JP2008098155A - リチウム二次電池用負極の製造法 - Google Patents

リチウム二次電池用負極の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高容量で、サイクル特性の良好なリチウムイオン二次電池用負極を製造する。
【解決手段】 集電体上に、負極活物質を含む層を形成する工程(A) 、および前記負極活物質を含む層にリチウムを物理的プロセスによって付与する工程(B)からなる製造法で、工程(B)によりリチウム付与された負極活物質の(Li/Li+)に対する電位が0.3V以上0.7V以下であるようにすると、負極表面の好ましくない変質を避けられるため、サイクル特性が良好で初期不良の少ないリチウム二次電池用負極の製造法となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、集電体と前記集電体に担持された負極活物質とを有するリチウム二次電池用負極の製造法に関する。
リチウムイオン二次電池は、例えば、電子機器の駆動用電源として広く用いられており、更なる高容量化が望まれている。リチウムイオン二次電池において、負極活物質としては、例えば、黒鉛材料が負極活物質として広く好適に用いられている。これは、黒鉛材料がリチウムを放出するときの平均電位は約0.2Vであり、放電時、その電位が比較的平坦に推移するため、電池電圧が高く、また一定となるからである。しかしながら、黒鉛材料の単位質量当りの容量は372mA/gであり、現在、黒鉛材料の容量は理論容量近くまで高められているために、これ以上の容量増加は望めない。
電池のさらなる高容量化のために、種々の負極活物質が研究されている。容量が高い負極活物質としては、リチウムと金属間化合物を形成する材料であるケイ素や錫などの合金や酸化物が有望である。例えば、ケイ素の理論放電容量は約4199mAh/gであり、黒鉛の理論放電容量の11倍である。
ただし、これらの材料では初回充放電時に充電した容量の一部が放電できないという現象が起こり、この充電容量と放電容量との差(以下不可逆容量と記載)が大きいために、負極活物質材料が持つ利点を十分に活かことができない。
このような初回充放電時における不可逆容量を低減するために、リチウム粉末を表面に配置後、電解液に浸し、電気化学的に吸蔵する方法が提案されていた。(特許文献1参照)
一方、ケイ素やスズの化合物については、気相法を用いてリチウム層を負極活物質上に形成することで、リチウムが化合物中に拡散することが知られている。このような化合物中への拡散を利用して、不可逆容量相当量以上のリチウムを化合物上へ堆積することによって不可逆容量を軽減することも検討されている。(特許文献2参照)
特開平6-36798号公報 特開2005-85632号公報 特開2005-38720号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果ではケイ素やスズなどの合金や酸化物に対して電気化学的手法のみでのリチウムの付与では、良好なサイクル特性が得られないことが明らかになった。
一方、物理プロセスの一つである気相法によるリチウムの付与ではサイクル特性は良好であった。しかし、気相法により不可逆容量相当の8割分以上のリチウム補填する場合は、ケイ素化合物内に拡散しきれないリチウムが金属状態での析出が負極表面で頻繁におこる。
このため、表面に析出したリチウム層が、セル作成時のセパレーター等との接触面に転写し、それに付随する負極活物質の剥がれなどが発生するという理由により、リチウム付与過程のリチウム金属析出有無の制御性が良くない。
特許文献3においては上記問題を解決するため、乾燥雰囲気中もしくは電解液中で所定の時間保存することで表面に析出したリチウムを活物質内へ拡散をさせる手法を実施しているが、安定して不可逆容量のすべてを物理プロセスで付与することは困難であった。
本発明は、前記課題を解決するもので、負極活物質に対してリチウムを付与する際のリチウム析出を避けつつ、サイクル特性劣化の少ないリチウムイオン電池用負極およびそれを用いたリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するため本発明では、 集電体上に負極活物質を含む層を形成する工程(A) 、および前記負極活物質を含む層にリチウムを物理的プロセスによって付与する工程(B)、によりリチウム付与された負極活物質の(Li/Li+)に対する電位が0.3V以上0.7V以下であることを特徴としてリチウム二次電池用負極を作成する。
