JP2008096704A - 体積ホログラム積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録時のエネルギー密度に対する回折効率が高く、かつ保存時の厚み変動の拡大を抑制することにより明るさのむらが生じない体積ホログラム積層体を提供する。
【解決手段】2つの基材2,7の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層5を設けた体積ホログラム積層体1Aにおいて、前記体積ホログラム層5の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】2つの基材2,7の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層5を設けた体積ホログラム積層体1Aにおいて、前記体積ホログラム層5の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、記録時のエネルギー密度に対する回折効率を高くしつつ、媒体の保存時厚み変動の拡大を抑制する体積ホログラム積層体に関する。
従来、体積ホログラム積層体は、一般に、基材上に材料変質抑制層かつ/あるいは粘着層、体積ホログラム層、材料変質抑制層かつ/あるいは粘着層、透明保護フィルムの順に積層された構成を有し、記録し終え最終的な基材としては身分証明書、受験票、IDカード、パスポートのような小冊子など、さまざまな形態等に貼りつけられたものが開発されている。
その構成要素の内、体積ホログラム層は、ホログラム記録によって形成された回折格子からの回折が大きいことが求められている。回折格子はコヒーレント光の干渉から形成されることから記録時の振動に弱い。そのため出来る限り短い時間で記録を済ませ所望の回折効率を得ることが望まれている(一般的に記録感度が高いと表現される)。
また、体積ホログラム層内の材料は特許文献1,2に記載されているように他の構成要素に比べて粘度が低く、記録するまでの間記録特性の劣化や形状的、厚み分布の拡大によるホログラム回折効率の低下や面内方向の回折効率の分布、すなわち明るさのむらを生じることが問題となっている。特に記録感度が高い材料ほど粘度は低く厚さむらを生じ易い。
この回折効率の低下や面内分布は、ホログラムを記録した際に明るさが低下したり、面内の明るさ分布を生じたりしたホログラフィックな欠陥として出現する。なお、この明るさのむらは直径0.1〜3mmの円形や楕円形、あるいは不定形と様々である。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、記録時のエネルギー密度に対する回折効率が高く、かつ保存時の厚み変動の拡大を抑制することにより明るさのむらが生じない体積ホログラム積層体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、2つの基材の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層を設けた体積ホログラム積層体において、前記体積ホログラム層の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とする体積ホログラム積層体である。
ここで、前記体積ホログラム層は、光重合可能な化合物とバインダーとを含む記録材料が有機溶媒に溶解された溶液を塗布、乾燥して形成されたものであり、前記応力緩和時間は前記バインダーの分子量及び/又は乾燥条件により制御されたものであることが好ましい。
また、前記2つの基材は、曲げ弾性率2.0〜20.0GPa、厚さ50〜200μmの透明プラスチックフィルムであることが好ましい。また、前記2つの基材いずれかは、波長400〜800nmにおける透過率が85%以上、波長350〜400nmにおける透過率が65%以上であることが好適である。
本発明によれば、形状変化が容易な基材を用いても、体積ホログラム層の厚みムラや経時変化の少ないフィルム状の体積ホログラム積層体を提供することができる。また、記録材料の経時変化を防ぐと同時に、良好な記録特性を併せ持つホログラム記録媒体として提供できる
発明者らは、体積ホログラム積層体におけるエネルギー密度に対する回折効率割合、また保管による体積ホログラムの厚み分布の拡大が、体積ホログラム層の記録時温度における緩和時間との相関により生じるものであることを突き止め、その知見を基に鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
以下、本発明に係る体積ホログラム積層体の構成について説明する。
本発明の体積ホログラム積層体は、2つの基材の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層を設けたものであって、前記体積ホログラム層の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とするものである。
本発明の体積ホログラム積層体は、2つの基材の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層を設けたものであって、前記体積ホログラム層の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とするものである。
図1〜図3に、本発明に係る体積ホログラム積層体の構成例を示す。
図1において、1Aは体積ホログラム積層体、2は第1の基材、5は体積ホログラム層、7は第2の基材である。また、図2は第1の基材2,第2の基材7と体積ホログラム層5との反応が危惧される場合であり、1Bは体積ホログラム積層体、2は第1の基材、3は第1材料変質抑制層、4は第2材料変質抑制層、5は体積ホログラム層、7は第2の基材である。また、図3は、図2の構成に更に基材の機能として保護層6を設けた場合の体積ホログラム積層体1Cの構成を示している。本発明は、図1,図2,図3のいずれの構成の体積ホログラム積層体にも適用が可能である。
