JP2008101888A - 回転キルン炉および回転キルン炉を備えた熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原材料を加熱・焼成処理する際に、原材料の積層過多による不完全燃焼を防止して、充分かつ均一な加熱・焼成処理ができ、さらに効率的に多くの原材料を加熱・焼成処理することができる回転キルン炉を提供する。
【解決手段】回転キルン炉の回転胴8a内に、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群と中心領域の区分室群の2層以上の区分室群から構成されている複数の区分室を設けた多分割隔壁構造部12を少なくとも1つ設け、さらに多分割隔壁構造部の原材料供給口2側に、回転胴内に単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部11を連結して設けることにより、回転胴の回転によって、少分割隔壁構造部に後続する多分割隔壁構造部の各区分室に均一、かつ自動的に原材料粒子10を導入することによって、原材料粒子を多分割隔壁構造部の各区分室に対して広く揚搬・分布させることができる。
【選択図】図2
【解決手段】回転キルン炉の回転胴8a内に、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群と中心領域の区分室群の2層以上の区分室群から構成されている複数の区分室を設けた多分割隔壁構造部12を少なくとも1つ設け、さらに多分割隔壁構造部の原材料供給口2側に、回転胴内に単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部11を連結して設けることにより、回転胴の回転によって、少分割隔壁構造部に後続する多分割隔壁構造部の各区分室に均一、かつ自動的に原材料粒子10を導入することによって、原材料粒子を多分割隔壁構造部の各区分室に対して広く揚搬・分布させることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、内部に回転胴を備え、回転胴に投入した原材料を加熱・焼成処理する連続式、またはバッチ式の回転キルン炉およびそのキルン炉を備えた熱処理装置に関する。原材料としては特にスラッジ、中でも塗工紙用顔料や製紙用填料としての適性を有するスラッジが好適に用いられる。
回転キルン炉(ロータリーキルンとも呼ばれる)は、回転胴(炉心管とも呼ばれる)の内に原材料を供給し、原材料の加熱、乾燥、焼成を行う装置である。この回転キルン炉の回転胴は一般的に筒型形状を有しているが、加熱・焼成処理のために回転胴内に投入された原材料が、回転胴内の下底部に積層・堆積して混ざり難くなるために、原材料を均一に加熱・焼成処理できない問題や、充分に加熱・焼成処理できないなどの問題を有していた。
前記のような回転キルン炉における原材料の加熱・焼成処理の不均一、および不充分の問題に対して、原材料を攪拌する各種方法として、キルンの回転胴内に掻き揚げ板(リフターとも呼ばれる)を設けて回転胴内の原材料を攪拌する方法が特許文献1、2、および3に紹介されている。また、キルンの回転胴内に可動式の攪拌羽根を導入して回転胴内の原材料を攪拌する方法が特許文献4に紹介されている。また、キルンの回転胴の全体断面形状を楕円形、三角形などの円形とは異なる形状にする方法が特許文献5に紹介されている。
また、キルンの回転胴内に投入された原材料の積層・堆積を軽減する各種方法として、回転胴の断面形状が3分割、4分割、6分割などに分割されるように隔壁状直板によって回転胴内を仕切る方法が特許文献6、7、8に紹介されている。また、キルンの回転胴内に複数の小型円筒管を導入して、回転胴内を多胴型にする方法が特許文献9および10に紹介されている。
先に説明したように、回転キルン炉の加熱・焼成状態の改善に対して、原材料を均一に加熱するための各種の攪拌方法が提案されているが、これらの方法では、回転胴内部の攪拌などによって原材料を均一に加熱することはできるものの、原材料はキルンの回転胴内の下底部に積層・堆積する。このような状態を図13に示した。図13は従来使用されている回転キルン炉の一例の回転胴の断面図である。原材料粒子10a、10a・・・が底部の左隅に多く堆積していることがわかる。このように原材料粒子が偏在する理由は、回転胴24内への原材料粒子10a、10a・・・の導入される量が多いために原材料粒子10a、10a・・・が積層・堆積することに加えて、回転胴24が矢印C方向に回転しているためである。このような積層・堆積状態のために、有機成分を含有する原材料を加熱・焼成処理する場合には、積層・堆積した層底部の原材料まで、有機成分が燃焼するための空気(酸素)が行き渡らずに不完全燃焼が生じ、未燃カーボン(煤)が多く、白色度の低い加熱・焼成処理物しか得られない問題があった。
また前記のように、有機成分を含有する原材料の加熱・焼成処理においては、原材料の積層による不完全燃焼が生じることから、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得るためには、キルンの回転胴内への原材料の投入量を大幅に少なくして原材料の積層を抑えることや、他方、大量の原材料の処理が必要な場合には、極めて大きな規模のキルン設備が必要となるなどの問題があった。
本発明は、回転キルン炉によって原材料を加熱・焼成処理する際に、原材料の積層過多による不完全燃焼を防止して、充分かつ均一な加熱・焼成処理ができ、さらに効率的に多くの原材料を加熱・焼成処理することができることを目的とする。
本発明にかかる回転キルン炉は、内部に回転胴を備えた、片側から投入した原材料を焼成する回転キルン炉であって、該回転胴が、その内部に複数の区分室であって、該回転胴の径方向に最外層領域の区分室群と中心領域の区分室群の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている区分室を設けた多分割隔壁構造部を少なくとも1つ有している回転キルン炉である。
さらに、前記多分割隔壁構造部が、前記中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室(例15c1)と、前記最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室(例15o1と15o2)によって構成される一定形状の区分室集合(15A,15B・・)を複数設けられるよう構成された多分割隔壁構造部であることが各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の略重心位置と3つの辺の略中点をそれぞれ略垂直に結ぶ3本の直線によって、該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を3つの略合同4角形の区分室に分割することにより、総分割数として18個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を18分割型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、は各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各辺の略中点をそれぞれ結ぶ3本の直線によって、該6分割型-正3角形型区分室の略正3角形を4個の略合同3角形の区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を24分割A型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と1個の6角形によって併せて4個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同正3角形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を24分割B型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と3個の略合同菱形によって併せて6個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同菱形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として36個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を36分割型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向側に単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部をさらに有した回転胴である、すなわち少分割隔壁構造部を、多分割隔壁構造部の前に連結して設けることが各多分割隔壁構造部の区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記少分割隔壁構造部の一つの区分室断面が、前記一定形状の区分室集合の外郭と略同一断面形状を構成することが多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記少分割隔壁構造部が、前記多分割隔壁構造部と略同一の略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、該略正6角形の中心と6つの各頂点を結ぶ直線によって、該略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割したものであることが前記多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向とは反対側に、第2の少分割隔壁構造部及び第2の多分割隔壁構造部を組み合わせて1組以上さらに有した回転胴であることが前記多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記分割隔壁構造部を構成する板材が、穴明き金属板であることが好ましい。
また、前記多分割隔壁構造部を設けた回転キルン炉の回転胴の中心領域の区分室群に囲まれた、回転胴を内側から加熱するための加熱手段を収容するための回転胴内空洞部を回転胴の回転略中心部付近に設けることが、前記多分割隔壁構造部の各区分室に導入された原材料を均一に加熱し、かつ加熱・焼成効率を向上させる上で好ましい。また、その回転胴内空洞部を設けるために、少なくとも該回転胴を貫通するように管状部材を配置し、その管壁を多分割隔壁構造部の隔壁の一部とすることが、熱伝達上も好ましい。
本発明にかかる熱処理装置は、前記回転キルン炉に回転キルン炉への空気導入手段として、該回転キルン炉の原材料供給口側の一端周辺に排気手段をさらに備えてなる熱処理装置である。
さらに、供給される原材料を間接的に加熱・焼成処理する加熱手段を備えることが好ましい。
さらに、前記加熱手段を2つ備えてなり、第1の加熱手段が回転キルン炉の回転胴を構成する前記回転胴の外側から加熱する加熱手段であり、第2の加熱手段が前記回転胴内側の前記回転胴内空洞部から加熱する加熱手段であることが、前記多分割隔壁構造部の各区分室に分割して導入された原材料を均一に加熱し、かつ加熱・焼成効率を向上させる上で好ましい。
さらに回転キルン炉に、供給される原材料を該原材料の直径または長さが2〜30mmに造粒成形する手段をさらに備えることが好ましい。
前記回転キルン炉に供給される原材料が、製紙スラッジであることが好ましい。
以上のような構成により、伝熱面積を増やすことに加えて、回転胴断面の中心領域や最外層領域に至る全域の区分室に亘って原材料を揚搬・分布させて回転胴内断面を有効利用することにより、回転胴内における原材料の積層高さを大幅に軽減させて、原材料内に空気(酸素)が行き渡りやすくすることにより、原材料の不完全燃焼を防止して、未燃カーボンの残留が少なく、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得ること、および多くの原材料を回転キルン炉設備で処理することができるようにするものである。
また、多分割隔壁構造部をキルンの回転胴に設けることに加えて、回転胴を外熱方式により間接的に加熱・焼成する方法、回転胴内の原材料進行方向とは反対の方向に空気を導入する方法、および回転胴内に投入する原材料を造粒成形する方法を併せて用いることにより、有機成分を含有した原材料であっても、効率良く加熱・焼成して、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得ることができるようにするものである。
