JP2008102143A - ハイブリダイゼーション検出装置 - Google Patents

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幸二 橋本
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Abstract

【課題】 測定環境の変動を補償された状態で高精度に行うハイブリダイゼーション検出装置を提供する。
【解決手段】 検体DNAプローブ12が固定されたプローブ電極11と、プローブと検体溶液がハイブリダイゼーションを起こしている場合のプローブ電極電流に等しい電流Iと、プローブと検体溶液がハイブリダイゼーションを起こしていない場合のプローブ電極電流に等しい電流Iとを発生させ、検体溶液にさらしたプローブ電極11に流れるプローブ電極電流Itaを検知し、電流I及びIとを電流増幅及び電流電圧変換した後に比較してプローブ電極11上でのハイブリダイゼーションの有無を判定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、測定環境の変動を補償された状態で高精度に行うハイブリダイゼーション検出装置に関する。
従来、ハイブリダイゼーションを検出するための装置としては、例えば、特許文献1に開示されている検出装置がある。この検出装置では、基板上にプローブとなる核酸を固定した電極が設けられている。そして、基板上の核酸を反応槽内のサンプルを含む緩衝液に浸し、サンプルと核酸とをハイブリダイゼーションさせる。そしてハイブリダイゼーションした電極には、核酸とサンプルとの間で酸化還元反応が起こって電荷が放出され、プローブ電極からの電流値あるいは電圧値などを測定し、測定結果より、サンプル中に含まれる検出対象とした核酸の量が算出される。
特開平10−146183号
しかしながら、上記構成のDNAチップでは、ハイブリダイゼーションが生じる場合と生じない場合のプローブ電極電流値はS/N比が1.5程度と小さく、その絶対値も数10nAと非常に小さい。また、電流値は一般に温度、検体溶液濃度などにより変動する。このため、ハイブリダイゼーションが生じているか否かを判定するための精度の高いプローブ電極電流の測定が困難であるという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、測定環境の変動を補償された状態で高精度に行うハイブリダイゼーション検出装置を提供することにある。
本発明の一の観点によれば、所定の塩基配列を有する検出用プローブが固定され、未知の塩基配列を有する検体を含む溶液に晒されるべき検出用プローブ電極と、
前記溶液中でハイブリダイゼーションを起こす既知の塩基配列を有する第1の参照プローブと、前記溶液中でハイブリダイゼーションを起こさない既知の塩基配列を有する第2の参照プローブとが固定された参照プローブ電極と、
前記検出用プローブ電極からの検出用プローブ電極電流を増幅して検出用プローブ信号を出力する増幅回路と、
前記参照プローブ電極からの、前記第1の参照プローブがハイブリダイゼーションを起こした場合の参照プローブ電流(I)と前記第2の参照プローブがハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電流(I)を加算した参照プローブ電極電流(I)を増幅した参照用加算信号を出力する加算出力回路と、
前記検出用プローブ信号と前記参照用加算信号とを比較して前記未知の塩基配列を有する検体と前記検出用プローブとの間で生じるハイブリダイゼーションを検出する判定回路と、
を具備してなるハイブリダイゼーション検出装置において、
前記参照プローブ電極電流Iは、判定電流率をIとすると、
(I−I)×I/100+I=I
ここで、30≦I<50
の関係を有することを特徴とするハイブリダイゼーション検出装置が提供される。
本発明の一の実施形態によれば、前記増幅回路は、前記検出用プローブ電流を電流増幅する第1の電流増幅回路及び電流増幅された前記検出用プローブ電流を電圧信号に変換して前記検出用プローブ信号として出力する第1の電流電圧変換回路を含み、
前記加算出力回路は、前記参照プローブ電極電流を加算して電流増幅する第2の電流増幅回路及び電流増幅された前記加算参照プローブ電極電流を電圧信号に変換して前記参照用加算信号として出力する第2の電流電圧変換回路を含む。
また、本発明の別の一の実施形態によれば、前記検出用プローブ電極は、電極面積Sを有し、前記参照プローブ電極は、略電極面積Sを有する。
また、本発明の別の一の実施形態によれば、前記第1の参照プローブ及び前記第2の参照プローブは、(1−q):q(q<1)の割合で前記参照プローブ電極に固定される。
また、本発明の別の一の実施形態によれば、前記加算出力回路は、前記参照プローブ電極電流をp倍に増幅して参照用加算信号を出力し、
前記第1の増幅回路は、前記検出用プローブ電流をp倍して前記検出用プローブ信号を出力する。
更に、本発明の別の一の実施形態によれば、前記検出用プローブ電極は、複数用意され、当該複数の検出用プローブ電極並びに前記参照プローブ電極は、行列に配列されて前記溶液に晒される。
本発明によれば、検体DNAプローブの電流と、ハイブリダイゼーションを起こし、あるいは起こさないことが確実な既知の参照プローブの電流を比較検知することにより、検体DNAプローブのハイブリダイゼーションの有無の判定を測定環境の変動を補償された状態で高精度に行うことができる。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、この発明の一実施の形態に係るハイブリダイゼーション検出装置を説明する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図である。この図1に示されるハイブリダイゼーション検出装置が例えば半導体などにより構成されたチップに形成される。
図1に示すように、プローブ電極11に検体DNAプローブ12が固定されている。参照プローブ電極21には参照DNAプローブ22が固定されている。参照プローブ電極31には参照DNAプローブ32が固定されている。
参照DNAプローブ22は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていることが既知の参照DNA試料からなる。参照DNAプローブ32は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていないことが既知の参照DNA試料からなる。
また、図1には図示していないが、このハイブリダイゼーション検出装置は、プローブ電極11,参照プローブ電極21及び31に対向してそれぞれ共通の電位に保持される対向電極を備え、かつプローブ電極11,参照プローブ電極21及び31の近傍にそれぞれ共通の電位に保持される参照電極を備える。
また、この検出装置では、プローブ電極11がアレイ状に複数配列されている。また、この検出装置には、参照プローブ電極21及び31がそれぞれ1つずつ設けられている。もちろん、これら参照プローブ電極21及び31は、1つのチップにそれぞれ複数設けられていてもよい。
プローブ電極11には、トランジスタTra1〜Tra5からなる電流増幅回路及びI/V変換回路に接続されている。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、プローブ電極11から流れる電流Itaの電流増幅を行う機能と、かつその増幅電流を電圧Vtaに変換するI/V変換機能、すなわち電流電圧変換機能を有する。
[プローブ電極11]
プローブ電極11は、トランジスタTra0のドレイン電極と接続されている。トランジスタTra0のゲート電極はワード線iに接続され、またソース電極はビット線jに接続されている。
ビット線jには、トランジスタTra1のドレイン電極及びゲート電極が接続されている。トランジスタTra1のソース電極はトランジスタTra2のドレイン電極と接続されている。トランジスタTra1とトランジスタTra4のゲート電極が接続されている。これにより、トランジスタTra1とトランジスタTra4がカレントミラー構造をなしている。トランジスタTra1とトランジスタTra4は、例えばそれぞれのゲート幅の比がa:bに設定されることにより、トランジスタTra1のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSa1に対するトランジスタTra4のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSa4の電流増幅率がb/a倍に設定される。
