JP2008115418A - 成膜装置およびそのクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことが可能な成膜装置およびそのクリーニング方法を提供する。
【解決手段】基板W上に堆積させる被膜材料5Mを供給する被膜材料供給手段5と、被膜材料供給手段5に対して所定位置に基板Wを保持する基板ホルダ4と、被膜材料5Mを透過させるスリット6Kを所定位置に形成しつつ、被膜材料供給手段5と基板ホルダ4との間に配置されたマスク部材6Pと、スリット6Kから離間配置され、マスク部材6Pの表面に付着した被膜材料5Mを除去するクリーニング部と、スリット6Kの近傍とクリーニング部との間で、マスク部材6Pを循環移動させる循環移動手段と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置およびそのクリーニング方法に関するものである。
液晶プロジェクタなどの投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、その電極の内側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。そして、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光が変調され、画像光が作製される構成となっている。
上述した配向膜として、側鎖アルキル基を付加したポリイミドなどからなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが用いられている。しかしながら、このような有機配向膜を備えた液晶装置をプロジェクタの光変調手段として採用した場合には、光源から照射される強い光や熱によって配向膜が次第に分解され、液晶プロジェクタの表示品質が低下するおそれがある。
そこで、耐光性および耐熱性に優れた無機材料からなる配向膜の採用が検討されている。この無機配向膜の製造方法として、斜方蒸着法などが提案されている。この方法は、基板に対して所定の入射角度で無機材料の粒子を連続入射させ、無機材料の柱状構造体を形成して無機配向膜を構成するものである。液晶装置では、この柱状構造体に沿って液晶分子が配向するので、この無機配向膜により液晶分子に対する配向規制およびプレティルトの付与が可能となっている。
また、基板サイズが大きくなることによって発生する蒸着角のズレを抑えるため、基板中心部から蒸着源までの距離に応じて基板が蒸発物に暴露されるスリット幅を、予め計算して決めておくことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−365639号公報
ところで、特許文献1の成膜装置を用いて基板に原料を蒸着しようとすると、原料であるSiOは、スリットを備えたマスク部材(防着板)などにも蒸着してしまうため、長時間処理を行うとスリット幅が狭くなってしまい、成膜条件が変わってしまう虞があった。そのため、成膜装置内のメンテナンスを頻繁に行わなければならないという問題があった。また、マスク部材のスリット近傍に蒸着物が付着した状態で処理を続けると、蒸着むらによる膜性能劣化が懸念されるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことが可能な成膜装置およびそのクリーニング方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の成膜装置は、基板上に堆積させる被膜材料を供給する被膜材料供給手段と、該被膜材料供給手段に対して所定位置に前記基板を保持する基板ホルダと、前記被膜材料を透過させるスリットを所定位置に形成しつつ、前記被膜材料供給手段と前記基板ホルダとの間に配置されたマスク部材と、前記スリットから離間配置され、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去するクリーニング部と、前記スリットの近傍と前記クリーニング部との間で、前記マスク部材を循環移動させる循環移動手段と、を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、マスク部材のスリット近傍に付着した被膜材料を、マスク部材を循環移動手段にて循環させて適切な位置(クリーニング部)に移動させた後にクリーニングするため、確実にクリーニングすることができる。したがって、スリットの形状を長期間略同一に保つことができ、長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる効果がある。また、成膜装置からマスク部材を取り外すことなく、マスク部材に付着した被膜材料を簡単かつ短時間で除去することが可能となり、生産効率を向上させることができる効果がある。さらに、クリーニング部において被膜材料が除去されたマスク部材をスリット近傍に移動させることにより、マスク部材を交換することなく直ちに成膜処理を再開することが可能になり、生産効率を向上させることができる効果がある。
また、本発明の成膜装置は、前記マスク部材は、環状に連続形成されて、前記スリットに沿って配置された第1ローラと、前記クリーニング部に配置された第2ローラとの間に回し掛けられ、前記循環移動手段は、前記第1ローラおよび前記第2ローラのうち少なくとも一つを回転駆動することにより、前記マスク部材を循環移動させることを特徴とする。
このように構成することで、スリット近傍に付着した被膜材料を効率よくスリット領域から遠ざけてクリーニング部まで移動させることができるため、被膜材料の除去作業が確実かつ容易に行うことができると共に、短時間で確実に行うことができる効果がある。また、マスク部材のいずれの表面も循環移動手段によりスリット近傍に配置させることができるため、マスク部材におけるクリーニングする領域を集中させることなく分散させることができ、マスク部材を長期間メンテナンスを行うことなく使用することができる効果がある。