ケイ素やスズなどの合金や酸化物から成る負極活物質に、リチウムを物理的な手法によって付与することにより、電気化学的な反応を経ずに、負極活物質の(Li/Li+)に対する電位を下げることができる。このことにより、サイクル劣化の原因となる負極活物質の変質を避けることができるためサイクル特性が向上する。
同時に物理プロセスにおいてはリチウムの析出する可能性の高い領域でのリチウム付与は、電気化学的に行うため、リチウムの表面への堆積や析出を抑えることが可能であり、リチウム付与過程のリチウム金属析出有無の制御性や付与されたリチウム量の信頼度が大幅に向上する。
その結果として不可逆容量分のリチウムを制御性良く付与することにより、初期の充放電効率が向上し、且つリチウム量調整の制御性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池用負極材料を作成することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(1) プロセス全体の流れ
従来の課題を解決するため本発明では、集電体上に、負極活物質を含む層を形成する工程(A)、および前記負極活物質を含む層にリチウムを物理的プロセスによって付与する工程(B)によりリチウム付与された負極活物質の(Li/Li+)に対する電位が0.3V以上0.7V以下であることを特徴としてリチウム二次電池用負極を作成する。
より好ましくは、工程(B)の後に電気化学的手法によりリチウムを付与することを特徴としてリチウム二次電池用負極を作製する。
(2) 各工程の説明
(2-1)工程A
工程(A)は集電体上に負極活物質を含む層を形成する工程である。形成するための方法としては、粒子状の負極材料を導電剤、結着剤などを分散媒中に分散させてスラリーとし、上記スラリーを集電体上に塗布、乾燥することによって形成する方法や、真空蒸着に代表される気相法によって集電体上に堆積する等の方法がある。この場合どの方法によってもよいが、好ましくは真空蒸着法やスパッタ法といった気相による負極活物質の形成工程がよい。真空蒸着法やスパッタ法といった気相法において形成された層は、塗布など気相法以外の方法によって形成された層と比べて密着性がよく、集電体からの剥がれが生じにくいため好ましい。
図2は、本発明における工程Aを実施するための一例を示す模式図である。真空排気装置4によって真空状態に排気された真空槽2内において、蒸着源1にから負極活物質材料が蒸発し、対向する負極集電体6に負極活物質5を形成することができる。また、ガス導入ノズル3より酸素や窒素等のガスを導入することにより、蒸着中に形成される負極活物質の組成を変化させることができる。
負極活物質としては、リチウムと電気化学的に反応するものであれば特に限定されないが、リチウムとの反応性が比較的高く、高容量が期待できるケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素と酸素とを含む化合物、ケイ素と窒素とを含む化合物、スズ単体、スズ合金、スズと酸素とを含む化合物、およびスズと窒素とを含む化合物によりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。本発明による改善度合いが顕著となるからである。
蒸着源としては上記負極活物質を形成しうる物質ならば特に限定されない。
前記集電体としての導電性金属箔は、導電性を有しており、使用する電位において安定な金属であれば、特に限定されない。
(2-2)工程B
上記工程(B)は物理的プロセスによるリチウム含有成分の負極上への付与工程である。ここにおける物理的プロセスとは、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、リチウムを含む薄膜の転写、ガスデポジション法といった、液相を経ない手法であり、堆積中に化学反応をおこさない反応である。なお、この化学反応には微少な残留大気による酸化反応は含まない。