トランジスタTra4のドレイン電極はトランジスタTra3のドレイン電極と接続されている。トランジスタTra4のソース電極はトランジスタTra5のドレイン電極と接続されている。トランジスタTra2及びトランジスタTra5のソース電極は接地されている。トランジスタTra2とトランジスタTra5は、それぞれのゲート幅の比はトランジスタTra1とTra4と同一の比のa:bに設定される。これにより、トランジスタTra2に流れるドレイン電流IDSa2に対するトランジスタTra5のドレイン電流IDSa5の電流増幅率がb/a倍に設定される。
トランジスタTra3はPMOSトランジスタであり、ゲート電位はPMOSバイアス電位VPMOSに設定される。トランジスタTra0、Tra1、Tra2、Tra4、Tra5はNMOSトランジスタであり、トランジスタTra2、Tra5のゲート電位はNMOSバイアス電位VNMOSに設定される。
トランジスタTra4のドレイン電極とトランジスタTra3の間の電圧Vtaは、差動増幅器Dの反転入力端子及び差動増幅器Dの非反転入力端子に接続される。また、トランジスタTra3のソース電極には電源電圧VDDが与えられている。
トランジスタTra1〜Tra5によるI/V変換作用は以下の通りである。
トランジスタTra1〜Tra5は、それぞれトランジスタの5極管領域で動作する。この5極管領域では、トランジスタのゲート電圧VGSが一定の場合、トランジスタのドレインからソースに流れるドレイン電流IDSが一定で、ソースに対するドレインの電圧VDSが変動する。
プローブ電極11のワード線iが選択されると、プローブ電極11からの電荷がトランジスタTra0のドレイン電極からソース電極に流れる。また、プローブ電極11のビット線jが選択されると、このビット線jに接続されたトランジスタTra1及びTra4が動作を開始する。
また、トランジスタTra2、Tra3及びTra5の各ゲート電極にはバイアス電位VPMOSあるいはVNMOSが印加されているため、これらトランジスタTra2、Tra3及びTra5のゲート電位は変動せず、トランジスタTra1及びTra4のみのゲート電位が変動する。
プローブ電極11から流れる電流Itaが増加すると、トランジスタTra1のゲート電圧Vga1は高くなる。この場合、トランジスタTra1,Tra2,Tra4,Tra5によるドレイン及びソース間の抵抗は小さくなるため、電圧Vtaは小さくなる。
一方、プローブ電極11から流れる電流Itaが減少すると、トランジスタTra1のゲート電圧Vga1は低くなる。この場合、電流Itaが増加した場合と逆に作用するため、トランジスタTra1,Tra2,Tra4,Tra5によるドレイン及びソース間の抵抗は大きくなるため、電圧Vtaは大きくなる。
このような動作により、電流Itaが大きい場合には電圧Vtaが小さくなり、電流Itaが小さい場合には電圧Vtaが大きくなり、電流値を電圧値に変換することができる。
以上のようにして、プローブ電極11から流れる電流Itaは、電流増幅され、かつ増幅電流が電圧に変換されてVtaとして取り出される。
[参照プローブ電極21]
参照プローブ電極21には、トランジスタTrb1〜Trb5からなる電流増幅回路及びI/V変換回路に接続されている。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、参照プローブ電極21から流れる電流Iの電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vに変換する。
この参照プローブ電極21は、トランジスタTrb0のドレイン電極と接続されている。トランジスタTrb0のゲート電極はワード線iの立ち上がり電圧と同一の電源電圧VDDに設定されている。
トランジスタTrb0のソース電極には、トランジスタTrb1のドレイン電極及びゲート電極が接続されている。トランジスタTrb1のソース電極はトランジスタTrb2のドレイン電極と接続されている。トランジスタTrb1とトランジスタTrb4のゲート電極が接続されている。これにより、トランジスタTrb1とトランジスタTrb4がカレントミラー構造をなしている。トランジスタTrb1とトランジスタTrb4は、例えばそれぞれのゲート幅の比がa:bに設定されることにより、トランジスタTrb1のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSb1に対するトランジスタTrb4のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSb4の電流増幅率がa/b倍に設定される。
トランジスタTrb4のドレイン電極はトランジスタTrb3のドレイン電極と接続されている。トランジスタTrb4のソース電極はトランジスタTrb5のドレイン電極と接続されている。トランジスタTrb2及びトランジスタTrb5のソース電極は接地されている。トランジスタTrb2とトランジスタTrb5は、それぞれのゲート幅の比はトランジスタTrb1とTrb4と同一の比のa:bに設定される。これにより、トランジスタTrb2に流れるドレイン電流IDSb2に対するトランジスタTrb5のドレイン電流IDSb5の電流増幅率がb/a倍に設定される。
トランジスタTrb3はPMOSトランジスタであり、ゲート電位はPMOSバイアス電位VPMOSに設定される。トランジスタTrb0、Trb1、Trb2、Trb4、Trb5はNMOSトランジスタであり、トランジスタTrb2、Trb5のゲート電位はNMOSバイアス電位VNMOSに設定される。
トランジスタTrb4のドレイン電極とトランジスタTrb3の間の電圧Vは、差動増幅器Dの非反転入力端子に接続される。また、トランジスタTrb3のソース電極には電源電圧VDDが与えられている。
これら各トランジスタTrb1〜Trb5は、プローブ電極11に接続されたトランジスタTra1〜Tra5にそれぞれ対応して同一の構成となっている。従って、トランジスタTrb1〜Trb5によるI/V変換作用は、トランジスタTra1〜Tra5によるI/V変換作用と共通するので詳細な説明は省略する。
このようなトランジスタTrb0〜Trb5により、参照プローブ電極21から流れる電流I1は、電流増幅され、かつ増幅電流が電圧に変換されてVとして取り出される。
[参照プローブ電極31]
参照プローブ電極31には、トランジスタTrc1〜Trc5からなる電流増幅回路及びI/V変換回路に接続されている。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、参照プローブ電極31から流れる電流Iの電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vに変換する。
この参照プローブ電極31に接続されるトランジスタTrc0〜Trc5の構成は参照プローブ電極21に接続されたトランジスタTrb0〜Trb5と全く同一であるので詳細な説明は省略する。
これらトランジスタTrc0〜Trc5により、参照プローブ電極21から流れる電流Iは、電流増幅され、かつ増幅電流が電圧に変換されてVとして取り出される。
トランジスタTrc4のドレイン電圧Vは、差動増幅器Dの反転入力端子に接続されている。
[差動増幅器D〜D
差動増幅器Dは、プローブ電極11側のトランジスタTra4のドレイン電圧Vtaと、参照プローブ電極31側のトランジスタTrc4のドレイン電圧Vを入力として、これら電圧VtaとVの差に比例した差動電圧Vを出力する。
差動増幅器Dは、プローブ電極11側のトランジスタTra4のドレイン電圧Vtaと、参照プローブ電極21側のトランジスタTrb4のドレイン電圧Vを入力として、これら電圧VtaとVの差に比例した差動電圧Vを出力する。
差動増幅器Dは、差動増幅器Dの出力電圧V及び差動増幅器Dの出力電圧Vを入力とし、これら電圧V及びVの差に比例した差動電圧VOUTを出力する。
[装置動作]
以上のように構成されたハイブリダイゼーション検出装置の動作を説明する。
[ハイブリダイゼーションが生じている場合]
まず、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしている場合について説明する。
本実施形態に示されるハイブリダイゼーション検出装置の各電極を、塩基配列が未知のDNA溶液に挿入剤とともにさらす。この溶液への浸漬によりハイブリダイゼーションが生じている場合、挿入材とハイブリダイゼーション部位との間で酸化還元反応が生じて電荷が放出される。この電荷放出により、プローブ電極11にプローブ電極電流Itaが流れる。
また、参照プローブ電極21上では、ハイブリダイゼーションが生じ、これに応じた電荷放出がプローブ電極11上の場合と同様に得られる。この電荷放出により、参照プローブ電極21に参照プローブ電極電流I1が流れる。
一方、参照プローブ電極31上では、検体DNAとハイブリダイゼーションを起こさない。従って、プローブ電極11や参照プローブ電極21上で見られたような電荷放出は起こらない。この場合に参照プローブ電極31上に流れる参照プローブ電極電流をIとする。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流I、I
