JP2008102151A - 走査型プローブ顕微鏡用の走査機構及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用の走査機構及び走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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JP2008102151A
JP2008102151A JP2007311043A JP2007311043A JP2008102151A JP 2008102151 A JP2008102151 A JP 2008102151A JP 2007311043 A JP2007311043 A JP 2007311043A JP 2007311043 A JP2007311043 A JP 2007311043A JP 2008102151 A JP2008102151 A JP 2008102151A
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Masato Iyogi
誠人 伊與木
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Abstract

【課題】 S/N比を向上させて、より正確に被測定物の表面形状や物性を測定
することができる走査型プローブ顕微鏡を提供すること。
【解決手段】 カンチレバー10の先端に対向する被測定物Sの測定領域から放
射される観察光L3を集光し受光する観察光受光機構30と、カンチレバー10
に観察光L3と異なる波長の検出光L1を照射してカンチレバー10で反射した
検出光L1を測定し、カンチレバー10の変位を検出する変位検出機構20とを
備え、検出光L1の光路と観察光L3の光路とが、少なくとも一部で共通光路を
透過するように設定され、該共通光路上に、観察光L3の透過率が検出光L1よ
りも高い光学特性を有した誘電体ビームスプリッタ(光学フィルタ)32が配設
されている走査型プローブ顕微鏡1を提供する。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
発明の属する技術分野
本発明は、走査型近接場顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構及び走
査型プローブ顕微鏡に関するものである。
従来の技術
従来の走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、例えば走査型近接場顕微鏡を例に
説明すると、図5に示すように、サンプルSを3軸微動機構1上のステージ2に
載せ、プローブPから励起光をサンプルSの表面に照射し、サンプルSの局所的
な光学特性を、透過側に配置された対物レンズL1により集光し、集光された光
信号を光検出器3に導入することにより、サンプルS上の光学特性を測定するよ
うに構成されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この従来例では、
対物レンズL1がステージ2の下方に支持された倒立顕微鏡を組み合わせたタイ
プとなっている。
上記測定時においては、プローブPの先端からは励起光としてエバネッセント
光が照射される。該エバネッセント光は、プローブPの極近傍にしか存在せず、
その強度はプローブ先端からの距離に対して指数関数的に減衰するため、波長以
下の領域にサンプルSを位置決めし、減衰の少ない近接位置でエバネッセント光
をサンプルSに照射している。また、この状態でプローブ先端とサンプルSとを
相対的に移動させてサンプルSの表面をスキャン(走査)することにより測定を
行っている。
プローブ先端とサンプルSとの最も代表的な位置決め方法は、プローブ先端の
先鋭性を利用して、サンプル表面とプローブ先端間に働く原子間力によりプロー
ブ先端とサンプル表面との距離制御を行う方法である。この場合、原子間力はプ
ローブ先端とサンプル表面との距離に依存するため、両者の距離が一定となるよ
うに3軸微動機構1のうち垂直微動機構4により制御している。また、このよう
に距離制御を掛けながら、3軸微動機構1のうち水平微動機構5によりサンプル
Sを2次元平面内でスキャンさせることにより、2次元平面内での光学特性が測
定される。なお、垂直微動機構4に印加される電圧によりサンプル表面の凹凸像
も同時に測定することができる。
また、走査機構である上記3軸微動機構1では、対物レンズL1の周囲に3本
配設され、水平微動機構5上に直接、垂直微動機構4が設けられており、一体と
なった状態でステージ2を支持している。なお、水平微動機構5及び垂直微動機
構4は、円筒状の圧電素子(ピエゾ素子)で構成されている。
上記のような倒立顕微鏡と組み合わせた走査型プローブ顕微鏡では、レバース
キャンが行われる。例えば、走査型近接場顕微鏡ではスキャンを行う場合に、レ
バースキャン方式では対物レンズL1とプローブ先端とのフォーカスずれが発生
