜、第2光学フィルタを青反射膜で構成した、いわゆるエアギャップレス方式の色分解プリズムが知られている(下記特許文献1参照)。
図5は、エアギャップレス方式の色分解プリズムの概略構成を示している。図5において、1は第1プリズム部材、2は第2プリズム部材、3は第3プリズム部材である。P1は、第1プリズム部材1と第2プリズム部材2との間に形成された緑反射膜からなる第1光学フィルタであり、P2は、第2プリズム部材2と第3プリズム部材3との間に形成された青反射膜からなる第2光学フィルタである。
入射光である撮像光束Lは第1プリズム部材1に入射し、第1光学フィルタP1で緑帯域の光は反射され、赤青帯域の光は透過する。第1光学フィルタP1で反射された緑色光LGは、第1プリズム部材P1の入射面で全反射され、第1プリズム部材1の出射面1cから出射される。第1光学フィルタP1を透過した光のうち、青帯域の光は第2光学フィルタP2で反射され、赤帯域の光は第2光学フィルタP2を透過する。第2光学フィルタP2で反射された青色光LBは、第2プリズム部材2の出射面2cから出射される。第2光学フィルタP2を透過した赤色光LRは、第3プリズム部材3の出射面3cから出射される。
図5に示した従来のエアギャップレス方式の色分解プリズムにおいては、第2光学フィルタP2に対する光の入射角(第2光学フィルタの法線方向に対する光の入射角)は30°以上あり、エアギャップ方式の色分解プリズムに比べて大きい。このため、第2光学フィルタ(青反射膜)P2の入射角依存が大きくなり、その結果、偏光特性が強く現れることが知られている。
図6は、基板(BK7、屈折率1.518)の上に形成した高屈折率材料Nb25(屈折率2.30)と低屈折率材料SiO2(屈折率1.46)の多層膜からなる従来の光学フィルタ(青反射膜)P2に対して、入射角38°で光を入射させたときの分光特性を示している。図6において、4はP偏光特性、5はS偏光特性、6はP偏光とS偏光の平均値((P+S)/2)の特性をそれぞれ示している。7は、P偏光特性とS偏光特性の半値(透過率50%における波長)間の幅、すなわちPS偏光分離幅であり、図6の例ではP偏光特性の半値が537.4nm、S偏光特性の半値が590.0nmであることから、PS偏光分離幅7は、52.6nmである。
図6に示したように、従来の第2光学フィルタ(青反射膜)P2においては、PS平均値特性6が透過率50%付近で段部6aをもつ分光特性をもつ。このようなPS偏光分離幅7の大きな分光特性をもつダイクロイック膜は、入射光の偏光特性による影響を受け易くなり、第2光学フィルタP2による分光クロストークの問題が発生する。図7A,Bに従来の色分解プリズムにおける分光クロストークの様子を示す。図7A,Bにおいて、P1Gは緑反射膜(第1光学フィルタ)P1の透過率分光特性、P2Bは青反射膜(第2光学フィルタ)P2のPS平均値における透過率分光特性、Gは緑色チャンネル(固体撮像素子)に入射する光の分光特性、Bは青色チャンネルに入射する光の分光特性、Rは赤色チャンネルに入射する光の分光特性をそれぞれ示す。
一般に、光学多層膜は入射角依存性をもち、入射角が大きくなるほど分光特性は短波長側にシフトし、入射角が小さくなるほど分光特性は長波長側にシフトする。撮像光束はレンズを通して色分解プリズムに入射するため、ダイクロイック膜に対しては一定の入射角度範囲で光が入射する。図7Aは、青反射膜(第2光学フィルタ)P2の分光特性が長波長側にシフトした様子を示し、図7Bは、この青反射膜P2の分光特性は短波長側にシフトした様子を示している。
図7Aのように青反射膜の分光特性P2が長波長側にシフトすると、この青反射膜P2の反射透過境界の半値位置が緑反射膜(第1光学フィルタ)P1の反射波長帯幅の中心よりも長波長側に位置し、青反射膜P2のPS偏光分離幅が大きくなるほど青反射膜P2の透過率ピークが長波長側にシフトする。この結果、青反射膜P2で反射される青光束に赤光束の一部が混入することで、青光束と赤光束との間で分光クロストークが発生する。一方、図7Bのように青反射膜の分光特性P2が短波長側にシフトすると、この青反射膜P2の反射透過境界の半値位置が緑反射膜(第1光学フィルタ)P1の反射波長帯幅の中心よりも短波長側に位置し、青反射膜P2のPS偏光分離幅が大きくなるほど青反射膜P2の反射率ピークが短波長側にシフトする。この結果、青反射膜P2を透過する赤光束に青光束の一部が混入することで、赤光束と青光束との間で分光クロストークが発生する。その結果、良好な色再現性を実現することができなくなる。
