JP2008112264A - ユーザグルーピング装置およびユーザグルーピング方法 - Google Patents

ユーザグルーピング装置およびユーザグルーピング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザが取得したRFID情報をもとにユーザのグループ分けをする方法がなかった。
【解決手段】RFID集合記憶部40は、RFID集合構造体を記憶する。RFID集合構造体は、複数のRFIDの集合のデータ構造体であり、各RFIDにはRFIDタグから読み取られた場所および時間と、RFID関連情報とが対応づけられており、RFIDが読み取り場所を基準として分類され、さらに読み取り時間を基準として分類されることにより階層的に構造化されている。近接度評価部80は、第1のユーザのRFID集合と第2のユーザのRFID集合の間で近接度を評価する評価部と、ユーザ分類部82は、近接度が所定の閾値より小さい場合、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類する。
【選択図】図20

Description

この発明は、ユーザの無線ID管理装置で取得された無線ID情報をもとにユーザのグループ分けをするための技術に関する。
RFID(Radio Frequency Identification)タグは、RFIDタグを付ける商品や作品を特定できる情報をメモリ内に記録させたもので、アンテナと送受信部を有する、一般的には超小型の記録装置である。RFIDタグはそれ自体で電波を発生させることによってアクティブに起電力は発生させ、あるいは、RFIDリーダからの読み取り用の電波を受信することによってパッシブに起電力を発生させることによって、メモリ内の情報をRFIDリーダのアンテナに送信する。
昨今、各種の団体によってRFIDタグ内に記憶される情報の標準化が進められている。例えば、EPCグローバルという団体の標準技術においては、RFIDを用いた基本システムが想定されている。RFIDタグはEPCと呼ばれるコードを記憶しており、これが、RFIDリーダによって読み取られる。RFIDリーダは、Savantと呼ばれるミドルウェアに対してEPCを渡すことにより、分散ネットワーク上のONS(Object Name Service)サーバや、PML(Physical Markup Language)サーバと通信し、EPCに関連する情報を取得できるようになされている。EPCは、ヘッダ、EPCマネージャ、オブジェクトクラス、シリアル番号を有しており、これらの情報をもって、当該EPCが記憶されているRFIDが添付されている商品や作品を特定するようになっている。
RFIDは、上記のように、最低限度の情報によって商品や作品を特定できるようにし、関連情報はネットワークを経由してサーバから取得することができるので、製造ラインや配送システムなど様々な領域での利用が期待されており、RFIDの様々な応用が提案されてきている。
例えば、特許文献1には、RFIDリーダでRFIDを読み取り、関連する商品情報を提供するホームページに簡単な操作でアクセス可能なホームページ検索サービスが開示されている。特許文献2には、ポスター等にRFIDタグを添付し、これをRFIDリーダで読み取ることによって宣伝広告などの情報が、動画や音声によって提供される携帯端末が開示されている。特許文献3には、展示会などにおける展示品にRFIDタグを添付することにより、これを装置で読み取ることで、展示品情報を表示または音声出力によって提供する装置が開示されている。
また、特許文献4には、複数の機器に蓄積されている多数のコンテンツを管理し、所望のコンテンツへ辿り付くための手がかり若しくは視覚的な道標をユーザに提供するコンテンツ・マネジメント・システムが開示されている。
特開2001−350782号公報 特開2002−268593号公報 特開2003−347991号公報 特開2006−107020号公報
しかしながら、従来から提案されているRFIDの応用はいずれも、ユーザがその場で商品のRFIDタグを読み取り、関連する情報を提供することを主たる目的としている。意図しない商品や、周囲に存在するが、その存在に気づかない商品についてのRFID情報を取得して長期にわたって記録する機器や、すでにその商品が周囲に存在しないような場所で、任意の時間に、過去の取得したRFIDの集合に対して情報検索を行う機器やシステムは提案されていない。さらに、複数のユーザが各人のRFID管理装置を用いて収集したRFID情報をユーザ間で比較して、ユーザをグループ分けする仕組みは提供されていない。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが取得した無線ID情報をもとにユーザのグループ分けをするための技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のユーザグルーピング装置は、ユーザが使用する無線ID管理装置毎に設けられた複数の無線IDの集合のデータ構造体であって、各無線IDには当該無線IDが無線IDタグから無線ID管理装置により読み取られた場所および時間と、当該無線IDに関連づけられた情報である無線ID関連情報とが対応づけられており、前記複数の無線IDが前記読み取り場所を基準として分類され、さらに前記読み取り時間を基準として分類されることにより階層的に構造化された無線ID集合構造体を記憶する記憶部と、第1のユーザの無線ID集合と第2のユーザの無線ID集合の間で近接度を評価する評価部と、前記近接度が所定の閾値より小さい場合、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類する分類部とを含む。
本発明の別の態様は、ユーザグルーピング方法である。この方法は、ユーザが使用する無線ID管理装置毎に設けられた複数の無線IDの集合のデータ構造体であって、各無線IDには当該無線IDが無線IDタグから無線ID管理装置により読み取られた場所および時間と、当該無線IDに関連づけられた情報である無線ID関連情報とが対応づけられており、前記複数の無線IDが前記読み取り場所を基準として分類され、さらに前記読み取り時間を基準として分類されることにより階層的に構造化された無線ID集合構造体を記憶装置から読み出すステップと、第1のユーザの無線ID集合と第2のユーザの無線ID集合の間で近接度を評価するステップと、前記近接度が所定の閾値より小さい場合、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類するステップとを含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ユーザが取得した無線ID情報をもとにユーザを適切にグループ分けすることができる。
図1は、実施の形態に係るRFIDシステムの構成図である。RFID管理装置100は、周囲に感知できるRFIDタグ110a〜110g(総称するときは符号110を用いる)からRFIDを無線通信により自動的に読み取る。RFID管理装置100は、読み取ったRFIDに、RFID管理装置100内部の位置センサから取得された場所情報と、RFID管理装置100内部のクロックから取得される時間情報とを関連付けて内蔵メモリに記録する。