するため、サンプル表面のスキャンを行う必要がある。このサンプルスキャンを
行う場合、走査機構の真中に空間が必要となる。
また、上述したような走査型プローブ顕微鏡に用いる3軸微動機構の他の従来
例としては、圧電素子を4本水平上に横にして設置したタイプも知られている(
例えば、特許文献2参照)。
さらに、3軸微動機構の別の従来例としては、市販されているいわゆるフラッ
トスキャナ等が知られている。このフラットスキャナは、複数の積層型圧電素子
と微動ストロークの拡大機構とを組み合わせた構造を有している(例えば、非特
許文献3参照)。
特開2000−304755号公報(段落番号0002〜0003の記載及び図7) 米国特許第5,705,878号明細書 Physik Instrumente社の製品P−517,P−527、[online]、[平成14年2月24日検索]、インターネット<URL:http://www.physikinstrumente.de/products/prdetail.php?secid=2-32>
しかしながら、上記従来の走査型プローブ顕微鏡における走査技術には、以下
の課題が残されている。すなわち、倒立顕微鏡と組み合わせた場合、高さ方向の
空間が狭いため、走査機構をできるだけ薄くする必要がある。また、走査型プロ
ーブ顕微鏡では、走査精度を高めるために走査機構自体の剛性をできるだけ高く
する必要がある。さらに、倒立顕微鏡での対象サンプルが生体細胞等の場合もあ
り、このような場合は特にスキャンエリアを広く設定する必要がある。
上記従来例では、水平微動機構上に垂直微動機構が直接かつ一体に連結された
機構の場合、走査機構全体の高さが高くなり、スキャンエリアも広く設定するこ
とが困難であるという不都合がある。また、水平方向(X、Y方向)及び垂直方
向(Z方向)の各軸微動機構を水平面上に横に配置したタイプや上記フラットス
キャナタイプでは、走査機構全体を薄くできると共にスキャナエリアも広くでき
るが、走査機構全体の剛性が低いという不都合があった。特に、これらの場合、
垂直方向における剛性を高めることが困難であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、機構自体の剛性を高めること
ができると共に高さも低くすることができる走査型プローブ顕微鏡用の走査機構
及び走査型プローブ顕微鏡を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発
明の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構は、被測定物を載置するステージと、前
記被測定物に近接又は接触させるプローブとを備えた走査型プローブ顕微鏡に取
り付けられ、前記プローブを前記被測定物に対して3次元方向に相対的に移動さ
せる走査機構であって、前記プローブと前記ステージとを2次元平面内で相対的
に移動可能な水平微動機構と、前記プローブと前記ステージとを前記2次元平面
に垂直な方向に相対的に移動可能な垂直微動機構とを備え、前記水平微動機構と
前記垂直微動機構とが、分割して設置され、前記垂直微動機構が、前記ステージ
を直接支持していることを特徴とする。
この走査型プローブ顕微鏡用の走査機構では、水平微動機構と垂直微動機構と
が、分割して設置され、垂直微動機構がステージを直接支持しているので、水平
微動機構と垂直微動機構とが一体に設けられた従来の機構に比べて垂直微動機構
の剛性を高めることができる。特に、垂直微動機構が単独でステージを直接支持
しているので、微動ストロークを比較的長くでき、垂直方向において高剛性を得
ることができる。また、水平微動機構と垂直微動機構とが分割されているので、
水平微動機構上に垂直微動機構を直接かつ一体に設けた従来例に比べ、走査機構
全体の高さを低くするように配置することも可能である。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構は、前記垂直微動機構が積
層型圧電素子であることが好ましい。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡用の走査機構では、垂直微動機構を積層
型圧電素子とすることにより、微動ストロークを大きく設定することができ、小
型化しやすい。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構は、前記垂直微動機構を支
持する垂直微動機構台を備え、前記水平微動機構が、前記垂直微動機構台を水平
方向に移動可能にかつ吊り下げ状態で支持していることを特徴とする。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡用の走査機構では、水平微動機構が垂直
微動機構台を水平方向に移動可能にかつ吊り下げ状態で支持しているので、水平
及び垂直方向の微動機構を直接連結した場合よりも走査機構全体の高さを低くす
ることができる。
