JP2008100490A - 液体収納容器、及び液体供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 所定の範囲内の背圧を伴ってインクジェット記録ヘッドにインクを供給することができ、かつ、インクの収容効率、消費効率を向上させることが可能なシンプルで安価な液体収納容器、及び液体供給システムを提供する。
【解決手段】 本発明は着脱可能で、膨張した内気の解放機構を有する密閉状態のメインタンクから供給されるインクをバッファ的に貯留して記録ノズルへ供給するサブタンクに、外気と連通する大気連通孔と、その経路途中に溢れインク収容室と、を備え、前記サブタンクないのインクの導入口部と前記大気連通孔部とには小型のインク含浸部材を配して、メインタンク内の圧力の変化を調整する働きを有する。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明は着脱可能で、膨張した内気の解放機構を有する密閉状態のメインタンクから供給されるインクをバッファ的に貯留して記録ノズルへ供給するサブタンクに、外気と連通する大気連通孔と、その経路途中に溢れインク収容室と、を備え、前記サブタンクないのインクの導入口部と前記大気連通孔部とには小型のインク含浸部材を配して、メインタンク内の圧力の変化を調整する働きを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は液体噴射記録ヘッド(以下、記録ヘッド)のノズルから液滴を吐出して記録を行う液体噴射記録装置に関し、より詳しくは、液体を貯留する液体収納容器、記録ヘッド内の圧力を制御する機構、および、記録ヘッドへ液体を供給するシステムに関する。
液体噴射記録装置として、キャリッジが直交する方向に移動する被記録媒体上を横切って移動する時、制御システムが該キャリッジに搭載された記録ヘッドを作動させて液滴を吐出して、所望の文字や画像を記録するタイプが広く普及している。液体(以下、インク)はキャリッジ上に搭載される液体収納容器(以下、メインタンク)に貯留されて記録ヘッドへ供給されるタイプが多い。メインタンクは記録ヘッドと分離可能に接合され、インクが無くなった時に交換される。
記録ヘッドが正常に機能するためには、メインタンクはインクを途切れること無く供給すると共に記録ヘッド内に適正な負の背圧を形成し維持することも必須の要件である。背圧とは大気圧を基準とした記録ヘッド内のインクに働く圧力である。負圧が低くなり過ぎるとオリフィスにおけるインクのメニスカスの凹面が大きくなり、インクを吐出した後に気泡を抱き込み易くなり不吐出の原因となる。また、正圧が高くなり過ぎてオリフィスに働くインクの表面張力による界面力を超えるとインクが漏れ出す。従って、メインタンク及び記録ヘッドは記録装置の保管中、および作動中に遭遇する周囲環境、即ち、温度や気圧などに変動があっても適正な一定の範囲内の背圧を生成し、維持することが要求される。
その一例として、メインタンク内をスポンジなどのインク吸収部材で満たして、含浸させたインクとの間に働く毛細管力を利用してインクを保持しながら供給する方法がある(例えば、特許文献1、2を参照。)。
特開昭63−87242号公報 特開平02−34349号公報 この方法はメインタンクの上部に大気連通孔を有し、内部を大気に解放している。該大気連通孔の大気への開放口および下部に配されたインク供給口をそれぞれシール部材で封止するという簡単な方法で、メインタンク単体での輸送や保存を容易にしている。インクをインク吸収部材で保持しつつ、より強い界面力が働くノズル部への供給が可能で、インク漏れの恐れも少なく、全体としてシンプルでもあり小型で安価な製品を中心に広く用いられている。しかし、この方法はインクをインク吸収体の体積の約90%しか充填できず、貯留インクの約10%が残留して使用できず、容積効率がよくないという問題がある。
この低容積効率を改良する目的で、大半のインクを自由状態で密閉された空間に貯留する構成もある。その密閉された空間に、消費されたインクの代わりに溜まる空気の圧力が上昇した場合のインク漏出の防止法を開示している(例えば、特許文献3、4を参照。)。