RFIDタグ1〜5(符号110a〜110e)は、同一の場所L1で読み取られるが、その内、RFIDタグ1〜3は、時間T1において読み取られ、RFIDタグ3〜5は、時間T2において読み取られる。RFIDタグ6、7(符号110f、110g)は、場所L2で時間T3において読み取られる。各RFIDタグから読み取られたRFIDは、読み取り場所と読み取り時間に対応づけてRFID管理装置100の内蔵メモリに記録される。RFIDタグ3は、場所L1において、2つの時間T1とT2において読み取られるから、RFIDタグ3から読み取られるRFIDには場所L1と2つの時間T1、T2が対応づけられて記憶される。
RFID管理装置100は、無線通信I/Fを用いて無線アクセスポイント120と通信することにより、ネットワーク130を介してサーバ140にアクセスして情報交換することができる。サーバ140は、たとえば、RFIDに関連づけられた製品などに関する情報(以下、「RFID関連情報」もしくは「メタデータ」と呼ぶ)をRFIDに対応づけて管理するデータベースをもつ。サーバ140は、位置情報に関連づけられた店などのホームページのアドレス(URL(uniform resource locator))をデータベース管理してもよい。これらデータベースは、複数のサーバに分散して設けられてもよい。
図2は、RFIDタグ110の構成図である。RFIDタグ110は、メモリ112、送受信部114、およびアンテナ116を含む。メモリ112にRFIDが格納される。送受信部114は、アンテナ116を介してRFID管理装置100からのリクエスト信号を受信し、RFID管理装置100にメモリ112に格納されたRFIDを送信する。
図3は、RFID管理装置100の構成図である。RFID管理装置100は、プロセッサ10、I/Oコントローラ12、グラフィックスプロセッサ14、メモリ16、ディスプレイ18、RFIDリーダ20、通信I/F22、位置センサ24、入力デバイス26、およびクロック28を含む。
グラフィックスプロセッサ14は、ディスプレイコントローラの機能をもつ。通信I/F22は、無線基地局と通信を行うためのインタフェースである。位置センサ24は、一例としてGPS(Global Positioning System)受信機である。入力デバイス26は、ユーザからの入力を受け付けるためのボタンやキーボードなどの入力デバイスである。クロック28は、プロセッサ10に時計機能をもたせる。なお、図示はされていないが、音声を発生させるためのD/Aコンバータやスピーカをもってもよい。また、外部との通信手段は無線通信に限らず、有線通信を用いてもよく、その場合、有線LANなどと接続するためのネットワークインタフェースをもつ。また、RFID管理装置機能をもつ携帯電話機の場合は、通信インタフェースとして、携帯電話の通信規格に適したインタフェースが用いられ、携帯電話基地局と通信するように構成される。さらに、携帯電話機の場合は、位置センサ24を搭載する代わりに、周囲の基地局からの情報によって位置を特定できるように構成してもよい。
図4は、RFID管理装置100の機能構成図である。同図は機能に着目したブロック図を描いており、これらの機能ブロックはハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現することができる。すなわち、これらの機能構成ブロックの少なくとも一部は、図3で説明したRFID管理装置100のハードウエア構成により実現され、ハードウエア構成で実現されない機能ブロックは、メモリ16にロードされたプログラムをプロセッサ10が実行することにより実現される。
RFID読取部30は、図3のRFIDリーダ20で実現され、RFIDタグ110からRFIDを読み取り、RFID集合記憶部40に読み取られたRFIDを記録する。時間情報取得部32は、図3のクロック28で実現され、RFID読取部30がRFIDタグ110からRFIDを読み取った日時に関する情報をRFID集合記憶部40に記録する。場所情報取得部34は、図3の位置センサ24で実現され、RFID読取部30がRFIDタグ110からRFIDを読み取った場所に関する情報をRFID集合記憶部40に記録する。RFID集合記憶部40は、図3のメモリ16で実現され、RFID読取部30により読み取られたRFIDが読み取り時間と読み取り場所に関連づけて記憶する。
通信部36は、図3の通信I/F22で実現され、無線アクセスポイント120に接続し、RFID読取部30により読み取られたRFIDに対応するRFID関連情報をサーバ140から取得し、RFID集合記憶部40に既に記憶されたRFIDに関連づけて記憶する。RFID読取部30によるRFIDの読み取りと、通信部36によるRFID関連情報の取得は、非同期に行われる。RFID読取部30は、自動的に周囲にあるRFIDタグからRFIDを読み取り、RFID集合記憶部40に蓄積していく。一方、通信部36は、無線アクセスポイント120との接続が可能なときに、RFID集合記憶部40に蓄積されたRFIDに対応するRFID関連情報をサーバ140から取得する。
分類部38は、RFID集合記憶部40に記憶されている複数のRFIDを読み取り場所を基準として分類した上で、さらに読み取り時間を基準として分類することにより、RFIDの集合を階層的に構造化し、構造化されたRFID集合構造体をRFID集合記憶部40に記録する。RFID関連情報はその構造化されたRFIDに対応づけてRFID集合構造体内に格納される。
表示制御部50は、RFID集合記憶部40に記憶されたRFIDをディスプレイ18に提示することにより、提示されたRFIDに対応づけられたRFID関連情報を閲覧可能とする。
ユーザインタフェース部42は、RFID集合記憶部40に蓄積されたRFIDを閲覧するための条件をユーザに設定するためのインタフェースを提供する。RFIDを閲覧する条件として、現在の場所から所定の距離の範囲や時間の範囲をユーザに指定させる。また、ユーザインタフェース部42は、RFID関連情報の属性を選択させるインタフェースを提供することもできる。
検索部44は、RFID集合記憶部40に蓄積されたRFID集合構造体から、ユーザが指定した条件に合うRFIDを検索し、検索結果を表示制御部50に与える。表示制御部50は、検索部44による検索結果を図3のディスプレイ18に表示する。
RFIDをディスプレイ18に表示する形態として、仮想空間を用いることができる。特徴空間設定部46および仮想空間生成部48は、RFIDを仮想空間内に表示するための構成である。
特徴空間設定部46は、RFID関連情報に含まれる特徴量を座標軸とする特徴空間に閲覧対象となる一つ以上のRFIDをそれぞれの特徴量で定まる座標位置に配置する。仮想空間生成部48は、特徴空間に配置されたRFIDを仮想空間における点に写像することにより、RFIDを仮想空間に配置する。仮想空間は2次元の平面でも3次元空間でもよい。表示制御部50は、RFIDが配置された仮想空間をディスプレイ18に表示する。
ユーザインタフェース部42は、ディスプレイ18に表示された仮想空間内をユーザに探索させるためのグラフィカルユーザインタフェース機能を提供する。ユーザは仮想空間を探索しながら、仮想空間内に配置されたRFIDサムネイル画像を閲覧し、サムネイル画像をクリックすることで、そのRFIDのRFID関連情報を閲覧することができる。たとえば、RFIDに関連づけられた商品が衣服であれば、衣服がサムネイル画像で表示されており、閲覧したい衣服のサムネイル画像をクリックすることで、RFID関連情報、ここでは衣服のメーカーや色、サイズ、画像データなどの情報を閲覧することができる。