ta>(I+I)/2 …(1a)
を満たす。また、これら電流Ita、I及びIは、図1のトランジスタTra1〜Tra5、Trb1〜Trb5、Trc1〜Trc5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、V及びVに変換され、差動増幅器D及びDに出力される。
各電極11,21,31における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(1a)に基づき以下の式(2a)が成立する。
ta<(V+V)/2 …(2a)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧Vが得られる。従って、V=e(V−Vta)が成立する。eは定数である。また、電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧Vが得られる。従って、V=e(Vta−V)が成立する。
このとき、電圧V及びVを比較すると、
<V …(3a)
となる。従って、Vを反転入力として、かつVを非反転入力として差動増幅器Dにより差動増幅されることにより、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはロー状態となる。
[ハイブリダイゼーションが生じていない場合]
次に、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしていない場合について説明する。
ハイブリダイゼーションが生じていない場合、参照プローブ電極21上で見られたような電荷放出は起こらない。この場合にプローブ電極11上に流れる参照プローブ電極電流をItaとする。
また、参照プローブ電極21上では、ハイブリダイゼーションが生じ、これに応じた電荷放出が得られる。この電荷放出により、参照プローブ電極21に参照プローブ電極電流Iが流れる。
さらに、参照プローブ電極31上では、検体DNAとハイブリダイゼーションを起こさない。従って、参照プローブ電極21上で見られたような電荷放出は起こらない。この場合に参照プローブ電極31上に流れる参照プローブ電極電流をIとする。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流I、I
ta<(I+I)/2 …(1b)
を満たす。また、これら電流Ita、I及びIは、図1のトランジスタTra1〜Tra5、Trb1〜Trb5、Trc1〜Trc5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、V及びVに変換され、差動増幅器D及びDに出力される。
各電極11,21,31における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(1b)に基づき以下の式(2b)が成立する。
ta>(V+V)/2 …(2b)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧Vが得られる。従って、V=e(V−Vta)が成立する。eは正の定数である。
また、電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧Vが得られる。従って、V=e(Vta−V)が成立する。
このとき、電圧V及びVを比較すると、
>V …(3b)
となる。従って、Vを反転入力として、かつVを非反転入力として差動増幅器Dにより差動増幅されることにより、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはハイ状態となる。
このように本実施形態によれば、ハイブリダイゼーションを起こすことが確実な既知のプローブとハイブリダイゼーションを起こさないことが確実な既知のプローブを用いて参照電極電流を発生させ、この電流とプローブ電流を比較することにより、温度、検体DNAプローブの溶液濃度、電源電圧といった測定環境の変動が補償され、高精度のハイブリダイゼーション検知が可能となる。
なお、本実施形態では、プローブ電極電流と参照プローブ電極電流のそれぞれをI/V変換し、電圧同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定する例を示したが、これに限定されるものではない。電圧に変換することなく、電流同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定してもよい。この場合、例えばプローブ電極電流としてトランジスタTra5のドレイン電流IDSa5を、参照プローブ電極電流としてトランジスタTrb5及びTrc5のドレイン電流IDSb5,IDSc5を比較すればよい。もちろん、電流増幅前のトランジスタTra2、Trb2及びTrc2のドレイン電流IDSa2、IDSb2、IDSc2を比較してもよい。
(第2実施形態)
図2は本発明の第2実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図である。なお、以下の実施形態において前述の実施形態と重複する構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この図2に示されるハイブリダイゼーション検出装置が例えば半導体などにより構成されたチップに形成される。
図2に示すように、プローブ電極11に検体DNAプローブ12が固定されている。プローブ電極11の電極面積をSとする。また、参照プローブ電極41には参照DNAプローブ42が固定されている。参照プローブ電極51には参照DNAプローブ52が固定されている。
参照DNAプローブ42は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていることが既知の参照DNA試料からなる。参照DNAプローブ52は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていないことが既知の参照DNA試料からなる。
また、図2には図示していないが、プローブ電極11,参照プローブ電極41及び51に対向してそれぞれ共通の電位に保持される対向電極を備え、かつプローブ電極11,参照プローブ電極41及び51の近傍にそれぞれ共通の電位に保持される参照電極を備える。
このハイブリダイゼーション検出装置には、プローブ電極11がアレイ状に複数配列されている。また、この検出装置には、参照プローブ電極41及び51がそれぞれ1つずつ設けられている。もちろん、これら参照プローブ電極41及び51は、1つのチップにそれぞれ複数設けられていてもよい。
プローブ電極11には、トランジスタTra1〜Tra5からなる電流増幅回路及びI/V変換回路に接続されている。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、プローブ電極11から流れる電流Itaの電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vtaに変換する。その動作については、第1実施形態と共通するので省略する。この電圧Vtaは、差動増幅器Dの非反転入力端子に接続されている。
[参照プローブ電極41,51]
トランジスタTrd0のドレイン電極には、参照プローブ電極41及び51が並列に接続されている。参照プローブ電極41の電極面積をS×k(k<1)とすると、参照プローブ電極51の電極面積はS×(1−k)である。なお、本実施形態では以下説明の便宜のためk=1/2として説明するが、0<k1<1のいかなる値をとってもよい。
トランジスタTrd0のゲート電極は、ワード線iの立ち上がり電圧と同一の電源電圧VDDに設定されている。また、このトランジスタTrd0を介してトランジスタTrd1〜Trd5が接続されている。これらトランジスタTrd1〜Trd5は、第1実施形態に示すトランジスタTrb1〜Trb5とそれぞれ対応し、かつ同一の構成をとっており、電流増幅回路及びI/V変換回路として機能する。従って、その機能の詳細については省略する。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、参照プローブ電極41から流れる参照プローブ電極電流I/2と、参照プローブ電極51から流れる参照プローブ電極電流I/2の電流の和に対して電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vに変換する。この電圧Vは、差動増幅器Dの反転入力端子に接続されている。
[差動増幅器D
差動増幅器Dは、プローブ電極11側でプローブ電極電流Itaが電流増幅され、かつI/V変換された、トランジスタTra4のドレイン電圧Vtaを非反転入力として、参照プローブ電極41,51側でプローブ電極電流Iが電流増幅され、かつI/V変換された、トランジスタTrd4のドレイン電圧Vを反転入力として、これら電圧Vta及びVの差に比例した差動電圧VOUTを出力する。