特開2002−36593号公報 特許第2898746号公報 しかしながら、メインタンクは記録ヘッドと一体構成であり大型のインク吸収部材を必要とし、消耗品としては複雑で小型化や低価格化は難しい。
この方法をメインタンク単体に適用して、改良した方法がある(特許文献5を参照。)。
特許第3278410号公報(第4頁、図6) 図6に示すように、大部分のインク2は自由状態で収容されてやや改良されてはいるものの、半ばを超える容積を占めるインク吸収部材3b、3cは容積の約10%〜約90%の範囲でしかインクの収容や排出ができず、容積効率が悪いという問題は依然として残る。
また、メインタンクの寿命を延ばすために貯留インク量を増やすと、それに応じてインクが消費されて入れ代わる空気の量も増える。それに伴って、その増えた空気が膨張すると押し出されるインクの量も増えるので、押し出されるインクを収容するためのインク吸収部材3cの体積も増やさなくてはならず、必然的にメインタンクは増やしたインクの容量以上に大型化せざるを得ない。又、化学繊維製不織布による大型のインク吸収部材はゴミの発生源にもなる恐れもあり、消耗品である交換用のメインタンクのコストを圧迫する要因でもある。
この問題を改良するインク供給システムも提案されている(例えば、特許文献6、7を参照。)。
特許第3374209号公報 特開2005−161636号公報 しかしながら、この方法もバッファインク室や退避用インク室を複数のインク吸収部材で充填する必要が有る。しかも、必須付属品である自由状態のインクを密閉構造で貯蔵する交換用のメインタンクとして、使用途中で抜き取った際に内部で増加した空気部分の膨張によるインクの漏出対策のために、袋のような面倒で扱い難い柔構造にする必要がある。また、ユーザーによって着脱使用されるメインタンクとして、安価で簡単な箱型の剛構造を採用する場合のインク漏れ対策はなにも記載されていない。メインタンクはユーザーが直接着脱するものであり、使用途中で抜き取られても、いかなる姿勢で放置されようともインクが漏れ出て周囲を汚染してはならない。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は背圧を適正な一定の範囲内に維持するための機構をメインタンクから記録ヘッド側に移すことによって、消耗品であるメインタンク構造の単純化を可能にし、インク吸収部材を使用すること無く、低いコストで製造可能な、膨張した内気を開放する機構を有するインク漏洩の恐れのない、安価でより信頼性の高い交換用メインタンク、および、このメインタンクを使用することができる、一部にだけ比較的小型のインク含浸部材を使用する信頼性の高いインク供給システムを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明はインクを自由状態で貯留したメインタンクの唯一の開口部である円形状の側壁部に挟持状態でドーナツ状弾性部材を配し、その中央の開口部を弾性部材で付勢された球状の栓部材によって移動可能に封止する。そして、前記開口部の側壁部に貫通小孔、又は切り欠き部を設け、大気側外部及びメインタンク側内部をそれぞれ前記ドーナツ状弾性部材の一部で封止する。前記側壁部に配された貫通小孔、又は切り欠き部のメインタンクの内部側には、インクの浸入を許さない撥水性でごく細く溝を、メインタンク内壁周囲のすくなくとも8箇所のコーナー部の近傍に巡らした。
前記着脱可能なメインタンクから供給されるインクをバッファ的に貯留して残量の有無をチェックしつつ記録ヘッドへ供給するするサブタンクを備え、インクの導入口である前記サブタンク内の開口部は小型のインク含浸部材で覆われている。該小型のインク含浸部材の下方近傍には外気に連通する撥インク性の大気連通孔の開孔部を配して、該大気連通孔の経路途中に溢れインク収容室を備える。