上述した青光束と赤光束との間の分光クロストークを改善する方法として、下記特許文献1には、緑反射膜の反射帯域を青反射膜のPS偏光分離幅よりも大きくする方法が提案されている。また、下記特許文献2には、青色光のプリズム出射面に青帯域の光のみを透過するトリミングフィルタを設ける構成が開示されており、下記特許文献3には、赤色光のプリズム出射面に赤帯域の光のみを透過するトリミングフィルタを設ける構成が開示されている。
特開平5−188220号公報 特開平6−27308号公報 特開平4−367190号公報
青色光束と赤色光束との間の分光クロストークを抑制するには、青反射膜のPS偏光分離幅を小さくすることが最も有効である。しかし、上記特許文献1〜3に記載の方法では、青反射膜のPS偏光分離幅を狭める有効な手段とはなり得ず、青反射膜の偏光特性の改善を図れるには至らない。
特に、上記特許文献1に記載されているように緑反射膜の反射帯域を青反射膜のPS偏光分離幅よりも大きくする方法では、緑色光として分離される光の色域(波長帯域)が広がり、色純度が劣化する点で問題がある。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、分光クロストークを抑制でき、安定した色分解性能が得られる光学フィルタ及び色分解プリズムを提供することを課題とする。
以上の課題を解決するに当たり、本発明の光学フィルタは、透光性のある基材の上に、第1の屈折率を有する第1光学膜と、第2の屈折率を有する第2光学膜とが交互に積層された多層膜からなり、上記多層膜に対する光の入射角が30°以上である光学フィルタであって、上記第1の屈折率は、上記基材の屈折率よりも高く、上記第2の屈折率は、上記基材の屈折率よりも高くかつ上記第1の屈折率よりも低いことを特徴とする。
本発明に係る光学フィルタは、上記第1光学膜と第2光学膜とを交互に複数積層した光学多層膜からなる。そして、第2光学膜として屈折率が上記基材よりも高くかつ第1光学膜よりも低い中間屈折率膜を用いることで、第1,第2光学膜間の屈折率差を小さくしている。その結果、入射角30°以上で入射する光の偏光分離が抑制され、PS偏光分離幅が狭められることになる。これにより、分光クロストークを抑制でき、安定した色分解性能を得ることが可能となる。
また、本発明の色分解プリズムは、光の入射側から順に配置された第1,第2,第3の3つのプリズム部材と、上記第1,第2プリズム部材間に配置され緑色光を反射しかつ赤色光及び青色光を透過させる第1光学フィルタと、上記第2,第3プリズム部材間に配置され青色光を反射し赤色光を透過させる第2光学フィルタとを備えた色分解プリズムであって、上記第2光学フィルタは、第1の屈折率を有する第1光学膜と、第2の屈折率を有する第2光学膜とが交互に積層された多層膜からなり、上記多層膜に対する光の入射角が30°以上であり、上記第1の屈折率は、上記基材の屈折率よりも高く、上記第2の屈折率は、上記基材の屈折率よりも高くかつ上記第1の屈折率よりも低いことを特徴とする。
この構成により、第2光学フィルタに対して入射角30°以上で入射する光のPS偏光分離幅を狭めることができるので、青色光と赤色光との間における分光クロストークを抑制することができ、安定した色分解性能が得られ、良好な色再現性を実現することができる。
なお、上記中間屈折率膜は、基材よりも高くかつ高屈折率膜よりも低い屈折率を有する光学薄膜で、その屈折率は、例えば1.6以上1.9以下である。中間屈折率膜は、Al23やLa系Al23等の中間屈折率材料膜や、高屈折率材料(TiO2、Nb25、HfO2等)と低屈折率材料(SiO2、MgF2等)の混合材料膜で構成することができる。これらの材料を蒸着材料あるいはターゲット材料とした真空蒸着法あるいはラジカルアシストスパッタ(RAS)法等により、容易に中間屈折率膜を作製することが可能である。