さらに、前記多分割隔壁構造部が、前記中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室(例15c1)と、前記最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室(例15o1と15o2)によって構成される一定形状の区分室集合(15A,15B・・)を複数設けられるよう構成された多分割隔壁構造部であることが各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の略重心位置と3つの辺の略中点をそれぞれ略垂直に結ぶ3本の直線によって、該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を3つの略合同4角形の区分室に分割することにより、総分割数として18個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を18分割型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、は各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各辺の略中点をそれぞれ結ぶ3本の直線によって、該6分割型-正3角形型区分室の略正3角形を4個の略合同3角形の区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を24分割A型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と1個の6角形によって併せて4個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同正3角形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を24分割B型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と3個の略合同菱形によって併せて6個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同菱形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として36個の区分室に分割された多分割断面であり、この隔壁構造部を36分割型 多分割隔壁構造部と呼ぶ、も各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向側に単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部をさらに有した回転胴である、すなわち少分割隔壁構造部を、多分割隔壁構造部の前に連結して設けることが各多分割隔壁構造部の区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記少分割隔壁構造部の一つの区分室断面が、前記一定形状の区分室集合の外郭と略同一断面形状を構成することが多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記少分割隔壁構造部が、前記多分割隔壁構造部と略同一の略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、該略正6角形の中心と6つの各頂点を結ぶ直線によって、該略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割したものであることが前記多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向とは反対側に、第2の少分割隔壁構造部及び第2の多分割隔壁構造部を組み合わせて1組以上さらに有した回転胴であることが前記多分割隔壁構造部の各区分室に対して効率的に均等に原材料を導入する上で好ましい。
また、前記分割隔壁構造部を構成する板材が、穴明き金属板であることが好ましい。
また、前記多分割隔壁構造部を設けた回転キルン炉の回転胴の中心領域の区分室群に囲まれた、回転胴を内側から加熱するための加熱手段を収容するための回転胴内空洞部を回転胴の回転略中心部付近に設けることが、前記多分割隔壁構造部の各区分室に導入された原材料を均一に加熱し、かつ加熱・焼成効率を向上させる上で好ましい。また、その回転胴内空洞部を設けるために、少なくとも該回転胴を貫通するように管状部材を配置し、その管壁を多分割隔壁構造部の隔壁の一部とすることが、熱伝達上も好ましい。
本発明にかかる熱処理装置は、前記回転キルン炉に回転キルン炉への空気導入手段として、該回転キルン炉の原材料供給口側の一端周辺に排気手段をさらに備えてなる熱処理装置である。
さらに、供給される原材料を間接的に加熱・焼成処理する加熱手段を備えることが好ましい。
さらに、前記加熱手段を2つ備えてなり、第1の加熱手段が回転キルン炉の回転胴を構成する前記回転胴の外側から加熱する加熱手段であり、第2の加熱手段が前記回転胴内側の前記回転胴内空洞部から加熱する加熱手段であることが、前記多分割隔壁構造部の各区分室に分割して導入された原材料を均一に加熱し、かつ加熱・焼成効率を向上させる上で好ましい。
さらに回転キルン炉に、供給される原材料を該原材料の直径または長さが2〜30mmに造粒成形する手段をさらに備えることが好ましい。
前記回転キルン炉に供給される原材料が、製紙スラッジであることが好ましい。
以上のような構成により、伝熱面積を増やすことに加えて、回転胴断面の中心領域や最外層領域に至る全域の区分室に亘って原材料を揚搬・分布させて回転胴内断面を有効利用することにより、回転胴内における原材料の積層高さを大幅に軽減させて、原材料内に空気(酸素)が行き渡りやすくすることにより、原材料の不完全燃焼を防止して、未燃カーボンの残留が少なく、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得ること、および多くの原材料を回転キルン炉設備で処理することができるようにするものである。
また、多分割隔壁構造部をキルンの回転胴に設けることに加えて、回転胴を外熱方式により間接的に加熱・焼成する方法、回転胴内の原材料進行方向とは反対の方向に空気を導入する方法、および回転胴内に投入する原材料を造粒成形する方法を併せて用いることにより、有機成分を含有した原材料であっても、効率良く加熱・焼成して、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得ることができるようにするものである。
本発明は、回転キルン炉によって原材料を加熱・焼成処理する際に、原材料の積層過多による不完全燃焼を防止して、充分かつ均一な加熱・焼成処理ができ、さらに効率的に多くの原材料を加熱・焼成処理することができた。
本発明者等は、前出のような特許文献に記載された、キルンの回転胴内に投入された原材料の積層・堆積を軽減するための回転胴内を多胴・多室分割する各種の方法について、試行、検討を重ねた。これらの方法では、回転胴内の多室分割化によって原材料の積層を多少は軽減することができるものの、分割隔壁構造部による伝熱面積の増補および原材料の積層の軽減が不充分であり、特に、回転胴断面の中央部、および上部に至る部分には容易に原材料を揚搬することができないことが分かった。この状態を図14、15に示した。図14は回転胴に単に6分割型の分割隔壁構造部14を使用した一例における原材料の積層状態を示す概念図である。図14においては、原材料粒子10a、10a・・・がそれぞれの区分室13o1、13o2、・・・13o6に存在しているが、各区分室内である程度堆積していることがわかる。また各区分室において原材料粒子10a、10a・・・がある程度偏在している。このように原材料粒子10a、10a・・・が偏在する理由は、前にも述べたように、キルンの回転胴内への原材料粒子10a、10a・・・の導入される量が多いために原材料粒子10a、10a・・・が積層・堆積することに加えて、隔壁構造部14が矢印C方向に回転しているためである。原材料粒子10a、10a・・・の積層がある程度多くなると、不完全燃焼が生じ、未燃カーボン(煤)が多く、白色度の低い加熱・焼成処理物しか得られないということが判明した。
この図14に示したような原材料粒子10a、10a・・・のある程度の堆積状態を改善するための方策について試行した。そのため一つの区分室をさらに多くの区分室に仕切る多区分室を有する多分割隔壁構造部を案出した。その例を図15に示した。図15は回転胴に単に18分割型多分割隔壁構造部16を使用した一例における原材料の積層状態を示す概念図である。このように区分室を径方向に、最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)のように2層に存在させることにより、同一の径の回転胴であっても原材料粒子10a、10a・・・の堆積状態が改善させることが可能になると考えた。しかし、このような径方向に2重に区分室を有する多分割隔壁構造部を使用した場合にも、図15に示したように原材料粒子10a、10a・・・が径方向に最外層領域の区分室群(OS)を構成する区分室(例示した図15に対応する区分室としては、図4(a)における最外層領域の区分室15o1、15o2、・・・15o12)にのみ偏在することがわかった。
このような原材料粒子10a、10a・・・が偏在する状態を改良するために、さらに回転胴の各区分室に原材料を概ね均等に導入する次の二つの方策を考えた。
(1)多分割隔壁構造部の区分室への原材料導入手段を工夫する方法
(2)少分割隔壁構造部を、上述のような多分割隔壁構造部と組み合わせて使用する方法
このような原材料粒子10a、10a・・・が偏在する状態を改良するために、さらに回転胴の各区分室に原材料を概ね均等に導入する次の二つの方策を考えた。
(1)多分割隔壁構造部の区分室への原材料導入手段を工夫する方法
(2)少分割隔壁構造部を、上述のような多分割隔壁構造部と組み合わせて使用する方法
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の回転キルン炉を備えた熱処理装置の一例の構成図を示した。図1は、本発明の回転キルン炉1を備えた熱処理装置の構成図である。本熱処理装置は連続処理式・間接的加熱型(外熱式)ロータリーキルンとも呼ばれる。図1では、有機成分を含有する原材料10(例えば、製紙スラッジ)は、図示を省略した乾燥装置によって脱水または乾燥された後に、回転キルン炉1の回転胴8の一端部に設置された原材料供給口2(例:供給ホッパ)に投入され、回転胴8内への原材料導入手段9(例:スクリューフィーダー)を介して回転キルン炉1の回転胴8内へと供給される。次いで、回転胴8内に供給された原材料10は、回転胴8内を通過しながら含有している有機成分が燃焼され、有機成分が燃焼除去された後の加熱・焼成処理物は、回転胴8の原材料供給口2に対して反対側の端部に設置された加熱・焼成処理物排出口7を通して回転キルン炉1外に取り出され、さらに必要であれば、加熱・焼成処理物に対して粉砕等の加工のために、次工程に送られる。
本発明の回転キルン炉を備えた熱処理装置の一例の構成図を示した。図1は、本発明の回転キルン炉1を備えた熱処理装置の構成図である。本熱処理装置は連続処理式・間接的加熱型(外熱式)ロータリーキルンとも呼ばれる。図1では、有機成分を含有する原材料10(例えば、製紙スラッジ)は、図示を省略した乾燥装置によって脱水または乾燥された後に、回転キルン炉1の回転胴8の一端部に設置された原材料供給口2(例:供給ホッパ)に投入され、回転胴8内への原材料導入手段9(例:スクリューフィーダー)を介して回転キルン炉1の回転胴8内へと供給される。次いで、回転胴8内に供給された原材料10は、回転胴8内を通過しながら含有している有機成分が燃焼され、有機成分が燃焼除去された後の加熱・焼成処理物は、回転胴8の原材料供給口2に対して反対側の端部に設置された加熱・焼成処理物排出口7を通して回転キルン炉1外に取り出され、さらに必要であれば、加熱・焼成処理物に対して粉砕等の加工のために、次工程に送られる。
本発明において、有機成分を含有する原材料10を加熱・焼成処理して、白色度の高い高品質な加熱・焼成処理物を得るためには、回転キルン炉1の回転胴8内へ空気を導入して原材料10に含有される有機成分を燃焼させることが不可欠である。そのため原材料供給口2の近傍に排気手段4(例:排気ファン)が設置されており、この排気手段4が回転キルン炉1内の空気を強制排気することによって加熱・焼成処理物排出口7の近傍に設置された空気供給口3から回転キルン炉1内に空気が矢印Aで示すように吸入される。このように空気供給口3から排気手段4方向へ矢印Aで示す空気流が常に発生することになる。この空気流が後に説明する未燃焼物搬送用空気流Aとなる。この空気量の制御は排気ファンの排気量を制御することで行われる。この空気量は回転キルン炉1の回転胴8内が富酸素雰囲気下になるように過剰に吸入されるよう制御されることが好ましい。この空気の導入方向としては、回転キルン炉1の回転胴8内に原材料が連続的に供給されて進行する矢印Bで示す方向とは反対の矢印Aで示す方向(向流方向と略す)から空気を導入する構成となっている。これは、有機成分を含有する原材料10を燃焼させる場合に、煤などに代表される未燃焼物が発生するが、その際、原材料10の進行する矢印Bで示す方向と同じ方向(並流方向と略す)で空気を導入すると、導入した空気に載って原材料の燃焼によって生じた煤が加熱・焼成処理物排出口7の方向に移動し、焼成が完了して白くなった加熱・焼成処理物に煤が付着して白色度を低下させるため好ましくないが、これに対して、原材料10の移動する矢印Bで示す方向とは反対の矢印Aで示す方向(空気の流れる矢印Aで示す方向=向流方向)で空気を導入すると、原材料の燃焼によって生じた煤は導入した空気に載って回転胴8内の原材料投入口2の方向に移動して、回転胴8に新たに投入された原材料10と共に再度燃焼するか、あるいは排気手段4によって回転キルン炉1の外に排出されてしまい、加熱・焼成処理物排出口7より排出される加熱・焼成処理物に煤が付着することなく白色度を効率良く向上させることができ、好ましいためである。
前記した矢印Aで示す空気の流れを回転キルン炉1の回転胴8内に導入する方法としては、加圧した空気を加熱・焼成処理物排出口7の近傍に設置された空気供給口3より吹き込むこともできる。しかし先に説明した図1に示したように、原材料供給口2の近傍に設置された排気手段4によって回転胴8内の空気を強制排気することによって、加熱・焼成処理物排出口7の近傍に設置された空気供給口3から回転胴8内に空気が吸気される方法が好ましい。これは、空気は密度が低く圧縮されやすいため、原材料10によって内部が充填された回転胴8内に空気供給口3より空気を加圧して導入したのみでは、回転キルン炉1の長い回転胴8内全体に空気が行き渡りにくいが、空気供給口3の反対側に設けた排気手段4により回転胴8内の空気を強制的に排気して、回転胴8内を負圧にすることにより、空気供給口3から排気手段4方向への矢印Aで示す空気の流れが常に安定して発生することになり、回転胴8内の原材料10に対して、空気を行き渡らせやすくすることができるものである。
