JP2008106224A - 窒素含有合金、及びそれを使用した蛍光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光体原料を窒素含有雰囲気下で加熱する工程を有する蛍光体の製造方法であって、蛍光体原料の一部又は全部として、蛍光体を構成する金属元素を2種以上有する合金を使用し、かつ、前記加熱工程において1分間当たりの温度変化が50℃以内となる条件下で加熱する蛍光体の製造方法。原料の一部又は全部として蛍光体原料用合金を用いて蛍光体を製造する際の加熱処理中の急激な窒化反応の進行を抑制することができ、よって、高特性、特に高輝度な蛍光体を工業的に生産することが可能となる。
【選択図】図1
Description
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物蛍光体のみであり、酸素を含まない窒化物蛍光体は得られていない。
また、前記の蛍光体の製造方法に用いることのできる、窒素含有合金を提供することも目的とする。
1)前記蛍光体原料用合金の一部又は全部が、全金属元素含有率が97重量%以下で
ある窒素含有合金である
2)前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度
までの温度域における昇温速度を9℃/分以下とする
3)前記蛍光体原料として、前記蛍光体原料用合金と共に、前記蛍光体を構成する金属
元素を1種又は2種以上含有する窒化物又は酸窒化物を用いる
4)前記蛍光体原料用合金として、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を
用いる
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A]
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金の窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、製造される蛍光体の窒素含有率(重量%)を表す。)
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金の窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の窒素含有率(重量%)を表す。)
また、本発明によれば、蛍光体原料として優れている、窒素含有合金を提供することも可能となる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、合金とは2種以上の金属の固溶体、共晶、金属間化合物、及びこれらが共存するものも含むものとし、非金属元素を含んでいてもよいものとする。
本発明の蛍光体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある。)は、蛍光体原料を窒素含有雰囲気下で加熱する工程を有する蛍光体の製造方法であって、蛍光体原料の一部又は全部として、蛍光体を構成する金属元素を2種以上有する合金(以下、「蛍光体原料用合金」と称す。)を使用するものである。
温度変化(℃/分)
= 時刻T分での温度 − 時刻(T−1)分での温度 …[B]
また、前記式[B]では、1分間当たりの温度変化について規定しているが、温度の測定間隔に特に制限はなく、例えば、10分間当たりの温度変化の範囲としては、通常100℃以内、好ましくは80℃以内、より好ましくは50℃以内である。10分間当たりの温度変化の範囲の下限に特に制限はないが、通常0.5℃以上である。
なお、この焼成容器の側壁温度は、加熱工程中、急激な発熱が起こらない場合には、炉内温度とほぼ一致する。従って、前記式[B]の値が炉内温度の変化等より大きくなる場合、通常、急激な発熱反応が起きていることを意味する。
なお、下記1)〜4)の詳細については、後述する。
ある窒素含有合金である
2)前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度
までの温度域における昇温速度を9℃/分以下とする
3)前記蛍光体原料として、前記蛍光体原料用合金と共に、前記蛍光体を構成する金属
元素を1種又は2種以上含有する窒化物又は酸窒化物を用いる
4)前記蛍光体原料用合金として、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を
用いる
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A]
本発明の製造方法が上記1)〜4)のうちいずれか1つ以上を満たす場合は、上記1)〜4)をいずれも満たさない場合と比較して、前記式[A]の値が大きい場合でも高特性の蛍光体を得ることができる。具体的な数値範囲は以下の通りである。
また、本発明の製造方法が上記1)及び上記2)を満たす場合は、前記式[A]の値を、通常0.35以上、中でも0.45以上、また、通常0.95以下、中でも0.8以下の範囲とすることが、得られる蛍光体の特性、及び生産性の観点から好ましい。
また、本発明の製造方法が上記1)及び上記3)を満たす場合は、前記式[A]の値を、通常0.35以上、中でも0.45以上、また、通常0.6以下、中でも0.4以下の範囲とすることが、得られる蛍光体の特性、及び生産性の観点から好ましい。
また、本発明の製造方法が上記1)及び上記4)を満たす場合は、前記式[A]の値を、通常 0.1以上、中でも0.2以上、また、通常0.8以下、中でも0.6以下の範囲とすることが、得られる蛍光体の特性、及び生産性の観点から好ましい。
蛍光体原料の質量(g)×比熱/
{(焼成容器の質量(g)×比熱)+(蛍光体原料の質量(g)×比熱)} …[A']
蛍光体原料の組成によって、さらには、蛍光体原料として後述する窒素含有合金や、窒化物及び/又は酸窒化物を用いることによって、蛍光体原料の比熱が異なってくることから、好ましい前記式[A']の値も変動するが、前記式[A']の値は、通常0.05以上、中でも0.1以上、また、通常0.9以下、中でも0.75以下とすることが好ましい。
上記1)〜4)についても併せて詳細に説明する。
即ち、まず、原料となる金属やその合金を秤量する(原料秤量工程)。そして、これらの原料を融解させて(融解工程)合金化して蛍光体原料用合金を製造する。その後、蛍光体原料用合金を窒素含有雰囲気下で加熱することにより窒化を行なう(加熱工程。また、適宜、「二次窒化工程」ともいう。)。また、これらの工程に加え、必要に応じて鋳造工程、粉砕工程、分級工程、一次窒化工程、冷却工程などを行なってもよい。
なお、蛍光体原料用合金としては、目的とする組成の蛍光体が得られればよく、1種又は2種以上の蛍光体原料用合金を用いることができる。
上記2)を満たすためには、二次窒化工程における昇温速度を調整すればよい。
上記3)を満たすためには、二次窒化工程において後述の酸化物又は酸窒化物を混合すればよい。
上記4)を満たすためには、粉砕工程において、後述の(a)〜(c)の工程を有する方法(例えば、ガスアトマイズ法)を採用することにより、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を得るか、二次窒化工程において安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を用いて行えばよい。
{原料の秤量}
本発明の蛍光体の製造方法を用いて、例えば、後掲の一般式[1]で表される組成を有する蛍光体を製造する場合、下記一般式[3]の組成となるように、原料となる金属やその合金(以下、単に「原料金属」と言う場合がある。)を秤量して蛍光体原料用合金を製造することが好ましい。
M1 aM2 bM3 cM4 d …[3]
(但し、M1、M2、M3、M4、a、b、c、dはそれぞれ後掲の一般式[1]におけると同義である。)
原料の秤量後、当該原料を融解させて合金化して蛍光体原料用合金を製造する(融解工程)。得られる蛍光体原料用合金は、本発明で製造される蛍光体(以下「本発明の蛍光体」と称する場合がある。)を構成する金属元素を2種以上含有するものである。なお、本発明の蛍光体を構成する金属元素を1つの蛍光体原料用合金が全て含有していなくても、後述の一次窒化工程又は二次窒化工程において、2種以上の合金及び/又は金属を併用することにより、本発明の蛍光体を製造することができる。
そこで、本発明では、Siの原料(即ち、Si及び/又はSiを含む合金)を先に融解させて、その後、アルカリ土類金属原料(即ち、アルカリ土類金属及び/又はアルカリ土類金属を含む合金)を融解することが好ましい。これにより、アルカリ土類金属の原料とSiの原料とをともに融解させることが可能である。さらに、このようにSiの原料を融解した後でアルカリ土類金属の原料を融解することにより、得られる蛍光体原料用合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解する。
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属とを含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱及び/又は攪拌して混合を促進しても良い。
アルカリ土類金属元素を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解法が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は105Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することは困難であるため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
i)Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を高周波により融解させることにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
付活元素M1を均一に分散させるため、また、付活元素M1の添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素M1の原料金属を融解させることが好ましい。
(1) Siと3価の金属元素M3との母合金を製造する。この際、好ましくはSiと3
価の金属元素M3とは、一般式[3]におけるSi:M3比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素M1を融解させる。
また、原料の融解時の雰囲気は蛍光体原料用合金が得られる限り任意であるが、不活性ガス雰囲気が好ましく、中でもアルゴン雰囲気が好ましい。なお、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、原料の融解時の圧力は蛍光体原料用合金が得られる限り任意であるが、1×103Pa以上が好ましく、1×105Pa以下が好ましい。更に、安全性の面から、大気圧以下で行なうことが望ましい。
原料の融解により蛍光体原料用合金が得られる。この蛍光体原料用合金は通常は合金溶湯として得られるが、この合金溶湯から直接蛍光体を製造するには技術的課題が多く存在する。そのため、この合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体(以下適宜、「合金塊」という)を得ることが好ましい。
加熱工程に先立ち、蛍光体原料用合金は、所望の粒径の粉末状にすることが好ましい。そこで、鋳造工程で得られた合金塊は、次いで粉砕することにより(粉砕工程)、所望の粒径、粒度分布を有する蛍光体原料用合金粉末(以下、単に「合金粉末」と称する場合がある。)とすることが好ましい。
この粉砕工程は、必要に応じて、粗粉砕工程、中粉砕工程、微粉砕工程等の複数の工程に分けてもよい。この場合、全粉砕工程を同じ装置を用いて粉砕することもできるが、工程によって使用する装置を変えてもよい。