以上述べたように、本発明によれば、高屈折率膜と中間屈折率膜の光学多層膜で光学フィルタを構成することにより、青反射膜に入射角30°以上で入射する光のPS偏光分離幅を狭めることができるので、分光クロストークを抑制して安定した色分解性能が得られるとともに、良好な色再現性を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態による色分解プリズム10の概略構成図である。本実施形態の色分解プリズム10は、いわゆるエアギャップレス方式の色分解プリズムで構成されている。色分解プリズム10は、例えば3板式ビデオカメラに用いられ、光の入射側より順に第1プリズム部材11、第2プリズム部材12および第3プリズム部材13を備えている。各プリズム部材11〜13は、BK7(屈折率1.518)等の石英や各種ガラス材料を加工することによって形成される。
第1プリズム部材11と第2プリズム部材12との間には、第1光学フィルタP11が配置されており、第2プリズム部材12と第3プリズム部材13との間には、第2光学フィルタP12が配置されている。第1光学フィルタP11は、撮像光束Lが所定の入射角(例えば26.5°)で入射するように傾斜して設けられ、緑色光LGを反射しかつ赤色光LR及び青色光LBを透過させる光学多層膜(緑反射膜)で構成されている。第2光学フィルタP12は、第1光学フィルタP11に対して一定角度傾斜して設けられ、青色光LBを反射しかつ赤色光LRを透過させる光学多層膜(青反射膜)で構成されている。
第1プリズム部材11の光出射面には緑色光LGのみを透過させる緑色光透過フィルタ11Gが設けられており、この緑色光透過フィルタ11Gを介して緑色光用固体撮像素子(図示略)が配置されている。また、第2プリズム部材12の光出射面には青色光LBのみを透過させる青色光透過フィルタ12Bが設けられており、この青色光透過フィルタ12Bを介して青色光用固体撮像素子(図示略)が配置されている。さらに、第3プリズム部材13の光出射面には赤色光LRのみを透過させる赤色光透過フィルタ13Rが設けられており、この赤色光透過フィルタ13Rを介して赤色光用固体撮像素子(図示略)が配置されている。
なお、緑色光透過フィルタ11G、青色光透過フィルタ12B及び赤色光透過フィルタ13Rは、必要に応じて省略することが可能である。また、上記固体撮像素子は、CCDイメージャ、CMOSイメージャ等で構成されている。
上記構成において、色分解プリズム10に入射する撮像光束Lは、第1プリズム部材11に入射した後、第1光学フィルタP11において緑色光LGは反射され、青色光LB及び赤色光LRは透過する。第1光学フィルタP11で反射した緑色光LGは、第1プリズム部材11の入射面で全反射された後、緑色光透過フィルタ11Gを介して緑色光用固体撮像素子へ向けて出射される。
一方、第1光学フィルタP11を透過した青色光LBは、第2光学フィルタP12において反射され、青色光透過フィルタ12Bを介して青色光用固体撮像素子へ向けて出射される。また、第1光学フィルタP11を透過した赤色光LRは、第2光学フィルタP12を透過し、赤色透過フィルタ13Rを介して赤色光用固体撮像素子へ向けて出射される。
ここで、撮像光束Lは、被写体から撮像レンズ光学系を介して色分解プリズム10の入射面に集光されるため、色分解プリズム10の第1,第2光学フィルタ21,22に対して撮像光束Lはある一定の角度範囲をもって入射する。また、第2光学フィルタP12に対しては入射角30°以上(本例では38°±α)で撮像光束Lが入射する構成であるため、この青反射膜である第2光学フィルタP12において撮像光束Lは偏光分離が生じやすくなる。
そこで、本実施形態では、第2光学フィルタP12を次のようにして構成している。以下、青色光反射膜として構成される本発明に係る第2光学フィルタP12の詳細について説明する。
図2は、第2光学フィルタP12の構成を示す概略断面図である。第2光学フィルタP12は、第1の屈折率を有する第1光学膜Hと、第2の屈折率を有する第2光学膜Mとが交互に積層された多層膜からなる。
第2光学フィルタP12は、2つの基板11W,12Wの間に配置されており、いずれか一方の基板の上に形成された後、他方の基板が接着剤等を介して接着される。基板11W,12Wはいずれも透光性のある基材として構成される。本実施形態において、一方の基板11Wは第1プリズム部材11に対応し、他方の基板12Wは第2プリズム部材12に対応する。これら板状の基板11W,12Wは機械加工によって所定のプリズム形状に整形される。