図1において、1Aは体積ホログラム積層体、2は第1の基材、5は体積ホログラム層、7は第2の基材である。また、図2は第1の基材2,第2の基材7と体積ホログラム層5との反応が危惧される場合であり、1Bは体積ホログラム積層体、2は第1の基材、3は第1材料変質抑制層、4は第2材料変質抑制層、5は体積ホログラム層、7は第2の基材である。また、図3は、図2の構成に更に基材の機能として保護層6を設けた場合の体積ホログラム積層体1Cの構成を示している。本発明は、図1,図2,図3のいずれの構成の体積ホログラム積層体にも適用が可能である。
ここで、第1の基材2及び第2の基材7として、透明プラスチックフィルムや透明ガラス基板など種々の材料からなる透明基板を用いることができる。とくに、本発明では、曲げ弾性率2.0〜20.0GPa、厚さ50〜200μmの透明プラスチックフィルムを基材として用いることができるので有利である。
また、第1の基材2または第2の基材7は、透明フィルムや透明ガラス基板など近紫外から可視の光において透明なものが望ましい。具体的には波長400〜800nmの範囲で透過率85%を割り込むことなく、かつ波長350〜400nmの範囲において65%を割り込むことの無い材料からなるものである。尚、本発明の体積ホログラム積層体にホログラムを記録せしめた後の第1の基材2あるいは第2の基材7には、もはや透明体である必要はなく、紙、樹脂、金属、フィルム等を用いることができ、IDカードや小冊子等さまざまな形態が可能になる。
また、第1材料変質抑制層3,第2材料変質抑制層4は、耐溶剤性を有するとともに、体積ホログラム層5との屈折率差が20%以内、ヘイズが1%以内であることが好ましい。例えば、紫外線硬化型アクリル系樹脂、ポリビニールアルコール、エチレンビニルアルコール重合体などを使用することができる。なお、図2において、本発明の体積ホログラム積層体1Bとして、基材2上に第1材料変質抑制層を介して体積ホログラム層5を積層した構造を示しているが、第1の基材2上に体積ホログラム層5を両面テープを介して積層した構造としても良い。両面テープはフィルム両面に粘着層を有したものや粘着剤だけの場合のいずれであっても問題は無い。
保護層6は、表面の硬さが鉛筆硬度B以上の耐傷付き性を有する薄膜である。また、第1の基材2、第2の基材7との屈折率差が20%以内、ヘイズが1%以内であることが好ましい。例えば、紫外線硬化型アクリル系樹脂を使用することができる。
基材の種類と体積ホログラム層5の種類によっては第1材料変質抑制層3を省略できる場合もありうる。例えば第1の基材2,第2の基材7としてガラス基板、体積ホログラム層5としてアクリルモノマー系光反応化合物を含む記録材料からなるものとした場合などがそれにあたる。ガラス基板はアクリル系の化合物、光反応を起こす開始剤等と反応せず、かつ基板材料が体積ホログラム層を侵すことない。さらにアクリル系の化合物は程よい粘着性を持つことから、基材と体積ホログラム層との密着も形成されるため粘着層も割愛することが可能である。また、同様に第2材料変質抑制層4についても省略することが可能な場合もありうる。
体積ホログラム層5は、第1の基材2上または第1の基材2に第1材料変質抑制層3を設けたものの上に、有機溶媒に溶かした体積ホログラム記録材料を塗布し、適宜乾燥させ有機溶媒を除去し、作製されるものである。体積ホログラム層5は、主に光重合可能な化合物(アクリル系やスチレン系モノマー)を含有しており、その他適宜バインダーポリマーやオリゴマー、光重合を行なうための開始剤、増感色素からなる体積位相型ホログラム記録用途の感光性材料を含有している。
光重合可能な化合物の例としては、主にアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミドの誘導体やスチレンやビニルナフタレンの誘導体など、ラジカル重合反応に用いられるモノマーが挙げられる。他にはエポキシ系、オキセタン系の誘導体などのカチオン重合反応用モノマーも用いることが出来る。これらモノマーには、適宜、水素原子の代わりにハロゲン原子に置き換わった誘導体も用いることが可能である。
また、必要に応じて添加されるバインダー成分としては、エチレングリコールとその誘導体やグリセリンとその誘導体からなる多価のアルコール類、フタル酸エステルとその誘導体やナフタレンジカルボン酸エステルとその誘導体、リン酸エステルとその誘導体、脂肪酸ジエステルとその誘導体のような可塑剤として用いることが可能な化合物が挙げられる。
次に、開始剤系における光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1や1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンなどのラジカル重合に用いる有機化合物やヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)などのカチオン重合に用いる有機ヨードニウム塩などが挙げられる。このとき用いられる光重合開始剤はホログラム記録後、適宜後処理により分解される化合物が望ましい。光重合開始剤の存在により、ホログラム記録後の回折格子を乱したり、壊したりする可能性がある。そのためホログラムをこれ以上記録することがなくなった場合、速やかに光重合開始剤を無くすことが重要である。上記化合物の例はインコヒーレントな紫外線を照射することにより回折格子に影響することなく速やかに分解される。
増感色素としては、主に光の波長350〜680nmに吸収を有するシアニン系、クマリン系、キノリン系色素などが挙げられる。特にカラーのホログラムを記録する場合、用いるレーザーの波長は350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、650nm近傍の赤色、それぞれに対して、あるいはいずれか両方の吸収を有する色素であることが望ましい。
体積ホログラム層5におけるホログラム記録では、光干渉による重合により回折格子が形成される。その際、回折格子の固定がホログラム像の良し悪しを左右する。しかし光重合するためのモノマー拡散も必要である。回折格子の固定とモノマーの拡散を両立させるため、予め別なポリマーを形成することにより回折格子は固定されるが、モノマーの拡散はあまり阻害されない構造を作る方法がある。それらに用いる化合物としては基本的に光重合を行なう同系列な化合物を用いることができる。あるいは意図的に、光重合の化合物をラジカル重合系とし、予め形成しておくポリマーをカチオン重合系とすることやその逆の場合も可能である。