好ましくは、真空蒸着法やスパッタ法といった真空中での堆積による付与方法であり、より好ましくは真空蒸着法による方法である。真空蒸着法は、他方法に比して堆積速度と堆積量制御性に優れ量産に向く。スパッタ法では制御性に非常に優れるものの、堆積速度の点で実用には向かない。ガスデポジション法においては、良好な堆積速度と制御性を有するものの、原料粉末を高速で対象物に吹付けるという原理のため、集電体を傷つけることが避けられず好ましくない。
リチウムを含む薄膜の転写とは、ポリエチレン等のリチウムを吸蔵しない素材上に作成された所定厚みのリチウムを含む薄膜を、活物質へ場合によっては雰囲気制御や熱制御も行った状態において隙間なく貼り付けをおこない、リチウムを活物質へ拡散付与する手法である。この手法は簡便であり付与量の制御性にも優れるものの、大面積の負極活物質に対して均一に付与することが困難であるため、実用には向かない。
物理的プロセスによるリチウムの付与工程である上記工程Bを行った際のリチウム付与量は、付与後の負極活物質の(Li/Li+)に対する電位が0.7V以下0.3V以上であることが好ましい。
従来技術である電気化学的な手法によりリチウムの付与を開始した際には、負極活物質の(Li/Li+)に対する電位は負極活物質の状況にもよるが、おおよそ2.8Vから3.0V付近である。0.7V以上の電位で電解液を経由してリチウムの付与を行った場合、電解液と負極活物質と電位の相互作用により表面への好ましくない物質の堆積や、負極活物質表面の特性劣化を生じることにより、サイクル特性が非常に劣る。
一方で、物理的プロセスよって負極活物質の対リチウムでの電位が0.3V以下になるまでリチウムを付与すると、工程の精度および負極活物質とリチウムの反応性にもよるが
、表面に拡散しきれない付与されたリチウムが負極活物質表面上に部分的に析出する現象が避けがたい。
リチウムが表面に析出した場合には、リチウムは反応性の高い物質であることや、セパレーター等の異なる面と接触させた際にリチウムの転写が発生する等の理由により、負極活物質層と接触させた物質のどちらか、もしくはその両方に剥がれや短絡、貫通といった深刻なダメージを与えてしまう
図3は本発明における、負極活物質への物理的プロセスによるリチウム付与方法の一例を示す模式図である。図3において真空槽13の内部は真空排気装置11によって排気されている。真空槽13中で蒸着源9を抵抗加熱ボート8によって加熱し、対向された負極活物質10に蒸着を行うことができる。
(2-3)工程C
工程(C)は必ずしも必要ではないが、工程(B)において、不可逆容量の全量にあたるリチウム量を付与していないため、負極として用いた場合には容量の低下を起こしてしまう。容量の低下と工程(B)では避けがたいリチウムの析出の双方を避けるために、本工程を加えたほうがより好ましい。
工程(C)は電解液を経由するリチウム量の挿入反応による、リチウム付与工程である。前述の工程(B)によって付与されたリチウム量と、見積もられる負極活物質の不可逆容量との差分の量を基準として、正極等との容量バランスなどの電池設計に応じた量のリチウムを挿入させる。
この際の手法としては、リチウムを含みリチウムを挿入脱離することのできる材料、たとえば金属リチウムや正極材料として用いられるLiCoO2等を対極として電池を作成し、電解液を通して電気化学的にリチウムを負極活物質に挿入させる。このときの対極となる材料は、リチウムを挿入脱離できる材料であれば良く上記の材料に限定されない。
(3) 電池の構成
図3に本発明の実施の形態におけるリチウム二次電池の概略断面図を示す。
電池は主として、負極集電体17、負極活物質18、 対極活物質15、対極集電体14、負極用リード20、対極用リード19、セパレーター16、とアルミラミネート21および電解液からなる。
負極集電体17と負極活物質18をあわせて負極、対極活物質15と対極集電体14を合わせて対極とする。
対極集電体と負極集電体端部にリードを接合させた後、対極をセパレーターで挟み込むように配置し、さらにその外側を集電負極が覆うようにしてスタックとする。そのスタックを密封容器に入れ、電解液を加えた後に密封した構造である。