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、被測定物を載置するステージと、前記被測
定物に近接又は接触させるプローブと、該プローブを前記被測定物に対して3次
元方向に相対的に移動させる走査機構とを備えた走査型プローブ顕微鏡であって
、前記走査機構が、上記本発明の走査機構であることを特徴とする。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡では、上記本発明の走査機構を備えてい
るので、上述した走査機構の作用を有し、高剛性な微動機構により、プローブ、
サンプル及びステージの位置及び走査の高精度な制御が可能になる。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、前記ステージが、前記垂直微動機構
の上部に設けられたボールベアリングで支持され、前記ステージ及び前記垂直微
動機構の一方に磁石が取り付けられていると共に他方に金属部が設けられ、互い
に磁力により引きつけられていることを特徴とする。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡では、ステージが、垂直微動機構の上部
に設けられたボールベアリングで支持されているので、ステージが動きやすくガ
タつきが生じ難い。さらに、ステージ及び垂直微動機構の一方に磁石が取り付け
られていると共に他方に金属部が設けられ、互いに磁力により引きつけられてい
るので、ステージが完全に固定されておらず、ステージが移動して対物レンズ等
に接触しても、容易に外れて破損を防ぐことができる。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、前記ステージの下方かつ前記プロー
ブの直下に配され前記被測定物からの光を集光する対物レンズを備え、前記垂直
微動機構が、前記対物レンズの周囲に配されていることを特徴とする。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡は、対物レンズをステージ下方に配した
倒立顕微鏡を組み合わせたものであり、垂直微動機構が対物レンズの周囲に配さ
れているので、対物レンズの設置空間を確保することができる。
さらに、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、前記垂直微動機構が、前記対物レ
ンズを中心軸上に配した円筒状の積層型圧電素子であることが好ましい。
すなわち、この走査型プローブ顕微鏡では、倒立顕微鏡と組み合わせた場合に
、円筒状の積層型圧電素子の内側に対物レンズを配した状態となるため、垂直方
向のより高い剛性及び微動ストロークを得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、水平微動機構と垂直
微動機構とが分割して設置され、垂直微動機構がステージを直接支持しているの
で、垂直方向において高剛性を得ることができると共に垂直方向の微動ストロー
クを長くすることができる。また、水平微動機構上に垂直微動機構を直接かつ一
体に設けた従来例に比べ、走査機構全体の高さを低くするように配置することも
可能となり、倒立顕微鏡との組み合わせが容易となる。したがって、本発明では
、高剛性な微動機構により、プローブ、サンプル及びステージの位置及び走査の
高精度な制御が可能になり、走査型近接場顕微鏡に適用した場合、集光効率、分
解能、光検出器の受光効率及びS/N比等のさらなる向上が可能になって、より
高精度かつ正確な測定を実現することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡用の走査機構及びこれを備えた走査
型プローブ顕微鏡の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、図1に示すように、例えば蛍光染色さ
れた生体細胞等のサンプル(被測定物)Sにエバネッセント光(近接場光)を励
起光として照射してサンプルSの局所的な光学特性を下方の対物レンズL1で集
光し測定する倒立顕微鏡を組み合わせた走査型近接場顕微鏡である。この走査型
プローブ顕微鏡は、サンプルSを載置するステージ2と、サンプルSに先端を近
接させるプローブPと、該プローブPをサンプルSに対して2次元平面内に相対
的に移動させサンプルSをプローブ先端に近接させるステッピングモータ等の粗
動機構27と、該粗動機構27よりも高い分解能で微動可能にプローブPをサン
プルSに対して3次元方向に相対的に移動させる走査機構8とを備えている。
上記走査機構8は、プローブPとステージ2とを2次元平面(XY平面)内で
相対的に移動可能な水平微動機構9と、プローブPとステージ2とを上記2次元
平面に垂直な方向(Z方向)に相対的に移動可能な垂直微動機構10とを備えて
いる。すなわち、水平微動機構9は、2次元平面内の走査を行うための2軸微動
可能なアクチュエータであるXYスキャナとして機能し、垂直微動機構10は、