記録ヘッド側のインク導入口である円筒形接合口へ、メインタンクの前記ドーナツ状弾性部材の中央部を勘合させつつ挿入する。前記円筒形接合口の周囲の先端部は、弾性部材で付勢されて前記ドーナツ状弾性部材の開口部を封止している球状の栓部材に突き当たり、該球状の栓部材をメインタンクの内部側に押し込んで、挿入された円筒形接合口内にインクが押し出される。前記円筒形接合口の外側は密に勘合した前記ドーナツ状弾性部材により外気と遮断状態にあり、メインタンク内は密閉状態に保たれている。
前記円筒形接合口は内径がφ4mm程度と細く、親インク性の処理が施されている。インクは前記円筒形接合口内に押し込まれつつ浸入し、サブタンク内の開口部に配されたインク含浸部材に達し、強い毛細管力により吸引される。前記円筒形接合口の内部やサブタンク内の空気はインクと入れ代わってメインタンクの上部に溜まり、平衡状態に達する。
記録行為でインクが消費され始めると、メインタンクやサブタンク内にノズル先端部や開孔部を覆うインク含浸部材に働くインクの界面力により、外気との圧力差に耐える負圧が発生する。インクの消費が進むにつれその負圧は序々に大きく成り、前記インク含浸部材に含浸されたインクに大気連通孔からの外気が浸入し、ついには気泡状態に千切れて上昇する。最終的にはメインタンクの上部に達し一定以上の負圧の増加を防ぎ、メインタンク内の負圧と前記界面力とのバランスした状態を維持し良好な記録状態を保つ。
メインタンク内の空気が相対的に収縮した場合には、前述した内容と同様に前記インクを含浸したインク含浸部材を介して外気から少量づつ気泡の取り入れを行い、増加した圧力差を調整する。反対に気圧の低下や周囲温度の急激な低下などにより、メインタンク内の空気が相対的に膨張した場合には、前記大気連通孔や途中の溢れインク収容室内にインクを押し出す。このようにして、擬似密閉状態のメインタンクやサブタンク内は一定の範囲内に内圧の低下や上昇が調節される。
内部にインクを残した状態でメインタンクが外された場合、開口部は弾性部材で付勢された球状の栓部材により封止状態となる。その封止状態で横や開口部を下にした状態で放置された場合、インクタンク内部に溜まった空気層はメインタンクの内壁部に巡らされた細溝うちの少なくとも一部に接する。その状態では、前記空気層は前記細溝を介して外気側とドーナツ状弾性部材で擬似密閉された貫通小孔、又は切り欠き部で通じている。メインタンクは環境変化による内部の空気の相対的な膨張に遭遇しても、球状の栓部材で封止された開口部からインクが漏れ出る前に該貫通小孔、又は切り欠き部の外壁部を封鎖するドーナツ状弾性部材の部分から高まった空気圧は抜け出て解消される。
図1は、メインタンク1が記録ヘッド部5に装着状態の一実施例の概略断面図である。図1中、上部は始めインク2で満たされているが消費されるにつれ増える空気7である。メインタンク1の装着により、円筒形接合口8の先端部はメインタンク1側のドーナツ状弾性部材4の中央部を封止している球状の栓部材9を押しのける。メインタンク1の開口部20に配されたドーナツ状弾性部材4は、圧入された円筒形接合口8の外壁部との間でメインタンク1内とサブタンク10内とを外気から遮断状態に連通を維持する。
円筒形接合口8内は親水性処理が施され、内径が約φ4mmと細く、上部のフィルタ11を介してメインタンク1内のインク2に触れてサブタンク10内に導き、代わりにサブタンク10内の空気をメインタンク1内に上昇させることで気液交換が行われる。そして、サブタンク10内がインク2で満ちるとメインタンク1にはそれ以上は空気が入らず、インク2も移動しない平衡状態となる。
12はインク検出部材で、インクの水位が低くなると接触媒質が液体から空気に変化することを利用して、図示していないが投射された赤外光が透過状態から反射するように機能する透明なプリズム光学部材である。インク2を自由状態で貯留しているのでメインタンク1側でのインクの有無の検出も可能だが、サブタンク10側で行うことにより消耗品であるメインタンク1をよりシンプルな構造にすることができ、またインクの100%消費も可能となる。