負極と対極の配置が逆でもかまわない。
以下に具体的例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の具体例に限定されない。
(実施例1)
まず、図1に示すように、上記工程(A)と工程(B)からなる実施例について、以下に説明する。
(1)負極活物質の製造
負極活物質の集電体への堆積
本工程は、図1における「負極活物質を含む層を形成する工程」に該当する。
負極活物質の堆積は図2に示すような真空蒸着機を用いて行った。
負極集電体6として、幅10cm、厚み35μm、長さ50mの電解銅箔(古河サーキットフォイル(株)製) を用いた。
酸素からなる雰囲気としては、純度99.7%%の酸素ガス(日本酸素(株) 製)を用いた。チャンバー内の、真空度が3×10−6torrになるように制御した。
蒸着源1には、純度99.9999%のシリコン単結晶(信越化学工業(株) 製) を用いた。
集電体である銅箔を、巻きだしキャンローラー7に装着し、キャンを経由させ、空のボビンを設置した巻きだしキャンロール7で巻き取りながら、毎分2cmの速度で走行させた。
このとき、シリコン単結晶の蒸着源1に照射される電子ビームの加速電圧を10kVとし、エミッションを500mAに設定した。
シリコン単結晶を蒸発させ、制御された酸素雰囲気を通して、負極集電体6である銅箔上にシリコンと酸素からなる負極活物質5を含む層を形成した。この際の蒸着レートは毎分2μmとし、負極活物質5の厚みは15μmとした。
上記手順により作製された酸化ケイ素は、蛍光X線測定による組成分析の結果SiO0.20であった。
(2)物理プロセスによるリチウムの付与過程
本工程は、図1における「リチウムを物理的プロセスによって付与し、(Li/Li+)に対する電位を0.3〜0.7Vにする工程」に該当する。
上記方法によって作成した負極活物質10に対して、ヒーター加熱手段を備える図3のような蒸着機を用いてリチウムを蒸着した。
蒸着源9には、純度99.97%のリチウム(本荘ケミカル(株)製)を用いた。真空チャンバー内の圧力は2×10−4torrとした。抵抗加熱ボート8としてはタンタル製のボートを用いた。
対極リチウムでの半電池を作製し、以下のような充放電を行い、初期充電容量と放電容量の差を初期不可逆量とした。
充電時:定電流充電 0.2C 0Vカットオフ
休止時間:30分
放電時:定電流放電 0.2C 1.5Vカットオフ
充電の際の電流量と電位の関係より、負極活物質内に付与されたリチウムの量とその際の(Li/Li+)に対する電位を見積もった。
比較のために付与後の(Li/Li+)に対する電位が0.5V、0.7V、0.8Vとなるようなリチウム量をそれぞれに付与した。この際の付与したリチウム量は、それぞれ不可逆容量全体のおおよそ75%、50%、25%にあたる。それぞれを負極活物質1,2,3とする。
(3)(Li/Li+)に対する電位の測定
作製した負極活物質18の一部を15mm×15mmのサイズに切り出し、端部よりニッケル製の負極用リード20をスポット溶接によって接合した。対極15は、リチウム箔を15mm×15mmサイズの銅のラスメタル箔性の対極集電体14に捲きつけたものを用い、さらに銅のラスメタル端部にニッケル製の対極用リード19をスポット溶接にて接合した。負極極板の両面にポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレーター16(厚さ16μm)を配置し、さらにその外側を対極が覆うようにした。リチウムと挟み込んだ極板とがずれないように、ポリプロピレン製の接着テープで固定し、スタックとした。そのスタックをアルミラミネート21のパウチにいれ、電解液(EC:EMC:DEC=3:5:2(体積比)、1MLiPF6 三菱化学製)を1cm3加えて、熱シールにより封止して半電池を作成した。アルミラミネート21は昭和電工パッケージング製(厚み95μm)を用いた。
負極活物質1,2,3を用いて作製された半電池をそれぞれ半電池1,2,3とする。封止後30分静置した後の半電池1,2,3の電位はそれぞれ、0.500V、0.659V、0.795Vであった。作製した半電池において、0.1mAの定電流放電、カットオフ電圧1.5Vの条件で、負極活物質内に付与したリチウムを金属リチウムへと移動させる試みを行ったが、直ちにカット電圧に達したため負極活物質内に存在するリチウムは不活性であることが確認された。