ホログラムを記録した後、光重合開始剤を分解するための紫外線照射、明るさを稼ぐための加熱処理がある。この加熱処理により回折格子が拡散することで波長の分解能は広くなる。自然光、ハロゲンライトやLEDなど波長に広がりあるスペクトルを持つ光をホログラム再生の光として用いる場合、回折する光の波長の幅が広がることで回折する波長の幅も広がり、見かけ上、明るさが増すのと同じになる。ただし、あまり広がりすぎると再生時の色の再現性が悪くなる。加熱処理により回折格子を拡散させるためには、構成する体積ホログラム層5のガラス転移温度が室温付近から加熱上限の100℃程度にあることが望まれる。
体積ホログラム層5をなす記録材料における各成分の含有比率は次のようにするとよい。
(1)光重合可能な化合物は、バインダー樹脂に対して、1/10〜2程度の体積比とすることが望ましい。
(2)光重合開始剤は、バインダー樹脂に対して、1/100〜1/10程度の体積比とすることが望ましい。
(3)増感色素は、バインダー樹脂に対して、1/1000〜1/100程度の体積比とすることが望ましい。
(1)光重合可能な化合物は、バインダー樹脂に対して、1/10〜2程度の体積比とすることが望ましい。
(2)光重合開始剤は、バインダー樹脂に対して、1/100〜1/10程度の体積比とすることが望ましい。
(3)増感色素は、バインダー樹脂に対して、1/1000〜1/100程度の体積比とすることが望ましい。
これらの体積ホログラム層5をなす記録材料は、イソプロパノール等のアルコール系、アセトン等のケトン系、トルエン等のベンゼン系、酢酸エチル等のエステル系等の1種あるいは多種の有機溶媒を用いて混合し化合物割合30vol%〜50vol%の塗布溶液とする。体積ホログラム層5の厚さとしては有機溶媒を乾燥後、10μm〜50μmの範囲である。
本発明でいう応力緩和時間は、体積ホログラム層5に室温25℃において100%のひずみを与えるように応力を加えた後の応力の緩和時間をいう。本発明では、体積ホログラム層5の厚みの経時変化を抑制及び防止するために前記応力緩和時間を100sec以上とし、記録特性を良好に保つために前記応力緩和時間を300sec以下とする。また、体積ホログラム層5の応力緩和時間については、前記バインダーの分子量及び/又は記録材料の塗布後の熱処理条件すなわち乾燥条件を調整することにより、前記範囲内となるように制御することができる。
また、本発明における体積ホログラム層5は、記録光として例えば、レーザーの波長は350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、680nm近傍の赤色の全てを用いることでカラー画像を記録することが出来る。またこの内単一波長を用いることで単色ホログラムも可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。
<実験例1>
以下の手順で試験片の作成及び特性評価を行った。
(1)体積ホログラム層溶液の調整
アクリル酸エステルをラジカル重合性モノマー、エポキシ誘導体をカチオン重合性モノマー、アクリル酸エステルオリゴマー(平均分子量80000)をバインダーとして用い光重合開始剤、及び波長350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、680nm近傍の赤色に吸収を持つ増感色素を加えた材料をメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエンの混合溶媒に溶かし固形物含有量を40wt%とした溶液を準備した。この時の溶液の粘度は100mPasecであった。
<実験例1>
以下の手順で試験片の作成及び特性評価を行った。
(1)体積ホログラム層溶液の調整
アクリル酸エステルをラジカル重合性モノマー、エポキシ誘導体をカチオン重合性モノマー、アクリル酸エステルオリゴマー(平均分子量80000)をバインダーとして用い光重合開始剤、及び波長350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、680nm近傍の赤色に吸収を持つ増感色素を加えた材料をメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエンの混合溶媒に溶かし固形物含有量を40wt%とした溶液を準備した。この時の溶液の粘度は100mPasecであった。
(2)基材への塗布
100μm厚のポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムを基材とし、該基材に上記体積ホログラム層溶液を、スキージ法により乾燥後の塗布量を35cm3/m2の割合で調整し、下記乾燥条件(a)〜(d)を用いて溶媒を気化させ体積ホログラム層を形成した。なお、使用したPETフィルムの曲げ弾性率は9.2GPaであった。
乾燥条件;(a)常温30分、(b)100℃10分、(c)110℃10分、(d)110℃30分
100μm厚のポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムを基材とし、該基材に上記体積ホログラム層溶液を、スキージ法により乾燥後の塗布量を35cm3/m2の割合で調整し、下記乾燥条件(a)〜(d)を用いて溶媒を気化させ体積ホログラム層を形成した。なお、使用したPETフィルムの曲げ弾性率は9.2GPaであった。
乾燥条件;(a)常温30分、(b)100℃10分、(c)110℃10分、(d)110℃30分
(3)応力緩和時間の測定