記録ノズル6はサブタンク10と一体に構成され、インク供給口部のフィルタ13を介して連絡通路14で連結されている。記録ノズル6は多数のノズルが高密度に配され、例えば512個のノズルが600dpiの密度で形成されている。図1においてはインク滴の吐出は下向きに行われ、図示していないが、各ノズルには通電によりインクを発熱させて気泡を発生してインクを吐出させる発熱体が設けられていて、その発熱体に駆動電気信号を供給するプリント配線基板等も存在している。
円筒形接合口8や連絡通路14への入口部分には、それぞれフィルタ11、13がゴミなどの異物、インクの凝集成分などの混入を防ぐために配置されている。フィルタ13は記録ノズル6を詰まらせるような大きさの異物の混入を防ぐ目的から濾過精度が約20μm以下のものが使用される。フィルタ11は気泡が通り抜け易いように、より粗めの濾過精度のものが使用される。
溢れインク収容室15は周囲環境が変動した際の内圧の圧力緩和手段として機能する。例えば、気圧の低下や周囲温度の急激な下降によりメインタンク1内の空気7が外気に対して相対的に膨張した場合、この圧力変化は連通状態のサブタンク10内のインクにも及ぶ。サブタンク10内は側壁部に穿かれた内部側の開孔部16、溢れインク収容室15、大気連通孔17を経て外気に開放されている。前記開孔部16は記録ノズル6のオリフィス群の口径約10μm〜約20μmに比べ数十倍の数百μmの断面寸法を有し、サブタンク10内で押し圧されたインクはここから溢れ出る。該開孔部16を介して配された溢れインク収容室15はサブタンク10内のインクの溢流を収容する機能を有する。
前記開孔部16は、溢れインク収容室15側の底部に配され、サブタンク10側はインク供給口部のフィルタ13から離れ、底部より少なくとも上方に位置するのが望ましい。その理由は、図示していないキャップが記録ノズル6に被され吸引された場合に、開孔部16からの外気が記録ノズル6側へ入り込みにくくするためと、気泡がメインタンク1内へ上昇しやすくするためでもある。大気連通孔17は図1では比較的簡単に示しているが、インクの漏出と蒸発とを防止するため微細で長く迷路状に形成される。
溢れインク収容室15の容量としては、メインタンク1の内容量を仮に20ccとすると、内外の最大の温度変化量を30℃とすれば空気の膨張量としては約2.0ccで十分である。気圧変化としては、超大型台風の低気圧を約900hPaとすれば約1割の2.0ccである。従って、20cc程度のインクを貯留するメインタンクを装着する場合は2.0cc程度の容量の溢れインク収容室15を配すれば良いことになる。溢れインク収容室15は記録ノズル6近傍にあり、収容されるインクは少量でもあり水頭差も少なく、オリフィスに働くインクの界面力が充分大きくインクが漏れることはない。
ここで最大量のインクが溢れるのは、インクの消費が進み気液交換されて増える空気7の量が、メインタンク1の内容積から溢れインク収容室の内容積を減じた量まで増加した場合で、インク消費中の一時的な途中経過である。従って、そのとき0.9気圧以下の高地に運べば、溢れたインクは大気連通孔から漏れ出ることになる。しかし、このようなケースは非常に稀なことであり、そのために大容量の溢れインク収容室を配することは小型・軽量にしたい記録ヘッドにとっては重荷となる。そのような万が一のインク溢れ対策としては、図1に示すように、走査される記録ヘッドの待機位置であるホームポジションの所定位置の下方にスポンジのようなインク吸収部材3を配してインクの漏出に対応することが望ましい。あるいは、大気連通孔17の外気側への開孔部を記録ノズル6の近傍まで延伸して、ノズル部のキャップ部で漏出するインクを受け入れても良い。このように、メインタンク1の内圧が上昇した場合は、溢れるインクは開孔部16を介して溢れインク収容室15に収容されて、ある程度以上の圧力の上昇を許さない。
逆に、記録行為によりインク2が消費され内圧が低下した際は、圧力が相対的に高い外気が大気連通孔17介して開孔部16から、溢れインク収容室15内のインクに引き続いてサブタンク10内に侵入し、気泡の形でインク含浸部材18、そして円筒形接合口8を経てメインタンク1の上層部に達する。このようにしてメインタンク1やサブタンク10の内部の背圧をほぼ一定の範囲内に保つ働きをする。