(4)正極の作成
平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)100重量部に、導電材としてアセチレンブラックを3重量部混合して、混合物を得た。得られた混合物に、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN-メチル-2−ピロリドン(NMP)溶液をPVdF重量に換算して4重量部加え練合し、ペースト状正極合材を得た。この正極合材を、アルミニウム箔からなる集電体シート(厚み15μm)の両面に塗着し(厚み片面85μm)、乾燥後、圧延して、正極を得た。
(5)セルの構成
負極活物質より作製された負極と、正極を用いて電池を作成した。
具体的には、負極活物質18を15mm×15mmのサイズに切り出し、端部よりニッケル製の負極用リード20をスポット溶接によって接合して負極とした。対極は、上記で作製した正極を14.5mmm×14.5mmサイズ切り出し、さらに集電体端部にアルミニウム製の対極用リード19をスポット溶接にて接合した。正極の両面にポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレーター16(厚さ16μm)を配置し、さらにその外側を対極が覆うようにした。リチウムと挟み込んだ極板とがずれないように、ポリプロピレン製の接着テープで固定し、スタックとした。そのスタックをアルミラミネート21のパウチにいれ、電解液(EC:EMC:DEC=3:5:2(体積比)、1MLiPF6 三菱化学性)を1cm3加えて、熱シールにより封止して半電池を作成した。アルミラミネート21は昭和電工パッケージング製(厚み95μm)を用いた。
負極活物質1,2,3それぞれを用いて構成された負極を負極1,2,3、構成された電池を、それぞれ電池1,2,3とする。
(6)評価
上記により作成した電池6種を用い、充放電サイクルによる容量変化特性を測定した。充放電条件を以下に示す。
充電時:定電流定電圧充電、15mA、4.2Vカットオフ、0.75mAカットオフ
休止時間:10分間
放電時:定電流放電、3mA、2.0Vカットオフ
休止時間:10分間
サイクル数:100サイクル
サイクル特性の結果と、物理プロセス終了後に(Li/Li+)に対する電位を測定した結果を表1に示す。初期の容量は、不可逆容量の低減度合いの違いにより、電池1,2,3でそれぞれ14.8mAh、14.5mAh、14.3mAh程度であった。
本製造法において、物理プロセスを経た後の(Li/Li+)に対する電位が0.7以下の電池においては、それぞれ同等の良好なサイクル特性(100サイクル、容量維持率87%及び91%)を有する一方、同電位が0.7Vを越える電池は、100サイクル55%という劣ったサイクル特性を示した。
(実施例2)
次に、図5に示すように、上記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を全て含む実施例について、以下に説明する。
(1)負極活物質の製造
負極活物質の集電体への堆積
本工程は、図1における「負極活物質を含む層を形成する工程」に該当する。
酸素からなる雰囲気としては、純度99.7%の酸素ガス(日本酸素(株) 製)を用いた。チャンバー内の、真空度が2×10−4torrになるように制御した点、並びに負極活物質の厚みを20μmとした点以外は、実施例1と同様の手順で作製した。
また上記手順により作製された酸化ケイ素は、蛍光X線測定による組成分析の結果SiO0.81であった。
(2)物理プロセスによるリチウムの付与過程
本工程は、図5における「リチウムを物理的プロセスによって付与し、(Li/Li+)に対する電位を0.3〜0.7Vにする工程」に該当する。
付与手法は実施例1と同様の手法で行った。比較のために付与後の(Li/Li+)に対する電位が0.3V、0.5V、0.7V、0.9V、1.3Vとなるようなリチウム量をそれぞれに付与した。この際の付与したリチウム量は、それぞれ不可逆容量のおおよそ80%、70%、50%、25%、10%にあたる。
