JP2008114945A - エレベーター装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震時の主ロープなどの長尺物の振れを精度よく感知して管制運転を行うことのできるエレベーター装置を提供する。
【解決手段】地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置された振動計5で検出された信号に基づいて、時間経過ごとに建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて昇降路内の主ロープなどの長尺物の振れを演算し、この長尺物振れに基づいて長尺物振れ管制運転を行うようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、地震によって建屋が揺れた場合に管制運転を行うエレベーター装置に関するものである。
地震時には震源から伝播速度の早いP波(縦波)と伝播速度が遅いが地震の主要動を呈するS波(横波)が建物に到達する。下記の非特許文献1によれば建物揺れ検知手段で観測したS波の水平方向の加速度レベルを、特低レベル,低レベル,高レベルの閾値レベルで分類し、エレベーターの地震時管制運転が行われている。S波の主要動による建物の揺れが大きくなるまでに、水平方向の加速度の特低レベルか、S波よりも数秒でも早く地震到来が感知できる建物の下部でのP波初期微動感知でエレベーターを一時停止させる管制運転が行われている。
また、震源の遠い地震が堆積層をもつ平野で発生しがちの長周期地震動時は建物の揺れ加速度が小さいにもかかわらず、建物上部が揺れるモードのため、エレベーターの主ロープ,調速機ロープ,乗りかごへの電力や信号通信用のケーブルなど(以降、これらを総称し「長尺物」と記す)が振れやすく、昇降路内で振れ回り、引っかかる被害が発生する。以降、この種の建物の揺れを単に「建物揺れ」と記述し、建物揺れで長尺物が振れ回る振動を「長尺物振れ」と記述し、また、これらの振れの大きさを指す場合には、「建物揺れ量」,「長尺物振れ量」と記述する。
長周期地震時の建物揺れの加速度レベルは低いため、建物揺れの加速度感知感度を上げると、長尺物振れの直接の要因でないノイズ振動で誤って管制運転に移行する場合がある。そこで、この誤作動を少なくするための従来技術として、少しでも長尺物振れ状態量に近い建物揺れの速度,変位、又は速度と変位の相乗積などの状態量感知での管制運転方式が、下記の特許文献1や特許文献2に示されている。
特開昭60−15382号公報(請求項1,2,第2図) 特開昭60−197576号公報(請求項1,第8図) 2002年版 国土交通省住宅局建築指導課、財団法人日本建築設備・昇降機センター、社団法人日本エレベーター協会 編集の「昇降機技術基準の解説」の第2部の94〜100ページ
上述のように、地震時に建屋の加速度,速度,変位又は速度と変位の相乗積の状態量検知で管制運転を行うことは従来から行われているが、長尺物振れの直接の状態量に基づく管制運転は行われていない。
また、高層建物が揺れやすい長周期地震は、遠隔地に震源をもつ地震が関東平野のような堆積層からなる平野部に伝播する過程で発生する地震で、震源が一般に150〜200kmと遠いために、P波は非常に微弱である。
この結果、P波初期微動管制が機能せず、長尺物が昇降路内の機器に引っかかりエレベーター走行で二次被害が発生する課題、これを避けるためにP波感知感度を上げると、近距離の小規模地震や地震に関係のないノイズ振動で不必要にエレベーターが停止するという課題、また、建物揺れの速度,変位、又は速度と変位の相乗積などの状態量からの間接的な長尺物揺れの判定では、長尺物揺れに関わる成長度合いや減衰度合いなどの逐一の状態変化が判らないため、1)定格速度を下げての減速運転が許されるのか、2)エレベーターの運転を一時休止させるのか、3)長尺物振れが大きく成長しない位置すなわち建物揺れに長尺物が共振しない位置へのエレベーターの避難運転ができるのか、あるいは、
4)長尺物振れの減衰度合いなどからのエレベーターの管制運転解除タイミングなどの適正な判定ができないという課題をかかえている。