[装置動作]
以上のように構成されたハイブリダイゼーション検出装置の動作を説明する。
[ハイブリダイゼーションが生じている場合]
まず、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしている場合について説明する。
本実施形態に示されるハイブリダイゼーション検出装置の各電極を、塩基配列が未知の検体DNA溶液に挿入剤とともにさらす。この溶液への浸漬によりハイブリダイゼーションが生じている場合、検体DNAプローブ12と検体DNAとのハイブリダイゼーションにより、挿入材とハイブリダイゼーション部位との間で酸化還元反応が生じて電荷が放出される。この電荷放出により、プローブ電極11にプローブ電極電流Itaが流れる。
また、参照プローブ電極41上では、ハイブリダイゼーションが生じ、これに応じた電荷放出がプローブ電極11上の場合と同様に得られる。この電荷放出により、参照プローブ電極41に参照プローブ電極電流I/2が流れる。
さらに、参照プローブ電極51上では、検体DNAとハイブリダイゼーションを起こさない。従って、プローブ電極11や参照プローブ電極41上で見られたような電荷放出は起こらない。この場合に参照プローブ電極51上に流れる参照プローブ電極電流をI/2とする。ここで、プローブ電極電流の値及び参照プローブ電極電流の値は、プローブ電極面積に比例する。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流I/2、I/2は
ta>I …(4a)
を満たす。ここで、I=(I+I)/2である。
また、これら電流Ita、Iは、図2のトランジスタTra1〜Tra5、Trd1〜Trd5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、Vに変換され、差動増幅器Dに出力される。
各電極11,41,51における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(1a)に基づき以下の式(2a)が成立する。
ta<V …(5a)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧VOUTが得られる。従って、VOUT=e(Vta−V)が成立する。eは定数である。従って、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはロー状態となる。
[ハイブリダイゼーションが生じていない場合]
次に、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしていない場合について説明する。
ハイブリダイゼーションが生じていない場合、ハイブリダイゼーションが生じている場合のような電荷放出は起こらない。この場合にプローブ電極11上に流れる参照プローブ電極電流をItaとする。
また、参照プローブ電極41上では、検体DNAとハイブリダイゼーションを起こし、これに応じた電荷放出が得られる。この電荷放出により、参照プローブ電極41に参照プローブ電極電流I/2が流れる。
さらに、参照プローブ電極51上では、検体DNAとハイブリダイゼーションを起こさない。従って、参照プローブ電極41上で見られたような電荷放出は起こらない。この場合に参照プローブ電極51上に流れる参照プローブ電極電流をI/2とする。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流I/2、I/2は、
ta<I …(4b)
を満たす。ここで、I=(I+I)/2である。また、これら電流Ita、Iは、図2のトランジスタTra1〜Tra5、Trd1〜Trd5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、Vに変換され、差動増幅器Dに出力される。
各電極11,41,51における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(4b)に基づき以下の式(5b)が成立する。
ta>V …(5b)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧VOUTが得られる。従って、VOUT=e(Vta−V)が成立する。eは正の定数である。従って、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはハイ状態となる。
上記実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置を用いて測定した結果を表1に示す。
Figure 2008102143
表1は、判定電流率Iと、この判定電流率に対応する負の誤り率と正の誤り率を示している。判定電流率Iとは、ハイブリダイゼーションを起こすことが既知の参照DNAプローブ22がハイブリダイゼーションを起こした場合の参照プローブ電極電流値をI、ハイブリダイゼーションを起こさないことが既知の参照DNAプローブ32がハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電極電流値をIとした場合の、参照プローブ電極電流Iの設定率(%)を示している。具体的には、
(I−I)×I/100+I=I
である。負の誤り率とは、本来はハイブリダイゼーションが生じているのにハイブリダイゼーションが生じていないと誤って判定する率を示す。正の誤り率とは、本来はハイブリダイゼーションが生じていないのにハイブリダイゼーションが生じていると誤って判定する率を示す。
表1に示されるように、判定電流率Iは、30≦I<50において、負の誤り率、正の誤り率ともに20以下になり、高い測定精度が得られることが分かる。従って、このような判定電流率I、すなわちハイブリダイゼーションを起こす場合の電流値Iと、ハイブリダイゼーションを起こさない場合の電流値Iの中間の値よりも電流値Iに近い電流率Iになるように設定されるのが望ましい。
この第2の実施形態では、I=(I+I)/2として説明したが、I≦(I+I)/2とするのがより精度の高い測定が行えることが表1により示された。
具体的に判定電流率Iを調整するためには、電流値I及びIあるいは電圧値V及びVの値を電流増幅率などにより調整したり、電圧変換時に調整したり、あるいは参照電流自体を調整すればよい。
このように本実施形態によれば、ハイブリダイゼーションを起こすことが確実な既知のプローブとハイブリダイゼーションを起こさないことが確実な既知のプローブを用いて参照電極電流を発生させ、この電流とプローブ電流を比較することにより、温度、検体DNAプローブの溶液濃度、電源電圧といった測定環境の変動が補償され、高精度のハイブリダイゼーション検知が可能となる。
また、プローブ電極電流及び参照プローブ電極電流は、電極面積に比例するため、検体DNAプローブを固定させた電極と、参照DNAプローブを固定させた電極の総面積とを同一面積とすることにより、それら電極から得られる電流を直接電流増幅、I/V変換して比較することで、ハイブリダイゼーションの有無を判定することができる。
なお、本実施形態では、プローブ電極電流と参照プローブ電極電流のそれぞれをI/V変換し、電圧同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定する例を示したが、これに限定されるものではない。電圧に変換することなく、電流同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定してもよい。この場合、例えばプローブ電極電流としてトランジスタTra5のドレイン電流IDSa5を、参照プローブ電極電流としてトランジスタTrd5のドレイン電流IDSd5を比較すればよい。もちろん、電流増幅前のトランジスタTra2及びTrd2のドレイン電流IDSa2、IDSd2を比較してもよい。
また、本実施形態では、各参照プローブ電極41,51の電極面積をS/2としたが、同じ面積とする必要はなく、これら電極41及び51の電極面積の和がSとなるように面積の比率を設定すればよい。
(第3実施形態)
図3は本発明の第3実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図である。この図3に示されるハイブリダイゼーション検出装置が例えば半導体などにより構成されたチップに形成される。
図3に示すように、プローブ電極11に検体DNAプローブ12が2本固定されている。プローブ電極11の電極面積をSとする。また、参照プローブ電極61には参照DNAプローブ42及び参照DNAプローブ52がそれぞれ1本ずつ固定されている。このように、プローブ電極11に固定された検体DNAプローブ12の本数と参照プローブ電極61に固定された参照DNAプローブ42及び52は同じ本数にされ、かつ参照DNAプローブ42と52の本数が同じにされる。また、プローブ電極11の電極面積Sと参照プローブ電極61の電極面積Sは同じである。
