JP2008112639A - 燃料電池用接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】貴金属系触媒を含んでいても、被着体によらず、確実に硬化することができ、燃料電池の信頼性を向上させ且つその性能を高く維持することができる燃料電池用接着剤を提供する。
【解決手段】燃料電池1の複数の単セル2は、MEA30が枠状部材40を介して一対のセパレータ20(20a,20b)で挟持されたものであり、シール部材13a〜13cや、セパレータ20(20a,20b)及び枠状部材40の接合に用いられる接着剤は、接着成分と、貴金属系触媒と、リン(P)、窒素(N)、硫黄(S)等の硬化阻害物質に対する反応性が触媒金属よりも高い鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子又はそれを含む錯体等の化学種(ラジカル、化合物を含む)を含有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に用いられる接着剤に関する。
燃料電池では、水素ガスに代表される燃料ガス、及び空気に代表される酸化ガスが燃料電池に供給され、燃料ガスと酸化ガスとの発電反応(水生成反応)により電力が発生する。燃料電池としては、種々のタイプのものが開発されており、例えば、電解質の散逸・保持等の問題がなく、常温で起動し且つ起動時間が極めて早い等の利点を有する固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells )等が挙げられ、具体的には、高電圧を得るために複数の燃料電池セル(単セル)がスタック化されたもの(燃料電池スタック)が自動車等の移動体等に採用されつつある。
複数の単セルのスタック化は、例えば、隣り合う単セル同士をセパレータで仕切り、それらを積層して固定する方式で行われ、各部材の接合や種々のシール(封止)のために、通常、接着剤が多く使用される。この接着剤としては、接着成分の硬化を促進する成分として、例えば白金触媒等の貴金属系触媒が添加された有機系の接着剤が広く用いられている。このような接着剤の一例として、特許文献1には、白金タイプの金属触媒を含むポリシロキサン系化合物を用いたシール部材が記載されている。
特開2005−507140号公報
しかし、発明者の知見によれば、接着剤が被着される部材にリン(P)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)分等が付着していると、接着剤の硬化が抑制されてしまうことがあった。このような接着剤の硬化を妨げる物質は、例えば、被着体が樹脂部材の場合、その材料である樹脂組成物に添加される酸化防止剤や安定化剤に含まれていたものに起因することが考えられる。また、接着剤にも酸化防止剤や安定化剤等が添加されることがあり、その添加剤中にリン(P)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)分等が含まれていた場合、同様に接着剤の硬化が抑えられることがある。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、白金(Pt)系触媒、ロジウム(Rh)系触媒、パラジウム(Pd)系触媒等の「触媒」(以下、まとめて「貴金属系触媒」という)を含んでいても、被着体によらず、確実に硬化することができ、燃料電池の信頼性を向上させ且つその性能を高く維持することができる燃料電池用接着剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、貴金属系触媒は、電気化学的に不安定な状態で存在することにより接着成分の硬化を促進する「触媒」として機能するところ、リン(P)や窒素(N)等のように原子又は分子内に非共有電子対を有する物質やイオン、或いは、例えば分子量が500程度以下と比較的小さく且つ分子内に不飽和結合を有する物質(すなわちπ電子を有する)が存在すると、それらの物質と白金(Pt)等の触媒金属が安定な結合を形成してしまい、触媒としての機能が不全となり、接着剤の硬化が不十分となってしまうことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明による燃料電池用接着剤は、燃料電池に用いられる接着剤であって、適宜の接着成分と、第9族又は第10族元素であり且つ第2又は第3遷移金属(4d又は5d遷移金属)である第1の元素の原子を含む物質から成り、接着成分の硬化を促進する触媒と、原子又は分子内に非共有電子対を有する物質又は分子内に不飽和結合を有する物質との反応性が前記第1の元素の原子よりも高い第2の元素の原子を含む物質とを含有するものである。