また、本発明の成膜装置は、前記クリーニング部は、前記被膜材料と反応して揮発性物質を生成する反応ガスを供給して、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去することを特徴とする。
このように構成することで、マスク部材に付着した被膜材料と反応ガスとを化学反応させて被膜材料をガス化させることができるため、確実に被膜材料を除去することができる効果がある。
また、本発明の成膜装置は、前記揮発性物質を排気する排気手段を備えたことを特徴とする。
このように構成することで、反応ガスと被膜材料とが化学反応して発生した揮発性物質や、未反応のガスなどを確実に成膜室内から排気することができるため、その後に継続される成膜工程に影響を与えることなく、成膜を確実に行うことができる効果がある。
また、本発明の成膜装置は、前記基板と前記スリットとの相対位置が変化するように前記基板ホルダを移動させる基板移動手段を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、基板を移動させて、基板表面がスリット上を確実に通過するようにできるため、確実に基板全面を成膜することができる効果がある。
また、本発明の成膜装置のクリーニング方法は、基板上に堆積させる被膜材料を供給する被膜材料供給手段と、該被膜材料供給手段に対して所定位置に前記基板を保持する基板ホルダと、前記被膜材料を透過させるスリットを所定位置に形成しつつ、前記被膜材料供給手段と前記基板ホルダとの間に配置されたマスク部材と、前記スリットから離間配置され、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去するクリーニング部と、前記スリットの近傍と前記クリーニング部との間で、前記マスク部材を循環移動させる循環移動手段と、を備えた成膜装置のクリーニング方法であって、前記スリットの近傍において前記被膜材料が付着した前記マスク部材を前記クリーニング部に移動させるとともに、前記クリーニング部において前記被膜材料が除去された前記マスク部材を前記スリットの近傍に移動させることを特徴とする。
このように構成することで、マスク部材を循環移動手段により循環移動し、マスク部材に付着した被膜材料をクリーニング部に移動させ、マスク部材を適切なタイミングで、かつ適切な位置でクリーニングすることができる。そのため、スリットの形状を長期間略同一に保つことができ、長期間マスク部材のメンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる効果がある。
また、マスク部材に付着した被膜材料を簡単かつ短時間で除去することが可能となり、生産効率を向上させることができる効果がある。さらに、クリーニング部において被膜材料が除去されたマスク部材をスリット近傍に移動させることにより、マスク部材を交換することなく直ちに成膜処理を再開することが可能になり、生産効率を向上させることができる効果がある。
また、本発明の成膜装置のクリーニング方法は、前記成膜装置は、前記循環移動手段により前記マスク部材を循環移動させつつ成膜処理を行い、前記クリーニング部は、前記循環移動手段により前記マスク部材を循環移動させつつクリーニング処理を行うことを特徴とする。
このように構成することで、マスク部材の全面に被膜材料が堆積するまで成膜処理を継続することができるので、長期間マスク部材のメンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる効果がある。また、マスク部材に付着する被膜材料の膜厚を薄くすることができるため、クリーニング処理を容易に行うことができる効果がある。
次に、本発明の実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。以下の説明において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態において、X軸は基板の進行(移動)方向、Y軸はスリットの延在方向、Z軸は成膜装置の上下方向である。
(成膜装置)
図1は本実施形態に係る成膜装置を示す概略正面図であり、図2は本実施形態に係る成膜装置の概略側面図である。本実施形態の成膜装置1は、液晶装置の少なくとも一部となる基板Wの表面に無機材料からなる無機配向膜を形成するものである。また、成膜装置1は、PVD(Physical Vapor Deposition)法の中の一つである斜方蒸着法により基板Wの表面に無機配向膜を形成するものである。
図1、図2に示すように、成膜装置1は、基板Wを収容可能であり、その収容した基板W上に無機配向膜を形成可能な成膜室2を有する成膜システム3と、成膜室2内に配置された、基板Wを保持可能な基板ホルダ4および基板ホルダ4を移動させるための図示しない基板移動手段と、基板W上に無機配向膜を形成するための材料を供給可能な蒸着源5と、蒸着源5と基板Wとの間に配置され、スリット6Kを形成するように配置された2つの遮蔽機構6A,6Bからなるマスク6と、成膜システム3と別の位置に配置され、マスク6をクリーニング可能なクリーニングガス供給部10と、成膜室2内に発生した揮発性物質などを排気する排気ポンプ11と、成膜装置1全体の動作を制御する制御装置12とを備えている。