本発明において、前記した排気手段4による強制排気等によって回転キルン炉1の回転胴8内へ供給される空気量としては、原材料10が含有する有機成分を完全に燃焼消失するために必要とされる酸素量(理論酸素量)に対して、過剰な量の酸素を供給する空気量とすることが好ましく、回転胴8内に供給される空気量としては、酸素量(理論空気量)の1.5〜5倍とすることが好ましく、2〜5倍とすることが特に好ましい。回転胴8内へ供給される空気量が酸素量(理論空気量)の1.5倍未満である場合には、原材料10が含有する有機成分の燃焼が不完全となり、加熱・焼成処理物の白色度が低下する恐れがあるため好ましくなく、他方、該理論空気量の5倍を越える場合には、供給された空気によって回転胴8内の温度が過剰に冷やされてしまう恐れがあり、これに対して回転胴8内の温度を維持するために加熱手段5による加熱を増やす必要があり、エネルギーコスト的に好ましくない。
本発明においては、回転キルン炉1の加熱・焼成の方式としては、内熱式の加熱・焼成方式を用いても良いが、図1に示したように、回転キルン炉1の回転胴8を加熱する熱は主として間接的加熱手段5から供給され、原材料10を間接的に加熱・焼成する外熱式の加熱・焼成方法とすることが好ましい。これは、有機成分を含有する原材料を燃焼させるには多くの空気の導入が不可欠であるが、内熱式では、加熱用バーナーの燃焼のため回転にキルン炉1内部の空気(酸素)を消費するのに対して、外熱式では間接的加熱手段5によって回転胴8の外側から原材料10を加熱し、さらに別途に酸素を多く含んだ空気を空気供給口3より回転胴8内に導入できることから、原材料10を安定して燃焼させやすくするために好ましいものである。また、原材料10の加熱・焼成を行う温度を制御する必要がある場合、内熱式では、加熱用バーナー付近の温度がどうしても高くなり、回転胴8内の温度に勾配ムラが生じてしまい、加熱・焼成温度を一定の所望する温度に制御することも難しいため、回転胴8全体の温度も不均一になりやすいが、外熱式では、回転胴8の外側の各所に設けられた間接的加熱手段5の複数のバーナーを用いて回転胴8内全体の温度を安定して制御することができるため好ましいものである。この間接的加熱手段としては、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱、ガスバーナーによる加熱が経済的に好ましい。また前記した間接的加熱手段には、既存の焼却設備から排出される燃焼排ガスを使用することもできるし、水蒸気などを使用することもできる。また、本図1に示した例では熱風循環手段6の一例である循環ブロアーによって、図12に示したような、本発明の回転キルン炉1を備えた熱処理装置の前工程(乾燥工程、1次焼成工程など)からの燃焼排ガスが間接的加熱手段として供給することもできる。
以下に上述の回転キルン炉1の回転胴8内に対して、前記した(2)少分割隔壁構造部を上述のような多分割隔壁構造部と組み合わせて使用する方法を適用した例について図2以下を用いて説明する。
図2は、図1に示した熱処理装置のうちの回転キルン炉1の構造を説明する構成図である。図中、図1と同じ符号の構成要素については説明を省略している。図2に示したように、回転キルン炉1内の回転胴8aは多分割隔壁構造部12とその前側、すなわち多分割隔壁構造部12の原材料の投入方向側、いいかえれば回転胴8aの原材料供給口2の側に少分割隔壁構造部11を連結させて主に構成されている。図中、多分割隔壁構造部12以降は多分割隔壁構造部12や少分割隔壁構造部11と同じ形状の外郭の筒部8aで構成されている。
以下、本発明の多分割隔壁構造部12について説明する。多分割隔壁構造部12としては、要するにその内部が複数の区分室に区画されており、各区分室は多分割隔壁構造部12の原材料入り口側から出口側まで連通している。かつ回転胴8aの断面を効率よく使用するために、回転胴8aの径方向(ラジアル方向)について多層になるように区分室を有する。特に好ましくは2層、すなわち最外層領域と中心領域の二つの領域の区分室群から構成される。すなわち多分割隔壁構造部12とは回転胴8aの径方向(ラジアル方向)について多層つまり2層以上の区分室群から構成される区分室を有する。このような多層構造の区分室を設けた場合、15以上の区分室に分割することが、均等に原材料を熱処理する上で好ましい。このような多分割隔壁構造部12の典型的な例として、18分割型、24分割A型、24分割B型、および36分割型の4種類の例を以下に説明する。
[18分割型 多分割隔壁構造部についての説明]
図2に示した回転胴8a内に多分割隔壁構造部12として18分割型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図4に示した。図4は、図2に示した回転胴8a内に設けられた18区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(18分割型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図4(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室15o1、15o2、・・・15o12と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室15c1、15c2・・・15c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が18分割型多分割隔壁構造部16である。この18分割型多分割隔壁構造部16としては、図4(b)に示すように、18分割型多分割隔壁構造部16の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心点と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合15A、15B、・・・15F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図4(b)に示したように、区分室集合15Aを例に挙げれば、その区分室集合15Aの略正3角形の略重心位置と3つの辺の略中点をそれぞれ略垂直に結ぶ3本の直線によって、区分室集合15Aを3個の略合同4角形の区分室15c1および15o1、15o2に分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では15c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では15o1と15o2によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合15A・・・が複数集まって、総分割数として18個の区分室を設けた18分割型多分割隔壁構造部16を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、18分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の例である。すなわち各区分室の断面積が略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
図2に示した回転胴8a内に多分割隔壁構造部12として18分割型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図4に示した。図4は、図2に示した回転胴8a内に設けられた18区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(18分割型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図4(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室15o1、15o2、・・・15o12と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室15c1、15c2・・・15c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が18分割型多分割隔壁構造部16である。この18分割型多分割隔壁構造部16としては、図4(b)に示すように、18分割型多分割隔壁構造部16の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心点と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合15A、15B、・・・15F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図4(b)に示したように、区分室集合15Aを例に挙げれば、その区分室集合15Aの略正3角形の略重心位置と3つの辺の略中点をそれぞれ略垂直に結ぶ3本の直線によって、区分室集合15Aを3個の略合同4角形の区分室15c1および15o1、15o2に分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では15c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では15o1と15o2によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合15A・・・が複数集まって、総分割数として18個の区分室を設けた18分割型多分割隔壁構造部16を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、18分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の例である。すなわち各区分室の断面積が略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
ここで多分割隔壁構造部や各区分室の形状について略と称しているのは、厳密な正3角形、正6角形から若干のずれがあってもいいという趣旨である。例えば後述のように管状部材が中央部に配置されるような場合は中心領域の区分室群の各区分室は三角形ではなくなるがこのような場合をも含むという趣旨である。なお各区分室の断面積が略同一であるということは積層・堆積状態に偏りが少なく、均一な加熱、焼成が可能であるということを示すものである。また、単純に最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)の二つの領域の区分室群から構成するように多分割隔壁構造部を形成するということであれば、本図4(a)で示した各区分室の断面を変形させて多角形、曲線形、円形等やそれらの組み合わせ形に変形することも可能ではある。しかしながら、先に述べたような均一な加熱や、装置製作の容易性においては本図4(a)に示した形状の方が好ましい。尚、以下24分割型、36分割型の説明をするが、このような各区分室の形状についての考え方は同様であるので説明は省略した。
[24分割A型 多分割隔壁構造部についての説明]
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として24分割A型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図5に示した。図5は、図2に示した回転胴8a内に設けられた24区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(24分割A型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図5(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室17o1、17o2・・・17o18と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室17c1、17c2・・・17c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が24分割A型多分割隔壁構造部18である。この24分割A型多分割隔壁構造部18としては、図5(b)に示すように、24分割A型多分割隔壁構造部18の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合17A、17B、・・・17F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図5(b)に示したように、区分室集合17Aを例に挙げれば、その区分室集合17Aの略正3角形の各辺の略中点をそれぞれ結ぶ3本の直線によって、区分室集合17Aを4個の略合同3角形の区分室17c1および17o1、17o2、17o3に分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では17c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では17o1、17o2,および17o3によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合17A・・・が複数集まって、総分割数として24個の区分室を設けた24分割A型多分割隔壁構造部18を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、24分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の一例である。