このような構成を有する燃料電池用接着剤では、第9族又は第10族元素であり且つ第2又は第3遷移金属(4d又は5d遷移金属)である第1の元素の原子を含む物質から成る貴金属系触媒により、接着成分の硬化が促進される。そして、成分の一つとして、接着成分の硬化阻害物質である原子又は分子内に非共有電子対を有する物質又は分子内に不飽和結合を有する物質との反応性が貴金属系触媒に含まれる第1の元素の原子よりも高い第2の元素の原子を含む物質をも含有するので、そのような硬化阻害物質が、貴金属系触媒とは反応せず、第2の元素の原子を含む物質と選択的に反応する。換言すれば、硬化阻害物質が第2の元素の原子を含む物質によってスキャベンジされる。これにより、被着体に硬化阻害物質が付着等していた場合でも、貴金属系触媒が失活することなく、接着剤の硬化が促進される。
具体的には、原子又は分子内に非共有電子対を有する物質が、第15族元素、特に、窒素(N)若しくはリン(P)の原子又はそれらのいずれかを含む化学種(ラジカル、化合物を含む。以下同様。)、又は、第16族元素、特に、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはセレン(Se)の原子又はそれらのいずれかを含む化学種であり、或いは、分子内に不飽和結合を有する物質が、 アルケン、アルキン、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、又は、イミンである。
また、第2の元素が、第1遷移金属の元素、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)であると好ましい、この場合、第2の元素の原子を含む物質が、第1遷移金属の元素の原子又はそれを含む化学種、すなわち、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子又はそれを含む錯体等の化学種であるので、安価であって経済性に優れる。
本発明の燃料電池用接着剤によれば、接着成分の硬化阻害物質である原子又は分子内に非共有電子対を有する物質又は分子内に不飽和結合を有する物質との反応性が貴金属系触媒に含まれる第1の元素の原子よりも高い第2の元素の原子を含む物質が、硬化阻害物質のスキャベンジャーとして機能し、硬化阻害物質が貴金属系触媒とは反応しないので、被着体にそのような硬化阻害物質が付着等していた場合でも、貴金属系触媒が失活することなく、接着剤の硬化が促進される。よって、本発明の燃料電池用接着剤は、被着体によらず、確実に硬化することができるので、燃料電池の信頼性を向上させ且つ燃料電池の性能を高く維持することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
図1〜図4に、本発明による燃料電池用接着剤を用いた燃料電池の構造の一例を示す。この燃料電池1は、複数の単セル2(燃料電池セル)が積層されてなるスタック3(燃料電池スタック)のその積層方向両端に設けられるエンドプレート8,8と、そのエンドプレート8,8間に架け渡されてスタック3に積層方向の圧縮荷重を印加しその状態を維持するテンションプレート9とを備えるものである。なお、かかるスタック3等で構成される燃料電池1は、例えば燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の車載発電システムとして利用可能なものであるが、これに限られるものではなく、各種移動体(例えば船舶や飛行機等)、ロボット等の自走可能なものに搭載される発電システム、さらには定置の燃料電池1を用いた発電システムとして用いることも可能である。
まず、図1は、単セル2の概略構成を示す分解斜視図である。単セル2は、電解質、具体例としてMEA30(膜−電極アッセンブリ;Membrane Electrode Assembly)、そのMEA30を挟持する一対のセパレータ20(図1においては、それぞれ符号20a,20bを付して示す)等で構成されている。MEA30及び各セパレータ20a,20b(燃料電池用樹脂部材)はおよそ矩形の板状に形成されている。また、MEA30はその外形が各セパレータ20a,20bの外形よりも小さくなるように形成されている。