成膜室2は、左右の壁面2L、2Rと、上面2Uと、底面2Dと、前後の壁面2F、2Bとで囲まれた略直方体の形状を有している。成膜室2には、配向膜を形成する際の前処理(例えば基板の加熱処理)を行うための図示しない前処理室と、配向膜を形成した後の後処理(例えば基板の冷却処理)を行うための図示しない後処理室とがそれぞれ接続されている。成膜室2と前処理室及び後処理室のそれぞれとの間にはゲートバルブが設けられており、前処理室から成膜室2への基板Wの搬入動作、及び成膜室2から後処理室への基板Wの搬出動作は、図示しない搬送装置によって、ゲートバルブを介して実行される。ゲートバルブによって、成膜室2の状態(真空状態)の大きな変動を抑制しつつ、基板Wを搬送できるように構成されている。
蒸着源5は、基板W上に無機配向膜を形成するための材料を供給するものであって、無機配向膜を形成するための材料の蒸気を発生する。蒸着源5は、成膜室2の底面2Dの下方(−Z方向)に配置されている。蒸着源5は、無機配向膜を形成するための材料を収容する容器(るつぼ)5Aを有し、図示しない電子ビーム照射装置からの電子ビームが照射されることによって加熱される。これにより、蒸着源5から、無機配向膜を形成するための材料の蒸気が発生する。以下の説明において、基板W上に無機配向膜を形成するための材料を適宜「配向膜材料5M」と称する。
本実施形態においては、配向膜材料5Mとして、二酸化珪素(SiO)を用いる。他には、SiO以外の酸化珪素(SiOx)、アルミナ(Al)、ZnO、MgO、ITO等の金属酸化物を用いてもよい。
また、蒸着源5は成膜室2において、底面2Dの下方で、一方の壁面2L寄り(−X側)の所定位置に配置されている。また、蒸着源5の容器5Aは開口5Kを有し、その開口5Kが基板Wを向くように配置されている。これにより、蒸着源5から発生する配向膜材料5Mの蒸気(昇華材料)は、図1中、二点鎖線で示すように、マスク6のスリット6K近傍に効率良く供給される。
基板ホルダ4は、基板Wを所定位置に保持可能に構成されている。また、基板ホルダ4は、無機配向膜が形成される基板Wの表面(−Z側の面)と蒸着源5とが対向するように、基板Wを保持するように構成されている。ここで、基板ホルダ4は、成膜時において、基板Wの法線方向(Z軸方向)から時計回りに角度θをなす線に沿った位置に蒸着源5が配置されるように構成されている。ここで、蒸着源5の開口5Kと基板Wとを結ぶ線と、基板Wの法線方向(Z軸)とがなす角度θは、基板Wの表面に形成される無機配向膜の目標形状に応じて定められる。これにより、配向膜材料5Mの蒸気は、基板Wの表面に対して、所定の入射角度で供給され、その基板Wに斜方蒸着されるように構成される。
上述した蒸着源5と基板Wとの間にはマスク6が配置されている。マスク6は、基板Wよりも十分に大きく、基板Wの表面のほぼ全域を覆うことができる。マスク6の上面(+Z側の面)は略平坦に形成されている。また、マスク6は、左右(−X側、+X側)2つの遮蔽機構6A,6Bで構成されている。遮蔽機構6Aと遮蔽機構6Bとの間には、蒸着源5からの配向膜材料5Mの少なくとも一部が通過可能なスリット6Kが形成されている。また、スリット6Kの大きさは、基板Wの表面の大きさよりも小さく形成されている。マスク6のスリット6Kは、蒸着源5が配置された位置に対して、水平方向(+X方向)に所定距離離れた位置に配置されている。
つまり、スリット6Kは、蒸着源5より放射状に出射された配向膜材料5Mのうち、所定角度で飛来する配向膜材料5Mのみを基板Wに蒸着させるもの、つまり、基板Wに対する配向膜材料5Mの入射角度を制限するものである。マスク6は、防着板としての機能も兼用している。
また、遮蔽機構6A,6Bは、ステンレスの薄板(厚み0.3mm程度)などからなる平板を環状に連続形成したマスク部材6Pと、マスク部材6Pを循環移動させるためのローラ6Rとを備えている。ローラ6Rは、マスク部材6Pの環状内に2つ設けられ、環状内の左右(−X側、+X側)端部に配置されている。具体的には、スリット6Kに沿うように配置された第1ローラ61と、後述するクリーニング部に配置された第2ローラ62と、が設けられている。更に、ローラ6Rを回転駆動させるための図示しない駆動源が接続されている。ここで、駆動源はモータなどからなり、第1ローラ61および第2ローラ62の少なくとも一つを回転可能に構成されたものである。
そして、駆動源と第1ローラ61および第2ローラ62とで構成されている循環移動手段によりマスク部材6Pが循環移動されるように構成されている。具体的には、循環移動手段は、駆動源からの出力により、第1ローラ61および第2ローラ62の少なくとも一つが回転を開始すると共に、マスク部材6Pが循環移動を開始するように構成されている。
そして、遮蔽機構6Aは、マスク部材6Pのスリット6K近傍に付着した配向膜材料5Mからなる膜Mが遮蔽機構6Aの下面(−Z側の面)を循環移動し、ガス噴出口23が備えられたクリーニング部へと移動するように構成されている。遮蔽機構6Bも同様に構成されている。
次に、成膜装置1には、マスク6をクリーニングするためのクリーニング手段が設けられている。クリーニング手段は、クリーニングガスGが貯蔵されたクリーニングガス供給部10と、クリーニングガス供給部10に接続され、クリーニングガスGが搬送される配管21およびその途中に設けられているバルブ22と、クリーニングガスGを活性化させるためのマイクロ波照射手段27と、成膜室2内で配管21の先端に接続され、マスク6に指向しているガス噴出口23と、で構成されている。
また、スリット6Kから離間配置されたガス噴出口23およびその近傍の領域が、クリーニング部を構成している。クリーニング部では、ガス噴出口23からクリーニングガスGがマスク6に向かって噴出されるように配置されており、このクリーニングガスGにより配向膜材料5Mを除去することができるように構成されている。