TAインスツルメンツ社製Shear−Strain Controlled Rheometer“ARES”を用いた。前記乾燥条件(a)〜(d)それぞれの条件で基材上に体積ホログラム層を形成したものをサンプル(乾燥条件(a)が実験例1a、乾燥条件(b)が実験例1b、乾燥条件(c)が実験例1c、乾燥条件(d)が実験例1d)として、φ10mm、ギャップ0.3mmの平行間隔に支持し、測定温度25℃において、t=0で初期歪みγ0=100%を印加し、応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)として測定結果をプロットし、例えば図4のような結果を得た。図中、測定後半に見られる直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない、緩和弾性率、すなわち応力緩和時間τ=1/Bを得た。
TAインスツルメンツ社製Shear−Strain Controlled Rheometer“ARES”を用いた。前記乾燥条件(a)〜(d)それぞれの条件で基材上に体積ホログラム層を形成したものをサンプル(乾燥条件(a)が実験例1a、乾燥条件(b)が実験例1b、乾燥条件(c)が実験例1c、乾燥条件(d)が実験例1d)として、φ10mm、ギャップ0.3mmの平行間隔に支持し、測定温度25℃において、t=0で初期歪みγ0=100%を印加し、応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)として測定結果をプロットし、例えば図4のような結果を得た。図中、測定後半に見られる直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない、緩和弾性率、すなわち応力緩和時間τ=1/Bを得た。
ここで求めた緩和時間の物理的な意味は以下のように考察できる。一般的に、ある粘弾性をもつ物質にひずみγを瞬間的に加えたときの応力の時間変化σ(t)はひずみを加えた直後に非常に大きく変化し時間と共に変化量は減少する。今回、ホログラム材料の厚み変動がある環境下放置することにより大きくなる現象は、ひずみの加わり方としては小さく、継続的と考えられる。すなわち、ひずみγを瞬間的に加えた直後の大きな変化ではなく、ある程度時間を置いた場合に相当する。
この時の応力の時間変化は以下の式で表すことが出来る。
σ(t)=σ(0)e−t/τ
ここで、σ(t)、τはそれぞれある時間における応力、緩和時間である。この式の対数をとると、
lnσ(t)=lnσ(0)−t/τ
となり、応力の対数は時間に比例して低下する。図4の例にあるように、時間に対して比例する領域を抜き出して各々の係数を求めることにより緩和時間(τ)を求めることが出来るわけである。
σ(t)=σ(0)e−t/τ
ここで、σ(t)、τはそれぞれある時間における応力、緩和時間である。この式の対数をとると、
lnσ(t)=lnσ(0)−t/τ
となり、応力の対数は時間に比例して低下する。図4の例にあるように、時間に対して比例する領域を抜き出して各々の係数を求めることにより緩和時間(τ)を求めることが出来るわけである。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例1a)210秒、(実験例1b)240秒、(実験例1c)280秒、(実験例1d)330秒。
(実験例1a)210秒、(実験例1b)240秒、(実験例1c)280秒、(実験例1d)330秒。
(4)試験片の用意
この各々の熱処理条件で体積ホログラム層を設けた基材に、100μm厚のポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。なお、使用したポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
この各々の熱処理条件で体積ホログラム層を設けた基材に、100μm厚のポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。なお、使用したポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
(5)体積ホログラム層の安定性試験
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについては平均膜厚に対して±10%(この場合±3.5μm)を超えたときに不良(記号×)とし、±10%以内のときに良好(記号○)とした。±10%としたのは平均膜厚の少ない側においては理論的な回折効率として100%を下回る可能性があるためである。また回折効率としては問題ないが、増感色素が露光、後処理により色を抜いたとしても完全には抜けきらず、±10%すなわち最大20%の変動が見られた場合、色の濃淡が見えてしまうため商品として成立しないためである。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについては平均膜厚に対して±10%(この場合±3.5μm)を超えたときに不良(記号×)とし、±10%以内のときに良好(記号○)とした。±10%としたのは平均膜厚の少ない側においては理論的な回折効率として100%を下回る可能性があるためである。また回折効率としては問題ないが、増感色素が露光、後処理により色を抜いたとしても完全には抜けきらず、±10%すなわち最大20%の変動が見られた場合、色の濃淡が見えてしまうため商品として成立しないためである。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。
(実験例1a)○、(実験例1b)○、(実験例1c)○、(実験例1d)○。
(実験例1a)○、(実験例1b)○、(実験例1c)○、(実験例1d)○。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例1a)○、(実験例1b)○、(実験例1c)○、(実験例1d)○
(実験例1a)○、(実験例1b)○、(実験例1c)○、(実験例1d)○
(6)露光後の信号特性試験
ポリカーボネートフィルムをラミネートした前記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、10mJ/cm2の積算露光量で照射を行った。ついで、後処理として100℃,5分の熱処理を行い、高圧水銀灯(60W/cm、10cm長(600W))を用いて、赤外線をカットするフィルターを水銀灯と試験片との間に設けた状態で、波長365nmにおけるエネルギー20mJ/cm2で投入エネルギー密度が8J/cm2となるように紫外線を照射した。その後、各試験片の回折効率の測定を行った。ここでは、再生用としてのSHGレーザー光(0.6mW/約φ1mmのパワー)の透過が最低となる角度の透過光量に基づいて次の式から回折効率を求めた。