仮想空間生成部48は、多変量解析により特徴空間から三つの主成分を抽出し、三つの主成分を座標軸とする三次元空間を仮想空間として設定してもよい。この場合、仮想空間生成部48は、各RFIDのRFID関連情報について三つの主成分の特徴量を求めることにより、各RFIDを三次元仮想空間における点に写像する。
ユーザ嗜好記憶部54は、図3のメモリ16で実現され、RFID管理装置100を使用するユーザの嗜好に関する情報を記憶する。
マッチング処理部52は、ユーザ嗜好記憶部54に記憶されたユーザの嗜好情報に含まれる特徴量と、RFID集合記憶部40に記憶されたRFIDのRFID関連情報に含まれる特徴量の間でマッチングを取ることにより、ユーザの嗜好に合ったRFID関連情報をもつ一つ以上のRFIDをRFID集合記憶部40から抽出する。
通知部56は、マッチング処理部52により抽出されたRFIDが読み取られた場所が、現在の場所から所定の距離の範囲にある場合、ユーザに嗜好に合ったRFID関連情報をもつRFIDが現在の場所の近傍にあることをアラームにより通知する。現在の場所に関する情報は場所情報取得部34により取得される。
通知部56は、時間情報取得部32により取得された現在の時刻情報を用いて、マッチング処理部52により抽出されたRFIDが読み取られた場所が、現在の場所から所定の距離の範囲にあり、かつ、そのRFIDが読み取られた時間が現在の時間から所定の時間の範囲にある場合に、ユーザに嗜好に合ったRFID関連情報をもつRFIDが現在の場所の近傍にあることを通知するようにしてもよい。
通知部56が、ユーザに嗜好に合ったRFID関連情報をもつRFIDが現在の場所の近傍にあることを通知する際、表示制御部50は、そのRFIDに対応づけられたRFID関連情報をディスプレイ18に表示してもよい。
表示制御部50は、RFID関連情報をディスプレイ18に表示する際、RFIDが読み取られた場所の近傍の地図情報を合わせて表示してもよい。地図情報はサーバ140から受信することができる。
ユーザインタフェース部42は、ディスプレイ18に提示されたRFIDに関連する商品などの物がユーザの好みのものである場合にユーザからマーキングを受け付けてもよい。マッチング処理部52は、マーキングされたRFIDに対応づけられたRFID関連情報に含まれる特徴量をユーザの嗜好を特徴づける特徴量として抽出し、ユーザ嗜好記憶部54に記憶し、マッチングに利用することができる。
図5は、RFID管理装置100で実行されるプログラムを説明する図である。本実施の形態では、RFID管理装置100に、電源オン・オフの機能が備わっていることを前提としている。また、プロセッサ10において、複数のスレッドと呼ばれる実行単位をスケジュールしながら実行することを想定している。ある実施例においては、RFID管理装置100のプロセッサ10をマルチコアプロセッサと呼ばれる複数のプロセッシングエレメントを有するプロセッサとすることにより、複数のスレッドを、同時に複数のプロセッシングエレメントで実行させることもできる。
電源がオンされた場合、プログラムOn()が実行される。Scan_Tag()というRFIDタグをスキャンするプログラムを実行するためのスレッドを生成するために、Create_Thread(Scan_Tag)を実行し、後でスレッドを管理するために、TagScanという変数にスレッドを識別する番号を代入し、スレッドを参照できるようにしておく。また、Update_Tag_Info()というRFIDタグの属性情報を更新するプログラムを、Scan_Tag()と並行に実行できるように、Create_Thread(Update_Tag_Info)を実行し、スレッドをもう一つ生成する。このスレッドについても後で参照するために、TagInfoUpdateという変数に当該スレッドの識別番号を代入する。
一方、電源が、オフされた場合、プログラムOff()が実行される。電源がオンされたときに生成されたTagScan変数で参照されるスレッドとTagInfoUpdate変数で参照されるスレッドをDestroy_Thread(TagScan)とDestroy_Thread(TagInfoUpdate)によって終了させる。
さて、電源がオンされたときに生成されたスレッドにおいて、Scan_Tag()プログラムが実行される。ScanTag()プログラムは、当該スレッドが存在する限り、Get_Tag()プログラムを実行して、周囲のRFIDタグをスキャンしてRFIDを読み取り、読み取られたRFIDに、Get_Location()プログラムによって取得された位置情報と、Get_Time()プログラムによって取得された現在の時間情報をセットにして、Record_Tag(tagID, Loc, Time)プログラムによって、メモリに記録する。
なお、Get_Tag()プログラムの実現方法としては、RFIDタグを一つずつTagID変数に返すという方法と、一つのスキャン信号に対して、返答のあった全てのRFIDタグから読み取られたRFIDをまとめて集合として返すという方法の二つがある。
また、本実施の形態においては、Get_Location()とGet_Time()の二つのプログラムを呼ぶようにしているが、例えば、GPSの場合、取得されたデータ形式は、{<時刻>,<緯度>,<経度>,<高度>}のように、時間情報をすでに含んでいるので、時間情報としては、GPSで得られる時刻を利用してもよい。ただし、GPSから取得されるデータの時間間隔は、システムによってあらかじめ決められているため、より細かい時間情報を必要とする場合には、Get_Time()プログラムで取得される、プロセッサによって発生される時計に基づく時刻情報がより適している。いずれの時刻情報を利用するかは、RFID管理装置100の仕様によって定めることができる。
なお、Get_Location()が返す位置情報は、必ずしも、GPSからの情報そのままである必要はない。現在のGPSの精度は10メートル程度であるが、将来的には、1メートル精度になると予測されている。しかし、1メートル単位の精度が必要かどうかは、システムの設計上の選択肢となる。例えば、店に入って、店内を歩き回っている場合、場所としては、どこの店にいるかが重要で、店内のどの場所にいるかは、それほど重要でないと考えることもできるし、広い店内であれば、どのあたりということが区別できた方がよいと考えることもできる。よって、Get_Location()プログラムの返す値は、こういった設計仕様を考慮して、補正されたデータを返すようにすることが望ましい。Get_Time()に関しても、同様に、どの程度の時間粒度を適切とするかは、設計仕様に依存する。よって、一般的には、Get_Time()プログラムにおいて、時間的な補正を行って返すようにするのが望ましい。すなわち、Get_Time()プログラムは、10分や1時間などの所定の期間内では同一の時間情報を返すようにしてもよい。