クリーニングガス供給部10には、配向膜材料5Mと化学反応することで揮発性物質を生成し、マスク6に付着している配向膜材料5Mを除去可能なクリーニングガスGが貯蔵されている。クリーニングガスGは、配向膜材料5Mに応じて適宜選択される。例えば、配向膜材料5Mとして、SiOを用いる場合、クリーニングガスGとして、CF、C、C3、NF等のフッ素を含むガスをプラズマで活性化させたガスやラジカルを用いることができる。配向膜材料5Mとの反応性や励起しやすさを考慮するとC3が好ましい。
他には、ClやF/Hなどのガスを紫外線などで活性化させた光励起ガスを用いることや、SiOと反応性の高いHFなどのガスを用いることができる。
クリーニングガス供給部10は、配管21が接続されている。配管21は、成膜室2の左右の壁面2L,2Rに形成された貫通孔25を貫通して成膜室2内へ導入されている。また、配管21の途中で、成膜室2の外側にはバルブ22が設けられている。バルブ22は、クリーニングガスGを成膜室2内へ送出する場合に開状態となるように制御装置12により制御されるように構成されている。更に、バルブ22と貫通孔25との間には、クリーニングガスGを活性化させるためのマイクロ波照射手段27が設けられている。
成膜室2内において、配管21の先端にはガス噴出口23が取り付けられている。ガス噴出口23は、成膜室2内の左右の壁面2L,2R近傍で遮蔽機構6A,6Bの端部近傍に配置されており、クリーニングガスGが遮蔽機構6A,6Bのマスク部材6Pに直接噴射されるように構成されている。
図2に示すように、ガス噴出口23は、プレート板6Pと略同等の幅(Y軸方向)を有しており、クリーニングガスGがプレート板6Pの全幅に亘って噴出可能に構成されている。
つまり、クリーニングガス供給部10から配管21を介して成膜室2へ活性化されたクリーニングガスGを供給し、マスク6に付着している配向膜材料5Mを除去できるように構成されている。
図1に戻り、基板ホルダ4は、図示しない基板移動手段により基板Wとスリット6Kとの相対位置が変化するように、具体的には基板Wの各部がスリット6Kと対向配置されるように、マスク6の遮蔽機構6A,6Bの上面(+Z側の面)に沿って移動可能である。また、基板移動手段を用いて基板Wを右方向(+X方向)に移動しつつ、蒸着源5より供給された配向膜材料5Mを、スリット6Kを介して基板Wの表面(−Z側の面)に連続的に供給する。これにより、スリット6Kを通過した配向膜材料5Mは、基板Wの表面の略全体に斜方蒸着される。
本実施形態においては、マスク6が蒸着源5の上側(+Z側)に配置されており、基板ホルダ4は、そのマスク6の更に上側(+Z側)において、基板Wを保持して基板移動手段により移動可能に構成されている。ここで、基板移動手段はモータなどからなる駆動装置で構成されており、基板ホルダ4を移動可能に構成されたものである。
また、成膜システム3には、マスク6に付着している配向膜材料5Mの量を検出可能な図示しない検出装置を備えている。検出装置は、例えば水晶振動子を含み、マスク6のスリット6K近傍の位置に配置する。
ここで、水晶振動子は、その水晶振動子上に形成される膜の量(厚み、重さ)に応じて、その振動状態を変化させる。具体的には、水晶振動子に膜が形成されると、その質量変化により、共振周波数が変化する。すなわち、水晶振動子の振動状態と、その水晶振動子上に形成される膜の量とは対応関係にあり、共振周波数の変化によって、水晶振動子上に形成された膜の量(厚み、重さ)を求めることができる。したがって、検出装置により、マスク6に付着している配向膜材料5Mの量、つまり、配向膜材料5Mに基づいてマスク6の表面に形成される膜Mの量(厚み)を検出可能に構成されている。
また、成膜室2の右側(+X側)の壁面2Rの下方には、配向膜材料5MとクリーニングガスGとの反応により生成された揮発性物質や、未反応のクリーニングガスGなどを排気可能な排気口31が形成されている。排気口31には配管32が接続されており、配管32の先には排気ポンプ11が取り付けられている。また、配管32の途中には、この配管の流路を開閉可能なバルブ33が配置されている。ここで、排気ポンプ11は通常成膜室2に取り付けられている排気ポンプと兼用してもよいし、別途取り付けてもよい。
(成膜方法)
次に、上述の構成を有する成膜装置1を用いて、基板Wの表面に無機配向膜を形成する方法およびマスク6のクリーニング方法について、図3を用いて説明する。以下の各工程は、制御装置12により自動的に実行される。
図3(a)に示すように、成膜処理されるべき基板Wが、前処理室から成膜室2に搬入され、基板ホルダ4に保持される。前処理室を有する前処理装置は、基板Wの基材(例えばガラス基板)上に所定の機能膜を形成可能であり、基板W上には、前処理装置によって、例えばITO等の透明導電膜が予め形成されている。マスク6のスリット6Kの位置に、基板Wの成膜を施す領域が配置されるように基板移動手段により基板Wを移動する。制御装置12は、排気ポンプ11を制御して、基板Wが搬入された成膜室2を真空状態に調整する。
また、基板Wが成膜室2に搬入される前又は後の所定のタイミングで、配向膜材料5Mを有する蒸着源5を加熱する動作を開始する。そして、配向膜材料5Mの昇華が安定した後、蒸着源5から基板Wへ向かって配向膜材料5Mが供給可能な状態に設定する。
次に、蒸着処理を実行することによって、蒸着源5からは、配向膜材料5Mが放射状に放出される。つまり、蒸着源5から発生する配向膜材料5Mの蒸気(昇華材料)は、図1中、二点鎖線で示すように、マスク6のスリット6K近傍に効率良く供給される。
ここで、上述のように、蒸着源5の開口5Kと基板Wとを結ぶ線と、基板Wの法線方向を示す線(Z軸)とが所定の角度θに定められている。したがって、配向膜材料5Mは、基板Wの表面に対して概ね角度θだけ傾斜した斜め方向から、その基板Wの表面に供給される。これにより、基板Wの表面には、所望の角度で傾くように形成された複数の射方柱(カラム、柱状構造体)を含む無機配向膜が形成される。