(その角度での予想透過光量−実際の透過光量)/予想透過光量x100(%)
ポリカーボネートフィルムをラミネートした前記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、10mJ/cm2の積算露光量で照射を行った。ついで、後処理として100℃,5分の熱処理を行い、高圧水銀灯(60W/cm、10cm長(600W))を用いて、赤外線をカットするフィルターを水銀灯と試験片との間に設けた状態で、波長365nmにおけるエネルギー20mJ/cm2で投入エネルギー密度が8J/cm2となるように紫外線を照射した。その後、各試験片の回折効率の測定を行った。ここでは、再生用としてのSHGレーザー光(0.6mW/約φ1mmのパワー)の透過が最低となる角度の透過光量に基づいて次の式から回折効率を求めた。
(その角度での予想透過光量−実際の透過光量)/予想透過光量x100(%)
各々のサンプルの回折効率は、実験例1aでは93%、実験例1bでは91%、実験例1cでは91%、実験例1dでは85%となり、実験例1dのサンプルが回折効率90%を下回った。本来、今回用いたホログラム材料の屈折率変調度、厚さからはほぼ100%の回折効率が期待でき、PET基板の透過率や複屈折の影響、回折効率の測定誤差を勘案しても90%以上は確保出来るものであった。実験例1dのサンプルのように、結果として回折効率が90%を下回った理由は、緩和弾性率τに基づく粘弾性が必要以上に上がったためと考えられる。
<実験例2>
(1)体積ホログラム層の形成(基材への塗布)
実験例1において、体積ホログラム層溶液を塗布する基材を100μm厚のポリカーボネート(帝人化成ピュアエース)にUV硬化樹脂を両面に各々4μm設けた基材(以下標準ポリカーボネートフィルム)に変更し、それ以外は実験例1と同じ条件でホログラム記録層を形成した。すなわち、乾燥条件(a)によるものを実験例2a、乾燥条件(b)によるものを実験例2b、乾燥条件(c)によるものを実験例2c、乾燥条件(d)によるものを実験例2dのサンプルとした。なお、使用した標準ポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
(1)体積ホログラム層の形成(基材への塗布)
実験例1において、体積ホログラム層溶液を塗布する基材を100μm厚のポリカーボネート(帝人化成ピュアエース)にUV硬化樹脂を両面に各々4μm設けた基材(以下標準ポリカーボネートフィルム)に変更し、それ以外は実験例1と同じ条件でホログラム記録層を形成した。すなわち、乾燥条件(a)によるものを実験例2a、乾燥条件(b)によるものを実験例2b、乾燥条件(c)によるものを実験例2c、乾燥条件(d)によるものを実験例2dのサンプルとした。なお、使用した標準ポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
(2)応力緩和時間の測定
実験例1同様に"ARES"を用い、上記乾燥を4条件違えたサンプルの測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例2a)200秒、(実験例2b)230秒、(実験例2c)260秒、(実験例2d)310。
実験例1同様に"ARES"を用い、上記乾燥を4条件違えたサンプルの測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例2a)200秒、(実験例2b)230秒、(実験例2c)260秒、(実験例2d)310。
(3)試験片の用意
この各々の熱処理条件で体積ホログラム層を設けた基材に、前記標準ポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。
この各々の熱処理条件で体積ホログラム層を設けた基材に、前記標準ポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。
(4)体積ホログラム層の安定性試験
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。
(実験例2a)○、(実験例2b)○、(実験例2c)○、(実験例2d)○。
(実験例2a)○、(実験例2b)○、(実験例2c)○、(実験例2d)○。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例2a)○、(実験例2b)○、(実験例2c)○、(実験例2d)○
(実験例2a)○、(実験例2b)○、(実験例2c)○、(実験例2d)○
(5)露光後の信号特性試験
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例2aが96%、実験例2bが93%、実験例2cが93%、実験例2dが89%となった。この結果から緩和時間300secを超えると回折効率90%を下回ってしまうことが分かった。
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例2aが96%、実験例2bが93%、実験例2cが93%、実験例2dが89%となった。この結果から緩和時間300secを超えると回折効率90%を下回ってしまうことが分かった。
<実験例3>
以下の手順で試験片の作成及び特性評価を行った。
(1)体積ホログラム層溶液の調整
アクリル酸エステルをラジカル重合性モノマー、エポキシ誘導体をカチオン重合性モノマー、アクリル酸エステルオリゴマーをバインダーとしてオリゴマーの平均分子量を以下3条件のものを用意し、光重合開始剤、及び350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、680nm近傍の赤色に吸収を持つ増感色素を加えた材料をメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエンの混合溶媒に溶かし、固形物含有量を40wt%とした溶液を準備した。この時の溶液の粘度は各々50,70,130mPasecであった。
