JP2008100628A - 流体推力発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】翼の回転によって得られる揚力に依存することなく、推進力、流体搬送力等を発生させる流体推力発生装置を提供する。
【解決手段】流体推力発生装置(1)は、周囲流体との摩擦により粘性回転流を外周領域に発生させる回転体(50)と、回転体を収容し、回転流の環状流動領域を形成する円形ダクト(4)とを備える。円形ダクトは、流入口(42)及び流出口(43)を前端部及び後端部に有する。複数のベーン(41)が円形ダクトの周方向に間隔を隔てて円形ダクトの内周面に配置される。ベーンは、回転流に回転軸線方向の速度成分を与えるように回転体の回転軸線(X-X)に対して傾斜する。
【選択図】図4
【解決手段】流体推力発生装置(1)は、周囲流体との摩擦により粘性回転流を外周領域に発生させる回転体(50)と、回転体を収容し、回転流の環状流動領域を形成する円形ダクト(4)とを備える。円形ダクトは、流入口(42)及び流出口(43)を前端部及び後端部に有する。複数のベーン(41)が円形ダクトの周方向に間隔を隔てて円形ダクトの内周面に配置される。ベーンは、回転流に回転軸線方向の速度成分を与えるように回転体の回転軸線(X-X)に対して傾斜する。
【選択図】図4
Description
本発明は、流体推力発生装置に関するものであり、より詳細には、回転体周囲に形成される粘性回転流を利用して推進力、流体搬送力等を発生させる流体推力発生装置に関するものである。
船舶の推進装置として、回転翼を備えたスクリュープロペラ方式の推進装置や、水を高速で噴出する際に発生する反動推力で船を推進させるウォータジェット方式の推進装置等が知られている。一般には、小型高速艇等の推進装置を除き、スクリュープロペラ式推進装置が船舶推進装置として最も効率的であると考えられており、船舶推進装置に関する過去の研究開発は、主としてスクリュープロペラの開発に向けられてきた。これは、揚力に比較して抗力が小さい翼型の流体力学的特性等のために、回転翼を利用するスクリュープロペラが高い効率を発揮し得ることに起因すると考えられる。
近年において、スクリュープロペラ式推進装置に関し、ダクトプロペラ、二重反転プロペラ、PBCF(プロペラ・ボス・キャップ・フィンズ)、ポッド型プロペラ等の各種技術が開発されているが、いずれの推進装置においても、回転翼が発生させる揚力が船舶の推進力として使用されている(特開2005-186748号公報、特開2005-255104号公報等)。
水を高速で噴出するウォータジェット方式の推進装置も又、ポンプインペラーの回転により得られる揚力によってウォータジェットを噴射する構造を有し、回転翼の揚力を船舶の推進力として利用する点においては、スクリュープロペラ式推進装置と実質的に同一の原理に基づいている(特開平4-293693号公報等)。
特開2005-186748号公報
特開2005-255104号公報
特開平4-293693号公報
推進理論における運動量理論によれば、流体を加速すればするほど大きな推力が得られる。他方、効率を上げるためには、荷重係数を低減する必要が生じ、荷重係数を低減するには、作動円盤の面積を増大させる必要が生じる。大直径低回転プロペラは、このような原理に基づく。しかし、従来の理論においては、摩擦損失や、回転流のエネルギー損失が考慮されておらず、従って、或る荷重係数の下でスクリュープロペラの効率が理想効率に達することは、論理的にあり得ない。このため、従来の推進装置は、過大な翼面積を有する翼を有し、翼を回転させる駆動装置は、過大なトルクを生起しなければならない。
また、翼の回転によって得られる揚力に依存した従来の推進装置においては、スクリュープロペラが形成する回転後流は、有効利用可能な運動エネルギーを依然として保有する。しかし、回転後流が保有する運動エネルギーは、推進力として有効に利用されていない。
推進装置の回転翼は又、砕氷航行中の砕氷船において生じるプロペラ損傷の問題や、水棲哺乳類、水棲動植物、珊瑚礁の損傷等に関する環境保護の問題とも密接に関連する。
また、ウォータージェット式推進装置のように回転翼の揚力を用いた推進装置や、回転翼の揚力によって流体を圧送する送風装置又は送水装置等においては、回転翼の回転により発生する騒音の問題が長年に亘って指摘されている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的するところは、翼の回転によって得られる揚力に依存することなく、推進力、流体搬送力等を発生させる流体推力発生装置を提供することにある。