また、蒸着源5と基板Wとの間には、基板W上における形成領域(供給領域)を設定するスリット6Kが形成されたマスク6が配置されている。そのため、蒸着源5から放出された配向膜材料5Mのうち、マスク6のスリット6Kを通過する一部の配向膜材料5Mのみが、基板W上に供給される。スリット6Kは、蒸着源5より放射状に出射された配向膜材料5Mのうち、厳密に入射角度θで飛来する配向膜材料5Mのみを基板Wの表面に蒸着させるもの、つまり、基板Wに対する配向膜材料5Mの入射角度を厳しく制限するものである。
これにより、無機配向膜を構成する柱状構造体の傾斜角度を均一化することが可能になり、基板Wの品質向上を図ることができる。
そして、基板ホルダ4に保持された基板Wを、図示しない基板移動手段を用いて基板Wの表面(−Z側の面)がスリット6K上を順次通過するように右方向(+X方向)に移動させて、蒸着源5を用いた成膜処理(蒸着処理)を実行する。すなわち、基板Wを右方向(+X方向)に移動させつつ、マスク6のスリット6Kを通過した配向膜材料5Mが、基板Wの表面に連続的に供給され、斜方蒸着される。
このように、基板ホルダ4を用いて基板Wを移動させながら斜方蒸着することで、基板Wの表面全体に確実に配向膜を形成することができる。
(成膜装置のクリーニング方法)
図3(b)に示すように、蒸着源5から放出された配向膜材料5Mのうち、マスク6のスリット6Kを通過しない一部の配向膜材料5Mは、例えば遮蔽機構6A,6Bのスリット6K近傍の下面および側面の一部に付着し、複数の基板に対して蒸着処理を行った後には、それらスリット6K近傍に膜Mを形成する可能性がある。この膜Mが形成されるとスリット6Kの大きさが変化したり、スリット6Kの形状が変化したりすることになる。これにより、スリット6Kの内側の成膜状態(形成される無機配向膜の膜厚など)が均一でなくなるなど、蒸着むらが発生し、所望の無機配向膜を基板W上に形成できなくなる可能性がある。
また、マスク6に形成された膜Mの一部が剥がれる可能性がある。マスク6から剥がれた膜Mは異物として作用し、その異物(膜Mの一部)が、例えばスリット6Kを介して基板Wに付着する可能性がある。異物が基板Wに付着すると、その基板Wに基づいて製造されるデバイスの性能が劣化する。
そこで、本実施形態においては、基板Wが成膜室2内に無い時、つまり成膜工程を行っていない時に、膜Mが形成されたマスク6をクリーニングガスGによりクリーニングする。
以下、クリーニングガスGを用いたクリーニング動作の一例について説明する。
図3(c)に示すように、制御装置12は、図示しない検出装置の検出結果に基づいて、クリーニング動作を制御する。上述のように、水晶振動子を含む検出装置は、成膜室2におけるマスク6上に形成された配向膜材料5Mの量、つまり、マスク6の表面に形成される膜Mの量(厚み)を検出可能である。検出装置の検出結果は制御装置12に出力される。
検出装置は、マスク6のスリット6K近傍に配置されており、水晶振動子上に形成される膜Mの量と、マスク6の表面に形成される膜Mの量とは略等しい。したがって、制御装置12は、検出装置の検出結果に基づいて、配向膜材料5Mによりマスク6上に形成される膜Mの量を検出できる。
検出装置の検出結果に基づいて、遮蔽機構6A,6Bのローラ6Rを制御する。具体的には、検出装置の検出結果に基づいて、マスク6上の膜Mの量が、予め定められた許容量以上になったと判断したとき、ローラ6Rの駆動源に指示を出し、ローラ6Rを回転駆動させる。この許容量は、予備実験及びシミュレーションの少なくとも一方を用いて予め設定することができる。ここで、ローラ6Rの駆動源は、第1ローラ61および第2ローラ62の少なくとも一つに接続されている。
そうすると、遮蔽機構6A,6Bのマスク部材6Pは、それぞれ所望の方向に循環移動を始める。したがって、配向膜材料5Mからなる膜Mが形成された領域がそれぞれ外側(遮蔽機構6Aにおいては−X側、遮蔽機構6Bにおいては+X側)に移動する。ここで、ローラ6Rを駆動させるタイミングは、成膜工程を行っていないとき(基板Wが成膜室2内に無いとき)に設定されている。
図3(d)に示すように、スリット6Kの近傍において配向膜材料5Mが付着し膜Mが形成された領域が、遮蔽機構6A,6Bの下面(−Z側の面)でガス噴出口23に対向するクリーニング部の位置まで移動されると、制御装置12の指示のもと、ローラ6Rの回転を停止させる。このとき、一回あたりのマスク部材6Pの移動量を予め設定しておいてもよい。
図3(e)に示すように、膜Mが所定位置まで移動した後に、クリーニングガス供給部10を制御する。具体的には、配管21に取り付けられたバルブ22を開状態にし、クリーニングガス供給部10に貯蔵されているクリーニングガスGを成膜室2内へ供給する。
制御装置12は、クリーニングガスGを供給すると略同時に、マイクロ波照射手段27を駆動してクリーニングガスGをプラズマ化する。マイクロ波照射手段27によって励起、イオン化されたクリーニングガスGは、ガス噴出口23から成膜室2内に噴出され、マスク6のマスク部材6Pの表面に付着している配向膜材料5Mからなる膜Mに直接噴射される。
図3(f)に示すように、クリーニングガスGは、配向膜材料5Mと化学反応し、例えばフッ化珪素(SiF)を生成し、配向膜材料5Mを揮発性物質に変化させる。これにより、マスク6に付着していた配向膜材料5Mは、そのマスク6から除去される。すなわち、ドライエッチング(プラズマエッチング)の手法によって、マスク6に付着している配向膜材料5Mを除去するためのクリーニング動作を実行することができる。
また、クリーニングガスGを成膜室2内へ噴射している際に、適宜排気ポンプ11を稼動させ、成膜室2内のガスを室外へ排気する。このとき、排気ポンプ11の稼動状態に連動して、バルブ33の開閉を制御するようにしている。
