JP2008106332A - プラズマcvdによる容器処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属空洞筐体内に発生するプラズマの強さの偏りによる中空容器への成膜処理の不均一を解決し、膜厚や膜質のばらつき少ない成膜処理を行うプラズマCVDによる容器処理装置を得る。
【解決手段】マイクロ波を供給する導波管の側面に、導波管の軸方向に直交する軸を有する筒状の金属空洞筐体の側面が接合され、導波管と金属空洞筐体の接合面に導波管の軸方向のスリットを形成することにより導波管内の空間と金属空洞筐体内の空間を結合し、金属空洞筐体側から前記スリットに平行で前記スリットを塞ぎ金属空洞筐体内を内壁に添って一周する誘電体リングによるマイクロ波の導波路を設置し、導電性を有するガス導入管を金属空洞筐体の筒の軸に平行に設置し、ガス導入管に垂直な平面状の導電性を有する電気接点部を中空容器の下部に設置しガス導入管と金属空洞筐体に電気接続し、中空容器を開口部からガス導入管を差し込んで設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチックや紙を原料とした3次元中空容器、例えばプラスチックボトル、プラスチックカップ、プラスチックトレー、紙容器、紙カップ、紙トレー、その他中空のプラスチック成形品等の表面にマイクロ波プラズマを使用して原料ガスをプラズマ化し加工処理を行うことにより薄膜を形成させる、プラズマCVDによる容器処理装置に関する。
ガラス、金属、紙、プラスチック容器に代表される3次元中空容器は食品や医薬品など様々分野で一般的に利用されている。特にプラスチックの3次元中空容器に関しては、軽量、低コストといったメリットを生かし広く用いられるようになってきている。3次元中空容器には様々な機能が要求されているが、PETボトル容器やプラスチックカップ等のプラスチックの3次元中空容器に対しては内容物保護の面から炭酸ガスや酸素に対するバリア性を持たせる要求がなされている。このため、従来は、特許文献1のように、プラスチックの3次元中空容器に所定の物質をコーティングする技術が開発されてきている。それは、成膜処理槽の金属空洞筐体内に、原料ガスを注入した3次元中空容器を配置して、金属空洞筐体内にマイクロ波を導波管からマイクロ波エネルギーを導入し、そのマイクロ波で原料ガスにプラズマを発生させる。そして、そのプラズマで、中空容器に成膜処理を行うものである。しかし、この技術では、マイクロ波の導入とプラズマの安定化する時間との間にタイムラグがあり、処理の効果が不安定である欠点があった。
そのため、特許文献2では、金属空洞筐体の中に金属製のガス導入管を設置し、そのガス導入管と金属空洞筐体で半同軸円筒共振系を形成しプラズマ発生のタイムラグを短くしていた。
以下に公知文献を記す。
特表2002−509845号公報 特開2004−307981号公報
しかし、特許文献1では、また、特許文献2の技術でも、金属空洞筐体の導波管のTEモードによる電界の影響が残るためにマイクロ波の導入口に近い位置ではプラズマが強くなり、導入口の反対側の金属空洞筐体の位置ではプラズマが弱くなり、中空容器へのプラズマCVDの成膜量が不均一になり、中空容器の場所による膜厚や膜質のばらつきを発生してしまう問題があった。また、特許文献1や特許文献2では、マイクロ波を導波管で分岐することでマイクロ波エネルギーを複数の成膜処理槽の金属空洞筐体に分岐した場合に、マイクロ波の導波管の分岐部品のスペースが必要になり、容器処理装置の大型化を招いてしまう問題があった。
本発明は、金属空洞筐体内に発生するプラズマの強さの偏りを無くすことで中空容器への成膜処理の不均一を解決し、膜厚や膜質のばらつきが少ない成膜処理を行うプラズマCVDによる容器処理装置を提供する。
