JP2008101914A - 電流センサおよび電子式電力量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電流検出コイルが巻回され、電流バーが貫通する集磁コアの近傍に補償コイルを設け、外部磁場により電流検出コイルに発生する誤差電圧を相殺した。また、第1および第2の集磁コアを設け、それぞれの電流検出コイルを誤差電圧が相殺されるように直列接続した。 更に、電流バーを流れる被測定電流が作る磁束が貫く磁路に関して、集磁コア内部のみの磁気抵抗とギャップ部を含めた全磁気抵抗の比が、電流センサの出力許容誤差より小さくなるように、集磁コアおよびギャップを構成した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、直流成分が重畳し、かつ周期的に変化する電流の交流成分を正確に計測するための手段を提供する。特に、交流成分の測定精度が重要である電力計測および電力量計測のための電流計測技術に関する。
一般に大電力を扱う回路における電流計測は主回路で直接行うのは難しいため、別置の電流センサを使用する場合が多い。代表的な電流計測方式としては、変流器(カレントトランス;CT)、ホール素子などの磁電変換素子によって構成された直流電流センサ、ロゴスキーコイル法などが知られている。
交流回路で最も一般的に使われる電流センサは変流器(カレントトランス;CT)である。これは、磁気コアに複数回の二次巻線を施したものであり、電流バーを磁気コアに貫通させて被測定電流が変化したとき、それによって生ずるコア内の磁束密度の変化を相殺するように巻線に電流が流れ、この二次巻線内の電流を計測することによって被測定電流を計測するものである。
その他、主に大電流を計測する手法として、ロゴスキーコイル法が知られている。この構成は先行技術特許文献2に示されているように、空芯コイルを環状に多数配置して、その中心を貫く電流が変化したときに、空芯コイルを貫く磁束の変化によって発生する電圧を積分することによって電流を得るというものである。
半導体技術の進展に伴い、半波電流など直流が重畳した電流によって消費される電力が計量できる電力計や電力量計のニーズが増えつつある。直流を含む多くの周波数成分からなる一般の電圧、電流において、電力は各周波数成分ごとに電圧×電流の数値を演算して得られる。しかし、商用の交流電源電圧は直流成分を含まないので、電力の測定では電流の直流成分は不要である。一方、交流電流成分の測定精度は直接電力の計算精度に影響を与える。
まず、変流器では交流電流を高精度に計測することが可能であるが、変流器を貫通する電流バーに直流成分を含む電流が通電されると、その直流成分が計測されないだけでなく、コアの磁気飽和によって交流成分も正確に計測できなくなる。
ロゴスキーコイル法と同じく電磁誘導を検出原理とする場合であっても、集磁コアの周りに巻線したものでは、外部磁場による磁束が集磁コア内を通るため、大きな誤差要因となる。この点に関して、図面で詳細に説明する。
このため本発明では、電流バーと、該電流バーを囲むように配置され、ギャップをもった強磁性体製集磁コアと、該集磁コアに巻回された電流検出用コイルと、前記集磁コアの近傍にあって、その外側に配置され、外部からの変動磁場によって前記電流検出用コイルに生じる誘導電圧を相殺する誘導電圧を生じる補償コイルと、前記電流検出用コイルおよび補償コイルに生じる誘導電圧を積分する手段を備え、前記電流バーに流れる被測定電流の変化による前記集磁コアを貫く磁束の変化を積分することによって被測定電流を計測することとした。
更に、電流バーと、該電流バーを囲むように配置され、ギャップをもった第1および第2の強磁性体製集磁コアと、それぞれの集磁コアに巻回され、外部磁場に対して逆向きの電圧を発生する方向に接続された第1および第2の電流検出用コイルと、前記第1および第2の電流検出用コイルに生じる誘導電圧を積分する手段を備え、前記電流バーに流れる被測定電流の変化による前記集磁コアを貫く磁束の変化を積分することによって被測定電流を計測することとした。
更に、このような電流センサを電子式電力量計に用いた。
本発明では、電流バーが貫通する集磁コアに巻回された電流検出コイルの近傍に補償コイルを配置し、補償コイルの誘導電圧は外部からの変動磁場によって前記電流検出用コイルに生じる誘導電圧を相殺するように設けたため、外部磁界の影響による電流検出誤差を極めて小さくできる。
また、補償コイルに生ずる誘導電圧を可変増幅率の増幅器を通して定数倍し、その出力を電流検出用コイル出力に加算または減算した信号を積分した結果を電流センサの出力としたため、電流検出用コイルと補償コイルの形状の違い、位置関係などに起因する両コイルの誘導電圧差の微調整が可能であり、更に電流検出精度を高めることができる。
更に、電流バーを流れる被測定電流が作る磁束が貫く磁路に関して、集磁コア内部のみの磁気抵抗とギャップ部を含めた全磁気抵抗の比を、電流センサの出力許容誤差より小さくなるように、集磁コアおよびギャップを構成したため、磁気飽和によって集磁コア材料の透磁率が変動した結果、電流測定値に誤差が生ずる場合でも、その誤差を許容値以下に保つことができる。
次に、本発明による電流センサの具体的な実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明による電流センサの第1の実施例を示す斜視図である。図1においてギャップをもった強磁性体製集磁コア2は電流バー1を囲むように配置され、該集磁コア2には電流検出コイル3が巻回されている。補償コイル4は該集磁コア2の外側近傍にあって、外部からの変動磁場によって該電流検出コイル3に生じる誘導電圧を相殺する向きに巻回されている。補償コイル4は例えばプリント基板上のパターンとして形成される。電流検出コイル3および補償コイル4は直列接続されており、その一端は接地、他端は積分回路5の入力となっている。該積分回路5の出力はAD変換器6に入力され、ディジタル信号化される。