ここで、マスク6に形成された配向膜材料5Mからなる膜Mに対して集中的にクリーニングガスGが噴出され、配向膜材料5MとクリーニングガスGとが複数の箇所で化学反応し、短時間で配向膜材料5Mからなる膜Mを除去することができる。また、各所で確実に配向膜材料5MとクリーニングガスGとが化学反応して膜Mを確実に除去することができるため、次の成膜工程の際に、良好な配向膜を形成することができる。
また、マスク6に配向膜材料5Mが付着している場合、その配向膜材料5MとクリーニングガスGとの化学反応によってフッ化珪素(SiF)が生成され続けるので、制御装置12は、図示しないガス検出装置の検出結果に基づいて、フッ化珪素が生成されていると判断したとき、マスク6には未だ配向膜材料5Mが存在していると判断できる。一方、マスク6上の配向膜材料5Mがほぼ除去された場合、フッ化珪素(SiF)はほとんど生成されないので、制御装置12は、ガス検出装置の検出結果に基づいて、フッ化珪素がほとんど生成されていないと判断したとき、マスク6には配向膜材料5Mが存在していないと判断できる。このように、ガス検出装置によってフッ化珪素をほとんど検出しなくなった時点で、マスク6から配向膜材料5Mがほぼ除去されたと判断する。
ガス検出装置の検出結果に応じて、マスク6から配向膜材料5Mがほぼ除去できたと判断した後、バルブ22を閉状態にすることで、クリーニングガス供給部10からの成膜室2に対するクリーニングガスGの供給動作を停止し、ドライエッチングの手法に基づくクリーニング動作を終了する。
また、クリーニング部において配向膜材料5Mが除去されたマスク部材6Pは、循環移動手段によってスリット6K近傍に再度移動する。つまり、図3(c)においてクリーニング部(第2ローラ62近傍)に位置しているマスク部材6Pは、1回前のクリーニングによって配向膜材料5Mが除去されている。そして、図3(d)のようにマスク部材6Pが循環移動すると、配向膜材料5Mからなる膜Mがクリーニング部に移動してくると共に、1回前にクリーニングした領域がスリット6K近傍に位置することとなる。これにより、スリット6K近傍に配向膜材料5Mが付着していないマスク部材6Pを配置して成膜処理を再開することができる。
さらに、循環移動手段により毎回略同一の移動量でマスク部材6Pを移動させると、マスク部材6Pの2箇所に集中的に配向膜材料5Mが付着することとなるため、適宜循環移動量を調整することで、マスク部材6Pの各所をスリット近傍6Kに配置することができるように構成することが好ましい。
本実施形態によれば、基板Wに配向膜材料5Mを斜方蒸着する際に、基板Wを保持する基板ホルダ4を設け、蒸着源5と基板Wとの間にスリット6Kが形成されたマスク6を設け、配向膜材料5Mと反応して揮発性物質を生成するクリーニングガスGを供給するためのガス噴出口23を設けた。また、基板W上における配向膜材料5Mが供給される供給領域を設定するスリット6Kを有するマスク6をクリーニングするようにしたので、例えばスリット6Kの近傍に配向膜材料5Mが付着することによって生じる、そのスリット6Kの形状の変化、又はスリット6Kの大きさの変化等を抑制できる。スリット6Kの大きさ又は形状が変化した場合、成膜条件が変化したり、成膜むら(蒸着むら)等が発生したりする不具合が生じるが、本実施形態においては、クリーニングガスGを用いて、マスク6に付着した配向膜材料5Mを確実に除去できる。したがって、スリット6Kの形状を略同一に保つことができ、長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる。
また、マスク6を2つの遮蔽機構6A,6Bで構成し、それぞれのマスク部材6Pを、ローラ6Rを回転駆動させることで循環移動できるようにし、クリーニングガスGが噴出されるガス噴出口23に対向した位置に配向膜材料5Mからなる膜Mが形成された領域を移動させることができるように構成した。これにより、スリット6K近傍でマスク部材6Pに付着した配向膜材料5Mを、マスク部材6Pを循環移動手段にて循環させてクリーニング部に移動させた後にクリーニングするため、確実にクリーニングすることができる。したがって、スリット6Kの形状を長期間略同一に保つことができ、長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる効果がある。また、成膜装置1からマスク部材6Pを取り外すことなく、マスク部材6Pに付着した配向膜材料5Mを簡単かつ短時間で除去することが可能となり、生産効率を向上させることができる効果がある。さらに、クリーニング部において配向膜材料5Mが除去されたマスク部材6Pをスリット6K近傍に移動させることにより、マスク部材6Pを交換することなく直ちに成膜処理を再開することが可能になり、生産効率を向上させることができると共に、良好な配向膜を継続的に形成することができる。
また、遮蔽機構6A,6Bを長期間メンテナンスすることなく使用することができるため、部材にかかるランニングコストを抑えることができると共に、メンテナンスにかける時間を短縮することができるため、装置稼働率を向上することができる。
さらに、マスク部材6に付着した配向膜材料5Mを確実に除去できるので、成膜室2における異物の発生を抑制でき、基板W上に配向膜を良好に形成できる。したがって、所望の性能を有する液晶装置を製造できる。
そして、マスク部材6に付着した配向膜材料5Mを容易に除去できるようにしたため、マスク部材6の寿命を大幅に長くすることができる効果もある。更に、マスク部材6の予備品が少なくて済むため、コストを削減することができる。