サブタンク10内の背圧を調整する程度は、開孔部16を覆うインク含浸部材18に働く界面力の程度に依存する。例えば、SUS製薄板を積層する間隔を最適に選択しインクの界面力を最適にする密度を選択することによってサブタンク10内の背圧を適正範囲内に保つことができる。このインク含浸部材18は開孔部16を覆うことで背圧を生成するが、交換時にメインタンク1を抜き取った際に円筒形接合口8が大気に開放される。この時、多少の振動等があってもサブタンク10内に残ったインクが記録ノズル6から漏出しないように、インク含浸部材18は円筒形接合口8のサブタンク側の開口部をも覆うことが望ましい。小型のインク含浸部材18は、近接して配された開孔部16と円筒形接合口8のサブタンク側の開口部とを覆って含浸するインクによって外気と擬似密閉状態を生成し、維持する働きを有する。
そのため、インク含浸部材としてはインクを吸引してその表面張力により適度の界面力を発生させる部材が望ましく、例えば、厚さが80μm程度の親水性の高いSUS薄板を複数枚積層して200μm程度の隙間にインクを保持させるように構成した積層金属薄板部材や、メッシュ状の金属繊維製不織布が望ましい。このような構成により、メインタンク1にインク2を自由状態で貯留することができる。このことはメインタンク1にとってインク吸収部材3を必要とせず、大気連通孔の無い密閉された剛構造を可能とする。
インクの有無の検出機能をもサブタンク10側に移すことで、インク2を貯留して供給する機能だけに絞込み、単一の開口部だけを有する簡単な箱型で剛構造の容器構成を可能とする。この密閉構造のメインタンク1はドーナツ状弾性部材4の中央部をサブタンク10側の円筒形接合口8に、該円筒形接合口8の周囲の先端部で球状の栓部材9を移動させつつ挿入し、外気から密閉状態で装着し、鳥の水飲み器の原理で気液交換補給を行い、消費された分だけの随時のインク供給を可能とする。
メインタンク1の内壁部には幅が数十μmから数百μmの細い溝19が少なくともその8ヶ所のコーナー部の近傍を巡って前記開口部20の側壁部の貫通小孔、または切り欠き部21に通じている。前記貫通小孔、または切り欠き部21の両側はドーナツ状弾性部材4で封鎖され、メインタンク1を構成する部材に撥水性の高いポリプロピレンPPやポリフェニレンサルファイドPPSなどの熱可塑性樹脂を選択すれば、充分に細い前記細溝19にインクが入り込むことはない。
一旦、使用した後に大量の空気7が入った状態でメインタンク1を外して放置した場合、どのような姿勢で放置しても前記空気7部はメインタンク内に巡らした細溝19の何れかの部分に接触状態となる。この接触状態により、どのような周囲環境の変化があっても内圧が上昇することによるメインタンクからのインク漏れを防止できる。即ち、周囲温度の急激な低下や気圧の低下などによりメインタンク内の圧力が相対的に高まっても、球状の栓部材9で封止されたインク供給口よりインクが押し出される前に、高まった内圧は細溝19を介して前記貫通小孔、または切り欠き部21の外部側を封鎖するドーナツ状弾性部材4部から漏出する。
図3(a)は上下左右4箇所の切り欠き部21を点線で示すドーナツ状弾性部材4部分が封鎖している状態を示している。図3(b)は2箇所の貫通小孔での実施例を示している。細溝19は夫々反対側に延び両側のコーナー部で次の壁部に折れ曲がり延びて、相対する壁部に達する。切り欠き部21の場合は、開口部20はドーナツ状弾性部材4で挟持されるので貫通小穴と同じ状況となりメインタンクを成型する型がより単純になる。
細溝19は、図4に示すようにメインタンク1を縦に2分割した樹脂成型部品の壁面に撥水性の段差として形成される。細溝19の形状としては、図4(a)の矢印部分A−Aの壁部断面を示すように、2分割された一方の接合面に単なる低い段差22として形成して、図(b)に点線で示す他方の接合面と溶着して構成する。または、図4(c)に示すように2分割された一方の壁面に溝23を形成して、その内部側に低い段差22を設けても良いし、図示しないが数ミリごとに半円状の短い縦溝を多数配して溶着後に形成される微小孔で連通させても良い。このような構造を2分割されたメインタンク1の接合面のすくなくとも一方の連続する3面か、または全周に施して溶着することで、内壁面を巡る細溝19が形成できる。