MEA30は、高分子材料のイオン交換膜から成る電解質膜31、及び、電解質膜31を両面から挟んだ一対の電極32a,32b(アノード側拡散電極32a及びカソード側拡散電極32b)から構成されている。電解質膜31は、各電極32a,32bよりも大きく形成されている。この電解質膜31には、その周縁部33を残した状態で各電極32a,32bが例えばホットプレス法により接合されている。
また、電極32a,32bは、その表面に付着された白金合金や白金錯体等の貴金属系触媒を担持した例えば多孔質のカーボン素材で構成されている。一方の電極32aには燃料ガス(反応ガス)としての水素ガス、他方の電極32bには空気や酸化剤等の酸化ガス(反応ガス)が供給され、これら2種類の反応ガスによりMEA30内で電気化学反応が生じて単セル2の起電力が得られる。
さらに、セパレータ20(20a,20b)は、ガス不透過性の導電性材料、例えば、導電性を有する硬質樹脂、又は、カーボン、アルミニウムやステンレス等の金属(メタル)で形成されている。また、カーボンやメタルの基材の表面が、導電性を有する硬質樹脂でコーティングされたものを、セパレータ20(20a,20)として用いてもよい。さらに、その基材の電極32a,32b側の面には耐食性に優れた膜(例えば金メッキで形成された皮膜)が形成されてもよい。
また、セパレータ20a,20bの両面には、複数の凹部によって構成される溝状の流路が形成されている。セパレータ20a,20bが、板状の金属基材で形成されたもの(メタルセパレータ)であれば、これらの流路は、例えばプレス成形によって形成することができる。このようにして形成される溝状の流路により、セパレータ20aの電極32a側となる内側の面には水素ガスのガス流路35が複数形成され、その裏面(外側の面)には冷却水流路36が複数形成されている。同様に、セパレータ20bの電極32b側となる内側の面には酸化ガスのガス流路34が複数形成され、その裏面(外側の面)には冷却水流路36が複数形成されている。
さらに、各セパレータ20a,20bは、そのような流体の流路をなすための凹凸形状が表面と裏面とで反転した関係になっている。より具体的には、セパレータ20aにおいては、水素ガスのガス流路35を形成する凸形状(凸リブ)の裏面が冷却水流路36を形成する凹形状(凹溝)であり、ガス流路35を形成する凹形状(凹溝)の裏面が冷却水流路36を形成する凸形状(凸リブ)である。さらに、同様に、セパレータ20bにおいては、酸化ガスのガス流路34を形成する凸形状(凸リブ)の裏面が冷却水流路36を形成する凹形状(凹溝)であり、ガス流路34を形成する凹形状(凹溝)の裏面が冷却水流路36を形成する凸形状(凸リブ)である。
また、セパレータ20a,20bの長手方向の端部には、酸化ガスの入口側のマニホールド15a、水素ガスの出口側のマニホールド16b、及び冷却水の出口側のマニホールド17bが形成されている。これらマニホールド15a,16b,17bは、例えば各セパレータ20a,20bに設けられた略矩形又は台形の孔によって形成されている。さらに、セパレータ20a,20bの反対側の端部には、酸化ガスの出口側のマニホールド15b、水素ガスの入口側のマニホールド16a、及び冷却水の入口側のマニホールド17aが形成されている。これらマニホールド15b,16a,17aも、例えば略矩形又は台形の孔によって形成されている。なお、これらの各マニホールドは、図3及び図4においてはa,bの添字を省略した符号で示されている。
上述の各マニホールドのうち、セパレータ20aにおける水素ガス用の入口側マニホールド16aと出口側マニホールド16bは、セパレータ20aに溝状に形成されている入口側の連絡通路61及び出口側の連絡通路62を介して、それぞれ水素ガスのガス流路35に連通している。同様に、セパレータ20bにおける酸化ガス用の入口側マニホールド15aと出口側マニホールド15bは、セパレータ20bに溝状に形成されている入口側の連絡通路63及び出口側の連絡通路64を介して、それぞれ酸化ガスのガス流路34に連通している。