上述したようにして得られた合金粉末は、例えば、バイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置;エアセパレータ等の慣性分級装置;サイクロン等の遠心分離機などを使用して、前述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整(分級工程)してから、これ以降の工程に供することが好ましい。
また、QDの値は、特に制限はないが、通常0.59以下である。ここで、QDとは、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、QD=(D75−D25)/(D75+D25)と定義する。QDの値が小さいことは粒度分布が狭いことを意味する。
本発明においては、上述のようにして得られた蛍光体原料用合金(ここで、蛍光体原料用合金は、粉末状であっても塊状であってもよいが、前述の蛍光体原料用合金粉末であることが好ましい。)、及び/又は後述する窒素含有合金を窒素含有雰囲気中で加熱することにより窒化する。加熱工程では、後述の二次窒化工程を必須とし、必要に応じて下記の一次窒化工程を行う。
本発明の蛍光体を工業的に効率よく製造する観点から、上記1)を満たす製造方法としたい場合には、必要に応じて、二次窒化工程の前に一次窒化工程を行なう。この一次窒化工程は、合金粉末(但し、粒状、塊状の合金であってもよい。)を窒化することで、後述する窒素含有合金を製造する工程である。具体的には、窒素含有雰囲気下、所定の温度域で所定の時間、合金粉末を加熱することにより、予備的に窒化を行なう工程である。このような一次窒化工程の導入により、後述する二次窒化工程における合金と窒素との反応性を制御することができ、合金から蛍光体を工業的に生産することが可能となる。
(一次窒化工程後の窒素含有合金の重量−一次窒化工程前の合金粉末の重量)
/一次窒化工程前の合金粉末の重量×100 …[4]
後述する二次窒化工程の反応条件、合金粉末の組成等によっても異なるが、上記式[4]で求められる合金粉末の重量増加率が、通常0.5重量%以上、中でも1重量%以上、特に5重量%以上となるように反応条件を調整することが好ましい。また、重量増加率の上限に特に制限はないが、理論上、通常40重量%以下、好ましくは31重量%以下となる。合金粉末の重量増加率を上記の範囲内となるように調整するために、一次窒化工程を2回以上繰り返し行なうこともできる。一次窒化工程を繰り返して行なう場合、その回数に特に制限はないが、製造コストを考えると、通常3回以下、中でも2回以下が好ましい。
なお、生産性の観点から回分方式よりも連続方式で行なうことが好ましい。即ち、一次窒化工程を連続方式で行なう場合、回分方式と比較してより高濃度の窒素を流通させ、より高温、より短時間で加熱することが好ましい。
(装置の形式)
一次窒化工程を連続方式で行なう場合、例えば、ロータリーキルン、トンネル炉、ベルト炉、流動焼成炉等の装置を用いることが可能であり、中でも、ロータリーキルンを用いることが好ましい。
ロータリーキルン方式を用いる場合、窒素含有ガスを流通させた耐火性の円筒形炉心管を回転させながら合金粉末を加熱する。炉心管を傾斜させ、合金粉末を連続供給することにより、連続処理が可能となる。ロータリーキルンを用いると、加熱中に合金粉末を攪拌することができることから、合金粉末同士の融着を抑制し、気固の接触効率を向上させることが可能である。その結果、加熱時間の短縮、かつ、均一な窒化処理を実現することができる。ロータリーキルンとしては、雰囲気ガスが流通可能な構造であるものが好ましく、さらには、合金粉末の滞留時間及び投入速度が制御できるものが好ましい。
なお、縦型炉を用いて、合金粉末を窒素雰囲気中で落下させながら、窒化させても良い。
連続方式で用いる装置において、焼成容器、炉心管等の合金粉末と接触する部品の材質は窒素含有合金が得られる限り任意であるが、例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、黒鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、モリブデン、タングステン等を用いることができる。使用時の温度がおおよそ1100℃以下の場合は、石英も用いることができる。これらの中でも、炉心管の材質としては、酸化アルミニウム、窒化ホウ素が特に好ましい。なお、前記材質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
加熱時の雰囲気は、窒素元素を含有することを必須とし、窒素ガスと窒素以外の不活性ガスとを混合したガスを流通させることが好ましく、中でも、窒素と、アルゴン等の希ガス類元素とを混合したガスを流通させることが好ましい。これは、窒素ガスに不活性ガスを混合することで反応速度を制御することができるからである。なお、前記の不活性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
連続方式の場合、単位時間あたり所定量の合金粉末が装置内に供給されるようにすることが好ましい。また、供給された合金粉末を所望の程度まで窒化するためには、少なくとも、単位時間あたり理論上必要な量の窒素を装置内に供給する。具体的には、単位時間あたり供給される合金粉末の重量に対し、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、上限には特に制限はないが、通常200重量%以下の窒素を含有する窒素含有雰囲気ガスが装置内に供給されることが好ましい。
なお、上記の窒素含有の雰囲気ガスの流通方向は合金粉末の供給方向に対し、向流であっても併流であっても構わないが、通常、向流とする。
加熱温度は窒素含有合金が得られる限り任意であるが、通常は蛍光体原料用合金の融点より150℃低い温度以上、好ましくは蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度以上、また、通常は蛍光体原料用合金の融点より10℃低い温度以下の温度範囲で加熱するとよい。より具体的な加熱温度としては、合金の組成によっても異なるが、例えば、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、また通常2500℃以下、好ましくは1500℃以下である。加熱温度が低すぎると窒化反応の進行が不充分となる傾向にあり、一方、温度が高すぎると炉心管への合金粉末の付着が多くなる傾向がある。なお、ここで加熱温度は、加熱時の炉心管温度を指している。
(装置の形式)
一次窒化工程を回分方式で行なう場合、例えば、管状炉、一般的な雰囲気加熱炉、ロータリーキルン等を用いることができる。具体的操作としては、通常、合金粉末を耐火性の焼成容器(トレイやルツボ等)に充填してから装置内にて加熱を行なう。
合金粉末を充填する焼成容器の形状は窒素含有合金が得られる限り任意であるが、焼成雰囲気と合金粉末との接触効率が高くなるように、密閉構造でなく、かつ、充填層高が高すぎないものが好ましい。充填層高は、通常30mm以下、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、また、通常3mm以上、好ましくは5mm以上である。充填層高が高すぎると窒化反応が均一に進行しないことがあり、一方、充填層高が低すぎると生産性が低下することがあるからである。
加熱時の雰囲気は、窒素雰囲気と不活性ガス雰囲気とを混合した雰囲気であることが好ましく、中でも、窒素と、アルゴン等の希ガス類元素とを混合した雰囲気であることが好ましい。これは、窒素雰囲気に不活性ガス雰囲気を混合することで反応速度を制御することができるからである。なお、前記の不活性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
加熱温度は窒素含有合金が得られる限り任意であるが、通常は蛍光体原料用合金の融点より150℃低い温度以上、好ましくは蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度以上、また、通常は蛍光体原料用合金の融点以下、好ましくは蛍光体原料用合金の融点より10℃低い温度以下、より好ましくは蛍光体原料用合金の融点より50℃低い温度以下で加熱するとよい。より具体的な加熱温度としては、合金組成によっても異なるが、例えば、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、また、通常2500℃以下、好ましくは1500℃以下である。加熱温度が低すぎると、一次窒化工程が完了するまでに長時間を要する傾向にあり、場合によっては窒化の進行が不完全となることがある。一方、加熱温度が高すぎると、一次窒化工程において窒化反応の制御が困難となり、窒化の進行が不均一となることがある。また、蛍光体原料用合金の融点付近の温度で加熱を行なうと、合金粉末が容器に付着したり、合金粒子が融着したりして窒素との接触効率が低下する傾向にある。なお、ここで加熱温度とは、加熱時の炉内温度を指している。
本明細書において、窒素含有合金とは、上述の一次窒化工程終了後の合金のことを指す。
窒素含有合金は本発明の蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有するものである。また、窒素含有合金は、金属元素以外の成分として主として窒素を含有する。窒化の程度を表す指標の一つとして、下記式[5]で求められる全金属元素含有率(重量%)を用いることができる。この全金属元素含有率が小さいほど、窒化が進んでいることを示す。
全金属元素含有率(重量%)
=100−{(一次窒化工程後の窒素含有合金の重量−一次窒化工程前の合金の重量)
/一次窒化工程後の窒素含有合金の重量}×100 …[5]
窒素含有合金の窒素含有率(重量%)
= (窒素含有量/窒素含有合金の重量)× 100 …[6]
尚、上記式[6]で求められる窒素含有率が10重量%以上、好ましくは12重量%以上である窒素含有合金を蛍光体原料として用いると、後述の二次窒化工程において発熱を抑制する効果が大きく、上記式[A]の値に関わらず、高特性の蛍光体を製造できる傾向にあり、特に好ましい。
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金の窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、製造される蛍光体の窒素含有率(重量%)を表す。)
窒素含有合金の酸素含有率(重量%)
= (酸素含有量/窒素含有合金の重量)×100 …[8]
一次窒化工程を行なった場合、一次窒化工程終了後、二次窒化工程の前に、一次窒化工程で得られた窒素含有合金からなる合金粉末を一旦冷却してもよい(冷却工程)。
雰囲気中の酸素濃度は、通常5体積%以下、好ましくは4体積%以下、また、通常0.1ppm以上である。酸素濃度が高すぎると、酸化される可能性があるので注意を要する。
このような一次窒化工程を導入すると、後述する二次窒化工程における原料合金と窒素との反応性を制御することができる。その他の条件によっても異なるが、一次窒化工程を行わない場合と比較して、一度に製造できる蛍光体の量を1.5倍以上、好ましくは2倍以上に増やすことができる。
二次窒化工程においては、蛍光体原料に対して窒化処理を施すことにより、蛍光体を得る。この際、蛍光体原料としては、一次窒化工程を経ていない蛍光体原料用合金(好ましくは、その合金粉末)を用いてもよく、一次窒化工程により得られた窒素含有合金(好ましくは、その合金粉末)を用いてもよく、両者を併用してもよい。ただし、工業的な生産性の観点から、窒素含有合金の合金粉末のみ、又は、蛍光体原料用合金の合金粉末と窒素含有合金の合金粉末との混合物に対して窒化処理を施すことが好ましい。更に、前記混合物に対して窒化処理を施す場合、当該混合物中の窒素含有合金粉末の割合が20重量%以上となるようにすることが好ましい。また、全金属元素含有率が97重量%以下の窒素含有合金であることが好ましく(前記1)に相当する。)、特に蛍光体原料用合金の一部又は全部が、窒素含有率10重量%以上の窒素含有合金であることが好ましい。窒素含有合金の量ないしは窒素含有合金の窒素含有率が少なすぎると一次窒化工程を行なったことの利点が十分に得られない可能性があるからである。