また、図3には図示していないが、プローブ電極11及び参照プローブ電極61に対向してそれぞれ共通の電位に保持される対向電極を備え、かつプローブ電極11及び参照プローブ電極61の近傍にそれぞれ共通の電位に保持される参照電極を備える。
参照DNAプローブ42は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていることが既知の参照DNA試料からなる。参照DNAプローブ52は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていないことが既知の参照DNA試料からなる。
プローブ電極11には、トランジスタTra1〜Tra5からなる電流増幅回路及びI/V変換回路に接続されている。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、プローブ電極11から流れる電流Itaの電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vtaに変換する。その動作については、第1実施形態と共通するので省略する。この電圧Vtaは、差動増幅器Dの非反転入力端子に接続されている。
[参照プローブ電極41,51]
トランジスタTrd0のドレイン電極には、参照プローブ電極61が接続されている。
トランジスタTrd0のゲート電極は、ワード線iの立ち上がり電圧と同一の電源電圧VDDに設定されている。また、このトランジスタTrd0を介してトランジスタTrd1〜Trd5が接続されており、電流増幅回路及びI/V変換回路として機能する。その動作は第2実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。この電流増幅回路及びI/V変換回路は、参照プローブ電極61から流れる参照プローブ電極電流I(I+I)/2に対して電流増幅を行い、かつその増幅電流を電圧Vに変換する。この電圧Vは、差動増幅器Dの反転入力端子に接続されている。
[差動増幅器D
差動増幅器Dは、トランジスタTra4のドレイン電圧Vtaを非反転入力として、トランジスタTrd4のドレイン電圧Vを反転入力として、これら電圧Vta及びVの差に比例した差動電圧VOUTを出力する。
[装置動作]
以上のように構成されたハイブリダイゼーション検出装置の動作を説明する。
[ハイブリダイゼーションが生じている場合]
まず、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしている場合について説明する。ここで、プローブ電極11に流れるプローブ電極電流をIta、参照プローブ電極61に流れる参照プローブ電極電流をI=(I+I)/2とする。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流I
ta>I …(6a)
を満たす。
なお、望ましくは、第1実施形態に示した判定電流率Iの実験結果に従い、参照DNAプローブ42がハイブリダイゼーションを起こした場合のプローブ電極電流値をI、参照DNAプローブ52がハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電極電流値をI、参照プローブ電極電流Iとした場合に、(I−I)×I/100+I=Iにおける判定電流率Iが30≦I<50の範囲に定められるように参照プローブ電流を調整するのが望ましい。
また、これら電流Ita、Iは、図3のトランジスタTra1〜Tra5、Trd1〜Trd5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、Vに変換され、差動増幅器Dに出力される。
各電極11,61における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(1a)に基づき以下の式(2a)が成立する。
ta<V …(7a)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧VOUTが得られる。従って、VOUT=e(Vta−V)が成立する。eは定数である。従って、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはロー状態となる。
[ハイブリダイゼーションが生じていない場合]
次に、検体DNAプローブ12が、プローブ電極11上で検体DNAとハイブリダイゼーションを起こしていない場合について説明する。
このとき、プローブ電極電流Ita及び参照プローブ電極電流Iは、
ta<I …(6b)
を満たす。また、これら電流Ita、Iは、図3のトランジスタTra1〜Tra5、Trd1〜Trd5による電流増幅及びI/V変換を経て、電圧Vta、Vに変換され、差動増幅器Dに出力される。
各電極11,41,51における電流増幅率は同一であり、またI/V変換の際に電流と電圧の大小関係が逆転するため、上記電流に関する式(6b)に基づき以下の式(7b)が成立する。
ta>V …(7b)
電圧Vta及びVは、差動増幅器Dにより差動増幅されて電圧VOUTが得られる。従って、VOUT=e(Vta−V)が成立する。eは正の定数である。従って、この差動増幅器Dの出力電圧VOUTはハイ状態となる。
このように本実施形態によれば、ハイブリダイゼーションを起こすことが確実な既知のプローブとハイブリダイゼーションを起こさないことが確実な既知のプローブを用いて参照電極電流を発生させ、この電流とプローブ電流を比較することにより、温度、検体DNAプローブの溶液濃度、電源電圧といった測定環境の変動が補償され、高精度のハイブリダイゼーション検知が可能となる。
また、単一のプローブ電極にハイブリダイゼーションを起こすことが既知なプローブと起こさないことが既知なプローブとを搭載することができるため、プローブ電極数を減らすことができる。
なお、本実施形態では、プローブ電極電流と参照プローブ電極電流のそれぞれをI/V変換し、電圧同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定する例を示したが、これに限定されるものではない。電圧に変換することなく、電流同士を比較してハイブリダイゼーションの有無を判定してもよい。この場合、例えばプローブ電極電流としてトランジスタTra5のドレイン電流IDSa5を、参照プローブ電極電流としてトランジスタTrd5のドレイン電流IDSd5を比較すればよい。もちろん、電流増幅前のトランジスタTra2及びTrd2のドレイン電流IDSa2、IDSd2を比較してもよい。
また、本実施形態では、検体DNAプローブ12を2本、参照DNAプローブ42及び52をそれぞれ1本とする場合により説明したが、参照DNAプローブ42及び52の本数を等しくし、かつ検体DNAプローブ12の本数と参照DNAプローブ42及び52の本数の和を等しくし、これらの本数の比率を変えずにそれぞれの本数を増やしてもよい。
(第4実施形態)
図4は本発明の第4実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の構成を示す図である。この図4に示されるハイブリダイゼーション検出装置が例えば半導体などにより構成されたチップに形成される。
図4に示すように、複数のプローブ電極71及び参照プローブ電極81、91が行列状に配列されている。複数のプローブ電極71の各行に、参照プローブ電極81及び91がそれぞれ配列され、各行の参照プローブ電極81により1つの列が構成され、各行の参照プローブ電極91により1つの列が構成される。プローブ電極71,参照プローブ電極81及び91はそれぞれ同一の電極面積Sを有する。
この電極の行列の各行においては、複数のプローブ電極71と、参照プローブ電極81及び91が共通のワード線iに接続されている。そして、各ワード線iは、それぞれ共通の行選択回路101に接続される。行選択回路101は、任意の行を選択することにより、任意の一のワード線iを立ち上げる。
所定の列に属する複数のプローブ電極71は、共通のビット線jに接続されている。また、複数の参照プローブ電極81、複数の参照プローブ電極91も、それぞれ共通のビット線jに接続されている。
プローブ電極71に接続されたビット線jは、それぞれ複数の電流増幅回路102に接続されている。この電流増幅回路102は、ビット線jを介して得られるプローブ電極71からのプローブ電極電流Itaをm倍に増幅する。
また、参照プローブ電極81及び91に接続されたビット線jは、電流増幅回路103に接続されている。この電流増幅回路103は、ビット線jを介して得られる参照プローブ電極81及び91からのそれぞれの参照プローブ電極電流I、Iをm/2倍に増幅する。