本発明は、この課題を解決するために、中空容器を処理する容器処理装置が、マイクロ波を供給する導波管の側面に、前記導波管の軸方向に直交する方向に軸を有する筒状の金
属空洞筐体の側面が接合され、前記導波管と前記金属空洞筐体の接合面に前記導波管の軸方向のスリットを形成することにより前記導波管内の空間と前記金属空洞筐体内の空間を結合し、前記金属空洞筐体側から前記スリットに平行で前記スリットを塞ぎ前記金属空洞筐体内を内壁に添って一周する誘電体リングによるマイクロ波の導波路を設置し、導電性を有するガス導入管を前記金属空洞筐体の筒の軸に平行に設置し、前記ガス導入管に垂直な平面状の導電性を有する電気接点部を前記中空容器の下部に設置し、前記ガス導入管を前記電気接点部に電気接続し、前記電気接点部を前記金属空洞筐体に電気接続し、前記中空容器の開口部から前記ガス導入管を差し込んで前記中空容器を前記金属空洞筐体内に設置することを特徴とするプラズマCVDによる容器処理装置である。
また、本発明は、上記マイクロ波の波長をλとし、上記誘電体リングの比誘電率をεrとする場合に、前記誘電体リングの厚さおよび幅がλ/(4√εr)以下であることを特徴とする上記のプラズマCVDによる容器処理装置である。
また、本発明は、上記マイクロ波の波長をλとする場合に、上記金属空洞筐体が上記導波管の軸方向に、λ/2の整数倍±10mmの間隔で複数配置されたことを特徴とする上記のプラズマCVDによる容器処理装置である。
また、本発明は、上記金属空洞筐体が上記導波管の軸を含む平面に対称となるように配置されたことを特徴とする上記のプラズマCVDによる容器処理装置である。
本発明では、導波管の側面からスリットを介して金属空洞筐体にマイクロ波を導入し、そのスリットと金属空洞筐体の内壁に添ってスリットを塞ぐ誘電体リングを設置することで、金属空洞筐体の内部の電磁界を安定させプラズマを安定して発生させる効果がある。それにより、中空容器への成膜処理を均一に行える効果がある。また、本発明では、マイクロ波発振機は各金属空洞筐体毎に設置せずに1つのマイクロ波発振機からマイクロ波を1本の導波管に導入し、その導波管から複数の金属空洞筐体にマイクロ波エネルギーを分岐させるため、装置がコストダウンできる効果がある。その際に、導波管分岐部品を用いずにマイクロ波エネルギーを導波管に空けられたスリットにより供給するので、装置を大型化する事無く、複数の成膜用金属空洞筐体にマイクロ波エネルギーを分配する事を可能にする効果がある。
次に本発明の実施の形態を、図1から図4に基づき、具体的に説明する。
本発明者は、中空容器6をマイクロ波CVDで処理する容器処理装置が、マイクロ波を供給する導波管1を分岐せずに1本のみ用い、複数の金属空洞筐体2にマイクロ波を供給する構造により装置の大型化を避けて装置をコストダウンすることができる以下の構造を発明した。図1および図2のように、マイクロ波発振機8が発生した周波数2.45GHzのマイクロ波を、給電点9から1本の導波管1内に導入し、その導波管1でマイクロ波を伝送する。成膜処理槽である円筒状の金属空洞筐体2を用意し、その金属空洞筐体2を、その筒の軸が導波管1の軸に直交する向きに配置し、その側面を導波管1の側面に接合する。その接合面にスリット3を空けて、導波管1内の空間と金属空洞筐体2内の空間を結合することでマイクロ波を金属空洞筐体2内に導入する。また、図3のように、マイクロ波を供給する1本の導波管1に複数の成膜用金属空洞筐体2を接合させ、金属空洞筐体2と導波管1の接合面にスリット3を空けることにより成膜用金属空洞筐体2を導波管1に結合させ装置の小型化を図る。そして、金属空洞筐体2内の筒の中心軸上に導電性を有する材料からなるガス導入管5を設置し、そのガス導入管5に垂直な平面状の金属メッシュから成る電気接点部7を、設置すべき中空容器6の下部に配置して設置し、ガス導入管5を電気接点部7に電気接続し、電気接点部7を金属空洞筐体2に電気接続し、中空容器6