さらに、各セパレータ20a,20bにおける冷却水の入口側マニホールド17aと出口側マニホールド17bは、各セパレータ20a,20bに溝状に形成されている入口側の連絡通路65及び出口側の連絡通路66を介して、それぞれ冷却水流路36に連通している。
以上のような各セパレータ20a,20bの構成により、単セル2に、酸化ガス、水素ガス及び冷却水が供給されるようになっている。具体的には、単セル2が積層された場合、例えば水素ガスが、セパレータ20aの入口側マニホールド16aから連絡通路61を通り抜けてガス流路35に流入し、MEA30での発電に供された後、連絡通路62を通り抜けて出口側マニホールド16bに流出する。
シール部材13a,13bは、ともに複数の部材(例えば、図示の如く、小型の4つの矩形枠体と、流体流路を形成するための大きな枠体)で構成されたものである。シール部材13aは、MEA30とセパレータ20aとの間に設けられるものであり、その一部が、電解質膜31の周縁部33と、セパレータ20aのうちガス流路35の周囲の部分との間に介在するように設けられる。また、シール部材13bは、MEA30とセパレータ20bとの間に設けられるものであり、その一部が、電解質膜31の周縁部33と、セパレータ20bのうちガス流路34の周囲の部分との間に介在するように設けられる。
さらに、隣接する単セル2,2のセパレータ20bとセパレータ20aとの間には、複数の部材(例えば、図示の如く、小型の4つの矩形枠体と、流体流路を形成するための大きな枠体)で形成されたシール部材13cが設けられている。このシール部材13cは、セパレータ20bにおける冷却水流路36の周囲の部分と、セパレータ20aにおける冷却水流路36の周囲の部分との間に介在するように設けられてこれらの間を封止するためのものである。本実施形態では、これらのシール部材13a〜13cは、隣接する部材との化学的な結合により接着する接着剤(本発明による燃料電池用接着剤)で形成される。なお、シール部材13a〜13cは、隣接する部材との物理的な密着により流体を封止する弾性体(ガスケット)を用いてもよい。この場合でも、そのガスケットとセパレータ20a,20bとを接着するのに、接着剤(本発明による燃料電池用接着剤)を用いてもよい。
枠状部材40は、MEA30とともにセパレータ20a,20b間に挟持される例えば樹脂から成る部材(樹脂フレームともいう)である。例えば本実施形態では、樹脂製の薄い枠状部材40をセパレータ20a,20b間に介在させ、枠状部材40によってMEA30の少なくとも一部、例えば周縁部33に沿った部分を表側と裏側から挟持する。なお、図1においては、セパレータ20b側に設けられた枠状部材40の図示を省略した。この枠状部材40は、締結力を支持するセパレータ20(20a,20b)間のスペーサとしての機能、絶縁部材としての機能、セパレータ20(20a,20b)の剛性を補強する補強部材としての機能を有する。
また、枠状部材40とセパレータ20(20a,20b)とは、接着剤(本発明による燃料電池用接着剤)によって接合される。さらに、MEA30に画成された拡散層の例えば端部とセパレータ20(20a,20b)において電解質を保持する部分とをかかる接着剤で封止してもよい。
ここで、上述したような種々の接合に使用される接着剤は、例えば硬化後にエラストマーとなる適宜の接着成分と、その接着成分の硬化を促進する触媒と、接着成分の硬化阻害物質との反応性が触媒金属よりも高い元素の原子を含む物質とを含有するものである。
ここで、触媒は貴金属系触媒であり、具体的には、例えば、白金粉、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とシロキサン類の錯体、等が挙げられる。また、触媒金属として白金(Pt)に代えて、ロジウム(Rd)、パラジウム(Pd)といった第9族又は第10族元素であり且つ第2又は第3遷移金属(4d又は5d遷移金属)(第1の元素の原子)を含有する上記各種化合物も用いられ得る。この貴金属系触媒の使用量は、接着成分が接着剤として機能する量であれば特に制限されず、また、使用する接着成分の種類や組成によっても異なるが、接着成分1,000,000質量部に対して触媒金属原子が0.1〜500質量部となるような量であると好適である。この貴金属系触媒の使用量が下限値未満であると、接着剤の硬化が十分に促進されず未硬化となることがある一方、上限値を超えると、コストが不都合に増大してしまう傾向にある。