第1光学膜Hは、基板11W,12Wの屈折率(1.518)よりも高い屈折率(第1の屈折率)を有する高屈折率膜からなり、例えば、屈折率が2.0以上2.4以下のTiO2膜、Nb25膜、Ta25膜、HfO2膜、ZrO2膜などで構成されている。
第2光学膜Mは、基板11W,12Wの屈折率よりは高くかつ第1光学膜Hの屈折率よりも低い屈折率(第2の屈折率)を有する中間屈折率膜からなる。第2光学膜Mとして屈折率が基板11W,12Wよりも高くかつ第1光学膜Hよりも低い中間屈折率膜を用いることで、第1,第2光学膜間の屈折率差を小さくし、30°以上の高角度で入射する光のPS偏光分離を抑制して、入射光のPS偏光分離幅を狭くするようにしている。
第2光学膜Mの構成材料は、例えば、屈折率が1.6以上1.9以下のLa系Al23、Al23等の中間屈折率材料のほか、高屈折率材料と低屈折率材料(SiO2、MgF2など)の混合材料などで構成されている。La系Al23材料としては、例えば、メルク社製「M2」、「M3」等が挙げられる。また、第2光学膜Mの作製は、上述した中間屈折率材料を蒸着材料あるいはターゲット材料とした真空蒸着法あるいはラジカルアシストスパッタ(RAS)法等により、容易に作製することが可能である。
第1光学膜H及び第2光学膜Mの各々の膜厚、積層数等は特に制限されず、目的とする反射波長帯域、反射率特性等に応じて適宜設定される。本実施形態では、第2光学フィルタP12が青反射膜で構成され、青色光に対して所定の反射率が得られるような膜設計で構成されている。
具体的な膜設計例としては、1.0(H)=1.0(M)=λ/4=n×d(λ:中心波長[nm]、n:膜の屈折率、d:膜の物理膜厚[nm])とした場合、基本膜構成として、基板11W側より順に、以下の(1)式で示される膜厚比で形成される。
(0. 75H 0.7M 0.75H)X(0.6H 0.7M 0.6H)Y …(1)
なお、X,Yは整数で繰り返し回数を意味する。
図3は、図2に示した構成の第2光学フィルタP12の分光特性の一例を示している。本例において、第2光学フィルタP12(の法線方向)に対する光の中心入射角は38°、基板11W,12Wは屈折率1.518のBK7、第1光学膜HはNb25(波長550nmにおける屈折率2.3)、第2光学膜MはNb25(同屈折率2.3)とSiO2(同屈折率1.46)の混合膜(同屈折率1.70)、膜構成は上記(1)式においてX=9、Y=9とした。上記膜材料以外の条件は、図6に示した分光特性を有する従来の光学フィルタと同一である。
図3において、14はP偏光特性、15はS偏光特性、16はP偏光とS偏光の平均値((P+S)/2)の特性をそれぞれ示している。17は、P偏光特性とS偏光特性の半値(透過率50%における波長)間の幅、すなわちPS偏光分離幅である。図示の例では、P偏光特性の半値が539.5nm、S偏光特性の半値が568.8nmであるから、PS偏光分離幅17は、29.3nmである。また、入射角30°〜45°の間で、波長450nm〜500nmにおいて最高透過率10%以下、波長600nm〜700nmにおいて最低透過率85%以上を満足している。
従って、本実施形態によれば、青反射膜である第2光学フィルタP12を高屈折率膜である第1光学膜Hと中間屈折率膜である第2光学膜Mの多層膜で構成することにより、図6に示した従来の青反射膜に比べて、入射光の偏光分離が抑制されてPS偏光分離幅17を狭くすることが可能となる。特に、図3の例においては、PS平均値特性16において反射透過境界の半値位置(透過率50%付近)に段部が生じない程度に、反射透過境界を急峻にすることができる。
図4は、図3に示した分光特性を有する光学フィルタを第2光学フィルタP12として、色分解プリズム10を構成したときの色分解特性を示している。図4において、P11Gは緑反射膜(第1光学フィルタ)P11の透過率分光特性、P12Bは青反射膜(第2光学フィルタ)P12の透過率分光特性、Gは緑色チャンネル(固体撮像素子)に入射する光の分光特性、Bは青色チャンネルに入射する光の分光特性、Rは赤色チャンネルに入射する光の分光特性をそれぞれ示す。