図6は、RFID集合記憶部40に記憶されるRFID集合構造体のデータ構造を説明する図である。同図は、図5のRecord_Tag (tagID, Loc, Time)プログラムによってメモリ中に作られるRFID集合のデータ構造の一例を示している。読み取り場所毎にRFID集合構造体を作って管理する。場所L1に対して一つのRFID集合構造体150が作られ、場所L1に関連づけられた属性情報152(たとえば、場所L1に対応する店のホームページのURL)が格納される。更新情報154は、場所L1に関連づけられた属性情報152が取得された最新の更新時刻情報を記録するものであり、更新時刻が現在時刻と比べて所定の時間だけ前であるときは、属性情報152が更新される。例えば、情報が、1日単位で更新されるように設計されている場合、更新時刻と現在時刻を比較することによって、もし1日以内であれば、情報更新を行わない。
読み取り場所毎のRFID集合構造体150において、さらに、読み取り時間毎にRFIDが分類される。図1で示した場所L1にあるRFIDタグ1〜6から読み出されたRFID1〜6が、読み取り時間T1、T2によって2つの構造体156a、156bに分類され、RFID1〜3(符号160a〜160c)はRFID集合1(符号158a)として、RFID3〜5(符号160c〜160e)はRFID集合2(符号158b)として、各構造体156a、156b内に格納される。
すなわち、場所L1においてスキャンされたRFIDには、RFID1〜RFID5の5つがあるが、このうち、RFID1〜RFID3の3つは、時間T1でラベル付けされ、同じRFID集合1としてまとめられる。同様に、RFID3〜RFID5の3つは、時間T2でラベル付けされ、同じRFID集合2としてまとめられている。ここで、RFID3の読み取り時間はT1とT2の二つであるから、RFID3はRFID集合1とRFID集合2の両方に格納される。なお、各RFIDのRFID関連情報は、このようにして階層的に構造化されたRFID集合構造体150において、各RFIDに対応づけられて格納されてもよい。あるいは、RFID関連情報は図7で説明するRFIDとメタ情報のアソシエーション構造体に別途格納する形式でもよい。
図7は、RFIDとメタ情報のアソシエーション構造体のデータ構造を説明する図である。アソシエーション構造体170のデータ構造は、RFID毎にメタ情報を管理するために用いられる。配列もしくはハッシュテーブル(符号171)が設けられ、これによって、システムがメモリから任意のRFIDを参照できるようになっている。
ハッシュテーブル171のテーブル構造から、特定のRFID、例えばRFID1を検索すると、RFID1のデータ構造体172には、RFID1の値とその属性情報180aと更新情報182aが書き込まれるようになっている。属性情報180aは、RFID1のRFID関連情報であり、更新情報182aは、RFID1のRFID関連情報が更新された時刻である。RFID1のデータ構造体172は、RFID1の読み取り時間と読み取り場所のペアをリストとして管理するためのリンクをもつ。ここでは、読み取り時間T1と読み取り場所L1のペアのデータ構造体174がRFID1のデータ構造体172にリンクされている。
同様に、RFID3のデータ構造体176には、RFID3の値とその属性情報180bと更新情報182bが書き込まれている。RFID3のデータ構造体176には、RFID3の読み取り時間と読み取り場所のペアをリストとして、読み取り時間T1と読み取り場所L1のペアのデータ構造体178aと読み取り時間T2と読み取り場所L1のペアのデータ構造体178bとがリンクされている。
データ管理構造に関しては様々な選択肢があり、どれを選択するかは設計仕様によって異ならせることができることはいうまでもない。いずれにしても、RFID管理装置100が管理し易いように、複数のRFIDの集合が、読み取り場所と読み取り時間により階層的に構造化されており、RFID集合内にRFID関連情報が一括管理できるような形態でメモリ上に記録されている。
図8は、図5のRFIDタグの属性情報を更新するUpdate_Tag_Info()プログラムを説明する図である。このプログラムは、常に、無線アクセスポイント120を介してサーバ140への接続を試み、接続が成功した場合には、ch変数で参照されるサーバから、RFID関連情報を取得するプログラムGet_Metadata_For_Tags(ch)と、読み取り場所に関する関連情報を取得するプログラムGet_Metadata_For_Locations(ch)とを実行する。これらを実行することにより、図6および図7で説明した、更新が必要なRFIDの属性情報あるいは読み取り場所の属性情報がサーバ140から取得され、データ構造体に格納される。
図9は、図8のRFID関連情報を取得するGet_Metadata_For_Tags(ch)プログラムを実行することによって取得されたRFID関連情報を説明する図である。RFID1のデータ構造体162の属性情報170aとして、RFID1で識別される商品の製造メーカ、カテゴリー、価格、色、柄、サイズ、画像などの属性情報が記録される。
以上、RFID管理装置100の機能として、周辺に存在するRFIDタグを自動的に検出し、RFIDタグから読み取ったRFIDを記録するRFID収集機能を説明してきた。RFID管理装置100はRFIDを収集する機能の他に、RFID情報の表示とナビゲーションの機能も備えている。図10〜図14を参照して、RFID情報のビューワ・ナビゲータの機能について説明する。
図10(a)、(b)は、RFID情報が記録されている場所をユーザに選択させるメニューを説明する図である。図10(a)では、RFID管理装置100のメモリ内(すなわち「ローカル」)に記録されているRFID情報を閲覧するか、サーバのデータベース(すなわち「グローバル」)に記録されているRFID情報を閲覧するかをユーザに選択させるメニューがRFID管理装置100の画面に表示されている。ユーザは矢印キー190でオプションを選択する。図10(a)では、「ローカル」が選択されている。
図10(b)に示すように、「グローバル」が選択された場合、さらに、家庭内のネットワーク上のホームサーバとインターネット上のネットサーバのうち、いずれのサーバを選択するかをユーザに選択させるメニューが画面に表示される。図10(b)では、接続ポイントとして、「ネットサーバ」をユーザが選択している様子が示されている。
なお、ここでは、メニューによってナビゲーション範囲を選択する例を説明したが、RFID管理装置100外部のスイッチなどの機械的手段でナビゲーション範囲を選択するように構成してもよい。また、ディスプレイ上でのメニューの表示は、電源ボタン182を押してRFID管理装置100を起動させたときに、初期画面で表示されるようにしてもよい。
図11(a)、(b)は、ナビゲーション対象となるRFIDをフィルタリングする条件をユーザに選択させるメニューを説明する図である。図11(a)に示すように、RFIDを「時間」または「場所」のどちらでフィルタリングするかをユーザに選択させるメニューが表示される。「時間」を選ぶと、次に「今日」、「1週間以内」、「1か月以内」、「全て」の中からいずれかの条件をユーザに選択させるメニューが表示される。ここではユーザが「今日」を選択している様子が示されている。これにより、ナビゲーション対象となるRFID関連情報は、今日読み取られたRFIDの範囲に絞られる。
図11(b)では、「場所」が選択された場合、さらに、「1km以内」、「10km以内」、「全て」の中からいずれかの条件をユーザに選択させるメニューが表示される。ここではユーザが「1km以内」を選択している様子が示されている。これにより、ナビゲーション対象となるRFID関連情報は、位置センサ24から取得される現在位置を中心として、半径1km以内で読み取られたRFIDの範囲に絞られる。