分子量(A)15000、分子量(B)50000、分子量(C)100000
以下の手順で試験片の作成及び特性評価を行った。
(1)体積ホログラム層溶液の調整
アクリル酸エステルをラジカル重合性モノマー、エポキシ誘導体をカチオン重合性モノマー、アクリル酸エステルオリゴマーをバインダーとしてオリゴマーの平均分子量を以下3条件のものを用意し、光重合開始剤、及び350nm近傍の青色、530nm近傍の緑色、680nm近傍の赤色に吸収を持つ増感色素を加えた材料をメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエンの混合溶媒に溶かし、固形物含有量を40wt%とした溶液を準備した。この時の溶液の粘度は各々50,70,130mPasecであった。
分子量(A)15000、分子量(B)50000、分子量(C)100000
(2)基材への塗布
100μm厚のポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムを基材とし、該基材に上記体積ホログラム層溶液を、スキージ法により乾燥後の塗布量を35cm3/m2の割合で調整し、乾燥条件25℃、30分で溶媒を気化させ体積ホログラム層を形成した。なお、使用したPETフィルムの曲げ弾性率は9.2GPaであった。
100μm厚のポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムを基材とし、該基材に上記体積ホログラム層溶液を、スキージ法により乾燥後の塗布量を35cm3/m2の割合で調整し、乾燥条件25℃、30分で溶媒を気化させ体積ホログラム層を形成した。なお、使用したPETフィルムの曲げ弾性率は9.2GPaであった。
(3)応力緩和時間の測定
実験例1同様に"ARES"を用い、上記分子量を3条件違えたサンプル(分子量(A)が実験例3A、分子量(B)が実験例3B、分子量(C)が実験例3C)の測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例3A)90秒、(実験例3B)110秒、(実験例3C)240秒。
実験例1同様に"ARES"を用い、上記分子量を3条件違えたサンプル(分子量(A)が実験例3A、分子量(B)が実験例3B、分子量(C)が実験例3C)の測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例3A)90秒、(実験例3B)110秒、(実験例3C)240秒。
(4)試験片の用意
この各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、100μm厚のポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。なお、使用したポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
この各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、100μm厚のポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。なお、使用したポリカーボネートフィルムの曲げ弾性率は2.2GPaであった。
(5)体積ホログラム層の安定性試験
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。カッコ内の数値は厚みムラを示す。
(実験例3A)×(±13%)、(実験例3B)○(±8%)、(実験例3C)○。
(実験例3A)×(±13%)、(実験例3B)○(±8%)、(実験例3C)○。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例3A)×(±12%)、(実験例3B)○(±6%)、(実験例3C)○。
(実験例3A)×(±12%)、(実験例3B)○(±6%)、(実験例3C)○。
(6)露光後の信号特性試験
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例3Aが93%、実験例3Bが93%、実験例3Cが92%となり、全ての条件において90%以上の回折効率が得られていた。
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例3Aが93%、実験例3Bが93%、実験例3Cが92%となり、全ての条件において90%以上の回折効率が得られていた。
(実験例4)
実験例3において、体積ホログラム層溶液を塗布する基材を実験例2で使用した標準ポリカーボネートフィルムに変更し、それ以外は実験例3と同じ条件でホログラム記録層を形成した。すなわち、分子量(A)によるものを実験例4A、分子量(B)によるものを実験例4B、分子量(C)によるものを実験例4Cのサンプルとした。
実験例3において、体積ホログラム層溶液を塗布する基材を実験例2で使用した標準ポリカーボネートフィルムに変更し、それ以外は実験例3と同じ条件でホログラム記録層を形成した。すなわち、分子量(A)によるものを実験例4A、分子量(B)によるものを実験例4B、分子量(C)によるものを実験例4Cのサンプルとした。
(2)応力緩和時間の測定
実験例1同様に"ARES"を用い、上記乾燥を4条件違えたサンプルの測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例4A)85秒、(実験例4B)100秒、(実験例4C)220秒。
実験例1同様に"ARES"を用い、上記乾燥を4条件違えたサンプルの測定温度25℃において応力の時間経過σ(t)を測定した。横軸を測定時間t、縦軸をlogσ(t)としてプロットし、測定後半部の直線領域を一次近似logσ(t)=A−Btとして近似を行ない緩和弾性率τ=1/Bを得た。
各々のサンプルの応力緩和時間は次の通りであった。