プローブPとサンプルSとの間の距離制御を行うためのアクチュエータであるZ
スキャナとして機能する。
上記水平微動機構9は、位置決め用のXYステージXY1を介して倒立顕微鏡
7の支柱に固定され、垂直微動機構10を支持する垂直微動機構台11を水平方
向に移動可能にかつ吊り下げ状態で支持している。この垂直微動機構台11は、
垂直微動機構10が固定される中央台部11aと、該中央台部11aの周囲に設
けられ上方に立設されていると共に半径方向外方に上部が突出して水平微動機構
9の上部に支持された断面L字状の支持部11bとで構成されている。中央台部
11aには、対物レンズL1が挿通可能な孔部11cが形成され、対物レンズL
1の周囲に3本の垂直微動機構10が立設されている。したがって、本実施形態
では、水平微動機構9と垂直微動機構10とが、垂直微動機構台11を介して分
割して設置されている。
なお、上記水平微動機構9は、2次元平面である水平面(X方向及びY方向の
2軸)においてステージ2を走査可能な複数の圧電素子を内蔵したスキャナであ
り、例えば、微動ストロークの拡大機能付きフラットスキャナである。また、垂
直微動機構10は、圧電材料と電極とを交互に積層させた積層型圧電素子(ピエ
ゾ素子)である。
上記垂直微動機構10は、図2に示すように、その上部に設けられたボールベ
アリング12によりステージ2を直接支持している。すなわち、垂直微動機構1
0における圧電素子本体10aの上部に、絶縁座10bが固定され、該絶縁座1
0b内には鉄製のヨーク10cと円筒状の磁石10dとが固定されている。上記
ヨーク10cの上面には、ボールベアリング12が位置決めされて配される断面
V字状の溝部10eが形成されている。また、前記ヨーク10c及び磁石10d
に対向するステージ2の下面には、円環状の鉄プレート(金属部)2aが埋設さ
れている。なお、該鉄プレート2aにも、ボールベアリング12が位置決めされ
て配される断面V字状の溝部2bが形成されている。したがって、ステージ2と
垂直微動機構10とは、互いに磁力により引きつけられた状態とされている。
上記プローブPは、光ファイバの先端付近が曲げられて、先端部を先鋭化して
先端部分にナノメートルオーダーの微小開口部(図示略)が設けられ、その他の
部分は金属膜(図示略)でコーティングされた構造を有している。また、プロー
ブPの背面部分には、振幅検出用のレーザ光を反射させるためのミラー面が形成
されている。
また、プローブPは、プローブホルダ13に基端側を固定され、該プローブホ
ルダ13に設けられた圧電素子の振動子14により微小振動が加えられる。そし
て、この際、プローブPの振幅量は、振幅検出用発光部LDと振幅検出用受光部
PDとを有し、光てこ方式を用いた光学ヘッド15によって検出される。
光学ヘッド15とプローブホルダ13とは、プローブ先端と対物レンズL1と
の光軸中心に位置決めするためのXYステージXY2を介して粗動機構27に固
定される。
さらに、プローブPの基端は、レーザ光源16と光学的にカップリングされ、
プローブPの先端開口付近にエバネッセント場が形成されるようになっている。
上記対物レンズL1は、上述したようにサンプルSを挟んでプローブPと対向
する側に配置されており、倒立顕微鏡7上に設置された対物レンズ駆動機構17
上に設けられている。該対物レンズ駆動機構17は、光路を確保するために中心
部に中空部分を設けた粗動用送りネジ機構18と、円筒状に形成された微動用積
層型圧電素子19とで構成されている。
また、対物レンズL1の下方であって倒立顕微鏡7内の空洞部7aには、ダイ
クロイックミラーMと吸収フィルタFとが設けられ、対物レンズL1で集光され
た光のうち励起光をカットして蛍光成分を外部に設けられた結像レンズL2へと
反射するように配されている。この検出光は、結像レンズL2で結像され、さら
に光検出器3に導入されるようになっている。また、該光検出器3は、対物レン
ズL1の焦点が合った状態で光軸が合うように設定されている。また、光検出器
3は、受光面が数百μmと非常に小さいアバランシェフォトダイオードが用いら
れている。なお、この光検出器3では、受光面が小さいため僅かな焦点ズレが測
定効率の低下を招くことになる。この光検出器3としては、他にもフォトマルや
分光器などが使用される。
なお、上記粗動機構27、走査機構(水平微動機構9及び垂直微動機構10)
8及び対物レンズ駆動機構17は、いずれもCPU等の制御部Cに電気的に接続
され、制御部Cによって所定の位置への移動を行うように制御される。
次に、本実施形態の走査型プローブ装置を用いた測定方法について説明する。
まず、対物レンズ駆動機構17の粗動用送りネジ機構18により、サンプルS
の表面に対物レンズL1の焦点を合わせる。次に、プローブ側のXYステージX
Y2により対物レンズL1の光軸中心にプローブ先端を位置決めする。次に、プ
ローブ先端とサンプルSとの間の距離制御を行う。すなわち、振動子14により
プローブPを共振周波数近傍で振動させながら、サンプルSに近接させたときの
振幅の減衰量をモニタし、振幅が一定となるように垂直微動機構10を動作させ