図12は、ナビゲーション対象となるRFIDをRFID関連情報を用いてフィルタリングする様子を示す図である。ここでは、RFID関連情報を用いて商品カテゴリーの中から「衣料品」、衣料品の中から「婦人服」、婦人服の属性の中から「メーカー」、メーカーの中から「C社」というように絞込みを行ったものをナビゲーション対象としている。
ナビゲーション対象となったRFIDが配置されるナビゲーション空間は、次のようにして生成される。図6で説明した読み取り場所毎のRFID集合構造体150と、図7で説明したRFIDとメタ情報のアソシエーション構造体170とを用いて、読み取り場所や読み取り時間などのフィルタリング条件に合ったRFID集合のRFID関連情報を抽出する。抽出したRFID関連情報に含まれる特徴量を使って特徴空間を生成し、特徴空間にRFIDを配置する。RFIDが配置された特徴空間を多変量解析により、三次元空間に変換することでRFIDが配置されたナビゲーション空間を生成する。多変量解析によるナビゲーション空間の生成については、本出願人による特願2005−357026号公報に記載された方法を用いることができる。
多変量解析によるナビゲーション空間の生成方法を説明する。RFIDのRFID関連情報(メタデータ)を特徴づけるN個の特徴量を抽出する。たとえば、RFIDに関連づけられた商品が音楽であれば、メタデータから歌手、ジャンル、テンポ、国籍などの情報を特徴量として読み出し、各特徴量を数値化する。数値化された複数の特徴量をベクトルとして表現し、メタ情報の特徴ベクトルを求める。
たとえば、音楽の特徴量として、メタデータに含まれるジャンルおよび国籍を用いるとする。ジャンルはクラシック、ジャズ、ロックのいずれかであり、国籍はアジア、ヨーロッパ、アメリカのいずれかであるとする。音楽の特徴ベクトルとして、6ビットのバイナリベクトルを用意して、ジャンルがクラシックであれば第1ビットを1、ジャズであれば第2ビットを1、ロックであれば第3ビットを1にする。アーティストの国籍がアジアであれば第4ビットを1、ヨーロッパであれば第5ビットを1、アメリカであれば第6ビットを1にする。これにより、たとえば、アメリカ人の演奏するジャズであれば、(0,1,0,0,0,1)という特徴ベクトルで表現することができる。
また、候補となるキーワードをいくつか用意して各キーワードにバイナリベクトルを割り当てておき、音楽のタイトルに含まれるすべてのキーワードのバイナリベクトルを加算することで、音楽の特徴ベクトルを決めてもよい。
このようにして求めたメタデータのN次元の特徴ベクトルの情報をもとに、メタデータのN次元の特徴量のそれぞれを座標軸とするN次元特徴空間(メタデータ空間)を設定し、N次元特徴空間にメタデータをN次元特徴ベクトルが示す座標位置に配置する。すなわち、メタデータは、N次元特徴空間においてN次元座標をもつ点として表現される。このようにして、RFIDのRFID関連情報(メタデータ)をもとに特徴空間(メタデータ空間)を生成することで、RFIDをメタデータ空間における点に配置することができる。
ユーザの嗜好情報の特徴量をベクトル表現し、ユーザの嗜好情報のベクトルが示す点を特徴空間の原点とするように座標系を移動してもよい。ユーザの嗜好情報のベクトルが示す点を原点とすることで、ユーザの嗜好情報の特徴量に近い特徴量をもつRFID関連情報ほど原点付近に集まり、ユーザの嗜好情報の特徴量から離れる特徴量をもつRFID関連情報は原点から遠ざかる。
複数のRFIDのRFID関連情報がN次元特徴空間に配置され、同じような特徴をもつRFID関連情報は、N次元特徴空間において「星雲」のような集まりを形成するようになる。三次元よりも次数の高い空間は可視化できないため、N次元特徴空間にRFID関連情報を配置しても、ユーザが同じような特徴をもつRFIDの集まりを認識することは容易ではない。そこで、N次元特徴空間に配置されたRFIDを三次元の仮想空間に写像し、同じような特徴をもつRFIDの集まりを可視化する。
N次元特徴空間に分布するRFIDを三次元仮想空間に写像するとき、N次元特徴空間において近い関係にあるRFID同士は、三次元仮想空間においても距離的に近い位置にあるように写像する。つまりRFIDの位置関係や距離ができる限り保存されるようにN次元特徴空間から三次元仮想空間に写像する。このために、多変量解析が用いられる。N次元特徴空間に配置されたRFIDの分布を多変量解析して、主成分を三つ取り出し、各主成分を座標軸とする三次元空間を定義することにより、N次元特徴空間を三次元仮想空間に写像する。これにより、N次元特徴空間において似たような特徴をもち、集まりを形成していたRFID群は、三次元特徴空間においても互いに近い位置に配置される。
特に、前述のようにユーザの嗜好情報の特徴ベクトルが示す点を原点とした特徴空間の場合、特徴空間の原点を仮想空間におけるユーザの探索の初期位置に写像することで、ユーザの嗜好に近いRFID関連情報をもつRFIDほどユーザの初期位置に近い位置に写像されるようになる。これにより、ユーザは自分の興味のあるRFID関連情報から開始して仮想空間を探索することできる。
図13は、ナビゲーション空間の表示例を示す図である。このナビゲーションシステムの実施例では、RFID関連情報の特徴量をもとにして多変量解析がなされ、その結果を用いて、3次元空間内に、RFID関連情報のサムネイル画像が配置される。ユーザにとって、最も正面にあるRFIDサムネイル画像が自動的に閲覧対象となり、これを矢印キー190の中央ボタンを押すことにより、図示されていないが、関連するメタ情報が表示されるようになされている。また、矢印キー190の上下左右キーによって3次元空間中を上下左右に移動し、矢印キー190の中央ボタンによって、ズームインすることができる。
図14(a)は、図13のナビゲーション画面において閲覧対象のRFIDサムネイル画像に対して表示されるオプション選択メニューを説明する図である。正面にある閲覧対象のRFIDサムネイル画像に対して、ユーザが矢印キー190の中央ボタンを長押しすると、オプションとして「地図表示」と「好みのタイプ」のいずれかをユーザに選択させるメニューがポップアップ表示される。オプション選択メニューにおいて「地図表示」を選択すると、図14(b)に示すように、閲覧対象のRFIDが読み取られた場所の近傍の地図が画面に表示され、この地図上にショップAとショップCの位置が表示される。ショップA、Cは、閲覧対象のRFIDが読み取られた場所であり、ユーザはナビゲーション空間で選択したRFIDに関連づけられた商品が購入できるショップを地図で確認することができる。
図15(a)は、図13のナビゲーション画面において閲覧対象のRFIDサムネイル画像に対して表示されるオプション選択メニューを説明する図である。この図では、オプションとして「好みのタイプ」をユーザが選択し、「マーキング」を行った様子を説明する図である。このとき、図15(b)に示すような閲覧対象のRFIDのRFID関連情報から、商品の属性が抽出され、ユーザの嗜好を示す特徴量としてユーザ嗜好記憶部54に記録される。図15(b)の例では、<メーカー>は「A社」、<色>は「黒」といった属性がユーザの嗜好情報として登録される。