例えば、長周期地震動での建物揺れによる長尺物振れの成長度合いや減衰の度合いなどは、建物の揺れ方や揺れの持続の程度によって大きく左右されるため、単に建物の揺れの速度,変位から、又は速度と変位の積などの状態量からでは長尺物振れの成長度合いや減衰の度合いが判らないために、長尺物振れと判定した場合には長尺物振れがおさまるであろう3〜5分間の間はエレベーターを停止させる管制運転が採られている。
本発明の目的は、これらの課題を解消する精度の高い管制運転を行うことのできるエレベーター装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置された振動計の検出信号に基づいて、建物の上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて長尺物の振れを演算し、この長尺物振れに基づいて長尺物振れ管制運転を行う。
また、前記長尺物振れ管制運転手段で、長尺物振れ状態でのエレベーター走行時の乗客の不安回避や引っかかった状態でのエレベーター走行による二次被害の回避を達成すると共に、従来から行われている建物揺れ加速度レベルに応じたエレベーターの地震時の建物揺れ管制運転方式と前記長尺物振れ管制運転方式を併用する地震時のエレベーター管制運転の手段を取り入れた。
本発明によれば、地震時の長尺物の振れを精度よく感知して管制運転させることのできるエレベーター装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に基づくエレベーター装置を示す構成例図である。本実施例のエレベーター装置は、乗りかご1や釣合いおもり2がガイドレール(図示なし)に沿って昇降するように構成されている。また、乗りかご1と釣合いおもり2は、昇降路20上部の機械室21の巻上機4を介して主ロープ7でつるべ式に懸垂され、駆動される。また、機械室21内には、制御盤3及び調速機6が配置されており、調速機6には調速機ロープ8が巻き掛けられている。更に、巻上機4側から見て、乗りかご1側と釣合いおもり2側の主ロープ7の重量差を補償するコンペンロープ9が設置されている。また、乗りかご1への給電を行うためにテールコード10も敷設されている。このように、昇降路20内には、主ロープ7,調速機ロープ8,コンペンロープ9及びテールコード10などの長尺物が設けられている。そして、昇降路20内には、ガイドレールやエレベーターの昇降路内機器などを支持するブラケット22が設置されている。更に、本実施例では、建物の揺れを検出する振動計5が、昇降路20の下部、具体的にはピット内に配置されている。
また、振動計5には、互いに直交する水平方向(x,y方向)の加速度検出機能に加え、地震動到達の初期微動の判定をするためのz方向の加速度検出機能を持たせている。ここで、振動計5の加速度センサの構成は、x,y方向一体の2軸とz方向軸の組み合わせか、x,y,z方向一体の3軸加速度センサ、あるいは、各軸方向の加速度センサを個別に組み合わせたものとする。そして、振動計5の格納ケースには演算部30があり、前記演算部30は、振動計5が検出したx,y方向の加速度信号をもとに、建物の上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて長尺物振れを演算し、長尺物振れ量と予め定める閾値との比較のもとに、制御盤3でエレベーターを管制運転するための管制運転判定機能を持っている。ここで、演算部30は状況に応じ、制御盤3に格納してもよい。また、建物上部の振れを演算せずに、振動計5で検出された地震の振れ信号に基づいて直接的に長尺物振れ量を演算するようにしても良い。
なお、振動計5の上下振動感知機能で、従来から行われているP波による初期微動感知による管制運転を行う機能をもたせることができる。
さらに、この演算部30には、従来から行われている地震時のS波による建物揺れの水平方向加速度予測から、建物揺れ管制運転を行う機能も持たせることができる。
前記演算部30での演算処理は、処理の安定性や予め設定するパラメータの変更の容易性からデジタル処理としているが、アナログ処理でも可能である。
図2で、演算部30の構成を説明する。振動計5のx,y,z方向の検出信号から、振動計5の水平度据付誤差による重力加速度成分や加速度センサ本体が持つ直流ドリフト成分を除去するハイパスのフィルタ31(x方向:31X,y方向:31Y,z方向:31Z)とノイズ振動成分を除去するローパスのフィルタ32(x方向:32X,y方向:
32Y,z方向:32Z)を設けている。なお、地震動のP波による早期到達判定が不要の場合は、z方向の加速度センサやフィルタ31Z,32Zは必要ない。