すなわち各区分室の断面積が略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として24分割A型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図5に示した。図5は、図2に示した回転胴8a内に設けられた24区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(24分割A型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図5(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室17o1、17o2・・・17o18と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室17c1、17c2・・・17c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が24分割A型多分割隔壁構造部18である。この24分割A型多分割隔壁構造部18としては、図5(b)に示すように、24分割A型多分割隔壁構造部18の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合17A、17B、・・・17F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図5(b)に示したように、区分室集合17Aを例に挙げれば、その区分室集合17Aの略正3角形の各辺の略中点をそれぞれ結ぶ3本の直線によって、区分室集合17Aを4個の略合同3角形の区分室17c1および17o1、17o2、17o3に分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では17c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では17o1、17o2,および17o3によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合17A・・・が複数集まって、総分割数として24個の区分室を設けた24分割A型多分割隔壁構造部18を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、24分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の一例である。すなわち各区分室の断面積が略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
[24分割B型 多分割隔壁構造部についての説明]
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として24分割B型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図6に示した。図6は、図2に示した回転胴8a内に設けられた24区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(24分割B型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図6(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室19o1、19o2・・・19o12、および6角形型の区分室19o13、19o14・・・19o18と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室19c1、19c2・・・19c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が24分割B型多分割隔壁構造部20である。この24分割B型多分割隔壁構造部20としては、図6(b)に示すように、24分割B型多分割隔壁構造部20の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合19A、19B・・・19F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図6(b)に示したように、区分室集合19Aを例に挙げれば、その区分室集合19Aの略正3角形を3個の略合同正3角形19c1および19o1、19o2と1個の6角形19o13によって併せて4個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同正3角形19c1および19o1、19o2が区分室集合19Aの略正3角形の各角をそれぞれ占めるように分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では19c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では略正3角形型区分室19o1、19o2および6角形型区分室19o13によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合19A・・・が複数集まって、総分割数として24個の区分室を設けた24分割B型多分割隔壁構造部20を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、24分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の一例である。すなわち各区分室集合における略正三角形および6角形型区分室の断面積がそれぞれ略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として24分割B型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図6に示した。図6は、図2に示した回転胴8a内に設けられた24区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(24分割B型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図6(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室19o1、19o2・・・19o12、および6角形型の区分室19o13、19o14・・・19o18と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室19c1、19c2・・・19c6から構成されている。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が24分割B型多分割隔壁構造部20である。この24分割B型多分割隔壁構造部20としては、図6(b)に示すように、24分割B型多分割隔壁構造部20の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合19A、19B・・・19F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図6(b)に示したように、区分室集合19Aを例に挙げれば、その区分室集合19Aの略正3角形を3個の略合同正3角形19c1および19o1、19o2と1個の6角形19o13によって併せて4個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同正3角形19c1および19o1、19o2が区分室集合19Aの略正3角形の各角をそれぞれ占めるように分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では19c1と、最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では略正3角形型区分室19o1、19o2および6角形型区分室19o13によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合19A・・・が複数集まって、総分割数として24個の区分室を設けた24分割B型多分割隔壁構造部20を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、24分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の一例である。すなわち各区分室集合における略正三角形および6角形型区分室の断面積がそれぞれ略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
[36分割型 多分割隔壁構造部についての説明]
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として36分割型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図7に示した。図7は、図2に示した回転胴8a内に設けられた36区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(36分割型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図7(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室21o1、21o2、・・・21o6、および菱形型の区分室21o7、21o8、・・・21o18と、中間層領域の区分室群(MS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室21m1、21m2、・・・21m12と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室として菱形型の区分室21c1、21c2、・・・21c6から構成されている。すなわち本例は3層の区分室群から構成される例である。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が36分割型多分割隔壁構造部22である。この36分割型多分割隔壁構造部22としては、図7(b)に示すように、36分割型多分割隔壁構造部22の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6つの各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合21A、21B、・・・21F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図7bに示したように、区分室集合21Aを例に挙げれば、その区分室集合21Aの略正3角形を3個の略合同正3角形21m1、21m2、および21o1と3個の略合同菱形21c1、および21o7、21o8によって併せて6個の区分室になるように分割し、さらに3つの略合同菱形21c1、および21o7、21o8が区分室集合21Aの略正3角形の各角をそれぞれ占めるように分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では菱形型区分室21c1、中間層領域の区分室群(MS)を構成する区分室、この例では略正3角形型区分室21m1、21m2、および最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では略正3角形型区分室21o1および菱形型区分室21o7、21o8によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合21A・・・が複数集まって、総分割数として36個の区分室を設けた36分割型多分割隔壁構造部22を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、36分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の例である。すなわち各区分室集合における略正3角形および菱形の各区分室の断面積がそれぞれ略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