各電流増幅回路102には、読み出し増幅回路104がそれぞれ対応づけられて設けられている。読み出し増幅回路104は、それぞれ対応する電流増幅回路102と、それぞれに共通の電流増幅回路103に接続されており、これら電流増幅回路102,103からの増幅電流m×Ita、(I+I)×(m/2)に対してそれぞれI/V変換を行い、かつ得られた各電圧Vta、Vの差動増幅を行い、得られた差動電圧VOUTを一致・不一致データ、すなわちハイブリダイゼーションの有無の判定結果を示すデータとしてCMOSレベルのデジタルデータに変換し、シフトレジスタ105に一括して出力し、シフトレジスタ105に格納される。この読み出し増幅回路104からシフトレジスタ105へのデータ転送は、すべてのシフトレジスタ105に対して一斉に一括して行われる。シフトレジスタ105に格納されたデータは、データ出力部106によりシリアルに読み出される。
図5はプローブ電極71,参照プローブ電極81,91,電流増幅回路102,103及び読み出し増幅回路104を詳細に示す図である。
プローブ電極71には検体DNAプローブ72が固定されている。参照プローブ電極81には参照DNAプローブ82が固定されている。参照プローブ電極91には参照DNAプローブ92が固定されている。参照DNAプローブ82は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていることが既知の参照DNA試料からなる。参照DNAプローブ92は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていないことが既知の参照DNA試料からなる。
なお、望ましくは、第1実施形態に示した判定電流率Iの実験結果に従い、参照DNAプローブ82がハイブリダイゼーションを起こした場合のプローブ電極電流値をI、参照DNAプローブ92がハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電極電流値をI、参照プローブ電極電流Iとした場合に、(I−I)×I/100+I=Iにおける判定電流率Iが30≦I<50の範囲に定められるように参照プローブ電流を調整するのが望ましい。
プローブ電極71,参照プローブ電極81及び91に対向して対向電極73,83及び93が設けられている。これら対向電極73,83及び93は、共通の電圧源111に接続され、所定の電圧に保持される。
また、検体DNAプローブ72,参照DNAプローブ82及び92の近傍にはそれぞれ参照電極74,84及び94が設けられている。これら参照電極74,84及び94は共通の電圧源112に接続され、所定の電圧に保持される。
プローブ電極71,参照プローブ電極81及び91にはそれぞれトランジスタTra0、Trb0及びTrc0のドレイン電極が接続されている。また、これらトランジスタTra0、Trb0及びTrc0のソース電極は共通のワード線iに接続されている。
これらトランジスタTra0、Trb0及びTrc0のソース電極はそれぞれ別のビット線jに接続されている。また、トランジスタTrb0及びTrc0のビット線jは共通の電流増幅回路103に接続され、トランジスタTra0のビット線jは電流増幅回路102に接続される。
ワード線iが選択されることによりトランジスタTra0、Trb0及びTrc0がオンとなり、プローブ電極71,参照プローブ電極81及び91に流れる電流Ita、I及びIがビット線jを介して電流増幅回路102,103に出力される。
電流増幅回路102でm倍にされた電流m×Itaは、I/V変換回路104bに出力され、電圧に変換されて電圧Vtaが出力される。電流増幅回路103でm/2倍にされた電流m×(I+I)/2は、I/V変換回路104aに出力され、電圧に変換されて電圧Vが出力される。差動増幅回路104cは、反転入力端子に入力された電圧Vtaと、非反転入力端子に入力された電圧Vを差動増幅して差動電圧VOUTを出力する。2つのインバータ104d,104eは、この差動電圧VOUTをCMOSレベルのデジタルデータに変換して出力する。
図6は図5の電流増幅回路103及びI/V変換回路104aの詳細な構成を示す図である。図6に示すように、参照プローブ電極81,91それぞれの参照プローブ電極電流I,Iの和(I+I)がNMOSトランジスタTre1のゲート電極、ドレイン電極及びNMOSトランジスタTre2のゲート電極に入力される。NMOSトランジスタTre1のソース電極は接地されている。NMOSトランジスタTre1とTre2のゲート幅の比は1:m/2に設定される。また、NMOSトランジスタTre1とTre2はカレントミラー接続となっている。これにより、NMOSトランジスタTre1のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSe1に対するNMOSトランジスタTre2のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSe2の電流増幅率がm/2倍に設定される。
NMOSトランジスタTre2のドレイン電極は、差動増幅器121の非反転入力端子と、PMOSトランジスタTre3のドレイン電極に接続される。PMOSトランジスタTre3のソース電位は電源電圧VDDに保持される。差動増幅器121の反転入力端子には基準電圧Vrefが入力される。基準電圧Vrefは、I/V変換用の基準電位であり、このハイブリダイゼーション検出装置が形成されるチップの外、あるいはそのチップ上の基準電位発生回路より供給される。差動増幅器121の出力はPMOSトランジスタTre3のゲート電極に接続され、この差動増幅器121の出力電圧は電圧Vrとなる。
この図6に示す回路によるI/V変換機能は以下の原理の通りである。
まず、電流(I+I)が大きくなる場合について説明する。
NMOSトランジスタTre1に流れる電流(I+I)が大きくなると、NMOSトランジスタTre1のゲート電圧Vge1は大きくなる。このゲート電圧Vge1が大きくなり、またトランジスタTre1及びTre2間の電流増幅機能によりトランジスタTre2のドレインからソースに流れる電流IDSe2は大きくなる。この場合、トランジスタTre2のドレイン及びソース間の抵抗は小さくなり、トランジスタTre2のドレイン電圧Vde2を下げようとする。
一方、差動増幅器121及びPMOSトランジスタTre3のフィードバック機能により、差動増幅器121の反転入力端子の基準電圧Vrefと非反転入力端子の電圧Vde2を同電圧に保持しようと作用する。このフィードバック機能により、前述のトランジスタTre2のドレイン電圧Vde2を下げようとする作用を打ち消すように、トランジスタTre3のソースからドレインにかけて流れる電流が大きくなる。このトランジスタTre3の作用により、トランジスタTre3のゲート電圧に等しい電圧Vは低くなる。
電流(I+I)が小さくなる場合、基本的には電流(I+I)が大きくなる場合と逆の動作となる。すなわち、電流(I+I)が小さくなると、NMOSトランジスタTre1のゲート電圧Vge1は小さくなる。このゲート電圧Vge1が小さくなり、またトランジスタTre1及びTre2間の電流増幅機能によりトランジスタTre2のドレインからソースに流れる電流IDSe2は小さくなる。この場合、トランジスタTre2のドレイン及びソース間の抵抗は大きくなり、トランジスタTre2のドレイン電圧Vde2を上げようとする。
一方、差動増幅器121及びPMOSトランジスタTre3によるフィードバック機能により、前述のトランジスタTre2のドレイン電圧Vde2を上げようとする作用を打ち消すように、トランジスタTre3のソースからドレインにかけて流れる電流が小さくなる。このトランジスタTre3の作用により、トランジスタTre3のゲート電圧Vge3に等しい電圧Vは高くなる。
これにより、入力された電流I+Iがm/2倍に増幅し、かつその増幅電流が電圧に変換されて出力電圧Vとして得られる。
図7は図5の電流増幅回路102及びI/V変換回路104bの詳細な構成を示す図である。図6と共通する構成には同一符号を付し詳細な説明は省略する。図7が図6と異なるのは、NMOSトランジスタTrf1とTrf2のトランジスタの特性である。すなわち、図6のNMOSトランジスタTre1とTre2のゲート幅の比が1:m/2であるのに対して、NMOSトランジスタTrf1とTrf2のゲート幅の比は1:mに設定される。これにより、NMOSトランジスタTrf1のドレイン電流IDSf1に対するNMOSトランジスタTrf2のドレイン電流IDSf2の電流増幅率をm倍に設定することができる。これにより、NMOSトランジスタTrf1のドレイン電極に流れる電流Itaをm倍に増幅し、かつ電圧に変換して出力電圧Vtaが得られる。
[装置動作]