また、比較例として本プロセスを経由せずに次プロセスへ至る試料も作成した。作成した負極活物質をそれぞれ負極活物質4,5,6,7,8,9とする。
(3)電気化学プロセスによるリチウムの付与過程
本工程は、図5における「電気化学的手法によってリチウムを付与する工程」に該当する。
次いで負極活物質と対極にリチウムを用いた半電池を作成した。
実施例1における工程(3)と同様の手順により、リチウム対極の半電池を作製した。
それぞれ作成した半電池において、見積もられた不可逆量と物理プロセスで付与したリチウム量の差分のリチウムイオンを電流量に換算し、定電圧定電流(4.2V、0.2C)で負極活物質へ付与することで、リチウム電池用負極を製造した。負極活物質4,5,6,7,8,9を用いて作製された負極を、負極4,5,6,7,8,9とする。
(4)正極の作成
実施例1と同様の手順で作製した。
(5)セルの構成
工程(3)で電気化学プロセスによりリチウムを付与された負極を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で作製した。負極4,5,6,7,8,9それぞれを用いて構成された電池を、それぞれ電池4,5,6,7,8,9とする。
(6)評価
実施例1と同様の手順で評価を行った。
サイクル特性の結果と、物理プロセス終了後に(Li/Li+)に対する電位の測定結果を表1に示す。いずれも初期の容量は15mAh程度で同程度であった。
本製造法において、物理プロセスを経た後の(Li/Li+)に対する電位が0.7V以下の電池においては、それぞれ同等の良好なサイクル特性(100サイクル、容量維持率90%から93%)を有する一方、同電位が0.7Vを越える電池は、100サイクル25%以下という非常に劣ったサイクル特性を示した。
Figure 2008098155
本製造法は、不可逆容量分のリチウムを制御性良く補填することにより、初期の充放電効率が向上し、且つリチウム量調整の制御性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池用負極材料を作成することができる。同時に、初期不良発生も抑制することが可能であり、産業上の製造法として有用である。
本発明の実施例1における製造法のフローチャートの概略図 本発明の実施の形態における負極活物質作成装置の概略図 本発明の実施の形態における物理プロセスによるリチウム付与装置の概略図 本発明の実施の形態におけるリチウムイオン二次電池の概略断面図 本発明の実施例2における製造法のフローチャートの概略図
符号の説明
1 蒸着源
2 真空槽
3 ガス導入ノズル
4 真空排気装置
5 負極活物質
6 集電体
7 キャンローラー
8 抵抗加熱ボート
9 蒸着源
10 負極活物質
11 真空排気装置
12 支持板
13 真空槽
14 対極集電体
15 対極活物質
16 セパレーター
17 負極集電体
18 負極活物質
19 対極用リード
20 負極用リード
21 アルミラミネート

Claims (3)

  1. 集電体上に、負極活物質を含む層を形成する工程(A) 、および前記負極活物質を含む層に、リチウム付与された負極活物質の(Li/Li)に対する電位が0.3V以上0.7V以下となるようにリチウムを物理的プロセスによって付与する工程(B)とを含むリチウム二次電池用負極の製造方法。
  2. 前記物理的プロセスによってリチウムを付与された負極活物質を含む層に、電気化学的手法によりリチウムを付与する工程(C)をさらに含む請求項1記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  3. 前記負極活物質は、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素と酸素とを含む化合物、ケイ素と窒素とを含む化合物、スズ単体、スズ合金、スズと酸素とを含む化合物、およびスズと窒素とを含む化合物よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用負極の製造法。
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