図2に示した回転胴8a内に、多分割隔壁構造部12として36分割型多分割隔壁構造部を使用した場合の、図2中におけるβ−β’断面を図7に示した。図7は、図2に示した回転胴8a内に設けられた36区分室を設けた多分割隔壁構造部の一例(36分割型多分割隔壁構造部)を使用した場合のβ−β’断面図であり、(a)は各区分室を表示した断面図、(b)は各区分室集合を表示した断面図である。図7(a)に示したように、最外層領域の区分室群(OS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室21o1、21o2、・・・21o6、および菱形型の区分室21o7、21o8、・・・21o18と、中間層領域の区分室群(MS)を構成する各々の区分室として、略正3角形型の区分室21m1、21m2、・・・21m12と、中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室として菱形型の区分室21c1、21c2、・・・21c6から構成されている。すなわち本例は3層の区分室群から構成される例である。これらの区分室間の隔壁や外壁を構成する部分が36分割型多分割隔壁構造部22である。この36分割型多分割隔壁構造部22としては、図7(b)に示すように、36分割型多分割隔壁構造部22の断面が、略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6つの各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室集合21A、21B、・・・21F(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。さらに図7bに示したように、区分室集合21Aを例に挙げれば、その区分室集合21Aの略正3角形を3個の略合同正3角形21m1、21m2、および21o1と3個の略合同菱形21c1、および21o7、21o8によって併せて6個の区分室になるように分割し、さらに3つの略合同菱形21c1、および21o7、21o8が区分室集合21Aの略正3角形の各角をそれぞれ占めるように分割している。このように中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室、この例では菱形型区分室21c1、中間層領域の区分室群(MS)を構成する区分室、この例では略正3角形型区分室21m1、21m2、および最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室、この例では略正3角形型区分室21o1および菱形型区分室21o7、21o8によって構成される一定形状、この例では略正3角形状の区分室集合21A・・・が複数集まって、総分割数として36個の区分室を設けた36分割型多分割隔壁構造部22を構成することが好ましい。この理由は後で説明する。本図に示した例は、36分割型多分割隔壁構造部としては最も好ましい構造部の例である。すなわち各区分室集合における略正3角形および菱形の各区分室の断面積がそれぞれ略同一であり、また多分割隔壁構造部を構成する隔壁が直線的にかつ対称的に構成されているので本多分割隔壁構造部を、金属板等を組み合わせて作製するときに容易である。
前記した36分割型多分割隔壁構造部22において、最外層領域(OS)および中心領域(CS)の各領域を構成する略合同菱形型区分室を、さらに2個の略合同正3角形型区分室に分割することにより、全ての区分室が略合同正3角形型の区分室であり、総分割数として54個の区分室を設けた54分割型多分割隔壁構造部(図示せず)とすることも可能であり、また前記した18分割型、24分割型、36分割型の考え方を応用すれば、総分割数として54個以上の区分室を設けた多分割隔壁構造部とすることも可能である。
前記した各種の多分割隔壁構造部のうち、原材料の加熱・焼成処理に対する伝熱効果が向上し、分割した各区分室への原材料の均等的な導入も比較的容易であり、回転胴内の原材料の積層・堆積状態も大幅に軽減できる多分割隔壁構造部としては、前記した18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)の典型的な4種類の多分割隔壁構造部が好ましく、これら4種類の多分割隔壁構造部の中でも最も区分室の分割数が多く、回転胴内の原材料の積層・堆積が軽減可能な36分割型多分割隔壁構造部(22)が特に好ましい。前記した54分割型多分割隔壁構造部のように、総分割数として36個を超える区分室を設けた多分割隔壁構造部の場合には、理論上は原材料の加熱・焼成処理に対する伝熱効果が向上し、原材料の積層・堆積状態も大幅に軽減できるため有効であるが、反面、実用上は多分割隔壁構造部の構造が複雑化して、本多分割隔壁構造部を作製することが困難となり、また、分割した区分室数が多くなり過ぎ、分割した全ての区分室に対して充分均等に原材料を導入することが極めて困難となり、結果的に原材料の積層・堆積状態を充分に軽減することができない恐れがあるため、好ましくない。
前記した多分割隔壁構造部12において、キルンの回転胴8a内(断面β−β’)を分割する区分室数が15未満の場合には、回転胴8a内に投入された原材料10を回転胴8a断面内に広く分布させることができないために、原材料10の積層を充分に軽減することができず、加熱・焼成処理物の焼成が不完全で品質が低下する恐れがあるため好ましくない。
以上に説明した多分割隔壁構造部のみによって回転胴を構成した場合は、先に図15によって説明したように原材料粒子10a、10a・・・の偏在が起こる。これを防ぐために、前記したように(1)多分割隔壁構造部の区分室への原材料導入手段を工夫する方法、すなわち、従来から使用さているスクリューフィーダー等の原材料導入手段を、別の原材料導入手段にしたり、それらと組み合わせたりする方法、および(2)少分割隔壁構造部を、上述のような多分割隔壁構造部と組み合わせて使用する方法が考えられる。
このうち、(1)多分割隔壁構造部の区分室への原材料導入手段を工夫する方法を以下に説明する。図18に示したように、スクリューフィーダーなどの回転胴内への原材料導入手段によって回転胴内に導入された原材料粒子10a、10a・・・を、さらに多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室への原材料導入手段25、例として図中には導入管を示した、を使用して供給する。図18は回転胴内の多分割隔壁構造部12へ原材料導入手段25の一例として導入管を使用した一例の概念図である。導入管の他には、スライダーなども同様に使用可能である。最外層領域の区分室への原材料導入手段26も同様に導入管を用いて、多分割隔壁構造部12の各区分室に導入する。この中心領域の原材料導入手段25、最外層領域の原材料導入手段26に対しては、独立したスクリューフィーダーなどの原材料導入手段(図18図示省略)をそれぞれ接続して原材料粒子10a、10a・・・の導入量を制御したり、また各原材料導入手段25および26の直径を変えて原材料粒子10a、10a・・・の導入量を制御して、中心領域と最外層領域の各区分室に原材料粒子10a、10a・・・を導入することができる。
また、(2)少分割隔壁構造部を、上述のような多分割隔壁構造部と組み合わせて使用する方法としては、図2に示したように、多分割隔壁構造部12の原材料投入方向側に少分割隔壁構造部11を連結して設け、この少分割隔壁構造部11を含む回転胴8aの自転によって、多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10を均一、自然、かつ自動的に投入することが可能となる方法である。この少分割隔壁構造部11を多分割隔壁構造部12と組み合せることにより、多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10が均一かつ、自動的に導入される原理については以下に詳細に説明するが、回転胴8a内の多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料を導入する方法としては、前記した(1)多分割隔壁構造部の区分室への原材料導入手段を工夫する方法に較べてこの(2)少分割隔壁構造部11を多分割隔壁構造部12と組み合わせて使用する方法の方が、原材料導入のための特別な機械装置を導入する必要がなく、構造原理も極めて簡便であるためより好ましい。
この少分割隔壁構造部11は、先に説明した、「回転胴8aの径方向(ラジアル方向)について、多層つまり2層以上の区分室群から構成される区分室を有する多分割隔壁構造部12」とは異なり、「回転胴8aの径方向(ラジアル方向)について単層つまり1層のみの区分室群から構成される区分室を有する少分割隔壁構造部11」である。図2に示した回転胴8a内に多分割隔壁構造部12として先に説明した18分割型多分割隔壁構造部16を使用し、少分割隔壁構造部11として図3に示したように6分割型の少多分割隔壁構造部14を使用した場合の、図2中におけるα−α'断面を図3に示した。図3は6分割型の少分割隔壁構造部の一例の径方向の断面図である。
図3からわかるように、区分室は最外層領域と呼べばそのように呼べる領域の区分室群(OS)を構成する単層の各々の区分室13o1、13o2・・・13o6から構成されている。図3に示すように、少分割隔壁構造部11のα−α'断面は略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室13o1、13o2・・・13o6(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。
図3からわかるように、区分室は最外層領域と呼べばそのように呼べる領域の区分室群(OS)を構成する単層の各々の区分室13o1、13o2・・・13o6から構成されている。図3に示すように、少分割隔壁構造部11のα−α'断面は略正6角形の外郭を有しており、略正6角形の外郭の内部を分割する形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室13o1、13o2・・・13o6(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割している。
前記した多分割隔壁構造部12をキルンの回転胴8a内に設け、さらに多分割隔壁構造部12の原材料投入方向側に、前記した少分割隔壁構造部11を連結して設けることにより、多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10が均一、自然、かつ自動的に投入される理由としては、以下のような機構に依るものである。
通常、図13に示したように、キルンの回転胴8aに隔壁構造部がない場合、または図14に示したように、少分割隔壁構造部11を単独でキルンの回転胴8a内設けた場合(例として、6分割型少分割隔壁構造部14)には、投入された原材料粒子10a,10a・・・は、回転胴24または少分割隔壁構造部14の各区分室13o1、13o2・・・13o6の下底部に積層するだけであり、回転胴24内、または少分割隔壁構造部14の各区分室13o1、13o2・・・13o6内に多くの空きスペースが生じ、充分に回転胴8a断面のスペースを充分に有効利用することはできない。
また、図15に示したように、多分割隔壁構造部12を単独でキルンの回転胴8a内に設けた場合(例として、18分割型 多分割隔壁構造部16)においても、投入された原材料粒子10a,10a・・・は18分割型多分割隔壁構造部16の各区分室のうちの最外層領域の区分室群(OS)を構成する区分室(図4(a)における、15o1、15o2、15o3・・・15o18)にのみ導入され、18分割型多分割隔壁構造部16の中心領域の区分室群(CS)を構成する各々の区分室(図4(a)における、15c1、15c2・・・15c6)には原材料粒子10a,10a・・・が導入されないため、回転胴8a断面のスペースを充分に有効利用することができない。
これに対して、発明者らは鋭意研究した結果、図2に示したように、多分割隔壁構造部12をキルンの回転胴8a内に設け、さらに多分割隔壁構造部12の原材料投入方向側に、少分割隔壁構造部11を連結して設けることにより原材料10を各区分室に均等に導入することができた。その状態を図16、17に示した。図16は6分割型少分割隔壁構造部14と18分割型多分割隔壁構造部16を連結させた場合の18分割型多分割隔壁構造部16の各区分室内の原材料粒子10a、10a・・・の積層状態を示す概念図である。図17は6分割型少分割隔壁構造部14と36分割型多分割隔壁構造部22を連結させた場合の36分割型多分割隔壁構造部22の各区分室内の原材料粒子10a、10a・・・の積層状態を示す概念図である。図16、17にそれぞれ示したように、断面構造として18分割型多分割構造部16、および36分割型多分割構造部22のような断面構造を有する多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料粒子10a、10a・・・を均等に導入しながら、これまで導入が困難であった多分割隔壁構造部の中心領域の区分室群(CS)を構成する区分室(例として、18分割型多分割隔壁構造部16では、図4aにおける区分室15c1、15c2・・・15c6、および36分割型多分割隔壁構造部22では、図7(a)における区分室21c1、21c2・・・21c6)の各区分室、および中間層領域の区分室群(MS)を構成する区分室(例として、36分割型隔壁構造部22では、図7(a)における区分室21m1、21m2・・・21m12)まで原材料粒子10a、10a・・・を揚搬・分布させることができ、原材料の積層状態の軽減に対して、回転胴8a断面のスペースを極めて有効に利用できることを見出した。
前記した断面構造として18分割型多分割構造部16、および36分割型多分割構造部22のような断面構造を有する多分割隔壁構造部12の各区分室に対して、投入された原材料粒子10a、10a・・・が均一に導入される機構としては、一例として、少分割隔壁構造部11において、図3に示したように、略正6角形外郭の内部を6分割した略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)、一例として13o1は、キルンの回転胴8aが回転することにより回転胴8a内を1回転するように動き、また6分割型-正3角形区分室、一例として13o1に導入された原材料粒子10a、10a・・・は、図14に示したように、回転胴8aの回転に合わせて区分室13o1の底辺部、あるいは下底角部を順に移動し、キルンの回転胴8aが1回転する際に、区分室13o1の略正3角形の全ての辺と角を巡りながら、回転胴8aの加熱・焼成処理物排出口7方向に少しずつ移動していくが、その際、6分割型少分割隔壁構造部14の後に連続して前記した18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)のいずれかの多分割隔壁構造部を組み合せることにより、6分割型少分割隔壁構造部14の区分室13o1、13o2、…13o6内を移動する原材料粒子10a、10a・・・がキルンの回転に伴って回転胴8a内を1回転する間に、図16、17に示したように、18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)の多分割隔壁構造部の最外層領域、中間層領域および中心領域の各区分室内に均一、かつ自然に導入され、これによって多分割隔壁構造部12内の最外層領域、中間層領域および中心領域を含む全区分室まで原材料粒子10a、10a・・・が揚搬され、均一に分布されるものである。