以上のように構成されたハイブリダイゼーション検出装置の動作を説明する。なお、検体DNAプローブ72がハイブリダイゼーションを起こしている場合と起こしていない場合に、参照DNAプローブ82や92からの出力電圧との差動電圧をとる動作については第1実施形態乃至第3実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。
行選択回路101により任意のワード線iが選択されると、そのワード線iに接続された任意の行のプローブ電極71,参照プローブ電極81及び91のトランジスタTra0、Trb0及びTrc0がオンし、それぞれのビット線jを介して各プローブ電極電流Itaが各電流増幅回路102に、参照プローブ電極電流I及びIが電流増幅回路103に流れる。この任意の行の選択による電流検出は、その行に属する複数のプローブ電極71、参照プローブ電極81及び91で一斉に一括して行われる。
各列に対応して設けられた複数の電流増幅回路102は、得られた各プローブ電極71からの各電流Itaをそれぞれm倍に増幅し、得られた増幅電流m×Itaを読み出し増幅回路104に出力する。
また、電流増幅回路103は、参照プローブ電極81から得られた参照プローブ電極電流Iと、参照プローブ電極91から得られた参照プローブ電極電流Iの和をm/2倍に増幅し、得られた増幅電流(m/2)×(I+I)を読み出し増幅回路104に出力する。
この複数の電流増幅回路102による増幅動作と、電流増幅回路103による増幅動作は一斉に一括して行われる。
各読み出し増幅回路104は、電流増幅回路102から得られた増幅電流m×Itaと電流増幅回路103から得られた増幅電流(m/2)×(I+I)をそれぞれI/V変換して電圧Vta及びVを得る。そして、得られた2つの電圧の差動電圧をとることにより、電流Itaと電流I=(I+I)/2の大小が比較検知されることとなる。従って、得られた差動電圧VOUTを一致・不一致の結果を示すCMOSレベルのデジタルデータに変換してシフトレジスタ105に出力する。この複数の読み出し増幅回路104による読み出し増幅動作は、一斉に一括して行われる。
シフトレジスタ105は、一斉に一括して入力されたCMOSレベルの一致
不一致を示すデジタルデータを格納する。そして、データ出力部106に、格納されたデータをシリアルで順次出力される。この出力データは、ワード線iにより選択された各プローブ電極71上の検体DNAプローブ72がハイブリダイゼーションを起こしたか否かを示すデータである。このような出力データはシリアルに読み出されるため、チップのデータ読み出し電極が1個ですむ。選択された行の一致・不一致データがすべて読み出された後に、別の行を選択して再び一致・不一致データを読み出していく。
このように本実施形態によれば、ハイブリダイゼーションを起こすことが確実な既知のプローブとハイブリダイゼーションを起こさないことが確実な既知のプローブを用いて参照電極電流を発生させ、この電流とプローブ電流を比較することにより、温度、検体DNAプローブの溶液濃度、電源電圧といった測定環境の変動が補償され、高精度のハイブリダイゼーション検知が可能となる。
また、参照プローブ電極電流とプローブ電極電流の測定は破壊測定であるが、本実施形態のように一回の参照プローブ電極電流の測定で複数のプローブ電極電流を比較検知することができる。従って、参照プローブ電極数が少なくてすみ、チップ面積増大を抑制してコスト低減が可能となるという利点がある。
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の構成を示す図である。第4実施形態と共通する構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。この図8に示されるハイブリダイゼーション検出装置が例えば半導体などにより構成されたチップに形成される。
図8に示すように、複数のプローブ電極71及び参照プローブ電極131が行列状に配列されている。複数のプローブ電極71の各行に、参照プローブ電極131がそれぞれ配列され、各行の参照プローブ電極131により1つの列を構成している。プローブ電極71及び参照プローブ電極131はそれぞれ同一の電極面積Sを有する。
そして、電極の行列の各行においては、複数のプローブ電極71と、参照プローブ電極131が共通のワード線iに接続されている。そして、各ワード線iは、それぞれ共通の行選択回路101に接続される。行選択回路101は、任意の行を選択することにより、任意の一のワード線iを立ち上げる。
所定の列に属する複数のプローブ電極71は、共通のビット線jに接続されている。また、複数の参照プローブ電極131も共通のビット線jに接続されている。
プローブ電極71に接続されたビット線jは、それぞれ複数の電流増幅回路102に接続されている。この電流増幅回路102は、ビット線jを介して得られるプローブ電極71からのプローブ電極電流Itaをm倍に増幅する。
また、参照プローブ電極131に接続されたビット線jは、電流増幅回路141に接続されている。この電流増幅回路141は、ビット線jを介して得られる参照プローブ電極131の各参照DNAプローブ82及び92からのそれぞれの参照プローブ電極電流I/2、I/2の和をm倍に増幅し、増幅電流(I+I)×(m/2)を読み出し増幅回路104のI/V変換回路104aに出力する。
図8において、他のシフトレジスタ105、データ出力部106の構成は第4実施形態の図4と共通する。
図9はプローブ電極71,参照プローブ電極131,電流増幅回路141及び読み出し増幅回路104を詳細に示す図である。
プローブ電極71には2本の検体DNAプローブ72が固定されている。参照プローブ電極131には参照DNAプローブ82及び参照DNAプローブ92がそれぞれ一本ずつ固定されている。参照DNAプローブ82は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていることが既知の参照DNA試料からなる。参照DNAプローブ92は、ハイブリダイゼーションが確実に起こっていないことが既知の参照DNA試料からなる。
プローブ電極71及び参照プローブ電極131に対向して対向電極73及び133が設けられている。これら対向電極73及び133は、共通の電圧源111に接続され、所定の電圧に保持される。
また、検体DNAプローブ72,参照DNAプローブ82及び92の近傍にはそれぞれ参照電極74及び134が設けられている。これら参照電極74及び134は共通の電圧源112に接続され、所定の電圧に保持される。
なお、望ましくは、第1実施形態に示した判定電流率Iの実験結果に従い、参照DNAプローブ82がハイブリダイゼーションを起こした場合のプローブ電極電流値をI、参照DNAプローブ92がハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電極電流値をI、参照プローブ電極電流Iとした場合に、(I−I)×I/100+I=Iにおける判定電流率Iが30≦I<50の範囲に定められるように参照プローブ電流を調整するのが望ましい。
プローブ電極71及び参照プローブ電極131にはそれぞれトランジスタTra0及びTrd0のドレイン電極が接続されている。また、これらトランジスタTra0及びTrd0のソース電極は共通のワード線iに接続されている。
これらトランジスタTra0及びTrd0のソース電極はそれぞれ別のビット線jに接続されている。また、トランジスタTrd0のビット線jは共通の電流増幅回路141に接続され、トランジスタTra0のビット線jは電流増幅回路102に接続される。
ワード線iが選択されることによりトランジスタTra0及びTrd0がオンとなり、プローブ電極71及び参照プローブ電極131に流れる電流Ita及び(I+I)/2がビット線jを介して電流増幅回路102及び141に出力される。
電流増幅回路102でm倍にされた電流m×Itaは、I/V変換回路104bに出力され、電圧に変換されて電圧Vtaが出力される。電流増幅回路103でm倍にされた電流m×(I+I)/2は、I/V変換回路104aに出力され、電圧に変換されて電圧Vが出力される。差動増幅回路104cは、反転入力端子に入力された電圧Vtaと、非反転入力端子に入力された電圧Vを差動増幅して差動電圧VOUTを出力する。2つのインバータ104d,104eは、この差動電圧VOUTをCMOSレベルのデジタルデータに変換して出力する。
図10は図9の電流増幅回路131の詳細な構成を示す図である。図10に示すように、参照プローブ電極131の2つの参照DNAプローブ82及び92の参照プローブ電極電流の和(I+I)/2がNMOSトランジスタTrg1のゲート電極、ドレイン電極及びNMOSトランジスタTrg2のゲート電極に入力される。NMOSトランジスタTrg1のソース電極は接地されている。NMOSトランジスタTrg1とTrg2のゲート幅の比は1:mに設定される。また、NMOSトランジスタTrg1とTrg2はカレントミラー接続となっている。これにより、NMOSトランジスタTrg1のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSg1に対するNMOSトランジスタTrg2のドレイン電極からソース電極に流れるドレイン電流IDSg2の電流増幅率がm倍に設定される。