また、図1および図2における補償コイルはプリント基板上にパターン化してもよいし、巻線型であってもよい。
図3は本発明による電流センサの第2の実施例を示す斜視図である。図3において電流バー1、集磁コア2、電流検出コイル3および補償コイル4の構成は実施例1と同様である。電流検出コイル3および補償コイル4の電圧出力はそれぞれ独立に外部に引き出されており、補償コイル4の電圧出力は増幅器7を通った後、両者を差動増幅器8に入力する。差動増幅器8の出力は実施例1と同様に積分回路5およびAD変換器6に入力され、ディジタル信号化される。電流検出コイル3および補償コイル4の出力を独立に外部に引き出し、増幅器を介することにより、電圧感度を高められるとともに、両コイルの巻線仕様決定の自由度が高まるという効果がある。
図5は本発明による電流センサの第3の実施例を示す斜視図である。図5では積分回路等の信号処理系は図示していない。図5において、電流検出コイル3が巻かれた集磁コア2とは別の補償コイル用集磁コア10に補償コイル4を巻き、電流検出コイル3のある集磁コア2のみに電流バー1を貫通させ、被測定電流を通電することによって、やはり外部交流磁場の影響を相殺しつつ、被測定電流のみを計測することができる。補償コイル用集磁コア10は電流測定用の集磁コア2と同一形状のものでも良く、また独自の寸法、仕様のものであっても可能である。
図6は本発明による電流センサの第4の実施例を示す斜視図である。図6では積分回路等の信号処理系は図示していない。図6において、第1集磁コア11、第2集磁コア12のそれぞれに第1電流検出コイル13、第2電流検出コイル14を巻き、これらを電流バー1に流れる測定電流に対して互いに逆向きの電圧を出力するように配置して、外部磁場の変動によって生ずる電圧は相殺する向きに第1、第2電流検出コイルを直列接続する。本方法によって外部磁場の影響を相殺しつつ、被測定電流のみを計測することができる。
実施例1から4に示すような集磁コアを使った電流センサでは集磁コア材料の磁気特性の非直線性により電流測定誤差を生ずる。この誤差を許容値以下に抑えるために、本発明では以下のように集磁コアを構成した。図7は本発明の電流センサにおける集磁コアの磁気抵抗計算のための寸法図であり、コア部の磁路長がli、ギャップ長がlgである。また磁路の断面積は全磁路について同一のSであり、集磁コア材料の透磁率はμi、空気の透磁率はμ0である。この磁気回路において被測定電流Iによって生ずる磁束φは磁気回路の全磁気抵抗をRmとして
例えば、集磁コア材料の比透磁率(空気の透磁率に対する倍率)を1000、許容誤差を1%とするとli/lg≒10となり、ギャップ長lgを2mmとした場合、集磁コアの磁路長liは最大20mmまで許容できる。
4 補償コイル 5 積分回路 6 AD変換器
7 増幅器 8 差動増幅器 9 可変増幅器
10 補償コイル用集磁コア 11 第一の集磁コア
12 第二の集磁コア 13 第一の検出コイル 14 第二の検出コイル
15 数値積分器 21 電流バー 22 集磁コア
23 電流検出コイル 24 ギャップ 25 外部磁場
Claims (7)
- 電流バーと、該電流バーを囲むように配置され、ギャップをもった強磁性体製集磁コアと、該集磁コアに巻回された電流検出用コイルと、前記集磁コアの近傍にあって、その外側に配置され、外部からの変動磁場によって前記電流検出用コイルに生じる誘導電圧を相殺する誘導電圧を生じる補償コイルと、前記電流検出用コイルおよび補償コイルに生じる誘導電圧を積分する手段を備え、前記電流バーに流れる被測定電流の変化による前記集磁コアを貫く磁束の変化を積分することによって被測定電流を計測することを特徴とする電流センサ。
- 請求項1に記載の電流センサにおいて、補償コイルは電流バーの貫通する集磁コアとは別の集磁コアに巻回されていることを特徴とする電流センサ。
- 請求項1または2に記載の電流センサにおいて、補償コイルに生ずる誘導電圧を可変増幅率の増幅器を通して定数倍し、電流検出用コイル出力に加算または減算した信号を積分した結果を電流センサの出力とすることを特徴とする電流センサ。
- 電流バーと、該電流バーを囲むように配置され、ギャップをもった第1および第2の強磁性体製集磁コアと、それぞれの集磁コアに巻回され、外部からの変動磁場に対して逆向きの誘導電圧を発生する方向に接続された第1および第2の電流検出用コイルと、前記第1および第2の電流検出用コイルに生じる誘導電圧を積分する手段を備え、前記電流バーに流れる被測定電流の変化による前記集磁コアを貫く磁束の変化を積分することによって被測定電流を計測することを特徴とする電流センサ。
- 請求項4に記載の電流センサにおいて、第1または第2の電流検出用コイルに生ずる誘導電圧を可変増幅率の増幅器を通して定数倍し、電流検出用コイル出力に加算または減算した信号を積分した結果を電流センサの出力とすることを特徴とする電流センサ。
- 請求項1ないし5のいずれかの項に記載の電流センサにおいて、電流バーを流れる被測定電流が作る磁束が貫く磁路に関して、集磁コア内部のみの磁気抵抗とギャップ部を含めた全磁気抵抗の比が、電流センサの出力許容誤差より小さくなるように、集磁コアおよびギャップを構成することを特徴とする電流センサ。
- 請求項1ないし6のいずれかの項に記載の電流センサを用いて電流計測を行うことを特徴とする電子式電力量計。
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