本発明は殊に、このような流体推力発生装置を船舶の推進装置として用いることにより、高いエネルギー効率の船舶推進装置を提供することを目的とする。
本発明は又、このような推力発生装置を流体搬送装置として用いることにより、回転翼を用いない低騒音の送風装置又は送水装置等を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成すべく、周囲流体との摩擦により粘性回転流を外周領域に発生させる回転体と、前記回転体を収容し、前記回転流の環状流動領域を形成する円形ダクトとを備え、該円形ダクトは、流入口及び流出口を前端部及び後端部に有し、複数のベーンが前記円形ダクトの周方向に間隔を隔てて該円形ダクトの内周面に配置され、前記ベーンは、回転軸線方向の速度成分を前記回転流の運動に与えるように前記回転体の回転軸線に対して傾斜することを特徴とする流体推力発生装置を提供する。
本発明の上記構成によれば、回転体と周囲流体との摩擦によって回転体の外周領域に粘性回転流が発生する。粘性回転流は、ベーンによって回転軸線方向の流体の流れに変換される。円形ダクトの流入口から円形ダクト内に誘引され、円形ダクトの後方に流出する回転軸線方向の流体の流れが、本発明者の実験によって確認された。
このような構造の流体推力発生装置は、回転翼を備えていないことから、回転体回転時の摩擦損失は大きく低減する。逆に、本発明の流体推力発生装置は、回転体と流体との摩擦を推力発生要因として積極的に利用しており、しかも、回転流は、ベーンの変向作用によって回転軸線方向に変向するにすぎないので、ベーンの適切な設計によってエネルギー損失を低下し、高いエネルギー効率を達成することができる。
本発明は又、水面下において前記回転軸線を船舶の進行方向に配向した状態で船舶に取付けられ、船舶の推進装置として使用されることを特徴とする上記構成の流体推力発生装置を提供する。
船舶の推進装置として使用された本発明の流体推力発生装置は、上記流入口から船舶周囲の海水又は淡水を吸引し、上記流出口から海水又は淡水を噴流する。流出口から船舶の推進方向に噴流する流体により、船舶を推進させる反動推力が得られる。このような流体推力発生装置(船舶推進装置)によれば、流体に与えられた運動エネルギーは、船体後方の回転後流形成のために消費されず、船舶推進方向の運動エネルギーとして効果的に使用される。
本発明は更に、前記流出口を流体搬出方向に差し向けた状態で流体搬送経路に配置され、流体搬送装置として使用されることを特徴とする上記構成の流体推力発生装置を提供する。
流体搬送装置として使用された本発明の流体推力発生装置によれば、回転翼を使用せずに流体を搬送する低騒音の流体搬送装置が実現する。流体搬送装置は、例えば、送風機、換気扇、扇風機等の送風装置、或いは、揚水ポンプ等の送水装置として用いることができる。
本発明の流体推力発生装置によれば、翼の回転によって得られる揚力に依存せずに、推進力、流体搬送力等を発生させることができる。
本発明を適用した船舶の推進装置によれば、高いエネルギー効率の船舶推進装置が実現する。
本発明を適用した流体搬送装置によれば、回転翼を用いない低騒音の送風装置又は送水装置等が実現する。
本発明の好ましい実施形態によれば、駆動装置の回転駆動軸が上記回転体に同心状に連結される。上記円形ダクトは、回転駆動軸の回転軸線を中心とした円形断面を有する。上記環状流動領域は、回転体と円形ダクトとの直径差によって形成される。上記ベーンは、回転軸線に対して同一又は均等な傾斜角をなして円形ダクトの内周面に整列配置される。
上記流体推力発生装置を船舶推進装置として使用した本発明の好適な実施形態においては、駆動源を内蔵し、或いは、動力伝達機構を介して駆動源に作動的に連結された固定部が、ストラットによって船体に支持される。回転体は、固定部の後部に連結される。円形ダクトは、固定部及び/又はストラットに支持され、回転体と同心状に後方に延び、上記環状流動領域を形成する。固定部の外周面と円形ダクトの前端縁との間に環状の流入口が形成され、回転体の外周面と円形ダクトの後端縁との間に環状の流出口が形成される。固定部の外面は、流線形輪郭に前方に突出し、回転体の後端部は、半球状又は流線型輪郭を有する。回転体の回転によって環状流動領域に生成した粘性回転流は、ベーンの変向作用によって回転軸線方向の流体の流れに転換し、流出口から噴流する。