以上のように少分割隔壁構造部11の各区分室から多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10が揚搬され、均一に分布されるためには、少分割隔壁構造部11の一つの区分室断面が多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室と最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室によって構成される一定形状の区分室集合と同一断面を構成することが最も好ましい。
以上のように少分割隔壁構造部11の各区分室から多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10が揚搬され、均一に分布されるためには、少分割隔壁構造部11の一つの区分室断面が多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室群(CS)を構成する少なくとも一つの区分室と最外層領域の区分室群(OS)を構成する少なくとも2以上の区分室によって構成される一定形状の区分室集合と同一断面を構成することが最も好ましい。
前記した少分割隔壁構造部11と多分割隔壁構造部12を組み合わせた構造の例を図8および図9に示した。図8は図1に示した回転キルン炉1内の回転胴8の構造の一例を示す一部断面図で、多分割隔壁構造部12を回転胴8b内に複数設けた例を示す。図8に示したように、キルンの回転胴8b内に、必要に応じて多分割隔壁構造部12を複数個設置することもできる。図8は、回転胴内の前、中、後の3箇所に多分割隔壁構造部12を設けた一例)また図9は図1に示した回転キルン炉1内の回転胴8の構造の一例を示す一部断面図で、多分割隔壁構造部12を回転胴8c内の大部分の領域に設けた例を示す。本図9に示したように、回転胴8cの原材料供給口2の付近に少分割隔壁構造部11を設けた後に、回転胴8cの加熱・焼成処理物排出口7付近まで連続して多分割隔壁構造部12を組み合せて設けることにより、回転胴8cのほぼ全領域を多分割隔壁構造部とすることができる。
また、図8に示したようにキルンの回転胴8b内に、少分割隔壁構造部11と多分割隔壁構造部12を組み合せた構造を複数個所設ける場合においては、少分割隔壁構造部11と連結させる多分割隔壁構造12は、複数種類の多分割隔壁構造部11の構造の中から1種類の多分割隔壁構造部(例として、18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)のいずれか1種類)を選定して用いても良いが、前記した複数種類の多分割隔壁構造部の構造の中から2種類以上の多分割隔壁構造部(例えば、18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)の中の2種類以上)を任意に選択して少分割隔壁構造部11と組み合せて用いても良い。
また、図8および図9に示したように、本発明における少分割隔壁構造部11の回転胴軸長方向の長さL1は、少分割隔壁構造部11が原材料10を安定して保持しながら回転し、かつ少分割隔壁構造部11に後続して連結される多分割隔壁構造部12に対して原材料10を安定、かつ均一に導入する必要があるため、0.1〜5.0mであることが好ましく、0.3〜3.0mであることが特に好ましい。少分割隔壁構造部11の回転胴軸長方向の長さL1が0.1m未満である場合には、少分割隔壁構造部11が投入された原材料10を充分に安定、かつ均一に保持して攪拌することが困難であるため好ましくない。また少分割隔壁構造部11の回転胴軸長方向の長さL1が5.0mを越える場合には、投入された原材料は少分割隔壁構造部11に設けられた各区分室内で充分に安定、かつ均一に保持されており、無駄となるため好ましくない。
また、図8および図9に示したように、本発明における多分割隔壁構造部12の回転胴軸長方向の長さL2は、原材料10を加熱・焼成処理するために必要な時間の間、多分割隔壁構造部12内に原材料10を保持する必要があるため、0.3〜50mであることが好ましく、0.5〜30mであることが特に好ましい。多分割隔壁構造部12の回転胴軸長方向の長さL2が、0.3m未満である場合、多分割隔壁構造部12における原材料10の加熱・焼成時間を確保することが困難なため好ましくない。また、多分割隔壁構造部12の回転胴軸長方向の長さL2が、50mを超える場合はあまり考えられない。これは、その長さがあれば、投入された原材料10を多分割隔壁構造部12の区間内で充分に加熱・焼成処理することができるので、それ以上の長さにすることは無駄となるためであるからである。
また、図4(a)、図5(a)、図6(a)、図7(a)に例示したように、本発明における多分割隔壁構造部12に設けられた区分室を構成する1辺の大きさL3は、キルンの回転胴8a、8b、8cの大きさ(直径)を基準にして定められる略合同正3角形、略合同4角形、略合同6角形および略合同菱形などによって略均等に分割された形状を有しているため、基本的に各区分室を構成する1辺の大きさL3は回転胴8a、8b、8cの大きさ(直径)に略依存して決定されるが、その際に、多分割隔壁構造部12の各区分室を構成する1辺の大きさL3は15mm以上とすることが好ましく、50mm以上とすることが特に好ましい。多分割隔壁構造部12の各区分室を構成する1辺の大きさL3が15mm未満では、原材料10が造粒成形されたものである場合に、多分割隔壁構造部12の各区分室内に原材料10が導入され難くなること、また分割された区分室の大きさが過小であり、多分割隔壁構造部12を加工・製造することが困難となるために好ましくない。
また、本発明における多分割隔壁構造部12に設けられた区分室を構成する1辺の大きさL3は2.0m以下とすることが好ましく、1.5m以下とすることが特に好ましい。多分割隔壁構造部12の各区分室を構成する1辺の大きさL3が2.0mを超える場合には、各区分室によって構成される多分割隔壁構造部12を含むキルンの回転胴8a、8b、8cの大きさ(直径)が8.0mを超える過大な装置となり、回転胴8a、8b、8c内に投入された原材料の積層・堆積状態を充分に軽減することができ、それ以上にすることは無駄となるためであるからである。
また、本発明における多分割隔壁構造部12に設けられた区分室を構成する1辺の大きさL3は2.0m以下とすることが好ましく、1.5m以下とすることが特に好ましい。多分割隔壁構造部12の各区分室を構成する1辺の大きさL3が2.0mを超える場合には、各区分室によって構成される多分割隔壁構造部12を含むキルンの回転胴8a、8b、8cの大きさ(直径)が8.0mを超える過大な装置となり、回転胴8a、8b、8c内に投入された原材料の積層・堆積状態を充分に軽減することができ、それ以上にすることは無駄となるためであるからである。
本発明における多分割隔壁構造部12の構造としては、キルンの回転胴が、その内部に15以上の区分室であって、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている区分室を設けた多分割隔壁構造部12であることが好ましく、図4a、図5a、図6a、図7aに例示したように、前記した18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)のような特長的な構造を有していれば特に好ましいが、多分割隔壁構造部12を形成する方法については、特に限定はなく、各種方法を用いることができるが、一例としては、本発明における18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)のような多分割隔壁構造部12を形成する方法の一例を図10に示した。図10は多分割隔壁構造部12を構成する区分室をそれぞれ個別に作製した後、各区分室を接合して多分割隔壁構造部12を形成する一例であり、10(a)は分解断面図、10(b)は接合後の断面図をそれぞれ示す。本例では18分割型多分割隔壁構造部16について、多分割隔壁構造を構成する各区分室(例として、最外層領域の区分室15o1、15o2・・・15o12、および中心領域の区分室15c1、15c2・・・15c6)をそれぞれ個別に形成した後に、各区分室を接合させて所望の多分割隔壁構造部12(本例では、18分割型隔壁構造部16)を形成することができることを示した。また、図11には区分室集合の内側に仕切を入れて各区分室に分割するようにして多分割隔壁構造部を形成する方法の一例を示した。図11は区分室集合の内側に仕切を入れて各区分室に分割するようにして多分割隔壁構造部12を形成する一例であり、11(a)は組み立て途中断面図、11(b)は組み立て後の断面図をそれぞれ示す。図11に示したように、6分割型少分割隔壁構造部14を基本構造として、6分割型少分割隔壁構造部14の各区分室13o1、13o2、…13o6に対して、多分割用仕切(一例として、18分割用仕切23)を導入することによって、所望の多分割隔壁構造部12(一例として、18分割型多分割隔壁構造部16)を形成することができる。
また、図2、図8、図9に示した、回転胴内の全体ではなく、一部分に少分割隔壁構造部11と多分割隔壁構造部12を設ける場合の回転胴8、8a、8bの断面形状としては、少分割隔壁構造部11および多分割隔壁構造部12の外郭の断面形状と同じくすることが好しく、例として、図3に示したように、少分割隔壁構造部11の外郭の断面形状が略正6角形型の6分割型少分割隔壁構造部14であり、さらに多分割隔壁構造部12の外郭の断面形状も図4a、図5a、図6a、図7aにそれぞれ例示したように、外郭の断面形状が略正6角形型の18分割型(16)、24分割A型(18)、24分割B型(20)、および36分割型(22)の多分割隔壁構造部12である場合には、回転胴8、8a、8bの外郭の断面形状も少分割隔壁構造部11、および多分割隔壁構造部12の外郭の断面形状と同じく略正6角形型とすることが特に好ましい。これは少分割隔壁構造部11および多分割隔壁構造部12の外郭の断面形状がそれぞれ略正6角形型を有しているが、回転胴8、8a、8bの断面形状も少分割隔壁構造部11や多分割隔壁構造部12の外郭の断面形状と同じ略正6角形とすることにより、回転胴8、8a、8bと少分割隔壁構造部11、および多分割隔壁構造部12を連結する際に、回転胴8、8a、8bと少分割隔壁構造部11、および多分割隔壁構造部12の間に隙間を生じることなく連結でき、これによって、回転胴8、8a、8b内に投入した全ての原材料10を、少分割隔壁構造部11を通じて多分割隔壁構造12の各区分室に導入することができるためである。
図19は、前記した図1と基本的には同じ構成の、本発明の回転キルン炉1を備えた熱処理装置の別の一例の構成図であり、主に加熱手段に関する構成要素を説明する構成図である。図20に同回転キルン炉の回転胴の断面を示した。本例は、18分割型 多分割隔壁構造部を示している。この例では前出の図1の構成を一部変更して回転胴8の中心領域の区分室群の回転中心部の付近の隔壁の構造を変化させて、中心部の隔壁の一部が管状部材27の管壁によって構成されるようになっている。管状部材27は図19中では理解しやすいように実線にて表記している。結局この管状部材27の内部が回転胴内空洞Vを構成することになる。この空洞に後述の第2の加熱手段5bを収容することにより、回転キルン炉1に第1の加熱手段5a、および第2の加熱手段5bの2種類の加熱手段を備えた熱処理装置を構成できることになる。またこのように、その回転胴内空洞部を設けるために、少なくとも回転胴を貫通するように管状部材27を配置し、その管壁を多分割隔壁構造部の隔壁の一部とすることは、第2の加熱手段から中心領域の区分室群への加熱の熱伝達上も好ましい。
このように第2の加熱手段5bを図19に例示したように有すると、最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)を有する多分割隔壁構造部12を回転キルン炉1内の回転胴8(図21では、回転胴8b)として設けた場合に、多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室群(CS)対して充分、かつ均等な熱を加えて加熱・焼成効率を向上させることができる。さらに多分割隔壁構造部12の各区分室に導入された原材料に対して加熱・焼成の温度を精密に制御することが要求される場合に、回転胴8の外側と内側の両側にそれぞれ設けられた加熱手段5aおよび5bによって、加熱・焼成温度を均等に、かつ精度良く制御することができ、より好ましい態様となる。
結局、回転胴8を加熱する方法として、回転胴8の外側から間接的に加熱する、先に説明した第1の加熱手段としての間接的(外側)加熱手段5aと、回転胴8の内側から加熱する上記した第2の加熱手段としての間接的(内側)加熱手段5bを併用して、回転胴8の外側と内側の両方から加熱することが非常に好ましい。