また、別の実施例においては、最近の一定期間(例えば1年)訪問した場所の属性情報、あるいは記憶されているRFIDの属性情報を統計的に分析することによって、特定の属性についてユーザの嗜好性が高いとみなすようにすることもできる。例えば、全般的に、黒系のデザインが多い店に多く訪問している場合には、「黒」という属性に嗜好性があるとする。
RFID管理装置100は、その一機能として、ユーザの好みのタイプの製品が近くにある場合、音や画面表示などによりアラームを発生させる機能をもつ。図16は、ユーザの嗜好情報を用いたアラーム通知画面を説明する図である。ユーザの嗜好情報に合ったRFID関連情報をもつRFIDが現在の場所の近傍にある場合(すなわち、以前に現在の場所の近傍でそのRFIDが検出されたか、現在の場所の近傍でそのRFIDが現に今、検出された場合)、アラーム音が鳴るとともに、「この近くにあなたの好みの服を売っているショップがあります」というメッセージとともにショップの場所を示す地図が画面に表示される。
例えば、ユーザの嗜好情報に合ったRFID関連情報をもつRFID「tag103」が、ショップAとCにあり、RFID管理装置100の位置が、ショップAあるいはCの近く(例えば1km以内)に来た場合、RFID管理装置100はアラーム音によりユーザに通知する。RFID管理装置100とRFIDの場所の間の距離に応じて、通知方法を変えてもよい。例えば、RFIDタグを検知可能であるくらい近くまで来た場合には、光の点滅や、アラーム音などで、近くに好みの商品があることを知らせ、それ以外の場合には、地図を表示してユーザを案内するような実装がより好ましい。
上記では、RFID管理装置100のナビゲータ・ビューワとしての機能について説明した。図10(a)において説明したように、RFID管理装置100のナビゲータ・ビューワとしての機能は、家庭用のホームサーバや公共のサーバと接続して、サーバ内にあるRFID集合を対象として利用することもできる。サーバにRFID集合をもたせるためには、RFID管理装置100で収集・記録したRFID情報を、サーバ上で他のユーザと共有する仕組みが必要となる。以下では、この情報共有のための仕組みを説明する。
図17は、ネットワークに接続されたサーバ140(あるいはホームサーバ)に、RFID管理装置100が収集・記録したRFIDデータをアップロードするための変換処理装置200の構成図である。変換処理装置200は、RFID管理装置100の内部に設けられてもよく、RFID管理装置100が接続されるコンピュータにより実現されてもよい。ここでは、変換処理装置200はRFID管理装置100に実装されているとして説明する。
変換処理装置200は、RFIDデータをアップロードするために、サーバ140に接続し、サーバ140上のRFIDデータアップロード用のサーバプログラムの起動を依頼する。次に、変換処理装置200は、RFID管理装置100により収集されたRFIDデータ、RFID管理装置100のデバイスID、RFIDデータの読み取り場所に関連するURL、およびRFID関連情報を含む文書ファイルを作成して、サーバ140に送信する。サーバ140上で動作しているサーバプログラムは、受信した文書ファイルを記憶装置に記憶し、ネットワークから閲覧可能にする。
変換処理装置200の構成を説明する。受信部60は、サーバ140から文書ファイルをダウンロードする。第1抽出部62は、受信された文書ファイルから、RFIDの集合、各RFIDの読み取り場所および読み取り時間を抽出し、RFID集合生成部64に与える。RFID集合生成部64は、抽出されたRFIDを読み取り場所および読み取り時間で構造化したRFID集合構造体を生成し、RFID集合記憶部66に記憶する。RFID集合記憶部66にはRFID管理装置100で収集されたRFID集合が既に蓄積されており、サーバ140からは他人が収集したRFID集合を取得して、RFID集合記憶部66に記憶される。これにより、自分が収集したRFID集合に他人が収集したRFID集合を加えることができる。
RFID集合記憶部66には、読み取り場所別のRFID集合構造体が記憶されているとする。各読み取り場所別のRFID集合構造体内では、読み取り時間でRFIDが分類されている。文書ファイル作成部68は、RFID集合記憶部66に記憶された読み取り場所別のRFID集合構造体に対応して、読み取り場所別の文書ファイルを作成する。
第2抽出部70は、文書ファイル作成部68が作成した文書ファイルの読み取り場所に対応するRFID集合構造体から読み取り時間で分類されたRFID集合と分類基準となった読み取り時間を抽出し、記述設定部72に与える。
記述設定部72は、文書ファイル作成部68により生成された読み取り場所別の文書ファイル内に第2抽出部70により抽出されたRFID集合を読み取り時間別に格納する。このとき、RFID集合に含まれるRFID関連情報はネットワークで閲覧可能な形式で記述される。送信部74は、記述設定部72によりRFIDに関する記述が設けられた文書ファイルをサーバ140にアップロードする。
変換処理装置200の構成の一部はサーバ140に設けられてもよい。RFID管理装置100で利用可能なRFID集合構造体からネットワークで共有可能な文書ファイルに変換する機能、逆に文書ファイルからRFID集合構造体に変換する機能は、サーバ140で実現してもよい。
図18は、変換処理装置200によりRFID集合構造体が文書ファイルに変換される様子を説明する図である。読み取り場所別のRFID集合構造体150とRFIDとメタ情報のアソシエーション構造体170を用いて、文書ファイルの一例としてXML文書210が作成される。読み取り場所のGPSデータをもとに、すでに読み取り場所に関する属性情報として、店名とURLが取得され、XML文書210の<場所>タグと、<URL>タグでマークされた部分に記述される。<記録機械ID>タグには、RFID管理装置100のデバイスIDが記述される。
<記録時間>タグには、<時間>タグ別に<RFIDタグ>が記述される。この例では、<時間>タグ「T1」に<RFIDタグ>として「tag1」のデータ、すなわち<タグID>タグと<メタ情報>タグが記述されている。<メタ情報>タグには、RFID関連情報が記述される。これらのタグデータは、図6のRFID集合構造体150をXML文書の形式で展開したものである。
このようにしてRFID集合構造体150から変換されたXML文書210をネットワーク上で公開することにより、他のユーザがRFID集合を閲覧することができるようになる。他のユーザからのXML文書210へのアクセスが増えると、XML文書210に記載されたショップAのURLが、XML文書210に記述された単語をキーワードとする検索によって上位にランクされる可能性が高まり、結果として、ショップAを一般ユーザに宣伝する効果を高めることができる。
なお、サーバ140へのRFIDデータをアップロードする代わりに、ホームサーバにRFIDデータをアップロードしてもよい。この場合には、RFID管理装置100からホームサーバ上のサーバプログラムを起動することによって、上記と同様の処理をすればよい。なお、ホームサーバ上のサーバプログラムでは、必ずしもXML文書作成・公開作業は必要とされないが、このような作業を行い、RFID管理装置100がホームサーバに蓄積されたXML文書を閲覧できるようにしてもよい。