本発明の流体推力発生装置の設計パラメータとして、流入口及び流出口の断面積、円形ダクトの寸法及び断面形状、回転体の形状、位置及び寸法、ベーンの数、傾斜角、形状・寸法、回転体の回転角速度等のパラメータを例示し得る。本発明によれば、これらの設計パラメータを適切に設定することにより、低トルク且つ高効率の流体推力発生装置を実現することができる。
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態に係る流体推力発生装置の側面図、縦断面図及び展開図である。
図1及び図2に示す流体推力発生装置は、回転力を伝達する固定部Aと、固定部Aに連結された回転部Bと、回転部Bを収容する円形断面のダクトCと、ダクトCの内側に配置された複数のベーンDとを備える。ベーンDは、ダクトCの内周面から径方向内方に突出するフィン、板状突出部又は隆起部として形成される。図1に示す流体推力発生装置においては、ダクトC及び回転体Bは、後流側に向かって縮径する形態を有し、図2に示す流体推力発生装置においては、ダクトC及び回転体Bは、全長に亘って概ね均一な直径を有する円筒又は円柱形態を有する。
図1(C)及び図2(C)には、ベーンDの形態及び配置を示すダクト内周面の展開図が示されている。図2に示す如く、ベーンDは、所定間隔を隔ててダクトCの内周面に整列配置される。各ベーンDは、回転部Dの回転軸線X−Xに対して傾斜角θをなして全体的に傾斜する。ベーンDによって螺旋状の溝がダクトCの内周面に形成される。
図3は、二重円筒内の環状流動領域Kに発生する二次元粘性流の流速分布を示す概念図である。固定部Aは、半径rの回転部Bを角速度ωで矢印R方向に高速回転させる。回転体Bの周囲には、流体の粘性によって回転方向の粘性流(即ち、粘性回転流)が発生する。粘性回転流の流速は、二次元粘性流の流速分布として図3に示すように、回転体Bの表面に接近するにつれて増速する。
ベーンDは、回転流の運動量を回収し、回転運動の速度成分を少なくとも部分的に回転軸線方向の速度成分に変換する。回転流は、回転軸線方向の流れに転換する。ダクトC内の流体は、回転軸線方向の噴流FとしてダクトCの後端開口Jから流出側領域Hに流出する。ダクト内流体の流出に伴って、流入側領域Gの流体がダクトC内の環状流動領域Kに流入する。流出口Jからの流体噴出の影響と、高速回転流の形成に伴うダクト内圧力低下の影響とにより、環状流動領域Kに負圧が発生し、流入側領域Gの流体Eが前端開口Iから環状流動領域Kに吸引される。粘性回転流及び噴流Fの形成と、回転体D及びダクトCの吸引効果とにより、流入側領域Gの流体Eは、流出側領域Hに連続的に押し出される。即ち、流体推力発生装置は、スクリュープロペラやポンプインペラのように回転翼の揚力発生に依存して流体を回転軸線方向に押し出すのではなく、ダクトC内に粘性回転流を発生させ、粘性回転流の速度成分をベーンDによって少なくとも部分的に回転軸線方向の速度成分に変換し、これにより、流体Eを連続的に加速する。
従って、流体Eが静止流体である場合(速度U=0)、流体Eは、流体推力発生装置によって速度u(u>0)の流体の流れとして後方に送出され、流体Eが流体推力発生装置に対して相対速度を有する場合(速度U>0)、流体Eの流速は、流体推力発生装置によって速度U+u(u>0)に加速される。
噴流Fを推進力として利用することにより、流体推力発生装置を船舶の推進装置として使用することができ、流体推力発生装置の加速作用を流体搬送力として利用することにより、流体推力発生装置を流体搬送装置として使用することができる。
次に、図4〜図7を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図4は、本発明に係る船舶用推進装置の実施例を示す斜視図であり、図5、図6及び図7は、図4に示す推進装置の側面図、背面図及び正面図である。
図4は、本発明に係る船舶用推進装置の実施例を示す斜視図であり、図5、図6及び図7は、図4に示す推進装置の側面図、背面図及び正面図である。