また図21は、前記した加熱手段を収容するための管状部材27を回転胴8内に設けた別の一例の構成図を示す。この例では、前出の図8に例示したように、複数組の少分割隔壁構造部11と多分割隔壁構造部12を組み合わせた構造を使用した構成において、第2の加熱手段5bを収容するために管状部材27を適用した一例を示す構成図である。図19、および図21共に、図中、前出の図1と同じ符号の構成要素については説明を省略している。本例においても管状部材27の管内に加熱手段を設けることができるので、上述の図19に示した例と同様の効果が期待できることはもちろんのことである。
このように第2の加熱手段5bを図19に例示したように有すると、最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)を有する多分割隔壁構造部12を回転キルン炉1内の回転胴8(図21では、回転胴8b)として設けた場合に、多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室群(CS)対して充分、かつ均等な熱を加えて加熱・焼成効率を向上させることができる。さらに多分割隔壁構造部12の各区分室に導入された原材料に対して加熱・焼成の温度を精密に制御することが要求される場合に、回転胴8の外側と内側の両側にそれぞれ設けられた加熱手段5aおよび5bによって、加熱・焼成温度を均等に、かつ精度良く制御することができ、より好ましい態様となる。
結局、回転胴8を加熱する方法として、回転胴8の外側から間接的に加熱する、先に説明した第1の加熱手段としての間接的(外側)加熱手段5aと、回転胴8の内側から加熱する上記した第2の加熱手段としての間接的(内側)加熱手段5bを併用して、回転胴8の外側と内側の両方から加熱することが非常に好ましい。
また図21は、前記した加熱手段を収容するための管状部材27を回転胴8内に設けた別の一例の構成図を示す。この例では、前出の図8に例示したように、複数組の少分割隔壁構造部11と多分割隔壁構造部12を組み合わせた構造を使用した構成において、第2の加熱手段5bを収容するために管状部材27を適用した一例を示す構成図である。図19、および図21共に、図中、前出の図1と同じ符号の構成要素については説明を省略している。本例においても管状部材27の管内に加熱手段を設けることができるので、上述の図19に示した例と同様の効果が期待できることはもちろんのことである。
前記した管状部材27内に備えられる間接的(内側)加熱手段5bとしては、前記した間接的(外側)加熱手段5aと同様に、電気的な加熱、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱、ガスバーナーによる加熱の他に、既存の焼却設備から排出される燃焼ガスによる加熱や水蒸気による加熱など、各種加熱手段を用いることができる。また、図19に例示したように、熱風循環手段6の一例である循環ブロアーによって、図12に示したような本発明の回転キルン炉1を備えた熱処理装置の前工程(乾燥工程、1次焼成工程など)からの燃焼排ガスも加熱手段として供給することもできる。
回転胴8を内側から加熱するための加熱手段5bを収容する管状部材27の回転胴内空洞Vについては、加熱手段5bを収容できれば回転胴8内の空洞部の前後の口間で閉口して閉じた空間とすることが次に説明するような理由のため好ましい。
すなわち、前記したように、多分割隔壁構造部12の各区分室(例えば、図20の最外層領域の区分室15o1、15o2・・・15o12、および中心領域の区分室15c1、15c2・・・15c6)に対して導入された原材料の燃焼効率を向上させるために各区分室に対して多くの空気を導入することが必要であるため、回転胴8の前後部には空気導入、通過の障害になる装置、配管等ができるだけ配置されないようにすることが好ましい。
特に回転胴8の排気側、すなわち排気手段4が備わる側、いいかえれば原材料供給口2側の回転胴8付近はもともとスクリューフィーダー等の原材料投入手段が不可避的に設けられており。そのような障害物を更に配置することをできるだけ避けることが好ましいのである。この点で先に説明した電気的な加熱手段をとった場合、電気の供給経路は比較的小さくそのような障害物にならないので好ましい。
しかし、加熱手段としての経済効率を考えると燃焼排ガス等の加熱媒体を使用する加熱手段を採用することがより好ましい。そのような場合は加熱媒体が管状部材27の回転胴内空洞Vに入り口から入り、回転胴内空洞Vを通過して中心領域の区分室に熱を伝達排出し、出口から出ていくという構成をとる必要がある。このような構造を単純に考えれば回転胴内空洞Vと連通した加熱媒体供給用配管及び加熱媒体排出用配管を有する構成となる。すなわち管状部材27として吸気側から管状部材27排気側に貫通する加熱媒体用配管が回転キルン炉の中心軸方向を貫通して設けられることになる。
しかしこのような貫通する配管が特に回転胴8排気側に存在することは先に説明したように空気導入、通過の障害物となるのであまり好ましくない。一つの方策としては回転胴内空洞部を出たあとの加熱媒体用配管を細くするようなことでそのような障害の程度をさげることは可能ではある。
また、そのような空気導入、通過の障害物となることをできるだけ避ける点で加熱媒体用配管を管状部材27の吸気側にのみ設けることも可能である。この場合加熱媒体用配管は2重構造をとることになる。すなわち同心円的な2重管構造や単純な並列した2本管構造をとって回転胴内空洞Vに接続されて、加熱媒体供給用配管は空洞V内で特に回転胴8の近傍で開口し、加熱媒体を放出し、空洞部内の中心部で開口した加熱媒体排出用配管へ放熱後媒体が吸引される構造が挙げられる。他にもいわゆる効率的な間接加熱のための公知の迷路的配管構造や熱伝導を良好にするフィン構造等を適宜組み合わせて回転胴内空洞部に配置することができる。
すなわち、前記したように、多分割隔壁構造部12の各区分室(例えば、図20の最外層領域の区分室15o1、15o2・・・15o12、および中心領域の区分室15c1、15c2・・・15c6)に対して導入された原材料の燃焼効率を向上させるために各区分室に対して多くの空気を導入することが必要であるため、回転胴8の前後部には空気導入、通過の障害になる装置、配管等ができるだけ配置されないようにすることが好ましい。
特に回転胴8の排気側、すなわち排気手段4が備わる側、いいかえれば原材料供給口2側の回転胴8付近はもともとスクリューフィーダー等の原材料投入手段が不可避的に設けられており。そのような障害物を更に配置することをできるだけ避けることが好ましいのである。この点で先に説明した電気的な加熱手段をとった場合、電気の供給経路は比較的小さくそのような障害物にならないので好ましい。
しかし、加熱手段としての経済効率を考えると燃焼排ガス等の加熱媒体を使用する加熱手段を採用することがより好ましい。そのような場合は加熱媒体が管状部材27の回転胴内空洞Vに入り口から入り、回転胴内空洞Vを通過して中心領域の区分室に熱を伝達排出し、出口から出ていくという構成をとる必要がある。このような構造を単純に考えれば回転胴内空洞Vと連通した加熱媒体供給用配管及び加熱媒体排出用配管を有する構成となる。すなわち管状部材27として吸気側から管状部材27排気側に貫通する加熱媒体用配管が回転キルン炉の中心軸方向を貫通して設けられることになる。
しかしこのような貫通する配管が特に回転胴8排気側に存在することは先に説明したように空気導入、通過の障害物となるのであまり好ましくない。一つの方策としては回転胴内空洞部を出たあとの加熱媒体用配管を細くするようなことでそのような障害の程度をさげることは可能ではある。
また、そのような空気導入、通過の障害物となることをできるだけ避ける点で加熱媒体用配管を管状部材27の吸気側にのみ設けることも可能である。この場合加熱媒体用配管は2重構造をとることになる。すなわち同心円的な2重管構造や単純な並列した2本管構造をとって回転胴内空洞Vに接続されて、加熱媒体供給用配管は空洞V内で特に回転胴8の近傍で開口し、加熱媒体を放出し、空洞部内の中心部で開口した加熱媒体排出用配管へ放熱後媒体が吸引される構造が挙げられる。他にもいわゆる効率的な間接加熱のための公知の迷路的配管構造や熱伝導を良好にするフィン構造等を適宜組み合わせて回転胴内空洞部に配置することができる。
また、以上の図示した例では管状部材27として円柱状のものを例として説明してきたが、本発明における管状部材27の断面形状としては、特に限定はなく、略円形状、略楕円形状、略三角形以上の略多角形状、略星型などのいずれかの断面形状の管状部材を任意に選択して用いることができる。
前記した管状部材27の大きさ(直径)としては、0.03m以上、かつ回転キルン炉1の回転胴8の直径の0.34倍以下とすることが好ましく、0.1m以上、かつ回転胴の直径の0.1倍未満とすることが特に好ましい。
これは、前記した管状部材27の内部に間接的(内側)加熱手段5bを備える場合に、管状部材27の直径が0.03m未満であると、管状部材27の内部に加熱手段5bを導入することが困難になるため好ましくなく、他方、管状部材27の直径が回転胴8の直径の0.34倍を超えると、回転胴8の断面において概ね均等になるように分割された多分割隔壁構造部12の各区分室のうち、中心領域の区分室(一例として、図20に示した15c1、15c2・・・15c6の区分室)の断面の一部が管状部材27に占められ、中心領域の区分室の断面積が著しく減少して多分割隔壁構造部12の各区分室の均等性が著しく崩れるために、最外層領域の区分室と中心領域の区分室において、原材料の加熱・焼成の状態が不均一になる恐れがあり、また多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室(一例として、図20に示した15c1、15c2・・・15c6の区分室)の断面積が減少することによって、中心領域の区分室に導入された原材料の積層を充分に軽減することができずに、原材料の未燃カーボン(煤)の燃焼除去が不充分となる恐れがあるためである。
これは、前記した管状部材27の内部に間接的(内側)加熱手段5bを備える場合に、管状部材27の直径が0.03m未満であると、管状部材27の内部に加熱手段5bを導入することが困難になるため好ましくなく、他方、管状部材27の直径が回転胴8の直径の0.34倍を超えると、回転胴8の断面において概ね均等になるように分割された多分割隔壁構造部12の各区分室のうち、中心領域の区分室(一例として、図20に示した15c1、15c2・・・15c6の区分室)の断面の一部が管状部材27に占められ、中心領域の区分室の断面積が著しく減少して多分割隔壁構造部12の各区分室の均等性が著しく崩れるために、最外層領域の区分室と中心領域の区分室において、原材料の加熱・焼成の状態が不均一になる恐れがあり、また多分割隔壁構造部12の中心領域の区分室(一例として、図20に示した15c1、15c2・・・15c6の区分室)の断面積が減少することによって、中心領域の区分室に導入された原材料の積層を充分に軽減することができずに、原材料の未燃カーボン(煤)の燃焼除去が不充分となる恐れがあるためである。
また、本発明における回転キルン炉1に備えられる回転胴8すなわち、少分割隔壁構造部11、多分割隔壁構造部12や管状部材27等の他の部分を構成する材料の材質としては、加熱・焼成処理に耐える材質で構成されることが必要であり、加熱・焼成時の温度として2000℃程度の温度に耐え得る材質であることが特に好ましい。また、有機成分を含有する原材料を加熱・焼成処理する際に、酸性やアルカリ性の成分が発生することがあるため、酸性やアルカリ性に耐え得る材質で構成されることが極めて好ましく、ステンレスやチタン等の耐熱、耐腐食性を有する鋼材が好ましい。
また、本発明における少分割隔壁構造部11、および多分割隔壁構造部12を構成する鋼板材としては、前記したステンレスなどの金属板により構成しても良いが、さらにパンチングメタルのような穴明きの金属板で構成することが好ましい。これは穴の明いていない金属板よりも穴明き金属板の方が、少分割隔壁構造部11や多分割隔壁構造部12の各区分室内に導入された原材料10に対して空気(酸素)を行き渡らせやすくなるためである。この穴明き金属板の穴には、各種の形状や大きさがあるが、本発明に用いられる穴明き金属板の穴の形状や大きさには特に限定はなく、造粒成形された原材料10がキルンの回転胴8内に投入される場合に、その原材料10の粒子が穴明き金属板に設けられた穴からこぼれて落ちないような大きさであればよく、丸形、三角形、四角形、スリット形などの各種穴形状の穴明き金属板を使用することができる。
本発明において回転キルン炉1の回転胴8内に投入される原材料10は、回転胴8内における原材料10の積層を軽減して、空気(酸素)との接触する効率を向上させるために、造粒処理した後に回転胴8内に投入することが好ましい。前記した原材料10を造粒する方法としては、一定の粒子形状に造粒成形する方法として、ブリケットマシンやローラーコンパクター、ディスクペレッター等の造粒成形機等の圧縮成形機を用いる圧縮造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、および押出成形法等が挙げられ、また、ある大きさの範囲の粒子形状に造粒成形する方法として、スクリューフィーダーなどで大きさを調整する方法が挙げられ、原材料10を所望の形状・大きさに造粒成形するために、前記した造粒成形方法を適宜選択して用いることができる。また、キルンの回転胴8内に投入する原材料10を造粒する形状については特に限定はなく、後記した大きさ(直径または長さ)の範囲にあれば、円柱状、球状、楕円、三角形、その他の多角形や、かまぼこ状、凹凸状等各種の粒子形状に造粒成形することができる。