る。そして、粗動機構27によりサンプルSとプローブ先端との間に原子間力が
働く領域若しくは接触する領域までサンプルSをプローブ先端に近接させた後、
垂直微動機構10によりサンプルSとプローブとの間が最適動作点となるように
距離制御を行う。このとき、測定前に合わせた焦点位置は垂直微動機構10の動
作分だけずれてしまう。このずれ量を補正するため、対物レンズ駆動機構17の
微動用積層型圧電素子19を垂直微動機構10の移動量だけ変化させ、アプロー
チが完了した段階で対物レンズL1の焦点がプローブ先端の発光点に合うように
設定する。
以上のような動作により、アプローチ時のずれ量を補正した後は、プローブ先
端と対物レンズL1との位置関係は一定に保たれるため、微動用積層型圧電素子
19への印加電圧は一定に保ったままスキャン(走査)を行う。この状態で、水
平微動機構9を用いてサンプルを2次元平面内でスキャンし、そのときの透過光
を集光することにより、光信号の2次元強度分布が測定される。また、垂直微動
機構10に印加される電圧をモニタすればサンプルSの凹凸像も同時に測定可能
である。
なお、焦点ずれの補正方法として、垂直微動機構10の変位を垂直微動機構1
0に取り付けた例えば静電容量型の変位センサ20により測定し、制御部Cにお
いて変位センサ20から得られた変位信号に基づいてずれ量を認識し、フィード
バックさせて垂直微動機構10の移動量を補正するクローズドループ方式を採用
している。この変位センサ20を取り付けたことにより、圧電素子のヒステリシ
スやクリープ等を防止することができ、測定精度を向上させることができる。な
お、変位センサは、静電容量型に限らず、光干渉法など別の方式のものも使用可
能である。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では、水平微動機構9と垂直微動機構10
とが分割して設置され、垂直微動機構10がステージ2を直接支持しているので
、水平微動機構9と垂直微動機構10とが一体に設けられた従来の機構に比べて
垂直微動機構10の剛性を高めることができる。特に、垂直微動機構10が単独
でステージ2を直接支持しているので、微動ストロークを比較的長くでき、垂直
方向において高剛性を得ることができる。
また、垂直微動機構10を積層型圧電素子としているので、微動ストロークを
大きく設定することができ、小型化しやすい。さらに、また、水平微動機構9と
垂直微動機構10とが分割され、特に水平微動機構9が垂直微動機構台11を水
平方向に移動可能にかつ吊り下げ状態で支持しているので、水平微動機構9上に
垂直微動機構10を直接かつ一体に設けた従来例に比べ、走査機構8全体の高さ
を低くすることができる。
また、ステージ2が、垂直微動機構10の上部に設けられたボールベアリング
12で支持されているので、ステージ2が動きやすくガタつきが生じ難い。さら
に、垂直微動機構10に磁石10dが取り付けられていると共にステージ2に鉄
プレート2aが設けられ、互いに磁力により引きつけられているので、ステージ
2が完全に固定されておらず、ステージ2が移動して対物レンズL1等に接触し
ても、容易に外れて破損を防ぐことができる。
次に、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の第2及び3実施形態について、図
3及び図4を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態にお
いて説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、対物レンズ
L1の周囲に配した3本の積層型圧電素子からなる垂直微動機構10によりステ
ージ2を支持しているのに対し、第2実施形態の走査機構28では、図3に示す
ように、対物レンズL1を中心軸上に配した円筒状の積層型圧電素子である垂直
微動機構30によりステージ2を支持している点である。
すなわち、本実施形態では、一つの垂直微動機構30でステージ2を支持する
と共に微動させると共に、円筒状の積層型圧電素子の内側に対物レンズL1を配
した状態となるため、垂直方向のより高い剛性及び微動ストロークを得ることが
できる。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、水平微動機
構9がステージ2下方側に位置されて垂直微動機構台11を介して垂直微動機構
10と共にステージ2を移動させるのに対し、第3実施形態の走査機構38では
、図4に示すように、垂直微動機構10が位置決め用XYステージXY1を介し
て倒立顕微鏡7上に立設されていると共に、水平微動機構49は、ステージ2の
上方に配されてプローブPに接続され該プローブP側をステージ2に対して移動
可能になっている点である。すなわち、本実施形態では、水平微動機構49がプ
ローブPを直接移動させるレバースキャン式となっている。この水平微動機構4
9は、プローブ先端を対物レンズL1の光軸に対して位置決めするためのXYス