を、その開口部にガス導入管5を差し込んで金属空洞筐体2内に設置する。これにより、ガス導入管5と金属空洞筐体2とでマイクロ波の同軸導波管を構成させ、金属空洞筐体2内にマイクロ波の同軸導波管の共振モード(TEMモード)を励起させる。ここで、ガス導入管5は、金属空洞筐体2内に金属空洞筐体2の筒の軸にほぼ平行に設置するが、その位置は、その筒の中心軸上から外れた位置に設置しても良い。それは、スリット3の近傍位置と遠方位置でのマイクロ波強度のアンバランスを補正する等の必要に応じて行う。
しかし、単にスリット3で導波管1と金属空洞筐体2を結合するこの構造だけでは、スリット3の近傍の金属空洞筐体2の部分に意図しないプラズマが発生する場合があり、その場合は、マイクロ波がスリット3の部分から反射し、十分な電力を金属空洞筐体2内に供給出来ない問題があることが分かった。この問題は以下のようにして生じたと考える。マイクロ波によりスリット3の開口の間隙に生じる電界は、金属空洞筐体2の内壁面に平行なため、その電界は、金属空洞筐体2の内壁面には垂直になるように急に方向が曲げられ、スリット3の近傍に電界が局在化すると考えられる。そのため、そのスリット3の部分に意図しないプラズマを生じるとともに、マイクロ波を反射したと考える。
鋭意研究の結果、図1のような構造の本発明を得た。すなわち、周波数2.45GHzのマイクロ波を供給する1本の導波管1に接合する金属空洞筐体2と導波管1の接合面に、導波管1の軸方向に細長いスリット3を空けることで、導波管1内の空間と金属空洞筐体2内の空間を結合する。金属空洞筐体2は円筒状であり、その筒の軸を導波管1の軸に直交させ設置する。この場合、スリット長Lを変えることで、金属空洞筐体2に導入されるマイクロ波のエネルギーが変わる。スリット長Lがマイクロ波の波長λの1/2の長さ(λ/2)のスリット3を空けた場合に、金属空洞筐体2へ導入されるマイクロ波のエネルギーが最も大きくなる。プラズマCVDで用いられる周波数2.45GHzではλは122.4mmである。本装置では複数の金属空洞筐体2を導波管1に接続してマイクロ波を供給するため、導波管1と金属空洞筐体2の結合の大きさをスリット長Lにより調整する。スリット長Lは金属空洞筐体2の接続位置によって異ならせ、スリット長Lはλ/2±10mmの範囲内の値に設定する。
次に、図4のように、このスリット3に接してスリット3を塞ぐよう、スリット3に平行な輪を有する誘電体リング4を、その輪を金属空洞筐体2の内壁に接して設置する。すなわち、この誘電体リング4を、金属空洞筐体2の内壁に接し、金属空洞筐体2の筒の軸のまわりに回転対称に設置することで、金属空洞筐体2の内壁に添って一周するマイクロ波の導波路を形成させる。この誘電体リング4により、従来の、スリット3の部分に意図しないプラズマが発生する不具合を解消する効果があり、スリット3の部分からのマイクロ波エネルギーの反射量を低減する効果があった。
この誘電体リング4の効果は、スリット3の部分で導波管1のマイクロ波の電磁界に誘電体リング4が結合し、マイクロ波のエネルギーが先ず誘電体リング4内に導入されることで得られると考える。すなわち、スリット3を塞ぐ誘電体リング4を設置することで、スリット3の開口での電界は誘電体リング4に導入されるのみで金属空洞筐体2には侵入させない。これにより、スリット3の近傍での意図しないプラズマ発生を防ぐことができる。次に、そのマイクロ波は、誘電体リング4の輪の内部を、誘電体リング4の表面で反射しつつ伝送し、この誘電体リング4はマイクロ波の導波路になる。金属空洞筐体2の内壁面に接する誘電体リング4内を伝送するマイクロ波は、金属空洞筐体2の内壁面から水平な方向の電界を発生して誘電体リング4内を伝送する。このマイクロ波の電界により誘電体リング4の周方向に磁界の渦が発生するため、マイクロ波が、誘電体リング4の各部分から金属空洞筐体2内に漏れ出して導入され、そのマイクロ波が金属空洞筐体2内にプラズマを発生する。このように、誘電体リング4が、マイクロ波を金属空洞筐体2内に効率良く導入することで、金属空洞筐体2に効率良くプラズマが発生させられ、効率良くマ