(実験例4A)85秒、(実験例4B)100秒、(実験例4C)220秒。
(3)試験片の用意
この各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、前記標準ポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。
この各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、前記標準ポリカーボネートフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。
(4)体積ホログラム層の安定性試験
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。
(実験例4A)×(±15%)、(実験例4B)○(±9%)、(実験例4C)○。
(実験例4A)×(±15%)、(実験例4B)○(±9%)、(実験例4C)○。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例4A)×(±13%)、(実験例4B)○(±8%)、(実験例4C)○。
この結果から、膜厚分布は応力緩和時間100secを境に±10%の偏曲点に差し掛かることが分かった。
(実験例4A)×(±13%)、(実験例4B)○(±8%)、(実験例4C)○。
この結果から、膜厚分布は応力緩和時間100secを境に±10%の偏曲点に差し掛かることが分かった。
(5)露光後の信号特性試験
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例4Aが96%、実験例4Bが95%、実験例4Cが94%となった。
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例4Aが96%、実験例4Bが95%、実験例4Cが94%となった。
<実験例5>
実験例3において、各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、75μm厚のポリアミドフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。すなわち、分子量(A)によるものを実験例5A、分子量(B)によるものを実験例5B、分子量(C)によるものを実験例5Cのサンプルとした。なお、使用したポリアミドフィルムの曲げ弾性率は20GPaであった。
実験例3において、各々の分子量条件で体積ホログラム層を設けた基材に、75μm厚のポリアミドフィルムにてラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。すなわち、分子量(A)によるものを実験例5A、分子量(B)によるものを実験例5B、分子量(C)によるものを実験例5Cのサンプルとした。なお、使用したポリアミドフィルムの曲げ弾性率は20GPaであった。
(体積ホログラム層の安定性試験)
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。
(実験例5A)○、(実験例5B)○、(実験例5C)○。
(実験例5A)○、(実験例5B)○、(実験例5C)○。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例5A)△(厚み変動約10%)、(実験例5B)○、(実験例5C)○。
ここで使用したポリアミドフィルム75μmの曲げ弾性率は20GPaである。この基材を用いることで安定性を稼ぐことが可能であることがわかる。
(実験例5A)△(厚み変動約10%)、(実験例5B)○、(実験例5C)○。
ここで使用したポリアミドフィルム75μmの曲げ弾性率は20GPaである。この基材を用いることで安定性を稼ぐことが可能であることがわかる。
(露光後の信号特性試験)
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例5Aが50%、実験例5Bが50%、実験例5Cが50%となった。ポリイミドフィルムの透明度が低いため、何れも場合も、90%を超える回折効率が得られなかった。
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例5Aが50%、実験例5Bが50%、実験例5Cが50%となった。ポリイミドフィルムの透明度が低いため、何れも場合も、90%を超える回折効率が得られなかった。
<実験例6>
実験例3で準備した分子量を変化させた体積ホログラム層溶液を、45μm厚のポリカーボネートにUV硬化樹脂を両面に各々4μm設けた基材へ塗布し、自然乾燥40min後に同じ基材でラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。すなわち、分子量(A)によるものを実験例6A、分子量(B)によるものを実験例6B、分子量(C)によるものを実験例6Cのサンプルとした。なお、使用した基材の曲げ弾性率は2.0GPaであった。
実験例3で準備した分子量を変化させた体積ホログラム層溶液を、45μm厚のポリカーボネートにUV硬化樹脂を両面に各々4μm設けた基材へ塗布し、自然乾燥40min後に同じ基材でラミネートし、この板を5cm角に切断して試験片とした。すなわち、分子量(A)によるものを実験例6A、分子量(B)によるものを実験例6B、分子量(C)によるものを実験例6Cのサンプルとした。なお、使用した基材の曲げ弾性率は2.0GPaであった。
(記録層の安定性試験)
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
上記各サンプルの試験片を、60℃の恒温槽に24h投入し、厚みムラの発生をレーザー変位計により厚さ分布を測定した。厚みむらについての評価は実験例1と同じ評価基準で行った。
各々のサンプルの60℃の恒温槽に24h投入後の体積ホログラム層の安定性試験は次の通りであった。
(実験例6A)×、(実験例6B)×、(実験例6C)△(厚み変動約10%)。
(実験例6A)×、(実験例6B)×、(実験例6C)△(厚み変動約10%)。