テージXY2を介して粗動機構27に接続されている。
本実施形態においても、垂直微動機構10でステージ2を直接支持しているた
め、垂直方向に高剛性を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記第1実施形態では、垂直微動機構10を積層型圧電素子としたが
、単に円筒状圧電素子としても良い。この場合、上述したように垂直方向の微動
ストロークについては積層型圧電素子よりも不利となる。
また、第3実施形態においても、垂直微動機構10を第2実施形態と同様に円
筒状の積層型圧電素子としても構わない。
また、プローブ先端とサンプルSとの距離制御の他の手段として、プローブを
振動させずに撓み量が一定となるように制御を掛ける方式、サンプルに対して水
平方向にプローブを振動させ、その時のシアフォースによるプローブの減衰量が
ゼロになるように制御を掛ける方式、プローブに金属コートを施し、導電性サン
プルとの間にトンネル電流を発生させ、トンネル電流の距離依存性を利用して制
御を掛ける方式、プローブ先端で発生するエバネッセント光をサンプル表面で散
乱させ、その散乱光強度を測定してエバネッセント場の距離依存性を利用して制
御を行う方式などが考えられる。
また、プローブ形状も、上記各実施形態に示したベント型に限らず、ストレー
ト型プローブや、光導波路を形成したカンチレバー型プローブなども考えられる
。さらに、プローブの振幅量の検出方式としては光てこ方式の他に、水晶振動子
や圧電体にプローブを固定し、電荷量の変化を利用して振幅量を検出する方式な
ども使用可能である。
また、上記各実施形態では、走査型プローブ顕微鏡として走査型近接場顕微鏡
に適用したが、他の走査型プローブ顕微鏡に採用しても構わない。例えば、AF
M(原子間力顕微鏡)等に適用してもよい。
本発明に係る第1実施形態の走査型プローブ顕微鏡の全体構成を示す概要図である。 本発明に係る第1実施形態の走査型プローブ顕微鏡における垂直微動機構の上部を示す拡大断面図である。 本発明に係る第2実施形態の走査型プローブ顕微鏡における要部の構成を示す概要図である。 本発明に係る第3実施形態の走査型プローブ顕微鏡における要部の構成を示す概要図である。 本発明に係る従来例の走査型プローブ顕微鏡の全体構成を示す概要図である。
符号の説明
2 ステージ
2a 鉄プレート(金属部)
7 倒立顕微鏡
8、28、38 走査機構
9、49 水平微動機構
10、30 垂直微動機構
10d 磁石
11 垂直微動機構台
12 ボールベアリング
17 対物レンズ駆動機構
27 粗動機構
C 制御部
L1 対物レンズ
S サンプル(被測定物)
P プローブ

Claims (6)

  1. 被測定物を載置するステージと、前記被測定物に近接又は接触させるプローブとを備えた走査型プローブ顕微鏡に取り付けられ、前記プローブを前記被測定物に対して3次元方向に相対的に移動させる走査機構であって、前記プローブと前記ステージとを2次元平面内で相対的に移動可能な水平微動機構と、前記プローブと前記ステージとを前記2次元平面に垂直な方向に相対的に移動可能な垂直微動機構とを備え、前記水平微動機構と前記垂直微動機構とが、分割して設置され、前記垂直微動機構が、前記ステージを直接支持し、前記水平微動機構にプローブが取り付けられていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡
    用の走査機構。
  2. 前記垂直微動機構が、積層型圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構。
  3. 前記垂直微動機構が、前記対物レンズを中心軸上に配した円筒状の積層型圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡用の走査機構。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の走査機構であることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  5. 前記ステージに溝部を設け、前記垂直微動機構の上部に前記水平微動機構の移動面内での移動が拘束された状態で設置されたボールベアリングを前記ステージの溝部に嵌合状態で脱着可能に支持され、前記ステージ及び前記垂直微動機構の一方に磁石が取り付けられていると共に他方に金属部が設けられ、互いに磁力により引きつけられていることを特徴とする請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 前記ステージの下方かつ前記プローブの直下に配され前記被測定物からの光を集光する対物レンズを備え、前記垂直微動機構が、前記対物レンズの周囲に配されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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