イクロ波エネルギーが消耗され、スリット3の部分からの反射が低減できる効果があった。
また、金属空洞筐体2内では、この誘電体リング4を金属空洞筐体2の筒の軸に関して回転対称な形に設置した。それにより、金属空洞筐体2内に、その金属空洞筐体2の軸に関して回転対称な電磁界を安定に生じさせる効果がある。誘電体リング4は、その各部から金属空洞筐体2内にマイクロ波を導入し、金属空洞筐体2内へのマイクロ波の供給部が金属空洞筐体2の軸に関して回転対称な誘電体リング4の全体に分散されてマイクロ波が供給されるので、金属空洞筐体2内に発生する電磁界をその軸に関して回転対称な形に安定させる。そして、その電磁界によりプラズマを、金属空洞筐体2の軸に対して回転対称で安定して偏り無く発生させる効果がある。すなわち、金属空洞筐体2へのマイクロ波の導入部分のスリット3の部分の近くに発生するプラズマと、スリット3から遠い位置に発生するプラズマの強さの違いを少なくしプラズマの強さの場所による偏りを低減できる効果がある。
本装置で使用する誘電体リング4は、その厚さaをλ/(4√εr)以下にし、リング幅bをλ/(4√εr)以下に形成した。ここで、εrは、誘電体リング4の材質の比誘電率である。これにより、この誘電体リング4がマイクロ波を良く伝送する導波路になる。この条件の誘電体リング4は、スリット3の部分に発生するプラズマを抑制でき、マイクロ波のスリット3の部分からの反射量を小さくできる効果があった。誘電体リング4に使用する誘電体材はマイクロ波を透過する物を使用するが、マイクロ波による発熱を抑える為に誘電損失の小さな石英ガラスやポリテトラフルオロエチレンといった材質がより好ましい。特に、耐熱性に優れる石英ガラスが最も望ましい。2.45GHzにおける石英ガラスの比誘電率εrは3.8であり、この場合の誘電体リング4の幅の上限の値を与えるλ/(4√εr)の値はおおむねλ/8になる。
また、後に説明する実施例の実験の結果、スリット3と誘電体リング4の位置は、金属メッシュから成る電気接点部7の上面からn×λ/2±10mm(nは整数)の高さhに設置する場合に安定してプラズマが発生できることがわかった。
導波管1に複数の金属空洞筐体2を接合する場合、図3のように、2つの金属空洞筐体2を導波管1の軸を含む平面に対して対称な位置に配置し、金属空洞筐体2を導波管1に接合する間隔は、mを整数とし、m×λ/2±10mmの間隔に配置する。これにより効率的にマイクロ波エネルギーが各金属空洞筐体2に分配される効果がある。
次に、以下のようにして成膜する。薄膜を形成するためのPETボトル容器やプラスチックカップ等の中空容器6を金属空洞筐体2内部に設置して、金属空洞筐体2内を減圧する。次に、原料ガスをガス導入管5の側面及び天面に空けられた穴からコーティング対象容器の中空容器6内に注入する。中空容器6内の真空度を調整した状態で、マイクロ波発振機8が発生させたマイクロ波エネルギーを1本の導波管1に伝送させ、それから金属空洞筐体2内に導入する。このマイクロ波エネルギーが金属空洞筐体2内の中空容器6内の原料ガスにプラズマを発生させ中空容器6の内壁面に薄膜を形成する。
本装置によるプラズマ処理を行う容器はプラスチックや紙等の3次元中空容器を対象としている。ここでは、中空容器6としてポリエチレンテレフタレート等のポリエステル材料を原料とした容量500ml平均肉厚0.5mmのPETボトル容器を対象に、プラズマ助成式化学蒸着法(PECVD法)により容器内面に薄膜を成膜した実施例を以下に示す。この実施例及び比較例の共通条件は以下の通りである。