また、加熱開始前に、焼成装置内に窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換することが好ましい。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
このように蛍光体原料に対して窒化処理することにより、窒化物又は酸窒化物を母体とする本発明の蛍光体を得ることができる。
しかしながら、蛍光体原料用合金、窒素含有合金等の合金を原料として蛍光体を工業的に生産する場合においては、昇温速度が速いと、窒化時の発熱により合金粉末が溶融し、合金粒子同士が融着し、内部まで窒素ガスが侵入できず、合金粒子の内部まで窒化反応が進行しない場合がある。このため、得られる蛍光体の輝度が低下する傾向にあり、場合によっては発光しない場合もある。
一方で、蛍光体、特に窒化物蛍光体の合成は、高温高圧下で反応を行なうため、通常は高価な反応装置を使用することになる。そのため、一回あたりの蛍光体原料の充填量を増やすことがコスト低減のためには望まれる。
ここで、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度とは、おおよそ、窒化が開始される温度を意味する。また、該融点より30℃低い温度から該融点までの温度域では、窒化反応が急激に進行するため、昇温速度による窒化反応の進行の制御は困難であることが多い。
なお、前記の融点より100℃低い温度から融点より30℃低い温度までの温度域の温度とは、加熱処理の際の炉内温度、即ち、焼成装置の設定温度をさす。
以上のように蛍光体原料用合金及び/又は窒素含有合金を窒化することにより、本発明の蛍光体を製造することができる。
{再加熱工程}
二次窒化工程により得られた蛍光体は、必要に応じて再加熱工程を行ない、再度、加熱処理(再加熱処理)をすることにより粒子成長させても良い。これにより、粒子が成長し、蛍光体が高い発光を得ることが可能となる等、蛍光体の特性が向上する場合がある。
得られた蛍光体は、必要に応じて、分散工程、分級工程、洗浄工程、乾燥工程等の後処理工程を行なってから各種用途に用いてもよい。
分散工程では、窒化工程中の粒子成長、焼結などにより凝集している蛍光体に機械的な力を加え、解砕する。例えば、ジェットミルなどの気流による解砕や、ボールミル、ビーズミル等のメディアによる解砕などの方法が使用できる。
上記の手法により分散された蛍光体の粉末は、分級工程を行なうことにより所望の粒度分布に調整できる。分級には、例えば、バイブレーティングスクリーン、シフター等の網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ、水簸装置等の慣性分級装置や、サイクロン等の遠心分級機を使用することができる。
洗浄工程では、蛍光体を、例えばジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル等で粗粉砕した後、中性又は酸性の溶液(以下、「洗浄媒」と称する場合がある。)を用いて洗浄する。
ここで用いる中性の溶液としては、水を用いることが好ましい。使用可能な水の種類は、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。用いる水の電気伝導度は、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下である。また、水の温度は、通常、室温(25℃程度)が好ましいが、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、また、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下の温水又は熱水を用いることにより、目的とする蛍光体を得るための洗浄回数を低減することも可能である。
また、洗浄媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で行なってもよい。
撹拌時間は、蛍光体と上述のような洗浄媒とを十分に接触させることができるような時間であれば良く、通常1分以上、また、通常1時間以下である。
また、複数回の洗浄工程を行なう場合、洗浄工程の間に前述の粉砕工程や分級工程を行なっても良い。
即ち、洗浄後の蛍光体を、必要に応じて乾式ボールミル等で解砕ないし粉砕し、篩又は水簸により分級を行なって所望の重量メジアン径に整粒し、その後、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させる。このときの上澄み液の電気伝導度を測定し、その電気伝導度が、通常50mS/m以下、好ましくは10mS/m以下、より好ましくは5mS/m以下となるまで、必要に応じて上述の洗浄操作を繰り返す。
(1)結晶性の悪い窒化物等が加水分解して、例えばSr(OH)2などの水酸化物となり、水中に溶け出す。温水、あるいは希薄な酸で洗浄すると、これらが効率よく除去され、電気伝導度が低下する。一方で、洗浄媒の酸濃度が高過ぎたり、酸性の溶液にさらす時間が長過ぎたりすると、母体の蛍光体自体が分解する場合がある。
(2)前記の加熱工程において加熱時に使用する窒化ホウ素(BN)製ルツボから混入したホウ素が、水溶性のホウ素窒素−アルカリ土類化合物を形成して蛍光体に混入するが、上記洗浄によりこれが分解され、除去される。
上記洗浄後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供することができる。具体的な操作の例を挙げると、洗浄を終了した蛍光体スラリーを遠心分離機等で脱水し、得られた脱水ケーキを乾燥用トレイに充填すればよい。その後、100℃〜200℃の温度範囲で含水量が0.1重量%以下となるまで乾燥する。得られた乾燥ケーキを篩等に通し、軽く解砕し、蛍光体を得る。
ところで、蛍光体原料用合金及び窒素含有合金は、上述した方法により製造するほか、以下に説明する(a)〜(c)の工程を経て製造することもできる。これにより、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を得ることができる(前記4)に相当する)。
(a)蛍光体を構成する金属Ln、Ca、Sr、MII、MIII及びMIVの原料のうち、
2種以上を溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を用意する(融解工程)。
(b)合金溶湯を不活性ガス中で微細化する(微細化工程)。
(c)微細化した合金溶湯を凝固させ、合金粉末を得る(凝固工程)。
ましい。なお、本発明においてレビアトマイズ法も使用可能である。レビアトマイズ法とは、ガスアトマイズ法にレビテーション溶解を組み合わせたもので、これを用いると、ルツボと原料との接触を避けることができる。
また、(b)微細化工程と(c)凝固工程とを一工程で行なっても良い。特に、ガスアトマイズ法であれば、これらの工程を一工程で容易に実施することができる。
図4にガスアトマイズ法による合金粉末化装置の模式図を例示する。この図4の装置では、誘導コイル102を設けた溶解室101において、原料となる金属及び/又は合金(前述の如く、原料金属を融解して合金溶湯を調製し、これをそのままガスアトマイズ法により粉末化する場合と、この合金溶湯を一旦凝固、鋳造し、これを融解する場合とがあるが、以下のアトマイズ法の説明においてこれらを単に「原料合金」と称す。)を融解し、得られた合金溶湯を、溶解室101内のルツボ103の底部に設けた細穴から流し、溶湯の流れ又は液滴を作る。流出した溶湯に、噴射ノズル104から粉砕ガスのジェット流を吹き付けて、その粉砕ガスのジェット流のエネルギーで、流下してくる溶湯を順次、微細化し、生成した微細な液滴を噴射室105内で凝固させて合金粉末を作製する。通常、得られた合金粉末の粗粒子は回収室106で直接回収し、細粒子はサイクロン107にて回収する。なお、未粉砕の溶湯を除去する溶湯受けを噴射室105に設けることもできる。
また、粉砕ガスの噴射圧は所望の粒径の合金粉末が得られる限り任意であるが、通常10kg/cm2(0.98MPa)以上、好ましくは20kg/cm2(1.96MPa)以上、通常100kg/cm2(9.8MPa)以下、80kg/cm2(7.84MPa)以下である。噴射圧がこの範囲を外れると、収率が低下する傾向にある。
噴射室105及び回収室106の窒素濃度は、本発明の蛍光体を製造できる限り任意であるが、通常0.1%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、また、通常100%以下である。窒素濃度が低すぎると、粉末化の過程、及び合金粉末の回収過程で粒子表面から揮発性の高い金属成分が揮発して表面の組成がずれる場合がある。
上記[IV]に記載のアトマイズ法等により製造される合金粉末(蛍光体原料用合金又は窒素含有合金で形成された合金粉末)は、好ましくは、次のような特性を有する。
流動性を示す指標として、安息角、崩潰角、差角がある。これらの測定は、Carrら、Chemical Engineering,Jan.18,(1965)166−167に記載される方法に従って行うことができ、例えば、パウダテスタPT−N型(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その安息角は、通常45度以下(前記4)に相当する。)、好ましくは40度以下であり、より好ましくは35度以下であり、小さいほど好ましい。安息角が小さいほど流動性が高く、工業的に操作する場合、取り扱い性が良いからである。一方、安息角が大きすぎると、流動性が低く、輸送、運搬が困難となる傾向にある。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その崩潰角は、通常25度以下、好ましくは20度以下、より好ましくは15度以下であり、小さいほど好ましい。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その差角は20度以下が好ましい。差角が大きすぎると、フラッシング現象が起こりやすく、制御が困難になる傾向にあり、好ましくないからである。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その合金粒子の形状については、球状性を数量的に表す指標として平均円形度を用いることができる。
ここで、平均円形度は、以下の式で求められ、粒子の投影図において各粒径の真円との近似程度を表す。
平均円形度=粒子の投影面積に等しい真円の周囲長さ/粒子の投影図の周囲長さ
また、本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その平均円形度が0.9以上である真球状の合金粒子の個数割合は、通常20%以上、好ましくは40%以上である。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その重量メジアン径D50は、合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、通常の場合、0.1μm以上、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、また100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。また、Srを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。
前述の重量メジアン径D50の範囲よりも小さいと、窒化等の反応時の発熱速度が大きくなり、反応の制御が困難となる場合がある。一方で前述の重量メジアン径D50の範囲よりも大きいと、合金粒子内部での窒化等の反応が不十分となり、輝度が低下する場合がある。
タップ密度とは、一定の振動(タッピング)を加えた場合の密度をいう。即ち、本明細書において、タップ密度とは、次のように測定して得た値である。