また、各サンプルの試験片を、平坦なアクリル板ではさみ、400kg/m2の加重を150hかけ、厚みムラの発生、厚みムラの発生をレーザー変位計により観察した。60℃の恒温槽に24h投入場合と同様の基準で評価したところ、結果は次の通りであった。
(実験例6A)×、(実験例6B)×、(実験例6C)△。
(実験例6A)×、(実験例6B)×、(実験例6C)△。
(露光後の信号特性試験)
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例6Aが97%、実験例6Bが96%、実験例6Cが95%となった。この時の基材の曲げ弾性率は2.0GPaであった。すなわち曲げ弾性率2.0GPa、厚さ49μmが変曲ポイントであることがわかる。
上記試験片に、Nd:YAGのSHG CWレーザー(波長:532nm)を光源として、実験例1と同様にして回折効率を求めた。
その結果、各々のサンプルの回折効率は、実験例6Aが97%、実験例6Bが96%、実験例6Cが95%となった。この時の基材の曲げ弾性率は2.0GPaであった。すなわち曲げ弾性率2.0GPa、厚さ49μmが変曲ポイントであることがわかる。
ところで、本発明における体積ホログラム層における波長400〜800nmの範囲(あるいは350〜400nmの範囲)での透過率は、記録再生におけるホログラムの回折効率を反映する物理特性の1つである。この透過率については、下記の測定装置および測定方法を採用して測定するとよい。
・測定装置:分光光度計 V560(絶対反射率測定装置付き) 日本分光製
・測定モード: 入射角5度における透過光、反射光スペクトラム
・測定方法:次の手順で測定を行う。
(1)サンプルの無い状態でバックグラウンドの測定を行なう。
(2)分光光度計V560が出す各波長の光量に対して受光部光量を100%とする補正をかける。
(3)その後、サンプルを絶対反射率測定装置内の試料ホルダーに設置する。
(4)分光光度計V560のソフトウエアから試料ホルダーの角度を5度に設定し、透過、あるいは反射のモードを選択し、各モードの出射光100%に対する割合の測定を行なう。ここで、実際の透過率は、以下の式を用いて求める。
透過率(%)=100x透過光割合/(1−反射光割合)
・測定モード: 入射角5度における透過光、反射光スペクトラム
・測定方法:次の手順で測定を行う。
(1)サンプルの無い状態でバックグラウンドの測定を行なう。
(2)分光光度計V560が出す各波長の光量に対して受光部光量を100%とする補正をかける。
(3)その後、サンプルを絶対反射率測定装置内の試料ホルダーに設置する。
(4)分光光度計V560のソフトウエアから試料ホルダーの角度を5度に設定し、透過、あるいは反射のモードを選択し、各モードの出射光100%に対する割合の測定を行なう。ここで、実際の透過率は、以下の式を用いて求める。
透過率(%)=100x透過光割合/(1−反射光割合)
測定用試料として、実験例2,4で用いた、標準ポリカーボネートフィルム(UV硬化樹脂膜4μm/ポリカーボネート(PC)フィルム 100μm/UV硬化樹脂膜4μmの積層フィルム)について測定したところ、その透過率は波長400nmで87%、550nmで90%、650nmで91%、800nmで92%であった。また、波長350nmにおける透過率は67%であった。
また、測定用試料として、実験例5で用いた、ポリアミドフィルム100μmについて測定したところ、その透過率は波長400nmで30%、550nmで55%、650nmで60%、800nmで70%であった。また、波長350nmにおける透過率は15%であった。
なお、基材として現在入手可能なフィルムの厚さは標準的には100μm、最大200μm程度である。このことからフィルム厚みは50〜200μmの範囲が現実的に入手可能な範囲となる。
1A,1B,1C・・・体積ホログラム積層体、2・・・第1の基材、3・・・第1材料変質抑制層、4・・・第2材料変質抑制層、5・・・体積ホログラム層、6・・・保護層、7・・・第2の基材
Claims (4)
- 2つの基材の間に、光重合可能な化合物を含む記録材料からなる体積ホログラム層を設けた体積ホログラム積層体において、
前記体積ホログラム層の25℃における応力緩和時間が100〜300secであることを特徴とする体積ホログラム積層体。 - 前記体積ホログラム層は、光重合可能な化合物とバインダーとを含む記録材料が有機溶媒に溶解された溶液を塗布、乾燥して形成されたものであり、前記応力緩和時間は前記バインダーの分子量及び/又は乾燥条件により制御されたものであることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム積層体。
- 前記2つの基材は、曲げ弾性率2.0〜20.0GPa、厚さ50〜200μmの透明プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム積層体。
- 前記2つの基材のいずれかは、波長400〜800nmにおける透過率が85%以上、波長350〜400nmにおける透過率が65%以上であることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム積層体。
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JP2002522262A (ja) * | 1998-08-04 | 2002-07-23 | アラミド プロダクツ ゲーエムベーハー | 突き刺し耐性素材 |
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-
2006
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WO2017033975A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2017-03-02 | コニカミノルタ株式会社 | ホログラム記録構造,光学デバイス及び製造方法 |
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