開閉栓機構は、分割して成型された一方の側壁部の張り出し部24にあらかじめコイルバネのような弾性部材25を配し、開口部20にドーナツ状弾性部材4を配置して他方の成型部品と溶着してメインタンク1を構成し、インクを充填した後に、球状の栓部材9を圧入して、前記弾性部材25により移動可能に前記ドーナツ状弾性部材4の中央の開口部を封鎖する。こうした製造手順は、注液時に前記ドーナツ状弾性部材4の中央部を封止する球状部材9がないため注液するための筒先の挿入や注液が容易になる。弾性部材25は、コイルバネの代わりに図2(b)のようにドーナツ状弾性部材4の一部であって上部に配したOリングを複数の弾性を有する支柱で支えて球状の部材9を伸縮自在に付勢すると、よりシンプルな構成となる。
また、5図に示すように、メインタンク1のドーナツ状弾性部材4や弾性部材25や球状の栓部材9が配されたインク供給口部の内部側開口部には下向きに装着して使用する場合は重力で下側に開き、反対に上向きに放置した場合には閉じる重力弁26を配すれば、ユーザーによる有害で異質なインクの安易な注入行為を簡単に防いでインクジェット記録装置の故障となる要因を防止できる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば従来メインタンク側に存在した諸機能を記録ヘッド本体側に移すことによって、メインタンク本体は開口部分からほぼ等分に分割した2部品の樹脂成型部品のみを主要構成部品にできる。インクの注入口であり供給出口でもある唯一の開口部は、其処にドーナツ状弾性部材4と弾性部材25とを配して、インクを注液後に圧入される球状の栓部材9で塞ぐ構成をとる。この構成により注液時は、前記ドーナツ状弾性部材4の中央の開口部には球状の栓部材9はなくインクを注入する管を差し込むだけでインクの充填が可能となる。
また、スポンジのようなインク吸収部材はないので注液時間を短縮するための吸気工程を必要とせず簡単で、かつ短時間での注液が可能となる。そして、インクを自由状態でほぼ100%に近い容積率で貯留が可能、かつほぼ100%のインク消費が可能なメインタンクが実現できる。また、細い溝を撥水性の樹脂製インク容器内壁面の全コーナー部近傍に巡らして、弾性部材でその大気側出口を弱めに封鎖しているので、どのような放置姿勢で内の圧力が上昇しても、その上昇した内圧を撥水性の細い溝を介して外気側に逃がすことができる。従って、インク漏れのない、製造が容易で、メインタンクを記録ヘッドに装着する前に封止シールを剥すような忘れやすい、煩わしい行為をユーザーに強いることのない安価なメインタンクを提供できる。
又、環境変化に伴うメインタンク内の空気の膨張・収縮を大型のインク吸収部材にインクを収容させること無く、開孔部のある一部にだけ部分的に小型のインク含浸部材を配したサブタンクを介して大気連通孔の途中に配した溢れインク収容室内に収容するという簡単で恒久的な手段で緩和させている。このように、従来は使い捨てされるメインタンク側にあった諸機能を、恒久的な機能として記録ヘッドの本体側に構成することにより、消耗品であるメインタンクをシンプルな構成にでき、インク供給経路の流路抵抗を低減し、インク消費量の多い多数のノズル群を有する高速ヘッドにも対応可能で、顔料色素などを分散したインクにも好適なインク供給システムを提供できる。
1はメインタンク、2はインク、3はインク吸収部材、4はドーナツ状弾性部材、5は記録ヘッド、7は空気、8は円筒形接合口、9は球状の栓部材、10はサブタンク、11・13はフィルタ、15は溢れインク室、17大気連通孔、18はインク含浸部材、19は撥水性の細溝、21は貫通小孔又は切り欠き部、22は段差、25は弾性部材、26は重力弁
Claims (5)