<共通条件>
(1)金属空洞筐体2の内径:100mm
(2)導波管1と金属空洞筐体2の結合部のスリット長L:61mm
(3)マイクロ波発振機の周波数:2.45GHz(マイクロ波の波長λ=122.4mm)
(4)中空容器の種類: 500ml PETボトル。
(5)誘電体リング4の材質は石英ガラス(εr=3.8)を用いた。この誘電体リング4は、その厚さaをλ/(4√εr)以下、すなわち15.7mm以下、である8mmに形成し、リング幅bを15.7mm以下の10mmに形成した。すなわち、誘電体リング4の形は、厚さ8mm、内径100mm、外径120mmのリング形状に加工した物を使用した。
図1〜4のように金属空洞筐体2の内部の円筒状の空間に、その筒の中心軸上に導電性を有する材料で構成されたガス導入管5を配置した。ガス導入管5は、金属空洞筐体2の金属メッシュから成る電気接点部7に電気接続して設置し、その電気接点部7を金属空洞筐体2に電気接続して設置した。金属空洞筐体2の金属メッシュは、2〜10mm程度の厚みの金属で形成した。金属空洞筐体2の内壁の円筒状の空間の内径はマイクロ波の同軸高次モードの共振を発生しないように120mm以下に設定した。特に、その金属空洞筐体2の内壁の内径は、コーティング対象の中空容器6のPETボトル容器を容易に出し入れすることを可能にするための値の範囲の90〜110mmに設定した。同様に円筒空間の高さについても中空容器6を入れるに十分な値の範囲の150〜250mmに設定した。ガス導入管5の長さは原料ガスが中空容器6内部に均一に供給されるために中空容器6の底面とガス導入管5の先端部分の間隙を5〜30mmの範囲の値にすることが望ましい。プラズマ処理を行う際にガス導入管5を固定している電気接点部7の金属メッシュの穴から気体を排出するようにし、金属空洞筐体2内部をプラズマ発生に最適な減圧環境に保った。なお、気体は電気接点部7以外の個所から排出するようにして電気接点部7を金属板で形成することも可能である。
薄膜形成を行うための原料ガスは、主ガスとしてヘキサ・メチル・ジ・シロキサン(以下HMDSOと記載)またはテトラ・メチル・ジ・シロキサンなどを用いることが可能であり、サブガスとして酸素、窒素といったものを用いた。これらの原料ガスはガス導入管5の側面及び天面に空けられた穴から中空容器6の内部に供給される。上記の原料ガスを使用して形成される薄膜は、いわゆるセラミック層SiOxCy(x=1〜2.2、y=0.3〜3)を主成分とするものである。
次に成膜プロセスについて以下に示す。薄膜を形成するための中空容器6を金属空洞筐体2内に設置して、金属空洞筐体2内部を1.333Pa(パスカル)まで真空装置で吸引して減圧環境を保つ。次に中空容器6の内壁面に炭酸ガスや酸素に対するバリア性の薄膜コーティングを行うための原料ガスHMDSOをガス導入管5から、流量10ml/分にて、かつ酸素の流量を50ml/分にて注入し、中空容器6内の真空度を13.33Paの真空圧力に調整した。その状態において、マイクロ波発振機8からマイクロ波エネルギーを金属空洞筐体2内に約5秒間にわたり供給した。このときマイクロ波発振機8から供給されるマイクロ波の周波数は2.45GHz、1つの金属空洞筐体2あたりに供給する電力を300〜400Wの値に設定した。導波管1に入力されたマイクロ波エネルギーはスリット3を通して金属空洞筐体2の内部に供給された原料ガスにプラズマを発生させ薄膜の形成を行った。
<実施例1>
実施例1では、スリット3の高さhは、金属メッシュから成る電気接点部7の上面からλ/2+2mm=63mmの高さhに設置した。以下に、実施例1で設定した条件を記す。