NMOSトランジスタTrg2のドレイン電極は、差動増幅器121の非反転入力端子と、PMOSトランジスタTrg3のドレイン電極に接続される。PMOSトランジスタTrg3のソース電極は電源電圧VDDに保持される。差動増幅器121の反転入力端子には基準電圧Vrefが入力される。差動増幅器121の出力はPMOSトランジスタTrg3のゲート電極に接続され、この差動増幅器121の出力電圧は電圧Vとなる。この図10に示す回路によるI/V変換動作は図6で示したのと同様である。
従って、入力された電流(I+I)/2がm倍に増幅され、かつその増幅電流が電圧に変換されて出力電圧としてVが得られる。
[装置動作]
以上のように構成されたハイブリダイゼーション検出装置の動作を説明する。なお、検体DNAプローブ72がハイブリダイゼーションを起こしている場合と起こしていない場合に、参照DNAプローブ82や92からの出力電圧との差動電圧をとる動作については第1実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。
行選択回路101により任意のワード線iが選択されると、そのワード線iに接続された任意の行のプローブ電極71及び参照プローブ電極131のトランジスタTra0及びTrd0がオンし、それぞれのビット線jを介して各プローブ電極電流Itaが各電流増幅回路102に、参照プローブ電極電流(I+I)/2が電流増幅回路141に流れる。この任意の行の選択による電流検出は、その行に属する複数のプローブ電極71及び参照プローブ電極13で一斉に一括して行われる。
各列に対応して設けられた複数の電流増幅回路102は、得られた各プローブ電極71からの各電流Itaをそれぞれm倍に増幅し、得られた増幅電流m×Itaを読み出し増幅回路104に出力する。
また、電流増幅回路141は、参照プローブ電極131から得られた参照プローブ電極電流(I+I)/2をm倍に増幅し、得られた増幅電流(m/2)×(I+I)を読み出し増幅回路104に出力する。
この複数の電流増幅回路102による増幅動作と、電流増幅回路103による増幅動作は一斉に一括して行われる。
読み出し増幅回路104、シフトレジスタ105及びデータ出力部106による動作は第4実施形態と共通するので省略する。
このように本実施形態によれば、ハイブリダイゼーションを起こすことが確実な既知のプローブとハイブリダイゼーションを起こさないことが確実な既知のプローブを用いて参照電極電流を発生させ、この電流とプローブ電流を比較することにより、温度、検体DNAプローブの溶液濃度、電源電圧といった測定環境の変動が補償され、高精度のハイブリダイゼーション検知が可能となる。
また、参照プローブ電極電流とプローブ電極電流の測定は破壊測定であるが、本実施形態のように一回の参照プローブ電極電流の測定で複数のプローブ電極電流を比較検知することができる。従って、参照プローブ電極数が少なくてすみ、チップ面積増大を抑制してコスト低減が可能となるという利点がある。
また、参照プローブ電極の数を第4実施形態の半分に減らすことができ、よりチップ面積が小さく低コストの塩基配列用チップが実現できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
第1実施形態乃至第3実施形態に示されるハイブリダイゼーション検出装置は、第4実施形態又は第5実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置に適用可能である。また、各実施形態において示した電流増幅回路、I/V変換回路及び読み出し増幅回路の構成は一例を示したにすぎず、他の電流増幅回路、I/V変換回路及び読み出し増幅回路の回路構成を上記実施形態に適用できることはもちろんである。
本発明の第1実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図。 本発明の第2実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図。 本発明の第3実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の全体構成を示す図。 本発明の第4実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の構成を示す図。 同実施形態に係るプローブ電極,参照プローブ電極,電流増幅回路及び読み出し増幅回路を詳細に示す図。 同実施形態に係る電流増幅回路103及びI/V変換回路104aの詳細な構成を示す図。 同実施形態に係る電流増幅回路102及びI/V変換回路104bの詳細な構成を示す図。 本発明の第5実施形態に係るハイブリダイゼーション検出装置の構成を示す図。 同実施形態に係るプローブ電極,参照プローブ電極,電流増幅回路及び読み出し増幅回路を詳細に示す図。 同実施形態に係る電流増幅回路131の詳細な構成を示す図。
符号の説明
11,71…プローブ電極
12,72…検体DNAプローブ
21,31,41,51,61,82,91,131…参照プローブ電極
22,32,42,52,82,92…参照DNAプローブ
73,83,93,133…対向電極
74,84,94,134…参照電極
101…行選択回路
102,103,141…電流増幅回路
104…読み出し増幅回路
104a,104b…I/V変換回路
104c,121…差動増幅器
104d,104e…インバータ
105…シフトレジスタ
106…データ出力部
111,112…電圧源

Claims (6)

  1. 所定の塩基配列を有する検出用プローブが固定され、未知の塩基配列を有する検体を含む溶液に晒されるべき検出用プローブ電極と、
    前記溶液中でハイブリダイゼーションを起こす既知の塩基配列を有する第1の参照プローブと、前記溶液中でハイブリダイゼーションを起こさない既知の塩基配列を有する第2の参照プローブとが固定された参照プローブ電極と、
    前記検出用プローブ電極からの検出用プローブ電極電流を増幅して検出用プローブ信号を出力する増幅回路と、
    前記参照プローブ電極からの、前記第1の参照プローブがハイブリダイゼーションを起こした場合の参照プローブ電流(I)と前記第2の参照プローブがハイブリダイゼーションを起こさない場合の参照プローブ電流(I)を加算した参照プローブ電極電流(I)を増幅した参照用加算信号を出力する加算出力回路と、
    前記検出用プローブ信号と前記参照用加算信号とを比較して前記未知の塩基配列を有する検体と前記検出用プローブとの間で生じるハイブリダイゼーションを検出する判定回路と、
    を具備してなるハイブリダイゼーション検出装置において、
    前記参照プローブ電極電流Iは、判定電流率をIとすると、
    (I−I)×I/100+I=I
    ここで、30≦I<50
    の関係を有することを特徴とするハイブリダイゼーション検出装置。
  2. 前記増幅回路は、前記検出用プローブ電流を電流増幅する第1の電流増幅回路及び電流増幅された前記検出用プローブ電流を電圧信号に変換して前記検出用プローブ信号として出力する第1の電流電圧変換回路を含み、
    前記加算出力回路は、前記参照プローブ電極電流を加算して電流増幅する第2の電流増幅回路及び電流増幅された前記加算参照プローブ電極電流を電圧信号に変換して前記参照用加算信号として出力する第2の電流電圧変換回路を含むことを特徴とする請求項1のハイブリダイゼーション検出装置。
  3. 前記検出用プローブ電極は、電極面積Sを有し、前記参照プローブ電極は、略電極面積Sを有することを特徴とする請求項1に記載のハイブリダイゼーション検出装置。
  4. 前記第1の参照プローブ及び前記第2の参照プローブは、(1−q):q(q<1)の割合で前記参照プローブ電極に固定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリダイゼーション検出装置。
  5. 前記加算出力回路は、前記参照プローブ電極電流をp倍に増幅して参照用加算信号を出力し、
    前記第1の増幅回路は、前記検出用プローブ電流をp倍して前記検出用プローブ信号を出力することを特徴とする請求項1のハイブリダイゼーション検出装置。
  6. 前記検出用プローブ電極は、複数用意され、当該複数の検出用プローブ電極並びに前記参照プローブ電極は、行列に配列されて前記溶液に晒されることを特徴とする請求項1のハイブリダイゼーション検出装置。
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