合金粉末約10gを容量10mlのガラス製メスシリンダーに入れて、高さ約1cm〜5cmの位置からテーブル上に50回/分〜500回/分程度の間隔で、体積が変化しなくなるまで(通常200回〜800回)手動でタッピングした後、合金粉末の体積(V)を測定する。総重量からメスシリンダーの風袋重量を差し引き、合金粉末の正味の重量(W)を測定し、下式[9]で計算した値をタップ密度と言う。
タップ密度(g/ml)=W(g)/V(ml) …[9]
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その酸素含有量は、通常2重量%以下であり、1重量%以下が好ましい。下限は通常0.05重量%以上であり、0.1重量%以上が好ましい。
本発明で用いる蛍光体原料用合金粉末が前述のアトマイズ法等で製造されたものである場合、その炭素含有量は、0.2重量%以下であり、0.1重量%以下がさらに好ましい。
前述のガスアトマイズ法等を用いて合金の粉末化を行なうと、ジェットミル等を用いて合金を機械的に粉砕する場合と比較して、不純物の混入が少なくなる。不純物が少ない合金粉末を原料として使用すると、得られる蛍光体の輝度が向上するという効果が得られる。
前記の一次窒化工程及び/又は二次窒化工程においては、窒化対象である合金(即ち、蛍光体原料用合金及び/又は窒素含有合金)を、窒化物又は酸窒化物の存在下で、好ましくは、窒化物又は酸窒化物と混合してから加熱してもよい(前記3)に相当する)。前記の窒化物又は酸窒化物としては、本発明の蛍光体を構成する金属元素を1種又は2種以上含有する窒化物又は酸窒化物(以下、「原料窒化物」と称す場合がある)を用いる。
以下に本発明の製造方法により製造される蛍光体(以下、「本発明の蛍光体」と称する場合がある。)について説明する。本発明の蛍光体としては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体であることが好ましい。
なお、本明細書において、蛍光体の母体とは、付活元素を固溶し得る結晶又はガラス(アモルファス)を意味し、付活元素を含有せずに、結晶又はガラス(アモルファス)それ自体が発光するものも含むものとする。
本発明の蛍光体は、本発明の製造方法により製造されたものであれば、その組成に特に制限はないが、少なくともSiを含む4価の金属元素M4と、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むことが好ましく、さらに付活元素M1を含有することがより好ましい。ここで、Si以外の金属元素としては、アルカリ土類金属元素が好ましい。
本発明の蛍光体は、付活元素M1、2価の金属元素M2、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことが好ましく、付活元素M1、2価の金属元素M2、3価の金属元素M3、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことがより好ましい。
M1 aM2 bM3 cM4 dNeOf [1]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
尚、前記一般式[1]において、M1は前記付活元素M1を表し、M2は前記2価の金属元素M2を表し、M3は前記3価の金属元素M3を表し、M4は前記少なくともSiを含む4価の金属元素M4を表す。
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[1]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
M1’ a’Srb’Cac’M2’ d’Ale’Sif’Ng’ [2]
(但し、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.1≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
酸素の含有量は蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
本発明で製造される蛍光体は、例えば、以下のような特性を有する場合がある。
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等、所望の発光色とすることができる。
例えば、本発明の蛍光体が、前記のSr置換量が多い蛍光体であり、かつ、付活元素M1としてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、ピーク波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下する場合や、蛍光体粒子が凝集してしまう場合がある。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
本発明の蛍光体は、温度特性にも優れるものである。具体的には、波長455nmにピークを有する光を照射した場合における25℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値に対する150℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値の割合が、通常55%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
また、通常の蛍光体は温度上昇と共に発光強度が低下するので、該割合が100%を越えることは考えられにくいが、何らかの理由により100%を超えることがあっても良い。ただし150%を超えるようであれば、温度変化により色ずれを起こす傾向となる。
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、高輝度であり、演色性が高いという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に好適に用いることができる。例えば、本発明の蛍光体が橙色ないし赤色蛍光体である場合、緑色蛍光体、青色蛍光体等を組み合わせれば、高演色性の白色発光装置を実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。また、本発明の蛍光体を単独で使用することも可能であり、例えば、近紫外LEDと本発明の橙色蛍光体とを組み合わせれば、橙色発光装置を製造することができる。
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、必要に応じて本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
また、上記式(i)において、M、D、T及びQは、各々0以上1未満の数であり、且つ、M+D+T+Q=1を満足する数である。
具体的には、下記一般式(ii)及び/又は(iii)で表される化合物、及び/又はそ
のオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
(式(ii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Y1は、1価の有機基を表し、mは、Mの価数を表す1以上の整数を表し、nは、X基の数を表す1以上の整数を表す。但し、m≧nである。)
(式(iii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Y1は、1価の有機基を表し、Y2は、u価の有機基を表し、sは、Mの価数を表す1以上の整数を表し、tは、1以上、s−1以下の整数を表し、uは、2以上の整数を表す。)
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や素子を配置する基板、パッケージ等との接着性が弱いことが課題とされるが、密着性が高いシリコーン系材料として、特に、以下の特徴〔1〕〜〔3〕のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料が好ましい。
〔2〕後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〔3〕シラノール含有率が0.1重量%以上、10重量%以下である。
以下、上記の特徴〔1〕〜〔3〕について説明する。
従来のシリコーン系材料の基本骨格は炭素−炭素及び炭素−酸素結合を基本骨格としたエポキシ樹脂等の有機樹脂であるが、これに対し本発明のシリコーン系材料の基本骨格はガラス(ケイ酸塩ガラス)などと同じ無機質のシロキサン結合である。このシロキサン結合は、下記表1の化学結合の比較表からも明らかなように、シリコーン系材料として優れた以下の特徴がある。
(II)電気的に若干分極している。
(III)鎖状構造の自由度は大きく、フレキシブル性に富む構造が可能であり、シロキサ
ン鎖中心に自由回転可能である。
(IV)酸化度が大きく、これ以上酸化されない。
(V)電気絶縁性に富む。
7重量%以下の範囲である。
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
本発明に好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
一方、(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。また、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することによりシラノール含有率を求める。
装置:Chemagnetics社InfinityCMX-400核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal,44(5),p.1141,1998年等を参考にする。
本発明に好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿及び透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
本発明の蛍光体含有組成物の液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の蛍光体含有組成物によれば、本発明の蛍光体を所望の位置に容易に固定できる。例えば、本発明の蛍光体含有組成物を発光装置の製造に用いる場合、本発明の蛍光体含有組成物を所望の位置に成形し、液体媒体を硬化させれば、当該液体媒体で本発明の蛍光体を封止することができ、所望の位置に本発明の蛍光体を容易に固定することが可能となる。
次に、本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体が、前述の本発明の蛍光体の1種又は2種以上を第1の蛍光体として含有するものである。
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として前述の本発明の蛍光体(例えば、橙色ないし赤色蛍光体)を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(例えば、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。例えば、本発明の蛍光体が、前記一般式[2]で表され、かつ、付活元素M1としてEuを含有する場合において、通常、本発明の蛍光体は橙色ないし赤色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の橙色ないし赤色蛍光体を併用することができる。
この際、同色併用蛍光体である橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