(実施例1の条件)
(1)スリット高さh: 63mm=λ/2+2mm
(2)金属空洞筐体: 1台のみ接続(配置を図5に示す)
(3)入力電力: 350W
表1に実験結果を示す。実施例1の実験の結果、中空容器6内に良好にプラズマが発生され、中空容器6の酸素のバリア性も良好な値を示した。
<実施例2>
実施例2では、スリット3を実施例1と同じ高さhに設置し、2台の金属空洞筐体2を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続した。以下に、実施例2で設定した条件を記す。
(実施例2の条件)
(1)スリット高さh: 63mm=λ/2+2mm
(2)金属空洞筐体: 2台を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続(配置を図6に示す)
(3)入力電力: 750W
表1に実験結果を示す。実施例2の実験の結果、2台の金属空洞筐体2それぞれの中空容器6内に良好にプラズマが発生され、中空容器6の酸素のバリア性も良好な値を示した。
<実施例3>
実施例3では、スリット3の高さhは、金属メッシュから成る電気接点部7の上面からλ+1mm=123mmの高さhに設置した。また、2台の金属空洞筐体2を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続した。以下に、実施例3で設定した条件を記す。
(実施例3の条件)
(1)スリット高さh: 123mm=λ+1mm
(2)金属空洞筐体: 2台を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続(配置を図6に示す)
(3)入力電力: 750W
表1に実験結果を示す。実施例3の実験の結果、2台の金属空洞筐体2それぞれの中空容器6内に良好にプラズマが発生され、中空容器6の酸素のバリア性も良好な値を示した。
<比較例1>
比較例1では、スリット3の高さhは、金属メッシュから成る電気接点部7の上面から0.27λ=33mmの高さhに設置した。以下に、比較例1で設定した条件を記す。
(比較例1の条件)
(1)スリット高さh: 33mm=0.27λ
(2)金属空洞筐体: 1台のみ接続(配置を図5に示す)
(3)入力電力: 350W
表1に実験結果を示す。比較例1の実験の結果、中空容器6内部のプラズマが安定せず、中空容器6の酸素のバリア性が不十分な値であった。
<比較例2>
比較例2では、スリット3の高さhは、金属メッシュから成る電気接点部7の上面から0.76λの高さhに設置した。すなわち、0.76λ=93mmの高さhに設置した。また、2台の金属空洞筐体2を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続した。以下に、比較例2で設定した条件を記す。
(比較例2の条件)
(1)スリット高さh: 93mm=0.76λ
(2)金属空洞筐体: 2台を、導波管1の軸に対して対称な位置に接続(配置を図6に示す)
(3)入力電力: 750W
表1に実験結果を示す。比較例2の実験の結果、2台の金属空洞筐体2それぞれの中空容器6内部のプラズマが安定せず、中空容器6の酸素のバリア性が不十分な値であった。
<比較例3>
比較例3では、共通条件としていた誘電体リング4を金属空洞筐体2に設置しなかった場合を示す。それ以外の条件のスリット3の高さh等は実施例1と同じにした。以下に、比較例3で設定した条件を記す。
(比較例3の条件)
(1)スリット高さh: 63mm=λ/2+2mm
(2)金属空洞筐体: 1台のみ接続(配置を図5に示す)
(3)入力電力: 350W
(4)誘電体リング: なし