フィルタ32Xの出力信号33X,フィルタ32Yの出力信号33Yを用いて、予め定める固有周期Ta ,Tb ,Tc からなる複数の長尺物振れ振動モデル毎に長尺物振れを経時ごとに計算するx方向振れ応答演算部34X,35X,36Xとy方向振れ応答演算部34Y,35Y,36Yを構成し、これら長尺物振れ固有周期ごとのx,y方向の振れ応答演算結果を合成する振れ合成演算部37,38,39を備え、これらの合成演算の振れに基づいて長尺物の振れ管制運転を判定する振れ判定部40を備え、振れ判定部40の信号を信号線41で制御盤3に送っている。
振れ判定部40では、閾値を複数段階に設け、そのレベルに応じて、運転速度の制限,運転の一時停止,保守員の安全点検後の復帰判定、あるいは、長尺物振れの減衰レベル判定から、長尺物振れによるエレベーター管制運転の解除が可能となる。
フィルタ32Xの出力信号33X,フィルタ32Yの出力信号33Yを用いて、地震時のS波による水平方向の建物の揺れ加速度を算出する水平方向加速度合成演算部42、この演算結果から建物揺れの管制運転の判定を建物揺れ判定部43で行い、その信号を信号線44で制御盤3に送っている。建物揺れ判定部43の実施例では建物揺れ判定を非特許文献1に準じて建物揺れ加速度からの判定としているが、特許文献1,特許文献2に示されるように建物揺れの速度や変位状態量からの判定機能を持たせてもよい。
上下の加速度計測にも、重力加速度成分を取り除くハイパスのフィルタ31Zとノイズ成分を取り除くローパスのフィルタ32Zを介した出力信号33Zから上下動算定部45で地震時のP波初期微動を検出し、その信号を建物揺れ判定部43に取り込んでいる。
図2に示す建物揺れ判定部43の信号による建物揺れ加速度による管制は、非特許文献1に示されている従来方式と基本的に変わるものではないが、非特許文献1では長尺物振れ量に基づく直接の管制ができないため、建物揺れ判定部43の加速度閾値をエレベーターの構造強度上から許容される加速度レベルよりも建物の高さが高くなるに従い小さく設定し被害の軽減を図っている。一方、本実施例では振れ判定部40による長尺物振れ管制が行えるため、建物揺れ判定部43の加速度閾値がエレベーターの構造や機構の許容レベルに準じた閾値(100〜150Gal程度)まで大きくすることができ、長周期成分の少ない近距離で規模の小さい地震での不必要な加速度による管制が避けられる。
図3では、演算部30内のフィルタ32の出力信号33X,33Yからの長尺物振れ演算の処理の流れを説明する。
フィルタ32の出力信号33X,33Yを用いて、固有周期Ta でのx方向応答計算部が34X、y方向応答計算部が34Y、固有周期Tb でのx方向応答計算部が35X、y方向応答計算部が35Y、固有周期Tc でのx方向応答計算部が36X,y方向応答計算部が36Yである。これら固有周期ごとのx,y方向の振れを合成する振れ合成演算部が37,38,39で、演算信号波形例をそれぞれの部位に示している。
図4で、演算部30が併せ持つ演算機能と管制運転判定機能を、主ロープ7を例にとり長尺物振れ回りの三次元模式図で説明する。
3次元的に振れ回る主ロープ7の振幅の大きい中ほどの位置での水平平面50内の2次元面上の振れ軌跡51を呈し、固有周期Ta ,Tb ,Tc ごとの振れ軌跡51のX軸への投影成分が長尺物のx方向振れ応答演算部34X,35X,36X、であり、Y軸への投影成分が長尺物のy方向振れ応答演算部34Y,35Y,36Yである。これらより水平平面50内のx,y方向成分の合成演算が、周期毎の長尺物振れの振れ合成演算部37,38,39で行われる。
次に、本実施例の長尺物振れ演算に基づく振れ管制の一例について説明する。図4で示す長尺物振れ量と主ロープ7のブラケット22などに引っかかる振れ限界寸法Lに対する割合α%,β%,γ%,δ%(α<β<γ<δ)を振れ判定部40の閾値とし、長尺物振れ量による振れ管制の実施例について説明する。
長尺物振れ管制運転は長尺物振れ率がβ%超えで減速運転や最上階手前強制呼び管制運転(主ロープが振れている状態で、乗りかごが最上階に直行走行すると、乗りかごに異常振動が発生する場合があるため、最上階手前の階に運転ソフトで仮想呼びを発生させて一旦停止させる運転)などの運行走行管制運転,γ%超えで運転一時休止,β%以下への減衰で運行走行管制運転再開,α%以下への減衰で管制運転解除,δ%超えで昇降路内点検後の運転再開などの管制運転パターンを取り込む管制運転判定機能を振れ判定部40に持たせる。このように、本実施例では、複数のレベルの閾値を設定し、それぞれのレベルに応じて異なる内容の管制運転を行っているので、地震発生時などにおいてもエレベーターを的確に運行させることが可能である。