以上例示した橙色ないし赤色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、第1の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、第2の蛍光体としては、例えば緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の第1の蛍光体とは異なる色を発する蛍光体を用いる。
第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Euで表されるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO4)3(Cl,F):Euで表されるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)2B5O9Cl:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
第2の蛍光体として黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)やMa 3Mb 2Mc 3O12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表す。)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2MdO4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mdは、Si、及び/又はGeを表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体等が挙げられる。
第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する場合がある。
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体を単独で使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
但し、以下の表d)、表h)、及び後掲の表5)で深赤色蛍光体として例示している(Ca,Sr)AlSiNi3:Euとは、CaとSrの合計量に対するCaの量が40モル%以上であり、波長630nm以上700nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体であり、本発明の蛍光体であってもよい。
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の{蛍光体含有組成物}の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
後述の各実施例及び各比較例において、各種の評価は以下の手法で行った。
各実施例及び各比較例の合金粉末又は窒素含有合金10mgを用いて、熱重量・示差熱(thermogravimetry-differential thermal analysis:TG−DTA)測定装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2000)により、雰囲気ガス(窒素、アルゴン、又は窒素とアルゴンとの混合ガス)100ml/分流通下、昇温速度10℃/分で室温から1500℃まで加熱し、重量変化について測定を行った。
なお、測定結果を示すグラフ(図5、及び図10)において、左側の縦軸はサンプル温度(℃)を、右側の縦軸は重量変化速度(%/時)を示す。
また、アルゴン気流中でのTG−DTA測定において、融解に伴う吸熱を検出し、吸熱ピークが現れる温度を融点とした。なお、融点の測定においては、Au(融点1063℃)及びSi(融点1410℃)を用いて温度校正を行った。
重量増加率は、一次窒化工程前の合金粉末、及び一次窒化工程後の窒素含有合金の重量を測定し、下記式[4]により求めた。
(一次窒化工程後の窒素含有合金の重量−一次窒化工程前の合金粉末の重量)
/一次窒化工程前の合金粉末の重量×100 …[4]
全金属元素含有率は、一次窒化工程前の合金粉末、及び一次窒化工程後の窒素含有合金の重量を測定して、下記式[5]により求めた。
全金属元素含有率(重量%)
=100−{(一次窒化工程後の窒素含有合金の重量−一次窒化工程前の合金の重量)
/一次窒化工程後の窒素含有合金の重量}×100 …[5]
窒素含有率は、酸素窒素同時分析装置(Leco社製)により、窒素含有合金又は蛍光体の窒素含有量を測定し、窒素含有合金の窒素含有率は下記式[6]により、また、蛍光体の窒素含有率は下記式[6A]により求めることができる。
窒素含有合金の窒素含有率(重量%)
= (窒素含有量/一次窒化工程後の窒素含有合金の重量)×100 …[6]
蛍光体の窒素含有率(重量%)
= (窒素含有量/蛍光体の重量)×100 …[6A]
酸素含有率は、酸素窒素同時分析装置(Leco社製)により、窒素含有合金又は蛍光体の酸素含有量を測定し、窒素含有合金の酸素含有率は下記式[8]により、また、蛍光体の酸素含有率は下記式[8A]により求めることができる。
窒素含有合金の酸素含有率(重量%)
= (酸素含有量/一次窒化工程後の窒素含有合金の重量)×100 …[8]
蛍光体の酸素含有率(重量%)
= (酸素含有量/蛍光体の重量)×100 …[8A]
NI/NPは、窒素含有率の測定結果から、下記式[7]により求めた。
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金中に含まれる窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、製造される蛍光体中に含まれる窒素含有率(重量%)を表す。)
気温25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールに合金粉末サンプルを分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所 LA−300)により粒径範囲0.1μm〜600μmにて測定して得られた重量基準粒度分布曲線から求め、積算値が50%のときの粒径値を重量メジアン径D50とした。また、この積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75とし、QD=(D75−D25)/(D75+D25)でQDを算出した。
測定前に、超音波分散器(株式会社カイジョー製)を用いて周波数を19KHz、超音波の強さを5Wとし、25秒間試料を超音波で分散させた。なお、分散液には、再凝集を防止するため界面活性剤を微量添加した水を用いた。
重量メジアン径の測定においては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製)を使用した。
Philips社製XPert MPDを用いて、大気中で以下の条件で測定した。
ステップサイズ[°2Th.] 0.0500
スタートposition[°2Th.] 10.0350
終了pos.[°2Th.] 89.9350
X線出力設定 45kV,40mA
発散スリット(DS)サイズ[°] 1.0000
受光スリット(RS)サイズ[mm] 1.0000
スキャンの種類 CONTINUOUS
スキャンステップ時間[s] 33.0000
測定温度[℃] 0.00
ゴニオメータ半径[mm] 200.00
フォーカス−DS間の距離[mm] 91.00
照射幅[mm] 10.00
試料幅[mm] 10.00
スキャン軸 ゴニオ
入射側モノクロメータ なし
ターゲット Cu
CuKα(1.541Å)
ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry;以下、「ICP法」と称する場合がある。)により、ジョバイボン社製ICP化学分析装置「JY 38S」を使用して分析した。
篩により分級して重量メジアン径9μmに整粒した後(ただし、洗浄後の蛍光体粒子の重量メジアン径が9μmの場合は、この操作は行わない。)、この蛍光体粒子を蛍光体重量の10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間撹拌して分散させた。1時間放置後、蛍光体が沈降していることを確認し、上澄み液の電気伝導度を測定した。
電気伝導度は東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」を用いて、測定した。洗浄及び測定は室温で行った。
なお、各実施例及び各比較例で洗浄及び蛍光体の水分散試験に使用している水の電気伝導度は、0.03mS/mである。
蛍光体の発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)用いて測定した。励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長465nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上、800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。
発光ピーク波長は、得られた発光スペクトルから読み取った。
また、相対発光ピーク強度は、下記の参考例1の蛍光体の発光ピーク強度を基準とした相対値で表した。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、下記の参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。なお、輝度は励起青色光をカットして測定した。
参考例1
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1(モル比)となるように、Ca3N2(CERAC社製200mesh pass)、AlN(トクヤマ社製グレードF)、Si3N4(宇部興産社製SN−E10)、及びEu2O3(信越化学社製)をアルゴン雰囲気中で秤量し、アルミナ乳鉢を用いて混合した。得られた原料混合物を窒化ホウ素製ルツボへ充填し、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで昇温し、1600℃で5時間保持した。得られた焼成物をアルミナ乳鉢で粉砕し、粒径100μm以下のものを採取することにより蛍光体を得た。励起波長465nmにおける、この蛍光体の発光ピーク波長は648nmであった。
発光スペクトルの480nm〜800nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyを算出した。
焼成容器の質量(g)、及び蛍光体原料(g)の質量を測定し、下記式[A]に代入することにより、式[A]の値を算出した。
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A]
焼成容器の側壁の温度を、10秒間間隔でタングステン−レニウム合金熱電対を用いて測定した。なお、温度計は、焼成容器の外側壁で、蛍光体原料を充填した高さの、1/2の高さの位置に設置した。得られた測定値から1分間当たりの温度変化を下記式[B]により求めた。
温度変化(℃/分)=時刻T分での温度 − 時刻(T−1)分での温度 …[B]
(合金の製造)
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各原料金属を秤量し、黒鉛ルツボに充填し、高周波誘導式溶融炉を用いてアルゴン雰囲気下で原料金属を溶融した。その後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、金属元素組成比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。
板状合金の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板状合金の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.210:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