推進装置1は、ストラット2に支持された固定部3と、固定部3に支持された円形ダクト4と、円形ダクト4内に配置された回転部5とから構成される。固定部3、円形ダクト4及び回転部5は、同心に整列配置され、固定部3、円形ダクト4及び回転部5の中心線は、推進装置1の回転軸線X−Xに一致する。ストラット2は、船舶の船尾船体(図示せず)から一体的に垂下し、固定部3を水平に支持する。固定部3は、船舶の進行方向前方に突出する流線形ハウジング30を有し、ハウジング30内には、電動機31(図5に仮想線で示す)が収容される。電動機31の回転駆動軸32(図5に仮想線で示す)が、回転部5に一体的に連結される。変形例として、船体の船尾部分に駆動源を配設し、駆動源に作動的に連結された動力伝達機構をストラット2及び固定部3内に収容し、駆動源の動力を動力伝達機構によって回転駆動軸32に伝達するように構成しても良い。
回転駆動軸32は、固定部3の中心部から後方に延出し、回転部5に連結される。回転部5は、回転駆動軸32に一体的に連結された円筒又は円柱状の回転体50と、回転体50と一体化した半球状後端部51とからなる。回転部5の直径D2は、固定部3の直径D1と一致し、段差又は起伏等を形成する直径差は、回転体50とハウジング30との連接部33に発生せず、従って、ダクト4内の流体は、回転体50及びハウジング30の外周面近傍の帯域を回転軸線方向に円滑に流動する。
円形ダクト4は、全長に亘って均一な真円形断面を有する円筒状のダクト本体40と、ダクト本体40の内周面に突設した複数(本例では、4体)のベーン41とから構成される。ダクト本体40の直径(内径)D3と、回転体50の直径D2との直径差によって、流体が流動可能な環状流動領域がダクト本体40内に形成される。
ダクト本体40の前端面は開口し、ダクト本体40の前端縁40aと固定部3の外周面との間には、水流が流入可能な流入口42が形成される。ダクト本体40の後端面も又、全体的に開口しており、ダクト本体40の後端縁40bと回転部5との間には、水流が流出可能な流出口43が形成される。なお、前端縁40aの上部には、ストラット2を部分的に受入れる切欠き部49(図4)が形成される。所望により、ダクト本体40は、切欠き部49においてストラット2に接合される。
ベーン41は、ダクト本体40の周方向に均等な角度間隔を隔てて配置される。各ベーン41は、均一な板厚を有する板体からなり、ダクト本体40の内周面から径方向内方に一体的に突出する。各ベーン41は、回転軸線X−Xと平行に延びる前端部44及び後端部45と、前端部44及び後端部45の間に延びる傾斜部46とから構成される。傾斜部46は、回転軸線X−Xに対して傾斜角θ’の方向に配向される。
後端部45及び傾斜部46は、ダクト本体40から径方向内方に延び、後端部45及び傾斜部46の径方向内端47は、図6に示す如く、回転部5の外周面から所定間隔ΔDを隔てた位置に位置決めされる。他方、前端部44は、図7に示す如く、ダクト本体40から径方向内方に延び、固定部3のハウジング30に一体的に連結される。従って、円形ダクト4は、前端部44によって固定部3に一体的に支持される。
推進装置1の駆動時には、固定部3は、回転駆動軸32を高速回転させ、回転部5は、矢印R方向に高速回転する。回転部5の回転によって粘性流が環状流動領域に発生する。推進装置前方の流体Eは、流入口42から環状流動領域に流入し、粘性回転流は、ベーン41の傾斜に従って後方に差し向けられ、流出口43から加速流Fとして後方に噴流する。
図8は、上記構成の推進装置1を模擬した実験装置の構成を示す側面図、縦断面図及び背面図である。
実験装置101は、基台(図示せず)に固定された電動機103と、基台に支持された円形ダクト104と、円形ダクト104内に配置された回転部105とから構成される。回転部105は、電動機103の回転駆動軸132に一体的に連結される。回転駆動軸132、円形ダクト104及び回転部105は、回転軸線X−Xを中心に同心に配置される。電動機103は、回転数を38.5rps及び33.3rpsに可変設定可能な交流電動モータからなる。
回転部105は、円柱状回転体150及び半球状後端部151を有する発泡樹脂一体成形品からなる。円形ダクト104は、全長に亘って均一な真円形断面を有する円筒状のダクト本体140と、ダクト本体140の内周面に突設した複数(4体)のベーン141とから構成される。ダクト本体140及びベーン141は、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等の樹脂成形品からなる。ダクト本体140の両端面は、全面的に開口しており、回転体150廻りに流入口142が形成され、半球状後端部151廻りに流出口143が形成される。回転駆動軸132は、水平に配向され、回転部105の中心を貫通し、回転部105を一体的に支持する。
図9は、ベーン141の配置を示すダクト本体140の展開図である。