次に、地震時のエレベーター管制運転で、本実施例に示す長尺物振れ管制と従来から採用されている建物揺れ管制との併用効果について説明する。長尺物振れ管制と建物揺れ管制とを併用し、予め定めるP波閾値,S波閾値のもとでのP波初期感知管制とS波初期感知管制を取り込むことにより、長周期地震動での微弱なP波初期微動を見逃してもS波初期感知で長尺物振れ管制に備えることができる。すなわち、長尺物振れはS波到達後に
30〜60秒程度かけて成長するため、長尺物振れ管制に早い段階から対処が可能となり、状況に応じて長尺物が総じて振れにくい乗りかご位置に避難することが可能となる。ここで、S波初期管制を取り入れると、小規模の地震で最寄階一時停止管制の頻度が増すが、S波感知後の一定時間後には建物揺れ判定部43で、S波の加速度の大きさの判定から建物揺れ加速度による管制の解除が判定できるため、長尺物が振れていなければすみやかに通常運転への復帰が可能である。すなわち、S波感知後の水平方向加速度合成演算部の大きさがエレベーターの構造・機構上の許される建物揺れレベルに達していなければ建物揺れ管制を解除しても、本発明に関わる長尺物振れ管制は機能しているから、エレベーター管制運転の狙いとする機能に支障をきたさない。
以上の説明では、振れ判定部40の閾値の設定は、単にスカラー量としているが、図4に示す判定エリア52を設けて、x,y方向の応答座標値がそのエリアを越えるか否かで判定してもよい。
次に、長尺物振れ応答演算について説明する。振動モデルを用いて長尺物振れ応答を演算するには、まず、長尺物の固有周期が必要となる。しかしながら、この長尺物の固有周期は、長尺物の長さや張力、すなわち、乗りかごや釣合いおもりの位置や質量等によって異なるため、時間経過ごとに長尺物の固有周期を設定するには、上記乗りかごの位置などの情報を受信して計算する処理を随時行わなければならない。そこで、演算部30における処理の迅速化及び装置の複雑化回避のため、上記乗りかごの位置などの情報を用いずに、長尺物が振れやすい固有周期を設定し、長尺物の振れ応答を演算する方法について、以下説明する。
そもそも長尺物の振れは、長周期地震時や強風時等の建物揺れに伴って発生するものであり、この建物揺れに含まれる主な周期成分は、建物上部が最も揺れる周期すなわち建物の1次固有周期T0 (秒)である。したがって、長尺物は、その振れの固有周期が建物の1次固有周期に接近した場合に、建物揺れと共振し、その振れが最も大きくなると考えられる。例えば、乗りかご側の主ロープ7の固有周期が建物の1次固有周期に接近しやすいのは、乗りかごが建物の下層階付近に位置する場合であり、張力が主ロープ7より小さい調速機ロープ8やコンペンロープ9の固有周期が建物の1次固有周期に接近しやすいのは、乗りかごが建物の中間階付近に位置する場合である。そこで、建物の1次固有周期或いはそれに近い値を長尺物の固有周期とした振動モデルを想定し、振動計5で検出された建物揺れ信号に基づいて長尺物の振れ量を算出すれば、発生し得る最大の振れ量を考慮した安全性の高いエレベーター管制運転が可能となる。
尚、建物の1次固有周期は一般に建物の揺れの大きさに依存し、揺れが増すとその周期が長くなる特性を持っている。長周期地震時の建物揺れ加速度30Gal程度のときの建物の1次固有周期は、揺れ加速度200Gal以上の揺れを想定している建物耐震設計時の固有周期よりは短めの値となり、建物の固有周期の設計値は必ずしも実際の固有周期の値を与えるものでない。また、建物の短辺方向と長辺方向の揺れ方向ごとに建物の固有周期は異なる。
つまり、建物揺れの方向や大きさによって建物の固有周期の値が変わってくるので、その変動に起因する長尺物振れの予測不良を避けるため、本実施例では、以下の精度増しを行う。すなわち、建物の固有周期の設計値Taとその前後の複数の値Tb ,Tc・・・を長尺物の固有周期とし、複数の振動モデルにより長尺物の振れ応答を演算し、そのうち振れ応答が最大のものと所定の閾値とを比較して管制運転の要否を判定しているので、安全性が向上する。尚、過去の地震又は強風の際に観測した建物の応答データを用いて建物の固有周期を演算する学習機能を持たせ、建物の固有周期Ta ,Tb ,Tc の値を調整することにより、長尺物振れの予測精度を高めることもできる。