また、接着成分の硬化阻害物質としては、原子又は分子内に非共有電子対を有する物質、具体的には、第15族元素、特に、窒素(N)若しくはリン(P)の原子又はそれらのいずれかを含む化学種、又は、第16族元素、特に、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはセレン(Se)の原子又はそれらのいずれかを含む化学種が挙げられ、分子内に不飽和結合を有する物質としては、 アルケン、アルキン、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、又は、イミン等が挙げられる。
さらに、硬化阻害物質との反応性が触媒金属よりも高い元素の原子(第2の元素の原子)を含む物質としては、具体的には、例えば、第1遷移金属の元素、特に、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子を含む錯体等の化学種を好ましく用いることができる。この成分の使用量は、特に制限されないが、被着体に付着していると予想される硬化阻害物質との反応等量以上であることが好ましく、例えば、触媒金属原子の量に対して0.1〜2.0の金属量となるような量を例示できる。
図2及び図3は、それぞれ、燃料電池1の要部及び全体の概略構成を示す斜視図であり、図4は、燃料電池1の側面図である。燃料電池1は、複数の単セル2を積層したスタック3(セル積層体)を備え、スタック3の両端に位置する単セル2,2の外側に、出力端子5付きの集電板6,6、絶縁板7,7及びエンドプレート8,8がこの順に配置された構造を有している。
また、スタック3はテンションプレート9によって積層状態で拘束されている。テンションプレート9は両エンドプレート8,8間を架け渡すようにして設けられているものであり、例えば一対がスタック3の両側に対向するように配置される。テンションプレート9は、各エンドプレート8,8に接続され、単セル2の積層方向に所定の締結力(圧縮荷重)を作用させた状態を維持する。また、テンションプレート9の内側面(スタック3を向く面)には漏電やスパークが生じるのを防止すべく絶縁膜(図示省略)が形成されている。
また、スタック3に締結力(圧縮荷重)を作用させる部材(弾性モジュール)としては、互いに並列に配置されたコイルスプリング等の弾性体11と、これら複数の弾性体11を積層方向にて挟持する一対の板状部材12とがスタック3の一端に配置されたものが挙げられる。また、板状部材12とエンドプレート8との間には接続部材13が介在しており、この接続部材13自体の可撓性又はピボット状に接触する構成等によって首振り可能な構造が実現されている。これにより、多数(例えば200〜400程度)の単セル2を積層した結果、スタック3が例えば台形に近似した状態になる等側方への偏りが生じて歪んでも、接続部材13を中心として首を振る動きをすることにより、偏りに応じた分だけ適宜角度を変えて歪みを矯正することが可能である。
さらに、接続部材13がねじ部を備えていると、その回転により板状部材12とエンドプレート8との間隔を変化させることができ、これによりスタック3の全体厚み(全体長さ)を微調整することができる。これにより、スタック3に作用する締結力の微調整も行い易い。かかるねじ部付き接続部材13としては、すりわり付き止めねじ等の荷重調整ねじと呼ばれるものを利用できる。
このように構成された燃料電池1においては、シール部材13a〜13cとして用いられる貴金属系触媒を含む接着剤、枠状部材40とセパレータ20(20a,20b)とを接合する接着剤、等の接着剤が、リン(P)、窒素(N)、硫黄(S)等の硬化阻害物質との反応性が触媒金属よりも高い元素の原子を含む物質、例えば、第1遷移金属の元素、特に、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子を含む錯体等の化学種を含有しているので、そのような硬化阻害物質が、貴金属系触媒の触媒金属とは反応せず、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子を含む錯体等の化学種と選択的に反応する。