得られた合金を、アルミナ乳鉢を用いて窒素雰囲気中でその粒径が約1mm以下になるまで粉砕した。得られた合金粉末を超音速ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社、PJM−80SP)を用いて、窒素雰囲気中(酸素濃度2体積%)、粉砕圧力0.15MPa、原料供給速度0.8kg/時でさらに粉砕した。
また、得られた合金粉末について、アルゴン気流中で融点測定を行ったところ、融解開始温度は1078℃付近であり、融点は1121℃であった。
得られた合金粉末40gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、管状電気炉内で窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=2:98(体積比))2L/分流通下、常圧下で、室温から950℃までは昇温速度4℃/分で加熱し、950℃から1100℃までは昇温速度2℃/分で加熱し、最高到達温度(1100℃)で5時間保持した。その後、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=2:98(体積比))2L/分の流通下、950℃まで5℃/分で冷却し、その後、約10℃/分で室温になるまで放冷し、窒素含有合金を製造した。
なお、本実施例の一次窒化工程における温度は、炉内温度、即ち、焼成装置において設定することができる温度を示している。以下の各実施例及び各比較例においても同様である。
一次窒化工程で得られた窒素含有合金を、窒素気流中、粒径が53μm以下になるまでアルミナ乳鉢を用いて粉砕し、目開き53μmの篩いを通過したものを採取した。得られた合金粉末を内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、これを熱間等方加圧装置(HIP)内にセットした。前記装置内を5×10−1Paまで真空排気した後、300℃に加熱し、300℃で真空排気を1時間継続した。その後、窒素を1MPaまで充填して、室温付近まで冷却した。その後、0.1MPaまで放圧し、再び1MPaまで窒素を充填する操作を二回繰り返し、加熱開始前に約0.1MPaに調圧した。次いで、炉内温度が950℃になるまで昇温速度600℃/時で加熱した。この時、内圧は、約0.5MPaまで上昇した。炉内温度が950℃から1100℃になるまで、昇温速度66.7℃/時で加熱し、1100℃で30分間保持した。その後、温度を1100℃に保ったまま、窒素圧力を約3時間かけて140MPaまで昇圧し、さらに、その後、約1時間かけて炉内温度が1900℃に、炉内圧力が190MPaになるまで昇温及び昇圧し、この状態で2時間保持した。続いて、3時間かけて400℃以下になるまで冷却して放冷した。12時間後、室温付近まで冷却した蛍光体を得た。なお、上記で記載の温度は炉内温度であり、即ち、焼成装置(本実施例においては、HIP)において設定することができる温度である(以下の実施例についても、特に断りのない限り、同様とする)。
なお、この実施例において、前記式[A]の値は0.50(容器質量40g,原料質量40g)であり、加熱工程における、1分間当たりの温度変化は2℃/分以下であった。
(後処理工程)
実施例1で得られた蛍光体を、室温において、重量比で10倍量の水に入れ、スターラーを用いて10分間攪拌し、分散させた。1時間静置後、蛍光体が沈降していることを確認し、濾過することにより、蛍光体を分離した。この操作を15回繰り返した。吸引濾過を行うことにより、得られた蛍光体を脱水した後、重量比で10倍量の0.5N塩酸に入れ、スターラーを用いて10分間攪拌し、分散させた。1時間静置後、濾過することにより蛍光体を分離し、さらに重量比で10倍量の水に分散させて濾過する操作を3回繰り返した。前述した通りに電気伝導度の測定を行ったところ、上澄み液の電気伝導度は1.90mS/mであった。脱水した後、120℃で12時間乾燥し、蛍光体を得た。
得られた蛍光体について重量メジアン径D50を測定したところ、12.7μmであった。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。実施例1で得られた蛍光体に洗浄処理を施すことにより、相対発光ピーク強度及び相対輝度が向上していることがわかる。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程の加熱条件を、最高到達温度を1050℃、最高到達温度での保持時間を10時間としたこと以外は実施例1と同様に行った。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を算出し、その結果を表7に示す。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
実施例3で得られた蛍光体を、実施例2と同様の方法で、水で15回、0.5N塩酸で1回洗浄した。続いて、上澄みの電気伝導度が1.52mS/mになるまで水で5回洗浄した。その後、分級を行うことにより、粒径範囲が3μm以上30μm以下である蛍光体を得た。
得られた蛍光体について重量メジアン径D50を測定したところ、7.7μmであった。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。得られた蛍光体は、実施例3で得られた蛍光体よりも相対発光ピーク強度及び相対輝度が向上していることがわかる。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程において、加熱雰囲気を窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=7:93(体積比))2L/分流通下としたこと以外は実施例3と同様に窒素含有合金を製造した。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を求めた。その結果を表7に示す。実施例3と比較して、炉内の窒素濃度を上げたことにより重量増加率が大きく、かつ、全金属元素含有率が小さくなっていることがわかる。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。実施例3で得られた蛍光体よりも発光特性が向上していることがわかる。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程において、加熱雰囲気を窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=4:96(体積比))2L/分流通下としたこと以外は実施例3と同様に窒素含有合金を製造した。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を求めた。その結果を表7に示す。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程において、加熱雰囲気を窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))2L/分流通下、最高到達温度(1050℃)での保持時間を5時間としたこと以外は実施例3と同様に窒素含有合金を製造した。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を算出し、その結果を表7に示す。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程において、加熱雰囲気を窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))2L/分流通下としたこと以外は実施例3と同様に蛍光体を製造した。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を求めた。その結果を表7に示す。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
実施例1と同様にして製造した合金粉末を用いて、以下の条件で一次窒化工程を行った。合金粉末40gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、雰囲気焼成炉を使用して、室温から900℃までは、真空中、昇温速度20℃/分で加熱した。900℃で、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))をゲージ圧で0.01MPaまで充填した。この圧力を保持したまま、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))1L/分流通下、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で昇温し、最高到達温度1050℃で4時間保持した。次いで、200℃以下になるまで約2時間かけて冷却した後、室温になるまで放冷し、窒素含有合金を製造した。得られた窒素含有合金について重量増加率、及び全金属元素含有率を算出し、その結果を表7に示す。
続いて、実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を得た。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
一次窒化工程において、加熱雰囲気を窒素気流中、最高到達温度を1030℃、最高到達温度での保持時間を8時間としたこと以外は、実施例1と同様に行い、窒素含有合金を製造した。
得られた窒素含有合金について、窒素・酸素の含有量の分析を行ったところ、窒素含有率は1.10重量%、酸素含有率は1.66重量%であった。また、重量増加率は、約3重量%、全金属元素含有率は97重量%であった。
また、前記の窒素・酸素の含有量の分析結果、及びICP法分析結果から、得られた窒素含有合金の元素組成比は、Al:Si:Ca:Sr:Eu:N:O=1:0.922:0.214:0.734:0.008:0.11:0.14であることがわかった。
得られた窒素含有合金を実施例1と同様に二次窒化工程を行い、蛍光体を製造した。
また、得られた蛍光体の発光特性についても測定した。その結果を表9に示す。
次いで、得られた蛍光体について実施例4と同様に洗浄処理を行った後、酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求めた。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
実施例1で得られた合金粉末に対して以下の条件で一次窒化工程を行ったこと、及び一次窒化工程終了後、粉砕処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に蛍光体を製造した。
ロータリーキルン内の雰囲気全体をアルゴンに置換し、直径90mm、全長1500mmであるアルミナ製炉心管を傾斜角1.9°に設定した。炉心管に対して向流方向で窒素(0.7L/分)、水素(0.2L/分)、及びアルゴン(5L/分)を含有する混合ガス流通下、炉心管を5rpmで回転させながら、スクリューフィーダーを用いて合金粉末を400g/時で連続して供給した。ヒーター温度を1100℃とした。この時、合金粉末の均熱帯(ここでは、炉心管の中央部150mm程度を指す。)滞留時間は3分間であった。炉心管から出てきた一次窒化工程終了後の窒素含有合金を雰囲気がアルゴンに置換された容器に回収後、急冷したところ、粉末状であることが確認された。
得られた窒素含有合金について、窒素及び酸素の含有量の分析を行ったところ、窒素含有率は3.7重量%、酸素含有率は1.2重量%であった。
また、得られた窒素含有合金の粉末X線回折パターンを図6に示す。AlB2型のアルカリ土類シリサイドと呼ばれる金属間化合物の一つであるSr(Si0.5Al0.5)2と類似した粉末X線回折パターンが主相であり、その他に、SrSi(PDF No.16−0008)、SrSi2(PDF No.19−1285)等の金属間化合物が検出された。