ベーン141は、ダクト本体140の内周面に等間隔且つ並列に配置される。ベーン141は、中心軸線X−Xに対して角度θ’(図8(A))をなす方向に夫々配向される。各ベーン141は、前端部(流入口142)及び後端部(流出口143)の間に直線的に延びる。図9には、角度θを0度に設定した状態が実線で示され、角度θを15度(θ1)、30度(θ2)に夫々設定した状態が破線で示されている。
図10は、円形ダクト104及び回転部105の相対位置を回転軸線X−X方向に変位させた状態を示す実験装置の側面図である。
実験装置の基台は、半球状後端部151の先端を円形ダクト104の後端面(流出口143)と面一に配置した基準位置Nに回転部105を支持するとともに、半球状後端部151の先端を回転軸線X−Xに沿って前方(電動機側)に距離L1、L2、L3だけ変位させた位置に夫々支持することができる。
実験装置の各寸法は、以下のとおりである。
回転体直径(外径)D4=80mm
ダクト直径(内径)D5=108mm
回転体の長さS1=108mm
半球状後端部の長さS2=30mm
ダクト全長S3=110mm
ベーン高さS4=10mm
距離L1=10mm
距離L2=20mm
距離L3=30mm
回転体直径(外径)D4=80mm
ダクト直径(内径)D5=108mm
回転体の長さS1=108mm
半球状後端部の長さS2=30mm
ダクト全長S3=110mm
ベーン高さS4=10mm
距離L1=10mm
距離L2=20mm
距離L3=30mm
本発明者は、流入口142の近傍に可視化ガスが滞留した状態で電動機103を駆動させ、回転部105を矢印R方向に回転させた。可視化ガスは、流入口142から円形ダクト104内に吸引され、流出口143から流出した。
この実験結果より、実質的に静止した流入口142近傍の可視化ガスが回転部105の回転によって回転軸線方向に流動し、回転軸線方向の速度成分を有する加速流Fとして流出口143から流出することが確認された。前述した推進装置の推力は、加速流Fの後方噴射によって得られ、流体搬送装置の被搬送流体は、加速流Fのように搬送経路に送出される。
本発明者は、この実験装置を使用して加速流Fの到達距離(吹き出し距離)を測定した。到達距離は、ビデオカメラによって撮像した可視化ガスの画像データを分析することによって測定された。加速流Fの到達距離に影響するパラメータとして、円形ダクト104及び回転部105の相対位置(基準位置N、距離L1:L2:L3の各位置)、ベーン141の傾斜角θ(θ=0度、15度、30度)、回転部105の回転数を選択し、これらのパラメータの変化に相応する可視化ガスの到達距離の変化を測定した。
傾斜角θの影響
電動機103の回転数を38.5rpsに固定し、円形ダクト104及び回転部105の相対位置を前述の各位置(基準位置N、距離L1、L2、L3の各位置)に夫々設定し、ベーン141の傾斜角θを0度、15度(θ1)、30度(θ2)に変化させ、加速流Fの到達距離をビデオカメラの撮像データより測定した。測定結果が、図11に示されている。図11に示すとおり、傾斜角θ=0〜30度の範囲では、可視化ガスの到達距離は、傾斜角θの増大に伴って増大する傾向が観られた。
傾斜角θの変化に伴って加速流Fの吹き出し形状も又、変化した。各々の傾斜角θにおける加速流Fの吹き出し形状の相違が、図13に概略的に示されている。
回転数の影響
ベーン141の傾斜角θを30度に固定し、円形ダクト104及び回転部105の相対位置を前述の各位置(基準位置N、距離L1、L2、L3の各位置)に夫々設定し、電動機103の回転数を38.5rps及び33.3rpsに変化させ、加速流Fの到達距離をビデオカメラの画像データより測定した。測定結果が、図12に示されている。図12に示すとおり、到達距離は、回転部105の回転数増大と関連して増大する傾向が観られた。
回転部105の回転数の変化に伴う加速流Fの吹き出し形状の変化は、観られなかった。
円形ダクト104及び回転部105の相対位置の影響
図11及び図12に示す測定結果より、円形ダクト104及び回転部105の相対位置と関連して加速流Fの到達距離が変化することが確認された。従って、回転部105の回転数を変化させることなく、円形ダクト104及び回転部105の相対位置の変化によって加速流Fを制御することが可能であると考えられる。
なお、円形ダクト104及び回転部105の相対位置の変化に伴う加速流Fの吹き出し形状の変化は、観られなかった。