- 液体噴射記録ヘッドに着脱可能な硬質の液体収納容器であって、自由状態で貯留する液体の供給口である円形状の開口壁部に、弾性部材により付勢された、外側より押し込みも可能な球状の栓部材によって中央の開口部を封止可能なドーナツ状の弾性部材を配し、該ドーナツ状の弾性部材で両側を挟持された前記円形状の開口壁部の領域に少なくとも1つの貫通小孔、又は切り欠き部を配し、該貫通小孔、又は切り欠き部の内部側からは撥インク性の細い溝が長手方向の両側の側壁部を経て、すくなくとも反対側の壁部の近傍まで達していることを特徴とする液体収納容器。
- 前記弾性部材は前記ドーナツ状の弾性部材と一体であり、上部に配されたOリングを複数の弾性を有する支柱で支える構造であって、内在させた前記球状の栓部材を外側に向かって押し圧することを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器
- 内側から移動可能に封鎖する球状の栓部材と、該球状の栓部材を付勢する弾性部材と、前記ドーナツ状の弾性部材と、が配された前記円形状の開口壁部の液体収納容器側への開口部には、該液体収納容器を下向きに装着した場合には開き、上向きに放置した場合には閉じる、重力弁を配したことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
- 液体を一時的に貯留して液体噴射記録ヘッドに供給する液体収容室は、着脱可能で膨張した内気を開放する機構を配した密閉状態の液体収納容器に貯留された液体を導入するための開口部と、その液体の有無を検出する部材と、外気に連通する大気連通孔と、すくなくとも前記開口部と前記大気連通孔の開孔部とを覆う毛細管部材と、を有し、前記大気連通孔は撥水性の細く長い経路で外部に通じ、その経路途中に溢れ液体収容室が配置され、前記液体収納容器内の圧力が高まった場合に押し出される液体は前記液体噴射記録ヘッドの吐出ノズルから外部に押し出される前に前記溢れ液体収容室を含む前記大気連通孔内に押し出されることを特徴とする液体供給システム。
- 前記大気連通孔は液体噴射記録ヘッドの下側に大気側への開孔部を有し、前記液体噴射記録ヘッドのホームポジションにおける待機位置には、前記開孔部の下方に液体吸収部材を配したことを特徴とする請求項4に記載の液体供給システム。
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EP2228860A1 (de) * | 2009-03-06 | 2010-09-15 | Forschungszentrum Jülich GmbH | Betriebsmittel verbrauchende Systeme mit Aufnahme einer austauschbaren Tankpatrone sowie Verfahren zur unterbrechungsfreien Versorgung dieser Systeme |
CN105984234A (zh) * | 2015-03-19 | 2016-10-05 | 精工爱普生株式会社 | 墨水罐、墨水罐单元、液体喷射系统 |
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2006
- 2006-10-19 JP JP2006310765A patent/JP3972954B1/ja not_active Expired - Fee Related
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EP2228860A1 (de) * | 2009-03-06 | 2010-09-15 | Forschungszentrum Jülich GmbH | Betriebsmittel verbrauchende Systeme mit Aufnahme einer austauschbaren Tankpatrone sowie Verfahren zur unterbrechungsfreien Versorgung dieser Systeme |
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