RFID管理装置100において図10(b)で示したように、ナビゲーション範囲としてネットサーバもしくはホームサーバをユーザが選択した場合の処理を説明する。RFID管理装置100は、サーバへ接続し、サーバプログラムの立ち上げを依頼する。サーバプログラムは、記憶されているXML文書をもとに、依頼された条件でフィルタリングして、XML文書をRFID管理装置100で読み取り可能なRFID集合構造体の形式に変換する。サーバプログラムは、変換後のRFID集合構造体をもとにして、多変量解析を行うことでメタデータ空間を生成し、RFID管理装置100のディスプレイに表示される対象となる初期データを、RFID管理装置100に送信する。RFID管理装置100がサーバからの表示データを受信することにより、図13のような表示がなされる。
その後、矢印キー190の上下左右キーによって、仮想空間をナビゲートするに従い、新たな表示データが必要とされる場合には、再び、ナビゲーション操作情報や、視点情報などを、サーバに送信することによって、必要なデータを要求する。この要求に従って、サーバは、必要とされるデータを送信する。
なお、XML文書からRFID集合構造体への変換処理、多変量解析によるナビゲーション空間の生成処理は、RFID管理装置100側で行ってもよい。サーバ140上で記憶されるRFID集合のデータ構造は、XML文書であってもよく、RFID管理装置100で利用可能なRFID集合構造体であってもよい。XML文書として記憶されている場合、メタデータ空間を生成するために、RFID集合構造体のデータ形式に変換することが望ましい。XML文書からRFID集合構造体への変換処理は、図18とは逆の方向の処理である。
また、上述の例において、サーバ140において、XML文書を生成する場合、RFID管理装置100から取得したデータ構造において、読み取り場所に関するURL情報とRFID関連情報が既に取得されている場合を想定したが、読み取り場所に関するURL情報とRFID属性情報が未取得の場合も当然あり得る。この場合、図18の変換処理を行う際、サーバにおいて、データをチェックし、必要な情報を適切な場所から入手するとともに、<URL>タグ、<メタ情報>タグの項目に書き込む処理を行うものとする。
図19は、複数のRFID管理装置からサーバ140に登録されたXML文書がRFID管理装置形式のデータに変換され、メタデータ空間が生成される例を示す図である。2つのXML文書210a、210bは異なるRFID管理装置により登録されたものであり、<記録機械ID>は「M387」と「M1038」である。2つのXML文書210a、210bにおいて<タグID>が「tag1」で同一であるが、読み取り場所はショップAとショップCであり、読み取り時間はT1とT10であり、読み取り場所と読み取り時間は2つのXML文書210a、210bで異なる。このような異なるRFID情報であっても、メタデータ空間内では、同じRFIDを持つ商品に関連付けられる。2つのXML文書210a、210bからRFID集合がまとめられ、読み取り場所別のRFID集合構造体150とRFIDとメタ情報のアソシエーション構造体170が生成され、これらのRFID管理装置形式のデータを用いて、メタデータ空間が生成される。
図10(b)のメニューで「ネットサーバ」を選択した場合、複数のユーザのRFID管理装置から登録されたRFID情報からメタデータ空間が作られ、RFID管理装置100に提供される。RFID管理装置100のディスプレイには、図14(a)で説明したようなナビゲーション空間において、「tag1」のRFIDサムネイル画像が閲覧対象として表示され、地図表示を選択すると、図14(b)のように「tag1」のRFIDが読み取られた場所であるショップAとショップCが表示される。
図20は、ユーザの嗜好情報をもとにユーザグループを作るためのユーザグルーピング装置300の構成図である。ユーザグルーピング装置300はサーバにおいて実現される。RFID集合記憶部86は、複数のユーザから登録されたRFID集合を記憶する。RFID集合の各RFIDには、読み取り場所、読み取り時間、およびRFID関連情報が関連づけられている。近接度評価部80は、複数のユーザのRFID集合の間で近接度を評価する。
近接度評価部80は、第1のユーザのRFID集合に含まれる複数のRFIDの読み取り場所と、第2のユーザのRFID集合に含まれる複数のRFIDの読み取り場所の間で近接度を評価する。読み取り場所が複数ある場合は、複数の読み取り場所の分布をユーザ間で比較して近接度を求める。近接度評価部80は、さらにユーザ間で読み取り時間の分布を比較して近接度を評価してもよい。読み取り場所が近接していても、読み取り時間が大きく異なっていれば、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類しないことにしてもよい。たとえば、同じ場所でも日中に出歩くユーザと夜間に出歩くユーザでは嗜好が異なると考えられるからである。
また、近接度評価部80は、第1のユーザのRFID集合に含まれる複数のRFID関連情報の特徴量と、第2のユーザのRFID集合に含まれる複数のRFID関連情報の特徴量の間で近接度を評価してもよい。たとえば、単純な例では、二人のユーザが同じメーカーを好みとする場合は、近接度1とし、全く異なるメーカーを好みとする場合は近接度を0とする。商品の色やサイズなどについても近接度を1から0までの連続量で評価する。また、RFID関連情報の複数の特徴量をベクトル表現してベクトル間の距離で近接度を評価してもよい。
ユーザ分類部82は近接度にもとづいてユーザをグループ分けする。ユーザ分類部82は、任意の二人のユーザについて近接度が所定の閾値より小さい場合、二人を同一グループに分類する。ユーザ分類部82は、ユーザデータベース88に格納されたユーザプロファイルにグループの情報を追加する。広告配信部84は、同一グループに属するユーザに対して、広告データベース90からユーザの嗜好に合った広告を選択して、同一グループに属するユーザに一斉に配信する。その他、同じような嗜好があるユーザ同士をつなぐ応用例としては、チャットなどが考えられる。
以上述べたように、実施の形態のRFID管理装置100によれば、商品や作品を特定するために利用されるRFIDタグを自動的に読み取り記録することができる。RFIDタグを自動的に取得するとともに、取得された時間・場所の情報とともに記録し、RFIDタグの関連情報を、サーバに接続可能なときに取得する。これによりRFID情報の体系的な管理が可能となる。
実施の形態の変換処理装置200によれば、RFID管理装置100によって自動的に収集された大量のRFID情報を、インターネット上で他人と共有するために構造化文書に変換することができる。また、共通の構造化文書から、RFID管理装置100で参照可能なデータ構造に統一的に変換することもできる。
実施の形態のRFID管理装置100によれば、自動的に収集された大量のRFID情報を、時間や場所情などの条件によりフィルタリングして、体系的に表示し、RFID関連情報の空間をユーザに探索させるためのナビゲータ機能を提供することができる。
実施の形態のRFID管理装置100によれば、RFID管理装置100によって取得された大量のRFID情報が配置された空間をユーザに探索させ、ユーザの好みの商品等をマーキングさせることにより、ユーザの嗜好情報をRFID関連情報から抽出する。あるいは、ユーザにより一定期間に取得されたRFIDのRFID関連情報などを統計分析することでユーザの嗜好情報を抽出する。これにより、ユーザの嗜好性の高い属性を決定し、嗜好性の高い属性を持つRFIDが取得された場所の近くにユーザが来た場合、あるいは当該RFIDが現在の場所で検出された場合には、アラーム音などによりユーザに通知することができる。