本発明において、前記したように造粒した際の原材料粒子10aの大きさとして、直径または長さが、2〜30mmとすることが好ましく、5〜15mmとすることが特に好ましい。造粒した際の原材料粒子10aの大きさとして、直径または長さが、2mm未満である場合には、キルンの回転胴8や多分割隔壁構造部12の区分室内などにおける原材料粒子10a、10a・・・の積層が過密になり、積層した原材料粒子10a、10a・・・内に空気(酸素)が行渡らなくなるために、原材料粒子10aに含有される有機成分の燃焼が不完全となり、加熱・焼成処理物の白色度が低下する恐れがあるために好ましくなく、他方、直径または長さが30mmを越える場合には、原材料粒子10aの大きさが大き過ぎて、原材料粒子10aの中心部に空気(酸素)が届き難くなって、原材料粒子10aの中心部に燃焼が不完全な部分が残留して加熱・焼成処理物の品質を低下させる恐れがあり、また原材料粒子10aが回転胴8内や多分割隔壁構造部12の区分室などを進行する際に、原材料粒子10aが大き過ぎるために、互いに進行を邪魔して、原材料粒子10aが回転胴8や多分割隔壁構造部12の区分室内をスムーズに進行できなくなる恐れがあるため好ましくない。
本発明における回転キルン炉1は、有機成分、無機成分などの含有成分を問わず、各種原材料の加熱・焼成処理に用いることができるが、特に有機成分と無機成分が混含する原材料について、有機成分を燃焼させて除去し、残った白色の無機成分を回収する工程に用いることが特に好ましく、このような原材料として、製紙工場より排出される製紙スラッジなどを処理することが特に好ましい。
本発明における回転キルン炉1を備えた熱処理装置は、加熱・焼成処理装置として単独で使用して加熱・焼成処理物を得ても良いが、図12に示したように、原材料を乾燥、造粒した後に、1次および2次のような複数段の加熱・焼成処理を行って加熱・焼成処理物を得ても良い。図12は本発明の熱処理装置の前段、後段に各種処理工程を加えたフローシートの一例である。図中本発明の熱処理装置においては2次焼成処理工程がなされるように示している。加熱・焼成処理物を得た後に、さらに懸濁液化、炭酸化、脱水、分散、粉砕の各処理を適宜追加して行い、再生化無機粒子としても良い。このような各種処理工程は原材料および得ようとする目的物によって適宜追加されたり、省略されたりして使用される。
[評価]
以上述べたように、本発明によれば、回転キルン炉1の回転胴8内に、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群(OC)と中心領域の区分室群(CS)の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている複数の区分室を設けた多分割隔壁構造部12を少なくとも1つ設けることにより、回転胴8内における原材料10の積層を大幅に軽減させることができ、これによって、伝熱効率、および有機成分燃焼のための原材料と空気との接触効率を大きく向上させることが可能となるため、未燃カーボンの残留がなく白色度の高い優れた品質の加熱・焼成処理物を得ることができるほか、同じ外径の回転キルン炉装置であっても、より多くの原材料を効率良く加熱・焼成処理することができる。
[評価]
以上述べたように、本発明によれば、回転キルン炉1の回転胴8内に、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群(OC)と中心領域の区分室群(CS)の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている複数の区分室を設けた多分割隔壁構造部12を少なくとも1つ設けることにより、回転胴8内における原材料10の積層を大幅に軽減させることができ、これによって、伝熱効率、および有機成分燃焼のための原材料と空気との接触効率を大きく向上させることが可能となるため、未燃カーボンの残留がなく白色度の高い優れた品質の加熱・焼成処理物を得ることができるほか、同じ外径の回転キルン炉装置であっても、より多くの原材料を効率良く加熱・焼成処理することができる。
また、本発明の一部の形態によれば、回転キルン炉1の回転胴8内に、回転胴の径方向に最外層領域の区分室群(OS)と中心領域の区分室群(CS)の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている複数の区分室を設けた多分割隔壁構造部12を少なくとも1つ設け、さらに多分割隔壁構造部12の原材料供給口2側に、回転胴8内に15未満の区分室を設けた単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部11を連結して設けることにより、多分割隔壁構造部12の各区分室に原材料10を導入するため特別な装置等を導入しなくても、回転胴8の回転によって少分割隔壁構造部11内を回転しながら移動する原材料粒子10a、10a・・・の動きを利用して、少分割隔壁構造部11に後続する多分割隔壁構造部12の各区分室に均一、自然、かつ自動的に原材料粒子10a、10a・・・を導入することによって、原材料粒子10a、10a・・・を多分割隔壁構造部12の各区分室に対して広く揚搬・分布させることができる。
また、回転胴8内の中心部に加熱手段を収容するための管状部材27を設け、この管状部材27の回転胴内空洞V内に第2の加熱手段である間接的(内側)加熱手段5bを設けることにより、伝熱効率を向上させて原材料の加熱・焼成効率を向上させることができる。
1・・・回転キルン炉
2・・・原材料供給口
3・・・空気供給口
4・・・排気手段
5・・・間接的加熱手段
6・・・熱風循環手段
7・・・加熱・焼成処理物排出口
8・・・回転胴
8a・・・回転胴(1組の分割隔壁構造部を回転胴内に有する)
8b・・・回転胴(複数組の分割隔壁構造部を回転胴内に有する)
8c・・・回転胴(1組の分割隔壁構造部を回転胴全体に有する)
2・・・原材料供給口
3・・・空気供給口
4・・・排気手段
5・・・間接的加熱手段
6・・・熱風循環手段
7・・・加熱・焼成処理物排出口
8・・・回転胴
8a・・・回転胴(1組の分割隔壁構造部を回転胴内に有する)
8b・・・回転胴(複数組の分割隔壁構造部を回転胴内に有する)
8c・・・回転胴(1組の分割隔壁構造部を回転胴全体に有する)
Claims (17)
- 内部に回転胴を備えた、片側から投入した原材料を焼成する回転キルン炉であって、該回転胴が、その内部に複数の区分室であって、該回転胴の径方向に最外層領域の区分室群と中心領域の区分室群の少なくとも2層以上の区分室群から構成されている区分室を設けた多分割隔壁構造部を少なくとも1つ有している回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部が、前記中心領域の区分室群を構成する少なくとも一つの区分室と、前記最外層領域の区分室群を構成する少なくとも2以上の区分室によって構成される一定形状の区分室集合を複数設けられるよう構成された多分割隔壁構造部である請求項1記載の回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(以下6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の略重心位置と3つの辺の略中点をそれぞれ略垂直に結ぶ3本の直線によって、該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を3つの略合同4角形の区分室に分割することにより、総分割数として18個の区分室に分割された多分割隔壁構造部断面である請求項1または2記載の回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(以下6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各辺の略中点をそれぞれ結ぶ3本の直線によって、該6分割型-正3角形型区分室の略正3角形を4個の略合同3角形の区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された多分割隔壁構造部断面である請求項1または2記載の回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(以下6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と1個の6角形によって併せて4個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同正3角形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として24個の区分室に分割された隔壁構造部断面である請求項1または2記載の回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部の断面が、略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、略正6角形の中心と6個の各頂点を結ぶ直線によって、略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(以下6分割-正3角形型区分室と略する)に分割し、さらに該6分割-正3角形型区分室の略正3角形を、3個の略合同正3角形と3個の略合同菱形によって併せて6個の区分室になるように分割し、さらに該3個の略合同菱形が該6分割-正3角形型区分室の略正3角形の各角をそれぞれ占めるように、区分室に分割することにより、総分割数として36個の区分室に分割された隔壁構造部断面である請求項1または2記載の回転キルン炉。
- 前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向側に単層の区分室群を有する少分割隔壁構造部をさらに有した回転胴である請求項1から6のいずれか一項記載の回転キルン炉。
- 前記少分割隔壁構造部の一つの区分室断面が、前記一定形状の区分室集合の外郭と略同一断面形状を構成する請求項7記載の回転キルン炉。
- 前記少分割隔壁構造部が、前記多分割隔壁構造部と略同一の略正6角形の外郭を有しており、該略正6角形の外郭の内部を分割する断面形状として、該略正6角形の中心と6つの各頂点を結ぶ直線によって、該略正6角形の内部を6個の略正3角形の区分室(6分割-正3角形型区分室と略する)に分割したものである請求項7または8記載の回転キルン炉。
- 前記回転胴が、前記多分割隔壁構造部の原材料の投入方向とは反対側に、第2の少分割隔壁構造部及び第2の多分割隔壁構造部を組み合わせて1組以上さらに有した回転胴である請求項7から9のいずれか一項記載の回転キルン炉。
- 前記分割隔壁構造部を構成する板材が、穴明き金属板である請求項1から10のいずれか一項記載の回転キルン炉。
- 前記多分割隔壁構造部を設けた回転キルン炉の回転胴の前記中心領域の区分室群に囲まれた、回転胴を内側から加熱するための加熱手段を収容するための回転胴内空洞部を回転胴の回転略中心部付近に有する請求項1から11のいずれか一項記載の回転キルン炉。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の回転キルン炉に、該回転キルン炉への空気導入手段として、該回転キルン炉の原材料供給口側の一端周辺に排気手段をさらに備えてなる、回転キルン炉を備えた熱処理装置。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の回転キルン炉に、供給される原材料を間接的に加熱・焼成処理する加熱手段をさらに備えてなる回転キルン炉を備えた熱処理装置。
- 前記加熱手段を2つ備えてなり、第1の加熱手段が回転キルン炉の前記回転胴の外側から加熱する加熱手段であり、第2の加熱手段が前記回転胴内側の前記回転胴内空洞部から加熱する加熱手段である請求項14記載の回転キルン炉を備えた熱処理装置。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の回転キルン炉に、供給される原材料を該原材料の直径または長さが2〜30mmに造粒成形する手段をさらに備えてなる回転キルン炉を備えた熱処理装置。
- 前記回転キルン炉に供給される原材料が、製紙スラッジである請求項13から16のいずれか一項記載の回転キルン炉を備えた熱処理装置。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP2006302689A JP2008101888A (ja) | 2006-09-19 | 2006-11-08 | 回転キルン炉および回転キルン炉を備えた熱処理装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012102901A (ja) * | 2010-11-08 | 2012-05-31 | Allied Material Corp | 回転炉 |
JP2017166713A (ja) * | 2016-03-14 | 2017-09-21 | 太平洋セメント株式会社 | フライアッシュの改質方法 |
CN114334503A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-04-12 | 佛山市诺普材料科技有限公司 | 低温匀化制备银氧化锡电触头材料的方法及其材料 |
-
2006
- 2006-11-08 JP JP2006302689A patent/JP2008101888A/ja active Pending
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