JP2008097937A - 燃料電池の組み付け方法および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池に複数個使用される単セルの圧力損失の特性に基づくグループ分けをより精度よく行う。
【解決手段】酸化ガス通路の圧力損失を予め定めた流量ごとに求め、各圧力損失に基づいて各流量でのランク付けを行う。さらに各流量におけるランクが流量ごとにそれぞれ同一の単セルを集めることでグループ分けを行う。このようにしてグループ分けされた単セルにより燃料電池の組み付けを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池及び燃料電池の組み付け方法に関する。
従来、燃料電池としては、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下MEAという)を2つのセパレータで挟み込んで構成された単セルを複数積層したものが知られている。MEAは、両面に触媒電極としての白金が塗布された電解質膜と、この電解質膜を挟み込むガス拡散電極とから構成されている。MEAのうち、一方の面に形成された触媒電極とガス拡散電極とがアノードを構成し、他方の面に形成された触媒電極とガス拡散電極とがカソードを構成する。そして、アノードに面するセパレータには、燃料ガスとしての水素ガスを単セル内に行き渡らせるための燃料ガス通路が形成され、カソードに面するセパレータには、酸化ガスとしてのエアを単セル内に行き渡らせるための酸化ガス通路が形成されている。
ところで、燃料電池を構成する各単セルの出力電圧のばらつきが大きくなると、燃料電池全体としての性能が低下することがある。
特許文献1には、燃料電池を運転制御するにあたり、単セルごとの出力電圧をモニタしてその標準偏差を求め、その標準偏差に基づいて電流密度、反応ガス流量あるいは反応ガス圧力を制御することにより、各単セルの出力電圧のばらつきを抑制する技術が開示されている。
また、単セルの出力電圧のばらつきは、単セルを構成する電極やセパレータなどの構成部品の形状(厚さ、密度など)のばらつきや、セパレータを電解質膜に接着する際のシール部材の使用量のばらつきなど製造条件のばらつきにより生じる場合がある。
そこで、特許文献2には、単セルの圧力損失を求めて、圧力損失に基づいて各単セルをランク分けし、同等ランクの単セルを集めて燃料電池を構成することで、出力電圧のばらつきを抑制する技術が開示されている。
特開2000−208161号公報 特開2003−151604号公報
特許文献1のように、単セルの出力電圧に基づいて電流密度、反応ガス流量あるいは反応ガス圧力を制御したとしても、単セルの出力電圧のばらつきを抑えるのには限界がある。
また、特許文献2では、特定の流量のガスを各単セルに流し、圧力損失を求めているが、流量の大きさによって単セルの圧力損失は変化する。そのため、特定の流量における圧力損失のみで各単セルのランク分けを行うと、圧力損失の異なる単セルを同一ランクに分けてしまう場合がある。この場合、このランクに基づいて同等ランクの単セルを集めて燃料電池を構成したとしても、出力電圧のばらつきを抑制できない場合がある。
本発明は、燃料電池を構成する各単セルの圧力損失に基づくグループ分けをより精度よく行うことを目的とする。
本発明に係る燃料電池の組み付け方法は、燃料電池に複数個使用される単セルに設けられた少なくとも1つの媒体通路の圧力損失を少なくとも2つの所定の流量において求める圧力損失算出工程と、各圧力損失に基づいて単セルのグループ分けを行い、同じグループに属する単セルを集めて組み付ける組み付け工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池の組み付け方法の1つの態様では、前記組み付け工程において、各流量における圧力損失が流量ごとに同一の所定範囲に属する単セルを同一のグループとなるようにグループ分けを行うことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池は、燃料電池に複数個使用される単セルに設けられた少なくとも1つの媒体通路の圧力損失を少なくとも2つの所定の流量において求め、求めた各圧力損失に基づいて単セルのグループ分けを行い、同じグループに属する単セルを集めて組み付けられることを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池を構成する各単セルの圧力損失に基づくグループ分けをより精度よく行うことができる。