続いて、得られた窒素含有合金について実施例1と同様に二次窒化工程を行って蛍光体を製造した。得られた蛍光体について、発光特性を測定し、その結果を表9に示す。
また、得られた蛍光体について実施例2と同様に洗浄処理を行った後、酸素含有率及び窒素含有率を求めた。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
実施例1で得られた合金粉末40gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに入れ、雰囲気焼成炉を用いて一次窒化工程を行った。炉内を真空にし、室温から900℃まで昇温速度20℃/分で加熱した。次いで、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))をゲージ圧で0.01MPaまで充填した。圧力を保持したまま、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))1L/分流通下、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で加熱し、1050℃で4時間保持した。続いて、900℃まで冷却した後、雰囲気ガスを窒素に置換して、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で加熱し、1050℃で4時間保持した。サンプル温度が200℃になるまで約2時間かけて冷却し、室温付近になるまで放冷した。
得られた窒素含有合金について酸素含有率、及び窒素含有率を算出し、その結果を表7に示す。
また、得られた窒素含有合金の粉末X線回折パターンを図7に示す。粉末X線回折パターンにおいて、SrSi(PDF No.16−0008)、SrSi2(No.19−1285)等の金属間化合物とともに、Sr(Si0.5Al0.5)2と類似した相が検出された。
次いで、得られた窒素含有合金について、室温から1900℃までの温度範囲を600℃/時で昇温したこと以外は実施例1と同様に二次窒化工程を行ない、さらに実施例4と同様に洗浄処理、及び分級処理を行った。得られた蛍光体について、発光特性を測定し、その結果を表9に示す。また、酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求め、その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。また、得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを図11に示す。
実施例1で得られた合金粉末40gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに入れ、雰囲気焼成炉を用いて一次窒化工程を行った。室温から900℃まで真空中で昇温速度20℃/分で加熱し、900℃で窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))をゲージ圧で0.01MPaまで充填した。圧力を保持したまま、窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))1L/分流通下、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で加熱し、1050℃で3時間保持した。その後、室温まで放冷し、再び窒素含有アルゴンガス(窒素:アルゴン=5:95(体積比))1L/分流通下、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で加熱し、1050℃で3時間保持した。その後、室温まで冷却し、雰囲気ガスを窒素に置換して、900℃から1050℃まで昇温速度2℃/分で加熱し、1050℃で3時間保持した。200℃まで約2時間かけて冷却し、室温付近になるまで放冷した。
得られた窒素含有合金について酸素含有率、及び窒素含有率を算出し、その結果を表7に示す。
また、得られた窒素含有合金の粉末X線回折パターンを図8に示す。粉末X線回折パターンにおいて、SrSi(PDF No.16−0008)、SrSi2(PDF No.19−1285)等の金属間化合物が検出された。
得られた窒素含有合金142gを直径85mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、室温から1900℃まで昇温速度600℃/時で加熱したこと以外は実施例1と同様に二次窒化工程を行ない、さらに実施例4と同様に洗浄処理、及び分級処理を行った。得られた蛍光体について、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求めた。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。また、得られた蛍光体の粉末X線回折パターンを図12に示す。
実施例1で得られた合金粉末に対して以下の条件で一次窒化工程を行ったこと、及び一次窒化工程終了後、粉砕処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に蛍光体を製造した。
雰囲気ロータリーキルン全体を真空引きした後、窒素(2.5L/分)とアルゴン(2.5L/分)との混合ガスを導入することにより、ガス置換を行ない、直径90mm、全長1500mmであるアルミナ製炉心管を傾斜角1.9°に設定した。また、ヒーター温度を1100℃に設定した。炉心管に対して向流方向で窒素(0.7L/分)、水素(0.2L/分)、及びアルゴン(5L/分)を含有する混合ガス流通下、炉心管を5rpmで回転させながら、スクリューフィーダーを用いて合金粉末を220g/時で連続して供給した。この時、合金粉末の均熱帯滞留時間(フィード開始から排出開始までの時間×均熱帯長さ/炉心管全長)は約3分間であった。炉心管から出てきた一次窒化工程終了後の窒素含有合金を、雰囲気がアルゴンに置換された容器に回収し、急冷した。
一次窒化工程終了後の窒素含有合金について、分析を行ったところ、窒素含有率は8.9重量%、酸素含有率は2.9重量%であった。
また、得られた窒素含有合金の粉末X線回折パターンを図9に示す。図9から、SrSi(PDF No.16−0008)、SrSi2(PDF No.19−1285)等の金属間化合物が検出されたことがわかる。
続いて、得られた窒素含有合金について、以下の条件で二次窒化工程を行った。前記HIP内を5×10−1Paまで真空排気した後、300℃に加熱し、300℃にて真空排気を1時間継続した。その後、室温で窒素雰囲気約49MPaまで昇圧した。次いで、900℃になるまで昇温速度600℃/時で加熱し、1100℃になるまで、昇温速度66.7℃/時で加熱した。この時、圧力は約140MPaであった。その後、約1.5時間かけて炉内温度を1900℃まで、内圧を190MPaまで昇温及び昇圧し、この状態で1時間保持し、室温まで放冷して蛍光体を得た。得られた蛍光体をアルミナ乳鉢で50μm以下まで解砕し、発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。また、実施例2と同様に蛍光体の洗浄処理を行った後、分析を行って酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求めた。その結果を表9に示す。
一次窒化工程終了後、得られた窒素含有合金について窒素雰囲気中でアルミナ乳鉢を用いて粉砕処理を行い、窒素雰囲気中で目開き53μmの篩いを通過させたこと以外は、実施例14と同様に二次窒化工程を行ない、蛍光体を製造した。
得られた蛍光体について、実施例14と同様に発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、実施例2と同様に蛍光体の洗浄処理を行った後、分析を行って酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求めた。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
合金粉末の供給速度を71g/時、窒素(0.25L/分)及びアルゴン(5L/分)を含有する混合ガス流通下としたこと、並びにヒーター温度を1080℃として加熱処理を行ったこと以外は、実施例14と同様にして一次窒化工程を行った。この時、合金粉末の均熱帯滞留時間(フィード開始から排出開始までの時間×均熱帯長さ/炉心管全長)は約3分間であった。炉心管から出てきた一次窒化工程終了後の窒素含有合金を、雰囲気がアルゴンに置換された容器に回収し、急冷した。
一次窒化工程終了後の窒素含有合金について、分析を行ったところ、窒素含有率は5.5重量%、酸素含有率は2.8重量%であった。
この窒素含有合金について実施例14と同様に二次窒化処理を行ない、蛍光体を製造した。実施例14と同様に発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、実施例2と同様に蛍光体の洗浄処理を行った後、分析を行って酸素含有率、窒素含有率及びNI/NPを求めた。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
窒素(2.5L/分)とアルゴン(2.5L/分)との混合ガスを雰囲気ロータリーキルン全体に流通させながら、さらに、炉心管内に、傾斜した炉心管の下部から、窒素(2.5L/分)、アルゴン(2.5L/分)、水素(0.2L/分)の混合ガスを供給したこと、及び合金粉末の供給速度を0.3kg/時としたこと以外は実施例14と同様の条件で一次窒化工程を行った。
一次窒化工程終了後の窒素含有合金について、分析を行ったところ、窒素含有率は14.4重量%、酸素含有率は2.2重量%であった。
続いて、得られた窒素含有合金を実施例1と同様に粉砕した。得られた合金粉末の重量メジアン径D50は11.4μmであり、45μm以上の合金粒子の割合は1%以下、100μm以上の粒子の割合は0.1%未満、5μm以下の合金粒子の割合は12%、QDは0.36であった。
このようにして得られた窒素含有合金を実施例14と同様の条件で窒化し、実施例14と同様に発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
式[A]の値を0.50とした(蛍光体原料の焼成容器内充填率は35体積%だった。)こと以外は実施例17と同様の条件で蛍光体を製造した。得られた蛍光体の発光特性を実施例17と同様に測定した。その結果を表9に示す。
実施例17で得られた一次窒化工程終了後の窒素含有合金を、アルミナ乳鉢を用いて500μm以下まで解砕した。次いで、粉砕部がジルコニアでライニングされたジェットミル(サンレックス工業製 ナノグラインディングミル NJ−50)を用いて、窒素雰囲気中(酸素濃度1体積%以下)、粉砕圧0.3MPa、原料供給速度0.3kg/時で粉砕した。得られた合金粉末を目開き53μmの篩いを通過させたところ、重量メジアン径D50が12.8μmであり、20μm付近に粒径分布のピークを有する合金粉末が得られた。得られた合金粉末の45μm以上の合金粒子の割合は6%、5μm以下の合金粒子の割合は18%、QDは0.60であった。
このようにして得られた窒素含有合金を実施例14と同様の条件で窒化することにより蛍光体を得た(但し、蛍光体原料の焼成容器内充填率は26体積%とした)。得られた蛍光体について実施例14と同様に発光特性を測定した。その結果を表9に示す。また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。
また、得られた窒素含有合金10.16mgを窒化ホウ素製容器に入れ、窒素ガス100ml/分流通下、室温から1300℃まで昇温速度10℃/分で加熱した。前述のTG−DTA測定を行って、昇温中の重量変化を調べた。その結果を図5に示す。