長尺物振れ振動系の減衰性能は、長尺物の構成要素毎に多少は異なるが、長尺物振れ量が安定して計算できる共通の値とし、振れ量算出の実時間処理性能を確保している。
演算部30のデジタル演算処理の速さは、加速度アナログ信号のデジタル変換のサンプリング周期(秒)内に、全ての振動応答計算が終了する速さとし、求まった応答値を次の計算ステップでの初期値として逐次応答計算を進める実時間処理速度としている。なお、サンプリング周期(秒)は、例えば予め定め複数組の固有周期の内の最も短い固有周期
(秒)にも依存するが、概ね0.01〜0.03秒程度であれば、応答計算の精度は維持できる。
以上の構成により、建物揺れによる長尺物振れの状態が時間経過のたびに判断できるため、震源が遠い地震が堆積層を持つ平野部に伝播してきたときに発生しやすい長周期地震動での建物の揺れ方や揺れの持続の程度によって長尺物揺れの成長度合いや減衰度合いが逐次演算でき、地震時や強風時の長尺物振れの特徴を考慮した高度なエレベーター管制運転を行うこともできる。
長尺物振れ管制と建物揺れ管制とを併用し、予め定めるP波閾値,S波閾値のもとでのP波初期感知管制とS波初期感知管制を同時に取り込むことを考慮すると、初期微動判定には、図5に示すように、x,y,zの各方向の加速度信号の合成演算、例えば
Figure 2008114945
とする3軸加速度合成演算部46の信号で建物揺れ判定部43の閾値と比較することにより、P波,S波混合の初期微動の感知ができ、また、P波初期微動の主成分は上下動であるが、長周期地震の場合には震源地が遠いために水平方向の加速度成分も含まれる。そこで、P波初期微動判定を3軸加速度合成信号で行うことより、初期微動感知感度を高めることが可能となる。
上述の実施例では、振動計5を昇降路下部に設置したが、地震による振れが観測できる位置ならば、建物下部又は地面付近に設置しても構わない。また、このような設置位置であれば、機械室のないエレベーターであっても振動計5を取付け可能であると共に、振動計5の保守作業が容易であるという利点がある。さらに、長尺物振れ演算に加速度センサ信号で説明したが、速度センサ信号であっても、演算部の算法を変えるだけで、長尺物振れの演算はできる。
本発明の実施例におけるエレベーターの概略を示す構成図である。 本発明の実施例における長尺物振れの演算部の構成を示す図である。 本発明の実施例における演算部内の信号処理の流れを示す図である。 長尺物の振れ説明図のもとに、本発明の実施例における閾値と設定方法を示す図である。 P波,S波の合成による初期微動判定を示す図である。
符号の説明
1 乗りかご
2 釣合いおもり
3 制御盤
4 巻上機
5 振動計
6 調速機
7 主ロープ
8 調速機ロープ
9 コンペンロープ
10 テールコード
20 昇降路
21 機械室
22 ブラケット
23 ピット
30 演算部
31,32 フィルタ
33X,33Y,33Z フィルタの出力信号
34X,34Y,35X,35Y,36X,36Y 振れ応答演算部
37,38,39 振れ合成演算部
40 振れ判定部
41,44 信号線
42 水平方向加速度合成演算部
43 建物揺れ判定部
45 上下動算定部
46 3軸加速度合成演算部
50 水平平面
51 振れ軌跡
52 判定エリア

Claims (15)

  1. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置された振動計と、この振動計で検出された地震の振れ信号に基づいて前記昇降路内の長尺物の振れを演算する手段を備えたことを特徴とするエレベーター装置。
  2. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置された振動計と、この振動計で検出された地震の振れ信号に基づいて、時間経過ごとに建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて前記昇降路内の長尺物の振れを演算する手段を備えたことを特徴とするエレベーター装置。