更に、マスク部材6Pを環状に連続形成し、スリット6Kに沿って配置した第1ローラ61と、クリーニング部に配置した第2ローラ62との間に回し掛けて構成し、第1ローラ61および第2ローラ62の少なくとも一つを駆動させる駆動源を設けて回転駆動させることで、マスク部材6Pを循環移動させるようにした。これにより、スリット6Kの近傍に付着した配向膜材料5Mを、第1ローラ61と第2ローラ62とからなるローラ6Rを回転駆動させることで効率よくスリット6Kの形成領域から遠ざけて、ガス噴出口23が設けられているクリーニング部まで移動させることができるため、配向膜材料5Mの除去作業が確実かつ容易に行うことができると共に、短時間で確実に行うことができ、生産効率の向上を図ることができる。
また、マスク部材6Pのいずれの表面も循環移動手段によりスリット6K近傍に配置させることができるため、マスク部材6Pにおけるクリーニングする領域を集中させることなく分散させることができ、マスク部材6Pを長期間メンテナンスを行うことなく使用することができる。
また、成膜室2内の左右の壁面2L,2R近傍で遮蔽機構6A,6Bの端部近傍に、配向膜材料5Mと反応して揮発性物質を生成するクリーニングガスGを供給して、マスク部材6Pに付着した配向膜材料5Mを除去するガス噴出口23を備えたクリーニング部を設け、さらに、遮蔽機構6A,6Bに循環移動手段を設けて、マスク部材6Pを循環移動させることができる構成とした。これにより、マスク部材6Pに付着した配向膜材料5MとクリーニングガスGとを化学反応させて配向膜材料5Mをガス化させることができるため、確実に配向膜材料5Mを除去することができる。また、同じマスク6を繰り返し使用できるので、同じ成膜条件で基板W上に配向膜を形成できる。したがって、形成される配向膜の品質がばらつくことを抑制できる。すなわち、例えばマスク6上に許容量以上の膜Mが形成された場合、そのマスク6を新たなものと交換することも考えられるが、上述のように、マスク6は、供給領域を規定するスリット6Kを有しており、マスク6を新たなものと交換すると、マスク6(スリット6K)の製造誤差(形状誤差)等によって、供給領域が変動する可能性がある。そのため、マスク6を新たなものと頻繁に交換することは望ましくない場合がある。本実施形態においては、マスク6をクリーニングガス供給部10に貯蔵されたクリーニングガスGを用いてクリーニングするため、マスク6を長期間交換することなく、使用することができる。したがって、良好な配向膜を安定して長期間形成することができる。
また、成膜室2に接続するように排気ポンプ11を設置したため、配向膜材料5MとクリーニングガスGとの反応により生成された揮発性物質や、未反応のクリーニングガスGなどを成膜室2から確実に排出することができ、その後の工程に影響を与えることを抑制できる。すなわち、マスク6をクリーニングする際に、PFCガス等、フッ素を含むガスを用い、そのフッ素を含むガスが成膜室2に残留すると、その後に成膜室2に搬入される基板Wに付着し、基板W(配向膜)の性能が劣化し、製造されるデバイス(液晶装置)の性能が劣化する可能性がある。また、フッ素を含むガスが成膜室2の内壁を腐食する等、成膜室2を劣化させる可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、排気ポンプ11により、上述の不具合を抑制できる。したがって、成膜を確実に行うことができ、所望の性能を有するデバイスを製造できる。
また、成膜室2内に基板ホルダ4を設け、基板Wが所定位置に配置することができるようにしたと共に、順次基板Wを基板移動手段により移動可能にし、基板Wの表面全体が確実にスリット6K上を通過するようにしたため、基板W表面全体を確実に斜方蒸着(成膜)することができる。
また、クリーニングガス供給部10は、マスク6に付着している配向膜材料5Mを除去するためのドライエッチングの手法に基づくクリーニング動作を実行するので、マスク6を良好にクリーニングできる。
また、マスク6上の配向膜材料5Mの量を検出する検出装置を設け、その検出装置の検出結果に基づいて、マスク6のクリーニング動作を制御するため、成膜室2においてマスク6に許容量以上の材料が付着したと判断された場合に、クリーニングガスGを適切なタイミングで、マスク6をクリーニングできる。例えば、マスク6上の膜Mの量が僅かであって、マスク6のクリーニングを実行しなくてもいい状態であるにもかかわらずクリーニング動作を実行してしまうことがなくなり、生産効率を向上することができる。
また、形成しようとする無機配向膜の目標形状(射方柱の目標角度)に応じて、蒸着源5とマスク6のスリット6Kとの位置関係等を最適化することによって、所望の形状(角度)を有する複数の射方柱を含む無機配向膜を基板W上に良好に形成することができる。したがって、配向性が良好な無機配向膜を形成することができる。
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造・形状や材料などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態において、検出装置の検出結果に基づいて、マスク6のクリーニング動作が実行されるが、マスク6のクリーニング動作は、検出装置の検出結果によらずに、例えば予め定められた基板Wの所定処理枚数毎、あるいは所定処理時間間隔毎に実行するようにしてもよい。所定処理枚数は、1枚でもよいし、複数枚でもよい。
また、本実施形態においては、成膜工程中はマスク6のローラ6Rを回転駆動させずに、マスク6上の膜Mの量が予め定められた許容量以上になったと判断したときに回転駆動させる説明をしたが、成膜工程中に循環移動手段によりローラ6Rを回転駆動させながら基板Wに配向膜材料5Mを蒸着させるようにしてもよい。