比較例3の場合は、スリット3から反射し導波管1を逆行するマイクロ波の反射電力が大きくなった。そして、金属空洞筐体2の内部のプラズマ発生の状態を観察すると、中空容器6内部のプラズマ発生は認められず、金属空洞筐体2内のスリット3の近傍の部分にプラズマが発生している事が確認された。その結果、中空容器6はガスバリア性を持たなかった。この比較例3と実施例1を比べることで、本発明の誘電体リング4がプラズマを安定させる効果があることがわかった。
(表1:実験結果)
酸素のバリア性
スリット高さh (fmol/ Pa/s/m2
実施例1 63mm=λ/2+2mm 0.92
実施例2 63mm=λ/2+2mm 1.07
実施例3 123mm=λ+1mm 1.11
比較例1 33mm=0.27λ 13.1
比較例2 93mm=0.76λ 14.8
以上の実験の結果、スリット3と誘電体リング4の位置は、金属メッシュから成る電気接点部7の上面からn×λ/2±10mm(nは整数)の位置に設置する場合に、本発明が安定してプラズマを発生することがわかった。
本発明の、プラズマCVDによる容器処理装置の概略の縦断面を示す側面図である。 本発明の、プラズマCVDによる容器処理装置の概略の横断面を示す平面図である。 本発明の、プラズマCVDによる容器処理装置に複数の金属空洞筐体の配置の概略を示す平面図である。 本発明の、プラズマCVDによる容器処理装置のスリットと誘電体リングの部分を示す断面図である。 本発明の実施例1と比較例1、及び比較例3の、プラズマCVDによる容器処理装置における金属空洞筐体の配置の概略を示す平面図である。 本発明の実施例2と実施例3、及び比較例2の、プラズマCVDによる容器処理装置における複数の金属空洞筐体の配置の概略を示す平面図である。
符号の説明
1・・・導波管
2・・・金属空洞筐体
3・・・スリット
4・・・誘電体リング
5・・・ガス導入管
6・・・中空容器
7・・・電気接点部
8・・・マイクロ波発振機
9・・・給電点

Claims (4)

  1. 中空容器を処理する容器処理装置が、マイクロ波を供給する導波管の側面に、前記導波管の軸方向に直交する方向に軸を有する筒状の金属空洞筐体の側面が接合され、前記導波管と前記金属空洞筐体の接合面に前記導波管の軸方向のスリットを形成することにより前記導波管内の空間と前記金属空洞筐体内の空間を結合し、前記金属空洞筐体側から前記スリットに平行で前記スリットを塞ぎ前記金属空洞筐体内を内壁に添って一周する誘電体リングによるマイクロ波の導波路を設置し、導電性を有するガス導入管を前記金属空洞筐体の筒の軸に平行に設置し、前記ガス導入管に垂直な平面状の導電性を有する電気接点部を前記中空容器の下部に設置し、前記ガス導入管を前記電気接点部に電気接続し、前記電気接点部を前記金属空洞筐体に電気接続し、前記中空容器の開口部から前記ガス導入管を差し込んで前記中空容器を前記金属空洞筐体内に設置することを特徴とするプラズマCVDによる容器処理装置。
  2. 前記マイクロ波の波長をλとし、前記誘電体リングの比誘電率をεrとする場合に、前記誘電体リングの厚さおよび幅がλ/(4√εr)以下であることを特徴とする請求項1記載のプラズマCVDによる容器処理装置。
  3. 前記マイクロ波の波長をλとする場合に、前記金属空洞筐体が前記導波管の軸方向に、λ/2の整数倍±10mmの間隔で複数配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマCVDによる容器処理装置。
  4. 前記金属空洞筐体が前記導波管の軸を含む平面に対称となるように配置されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のプラズマCVDによる容器処理装置。
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