実施の形態のユーザグルーピング装置300によれば、複数のユーザが所有するRFID管理装置100によって一定期間の間に取得された大量のRFID情報を分析して、複数のユーザの嗜好性の近接度を評価し、近接度にもとづいてユーザをグルーピングすることができる。個々のユーザが収集したRFID情報を分析するだけでなく、複数のユーザの間でそれぞれが収集したRFID情報を比較して、共通点や相違点を評価することで、共通の好みをもつユーザを抽出して商品の宣伝やユーザ間のコミュニケーションに利用することができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態に係るRFIDシステムの構成図である。 図1のRFIDタグの構成図である。 図1のRFID管理装置の構成図である。 図3のRFID管理装置の機能構成図である。 図4のRFID管理装置で実行されるプログラムを説明する図である。 図4のRFID集合記憶部に記憶されるRFID集合構造体のデータ構造を説明する図である。 RFIDとメタ情報のアソシエーション構造体のデータ構造を説明する図である。 図5のRFIDタグの属性情報を更新するプログラムを説明する図である。 図8のRFID関連情報を取得するプログラムを実行することによって取得されたRFID関連情報を説明する図である。 図10(a)、(b)は、RFID情報が記録されている場所をユーザに選択させるメニューを説明する図である。 図11(a)、(b)は、ナビゲーション対象となるRFIDをフィルタリングする条件をユーザに選択させるメニューを説明する図である。 ナビゲーション対象となるRFIDをRFID関連情報を用いてフィルタリングする様子を示す図である。 ナビゲーション空間の表示例を示す図である。 図14(a)、(b)は、図13のナビゲーション画面において閲覧対象のRFIDサムネイル画像に対して表示されるオプション選択メニューを説明する図である。 図15(a)、(b)は、図13のナビゲーション画面において閲覧対象のRFIDサムネイル画像に対して表示されるオプション選択メニューを説明する図である。 ユーザの嗜好情報を用いたアラーム通知画面を説明する図である。 実施の形態に係る変換処理装置の構成図である。 図17の変換処理装置によりRFID集合構造体が文書ファイルに変換される様子を説明する図である。 複数のRFID管理装置からサーバに登録されたXML文書がRFID管理装置形式のデータに変換され、メタデータ空間が生成される例を示す図である。 実施の形態に係るユーザグルーピング装置の構成図である。
符号の説明
10 プロセッサ、 12 I/Oコントローラ、 14 グラフィックスプロセッサ、 16 メモリ、 18 ディスプレイ、 20 RFIDリーダ、 22 通信I/F、 24 位置センサ、 26 入力デバイス、 28 クロック、 30 RFID読取部、 32 時間情報取得部、 34 場所情報取得部、 36 通信部、 38 分類部、 40 RFID集合記憶部、 42 ユーザインタフェース部、 44 検索部、 46 特徴空間設定部、 48 仮想空間生成部、 50 表示制御部、 52 マッチング処理部、 54 ユーザ嗜好記憶部、 56 通知部、 60 受信部、 62 第1抽出部、 64 RFID集合生成部、 66 RFID集合記憶部、 68 文書ファイル作成部、 70 第2抽出部、 72 記述設定部、 74 送信部、 80 近接度評価部、 82 ユーザ分類部、 84 広告配信部、 86 RFID集合記憶部、 88 ユーザデータベース、 90 広告データベース、 100 RFID管理装置、 110 RFIDタグ、 120 無線アクセスポイント、 130 ネットワーク、 140 サーバ、 200 変換処理装置、 300 ユーザグルーピング装置。

Claims (5)

  1. ユーザが使用する無線ID管理装置毎に設けられた複数の無線IDの集合のデータ構造体であって、各無線IDには当該無線IDが無線IDタグから無線ID管理装置により読み取られた場所および時間と、当該無線IDに関連づけられた情報である無線ID関連情報とが対応づけられており、前記複数の無線IDが前記読み取り場所を基準として分類され、さらに前記読み取り時間を基準として分類されることにより階層的に構造化された無線ID集合構造体を記憶する記憶部と、
    第1のユーザの無線ID集合と第2のユーザの無線ID集合の間で近接度を評価する評価部と、
    前記近接度が所定の閾値より小さい場合、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類する分類部とを含むことを特徴とするユーザグルーピング装置。
  2. 前記評価部は、第1のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線IDの読み取り場所と、第2のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線IDの読み取り場所の間で近接度を評価することを特徴とする請求項1に記載のユーザグルーピング装置。
  3. 前記評価部は、前記分類部により同一グループに分類された第1のユーザと第2のユーザに関して、さらに第1のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線IDの読み取り時間と、第2のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線IDの読み取り時間の近接度を評価し、
    前記分類部は、読み取り時間の近接度が所定の閾値よりも大きい場合は、いったん同一グループに分類された第1のユーザと第2のユーザの分類を無効にすることを特徴とする請求項2に記載のユーザグルーピング装置。
  4. 前記評価部は、第1のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線ID関連情報の特徴量と、第2のユーザの無線ID集合に含まれる複数の無線ID関連情報の特徴量の間で近接度を評価することを特徴とする請求項1に記載のユーザグルーピング装置。
  5. ユーザが使用する無線ID管理装置毎に設けられた複数の無線IDの集合のデータ構造体であって、各無線IDには当該無線IDが無線IDタグから無線ID管理装置により読み取られた場所および時間と、当該無線IDに関連づけられた情報である無線ID関連情報とが対応づけられており、前記複数の無線IDが前記読み取り場所を基準として分類され、さらに前記読み取り時間を基準として分類されることにより階層的に構造化された無線ID集合構造体を記憶装置から読み出すステップと、
    第1のユーザの無線ID集合と第2のユーザの無線ID集合の間で近接度を評価するステップと、
    前記近接度が所定の閾値より小さい場合、第1のユーザと第2のユーザを同一グループに分類するステップとを含むことを特徴とするユーザグルーピング方法。
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