  3. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置された振動計で検出された地震の振れ信号に基づいて、時間経過ごとに建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて前記昇降路内の長尺物振れを演算し、この長尺物振れに基づいて長尺物振れの管制運転を行うことを特徴とするエレベーター装置。
  4. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置される加速度検出手段と、該加速度検出手段で検出された地震の振れ信号から建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて前記昇降路内の長尺物振れを演算する手段と、この長尺物振れに基づいて管制運転を判定する手段を有することを特徴とするエレベーター装置。
  5. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置される加速度検出手段と、該加速度検出手段で検出された地震の振れ信号から建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて前記昇降路内の長尺物振れを演算する手段と、この長尺物振れに基づいて管制運転を判定する手段と、前記建物上部の振れに基づいて管制運転を判定する手段を有することを特徴とするとエレベーター装置。
  6. 地震時に管制運転を行うエレベーター装置において、昇降路下部,建物下部又は地面付近に設置される加速度検出手段と、該加速度検出手段で検出された地震の振れ信号から建物上部の振れを演算し、その演算結果に基づいて前記昇降路内の長尺物振れを演算する手段と、この長尺物振れ及び前記建物上部の振れに基づいて管制運転を判定する手段を有することを特徴とするとエレベーター装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、互いに異なる固有周期を有する複数の長尺物振れの振動モデルで長尺物振れ応答を演算することを特徴とするエレベーター装置。
  8. 請求項7において、前記互いに異なる固有周期は、建物の固有周期付近の複数の値であることを特徴とするエレベーター装置。
  9. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、乗りかごまたは釣合いおもりの時間経過ごとの位置又は質量を含む情報に基づいて前記長尺物の固有周期を設定し、その固有周期における長尺物の振れ応答を演算することを特徴とするエレベーター装置。
  10. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、過去の地震又は強風の際に観測した前記建物の応答データを用いて前記建物の固有周期を演算し、この建物の固有周期を前記長尺物の固有周期として前記長尺物の振れ応答を演算することを特徴とするエレベーター装置。
  11. 請求項4乃至6のいずれかにおいて、地震時の初期微動管制を上下方向zの加速度振動と水平方向x,yの2軸方向を合成した加速度振動の両方の加速度振動で初期微動を感知することを特徴とするエレベーター装置。
  12. 請求4乃至6のいずれかにおいて、地震時の初期微動を水平方向x,yと上下方向zとの3軸方向を合成した加速度振動で初期微動を感知することを特徴とするエレベーター装置。
  13. 請求項11又は12のいずれかにおいて、初期微動感知後の一定時間後の建物揺れがエレベーターの構造や機構の許容レベルに準じた予め定める大きさに達しない場合に地震時の建物揺れ管制を解除することを特徴とするエレベーター装置。
  14. 請求項3乃至10のいずれかにおいて、前記計算した長尺物振れ量が予め定めた値よりも小さくなった場合に、長尺物振れ管制運転を解除することを特徴とするエレベーター装置。
  15. 請求項3乃至10のいずれかにおいて、昇降路内の長尺物の振れ限界寸法に対する割合をα%,β%,γ%,δ%(α<β<γ<δ)とすると、長尺物振れがβ%を超えた場合に運行走行管制運転、γ%を超えた場合に運転一時休止、β%以下へ減衰した場合に運行走行管制運転再開、α%以下へ減衰した場合に管制運転解除、δ%を超えた場合に昇降路内点検終了まで運転停止とする管制運転パターンをもつことを特徴とするエレベーター装置。
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