本発明を実施するための最良の形態を具体的に示した実施形態について、以下図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態において、単セル10の圧力損失を検査する圧力損失検査システムである。
単セル10は、MEA20を第1セパレータ30と第2セパレータ40とで挟み込んだものであり、単セル10を基本単位として、単セル10を複数積層したスタック構造により燃料電池は構成される。
MEA20は、膜電極接合体であって、電解質膜を挟んで水素極(以下、アノードと称する)と酸素極(以下、カソードと称する)とを配置して構成される。
第1セパレータ30及び第2セパレータ40は、ガス不透過の電導性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過として成形カーボンにより形成される。第1セパレータ30には燃料ガス通路が形成され、さらに燃料ガス通路へ燃料ガスを供給するための燃料ガス供給孔部および同通路から燃料ガスを排出するための燃料ガス排出孔部が形成される。また、第2セパレータ40には酸化ガス通路が形成され、さらに酸化ガス通路へ酸化ガスを供給するための酸化ガス供給孔部および同通路から酸化ガスを排出するための酸化ガス排出孔部が形成される。
このように構成された単セル10に対して、本実施形態では、図1に示すような圧力損失検査システムにより、酸化ガス通路における圧力損失を測定する。
まず、単セル10の第1セパレータ30に第1シールプレート60を密着させ、第1セパレータ30に形成された給排用の各孔部を塞ぎ、第2セパレータ40に第2シールプレート62を密着させ、第2セパレータ40に形成された給排用の各孔部を塞ぐ。各シールプレート60,62は、単セル10と接触する面がゴム面になっており、このゴム面によって各孔部を気密に塞ぐ。また、第2シールプレート62には、側面から酸化ガス供給孔部に対向する位置までを貫通する導入孔62aと、酸化ガス排出孔部に対向する位置までを貫通する導出孔62bとが形成されている。
導入孔62aに接続されたガス供給ラインLinには、上流側から元圧を安定させるレギュレータ50、ガス中の粉塵を除去するフィルタ52、流量を制御する絞り弁56、単セル10に供給されるガス圧を測定する第1圧力計58が設置されている。一方、導出孔62bに接続されたガス排出ラインLoutには、単セル10から排出されたガス圧を測定する第2圧力計64、ガス流れの絞りを調整する絞り弁66が設置されている。
単セル10の圧力損失を測定する際には、ガス供給ラインLinに圧縮ガスを供給し、レギュレータ50を所定の元圧とし、フローコントローラ54で流量を調整し、絞り弁56,66で絞りを調整する。さらに、第1圧力計58を読み取って供給側のガス圧とし、第2圧力計64を読み取って排出側のガス圧とし、供給側のガス圧に対する排出側のガス圧の変化量を求め、その変化量に基づいて圧力損失を求める。変化量は、例えば、供給側のガス圧と排出側のガス圧との差分を用いることができる。
本実施形態では、予め定められた複数の流量において単セル10の圧力損失を求め、各圧力損失に基づいて予め定められたランクに照らしてランク分けを行い、各流量におけるランクの組み合わせに基づいて単セル10のグループ分けを行う。
以下、説明を簡単にするために、2段階の流量における圧力損失を求める場合を例にさらに説明する。
まず、酸化ガス通路の圧力損失には所定の許容範囲がある。そこで、図2に示すように、この許容範囲を、2以上の小範囲に分割して、各小範囲に対してそれぞれ第1ランク、第2ランク、・・・第nランクと予めランク付けを行っておく。なお、このランク付けは、流量ごとに定めてもよい。