かくして、上記実験によって、本発明の流体推力発生装置が流入側領域の流体Eを加速し、加速流Fとして後方に噴出することが実験的に確認された。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施例は、船舶の推進装置に関するものであるが、本発明は、送風装置又は送水装置等の流体搬送装置に適用することができる。
また、本発明の流体推力発生装置の各構成要素として、金属製部材、樹脂製部材、セラミック製部材等の任意の材質の部材又は部品を使用することができる。
本発明は、翼の回転によって得られる揚力に依存せずに、推進力、流体搬送力等を発生させる流体推力発生装置を提供する。本発明の流体推力発生装置は、船舶の推進装置として使用することができる。本発明の流体推力発生装置は又、送風機、換気扇、扇風機等の送風装置、或いは、揚水ポンプ等の送水装置として使用することができる。
1 推進装置
2 ストラット
3 固定部
4 円形ダクト
5 回転部
40 ダクト本体
41 ベーン
42 流入口
43 流出口
46 傾斜部
50 回転体
θ 傾斜角
X−X 回転軸線
2 ストラット
3 固定部
4 円形ダクト
5 回転部
40 ダクト本体
41 ベーン
42 流入口
43 流出口
46 傾斜部
50 回転体
θ 傾斜角
X−X 回転軸線
Claims (3)
- 周囲流体との摩擦により粘性回転流を外周領域に発生させる回転体と、前記回転体を収容し、前記回転流の環状流動領域を形成する円形ダクトとを備え、該円形ダクトは、流入口及び流出口を前端部及び後端部に有し、複数のベーンが前記円形ダクトの周方向に間隔を隔てて該円形ダクトの内周面に配置され、前記ベーンは、回転軸線方向の速度成分を前記回転流の運動に与えるように前記回転体の回転軸線に対して傾斜することを特徴とする流体推力発生装置。
- 水面下において前記回転軸線を船舶の進行方向に配向した状態で船舶に取付けられ、船舶の推進装置として使用されることを特徴とする請求項1に記載の流体推力発生装置。
- 前記流出口を流体搬出方向に差し向けた状態で流体搬送経路に配置され、流体搬送装置として使用されることを特徴とする請求項1に記載の流体推力発生装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006285569A JP2008100628A (ja) | 2006-10-19 | 2006-10-19 | 流体推力発生装置 |
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JP2006285569A Withdrawn JP2008100628A (ja) | 2006-10-19 | 2006-10-19 | 流体推力発生装置 |
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JP (1) | JP2008100628A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017119630A1 (ko) * | 2016-01-05 | 2017-07-13 | 주식회사 삼홍 | 고속 후방 분사 및 일체 회전 방식의 선박용 추진 장치 |
KR102041508B1 (ko) * | 2018-06-28 | 2019-11-06 | (주)백건준설 | 준설선의 유압식 추진장치 |
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2006
- 2006-10-19 JP JP2006285569A patent/JP2008100628A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017119630A1 (ko) * | 2016-01-05 | 2017-07-13 | 주식회사 삼홍 | 고속 후방 분사 및 일체 회전 방식의 선박용 추진 장치 |
CN106965914A (zh) * | 2016-01-05 | 2017-07-21 | 塞姆宏株式会社 | 一种高速后方喷射及一体旋转方式的船舶用推进装置 |
KR102041508B1 (ko) * | 2018-06-28 | 2019-11-06 | (주)백건준설 | 준설선의 유압식 추진장치 |
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