このように、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子を含む錯体等の化学種が、硬化阻害物質のスキャベンジャーとして作用するので、セパレータ20(20a,20b)や枠状部材40等の被着体にそのような硬化阻害物質が付着等していた場合でも、貴金属系触媒が失活することなく、接着剤の硬化が促進される。これにより、本発明の燃料電池用接着剤は、被着体によらず、確実に硬化することができるので、燃料電池1の信頼性を向上させ且つその性能を高く維持することが可能となる。
また、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の原子又はそれを含む錯体等の化学種といった第1遷移金属の元素の原子又はそれを含む化学種は、触媒材料として安価であるので、経済性の悪化を抑制できる。
さらに、従来は、貴金属系触媒を含む接着剤の硬化不良を補償して接着剤の硬化を促進させるために大量の貴金属系触媒を予め接着剤に添加する方策も試行されていたが、こうすると、高価な貴金属系触媒の大量使用によるコストの増大を招いてしまう。そればかりか、貴金属系触媒の大量添加により接着剤の貯蔵安定性が悪化してしまい棚寿命が短くなってしまうという問題もあった。そこで、プライマーを用いて接着剤を2液タイプ(例えば、1液が接着剤母材、2液が貴金属系触媒)とすることも試みられたものの、2液タイプでは、工程数も増加して工程が長くなり、その分、経済性が更に悪化してしまうといった不都合もあった。これに対し、本発明による燃料電池用接着剤を用いれば、接着剤中の貴金属系触媒の量を増大させなくとも接着剤の硬化を十分に促進できるので、上記従来の不都合を解消することができ、低コスト化を達成することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、燃料電池1の全体構造は図示のものに制限されない。
本発明の燃料電池用接着剤は、燃料電池の信頼性を向上させ且つその性能を長期に亘って高く維持できるので、車両や携帯機器等の移動体に搭載される燃料電池はもちろん、燃料電池を定置用として用いる商用及び家庭用のコージェネレーション(熱電併給)システム等の設備等にも広く利用することができる。
単セル2の概略構成を示す分解斜視図である。 燃料電池1の要部の概略構成を示す斜視図である。 燃料電池1の全体の概略構成を示す斜視図である。 燃料電池1の側面図である。
符号の説明
1…燃料電池、2…単セル、3…スタック、5…出力端子、6…集電板、7…絶縁板、8…エンドプレート、9…テンションプレート、11…弾性体、12…板状部材、13…接続部材、13a,13b,13c…シール部材、15a,16a,17a…入口側マニホールド、15b,16b,17b…出口側マニホールド、20(20a,20b)…セパレータ、31…電解質膜、32a…アノード側拡散電極、32b…カソード側拡散電極、33…周縁部、34,35…ガス流路、36…冷却水流路、40…枠状部材、61,62,63,64,65,66…連絡通路。

Claims (3)

  1. 燃料電池に用いられる接着剤であって、
    接着成分と、
    第9族又は第10族元素であり且つ第2又は第3遷移金属である第1の元素の原子を含む物質から成り、前記接着成分の硬化を促進する触媒と、
    原子又は分子内に非共有電子対を有する物質又は分子内に不飽和結合を有する物質との反応性が前記第1の元素の原子よりも高い第2の元素の原子を含む物質と、
    を含有する燃料電池用接着剤。
  2. 前記原子又は分子内に非共有電子対を有する物質が、第15族若しくは第16族元素の原子又はそれらのいずれかを含む化学種であり、
    前記分子内に不飽和結合を有する物質が、アルケン、アルキン、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、又は、イミンである、
    請求項1記載の燃料電池用接着剤。
  3. 前記第2の元素が第1遷移金属の元素である、
    請求項1又は2記載の燃料電池用接着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8808942B2 (en) 2009-03-02 2014-08-19 Honda Motor Co., Ltd Adhesive for fuel cell and membrane-electrode assembly produced using the same

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