この場合には、クリーニング処理中に循環移動手段によりローラ6Rを回転駆動させながらマスク部材6Pに付着した配向膜材料5Mを除去すればよい。
このように構成することで、マスク部材6Pの全面に配向膜材料5Mが堆積するまで成膜処理を継続することができるので、長期間マスク部材6Pのメンテナンスを行うことなく成膜を行うことができる。また、マスク部材6Pに付着する配向膜材料5Mの膜厚を薄くすることができるため、クリーニング処理を容易に行うことができる。
また、本実施形態においては、所定の角度の射方柱を有する無機配向膜を形成するために、蒸着源とマスク6のスリット6Kと基板Wとの位置関係を最適化して、配向膜材料5Mを基板Wの表面に斜め方向から供給しているが、形成しようとする無機配向膜に応じて、配向膜材料5Mは、必ずしも基板Wの表面に斜め方向から供給されなくてもよい。
また、本実施形態においては、クリーニングガスGによりマスク6に付着した配向膜材料5Mと化学反応させて除去する場合の説明をしたが、例えばヘラのようなものでマスク部材6Pに付着した配向膜材料5Mを物理的に掻き落として除去させてもよい。
また、本実施形態においては、マスク6をクリーニングする場合を例にして説明したが、クリーニングガスGは、成膜室2の内壁などもクリーニングできる。
本発明の実施形態における成膜装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の実施形態における成膜装置の概略構成を示す側面図である。 同実施形態における成膜方法及びクリーニング方法を示した説明図である。
符号の説明
1…成膜装置 4…基板ホルダ 5…蒸着源(被膜材料供給手段) 5M…配向膜材料(被膜材料) 6…マスク 6K…スリット 6P…マスク部材 11…排気ポンプ(排気手段) 61…第1ローラ 62…第2ローラ G…クリーニングガス(反応ガス) W…基板

Claims (7)

  1. 基板上に堆積させる被膜材料を供給する被膜材料供給手段と、
    該被膜材料供給手段に対して所定位置に前記基板を保持する基板ホルダと、
    前記被膜材料を透過させるスリットを所定位置に形成しつつ、前記被膜材料供給手段と前記基板ホルダとの間に配置されたマスク部材と、
    前記スリットから離間配置され、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去するクリーニング部と、
    前記スリットの近傍と前記クリーニング部との間で、前記マスク部材を循環移動させる循環移動手段と、を備えていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記マスク部材は、環状に連続形成されて、前記スリットに沿って配置された第1ローラと、前記クリーニング部に配置された第2ローラとの間に回し掛けられ、
    前記循環移動手段は、前記第1ローラおよび前記第2ローラのうち少なくとも一つを回転駆動することにより、前記マスク部材を循環移動させることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記クリーニング部は、前記被膜材料と反応して揮発性物質を生成する反応ガスを供給して、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去することを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記揮発性物質を排気する排気手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の成膜装置。
  5. 前記基板と前記スリットとの相対位置が変化するように前記基板ホルダを移動させる基板移動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 基板上に堆積させる被膜材料を供給する被膜材料供給手段と、
    該被膜材料供給手段に対して所定位置に前記基板を保持する基板ホルダと、
    前記被膜材料を透過させるスリットを所定位置に形成しつつ、前記被膜材料供給手段と前記基板ホルダとの間に配置されたマスク部材と、
    前記スリットから離間配置され、前記マスク部材の表面に付着した前記被膜材料を除去するクリーニング部と、
    前記スリットの近傍と前記クリーニング部との間で、前記マスク部材を循環移動させる循環移動手段と、を備えた成膜装置のクリーニング方法であって、
    前記スリットの近傍において前記被膜材料が付着した前記マスク部材を前記クリーニング部に移動させるとともに、前記クリーニング部において前記被膜材料が除去された前記マスク部材を前記スリットの近傍に移動させることを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。
  7. 前記成膜装置は、前記循環移動手段により前記マスク部材を循環移動させつつ成膜処理を行い、
    前記クリーニング部は、前記循環移動手段により前記マスク部材を循環移動させつつクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の成膜装置のクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013213285A (ja) * 2008-09-19 2013-10-17 Ulvac Japan Ltd 基板への膜の形成装置
WO2019186897A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 シャープ株式会社 異物除去用基板および表示デバイスの製造方法

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