一次窒化工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に蛍光体の製造を試みたところ、黒色の塊が得られた。この合金塊について実施例1と同様に発光特性を測定してみたが発光は観測されなかった。得られた溶融合金塊について、窒素含有率、酸素含有率、及び全金属元素含有率等を測定した。その結果を表7及び表9に示す。
また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。実施例と比較して、本比較例では1分間当たりの温度変化が非常に大きくなっており、炉内にて急激な発熱反応が起きたものと推測される。
これらのことから比較例1では、急激な発熱によって、合金粉末が瞬間的に融解し、比表面積が減少して窒化が進行しなかったものと考えられる。
一次窒化工程を窒素気流中、1030℃で2時間行ったこと以外は、実施例1と同様に行い、窒素含有合金を製造した。得られた窒素含有合金について、窒素含有率、及び酸素含有率の分析を行ったところ、窒素含有率は0.64重量%、酸素含有率は1.39重量%であった。また、重量増加率、及び全金属元素含有率についても算出した。その結果を表7に示す。
得られた窒素含有合金について実施例1と同様に二次窒化工程を行ない、蛍光体の製造を試みて、発光特性を実施例1と同様に評価したが、発光が観測されなかった。その結果を表9に示す。得られた蛍光体の窒素含有率は22重量%であった。
また、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を表8に示す。実施例と比較して、本比較例では1分間当たりの温度変化が非常に大きくなっており、炉内にて急激な発熱反応が起きたものと推測される。
比較例2は、一次窒化工程の温度が低く、時間も短かったことから、一次窒化工程において窒化反応が充分に進行していなかったため、二次窒化工程における窒化反応の速度を適切に制御できず、発光特性が低下したものと考えられる。従って、特性の高い蛍光体を得るためには、一次窒化工程を適切な条件で行う必要があると考えられる。
赤色蛍光体として、実施例1で得られた蛍光体(Sr0.792Ca0.2AlSiN3:Eu0.008と、緑色蛍光体として、CaSc2O4:Ce0.01と(以下、蛍光体(A)と称する場合がある。)を用いて、以下のような手順により、図2(b)に示す構成の白色発光装置を作製した。
これを150℃で2時間保持し、シリコーン樹脂を硬化させることにより、蛍光体含有部〔23〕を形成して表面実装型白色発光装置を得た。なお、本実施例の説明において、図2(b)に対応する部位の符号を〔〕内に示す。
得られた表面実装型白色発光装置について、発光スペクトルを測定した。その結果を図13に示す。得られた発光スペクトルより算出された各種発光特性の値(全光束、光出力、色度座標、色温度、色偏差、演色評価数)を表10に示す。なお、表10において、Tcpは相関色温度(単位K)を表し、Duvは色偏差を表す。
このように、本発明の蛍光体を任意の緑色蛍光体と組み合わせて使用することで、演色性の高い発光装置を得ることが出来る。
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有樹脂部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置
14 拡散板
22 励起光源(第1の発光体)(LED)
23 蛍光体含有部(第2の発光体)
24 フレーム
25 導電性ワイヤ
26 電極
27 電極
101 溶解室
102 誘導コイル
103 ルツボ
104 噴射ノズル
105 噴射室
106 回収室
107 サイクロン
Claims (27)
- 蛍光体原料を窒素含有雰囲気下で加熱する工程を有する蛍光体の製造方法であって、
蛍光体原料の一部又は全部として、蛍光体を構成する金属元素を2種以上有する合金(以下、「蛍光体原料用合金」と称す。)を使用し、かつ、下記1)を満たすことを特徴とする蛍光体の製造方法。
1)前記蛍光体原料用合金の一部又は全部が、全金属元素含有率が97重量%以下で
ある窒素含有合金である - 前記加熱工程において、前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域における1分間当たりの温度変化が50℃以内となる条件下で加熱することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
- 下記2)〜4)のいずれか一つを満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体の製造方法。
2)前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度
までの温度域における昇温速度を9℃/分以下とする
3)前記蛍光体原料として、前記蛍光体原料用合金と共に、前記蛍光体を構成する金属
元素を1種又は2種以上含有する窒化物又は酸窒化物を用いる
4)前記蛍光体原料用合金として、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を
用いる - 前記加熱工程において、前記蛍光体原料を焼成容器内で加熱する方法であって、下記式[A]で表される、焼成容器の質量に対する蛍光体原料の質量の割合が0.1以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A] - 前記窒素含有合金の窒素含有率が0.8重量%以上、27重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記蛍光体原料用合金を、窒素含有雰囲気下で加熱することにより前記窒素含有合金を製造する工程(以下「一次窒化工程」と称す。)を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記窒素含有合金が下記式[7]を満足することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金の窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、製造される蛍光体の窒素含有率(重量%)を表す。) - 前記窒素含有合金を蛍光体原料の一部又は全部として、窒素含有雰囲気下で加熱する工程(以下「二次窒化工程」と称す。)が、該窒素含有合金の融点より300℃以上高い温度で加熱する工程であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記二次窒化工程に先立ち、前記窒素含有合金を該窒素含有合金の融点より100℃以上低い温度まで冷却する工程を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記二次窒化工程に先立ち、前記窒素含有合金を粉砕する工程を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 蛍光体原料を窒素含有雰囲気下で加熱する工程を有する蛍光体の製造方法であって、
蛍光体原料の一部又は全部として、蛍光体原料用合金を使用し、かつ、
前記蛍光体原料用合金の一部又は全部が、窒素含有率が10重量%以上である窒素含有合金であることを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 蛍光体原料を窒素含有雰囲気下で加熱する工程を有する蛍光体の製造方法であって、
蛍光体原料の一部又は全部として、蛍光体を構成する金属元素を2種以上有する合金(以下、「蛍光体原料用合金」と称す。)を使用し、かつ、
前記加熱工程において、前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域における1分間当たりの温度変化が50℃以内となる条件下で加熱することを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 前記蛍光体が、少なくともSiを含む4価の金属元素M4と、Si以外の金属元素の1種以上とを含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記蛍光体が、付活元素M1と、2価の金属元素M2と、少なくともSiを含む4価の金属元素M4とを含むことを特徴とする請求項13に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記蛍光体が、2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする請求項14に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記蛍光体が、さらに3価の金属元素M3を含むことを特徴とする請求項13ないし15のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
- 窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の製造原料としての合金であって、
該合金が少なくとも1種の金属元素と、
少なくとも1種の付活元素M1とを含有し、
全金属元素含有率が97重量%以下であり、窒素を含有することを特徴とする窒素含有合金。 - 窒素含有率が0.8重量%以上、27重量%以下であることを特徴とする請求項17に記載の窒素含有合金。
- 下記式[7]を満足することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の窒素含有合金。
0.03≦NI/NP≦0.9 …[7]
(式[7]において、
NIは、窒素含有合金の窒素含有率(重量%)を表し、
NPは、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の窒素含有率(重量%)を表す。) - 少なくともSiを含む4価の金属元素M4と、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むことを特徴とする請求項17ないし19のいずれか1項に記載の窒素含有合金。
- 付活元素M1、2価の金属元素M2、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことを特徴とする請求項20に記載の窒素含有合金。
- 2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする請求項21に記載の窒素含有合金。
- 更に3価の金属元素M3を含むことを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の窒素含有合金。
- 付活元素M1がCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項17ないし23のいずれか1項に記載の窒素含有合金。
- 2価の金属元素M2がMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素M3がAl、Ga、In、及びScからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4がSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載の窒素含有合金。
- 2価の金属元素M2の50モル%以上がCa及び/又はSrであり、3価の金属元素M3の50モル%以上がAlであり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4の50モル%以上がSiであることを特徴とする請求項25に記載の窒素含有合金。
- 付活元素M1としてEuを、2価の金属元素M2としてCa及び/又はSrを、3価の金属元素M3としてAlを、少なくともSiを含む4価の金属元素M4としてSiを含むことを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の窒素含有合金。
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