図4に示したように、本実施形態によれば、青反射膜(第2光学フィルタ)P12の偏光分離幅が狭く抑えられているので、図7A,Bに示した従来の色分解特性に比べて、青光束に対する赤光束の分光クロストークの発生及び赤光束に対する青光束の分光クロストークの発生がともに効果的に抑えられていることがわかる。これにより、色分解プリズム10による安定した色分解特性が得られ、良好な色再現性を実現することができる。
また、青反射膜P12の反射透過境界の半値位置が緑反射膜P11の反射波長帯幅の中心に位置しているので、光の偏光分離の入射角依存を低減でき、撮像光束の入射角範囲にわたって分光クロストークを低く抑えることが可能となる。これにより、色分解プリズム10による安定した色分解特性が得られ、良好な色再現性を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、プリズム部材11〜13又は基板11W,12Wとして、屈折率が1.518のガラス基材を用いたが、勿論これに限定されることはなく、他の屈折率を有する透光性の基材が用いられてもよい。この場合、基材の屈折率に合わせて第1,第2光学膜H,Mの屈折率が適宜選定される。
また、以上の実施形態では、本発明に係る光学フィルタを色分解プリズムにおける青反射膜(第2光学フィルタ)に適用した例について説明したが、これ以外にも、特定波長域の光を選択的に反射するダイクロイックミラー等の光学ミラーや、偏光ビームスプリッタ等、30°以上の高入射角光を弁別する各種光学部品に対しても、本発明は適用可能である。
本発明の実施形態による色分解プリズムの概略構成図である。 図1の色分解プリズムにおいて青反射膜(第2光学フィルタ)として適用される本発明の実施形態による光学フィルタの概略断面図である。 図2に示した光学フィルタの分光特性の一例を示す図である。 図1の色分解プリズムの色分解特性の一例を示す図である。 従来のエアギャップレス方式の色分解プリズムの概略構成図である。 従来の色分解プリズムにおける青反射膜の分光特性の一例を示す図である。 従来の色分解プリズムの色分解特性の一例を示す図である。
符号の説明
10…色分解プリズム、11…第1プリズム部材、12…第2プリズム部材、13…第3プリズム部材、17…PS偏光分離幅、H…第1光学膜(高屈折率膜)、M…第2光学膜(中間屈折率膜)、P11…第1光学フィルタ(緑反射膜)、P12…第2光学フィルタ(青反射膜)

Claims (5)

  1. 透光性のある基材の上に、第1の屈折率を有する第1光学膜と、第2の屈折率を有する第2光学膜とが交互に積層された多層膜からなり、前記多層膜に対する光の入射角が30°以上である光学フィルタであって、
    前記第1の屈折率は、前記基材の屈折率よりも高く、
    前記第2の屈折率は、前記基材の屈折率よりも高くかつ前記第1の屈折率よりも低い
    ことを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記第2の屈折率は、1.6以上1.9以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記基材は一対設けられ、これら一対の基材間に前記多層膜が配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  4. 光の入射側から順に配置された第1,第2,第3の3つのプリズム部材と、
    前記第1,第2プリズム部材間に配置され緑色光を反射しかつ赤色光及び青色光を透過させる第1光学フィルタと、
    前記第2,第3プリズム部材間に配置され青色光を反射し赤色光を透過させる第2光学フィルタとを備えた色分解プリズムであって、
    前記第2光学フィルタは、第1の屈折率を有する第1光学膜と、第2の屈折率を有する第2光学膜とが交互に積層された多層膜からなり、前記多層膜に対する光の入射角が30°以上であり、
    前記第1の屈折率は、前記基材の屈折率よりも高く、
    前記第2の屈折率は、前記基材の屈折率よりも高くかつ前記第1の屈折率よりも低い
    ことを特徴とする色分解プリズム。
  5. 前記第2光学フィルタの反射透過境界の半値位置は、前記第1光学フィルタの反射波長帯幅の中心に位置している
    ことを特徴とする請求項4に記載の色分解プリズム。
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