図3は、流量が多い場合と、少ない場合で、それぞれ各単セル(A〜F)の圧力損失を求め、各圧力損失に対するランクを表にまとめたものである。図3に示すように、流量が異なると、単セルのランクが異なることがある。よって、1つの特定の流量に対する圧力損失で単セルのランクを求め、そのランクに基づいて単セルのグループ分けを行うと、同一グループ内に性能の異なる単セルが混在する場合がある。特に、流量が多い場合と少ない場合とで、ランクが正反対となる単セルも同一グループとなってしまう場合がある。そこで、本実施形態では、複数の流量でそれぞれ圧力損失を求め、さらに流量ごとにランクを求め、各ランクの組み合わせが同一の単セルが同一グループになるようにグループ分けを行う。このようにグループ分けを行うことで、流量が異なる場合でも同等な性能を有する単セルを同一グループにすることができ、より精度よく単セルのグループ分けを行うことができる。
従来、例えば、車両用の燃料電池を構築する場合、車両出力が高い領域を想定して、ガス流量を設定し、その流量での圧力損失のみに基づいてランク分けを行っていた。しかし、例えば、車両が定常使用時やアイドリング時などガス流量が異なる場合、燃料電池を構成する各単セルの性能にばらつきが生じることがあった。
一方、本実施形態では、複数の流量でそれぞれ圧力損失を求め、各圧力損失のおけるランク付けを行い、各流量におけるランクの組み合わせに基づいて単セルのグループ分けを行う。よって、広範囲の流量において性能が同等である単セルを同一グループとすることができ、同一グループの単セルを組み合わせて燃料電池を構成することができる。よって、広範囲の流量において各単セルの出力電圧のばらつきを抑制することができる。
なお、上記では、酸化ガス通路の圧力損失に基づいて単セルのランク付けを行ったが、燃料ガス通路の圧力損失に基づいて行ってもよい。また、単セルを冷却するための水が通る冷却水通路の圧力損失に基づいて単セルのランク付けを行ってもよい。
さらに、各通路の各流量における各ランクの組み合わせにより単セルのグループ分けを行ってもよい。すなわち、酸化ガス通路、燃料ガス通路、冷却水通路の圧力損失を、予め定めた流量ごとに求め、各流量でのランク付けを行う。そして、各通路の各流量におけるランクが流量ごとに同一なものを集めることで、グループ分けする。このようにしてグループ分けされた単セルにより燃料電池の組み付けを行うことで、各通路の各流量における圧力損失のばらつきを抑制することができるため、各単セルの出力電圧のばらつきをさらに抑制することができる。
図4は、各通路の圧力損失を2段階の流量で求め、各圧力損失に基づいて各流量におけるランク付けを行った場合の各単セルのランクを示す。図4に示すランク付けが行われた場合、例えば単セルAと単セルDとが同一グループに属し、単セルCと単セルFとが同一グループに属することになる。
なお、単セルのグループ分けは例えば燃料電池の製造時に行い、グループ分けの結果に基づいて同一グループに属する単セルを集めて組み付けることで燃料電池を製造すればよい。
本実施形態における単セルの圧力損失検査システムの構成を示す図である。 圧力損失とランクとの関係を示す図である。 2段階の流量において酸化ガス通路の圧力損失を求め、各圧力損失に基づいて単セルのランク付けを行った場合の結果を示す図である。 2段階の流量において酸化ガス通路、燃料ガス通路、冷却水通路の圧力損失をそれぞれ求め、各圧力損失に基づいて単セルのランク付けを行った場合の結果を示す図である。
符号の説明
10 単セル、30 第1セパレータ、40 第2セパレータ、50 レギュレータ、52 フィルタ、54 フローコントローラ、56,66 絞り弁、58 第1圧力計、60 第1シールプレート、62 第2シールプレート、64 第2圧力計。

Claims (3)

  1. 燃料電池に複数個使用される単セルに設けられた少なくとも1つの媒体通路の圧力損失を少なくとも2つの所定の流量において求める圧力損失算出工程と、
    各圧力損失に基づいて単セルのグループ分けを行い、同じグループに属する単セルを集めて組み付ける組み付け工程と、
    を含む燃料電池の組み付け方法。
  2. 請求項1に記載の組み付け方法において、
    前記組み付け工程では、各流量における圧力損失が流量ごとに同一の所定範囲に属する単セルを同一のグループとなるようにグループ分けを行う、
    ことを特徴とする燃料電池の組み付け方法。
  3. 燃料電池に複数個使用される単セルに設けられた少なくとも1つの媒体通路の圧力損失を少なくとも2つの所定の流量において求め、求めた各圧力損失に基づいて単セルのグループ分けを行い、同じグループに属する単セルを集めて組み付けた燃料電池。
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